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2015年8月号

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2015年8月号
審査番号: 150804-A1
アイザワ証券 投資リサーチセンター
アジア・マンスリー / 2015年8月号 (2015年8月10日発行)
(今月号は 8 月 3 日時点の情報を基に作成しています。)
CONTENTS
原油市況の低迷
● 中国
明松 真一郎
2~5
中国の景気回復はずれ込む見通し
中国株の業種別動向
中国株安は訪日観光に影響するのか
● コラム
5
株価が暴落、1400 社が取引停止、
中国の株式市場は異常事態
● グローバル
6~7
弱含みが目立つアジア新興国経済
● 銘柄研究
8~10
中国人寿保険[チャイナ・ライフ・インシュアランス]
ビングループ
マッサングループ
● 経済統計&ランキング
主要株価指数
NYダウ工業株30種
日経平均225
上海総合指数
香港ハンセン指数
香港H株指数
韓国総合株価指数
台湾加権指数
シンガポールST指数
FTSEブルサマレーシア KLCI指数
タイSET指数
ジャカルタ総合指数
フィリピン総合指数
ベトナムVN指数
イスラエルテルアビブ25種指数
11
昨年の急落以降、一旦下げ止まりの兆しをみせていた原油価格だが、
直近7月以降、再度下落基調を示している。価格下落の主要因を、供給面
と需要面の両面から考えてみよう。まず供給面では、中東産油国が生産抑
制の姿勢をみせていないことが最大の要因といえる。そして、需要面から
みても、世界的な経済成長ペース鈍化に伴って原油需要は減少気味だ。
また、需要減退にはもうひとつの側面がある。自動車産業における燃費の
向上だ。日本でいえば、新車の性能向上とハイブリッド車の普及などが、
需要を押し下げているといえよう。こう考えると、原油は今後産油国が大幅
減産などに踏み切らない限り、価格の停滞が続きそうだ。
これまで原油不振の要因として挙げられてきた理由に加えて、ここにき
て中国からの需要減退を指摘する声も増えはじめた。中国の景気が減速
しているために、中国からの資源需要が減少している、とする見方だ。加え
て、鉄鉱石、銅、ニッケル、アルミなどの価格が軒並み5、6年来の安値まで
下落している。もともと銅や鉄鉱石の市況は中国の景気との相関が強く、
中国発の商品市況低迷と言って過言ではない。また、金価格も下落基調
で、2010年2月以来の水準まで下落している。中国要因だけでこれだけ幅
広い商品価格を下落させているとは考えにくく、投機筋の売りの口実に使
われている可能性もあるが、中国需要の減退が市況低迷の主要因のひと
つとみてよいだろう。なお、今年10月頃には、中国で当面の景気対策や次
の5カ年計画について話し合う「五中全会」が開催される。商品市況の反転
や中国の景気回復のひとつのきっかけになるか、注目したい。
2014年12月末 2015年7月末
17,823.07
17,450.77
3,234.68
23,605.04
11,984.69
1,915.59
9,307.26
3,365.15
1,761.25
1,497.67
5,226.95
7,230.57
545.63
1,464.99
17,689.86
20,585.24
3,663.73
24,636.28
11,131.68
2,030.16
8,665.34
3,202.50
1,723.14
1,440.12
4,802.53
7,550.00
621.06
1,712.61
*時価総額は各国・各地域の市場全体の時価総額を記載
年初来
時価総額
為替レート(7月31日)
実績PER
騰落率
(百万米ドル)
1ドル= 123.890 円
-0.75%
15.42
24,826,119
―
17.96%
22.37
5,067,361
1元= 19.954 円
13.26%
18.67
6,566,115
4.37%
10.59
4,476,379 1香港ドル= 15.984 円
-7.12%
8.05
5.98%
16.59
1,233,787 100ウォン= 10.615 円
-6.90%
13.09
903,383 1台湾ドル=
3.911 円
-4.83%
14.40
523,255 1シンガポールドル= 90.300 円
-2.16%
17.31
421,866 1リンギット= 32.405 円
-3.84%
19.56
380,364 1バーツ=
3.539 円
-8.12%
25.46
365,739 100ルピア=
0.915 円
1ペソ=
4.42%
20.93
259,839
2.715 円
100ドン=
13.82%
12.66
63,242
0.568 円
16.90%
18.21
177,152 1シェケル= 32.820 円
[出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly
2
中国
経済
中国の景気回復はずれ込む見通し
柳 林
4~6月の中国経済は、株式市場の活況や貿易黒字の
急増などを背景に市場予想を上回るGDP成長率(7%)を達
成した。ところが中国本土株式市場は6月半ばに直近の高
値を付けた後、上海総合指数の下落率は一時30%超にま
で達した。中国本土株の大幅下落をきっかけに中国の景
気不安が再燃し、原油などの商品市況は総崩れとなった。
(億元)
25,000
20,000
中国本土市場の証券会社の信用残高
上海市場(左軸)
4.0%
深セン市場(左軸)
3.5%
時価総額全体に対する信用残高
の比率(右軸)
3.0%
15,000
2.5%
2.0%
10,000
1.5%
その結果、生産者物価指数(PPI)の下落幅は拡大し、今ま
で改善し始めていた企業の在庫投資も再び鈍化した。ま
5,000
た、不動産市況は全体の約7割を占める中小都市では販
0
1.0%
0.5%
0.0%
売状況の改善があまり見られなかったため、不動産投資の
底入れ局面は今年10~12月にずれ込みそうだ。足元の経
済情勢に配慮して、中国政府当局は成長維持に向けて大
[出所:WIND、アイザワ証券作成]
型インフラ事業や輸出支援を中心とした新たな景気テコ入れ策を発表したほか、国家開発銀行など政策銀行に
対して約900億ドルの資本増強を実施して金融緩和の姿勢を強めた。今後政策効果が顕在化してくることを考
えると、7~8月の中国経済は下振れリスクを抱えながら、横ばいで推移する可能性が大きいと考える。
一方、中国本土株式市場は、金融当局による強力な市場介入により、信用残の解消に伴うパニック売りが収
束しつつある。ただ、投資家心理はなお不安定である上、いったん崩れた需給バランスが新たな均衡に達する
まで時間がかかると予想される。7月末の時点で、証券会社の信用取引の残高は1.4兆元とピーク時の2.3兆元
からほぼ4割減少したものの、今後さらに相場急騰前の水準(今年3月時の約1.2兆元、上図参照)にまで縮小す
る可能性がある。中国の株安にはまだ警戒を要するものの、相場急落に伴って上海総合指数の予想PERは約
14倍と、日米やMSCIワールド・インデックスを下回る水準まで低下している。このことから、少なくとも中国本土株
は現状バブル的な水準ではなく、下値不安は限定的と見てよいだろう。
中国株の業種別動向
/
王 曦
7 月の香港市場は大幅続落、本土投資家の換金売りが波及
7月の香港市場は、6月に続いて主要株価指数が大幅に下落した。香港ハンセン指数と香港H株指数の月間
騰落率はそれぞれ前月比-6.1%、-14.2%となっており、香港市場の1日当たり売買代金は1249億香港ドルと前
月に比べて約11%減少した。中国本土市場での株価下落や銘柄の売買停止、信用取引の追証が続いたこと
で、本土投資家の換金売りが香港市場に波及したことなどが香港株下落の主な原因だったと言えよう。
アイザワ中国株業種別指数(ACSI)(注)の業種別月間騰落率(7月1日~7月31日)を見ると、7月は一部の業
種を除いてほぼ全面安の展開となった。その中で、「鉄鋼」や「証券」、「石炭」、「自動車」、「非鉄金属」、「機械」
といった業種の株価下落率は20%超に達した。このうち「証券」は、今まで好業績を支えた株高や信用取引拡
大、IPOラッシュが既にピークアウトしており、下半期の成長鈍化懸念が高まったことで売られた。また、「鉄鋼」と
「石炭」、「自動車」、「非鉄金属」、「機械」については、もともと業績面に不安があったことに加えて、企業再編や
公募増資などに対する過度な期待が剥落して株価の下落につながった。一方、全面安の中で「カジノ・娯楽」は
マカオのカジノ施設の禁煙令導入延期とサンズ・チャイナ(香港:1928)の業績回復期待で株価の上昇が目立っ
ているが、マカオのカジノ業収入自体は13ヵ月連続前年割れと減速に歯止めがかかっていないため、カジノ関
連株の株価上昇余地は今のところ限定的と見ている。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly
中国
3
経済
/ 8 月は上場企業の中間決算発表が本格化、好業績期待銘柄に注目
8月の香港市場は、中旬頃から上場企業の中間決算発表が本格化するため、好業績期待銘柄に市場の注
目を集めそうだ。現時点で好調な業績見通しを出している業種としては、「証券」や「保険」、「新エネルギー」(風
力発電)、「電子機器」(4G設備関連)、「空運」などが挙げられる。
このうち「証券」は、今年上半期における中国本土市場の売買代金増加と信用取引拡大、IPOラッシュなどを
背景に、中信証券(香港:6030)や海通証券(香港:6837)、広発証券(香港:1776)、など大手証券各社が前年同
期比200~400%増益の予想を出している。また、「保険」は保険料収入が好調に推移しているほか、株高に伴う
運用収益が増加したことで、中国平安保険(香港:2318)や中国太平洋保険(香港:2601)はともに前年同期比
60%増益となる見通しだ。さらに、「新エネルギー」(風力発電)は風力発電所の建設加速が、「電子機器」(4G
設備関連)は4G向け設備投資の拡大が、「空運」は海外旅行ブームと原油安がそれぞれ業績の押し上げ要因
になっている。個別には、金風科技(香港:2208)や深セン市中興通訊(香港:763)、中国国際航空(香港:753)、
中国東方航空(香港:670)、中国南方航空(香港:1055)などの銘柄は上半期の大幅増益を見込んでいる。ここ
で挙げた各銘柄は、基本的に下半期の業績見通しも明るいものが多いが、証券関連株だけは7月から中国本
土市場の状況が一変したため、下期以降の業績は期待しづらい。このことを考慮すると、証券関連株は他の銘
柄に比べて、株価の上値余地が限られることになりそうだ。
一方、逆に上半期の業績見通しが悪い業種としては、「鉄鋼」や「機械」(鉱山用・建設用機械、ディーゼルエ
ンジン)、石油化学(油田採掘)、「産業用設備」(火力発電機)などが挙げられる。中国の景気減速が続いてい
るだけに、重厚長大型産業は下半期も苦戦が予想される。ただ、鉄道インフラなど投資計画が決まっているもの
については、上半期の進捗状況が遅れているため、中国中車(香港:1766)や中国鉄建(香港:1186)などのイン
フラ関連株は下半期にかけて業績が回復する可能性があると見ている。
(注)アイザワ中国株業種別指数(ACSI)の構成については11ページをご覧下さい。
7月の上海・香港間相互取引の銘柄別売買状況
6
7
8
9
北上取引(香港経由→上海)の売買代金上位10銘柄
月間売買代金 2015年 上海・香港
銘柄名
A/H倍率
(億人民元) 予想PER 同時上場
○
中国平安保険
185.3
11.7
0.93
600519 貴州茅台(モータイ)
84.8
15.1
○
招商銀行
600036
76.2
7.2
1.08
○
中国中車
601766
66.8
31.5
1.96
○
中国工商銀行
601398
57.2
6.2
1.13
興業銀行
601166
42.8
5.7
○
中信証券
600030
41.4
13.0
1.22
上海汽車集団
600104
40.5
6.9
伊利股フン
600887
39.8
19.2
-
10
600009
アイザワ中国株業種別指数の月間騰落率(7月1日~7月31日)
ティッカー
順位
(上海)
1
601318
2
3
4
5
1
ティッカー
(香港)
6837
2
3
1060
1766
4
5
6
3333
6863
700
7
順位
上海国際機場
36.1
22.2
-
娯楽・カジノ
輸出関連
通信
公益事業
新エネルギー
日用品
-6.1 香港ハンセン指数
小売
IT
食品
医薬品
不動産
陸運
電力
空運
ホテル・その他サービス
一般素材
海運
石油化学
銀行
産業用設備
-14.2
香港H株指数
-14.3
上海総合指数
家電
保険
機械
電子機器
インフラ建設
石炭
自動車
非鉄金属
証券
鉄鋼
-
南下取引(上海経由→香港) 売買代金上位10銘柄
月間売買代金 2015年 上海・香港
銘柄名
A/H倍率
(億香港ドル) 予想PER 同時上場
○
海通証券
37.1
8.7
1.53
アリババ・ピクチャーズ
23.5
○
中国中車
23.5
16.2
1.96
恒大地産
23.3
10.0
21.7
19.9
21.7
34.7
-
テンセン・ホールディングス
-
-
3988
中国銀行
19.0
5.7
○
1.31
8
9
6030
493
中信証券
11.1
13.2
○
国美電器
18.2
17.3
-
1.22
-
10
2318
中国平安保険
17.2
11.8
○
0.93
輝山乳業
※2015年予想PERは2015年予想EPSと2015年7月31日の終値をもとに算出
[出所:香港証券取引所、アイザワ証券作成]
-28.8
-40
-30
-22.4
-24.5
-20
-10
17.6
0.5
0.3
0
10
(%)
20
[出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly
4
中国
トピックス
中国株安は訪日観光に影響するのか
柳 林
/ 一時的な資産効果はライフスタイルの変化に影響しない
今年6月末に中国株が急落してから、中国の株安が中国人
中国人海外旅行者数の推移
(万人)
による訪日観光に大きな影響を与えるのではとの見方が急浮
上している。これに対して、以下の理由から中国の株安と中国
人による訪日観光の相関性は低いと考える。
① 個人消費と株価の相関性は低い
2011年から2014年までの4年間、上海総合指数は3000ポイ
ントから2000ポイントまで下落したのにもかかわらず、その間
の中国の海外旅行者数は約1600万人から3000万人へと逆
に増加している(右上図参照)。また、2014年末から2015年6
月にかけて、上海総合指数が2000ポイントから5000ポイント
に急騰したが、個人消費は顕著に伸びたわけでもない。つま
3,000
2,500
※主要国のみ、香港・マカオ除く
2014年は国別のデータなし。
2,000
1,500
1,000
500
0
2008
2009
2010
2011
[出所:WIND、アイザワ証券作成]
2012
2013
2014
韓国
日本
インド
英国
イタリア
フランス
ドイツ
アラブ
モルジブ
ミャンマー
フィリピン
カンボジア
マレーシア
タイ
シンガポール
インドネシア
豪州
ロシア
カナダ
米国
台湾
り、中国では以前から個人消費と株価の相関性は低いと言
える。
② 株式は家計の総資産の5%に過ぎない
中国の株式時価総額(約60兆元)のうち、国と企業が約6割
を保有しており、機関投資家と個人投資家が残りの4割を保
有している。家計が保有している株式の時価総額は約10兆
元(約200兆円)で、家計の金融資産の約10%、不動産を含
む総資産の5%に過ぎない。また、株式保有している層も資
産家や富裕層に偏っている。中国当局の調査によると、株
式を保有している世帯数は全体の8.8%にとどまっている。
③ 上海総合指数は昨年後半から見ると80%上昇している
上海総合指数は6月末から急落したとはいえ、昨年後半か
ら見ると80%上昇しており、投資家の大半は依然として利益が出ている状態にある。また、株価の下落に伴っ
て上海総合指数の予想PERは14倍程度にまで低下しており、今のところ割高感はない。
④ 購買力の向上は株高による資産効果ではなく、収入の増加によるもの
今年中国の上半期の経済成長率は7%であったのに対し、家計の可処分所得は9%増えた。中国人購買力
の向上は株高による資産効果ではなく、経済成長に伴う収入の増加によるものである。
⑤ 一時的な資産効果はライフスタイルの変化に影響しない
海外旅行や「爆買い」ブームは、中国で増え続けている中間層がより良い商品・サービスを求めるという構造
的な変化であり、一時的な資産効果によって生じたものではない。
⑥ 人民元高観測は依然として根強い
米国の利上げ観測や中国の景気減速により、人民元の対米ドルレートは今後、若干人民元安方向に振れる
可能性があるものの、恒常的な貿易黒字や人民元の国際化などを背景に人民高観測は依然根強い。強い
人民元は、中国の海外旅行ブームにとって大きな追い風となっている(右下図参照)。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly
中国
5
トピックス
/ 中国経済の低迷にもかかわらず、なぜ「爆買い」が増えるのか
前述のように、中国の株安が「爆買い」に影響するというのは一方的
( 億人)
中国の航空・鉄道旅客数の推移
5.0
な憶測に過ぎないことが分かる。近年、中国経済の成長鈍化に伴って、 4.0
航空旅客数(右軸)
中国経済に対して「金融不安」や「バブル崩壊」など悲観的な論調は増
鉄道旅客数(左軸)
3.0
(億人)
25
20
15
える傾向にある。その一方で、中国人観光客による日本旅行の人気は
かになっている、という事実が見逃されている。
2014
2012
2010
2008
0
2006
0.0
2004
5
2002
の印象を与えやすい。成長鈍化でも賃金上昇などで国民の生活は豊
1.0
2000
れるケースが多いため、「中国経済の低迷」と「爆買い」の両立は困難と
10
1998
として注目されるようになっている。メディアで中国経済の低迷が強調さ
2.0
1996
衰えず、「爆買い」でインバウンド消費は日本経済の回復を支える要因
[出所:WIND、アイザワ証券作成]
例えば、日本では中国の鉄道貨物輸送量の落ち込みが景気失速の証拠としてしばしば伝えられているが、
旅行ブームを背景とした鉄道・航空旅客輸送の好調ぶりは殆ど伝えられていない(右上図参照)。また、鉱工業
部門の成長鈍化が中国の社会不安を招くのではないかと懸念されているが、実際はGDPに占める鉱工業の比
重が低下している一方で、サービス業の比重が高まっている。このことはまさに、中国の経済構造転換を示唆し
ており、新規雇用の大部分は拡大するサービス業に吸収されている。可処分所得の向上を背景に、中国はか
つての資源「爆食」の時代から旅行者「爆買い」の時代へと移り、今後旅行は中国人の生活スタイルとして定着
していくことだろう。また、昨年の中国人海外旅行者数(延べ、香港・マカオ除く)は総人口の2%程度に過ぎず、
今後の成長余地は大きいと見ている。
コラム:
株価が暴落、1400 社が取引停止、中国の株式市場は異常事態
― 姚 莉
中国の代表的な株価指数である上海総合指数は 6 月 12 日に直近の戻り高値をつけてから、3
週間で約 30%急落した。下落のピッチは驚くほど速いため、株式売買の約 8 割を占める個人投
資家の動揺は収まらず、処分売りを加速させた。1 億人にも上る本土の個人投資家の大半は投
資経験が浅い上、風説やインターネット上で流れる根拠のない情報の影響を受けやすい。更に、
一部ミドル層の投資家はレバレッジを効かせるために、非正規の融資(場外配資)を行い、信
用取引を拡大させた。その結果、株価暴落で個人投資家は多くの財産を失った。
社会不安や現政権への批判を回避するために、中国政府は連日株価維持対策に追われた。利
下げのほか、IPO(新規公開)の一時停止、証券金融会社への資金提供、市場安定化基金の設
置などの緊急対策を打ち出したが、政府当局の後手に回った対応ぶりは、かえって個人投資家
の不安心理を煽る結果となった。株式市場の急落になかなか歯止めがかからない状況を見て、
上場企業は自己防衛策を打ち出した。自社株の取引停止を申請できる制度を悪用し、自社株の
売買を停止させる前代未聞の手段を取った。「重要事項に関する公告未発表のため」や「自社
株買いを検討しているため」
、中には「最高経営責任者が行方不明となったため」などの理由
で自社株の売買を停止させた。7 月 8 日の時点で上海・深セン市場の約半数の 1400 社が売買停
止となった。
その後、政府の号令による上場企業の自社株買いや大株主
の持ち株売却禁止令など明らかに市場ルールから逸脱するよ
うな追加対策で売り圧力が一服し、売買停止している企業も
ピーク時の半分ぐらいに減った。パニックは収束の気配を見
せ始めたが、処分売りがまだ出切っていない上、株価を裏付
ける景気状況や企業の業績が伴わない限り、当面、不安定な
写真:上海市内の証券会社で、株価を見守る個人投資家
相場状況が続きそうだ。
[アイザワ証券上海駐在員事務所撮影]
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly
6
グローバル
トピックス
弱含みが目立つアジア新興国経済
明松 真一郎
ASEAN では今年年末の ASEAN 経済共同体発足に向けて準備を進められているが、直近の各国の経済状
況をみると、比較的安定している国と景気減速が目立つ国など、ばらつきが目立ってきている。各国の抱えてい
る状況、今後の見通しなどについて考えてみたい。
/ 新興国全体の状況
昨年来、市場では「米国の利上げ開始によって新興国から資金が流出するのではないか」との見方が大勢だ
った。現在は利上げ時期に関する予想が徐々に後ズレしているが、直近は米国発の材料よりも各国の景気の先
行きの方に投資家の焦点が移り始めている。アジア新興国、南米、南アフリカなど、これまで高い成長を期待さ
れてきた国々の景気減速が目立っている。主な新興国の対米ドル為替レートの推移からみて、景気低迷のなか
で資金が流出気味であるといってよいだろう。
主なアジア新興国とその他新興国通貨、商品価格
各通貨及び商品価格
2015年1~7月騰落率
7月末価格の水準
マレーシアリンギ
インドネシアルピア
タイバーツ
フィリピンペソ
通貨(対ドル) オーストラリアドル
トルコリラ
ブラジルレアル
メキシコペソ
南アフリカランド
金
商品価格
銅
NY原油
▲9.5%
▲9.3%
▲6.4%
▲2.3%
▲11.8%
▲18.7%
▲28.7%
▲9.2%
▲9.6%
▲7.5%
▲16.4%
▲11.5%
1998年以来の安値
1998年以来の安値
2009年以来の安値
2010年以来の安値
2009年以来の安値
過去最安値
2003年以来の安値
過去最安値
2001年以来の安値
2010年以来の安値
2009年以来の安値
2009年以来の安値(注:2015年3月が直近最安値)
[出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
/ インドネシアとタイの景気動向
通貨が軟調に推移している国に関して、いくつかの経済指標などからインドネシアとタイの現在の景気動向を
確認してみよう。まず、インドネシアだが、国内外から経済成長率の予測引き下げが目立っている。今年の経済
成長率の予測について、海外からは、世界銀行が従来見通しの5.0%から4.7%に引き下げたほかアジア開発
銀行は5.5%から5.0%にそれぞれ引き下げた。また国内からも、直近7月22日にインドネシア中央銀行のアグス
総裁が今年の経済成長率目標を従来の5.0~5.4%から5.0~5.2%に引き下げた。今年上半期の予算執行が
行政手続きの遅れによって低水準にとどまったことなどを引き下げの理由に挙げており、今後の政府目標の達
成にはインフラ関連支出の加速が不可欠、との見方を示した。
また、景気の低迷を象徴しているのが、国内産業の不振だ。商品価格の下落や鉱物輸出の禁止などによっ
て主力産業の一つである鉱業では従業員の一部解雇などが行われているほか、鉄鋼、繊維、石炭などでも業
績悪化が目立っている。そして、これまで好調を維持してきた自動車の販売も減速気味で、1~6月の新車販売
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly
グローバル
7
トピックス
台数は、前年同期比18%減の52万4860台であった。6月単月でみれば、ラマダン(イスラム教の断食)期間に入
って消費ムードが高まったことで前月比ではプラスとなったものの、例年のラマダン期間に比べて増加率は小幅
にとどまった。国内の燃料補助金削減、金利の高止まり、資源価格の低迷を受けた消費者の購買力低下などの
要因が重なって、自動車の販売低迷につながっている。
なお、ジョコ大統領は7月半ばに「各プロジェクトの入札手続きが完了し、予算執行の準備が整った」と説明し
た。今後、景気低迷を打破するために、政府が掲げている大型インフラプロジェクトの早期実施が重要といえる。
今年後半は、これまで以上に、ジョコ大統領の手腕が注目を集めそうだ。
インドネシアの製造業PMI
インドネシアの自動車販売台数
(台)
54
53
52
51
50
49
48
47
46
45
44
43
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
15年7月
15年1月
14年7月
14年1月
13年7月
13年1月
12年7月
12年1月
11年7月
11年1月
10年7月
10年1月
09年7月
09年1月
08年7月
08年1月
07年1月
[出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
07年7月
0
15年7月
15年4月
15年1月
14年10月
14年7月
14年4月
14年1月
13年10月
13年7月
13年4月
13年1月
12年10月
12年7月
12年4月
12年1月
20,000
[出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
また、タイも国内景気は低迷している。2014年5月の軍事クーデター発生以降政治は落ち着いているが、主
力産業である自動車、農作物などが不振で、輸出も低迷している。タイ中央銀行が7月31日に発表した6月の月
例経済報告では、タイ経済の回復ペースが遅いとの見方を示した。中国とASEANにおける需要の低迷を背景と
した輸出の落ち込みと個人消費の低迷を指摘している。加えて、7月ごろから深刻化しつつあるのが干ばつの
問題だ。タイのコメ生産量は世界第6位の規模で、タ
イの就労人口の約4割が農業に従事している。ソム
(万人)
タイ 外国人訪問者数
300
マイ財務相は、干ばつによって2015年のGDP伸び
率は0.5%押し下げられる恐れがある、との見方を示
しており、タイ経済の下振れリスクになっているとい
えるだろう。
そのなかで、景気回復の牽引役として期待されて
いるのが観光だ。一時は政局混乱によって落ち込
250
200
150
100
んでいたが、昨年12月には外国人観光客数が月間
50
過去最高の284万人を記録した。国別では、中国、
0
ロシアなどの回復が目立っている。今後、年末に予
定されているASEAN経済共同体設立を機に、周辺
国との交流は一段と活発化する見込みで、タイの地
[出所:タイ観光・スポーツ省、ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
理的優位性が発揮されそうだ。
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Asia Monthly
8
銘柄研究
香港:2628/Z4193
中国人寿保険[チャイナ・ライフ・インシュアランス]
姚 莉
業種: 保険
/ 中国最大の生命保険会社
生命保険や傷害保険、医療保険、年金保険などを手掛け
る国内最大の生命保険会社。国有企業の中国人寿保険公司
の再編により、2003年6月に設立された。2014年12月末時点
の契約数は個人・団体向け生命保険、長期医療保険及び年
金保険を含め、1億9700万件となっている。保険料収入にお
ける国内シェアは26.1%で国内首位。
/ 2014 年本決算は投資利益拡大で 30%増益
2014年12月期本決算は、経常収入が前年比5.5%増の
4407.7億元、純利益が同30.1%増の322.1億元となった。国
内株式市場の株高を背景に投資利益が前年比13.0%増の
935.5億元となり、大幅増益に貢献した。一方、保険料収入は
前年比1.6%増の3301.1億元と、小幅増加にとどまった。保険
料収入の伸び悩みの主な要因は全体の8割を占める生命保
険部門の不振で、前年比1.8%減と前年割れとなった。市場
競争の激化に加えて、活況な株式市場へ資金をシフトさせる
ための解約増などが響いた模様。同社のIR資料によると、
2014年の解約返戻金の支払いは976.9億元で、前年の648.6
億元より50.6%増加した。
株式データ
2015/8/3 現在
株価
売買単位
時価総額
実績 PER
PBR
52 週高値
52 週安値
27.60香港ドル
1000株
9588億261万香港ドル
19.39倍
2.20倍
41.00香港ドル
21.00香港ドル
業績推移
【連結】
決算期 経常収入 前年比 純利益 前年比 1株利益 1株配当
‘13/12 417,883 12.5% 24,765 123.9%
0.88
0.3
‘14/12 440,766
5.5% 32,211
30.1%
1.14
0.4
単位:百万元、ただし 1 株利益、1 株配当は元
※1 株配当は株式分割・併合等調整済み
株価チャート(週足2014年8月15日~2015年7月31日)
2,000
出来高
(百万株)
株価
(香港ドル)
42
1,800
1,600
37
1,400
1,200
32
1,000
800
27
600
/ 『新国十条』など民間保険支援策が業績の追い風に
400
22
200
昨年8月に、中国政府は保険業の発展を推進する『現代保
険業の加速な発展に関する若干の意見』(通称『新国十条』)
を発表した。意見書では、2020年までに、1人当たりの保険料
拠出の対GDP比率を現在の3%程度から5%に引き上げると
の目標を掲げたほか、①養老保険や医療保険など保険商品
の開発、②環境汚染や食品安全、医療事故などの責任保険
の普及、③農業保険の多様化、④巨大災害保険制度の整備、
⑤年金保険、健康保険、個人年金保険の税制優遇など32項
目に分け、従来の『国十条』より明確な指導方針を打ち出した。
政府は社会保障や公的保険の補完役として民間保険の重要
性を認識し、保険業の発展を意欲的に支援しようとしている。
このような取り組みは保険業界にとって追い風となりそうだ。
また、中国では、所得の増加や生活スタイルの変化による
生活習慣病の増加や少子高齢化の急速な進行などで、保険
に対する意識や関心が高まってきている。今後、生命保険市
場における潜在的な需要拡大が見込まれることから、業界の
リーディングカンパニーとして、同社は中長期的に成長できる
と見込まれる。ただ、株式市場の動向次第で同社の利益にブ
レが生じやすい点は注意が必要だ。
0
17
[出所:株式データ、業績推移、株価チャート共にブルームバーグ等、
アイザワ証券作成]
その他
保険料収入の推移
(単位:億元)
332
330
328
326
324
322
320
318
316
314
312
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
[出所:会社アニュアルレポート、アイザワ証券作成]
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
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Asia Monthly
銘柄研究
9
ベトナム:VIC/Y3305
ビングループ
北野 ちぐさ
業種: コングロマリット
/ 高級不動産や高級リゾートを開発
有名実業家のファム・ニャット・ブオン現会長が2001年に創
業。主にベトナムの不動産及び観光分野でラグジュアリービ
ジネスを展開し、約10年間でベトナム最大の不動産デベロッ
パーへと急成長した。近年、小売や農業にも参入するなど事
業の多角化を推進、2015年1~3月期の事業別売上構成比は、
不動産販売が67%、不動産賃貸が8%、小売等が11%、観光
(ホテル・リゾート・娯楽施設等)が10%、教育が2%、病院運
営が2%となっている。
/ 事業拡大に伴うコスト増で 1~3 月期は減益
2015年1~3月期決算は、売上高が前年同期比3.6%の6兆
3941億ドン、純利益が同60.2%減の4279億ドンとなった。大
幅減益となった最大の要因は事業拡大に伴う費用の増加だ。
3月に「ビンコム・メガモール・ロイヤルシティ」や「ビンコム・メガ
モール・タイムズシティ」など同社が運営する商業施設4ヵ所に、
家電チェーン「ビンプロ」を出店し、家電小売事業へ参入した。
そのほか、昨年買収したオーシャンリテールの店舗網を活用
し立ち上げた、スーパーマーケットチェーン「ビンマート」とコン
ビニエンスストアチェーン「ビンマート・プラス」の出店も加速。
これに伴い販売費及び一般管理費が同76.1%増、うち特に
販売費が前年同期比同170.8%増と急増し利益を圧迫した。
株式データ
2015/8/3 現在
株価
売買単位
時価総額
実績 PER
PBR
52 週高値
52 週安値
43100ドン
10株
79兆3711億ドン
22.16倍
3.79倍
47694.75ドン
34976.15ドン
業績推移
【連結】
決算期 売上高 前年比 純利益 前年比 1株利益 1株配当
‘13/12
18,378 132.5% 6,780 331.5%
4,221
1,149
‘14/12
27,724 50.9% 3,159 -53.4%
1,945
0
単位:十億ドン、ただし 1 株利益、1 株配当はドン
※1 株配当は株式分割・併合等調整済み
株価チャート(週足2014年8月8日~2015年7月31日)
100
株価
(ドン)
出来高
(百万株)
90
48,000
46,000
80
70
44,000
60
42,000
50
40
40,000
30
38,000
20
36,000
10
0
34,000
/ 不動産事業の回復と事業の多角化で持続的な成長へ
会社側は2015年通期について、不動産事業が緩やかな回
復にとどまるとの見方の一方で、事業の多角化に向けた投資
の加速により、売上高は前年比8.2%増の30兆ドン、純利益は
同20.6%減の3兆ドン(注)と増収減益を見込んでいる。しかし
長期的に見れば、7月住宅法改正で外国人による投資目的
の不動産取得が認められ、取得物件及び戸数制限が大幅に
緩和されたことは、高級不動産の開発・販売に強みをもつ同
社にとって追い風となろう。さらに、大型商業施設「ビンコム」
の全国展開をはじめ、①2017年までに「ビンマート」を100店
舗、「ビンマート・プラス」を1000店舗まで拡大、②2015年中に
「ビンプロ」を大都市で25店舗出店し、地方都市でも「ビンプ
ロ・プラス」ブランドで100店舗出店、③高品質の野菜・果物生
産に向けて、紅河デルタ地方の500ha規模の農場に最大で
7000 億 ド ン 投 資 、 ④ 2015 年 中 に 電 子 商 取 引 サ イ ト
「Adayroi.com」の運営開始、など小売事業を中心とした新事
業の育成も同社の持続的な成長を下支えしよう。
[出所:株式データ、業績推移、株価チャート共にブルームバーグ等、
アイザワ証券作成]
その他
ビングループ
2015年1~3月期事業別売上高構成比
2%
2%
10%
11%
8%
67%
不動産販売
不動産(オフィス・商業施設)賃貸
小売等
観光(ホテル・リゾート・娯楽施設等)
病院経営
教育(学校運営)
[出所:ビングループ、アイザワ証券作成]
(注)少数株主持分を含む純利益。なお、上表の業績推移の数値
は少数株主持分を含まないため、前年の値は一致しない。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
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Asia Monthly
10
銘柄研究
ベトナム:MSN/Y5258
マッサングループ
北野 ちぐさ
業種: コングロマリット
/ 調味料・即席麺・インスタントコーヒーの国内最大手
主に傘下のマサン消費財を通じて食品・飲料事業を、マサ
ン・リソーシズを通じて非鉄金属事業を行う。食品・飲料事業で
は、ヌクマム(魚醤)の「Chinsu」、ベトナム醤油の「Tam Thai
Tu」、即席麺の「Omachi」、インスタントコーヒーの「Vinacafe」な
ど、ベトナムで極めて認知度の高い製品の製造販売を手掛け
る。同社製品の国内シェアは、魚醤・醤油が約7割、即席麺が
約3割、インスタントコーヒーが約4割と、いずれもトップ。また非
鉄金属事業では、中国を除く世界のタングステン鉱山の中で
最大規模となるヌイフォア鉱山の開発を手掛ける。そのほか、
資産規模でベトナム8位のテクコムバンクにも3割出資する。
/ 2015 年 1~3 月期に黒字転換
2015年1~3月期決算は、売上高が前年同期比31.8%増の
3兆5844億ドン、純利益が前年同期の1067億ドンの赤字から
44億ドンの黒字に転換した。事業別では、売上高の8割弱を占
める食品・飲料事業が前年同期比21.6%%増収、同38.5%増
益(EBITDA(注))と好調に推移したことに加えて、昨年3月に操
業を開始したヌイフォア鉱山が四半期通してフルで業績に寄
与しため、非鉄金属事業が同84.9%増収、同512.3%増益
(EBITDA)となり利益を押し上げた。
株式データ
2015/8/3 現在
株価
売買単位
時価総額
実績 PER
PBR
52 週高値
52 週安値
89000ドン
10株
66兆4579億ドン
61.51倍
4.36倍
128000ドン
58000ドン
業績推移
【連結】
決算期 売上高 前年比 純利益 前年比 1株利益 1株配当
‘13/12
11,943 14.9%
856 21.9%
618
0
‘14/12
16,089 34.7%
957 11.8%
1,447
0
単位:十億ドン、ただし 1 株利益、1 株配当はドン
※1 株配当は株式分割・併合等調整済み
株価チャート(週足2014年8月8日~2015年7月31日)
20
出来高
(百万株)
株価
(ドン)
100,000
18
95,000
16
14
90,000
12
10
85,000
8
80,000
6
4
75,000
2
/ 食肉加工事業への参入を発表
所得向上を背景に、ベトナムの個人消費総額は2018年に
1880億米ドルと2013年比で約7割拡大すると見通しだ。これを
受け、ベトナムの加工食品市場規模は、タイの7%、インドネシ
アの13%、フィリピンの7%を大きく上回る年平均16%の成長が
期待されている(いずれもデロイトトーマツの予想による)。
このようななか、会社側は新たな事業の柱に食肉加工事業
を据えた。現在ベトナムにおいて、加工食肉の消費額は食肉
全体の1%程度にとどまるものの、今後、生産技術の向上によ
り市場拡大が期待される分野のひとつだ。今年4月に、傘下に
飼料メーカー2社を保有するサムキムを買収し、飼料生産で国
内2位、特に養豚向けでは国内トップに浮上した。会社側は、
将来的には飼料生産から家畜飼育・解体・加工・流通までを手
掛けるサプライチェーンを育成する方針で、今年1月にソーセ
ージや缶詰などを製造するサイゴン栄養食品の買収計画を明
らかにしている。これまで積極的なM&Aにより会社を成長させ
ていきた同社だが、今回の大型投資が新たな成長の原動力と
なるのか注目したい。
0
70,000
[出所:株式データ、業績推移、株価チャート共にブルームバーグ等、
アイザワ証券作成]
その他
マッサングループ
2015年1~3月期事業別売上高構成比
23%
77%
食品・飲料
非鉄金属(タングステン、ホタル石、ビスマス、銅など)
[出所:マッサングループ、アイザワ証券作成]
(注)EBITDA とは、税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却
費を加算したもの。
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Asia Monthly
DATA
11
経済統計&ランキング
/ アジア各国の経済統計 (2015年8月3日現在)
日本
2012
中国
2013
2014
2012
2013
台湾
2014
2012
韓国
2013
2014
2012
シンガポール
2013
2014
2012
2013
2014
実質GDP成長率(%)
1.5
1.5
-0.1
7.7
7.7
7.4
1.5
2.1
3.7
2.3
3.0
3.3
2.5
3.9
2.9
1人当りGDP(米ドル) 46,531 38,468 37,540 6,194 6,959 7,572 20,386 20,925 21,572 24,454 25,975 28,739 54,007 55,182 56,113
外貨準備高(億米ドル) 11,930 12,024 11,997 33,120 38,213 38,430 4,030 4,168 4,190 3,270 3,465 3,636 2,590 2,731 2,569
経常収支(億米ドル)
587
336
243
2,154 1,828 2,098 506
573
601
508
799
842
502
546
540
鉱工業生産(%)
消費者物価指数(%)
政策金利(%)
2015年
5月
2015年
6月
2015年
7月
2015年
5月
-3.90
0.50
0.10
2.00
0.40
0.10
タイ
―
―
0.10
6.10
1.20
5.10
2012
2013
2014
2012
2015年
6月
2015年
7月
6.80
―
1.40
―
4.85
4.85
マレーシア
2013
2014
2015年
5月
2015年
6月
2015年
7月
2015年
5月
2015年
6月
2015年
7月
-3.18 -1.35
―
-2.80 1.20
―
-0.73 -0.56
―
0.50 0.70 0.70
1.875 1.875 1.875 1.75 1.50 1.50
インドネシア
フィリピン
2012
2013
2014
2012
2013
2014
2015年
5月
2015年
6月
2015年
7月
-2.30
-0.40
―
-4.40
-0.30
―
ベトナム
―
―
―
2012
2013
2014
実質GDP成長率 %
6.5
2.9
0.7
5.6
4.7
6.0
6.3
5.8
5.0
6.8
7.2
6.1
5.2
5.4
6.0
1人当りGDP(米ドル) 5,390 5,676 5,550 10,331 10,457 11,062 3,591 3,510 3,404 2,612 2,791 2,913 1,753 1,902 2,073
外貨準備高(億米ドル) 1,710 1,590 1,491 1,340 1,318 1,215 1,130 994 1,119 838
832 798
256
259
342
経常収支(億米ドル)
-15
-25
142
176
123
151
-244 -291 -262
69
94
92
93
95
78
2015年
5月
2015年
6月
2015年
7月
2015年
5月
2015年
6月
2015年
7月
2015年
5月
2015年
6月
2015年
7月
鉱工業生産(%)
158.0 152.6
―
4.50
―
―
―
―
―
消費者物価指数(%) -1.27 -1.07 -1.05
2.10
2.50
―
7.15 7.26 7.26
政策金利(%)
1.50 1.50
1.50
3.25
3.25
3.25
7.50 7.50 7.50
※ 鉱工業生産は前年同期比を掲示していますが、タイは鉱工業生産指数の原数値を掲示しています。
2015年
5月
2015年
6月
2015年
7月
2015年
5月
2015年
6月
2015年
7月
―
1.60
4.00
―
1.20
4.00
―
―
4.00
7.50
0.95
6.50
11.10 11.30
1.00 0.90
6.50 6.50
[出所:各種データ、アイザワ証券作成]
/ アイザワ証券 アジア株売買代金上位ランキング (2015年7月1日~7月31日統計)
アジア株式(買い手口)
順位 ティッカー 銘柄名
アジア株式(売り手口)
終値
市場
騰落率
順位 ティッカー 銘柄名
終値
市場
騰落率
1
3888
金山軟件 [キングソフト]
20.70
香港
34.4%
1
700
騰訊 [テンセン・ホールディングス]
144.70
香港
28.6%
2
VIC
ビングループ
43100
ベトナム
13.7%
2
BVH
バオ・ベト・ホールディングス
52500
ベトナム
64.1%
3
HAG
HAGL
17300
ベトナム
-21.7%
3
1766
中国中車
9.78
香港
-6.3%
4
1211
比亜迪 [BYD]
34.30
香港
13.0%
4
3888
金山軟件 [キングソフト]
20.70
香港
34.4%
5
2318
中国平安保険(集団) [ピンア
ン・インシュアランス]
44.60
香港
12.8%
5
384
中国燃気控股
13.60
香港
11.3%
6
700
騰訊 [テンセン・ホールディングス]
144.70
香港
28.6%
6
1211
比亜迪 [BYD]
34.30
香港
13.0%
7
GAS
ペトロベトナムガス
59000
ベトナム
-16.3%
7
698
通達集団[トンダー・グループ]
1.31
香港
42.4%
8
KDC
キンド食品 [キンド]
48400
ベトナム
-3.0%
8
895
東江環保
12.98
香港
19.5%
857
中国石油天然気 [ペトロチャイ
ナ]
7.69
香港
-10.6%
9
10
035420 Naver[ネイバー]
523000
韓国
-26.5%
9
中国燃気控股
13.60
香港
11.3%
10
LPKR リッポー・カラワチ
1155 インドネシア 13.2%
6.82
香港
-5.8%
11
CPALL CPオール
48.00
タイ
12.9%
ベトナム
18.7%
12
2318
中国平安保険(集団) [ピンア
ン・インシュアランス]
44.60
香港
12.8%
9.78
香港
-6.3%
13
HAG
HAGL
17300
50.50
香港
17.0%
14
2899
紫金礦業 [ツージン・マイニング]
384
交通銀行 [バンク・オブ・コミュニ
ケーションズ
サイゴン証券 [サイゴン・セキュリ
ティーズ]
11
3328
12
SSI
13
1766
中国中車
14
1299
友邦保険控股 [AIAグループ]
15
CII
ホーチミン市インフラ投資
☆終値は現地通貨 ☆騰落率は年初来
27200
26000
ベトナム
28.1%
15
ITA
2.08
ベトナム -21.7%
香港
-5.5%
タンタオ投資工業 [タンタオ・イン
6300 ベトナム -21.3%
ベストメント・アンド・インダストリアル]
(2015 年 7 月 31 日現在のデータ)
☆アジア株売買代金上位ランキングは当社取扱いのアジア株式市場(香港:、中国 B 株、上海 A 株を含む)すべてを対象としています。
(注)アイザワ中国株業種別指数(ACSI)は、アイザワ証券が独自に作成した大分類 8 区分 30 の業種別指数です。
当指数は、香港市場と中国本土の上海 B 株および深セン B 株市場から中国関連銘柄を選定し、構成銘柄の浮動
株時価総額の加重平均で算出しています。2015 年 5 月 1 日時点で選定した 342 銘柄の時価総額合計は、約 38
兆香港ドル(約 590 兆円)に上り、中国・香港両市場の約 5 割強を占めています。当指数は不定期に構成銘柄の調
整を行うことがありますのでご留意ください。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly
12
各市場の取引時間(日本時間)
日本(東証)
中国
香港
9:00~11:30
10:30~12:30
10:30~13:00
12:30~15:00
14:00~16:00
14:00~17:00
マレーシア
タイ
インドネシア
台湾
韓国
10:00~14:30
9:00~15:00
フィリピン
シンガポール
10:00~18:00
ベトナム
10:00~13:30
12:00~14:30
月~木
金
10:30~13:00
11:00~13:30
15:30~18:00
16:30~18:30
11:00~14:00
15:30~18:00
11:00~13:30
16:00~18:00
14:30~16:30
15:00~17:00
イスラエル
16:45~24:15
(現地サマータイム時)
15:45~23:15
外国株投資の主なリスクと留意点
株価・為替の変動リスク:
株式は株価の変動等により、損失が生じるおそれがあります。外国株式は、為替の変動等により、損失が生じ
るおそれがあります。
時価総額リスク:
時価総額による企業の社会的信用度、規模の把握をお勧めします。小型株は、流動性の低さ/企業の情報開示
/コーポレートガバナンス等に問題がある場合があります。また、客観的投資情報が不足しているため、投資
対象として安全なのは、情報量が豊富で、時価総額の大きな代表企業と思われます。
政策リスク:
突発的な政情変化や政策変更など、また、各国の慣習や文化などの違いにご注意ください。
会計基準変更リスク:
国や企業により会計基準が違いますので、ご注意ください。
投資家の皆様へ
■
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コンサルティングネット口座「アイザワプラス」: インターネット発注 6,480 円/コールセンター発注 12,960 円(上海 A 株・米国株・欧州株・イスラエ
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