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セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチド

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セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチド
JP 2007-523646 A 2007.8.23
(57)【 要 約 】
本発明は、セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチド、及び前記ポリペ
プチドをコードする単離された核酸に関する。本発明はまた、前記核酸を含んで成る、核
酸構造体、ベクター及び宿主細胞、及び前記ポリペプチドの生成及び使用方法にも関する
。
(2)
JP 2007-523646 A 2007.8.23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
( a ) 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と 少 な く と も 70% の 同 一 性 を 有 す る ア ミ ノ 酸 配 列
を有するポリペプチド;
( b ) ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼
805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 少 な く と
も低い緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチ
ド;及び
( c ) 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250の 1 又 は 複 数 の ア ミ ノ 酸 の 保 存 性 置 換 、 欠 失 及 び /
又は挿入を含んで成る変異体から成る群から選択された、セルロース分解増強活性を有す
10
る単離されたポリペプチド。
【請求項2】
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と 、 少 な く と も 70% の 同 一 性 を 有 す る ア ミ ノ 酸 を 有 す る
請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と 、 少 な く と も 75% の 同 一 性 を 有 す る ア ミ ノ 酸 を 有 す る
請求項2記載のポリペプチド。
【請求項4】
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と 、 少 な く と も 80% の 同 一 性 を 有 す る ア ミ ノ 酸 を 有 す る
請求項3記載のポリペプチド。
20
【請求項5】
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と 、 少 な く と も 90% の 同 一 性 を 有 す る ア ミ ノ 酸 を 有 す る
請求項4記載のポリペプチド。
【請求項6】
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と 、 少 な く と も 95% の 同 一 性 を 有 す る ア ミ ノ 酸 を 有 す る
請求項5記載のポリペプチド。
【請求項7】
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と 、 少 な く と も 97% の 同 一 性 を 有 す る ア ミ ノ 酸 を 有 す る
請求項6記載のポリペプチド。
【請求項8】
30
配列番号2のアミノ酸配列を含んで成る請求項1∼7のいずれか1項記載のポリペプチ
ド。
【請求項9】
配列番号2、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントから成る請求項1
∼8のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項10】
配列番号2から成る請求項9記載のポリペプチド。
【請求項11】
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250か ら 成 る 請 求 項 9 記 載 の ポ リ ペ プ チ ド 。
【請求項12】
40
( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805に
含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 少 な く と も 中 位
の緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる請求項1記載の
ポリペプチド。
【請求項13】
( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805に
含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 少 な く と も 中 位
の高い緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる請求項1記
載のポリペプチド。
【請求項14】
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(3)
JP 2007-523646 A 2007.8.23
( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805に
含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 少 な く と も 高 い
緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる請求項1記載のポ
リペプチド。
【請求項15】
前 記 ポ リ ペ プ チ ド が 、 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250の 1 又 は 複 数 の ア ミ ノ 酸 の 保 存 性
置 換 、 欠 失 及 び /又 は 挿 入 を 含 ん で 成 る 変 異 体 で あ る 請 求 項 1 記 載 の ポ リ ペ プ チ ド 。
【請求項16】
E. コ リ NRRL B-30704に 含 ま れ る プ ラ ス ミ ド pDZA2-7に 含 ま れ る ポ リ ヌ ク レ オ チ ド に よ り
コードされる請求項1記載のポリペプチド。
10
【請求項17】
請 求 項 1 ∼ 16の い ず れ か 1 項 記 載 の ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る ヌ ク レ オ チ ド 配 列 を 含 ん
で成る単離されたポリヌクレオチド。
【請求項18】
配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列に少なくとも1つの突然変異を有し、ここで
前 記 変 異 体 ヌ ク レ オ チ ド 配 列 が 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250か ら 成 る ポ リ ペ プ チ ド を コ
ー ド す る 請 求 項 17記 載 の 単 離 さ れ た ポ リ ヌ ク レ オ チ ド 。
【請求項19】
発現宿主におけるポリペプチドの生成を指図する1又は複数の制御配列に作用可能に結
合 さ れ る 、 請 求 項 17又 は 18記 載 の ポ リ ヌ ク レ オ チ ド を 含 ん で 成 る 核 酸 構 造 体 。
20
【請求項20】
請 求 項 18記 載 の 核 酸 構 造 体 を 含 ん で 成 る 組 換 え 発 現 ベ ク タ ー 。
【請求項21】
請 求 項 18記 載 の 核 酸 構 造 体 を 含 ん で 成 る 組 換 え 宿 主 細 胞 。
【請求項22】
請 求 項 1 ∼ 16の い ず れ か 1 項 記 載 の ポ リ ペ プ チ ド の 生 成 方 法 で あ っ て 、 ( a ) そ の 野 生
型において、前記ポリペプチドの生成の助けと成る条件下でそのポリペプチドを生成でき
る細胞を培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項23】
請 求 項 1 ∼ 16の い ず れ か 1 項 記 載 の ポ リ ペ プ チ ド の 生 成 方 法 で あ っ て 、 ( a ) 前 記 ポ リ
30
ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る核酸構造体を含んで成る宿主細胞を
、前記ポリペプチドの生成の助けと成る条件下で培養し;そして(b)前記ポリペプチド
を回収することを含んで成る方法。
【請求項24】
親 細 胞 よ り も ポ リ ペ プ チ ド を 少 な く 生 成 す る 変 異 体 を も た ら す 、 請 求 項 1 ∼ 16の い ず れ
か1項記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を破壊するか又は欠失すること
を含んで成る、親細胞の変異体の生成方法。
【請求項25】
請 求 項 24記 載 の 方 法 に よ り 生 成 さ れ る 変 異 体 細 胞 。
【請求項26】
40
生 来 の 又 は 異 種 タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 遺 伝 子 を さ ら に 含 ん で 成 る 請 求 項 24記 載 の 変 異
体。
【請求項27】
( a ) 請 求 項 26記 載 の 変 異 体 細 胞 を 、 タ ン パ ク 質 の 生 成 の 助 け と 成 る 条 件 下 で 培 養 し
;そして(b)前記タンパク質を回収することを含んで成る、タンパク質の生成方法。
【請求項28】
( a ) ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼
805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 DNA集 団 と
を、少なくとも中位の緊縮条件下でハイブリダイズし;そしてセルロース分解増強活性を
有するポリペプチドをコードする、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを単離すること
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により得られる単離されたポリヌクレオチド。
【請求項29】
( a ) ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼
805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 DNA集 団 と
を、少なくとも中位の高い緊縮条件下でハイブリダイズし;そしてセルロース分解増強活
性を有するポリペプチドをコードする、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを単離する
こ と に よ り 得 ら れ る 、 請 求 項 28記 載 の 単 離 さ れ た ポ リ ヌ ク レ オ チ ド 。
【請求項30】
( a ) ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼
805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 DNA集 団 と
10
を、少なくとも高い緊縮条件下でハイブリダイズし;そしてセルロース分解増強活性を有
するポリペプチドをコードする、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを単離することに
よ り 得 ら れ る 、 請 求 項 29記 載 の 単 離 さ れ た ポ リ ヌ ク レ オ チ ド 。
【請求項31】
変異体ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドの生成方法であって、(a)配列番
号1の成熟ポリペプチドコード配列中に少なくとも1つの突然変異を導入し、ここで前記
変 異 体 ヌ ク レ オ チ ド 配 列 は 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250か ら 成 る ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド
し;そして(b)前記変異体ヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチドを回収する
ことを含んで成る方法。
【請求項32】
20
請 求 項 31記 載 の 方 法 に よ り 生 成 さ れ る 変 異 体 ポ リ ヌ ク レ オ チ ド 。
【請求項33】
ポ リ ペ プ チ ド の 生 成 方 法 で あ っ て 、 ( a ) 前 記 ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る 請 求 項 32記 載
の変異体ポリヌクレオチドを含んで成る細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けになる条
件下で培養し、;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項34】
配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 1 ∼ 66か ら 成 る シ グ ナ ル ペ プ チ ド を コ ー ド す る ヌ ク レ オ チ ド
配列に作用可能に結合されるタンパク質をコードする、前記ヌクレオチド配列に対して外
来性の遺伝子を含んで成る核酸構造体。
【請求項35】
30
請 求 項 34記 載 の 核 酸 構 造 体 を 含 ん で 成 る 組 換 え 発 現 ベ ク タ ー 。
【請求項36】
請 求 項 34記 載 の 核 酸 構 造 体 を 含 ん で 成 る 組 換 え 宿 主 細 胞 。
【請求項37】
( a ) 請 求 項 36記 載 の 組 換 え 宿 主 細 胞 を 、 タ ン パ ク 質 の 生 成 の 助 け と 成 る 条 件 下 で 培
養し;そして(b)前記タンパク質を回収することを含んで成る、タンパク質の生成方法
。
【請求項38】
請 求 項 1 ∼ 16の い ず れ か の 1 項 記 載 の ポ リ ペ プ チ ド の 生 成 方 法 で あ っ て 、 ( a ) 本 発 明
のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んで
40
成るトランスジェニック植物又は植物細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けになる条件
下で培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項39】
請求項1記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにより形質転換されている
、トランスジェニック植物、植物部分又は植物細胞。
【請求項40】
請 求 項 1 ∼ 16の い ず れ か 1項 記 載 の セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る ポ リ ペ プ チ ド 、 セ
ルロース分解活性、及び界面活性剤を含んで成る洗剤組成物。
【請求項41】
セルロース材料を分解するか又は転換するための方法であって、前記セルロース材料を
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、 有 効 量 の セ ル ロ ー ス 分 解 タ ン パ ク 質 に よ り 、 請 求 項 1 ∼ 16の い ず れ か 1 項 記 載 の セ ル ロ
ース分解増強活性を有する、有効量のポリペプチドの存在下で処理し、ここで前記セルロ
ース分解増強活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース分解増強活性を有するポリ
ペプチドの不在に比較して、セルロース材料の分解を高める方法。
【請求項42】
前記セルロース材料が、草葉性物質、農作物残留物、山林残留物、都市のごみ、古紙、
及 び 紙 パ ル プ 工 場 残 留 物 か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 請 求 項 41記 載 の 方 法 。
【請求項43】
前 記 セ ル ロ ー ス 材 料 が ト ウ モ ロ コ シ 茎 で あ る 請 求 項 41記 載 の 方 法 。
【請求項44】
10
前記1又は複数のセルロース分解酵素が、セルラーゼ、エンドグルカナーゼ、セロビオ
ヒ ド ロ ラ ー ゼ 及 び β − グ ル コ シ ダ ー ゼ か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 請 求 項 41記 載 の 方 法 。
【請求項45】
ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、ラッカーゼ又はペルオキシダーゼから
成る群から選択された、有効量の1又は複数の酵素により、前記セルロース材料を処理す
る こ と を さ ら に 含 ん で 成 る 請 求 項 41記 載 の 方 法 。
【請求項46】
前 記 材 料 が 、 前 処 理 工 程 で あ る 請 求 項 41記 載 の 方 法 。
【請求項47】
前 記 方 法 が 、 同 時 糖 化 及 び 発 酵 工 程 ( SSF) に お け る 段 階 で あ る 請 求 項 41記 載 の 方 法 。
20
【請求項48】
前 記 方 法 が 、 ハ イ ブ リ ッ ド 加 水 分 解 及 び 発 酵 工 程 ( HHF) に お け る 段 階 で あ る 請 求 項 41
記載の方法。
【請求項49】
分 解 さ れ た セ ル ロ ー ス 材 料 を 回 収 す る こ と を さ ら に 含 ん で 成 る 請 求 項 41記 載 の 方 法 。
【請求項50】
前 記 分 解 さ れ た セ ル ロ ー ス 材 料 が 、 糖 で あ る 請 求 項 49記 載 の 方 法 。
【請求項51】
前記糖が、グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース及びアラビノースから
成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 請 求 項 50記 載 の 方 法 。
30
【請求項52】
前 記 セ ル ロ ー ス 分 解 タ ン パ ク 質 及 び /又 は 前 記 セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る ポ リ ペ
プ チ ド が 、 細 胞 を 含 む か 又 は 含 ま な い 発 酵 ブ イ ヨ ン の 形 で 存 在 す る 請 求 項 41記 載 の 方 法 。
【請求項53】
(a)セルロース材料を、有効量のセルロース分解タンパク質により、請求項8記載の
セルロース分解増強活性を有する、有効量のポリペプチドの存在下で糖化し、ここで前記
セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース分解増強活性を有す
るポリペプチドの不在に比較して、セルロース材料の分解を高め;
(b)段階(a)の糖化されたセルロース材料を、1又は複数の発酵微生物と共に発酵
し;そして
40
(c)前記酵素から有機物質を回収することを含んで成る、有機物質の生成方法。
【請求項54】
前記セルロース材料が、草葉性物質、農作物残留物、山林残留物、都市のごみ、古紙、
及 び 紙 パ ル プ 工 場 残 留 物 か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 請 求 項 53記 載 の 方 法 。
【請求項55】
前 記 セ ル ロ ー ス 材 料 が ト ウ モ ロ コ シ 茎 で あ る 請 求 項 53記 載 の 方 法 。
【請求項56】
前記1又は複数のセルロース分解酵素が、セルラーゼ、エンドグルカナーゼ、セロビオ
ヒ ド ロ ラ ー ゼ 及 び β − グ ル コ シ ダ ー ゼ か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 請 求 項 53記 載 の 方 法 。
【請求項57】
50
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ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、ラッカーゼ又はペルオキシダーゼから
成る群から選択された、有効量の1又は複数の酵素により、前記セルロース材料を処理す
る こ と を さ ら に 含 ん で 成 る 請 求 項 53記 載 の 方 法 。
【請求項58】
前記エステラーゼが、リパーゼ、ホスホリパーゼ、クチナーゼ又はそれらの混合物であ
る 請 求 項 57記 載 の 方 法 。
【請求項59】
前 記 段 階 ( a ) 及 び ( b ) が 、 同 時 糖 化 及 び 発 酵 に お い て 同 時 に 行 わ れ る 請 求 項 53記 載
の方法。
【請求項60】
10
前 記 有 機 物 質 が 、 ア ル コ ー ル 、 有 機 酸 、 ケ ト ン 、 ア ミ ノ 酸 又 は ガ ス で あ る 請 求 項 53記 載
の方法。
【請求項61】
前記アルコールが、アラビニトール、ブタノール、エタノール、グリセロール、メタノ
ー ル 、 1 , 3 − プ ロ パ ン ジ オ ー ル 、 ソ ル ビ ト ー ル 又 は キ シ リ ト ー ル で あ る 請 求 項 60記 載 の
方法。
【請求項62】
前 記 有 機 酸 が 、 酢 酸 、 ア セ ト ン 酸 、 ア ジ ピ ン 酸 、 ア ス コ ル ビ ン 酸 、 ク エ ン 酸 、 2 ,5 −
ジ ケ ト − D− グ ル コ ン 酸 、 ギ 酸 、 フ マ ル 酸 、 グ ル カ ル 酸 、 グ ル コ ン 酸 、 グ ル ク ロ ン 酸 、 グ
ル タ ル 酸 、 3-ヒ ド ロ キ シ プ ロ ピ オ ン 酸 、 イ タ コ ン 酸 、 乳 酸 、 リ ン ゴ 酸 、 マ ロ ン 酸 、 蓚 酸 、
20
プ ロ ピ オ ン 酸 、 蟻 酸 、 又 は キ シ ロ ン 酸 で あ る 請 求 項 60記 載 の 方 法 。
【請求項63】
前 記 ケ ト ン が 、 ア セ ト ン で あ る 請 求 項 60記 載 の 方 法 。
【請求項64】
前記アミノ酸が、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、リシン、セリン又はトレ
オ ニ ン で あ る 請 求 項 60記 載 の 方 法 。
【請求項65】
前 記 ガ ス が 、 メ タ ン 、 水 素 、 二 酸 化 炭 素 、 又 は 一 酸 化 水 素 で あ る 請 求 項 60記 載 の 方 法 。
【請求項66】
前 記 セ ル ロ ー ス 分 解 タ ン パ ク 質 、 及 び /又 は セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る ポ リ ペ プ
30
チ ド が 、 細 胞 を 有 す る か 又 は 有 さ な い 発 酵 ブ イ ヨ ン の 形 で 存 在 す る 請 求 項 53記 載 の 方 法 。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチド、及び前記ポリペ
プチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、前記ポリヌク
レオチドを含んで成る、核酸構造体、ベクター及び宿主細胞、及び前記ポリペプチドの生
成及び使用方法にも関する。
【背景技術】
40
【0002】
関連技術の記載:
セルロースは、β−1,4−結合により共有結合される単純糖グルコースのポリマーで
ある。多くの微生物は、β−結合されたグルカンを加水分解する酵素を生成する。それら
の酵素は、エンドグルカナーゼ、セロビオビドロラーゼ、及びβ−グルコシダーゼを包含
する。エンドグルカナーゼは、セルロースポリマーをランダム位置で消化し、それを、セ
ロビオヒドロラーゼによる攻撃に開放する。セロビオヒドロラーゼは、セルロースポリマ
ーの末端からセロビオースの分子を連続的に開放する。セロビオースは、グルコースの水
溶性β−1,4−結合されたダイマーである。β−グルコシダーゼは、セロビオースをグ
ルコースに加水分解する。
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【0003】
セルロース供給原料のエタノールへの転換は、多量の供給原料の容易な利用性、材料の
燃焼又は陸地充填の回避の所望性、及びエタノール燃料の清浄性の利点を有する。木材、
農作物残留物、草葉収穫物及び都市のごみは、エタノール生成のための供給原料としてみ
なされて来た。それらの材料は主に、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンから成る
。セルロースがグルコースに転換されるとすぐに、グルコースは、酵母によりエタノール
に容易に発酵される。
【0004】
セルロース性供給原料の転換性を改良することは、当業界において好都合である。
セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチド、及び前記ポリペプチドをコ
10
ードする単離された核酸配列を、セルロース性供給原料の転換性を改良するために供給す
ることが、本発明の目的である。
【発明の開示】
【0005】
発明の要約:
本発明は、
( a ) 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と 少 な く と も 70% の 同 一 性 を 有 す る ア ミ ノ 酸 配 列
を有するポリペプチド;
( b ) ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼
805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 少 な く と
20
も中位の緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされるポリペプチド;及
び
( c ) 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250の 1 又 は 複 数 の ア ミ ノ 酸 の 保 存 性 置 換 、 欠 失 及 び /
又は挿入を含んで成る変異体から成る群から選択された、セルロース分解増強活性を有す
る単離されたポリペプチドに関する。
【0006】
本発明はまた、
( a ) 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と 少 な く と も 70% の 同 一 性 を 有 す る ア ミ ノ 酸 配 列
を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
( b ) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805と 少 な く と も 70% の 同 一 性 を 有 す る ポ リ ヌ ク
30
レオチド;及び
( c ) ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼
805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 少 な く と
も中位の緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドから成る群から選択された、
セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド
にも関する。
【0007】
本発明はまた、前記ポリヌクレオチドを含んで成る、核酸構造体、組換え発現ベクター
、及び組換え宿主細胞にも関する。
本発明はまた、(a)セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードするポリ
40
ヌクレオチドを含んで成る核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞を、前記ポリペプチド
の生成の助けと成る条件下で培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含
んで成る方法にも関する。
【0008】
本 発 明 は ま た 、 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 1 ∼ 66か ら 成 る シ グ ナ ル ペ プ チ ド を コ ー ド す
るヌクレオチド配列に作用可能に結合されるタンパク質をコードする、前記ヌクレオチド
配列に対して外来性の遺伝子を含んで成る核酸構造体にも関する。
本発明はまた、セルロース材料を分解するか又は転換するための方法にも関し、ここで
前記セルロース材料を、有効量のセルロース分解タンパク質により、セルロース分解増強
活性を有する、有効量のポリペプチドの存在下で処理し、ここで前記セルロース分解増強
50
(8)
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活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの不
在に比較して、セルロース材料の分解を高める。
【0009】
本発明はさらに、
(a)セルロース材料を、有効量のセルロース分解タンパク質により、セルロース分解
増強活性を有する、有効量のポリペプチドの存在下で糖化し、ここで前記セルロース分解
増強活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース分解増強活性を有するポリペプチド
の不在に比較して、セルロース材料の分解を高め;
(b)段階(a)の糖化されたセルロース材料を、1又は複数の発酵微生物と共に発酵
し;そして
10
(c)前記酵素から有機物質を回収することを含んで成る、有機物質の生成方法にも関
する。
【0010】
定義:
セルロース分解増強活性:この用語“セルロース分解増強活性”とは、セルロース分解
活性を有するタンパク質による、セルロース材料の加水分解を増強する生物学的活性とし
て、本明細書において定義され得る。本発明のためには、セルロース分解増強活性は、セ
ルロース分解増強活性を有さない等しい合計タンパク質負荷による対照加水分解に比較し
て ( 5.01∼ 7.5mgの セ ル ロ ー ス 分 解 タ ン パ ク 質 /PCS中 、 1gの セ ル ロ ー ス ) 、 次 の 条 件 下 で
セルロース分解タンパク質によるセルロース材料の加水分解からの還元糖の上昇を測定す
20
る こ と に よ り 決 定 さ れ る : PCS中 、 1gの セ ル ロ ー ス 当 た り 0.01∼ 2.5mgの セ ル ロ ー ス 分 解
増 強 活 性 の 存 在 又 は 不 在 下 で の 、 50℃ で 5 ∼ 7 日 間 の 、 PCS中 、 1gの セ ル ロ ー ス 当 た り 5.0
mgの セ ル ロ ー ス 分 解 タ ン パ ク 質 。 好 ま し い 態 様 に お い て は 、 こ の 後 、 Tr/AoBGと 呼 ば れ 、
そ し て Novozymes A/S, Bagsvoerd, Denmarkか ら 得 ら れ た 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ ( W
O02/095014) 号 か ら の β − グ ル コ シ ダ ー ゼ を 発 現 す る ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ の 発 酵 に 由 来
する、セルラーゼタンパク質負荷のセルラーゼ調製物が、セルロース分解活性の源として
使用される。
【0011】
本 発 明 の ポ リ ペ プ チ ド は 、 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と し て 示 さ れ る ア ミ ノ 酸 配 列
か ら 成 る ポ リ ペ プ チ ド の セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 の 少 な く と も 20% 、 好 ま し く は 少 な く と
30
も 40% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 50% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 60% 、 よ り 好 ま し く
は 少 な く と も 70% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 80% 、 さ ら に よ り 好 ま し く は 少 な く と も 90
% 、 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 95% 、 及 び さ ら に 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 100% を 有 す
る。
【0012】
セルロース材料:用語“セルロース材料とは、セルロースを含むいずれかの材料として
本明細書において定義される。セルロースは一般的に、植物の茎、葉、外皮、皮及び穂軸
、又は木の葉、枝及び木部に見出される。セルロース材料はまた、草葉性物質、農作物残
留物、山林残留物、都市のごみ、古紙、及び紙パルプ工場残留物であり得るが、但しそれ
らだけには限定されない。セルロースは、リグノセルロース、すなわちリグニン、セルロ
40
ース及びヘミセルロースを混合されたマトリックスに含む植物細胞壁材料の形で存在する
ことができることが本明細書において理解される。
【0013】
好ましい観点においては、セルロース材料は、トウモロコシの茎である。もう1つの好
ましい観点においては、セルロース材料は、トウモロコシ繊維である。もう1つの好まし
い観点においては、セルロース材料はイネのわらである。もう1つの好ましい観点におい
ては、セルロース材料は、紙及びパルプ処理廃棄物である。もう1つの好ましい観点にお
いては、セルロース材料は、木質又は草葉性植物である。もう1つの好ましい観点におい
ては、セルロース材料はバガスである。
【0014】
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セルロース材料は、そのまま使用され得るか、又は当業界において知られている従来の
方法を用いて、前処理にゆだねられ得る。例えば、物理的前処理技法は、種々のタイプの
微粉砕、照射、蒸気爆発、及び熱水分解を包含し;化学的前処理技法は、希酸、アルカリ
、 有 機 溶 液 、 ア ン モ ニ ア 、 二 酸 化 硫 黄 、 二 酸 化 炭 素 及 び pH− 調 節 さ れ た 熱 水 分 解 を 包 含 し
;そして生物学的前処理技法は、リグニン溶液性微生物の適用を包含することができる(
例 え ば 、 Hsu, T. -A., 1996, Pretreatment of biomass, in Handbook on Bioethanol :
Production and Utilization, Wyman, C. E. , ed., Taylor & Francis, Washington, DC
, 179-212; Ghosh, P. , and Singh, A. , 1993, Physicochemical and biological trea
tments for enzymatic/microbial conversion of lignocellulosic biomass, Adv. Appl.
Microbiol. 39: 295-333; McMillan, J. D. , 1994, Pretreating lignocellulosic bio
10
mass: a review, in Enzymatic Conversion of Biomass for Fuels Production, Himmel,
M. E. , Baker, J. O., and Overend, R. P. , eds. , ACS Symposium Series 566, Ame
rican Chemical Society, Washington, DC, chapter 15; Gong, C. S. , Cao, N. J. , D
u, J. , and Tsao, G. T. , 1999, Ethanol production from renewable resources, in
Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology, Scheper, T. , ed., Springer-V
erlag Berlin Heidelberg, Germany, 65: 207-241; Olsson, L., and Hahn-Hagerdal, B.
, 1996, Fermentation of lignocellulosic hydrolysates for ethanol production, En
z. Microb. Tech. 18: 312-331; 及 び Vallander, L. , and Eriksson, K.-E. L. , 1990
, Production of ethanol from lignocellulosic materials : State of the art, Adv.
Biochem. Eng. lBiotechnol. 42: 63-95を 参 照 の こ と ) 。
20
【0015】
セルロース分解活性:用語“セルロース分解活性”とは、セルロース材料を加水分解す
る生物学的活性として本明細書においては定義される。本発明のためには、セルロース分
解活性は、セルロース分解タンパク質の添加を伴わないでの対照の加水分解に比較して、
次の条件下でセルロース分解混合物によるセルロース材料の加水分解の上昇を測定するこ
と に よ り 決 定 さ れ る : 50℃ で 5 ∼ 7 日 間 、 PCSに お け る gセ ル ロ ー ス 当 た り 1 ∼ 10mgの セ ル
ロ ー ス 分 解 タ ン パ ク 質 。 好 ま し い 態 様 に お い て は 、 こ の 後 、 Tr/AoBGと 呼 ば れ 、 そ し て Nov
ozymes A/S, Bagsvoerd, Denmarkか ら 得 ら れ た 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ ( WO02/09501
4) 号 か ら の β − グ ル コ シ ダ ー ゼ を 発 現 す る ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ の 発 酵 に 由 来 す る 、 セ
ルラーゼタンパク質負荷のセルラーゼ調製物が、セルロース分解活性の源として使用され
30
る。
【0016】
前 処 理 さ れ た ト ウ モ ロ コ シ の 茎 : 用 語 “ 前 処 理 さ れ た ト ウ モ ロ コ シ の 茎 ” 又 は “ PGS”
とは、熱及び希酸による処理によりトウモロコシの茎に由来するセルロース材料として本
明 細 書 に お い て 定 義 さ れ る 。 本 発 明 の た め に は 、 PCSは 、 例 9 に 記 載 さ れ る 方 法 、 又 は 時
間、温度及び酸の量におけるその変法により製造される。
【0017】
フ ァ ミ リ ー 61グ ル コ シ ド ヒ ド ロ ラ ー ゼ : 用 語 “ フ ァ ミ リ ー 61グ リ コ シ ド ヒ ド ロ ラ ー ゼ ”
又 は “ フ ァ ミ リ ー GH61” と は 、 B. Henrissat, 1991, A classification of glycosyl hyd
rolases based on amino-acid sequence similarities, Biochem. J. 280: 309-316, 及
40
び Henrissat B. , and Bairoch A. , 1996, Updating the sequence-based classificat
ion of glycosyl hydrolases, Biochem, J. 316: 695-696に 従 っ て 、 グ ル コ シ ド ヒ ド ロ ラ
ー ゼ フ ァ ミ リ ー 61に 分 類 さ れ る ポ リ ペ プ チ ド と し て 本 明 細 書 に お い て 定 義 さ れ る 。 現 在 、
Henrissatは 、 分 類 さ れ て い な い よ う な GH61フ ァ ミ リ ー を 列 挙 し 、 性 質 、 例 え ば 機 構 、 触
媒 求 核 試 薬 /塩 基 触 媒 性 プ ロ ト ン ド ナ ー 、 及 び 3 − D構 造 が 、 こ の フ ァ ミ リ ー に 属 す る ポ リ
ペプチドについて知られていないことを示唆する。
【0018】
単離されたポリペプチド:用語“単離されたポリペプチド”とは、本明細書において使
用 さ れ る 場 合 、 SDS− PAGEに よ り 測 定 さ れ る 場 合 、 少 な く と も 20% 純 粋 、 好 ま し く は 少 な
く と も 40% 純 粋 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 60% 純 粋 、 さ ら に よ り 好 ま し く は 少 な く と も
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80% 純 粋 、 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 90% 純 粋 、 及 び さ ら に 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 95
%純粋であるポリペプチドを言及する。
【0019】
実質的に純粋なポリペプチド:本明細書においては、用語“実質的に純粋なポリペプチ
ド ” と は 、 多 く て も 10重 量 % 、 多 く て も 8 重 量 % 、 多 く て も 6 重 量 % 、 多 く て も 5 重 量 %
、多くても4重量%、多くても3重量%、多くても2重量%、多くても1重量%及び多く
て も 0.5重 量 % の 天 然 に 関 連 す る 他 の ポ リ ペ プ チ ド 材 料 を 含 む ポ リ ペ プ チ ド 調 製 物 を 意 味
する。従って、実質的に純粋なポリペプチドは、調製物に存在する合計のポリペプチド材
料 の 少 な く と も 92% 純 粋 、 好 ま し く は 少 な く と も 94% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 95% 、
よ り 好 ま し く は 少 な く と も 96% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 97% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く
10
と も 98% 、 さ ら に よ り 好 ま し く は 少 な く と も 99% 、 最 も よ り 好 ま し く は 少 な く と も 99.5%
、 及 び さ ら に 最 も 好 ま し く は 100% 純 粋 で あ る こ と が 好 ま し い 。
【0020】
本発明のポリペプチドは、好ましくは、実質的に純粋な形で存在する。特に、好ましく
は、前記ポリペプチドは“実質的に純粋な形”で存在し、すなわちポリペプチド調製物は
、それが天然において関連する他のポリペプチド材料を実質的に有さない。これは、例え
ば、良く知られている組換え方法により、又は従来の精製方法により前記ポリペプチドを
調製することにより達成され得る。
ここで、用語“実質的に純粋なポリペプチド”は、用語“単離されたポリペプチド”及
び“単離された形のポリペプチド”と類似語である。
20
【0021】
同一性:2種のアミノ酸配列又は2種のヌクレオチド配列間の関連性が、パラメーター
“同一性”により記載される。
本 発 明 の た め に は 、 2 種 の ア ミ ノ 酸 配 列 間 の 同 一 性 の 程 度 は 、 Paracel BioView Workbe
nch ソ フ ト ウ エ ア ー (Paracel, Pasadena, CA)及 び blosum62を 用 い て 、 blastpア ル ゴ リ ズ
ム ( Higgins, 1989, CABIOS 5: 151- 153) に よ り 決 定 さ れ 得 る 。 ギ ャ ッ プ ペ ナ ル テ ィ ー
、 存 在 : 11及 び 延 長 : 1 が 、 対 様 ア リ グ メ ン ト パ ラ メ ー タ ー と し て 使 用 さ れ た 。
【0022】
本 発 明 の た め に は 、 2 種 の ヌ ク レ オ チ ド 配 列 間 の 同 一 性 の 程 度 は 、 LASERGENE
T M
MEGALI
GNT ソ フ ト ウ エ ア ー (DNASTAR, Inc., Madison, WI)、 及 び 同 一 性 の 表 及 び 次 の 複 数 の ア
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リ グ メ ン ト パ ラ メ ー タ ー を 用 い て 、 Wilbur-Lipman 法 (Wilbur and Lipman, 1983, Procee
dings of the National Academy of Science USA 80: 726-730)に よ り 決 定 さ れ た : 10の
ギ ャ ッ プ ペ ナ ル テ ィ ー 及 び 10の ギ ャ ッ プ 長 ペ ナ ル テ ィ ー 。 対 様 ア リ グ メ ン ト パ ラ メ ー タ ー
は 、 Ktuple= 3 、 ギ ャ ッ プ ペ ナ ル テ ィ = 3 及 び 窓 = 20で あ る 。
【0023】
ポリペプチドフラグメント:用語“ポリペプチドフラグメント”とは、配列番号2のア
ミ ノ 酸 23∼ 250の ア ミ ノ 及 び /又 は カ ル ボ キ シ ル 末 端 か ら 欠 失 さ れ た 1 又 は 複 数 の ア ミ ノ 酸
を有するポリペプチド又はその相同配列として、本明細粗において定義され、ここで前記
フラグメントは、セルロース分解増強活性を有する。好ましくは、配列番号2のアミノ酸
23∼ 250の フ ラ グ メ ン ト は 、 少 な く と も 175個 の ア ミ ノ 酸 残 基 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も
40
190個 の ア ミ ノ 酸 残 基 、 及 び 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 205個 の ア ミ ノ 酸 残 基 を 含 む 。
【0024】
副 配 列 : 用 語 “ 副 配 列 ” (Subsequence)と は 、 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805の 5’
及 び /又 は 3’ 末 端 か ら 欠 失 さ れ た 1 又 は 複 数 の ヌ ク レ オ チ ド を 有 す る ヌ ク レ オ チ ド 配 列 、
又はその相同配列として定義され、ここで前記副配列は、セルロース分解増強活性を有す
る ポ リ ペ プ チ ド フ ラ グ メ ン ト を コ ー ド す る 。 好 ま し く は 、 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼
805の 副 配 列 は 、 少 な く と も 525個 の ヌ ク レ オ チ ド 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 570個 の ヌ
ク レ オ チ ド 、 及 び 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 615個 の ヌ ク レ オ チ ド を 含 む 。
【0025】
対立遺伝子変異体:用語“対立遺伝子変異体”とは、同じ染色体遺伝子座を支配する遺
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伝子の複数の形のいずれかを、本明細書において示す。対立遺伝子変異は、突然変異を通
して天然において発生し、そして集団内で多形現象をもたらすことができる。遺伝子突然
変異はサイレントであり得るか(コードされるポリペプチドに変化はない)、又は変更さ
れたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。ポリペプチドの対立
遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされるポリペプチドである。
【0026】
単離されたポリヌクレオチド:用語“単離されたポリヌクレオチド”とは、本明細書に
お い て 使 用 さ れ る 場 合 、 ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 に よ り 決 定 さ れ る 場 合 、 少 な く と も 20%
純 粋 、 好 ま し く は 少 な く と も 40% 純 粋 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 60% 純 粋 、 さ ら に よ り
好 ま し く は 少 な く と も 80% 純 粋 、 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 90% 純 粋 、 及 び さ ら に 最 も 好
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ま し く は 少 な く と も 95% 純 粋 で あ る ポ リ ヌ ク レ オ チ ド を 言 及 す る 。
【0027】
実質的に純粋なポリヌクレオチド:用語“実質的に純粋なポリヌクレオチド”とは、本
明細書において使用される場合、他の外来の又は所望しないコード配列を有さない、及び
遺伝子的に構築されたタンパク質生成システム内での使用のために適切な形でのポリヌク
レ オ チ ド 調 製 物 を 言 及 す る 。 従 っ て 、 実 質 的 に 純 粋 な ポ リ ヌ ク レ オ チ ド は 、 多 く て も 10重
量%、好ましくは多くても8重量%、より好ましくは多くても6重量%、より好ましくは
多くても5重量%、より好ましくは多くても4重量%、より好ましくは多くても3重量%
、さらにより好ましくは多くても2重量%、最も好ましくは多くても1重量%及びさらの
最 も 好 ま し く は 多 く て も 0.5重 量 % の 天 然 に お い て 関 連 す る 他 の ポ リ ヌ ク レ オ チ ド 材 料 を
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含む。
【0028】
し か し な が ら 、 実 質 的 に 純 粋 な ポ リ ヌ ク レ オ チ ド は 、 天 然 に 存 在 す る 5’ 及 び 3’ 末 翻 訳
領域、例えばプロモーター及びターミネーターを含むことができる。実質的に純粋なポリ
ヌ ク レ オ チ ド は 少 な く と も 90% 純 粋 、 好 ま し く は 少 な く と も 92% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く
と も 94% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 95% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 96% 、 よ り 好 ま し
く は 少 な く と も 97% 、 さ ら に よ り 好 ま し く は 少 な く と も 98% 、 最 も 好 ま し く は 少 な く と も
99% 及 び さ ら に 最 も 好 ま し く は 多 く て も 99.5% 純 粋 で あ る こ と が 好 ま し い 。
【0029】
本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは、実質的に純粋な形で存在する。特に、好ま
30
しくは、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは“実質的に純粋な形”で存在し、すな
わちポリヌクレオチド調製物は、それが天然において関連する他のポリヌクレオチド材料
を実質的に有さない。ここで、用語“実質的に純粋なポリヌクレオチド”は、用語“単離
されたポリヌクレオチド”及び“単離された形のポリヌクレオチド”と類似語である。ポ
リ ヌ ク レ オ チ ド は 、 ゲ ノ ム cDNA, RNA, 半 合 成 、 合 成 起 源 、 又 は そ れ ら の い ず れ か の 組 合
せのものであり得る。
【0030】
cDNA: 用 語 “ cDNA” と は 、 真 核 細 胞 か ら 得 ら れ る 、 成 熟 し た 、 ス プ ラ イ シ ン グ さ れ た mR
NA分 子 か ら 逆 転 写 に よ り 調 製 さ れ 得 る DNA分 子 を 包 含 す る 。 cDNAは 、 そ の 対 応 す る ゲ ノ ム D
NAに 通 常 存 在 す る イ ン ト ロ ン 配 列 を 欠 い て い る 。 初 期 一 次 RNA転 写 体 は 、 mRNAに 対 す る 前
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駆 体 で あ り 、 そ し て そ れ は 、 成 熟 し た 、 ス プ ラ イ シ ン グ さ れ た mRNAと し て 出 現 す る 前 、 一
連の段階を通してプロセッシングされる。それらの段階は、スプライシングと呼ばれる工
程 に よ る イ ン ト ロ ン 配 列 の 除 去 を 包 含 す る 。 従 っ て 、 mRNAに 由 来 す る cDNAは 、 い ず れ の イ
ントロン配列も欠いている。
【0031】
核酸構造体:本明細書において使用される場合、用語“核酸構造体”とは、天然に存在
する遺伝子から単離されるか、又はさもなければ、天然において存在しない態様で核酸の
セグメントを含むよう修飾された、一本鎖又は二本鎖核酸分子を意味する。用語、核酸構
造体は、核酸構造体が本発明のコード配列の発現のために必要とされる制御配列を含む場
合、用語“発現カセット”と類似語である。
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【0032】
制御配列:用語“制御配列”とは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドの発現のために必要であるか、又はそのために好都合であるすべての成分を包含するよ
う定義される。個々の制御配列は、前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対
して生来であっても又は外来性であっても良く、又はお互いに対して生来であっても又は
外来性であっても良い。そのような制御配列は、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペ
プチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネーターを包含する
が、但しそれらだけには限定されない。最少で、制御配列は、プロモーター、及び転写及
び翻訳停止シグナルを包含する。制御配列は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレ
オチド配列のコード領域と制御配列との連結を促進する特定の制限部位を導入するために
10
リンカーを提供され得る。
【0033】
作用可能に結合された:用語“作用可能に結合された”とは、本明細書においては、制
御配列が、ポリペプチドのコード配列の発現を方向づけるよう、ポリヌクレオチド配列の
コード配列に対する適切な位置に配置される形状として定義される。
コード配列:本明細書において使用される場合、用語“コード配列”とは、そのタンパ
ク質生成物のアミノ酸配列を直接的に特定するヌクレオチド配列を包含する。コード配列
の 境 界 は 一 般 的 に 、 ATG開 始 コ ド ン 、 又 は 他 の 開 始 コ ド ン 、 例 え ば GTG及 び TTGに よ り 通 常
、 開 始 し 、 そ し て TAA、 TAG及 び TGAに よ り 終 結 す る 読 み 取 り 枠 に よ り 決 定 さ れ る 。 コ ー ド
配 列 は 、 DNA、 cDNA及 び 組 換 え ヌ ク レ オ チ ド を 包 含 す る 。
20
【0034】
発現:本発明においては、用語“発現”とは、ポリペプチドの生成に包含されるいずれ
かの段階、例えば転写、後−転写修飾、翻訳、後−翻訳修飾、及び分泌を包含するが、但
しそれらだけには限定されない。
発現ベクター:本発明においては、用語“発現ベクター”とは、本発明のポリペプチド
をコードするポリヌクレオチドを含んで成り、そしてその発現を提供する追加のヌクレオ
チ ド に 作 用 可 能 に 結 合 さ れ る 、 線 状 又 は 環 状 の DNA分 子 を 包 含 す る 。
【0035】
宿主細胞:用語“宿主細胞”とは、本明細書において使用される場合、本発明のポリヌ
クレオチドを含んで成る核酸構造体又は発現ベクターによる形質転換、トランスフェクシ
30
ョン、トランスダクション、及び同様のものに対して敏感であるいずれかの細胞系を包含
する。
修 飾 : 用 語 “ 修 飾 ” と は 、 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250を 含 ん で 成 る か 、 又 は そ れ ら
から成るポリペプチド、又はそれらの相同配列のいずれかの化学的修飾、及び前記ポリペ
プ チ ド を コ ー ド す る DNAの 遺 伝 子 操 作 を 、 本 明 細 書 に お い て は 意 味 す る 。 修 飾 は 、 1 又 は
複 数 の ア ミ ノ 酸 の 置 換 、 欠 失 及 び /又 は 挿 入 、 及 び 1 又 は 複 数 の ア ミ ノ 酸 側 鎖 の 置 換 で あ
り得る。
【0036】
人工変異体:本明細書において使用される場合、用語“人工多遺伝子”とは、配列番号
1の修飾されたヌクレオチド配列、又はその相同配列、又はその成熟コード領域を発現す
40
る生物により生成されるセルロース分解増強活性を有するポリペプチドを意味する。修飾
されたヌクレオチド配列は、配列番号1で開示されるヌクレオチド配列、又はその相同配
列、又はその成熟コード領域の修飾により、ヒト介在を通して得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
発明の特定の記載:
セルロース分解増強活性を有するポリペプチド:
第1の観点においては、本発明は、配列番号2(すなわち、成熟ポリペプチド)のアミ
ノ 酸 23∼ 250に 対 し て 、 少 な く と も 70% 、 好 ま し く は 少 な く と も 75% 、 よ り 好 ま し く は 少
な く と も 80% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 85% 、 さ ら に 好 ま し く は 少 な く と も 90% 、 最 も
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好 ま し く は 少 な く と も 95% 、 及 び さ ら に 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 97% 、 98% 又 は 99% の
程度を有するアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチド(セルロース分解増強活性を
有する)(この後、“相同ポリペプチドと称する)に関する。好ましい観点においては、
相 同 ポ リ ペ プ チ ド は 、 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と は 、 10個 ま で の ア ミ ノ 酸 、 好 ま し
くは5個までのアミノ酸、より好ましくは4個までのアミノ酸、さらにより好ましくは3
個までのアミノ酸、最も好ましくは2個までのアミノ酸、及びさらに最も好ましくは1個
までのアミノ酸で異なるアミノ酸配列を有する。
【0038】
本発明のポリペプチドは好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列又はその対立遺伝子変
異体;又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントを含んで成る。好ましい観
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点においては、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成る。もう1つの好
ま し い 観 点 に お い て は 、 ポ リ ペ プ チ ド は 、 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250、 又 は そ の 対 立
遺伝子変異体;又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントを含んで成る。も
う 1 つ の 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 ポ リ ペ プ チ ド は 、 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250を 含
んで成る。
【0039】
も う 1つ の 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 ポ リ ペ プ チ ド に は 、 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 配 列 又
はその対立遺伝子変異体;又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントから成
る。もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸から成
る 。 も う 1 つ の 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 ポ リ ペ プ チ ド は 、 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 25
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0、 又 は そ の 対 立 遺 伝 子 変 異 体 ; 又 は セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る そ の フ ラ グ メ ン ト
から成る。もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸
23∼ 250か ら 成 る 。
【0040】
第 2 の 観 点 に お い て は 、 本 発 明 は 、 ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配
列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii)
の 副 配 列 、 又 は ( iv) 前 記 ( i) 、 ( ii) ( iii) の 相 補 的 鎖 と 、 非 常 に 低 い 緊 縮 条 件 下 で
、好ましくは低い緊縮条件下で、より好ましくは中位の緊縮条件下で、より好ましくは中
位の高い緊縮条件下で、さらにより好ましくは高い緊縮条件下で、及び最も好ましくは非
常に高い緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、セルロ
30
ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る 単 離 さ れ た ポ リ ペ プ チ ド に 関 す る ( J. Sambrook, E. F. Frits
ch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d edition, C
old Spring Harbor, New York) 。 配 列 番 号 1 の 副 配 列 は 、 少 な く と も 100個 の 連 続 し た ヌ
ク レ オ チ ド 、 又 は 好 ま し く は 少 な く と も 200個 の 連 続 し た ヌ ク レ オ チ ド を 含 む 。 さ ら に 、
副配列は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドフラグメントをコードすること
ができる。
【0041】
配列番号1のヌクレオチド配列又はその副配列、及び配列番号2のアミノ酸配列又はそ
のフラグメントは、当業界において良く知られている方法に従って、異なった属又は種の
株 か ら の セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る DNAを 同 定 し 、 そ し
40
てクローン化するための核酸プローブを企画するために使用され得る。特に、そのような
プローブは、そこにおける対応する遺伝子を同定し、そして単離するために、標準のサザ
ン ブ ロ ッ ト 方 法 に 従 っ て 、 興 味 あ る 属 又 は 種 の ゲ ノ ム 又 は cDNAと の ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ
ンのために使用され得る。そのようなプローブは、完全な配列よりも相当に短いが、しか
し 少 な く と も 14個 、 好 ま し く は 少 な く と も 25個 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 35個 、 及 び 最
も 好 ま し く は 少 な く と も 70個 の 長 さ の ヌ ク レ オ チ ド で あ る べ き で あ る 。
【0042】
し か し な が ら 、 好 ま し く は 、 核 酸 プ ロ ー ブ は 少 な く と も 100個 の 長 さ の ヌ ク レ オ チ ド で
あ る 。 例 え ば 、 核 酸 プ ロ ー ブ は 、 少 な く と も 200個 、 好 ま し く は 少 な く と も 300個 、 よ り 好
ま し く は 少 な く と も 400個 、 又 は 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 500個 の 長 さ の ヌ ク レ オ チ ド で
50
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あ り 得 る 。 さ ら に 長 い プ ロ ー ブ 、 例 え ば 少 な く と も 550個 、 好 ま し く は 少 な く と も 600個 、
よ り 好 ま し く は 少 な く と も 650個 、 又 は 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 700個 の 長 さ の ヌ ク レ オ
チ ド で あ る 核 酸 プ ロ ー ブ が 使 用 さ れ 得 る 。 DNA及 び RNAの 両 プ ロ ー ブ が 使 用 さ れ 得 る 。 プ ロ
ーブは典型的には、対応する遺伝子を検出するためにラベルされる(たとえば、
3 5
3 2
P,
3
H,
S, ビ オ チ ン 、 ア ビ ジ ン 、 フ ル オ レ セ イ ン 又 は ジ ゴ キ シ ゲ ニ ン に よ り ) 。 そ の よ う な プ
ローブは、本発明により包含される。
【0043】
従 っ て 、 そ の よ う な 他 の 生 物 か ら 調 製 さ れ た ゲ ノ ム DNA又 は cDNAラ イ ブ ラ リ ー は 、 本 明
細書に記載されるプローブとハイブリダイズし、そしてセルロース分解増強活性を有する
ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る DNAに つ い て ス ク リ ー ン さ れ 得 る 。 そ の よ う な 生 物 か ら の ゲ ノ
10
ム 又 は 他 の DNAは 、 ア ガ ロ ー ス 又 は ポ リ ア ク リ ル ア ミ ド ゲ ル 電 気 泳 動 、 又 は 他 の 分 離 技 法
に よ り 分 離 さ れ 得 る 。 ラ イ ブ ラ リ ー か ら の DNA又 は 分 離 さ れ た DNAが 、 ニ ト ロ セ ル ロ ー ス 又
は他の適切なキャリヤー材料に移行され、そしてその上に固定され得る。配列番号1と相
同 で あ る ク ロ ー ン 又 は DNA、 又 は そ の 副 配 列 を 同 定 す る た め に は 、 キ ャ リ ヤ ー 材 料 が サ ザ
ンブロットに使用される。
【0044】
本発明のためには、ハイブリダイゼーションは、ヌクレオチド配列が、非常に低い∼非
常に高い緊縮条件下で、配列番号1に示されるヌクレオチド配列、、配列番号1に含まれ
る cDNA 、 そ の 相 補 的 鎖 、 又 は そ の 副 配 列 に 対 応 す る ラ ベ ル に さ れ た 核 酸 プ ロ ー ブ に ハ イ
ブリダイズすることを示す。核酸プローブがそれらの条件下でハイブリダイズする分子は
20
、 X− 線 フ ィ ル ム を 用 い て 検 出 さ れ る 。
【0045】
好ましい観点においては、核酸プローブは、配列番号2のポリペプチド又はその副配列
を コ ー ド す る 核 酸 配 列 で あ る 。 も う 1つ の 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 核 酸 プ ロ ー ブ は 配 列
番号1である。もう1つの好ましい観点においては、核酸プローブは、配列番号1の成熟
ポリペプチドコード領域である。もう1つの好ましい観点においては、核酸プローブは、
E. コ リ NRRL B-30704に 含 ま れ る プ ラ ス ミ ド pDZA2-7に 含 ま れ る 核 酸 配 列 で あ り 、 こ こ で 前
記核酸配列は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする。もう1つの
好 ま し い 観 点 に お い て は 、 核 酸 プ ロ ー ブ は 、 E. コ リ NRRLB-30704に 含 ま れ る プ ラ ス ミ ド pD
2A-7に 含 ま れ る 成 熟 ポ リ ペ プ チ ド コ ー ド 領 域 で あ る 。
30
【0046】
少 な く と も 100個 の 長 さ の ヌ ク レ オ チ ド の 長 さ の プ ロ ー ブ に 関 し て 、 非 常 に 低 い ∼ 非 常
に 高 い 緊 縮 条 件 は 、 標 準 の サ ザ ン ブ ロ ッ ト 方 法 に 従 っ て の 、 5 × SSPE, 0.3%SDS, 200μ g/
ml の 剪 断 さ れ 、 そ し て 変 性 さ れ た サ ケ 精 子 DNA、 及 び 25% ホ ル ム ア ミ ド ( 非 常 に 低 い 及 び
低 い 緊 縮 に 関 し て ) 、 35% ホ ル ム ア ミ ド ( 中 位 い 及 び 中 位 の 高 い 緊 縮 に 関 し て ) 、 又 は 50
% ホ ル ム ア ミ ド ( 高 い 及 び 非 常 に 高 い 緊 縮 に 関 し て ) に お け る 42℃ で の 、 最 適 に は 12∼ 24
時間のプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションとして定義される。
【0047】
少 な く と も 100個 の 長 さ の ヌ ク レ オ チ ド の 長 さ プ ロ ー ブ に 関 し て は 、 キ ャ リ ヤ ー 材 料 は
最 終 的 に 、 2 × SSC, 0.2%SDS溶 液 を 用 い て 、 好 ま し く は 少 な く と も 45℃ ( 非 常 に 低 い 緊 縮
40
) 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 50℃ ( 低 い 緊 縮 ) 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 55℃ ( 中 位
の 緊 縮 ) 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 60℃ ( 中 位 の 高 い 緊 縮 ) 、 さ ら に よ り 好 ま し く は 少
な く と も 65℃ ( 高 い 緊 縮 ) 、 お よ び 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 70℃ ( 非 常 に 高 い 緊 縮 ) で
、 そ れ ぞ れ 15分 間 、 3 度 洗 浄 さ れ る 。
【0048】
約 15個 ∼ 約 70個 の 長 さ の ヌ ク レ オ チ ド で あ る 短 い プ ロ ー ブ に 関 し て は 、 緊 縮 条 件 は 、 0.
9Mの NaCl、 0.09Mの ト リ ス − HCl, pH7.6、 6 mM の EDTA、 0.5の NP-40, 1× Denhardt’ s溶
液 、 1 mMの ピ ロ リ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 、 1 mMの 一 塩 基 性 リ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 、 0.1mMの ATP及 び 0.
2mgの 酵 母 RNA( ml当 た り ) に お け る 、 Bolton and McCarthy( 1962、 Proceedings of the
National Academy of Sciences USA 48: 1390) に 従 っ て 計 算 さ れ た Tmよ り も 約 5 ℃ ∼ 約 1
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0℃ 低 い 温 度 で の 標 準 の サ ザ ン ブ ロ ッ ト 方 法 に 従 っ て の 、 最 適 に は 12∼ 24時 間 の プ レ ハ イ
ブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、及び後−ハイブリダイゼーション洗浄と
して定義される。
【0049】
約 15個 ∼ 約 70個 の 長 さ の ヌ ク レ オ チ ド で あ る 短 い プ ロ ー ブ に 関 し て は 、 キ ャ リ ヤ ー 材 料
は 、 6 × SSC及 び 0.1% SDSに よ り 15分 間 、 1度 、 及 び 6 × SSCを 用 い て 、 計 算 さ れ た Tmよ り
も 約 5 ℃ ∼ 約 10℃ 低 い 温 度 で そ れ ぞ れ 15分 間 、 2 度 、 洗 浄 さ れ る 。
【0050】
第3の観点においては、本発明は、配列番号2のアミノ酸配列又はその相同配列、また
は そ の 成 熟 ポ リ ペ プ チ ド の 1 又 は 複 数 の ア ミ ノ 酸 の 保 存 性 置 換 、 欠 失 及 び /又 は 挿 入 を 含
10
んで成る人工変異体に関する。好ましくは、アミノ酸変更は、マイナーな性質のもの、す
な わ ち タ ン パ ク 質 の 折 り た た み 及 び /又 は 活 性 に 有 意 に 影 響 を 及 ぼ さ な い 保 存 性 ア ミ ノ 酸
置 換 又 は 挿 入 ; 典 型 的 に は 1 ∼ 約 30個 の ア ミ ノ 酸 の 小 さ な 欠 失 ; 小 さ な ア ミ ノ − 又 は カ ル
ボ キ シ − 末 端 − 、 た と え ば ア ミ ノ − 末 端 の メ チ オ ニ ン 残 基 の 延 長 ; 約 20∼ 25個 ま で の 残 基
の小さなリンカーペプチドの延長;又は実効電荷又は他の機能、たとえばポリ−ヒスチジ
ン系、抗原性エピトープ又は結合ドメインを変更することにより精製を促進する小さな延
長のものである。
【0051】
保存性置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン)、酸性アミ
ノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン
20
)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニル
アラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小さなアミノ酸(グリシン、アラニン、
セリン、トレオニン及びメチオニン)のグループ内である。一般的に、非活性を変更しな
い ア ミ ノ 酸 置 換 は 当 業 界 に お い て 知 ら れ て お り 、 そ し て た と え ば 、 H. Neurath and R.L.
Hill, 1979, The Proteins, Academic Press, New York に よ り 記 載 さ れ て い る 。 最 も 通
常 生 じ る 交 換 は 次 の も の で あ る : Ala/Ser, Val/Ile, Asp/Glu, Thr/Ser, Ala/Gly, Ala/
Thr, Ser/Asn, Ala/Val, Ser/Gly, Tyr/Phe, Ala/ Pro, Lys/Arg, Asp/Asn, Leu/Ile, Le
u/Val, Ala/Glu及 び Asp/Gly。
【0052】
20個 の 標 準 の ア ミ ノ 酸 の 他 に 、 非 標 準 の ア ミ ノ 酸 ( 例 え ば 、 4 − ヒ ド ロ キ シ プ ロ リ ン 、
30
6 − N− メ チ ル リ シ ン 、 2 − ア ミ ノ イ ソ 酪 酸 、 イ ソ バ リ ン 及 び α − メ チ ル セ リ ン ) は 、 野
生型ポリペプチドのアミノ酸残基により置換され得る。制限された数の非保存性アミノ酸
、遺伝子コードによりコードされないアミノ酸、及び不自然なアミノ酸が、アミノ酸残基
により置換され得る。“不自然なアミノ酸”は、タンパク質合成の後、修飾され、そして
/又 は 標 準 の ア ミ ノ 酸 の 側 鎖 と は 異 な る そ れ ら の 側 鎖 に 化 学 的 構 造 を 有 す る 。 不 自 然 な ア
ミノ酸は、化学的に合成され得、又は好ましくは、市販されており、そしてピペコリン酸
、 チ ア ゾ リ ジ ン カ ル ボ ン 酸 、 デ ヒ ド ロ プ ロ リ ン 、 3 − 及 び 4 − メ チ ル プ ロ リ ン 及 び 3 ,3
−ジメチルプロリンを包含する。
【0053】
他方では、アミノ酸変更は、ポリペプチドの生化学的性質が変更されるような性質のも
40
のである。例えば、アミノ酸変更は、ポリペプチドの熱安定性を改良し、基質特異性を変
更 し 、 pH最 適 性 を 変 更 し 、 そ し て 同 様 の こ と で あ る 、
【0054】
親ポリペプチドにおける必須アミノ酸は、当業界において知られている方法、例えば特
定 部 位 の 突 然 変 異 誘 発 、 又 は ア ラ ニ ン − 走 査 突 然 変 異 誘 発 に 従 っ て 同 定 さ れ 得 る ( Cunnin
gham and Wells, Science 244: 1081-1085, 1989) 。 後 者 の 技 法 に お い て は 、 単 一 の ア ラ
ニンの突然変異が分子におけるあらゆる残基に導入され、そして得られる変異体分子は、
分子の活性に対して決定的であるアミノ酸残基を同定するために、生物学的活性(すなわ
ち、セルロース分解増強活性)について試験される。
【0055】
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ま た 、 Hilton な ど ., J. Biol. Chem. 271: 4699-4708, 1996を 参 照 の こ と 。 酵 素 又 は
他の生物学的相互作用の活性部位はまた、推定上の接触部位アミノ酸の突然変異に関して
、核磁気共鳴、結晶学、電子回折、又は光親和性ラベリングのような技法により決定され
る よ う に 、 構 造 の 物 理 的 分 析 に よ っ て も 決 定 さ れ 得 る 。 例 え ば 、 de Vos な ど ., Science
255: 306-312, 1992; Smith な ど ., J. Mol. Biol. 224: 899-904, 1992; Wlodaver な ど
., FEBS Lett. 309: 59-64, 1992を 参 照 の こ と 。 必 須 ア ミ ノ 酸 の 本 体 は ま た 、 本 発 明 の ポ
リペプチドに関連するポリペプチドとの相同性の分析からも推定され得る。
【0056】
単 一 又 は 複 数 の ア ミ ノ 酸 置 換 は 、 突 然 変 異 誘 発 、 組 換 え 及 び /又 は シ ャ フ リ ン グ 、 続 く
適 切 な ス ク リ ー ニ ン グ 方 法 、 例 え ば Reidhaar-Olson and Sauer (Science 241: 53-57, 19
10
88), Bowie and Sauer (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 2152-2156, 1989), WO95/1741
3号 又 は WO95/22625号 に よ り 開 示 さ れ る 既 知 の 方 法 を 用 い て 、 生 成 さ れ 、 そ し て 試 験 さ れ
得 る 。 使 用 さ れ 得 る 他 の 方 法 は 、 エ ラ ー 傾 向 PCR、 フ ァ ー ジ 表 示 ( 例 え ば 、 Lowman な ど .,
Biochem. 30: 10832-10837, 1991;ア メ リ カ 特 許 第 5,223,409号 ; WO92/06204号 ) 及 び 特
定 領 域 の 突 然 変 異 誘 発 ( Derbyshire な ど ., Gene 46: 145, 1986; Ner な ど ., DNA 7: 12
7, 1988) を 包 含 す る 。
【0057】
上 記 に 開 示 さ れ る よ う な 突 然 変 異 誘 発 /シ ャ フ リ ン グ 方 法 は 、 宿 主 細 胞 に よ り 発 現 さ れ
る、クローン化され、突然変異誘発されたポリペプチドの活性を検出するために、高い処
理 量 の 自 動 化 さ れ た ス ク リ ー ニ ン グ 方 法 と 組 み 合 わ さ れ 得 る (Ness な ど ., 1999, Nature
20
Biotechnology 17: 893-896)。 活 性 ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る 突 然 変 異 誘 発 さ れ た DNA分
子は、宿主細胞から回収され、そして当業界における標準の方法を用いて急速に配列決定
され得る。それらの方法は、興味あるポリペプチドにおける重要な個々のアミノ酸残基の
急速な決定を可能にし、そして未知の構造体のポリペプチドに適用され得る。
【0058】
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250の ア ミ ノ 酸 置 換 、 欠 失 及 び /又 は 挿 入 の 合 計 数 は 、 10、 好
ま し く は 9, よ り 好 ま し く は 、 8 、 よ り 好 ま し く は 7 、 よ り 好 ま し く は 多 く と も 6 、 よ り
好ましくは5、より好ましくは4、さらにより好ましくは3、最も好ましくは2、及びさ
らに最も好ましくは1である。
【0059】
30
セルロース分解増強活性を有するポリペプチド源:
本発明のポリペプチドは、いずれかの属の微生物から得られる。本発明のためには、用
語“∼から得られる”とは、所定の源に関して本明細書において使用される場合、ヌクレ
オチド配列によりコードされるポリペプチドが前記源により、又は前記源からのヌクレオ
チド配列によりコードされるポリペプチドが前記源により、又は前記源からのヌクレオチ
ド配列が、挿入されている株により生成されることを意味する。好ましい観点においては
、所定の減から得られるポリペプチドは、細胞内分泌される。
【0060】
本発明のポリペプチドは、細菌ポリペプチドであり得る。例えば、前記ポリペプチドは
、 グ ラ ム 陽 性 細 胞 ポ リ ペ プ チ ド 、 例 え ば 、 バ チ ル ス ( bacillus) ポ リ ペ プ チ ド 、 例 え ば バ
40
チ ル ス ・ ア ル カ ロ フ ィ ラ ス ( Bacillus alkalophilus) 、 バ チ ル ス ・ ア ミ ロ リ ケ フ ァ シ エ
ン ス ( Bacillus amyloliquefaciens) 、 バ チ ル ス ・ ブ レ ビ ス ( Bacillus brevis) 、 バ チ
ル ス ・ サ ー キ ュ ラ ン ス ( Bacillus circulans) 、 バ チ ル ス ・ コ ア ギ ュ ラ ン ス ( Bacillus c
oagulans) 、 バ チ ル ス ・ ラ ウ タ ス ( Bacillus lautus) 、 バ チ ル ス ・ レ ン タ ス ( Bacillus
lentus) 、 バ チ ル ス ・ リ ケ ニ ホ ル ミ ス ( Bacillus licheniformis) 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ
ウ ス ( Bacillus megaterium) 、 バ チ ル ス ・ ス テ ア ロ サ ー モ フ ィ ラ ス ( Bacillus stearoth
ermophilus) 、 バ チ ル ス ・ サ ブ チ リ ス ( Bacillus subtilis) 又 は バ チ ル ス ・ ス リ ン ジ エ
ン シ ス ( Bacillus thuringiensis) ポ リ ペ プ チ ド ; 又 は ス ト レ プ ト ミ セ ス ( Streptomyces
) ポ リ ペ プ チ ド 、 例 え ば ス ト レ プ ト ミ セ ス ・ リ ビ ダ ン ス ( Streptomyces lividans) 又 は
ス ト レ プ ト ミ セ ス ・ ム リ ナ ス ( Streptomyces murinus) ポ リ ペ プ チ ド ; 又 は グ ラ ム 陰 性 細
50
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菌 ポ リ ペ プ チ ド 、 例 え ば E.コ リ ( E. coli) 又 は プ ソ イ ド モ ナ ス sp. (Pseudomonas sp.)
ポリペプチドであり得る。
【0061】
本発明のポリペプチドは、菌類ポリペプチド、及びより好ましくは、酵母ポリペプチド
、 例 え ば カ ン ジ ダ ( Candida) 、 ク ル イ ベ ロ ミ セ ス ( Kluyveromyces) 、 ピ チ ア ( Pichia)
、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ( Saccharomyces) 、 シ ゾ サ ッ カ ロ ミ セ ス ( Schizos accharomyces) 、
又 は ヤ ロ ウ イ ア ( Yarrowia) ポ リ ペ プ チ ド ; 又 は よ り 好 ま し く は 、 糸 状 菌 ポ リ ペ プ チ ド 、
例 え ば ア ク レ モ ニ ウ ム ( Acremonium) 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ( Aspergillus) 、 ア ウ レ オ バ シ
ジ ウ ム ( Aureobasidium) 、 ク リ プ ト コ ー カ ス ( Cryptococcus) 、 フ ィ リ バ シ ジ ウ ム ( Fil
ibasidium) 、 フ サ リ ウ ム ( Fusarium) 、 ヒ ュ ー ミ コ ラ ( Humicola) 、 マ グ ナ ポ リ ス ( Mag
10
naporthe) 、 ム コ ル ( Mucor) 、 ミ セ リ オ プ ソ ラ ( Myceliophthora) 、 ネ オ カ ノ マ ス チ ッ
ク ス ( Neocallimastix) 、 ネ ウ ロ ス ポ ラ ( Neurospora) 、 パ エ シ ロ ミ セ ス ( Paecilomyces
) 、 ペ ニ シ リ ウ ム ( Penicillium) 、 ピ ロ ミ セ ス ( Piromyces) 、 シ ゾ フ ィ ラ ム ( Schizoph
yllum) 、 タ ラ ロ ミ セ ス ( Talaromyces) 、 サ ー モ ア ス カ ス ( Thermoascus) 、 チ エ ラ ビ ア
( Thielavia) 、 ト リ ポ ク ラ ジ ウ ム ( Tolypocladium) 又 は ト リ コ ダ ー マ ( Trichoderma)
ポリペプチドであり得る。
【0062】
好ましい観点においては、ポリペプチドは、セルロース分解増強活性を有する、サッカ
ロ ミ セ ス ・ カ ル ス ベ ル ゲ ン シ ス ( Saccharomyces carlsbergensis) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ
レ ビ シ ア エ ( Saccharomyces cerevisiae) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ ジ ア ス タ チ カ ス ( Saccharo
20
myces diastaticus) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ ド ウ グ ラ シ ( Saccharomyces douglasii) 、 サ ッ
カ ロ ミ セ ス ・ ク ル イ ベ リ ( Saccharomyces kluyveri) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ ノ ル ベ ン シ ス (
Saccharomyces norbensis) 又 は サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ オ ビ ホ ル ミ ス ( Saccharomyces oviform
is) ポ リ ペ プ チ ド で あ る 。
【0063】
もう1つの好ましい観点においては、前記ポリペプチドは、アスペルギラス・アキュレ
アタス、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・フミガタス、アスペルギラス・ホ
エチダス、アスペルギラス・ジャポニカ、アスペルギラス・ニジュランス、アスペルギラ
ス ・ ニ ガ ー 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ 、 コ プ リ ナ ス ・ シ ネ レ ウ ス ( Coprins cinereus)
、 ジ プ ロ ジ ア ・ ゴ シ ピ ナ ( Diplodia gossyppina) 、 フ サ リ ウ ム ・ バ ク ト リ ジ オ イ デ ス 、
30
フサリウム・セレアリス、フサリウム・クロックウェレンズ 、フサリウム・クルモラム
、フサリウム・グラミネアラム、フサリウム・グラミナム、フサリウム・ヘテロスポラム
、フサリウム・ネグンジ、フサリウム・オキシスポラム、フサリウム・レチキュラタム、
フサリウム・ロゼウム、フサリウム・サムブシウム、フサリウム・サルコクロウム、フサ
リウム・スポロトリキオイデス、フサリウム・スルフレウム、フサリウム・トルロサム、
フサリウム・トリコセシオイデス、フサリウム・ベネナタム、ヒューミコラ・インソレン
ス 、 ヒ ュ ー ミ コ ラ ・ ラ ヌ ギ ノ サ 、 マ グ ナ ポ ル セ ・ グ リ セ ア ( Magnaporthe grisea) ム コ ル
・ミエヘイ、ミセリオプソラ・サーモフィリア、ネウロスポラ・クラサ、ペニシリウム・
プ ル プ ロ ゲ ナ ム 、 フ ァ ネ ロ カ エ テ ・ キ リ ソ ス ポ リ ウ ム ( Phanerochaete chrysosporium)
、 シ ュ ウ ド プ レ ク タ ニ ア ・ ニ グ レ ラ ( Pseudoplectania nigrella) 、 サ ー モ ア ス カ ス ・ ア
40
ウ ラ ン チ ア カ ス ( Thermoascus aurantiacus) 、 ト リ コ ダ ー マ ・ ハ ル ジ ア ナ ム 、 ト リ コ ダ
ーマ・コニンギ、トリコダーマ・ロンジブラキアタム、トリコダーマ・レセイ、トリコダ
ーマ・ビリデ又はトリコダーマ・サカタ ポリペプチドである。
【0064】
より好ましい観点においては、ポリペプチドは、サーモアスカス・アウランチアカス ポリペプチド、例えば配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
前述の種に関しては、本発明は完全及び不完全状態の両者、及び他の分類学的同等物、
例えばアナモルフを、それらが知られている種の名称にかかわらず、包含することが理解
されるであろう。当業者は適切な同等物の正体を容易に理解するであろう。
【0065】
50
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そ れ ら の 種 の 株 は 、 次 の 多 く の 培 養 物 寄 託 所 か ら 容 易 に 入 手 で き る : American Type Cu
lture Collection (ATCC), Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen
GmbH (DSM), Centraalbureau Voor Schimmelcaltures (CBS), 及 び Agricultural Researc
h S e r v i c e P a t e n t C u l t u r e C o l l e c t i o n , N o r t h e r n R e g i o n a l R e s e a r c h C e n t e r ( N R R L )。
【0066】
さらに、そのようなポリペプチドは、他の源、例えば天然源(例えば、土壌、培養土、
水、等)から単離された微生物から、上記プローブを用いて同定され、そして得られる。
天然の生息地から微生物を単離する技法は当業界において良く知られている。次に、ポリ
ヌ ク レ オ チ ド は 、 も う 1つ の 微 生 物 の ゲ ノ ム 又 は cDNAラ イ ブ ラ リ ー を 同 様 に ス ク リ ー ニ ン
グすることによって誘導され得る。ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列がプ
10
ローブにより検出されると、ポリヌクレオチドは当業者に知られている技法を用いること
に よ っ て 同 定 さ れ 、 又 は ク ロ ー ン 化 さ れ 得 る ( 例 え ば 、 J. Sambrook, 前 記 を 参 照 の こ と
)。
【0067】
本発明のポリペプチドはまた、もう1つのポリペプチドが前記ポリペプチド又はフラグ
メ ン ト の N− 末 端 又 は C− 末 端 で 融 合 さ れ て い る 、 融 合 さ れ た 又 は 切 断 可 能 な 融 合 ポ リ ペ プ
チドも包含することができる。融合されたポリペプチドは、1つのポリペプチドをコード
するヌクレオチド配列(又はその一部)を、本発明のヌクレオチド配列(又はその一部)
に融合することによって生成される。融合ポリペプチドを生成するための技法は、当業界
において知られており、そしてポリペプチドをコードするコード配列を、それらが整合し
20
て存在し、そして融合されたポリペプチドの発現が同じプロモーター及びターミネーター
の制御下にあるよう、連結することを包含する。
【0068】
ポリヌクレオチド:
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する単離され
たポリヌクレオチドにも関する。
【0069】
好 ま し い 観 点 に お い て は 、 ヌ ク レ オ チ ド 配 列 は 、 配 列 番 号 1 で 示 さ れ る 。 も う 1つ の 好
ま し い 態 様 に お い て は 、 ヌ ク レ オ チ ド 配 列 は 、 E.コ リ NRRL B− 30704に 含 ま れ る プ ラ ス ミ
ド pDZA2-7に 含 ま れ る 配 列 で あ る 。 も う 1 つ の 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 ヌ ク レ オ チ ド 配
30
列は、配列番号1の成熟ポリペプチドコード領域である。もう1つのより好ましい観点に
お い て は 、 ヌ ク レ オ チ ド 配 列 は 、 E.コ リ NRRL B− 30704に 含 ま れ る プ ラ ス ミ ド pDZA2-7に 含
まれる成熟ポリペプチドコード領域である。本発明はまた、遺伝子コードの縮重により配
列番号1とは異なる、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド又はその成熟ポリ
ペプチドをコードするヌクレオチド配列を包含する。本発明はまた、セルロース分解増強
活性を有する、配列番号2のフラグメントをコードする配列番号1の副配列にも関する。
【0070】
本 発 明 は ま た 、 配 列 番 号 1 の 成 熟 ポ リ ペ プ チ ド コ ー ド 配 列 に お け る 少 な く と も 1つ の 突
然変異を含んで成る変異体ポリヌクレオチドにも関し、ここで前記変異体ヌクレオチド配
列 は 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250か ら 成 る ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る 。
40
【0071】
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを単離し、又はクローン化するために使用
さ れ る 技 法 は 、 当 業 界 に お い て 知 ら れ て お り 、 そ し て ゲ ノ ム DNAか ら の 単 離 、 cDNAか ら の
調 製 、 又 は そ れ ら の 組 み 合 わ せ を 包 含 す る 。 そ の よ う な ゲ ノ ム DNAか ら の 本 発 明 の ポ リ ヌ
ク レ オ チ ド の ク ロ ー ニ ン グ は 、 例 え ば 良 く 知 ら れ て い る ポ リ メ ラ ー ゼ 鎖 反 応 ( PCR) 、 又
は 共 有 す る 構 造 特 徴 を 有 す る ク ロ ー ン 化 さ れ た DNAフ ラ グ メ ン ト を 検 出 す る た め に 発 現 ラ
イ ブ ラ リ ー の 抗 体 ス ク リ ー ニ ン グ を 用 い る こ と に よ っ て も た ら さ れ 得 る 。 例 え ば 、 Innis
な ど ., 1990, PCR: A Guide to Methods and Application; Academic Press, New York
を 参 照 の こ と 。 他 の 核 酸 増 幅 方 法 、 例 え ば リ ガ ー ゼ 鎖 反 応 ( LCR) 、 連 結 さ れ た 活 性 化 転
写 ( LAT) 及 び 核 酸 配 列 に 基 づ く 増 幅 ( NASBA) が 使 用 さ れ 得 る 。 ポ リ ヌ ク レ オ チ ド は 、 チ
50
(19)
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エラビア株、又は他の又は関連する生物からクローン化され得、そして従って、ヌクレオ
チド配列のポリペプチドコード領域の対立遺伝子又は種変異体であり得る。
【0072】
本 発 明 は ま た 、 配 列 番 号 1 の 成 熟 ポ リ ペ プ チ ド コ ー ド 配 列 ( す な わ ち 、 ヌ ク レ オ チ ド 67
∼ 805) に 対 し て 、 少 な く と も 70% 、 好 ま し く は 少 な く と も 75% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く
と も 80% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 85% 、 さ ら に よ り 好 ま し く は 少 な く と も 90% 、 最 も
好 ま し く は 少 な く と も 95% 、 及 び さ ら に 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 97% 、 98% 又 は 99% の
同一性の程度を有する、活性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌ
クレオチドにも関する。
【0073】
10
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の修飾は、そのポリペプチドに実
質的に類似するポリペプチドの合成のために必要である。用語、ポリペプチドに“実質的
に類似する”とは、ポリペプチドの天然に存在しない形を言及する。それらのポリペプチ
ドは、その天然源から単離されたポリペプチドとは、いくつかの構築された態様で異なり
、 た と え ば 非 活 性 、 熱 安 定 性 、 pH最 適 性 又 は 同 様 の も の に お い て 異 な る 変 異 体 で あ り 得 る
。
【0074】
変異体配列は、配列番号1のポリペプチドコード部分として提供されるヌクレオチド配
列 、 た と え ば そ の 副 配 列 に 基 づ い て 、 及 び /又 は ヌ ク レ オ チ ド 配 列 に よ り コ ー ド さ れ る ポ
リ ペ プ チ ド の も う 1つ の ア ミ ノ 酸 配 列 を 生 ぜ し め な い が 、 し か し 酵 素 の 生 成 の た め に 意 図
20
された宿主生物のコドン使用法に対応するヌクレオチド置換の導入により、又は異なった
アミノ酸配列を生ぜしめることができるヌクレオチド置換の導入により構成され得る。ヌ
ク レ オ チ ド 置 換 の 一 般 的 記 載 の た め に は 、 Fordな ど ., 1991, Protein Expression and Pu
rification 2:95-107を 参 照 の こ と 。
【0075】
そのような置換は、分子の機能に対して決定的である領域外で行われ、そしてさらに活
性ポリペプチドをもたらすことは、当業者に明らかであろう。本発明の単離されたポリヌ
クレオチドによりコードされるポリペプチドの活性に必須であり、そして従って、好まし
くは置換を受けやすくないアミノ酸残基は、当業界において知られている方法、たとえば
特定部位の突然変異誘発又はアラニン−走査突然変異誘発に従って同定され得る(たとえ
30
ば 、 Cunningham and Wells, 1989, Science 244: 1081-1085を 参 照 の こ と ) 。
【0076】
後者の技法においては、突然変異は分子における正に荷電された残基ごとに導入され、
そしてその得られる変異体分子は、分子の活性に対して決定的であるアミノ酸残基を同定
するためにセルロース分解増強活性について試験される。基質−酵素相互作用の部位はま
た、核磁気共鳴分析、クリスタログラフィー又は光親和性ラベリングのような技法により
決 定 さ れ る よ う に 、 立 体 構 造 体 の 分 析 に よ り 決 定 さ れ 得 る ( た と え ば 、 de Vos な ど ., 19
92, Science 255: 306-312; Smith な ど ., 1992, Journal of Molecular Biology 224:
899-904; Wlodaver な ど ., 1992, FEBS Letters 309: 59-64を 参 照 の こ と ) 。
【0077】
40
本 発 明 は ま た 、 ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ
チ ド 67∼ 805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、
非常に低い緊縮条件、好ましくは低い緊縮条件、より好ましくは中位の緊縮条件、より好
ましくは中位の高い緊縮条件、さらにより好ましくは高い緊縮条件及び最も好ましくは非
常に高い緊縮条件下でハイブリダイズする、本発明のポリペプチドをコードする単離され
た ポ リ ヌ ク レ オ チ ド 、 又 は そ の 対 立 遺 伝 子 変 異 体 及 び そ の 副 配 列 に も 関 す る 。 ( Sambrook
な ど ., 1989, 前 記 ) 。
【0078】
本 発 明 は ま た 、 ( a) 非 常 に 低 い 、 低 い 、 中 位 の 、 中 位 の 高 い 、 高 い 又 は 非 常 に 高 い 緊
縮 条 件 下 で 、 ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67-805,( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67
50
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-805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 副 配 列 、 又 は ( iii) ( i)
又 は (ii)の 相 補 的 鎖 と DNA集 団 と を ハ イ ブ リ ダ イ ズ せ し め ; そ し て ( b) セ ル ロ ー ス 分 解
増強活性を有するポリペプチドをコードする、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを単
離することによって得られる、単離されたポリヌクレオチドにも関する。
【0079】
好 ま し い 観 点 に お い て は 、 DNA集 団 は 、 低 い 緊 縮 条 件 下 で ハ イ ブ リ ダ イ ズ さ れ る 。 よ り
好 ま し い 観 点 に お い て は 、 DNA集 団 は 、 中 位 の 緊 縮 条 件 下 で ハ イ ブ リ ダ イ ズ さ れ る 。 さ ら
に よ り 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 DNA集 団 は 、 中 位 の 高 い 緊 縮 条 件 下 で ハ イ ブ リ ダ イ ズ さ
れ る 。 最 も 好 ま し く い 観 点 に お い て は 、 DNA集 団 は 、 高 い 緊 縮 条 件 下 で ハ イ ブ リ ダ イ ズ さ
れる。
10
【0080】
核酸構造体:
本発明はまた、適切な宿主細胞におけるコード配列の発現を、制御配列と適合できる条
件下で指図する、1又は複数の制御配列に作用可能に結合される本発明の単離されたポリ
ヌクレオチドを含んで成る核酸構造体に関する。
本発明のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドは、ポリペプチドの発
現を提供するために種々の手段で操作され得る。ベクター中へのその挿入の前、ポリヌク
レ オ チ ド の 操 作 は 、 発 現 ベ ク タ ー に 依 存 し て 、 所 望 さ れ る か 又 は 必 要 と さ れ る 。 組 換 え DN
A方 法 を 用 い て ポ リ ヌ ク レ オ チ ド を 修 飾 す る た め の 技 法 は 、 当 業 界 に お い て 良 く 知 ら れ て
いる。
20
【0081】
制御配列は、適切なプロモーター配列、すなわち本発明のポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドの発現のために宿主細胞により認識されるヌクレオチド配列であり得る。
プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含む。プロモーター
は、宿主細胞において転写活性を示すいずれかのヌクレオチド配列、たとえば変異体の、
切断された、及びハイブリッドのプロモーターであり得、そして宿主細胞に対して相同で
あるか又は異種である細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られる。
【0082】
特に細胞宿主細胞において本発明の核酸構造体の転写を方向づけるための適切なプロモ
ー タ ー の 例 は 、 E.コ リ lacオ ペ ロ ン 、 ス ト レ プ ト ミ セ ス ・ コ エ リ カ ラ ー ( Streptomyces co
30
elicolor) ア ガ ラ ー ゼ 遺 伝 子 ( dagA) 、 バ チ ル ス ・ サ ブ チ リ ス ( Bacillus subtilis) Lバ
ン ス ク ラ ー ゼ 遺 伝 子 (sacB)、 バ チ ル ス ・ リ ケ ニ ホ ル ミ ス ( Bacillus licheniformis) α −
ア ミ ラ ー ゼ 遺 伝 子 ( amyL) 、 Bチ ル ス ・ ス テ ア ロ サ ー モ フ ィ ラ ス ( Bacillus stearothermo
philus) マ ル ト ゲ ン 性 ア ミ ラ ー ゼ 遺 伝 子 ( amyM) 、 バ チ ル ス ・ ア ミ ロ リ ケ フ ァ シ エ ン ス (
Bacillus amyloliguefaciens) α − ア ミ ラ ー ゼ 遺 伝 子 ( amyQ) 、 バ チ ル ス ・ リ ケ ニ ホ ル
ミ ス ペ ニ シ リ ナ ー ゼ 遺 伝 子 ( penP) 、 バ チ ル ス ・ サ ブ チ リ ス xylA及 び zylB遺 伝 子 及 び 原 生
動 物 の β − ラ ク タ マ ー ゼ 遺 伝 子 か ら 得 ら れ る プ ロ モ ー タ ー ( Villa− Kamaroffな ど ., 1978
, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 3727-3731) 、 及 び tac
プ ロ モ ー タ ー ( De Boer な ど ., 1983, Proceedings of the National Academy of Scienc
e USA 80: 21-25) で あ る 。 さ ら な る プ ロ モ ー タ ー は 、 “ Useful proteins from recombin
40
ant bacteria” in Scientific American, 1980, 242: 74-94; 及 び Sambrookな ど ., 1989
, 前記に記載される。
【0083】
糸状菌宿主細胞における本発明の核酸構造体の転写を方向づけるための適切なプロモー
タ ー の 例 は 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ TAKAア ミ ラ ー ゼ 、 リ ゾ ム コ ル ・ ミ エ ヘ イ ア ス パ
ラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ、アスペルギラス
・ニガー酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・アワモ
リ グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ ( glaA) 、 リ ゾ ム コ ル ・ ミ エ ヘ イ リ パ ー ゼ 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ
エ アルカリプロテアーゼ、アスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼ、
アスペルギラス・ニジュランスアセトアミダーゼ、フサリウム・ベネナチュム アミログ
50
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ル コ シ ダ ー ゼ (WO 00/56900号 )、 フ サ リ ウ ム ・ ベ ネ ナ チ ュ ム Daria (WO 00/56900号 )、 フ サ
リ ウ ム ・ ベ ネ ナ チ ュ ム Quinn (WO 00/56900号 )、 フ サ リ ウ ム ・ オ キ シ ス ポ ラ ム ト リ プ シ ン
− 様 プ ロ テ ア ー ゼ ( WA96/00787号 ) 、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ β − グ ル コ シ ダ ー ゼ 、 ト リ コ
ダ ー マ ・ レ セ イ セ ロ ビ オ ヒ ド ロ ラ ー ゼ I、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ セ ロ ビ オ ヒ ド ロ ラ ー ゼ II
、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ エ ン ド グ ル カ ナ ー ゼ I、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ エ ン ド グ ル カ ナ ー
ゼ II、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ エ ン ド グ ル カ ナ ー ゼ III、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ エ ン ド グ ル
カ ナ ー ゼ IV、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ エ ン ド グ ル カ ナ ー ゼ V、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ キ シ ラ
ナ ー ゼ I、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ キ シ ラ ナ ー ゼ II、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ β − キ シ ロ シ ダ
ー ゼ に つ い て の 遺 伝 子 か ら 得 ら れ る プ ロ モ ー タ ー 、 並 び に NA2-tpiプ ロ モ ー タ ー ( ア ス ペ
ルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ及びアスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イ
10
ソメラーゼについての遺伝子からのプロモーターのハイブリッド)、及びそれらの切断さ
れ、及びハイブリッドのプロモーターである。
【0084】
酵 母 宿 主 に お い て は 、 有 用 な プ ロ モ ー タ ー は 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ レ ビ シ ア エ ( Saccha
romyces cerevisiae) エ ノ ラ ー ゼ ( ENO− 1 ) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ レ ビ シ ア エ ガ ラ ク ト
キ ナ ー ゼ ( GAL1 ) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ レ ビ シ ア エ ア ル コ ー ル デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ /グ リ セ
ル ア ル デ ヒ ド − 3 − リ ン 酸 デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ ( ADH2/GAP) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ レ ビ シ ア
エ ト リ オ ー ス リ ン 酸 イ ソ メ ラ ー ゼ ( TPI) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ レ ビ シ ア エ メ タ ル チ オ ネ
イ ン (CUP1)、 及 び サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ レ ビ シ ア エ 3 − ホ ス ホ グ リ セ レ ー ト キ ナ ー ゼ か ら 得
ら れ る 。 酵 母 宿 主 細 胞 の た め の 他 の 有 用 な プ ロ モ ー タ ー は 、 Romunosな ど ., 1992, Yeast8
20
: 423− 488に よ り 記 載 さ れ る 。
【0085】
制御配列はまた、適切な転写ターミネーター配列、すなわち転写を終結するために宿主
細胞により認識される配列でもあり得る。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコード
す る ヌ ク レ オ チ ド 配 列 の 3’ 側 末 端 に 作 用 可 能 に 連 結 さ れ る 。 選 択 の 宿 主 細 胞 に お い て 機
能的であるいずれかのターミネーターが本発明において使用され得る。
【0086】
糸 状 菌 宿 主 細 胞 の た め の 好 ま し い タ ー ミ ネ ー タ ー は 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ TAKAア
ミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、アスペルギラス・ニジュランスア
ントラニル酸シンターゼ、アスペルギラス・ニガーα−グルコシダーゼ及びフサリウム・
30
オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼについての遺伝子から得られる。
【0087】
酵母宿主細胞のための好ましいターミネーターは、サッカロミセス・セレビシアエエノ
ラ ー ゼ 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ レ ビ シ ア エ チ ト ク ロ ム C( CYC1 ) 、 及 び サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ
レビシアエグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼについての遺伝子から得ら
れ る 。 酵 母 宿 主 細 胞 の た め の 他 の 有 用 な タ ー ミ ネ ー タ ー は 、 Romanosな ど ., 1992, 前 記 に
より記載される。
【0088】
制御配列はまた、適切なリーダー配列、すなわち宿主細胞による翻訳のために重要であ
る mRNAの 非 翻 訳 領 域 で も あ り 得 る 。 リ ー ダ ー 配 列 は 、 ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る 核 酸 配 列
40
の 5’ 末 端 に 作 用 可 能 に 連 結 さ れ る 。 選 択 の 宿 主 細 胞 に お い て 機 能 的 で あ る い ず れ か の リ
ーダー配列が、本発明において使用され得る。
糸 状 菌 宿 主 細 胞 の た め の 好 ま し い リ ー ダ ー は 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ TAKAア ミ ラ ー
ゼ、アスペルギラス・ニジュランストリオースリン酸イソメラーゼについての遺伝子から
得られる。
【0089】
酵母宿主細胞のための適切なリーダーは、サッカロミセス・セレビシアエエノラーゼ(
ENO− 1 ) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ル ・ セ レ ビ シ ア エ 3 − ホ ス ホ グ リ セ レ ー ト キ ナ ー ゼ 、 サ ッ カ ロ
ミセス・セレビシアエα−因子及びサッカロミセス・セレビシアエアルコールデヒドロゲ
ナ ー ゼ /グ リ セ ル ア ル デ ヒ ド − 3 − リ ン 酸 デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ ( ADH2/GAP) に つ い て の 遺 伝
50
(22)
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子から得られる。
【0090】
制 御 配 列 は ま た 、 ポ リ ア デ ニ ル 化 配 列 、 す な わ ち ヌ ク レ オ チ ド 配 列 の 3’ 末 端 に 操 作 可
能 に 連 結 さ れ 、 そ し て 転 写 さ れ る 場 合 、 転 写 さ れ た mRNAに ポ リ ア デ ノ シ ン 残 基 を 付 加 す る
ためにシグナルとして宿主細胞により認識される配列でもあり得る。選択の宿主細胞にお
いて機能的であるいずれかのポリアデニル化配列が,本発明において使用される。
【0091】
糸 状 菌 宿 主 細 胞 の た め の 好 ま し い ポ リ ア デ ニ ル 化 配 列 は 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ TA
KAア ミ ラ ー ゼ 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ ー グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ 、 ア ス ペ ル ギ キ ラ ス ・ ニ ジ ュ ラ
ンスアントラニル酸シンターゼ、フサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアー
10
ゼ及びアスペルギラス・ニガーα−グルコシダーゼについての遺伝子から得られる。
酵 母 宿 主 細 胞 の た め の 有 用 な ポ リ ア デ ニ ル 化 配 列 は 、 Guo and Sherman, 1995, Molecul
ar Cellular Biology 15: 5983-5990に よ り 記 載 さ れ て い る 。
【0092】
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端に連結されるアミノ酸配列をコードし、そ
してそのコードされたポリペプチドを細胞の分泌路中に方向づけるシグナルペプチドコー
ド 領 域 で も あ り 得 る 。 核 酸 配 列 の コ ー ド 配 列 の 5’ 側 末 端 は 、 本 来 、 分 泌 さ れ た ポ ロ ペ プ
チドをコードするコード領域のセグメントと翻訳読み取り枠を整合して、天然において連
結 さ れ る シ グ ナ ル ペ プ チ ド コ ー ド 領 域 を 含 む こ と が で き る 。 他 方 で は 、 コ ー ド 配 列 の 5’
側末端は、そのコード配列に対して外来性であるシグナルペプチドコード領域を含むこと
20
ができる。
【0093】
そのコード配列が天然において、シグナルペプチドコード領域を含まない外来性シグナ
ルペプチドコード領域が必要とされる。他方では、外来性シグナルペプチドコード領域は
、ポリペプチドの増強された分泌を得るために、天然のシグナルペプチドコード領域を単
純に置換することができる。しかしながら、選択の宿主細胞の分泌路中に、すなわち培養
培地中に分泌される、発現されたポリペプチドを方向づけるいずれかのシグナルペプチド
コード領域が、本発明に使用され得る。
【0094】
細 菌 宿 主 細 胞 の た め の 効 果 的 な シ グ ナ ル ペ プ チ ド コ ー ド 領 域 は 、 バ チ ル ス NCIB11837マ
30
ルトゲン性アミラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィラスα−アミラーゼ、バチルス・
リケニホルミススブチリシン、バチルス・リケニホルミスβ−ラクタマーゼ、バチルス・
ア ス テ ロ サ ー モ フ ィ ラ ス 中 性 プ ロ テ ア ー ゼ ( nprT, nprS, nprM) 、 及 び バ チ ル ス ・ ス ブ チ
リ ス prsAに つ い て の 遺 伝 子 か ら 得 ら れ る シ グ ナ ル ペ プ チ ド 領 域 で あ る 。 追 加 の シ グ ナ ル ペ
プ チ ド は 、 Sinomen and Palva, 1993, Microbiological Reviews 57: 109-137 に よ り 記
載される。
【0095】
糸状菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域は、アスペルギラス・オ
リ ザ エ TAKAア ミ ラ ー ゼ 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ ー 中 性 ア ミ ラ ー ゼ 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ
ーグルコアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイアスペラギン酸プロテイナーゼ、ヒューミコ
40
ラ ・ イ ン ソ レ ン ス セ ル ラ ー ゼ 、 ヒ ュ ー ミ コ ラ ・ イ ン ソ レ ン ス エ ン ド グ ル カ ナ ー ゼ V、 及 び
ヒューミコラ・ラヌギノサリパーゼについての遺伝子から得られたシグナルペプチドコー
ト領域である。
【0096】
好ましい態様においては、シグナルペプチドコード領域は、配列番号2のアミノ酸1∼
22を コ ー ド す る 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 1 ∼ 66で あ る 。
酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドは、サッカロミセス・セレビシアエα−
因子及びサッカロミセル・セレビシアエインバーターゼについての遺伝子から得られる。
他 の 有 用 な シ グ ナ ル ペ プ チ ド コ ー ド 領 域 は 、 Romanos な ど ., 1992, 前 記 に よ り 記 載 さ れ
る。
50
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【0097】
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端で位置するアミノ酸配列をコードするプロ
ペプチドコード領域であり得る。得られるポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチ
ド(又は多くの場合、チモーゲン)として知られている。プロポリペプチドは一般的に不
活性であり、そしてプロポリペプチドからプロペプチドの触媒又は自己触媒分解により成
熟した活性ポリペプチドに転換され得る。プロペプチドコード領域は、バチルス・サブチ
リ ス ア ル カ リ プ ロ テ ア ー ゼ ( aprE) 、 バ チ ル ス ・ サ ブ チ リ ス 中 性 プ ロ テ ア ー ゼ ( nprT) 、
サッカロミセス・セレビシアエα−因子、リゾムコル・ミエヘイ アスパラギン酸プロテ
イナーゼ遺伝子、及びミセリオプソラ・サーモフィリア ラッカーゼについての遺伝子か
ら 得 ら れ る ( WO95/33836号 ) 。
10
【0098】
シグナルペプチド及びプロペプチド領域の両者がポリペプチドのアミノ末端に存在する
場合、そのプロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の次に位置し、そしてシグナ
ルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の次に位置する。
【0099】
宿主細胞の増殖に関して、ポリペプチドの発現の調節を可能にする調節配列を付加する
ことがまた所望される。調節システムの例は、調節化合物の存在を包含する、化学的又は
物理的刺激に応答して、遺伝子の発現の開始又は停止を引き起こすそれらのシステムであ
る 。 原 核 生 物 系 に お け る 調 節 シ ス テ ム は 、 lac, tac及 び trpオ ペ レ ー タ ー シ ス テ ム お 包 含
す る 。 酵 母 に お い て は 、 ADH2シ ス テ ム 又 は GAL1シ ス テ ム が 使 用 さ れ 得 る 。
20
【0100】
糸 状 菌 に お い て は 、 TAKAα − ア ミ ラ ー ゼ プ ロ モ ー タ ー 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ ー グ ル コ
アミラーゼプロモーター及びアスペルギラス・オリザエグルコアミラーゼプロモーターが
、調節配列として使用さえ得る。調節配列の他の列は、遺伝子増幅を可能にするそれらの
配列である。真核システムにおいては、それらはメトトレキセートの存在下で増幅される
ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、及び重金属と共に増幅されるメタロチオネイン遺伝子
を包含する。それらの場合、ポリペプチドをコードする核酸配列が、調節配列により作用
可能に連結される。
【0101】
発現ベクター:
30
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグ
ナルを含んで成る組換え発現ベクターにも関する。上記の種々の核酸及び制御配列は、1
又は複数の便利な制限部位でポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の挿入又は置換
を可能にするためにそれらの部位を含むことができる組換え発現ベクターを生成するため
に一緒に連結され得る。他方では、本発明のポリヌクレオチド配列は、前記配列又は前記
配列を含んで成る核酸構造体を、発現のための適切なベクター中に挿入することによって
発現され得る。発現ベクターを創造する場合、そのコード配列はベクターに位置し、その
結果、コード配列は発現のための適切な制御配列により作用可能に連結される。
【0102】
組 換 え 発 現 ベ ク タ ー は 、 組 換 え DNA方 法 に 便 利 に ゆ だ ね ら れ 得 、 そ し て ヌ ク レ オ チ ド 配
40
列の発現をもたらすことができるいずれかのベクター(たとえば、プラスミド又はウィル
ス)であり得る。ベクターの選択は典型的には、ベクターが導入される予定である宿主細
胞とベクターとの適合性に依存するであろう。ベクターは、線状又は閉環された環状プラ
スミドであり得る。
【0103】
ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち染色体存在物として存在するベクター
(その複製は染色体複製には無関係である)、たとえばプラスミド、染色体外要素、ミニ
クロモソーム又は人工染色体であり得る。ベクターは自己複製を確かめるためのいずれか
の手段を含むことができる。他方では、ベクターは、糸状菌細胞中に導入される場合、ゲ
ノム中に組み込まれ、そしてそれが組み込まれている染色体と一緒に複製されるベクター
50
(24)
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で あ り 得 る 。 さ ら に 、 宿 主 細 胞 の ゲ ノ ム 中 に 導 入 さ れ る 全 DNA又 は ト ラ ン ス ポ ゾ ン を 一 緒
に含む、単一のベクター又はプラスミド、又は複数のベクター又はプラスミドが使用され
得る。
【0104】
本発明のベクターは好ましくは、形質転換され、トランスフェクトされ、形質導入され
、又は同様の細胞の容易な選択を可能にする1又は複数の選択マーカーを含む。選択マー
カーは、1つの遺伝子であり、その生成物は、殺生物剤又はウィルス耐性、重金属に対す
る耐性、栄養要求性に対する原栄養要求性、及び同様のものを提供する。
【0105】
細菌選択マーカーの例は、バチルス・サブチリス又はバチルス・リケニホルミスからの
10
dal遺 伝 子 、 又 は 抗 生 物 質 、 例 え ば ア ン ピ シ リ ン 、 カ ナ マ イ シ ン 、 ク ロ ラ ム フ ェ ニ コ ー ル
又はテトラサイクリン耐性を付与するマーカーである。酵母宿主細胞のための適切なマー
カ ー は 、 ADE2、 HIS3、 LEU2、 LYS2、 MET3、 TRP1及 び URA3で あ る 。 糸 状 菌 宿 主 細 胞 に 使 用 す
るための選択マーカーは、次の群から選択されるが、但しそれらだけには限定されない;
amdS (ア セ ト ア ミ ダ ー ゼ )、 argB (オ ル ニ チ ン カ ル バ モ イ ル ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ )、 bar (
ホ ス フ ィ ノ ト リ シ ン ア セ チ ル ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ )、 hph (ヒ グ ロ マ イ シ ン ホ ス ホ ト ラ ン ス
フ ェ ラ ー ゼ )、 niaD (硝 酸 レ ダ ク タ ー ゼ )、 pyrG (オ ロ チ ジ ン − 5’ − リ ン 酸 デ カ ル ボ キ シ
ラ ー ゼ )、 sC (硫 酸 ア デ ニ ル ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ ) 及 び trpC (ア ン ト ラ ニ ル 酸 シ ン タ ー ゼ )
、並びにそれらの同等物。アスペルギラス・ニジュランス又はアスペルギラス・オリザエ
の amdS及 び pyrG遺 伝 子 及 び ス ト レ プ ト ミ セ ス ・ ヒ グ ロ ス コ ピ カ ス の bar遺 伝 子 が 、 ア ス ペ
20
ルギラス細胞への使用のために好ましい。
【0106】
本発明のベクターは好ましくは、宿主細胞ゲノム中へのベクターの安定した組み込み、
又は細胞のゲノムに無関係に細胞におけるベクターの自律的複製を可能にする要素を含む
。
【0107】
宿主細胞のゲノム中への組み込みのためには、ベクターは、相同又は非相同組換えによ
るゲノム中へのベクターの安定した組み込みのためのベクター中のポリペプチド、又はい
ずれか他の要素をコードするポリヌクレオチド配列に依存する。他方では、ベクターは、
染色体における正確な位置で宿主細胞のゲノム中への相同組換えによる組み込みを方向づ
30
けるための追加のヌクレオチド配列を含むことができる。正確な位置での組み込みの可能
性を高めるために、組み込み要素は好ましくは、相同組換えの可能性を高めるために対応
す る 標 的 配 列 と 高 い 相 同 性 を 示 す 十 分 な 数 の 核 酸 、 た と え ば 100∼ 10,000個 の 塩 基 対 、 好
ま し く は 400∼ 10,000個 の 塩 基 対 、 及 び 最 も 好 ま し く は 800∼ 10,000個 の 塩 基 対 を 含 む べ き
である。組み込み要素は、宿主細胞のゲノムにおける標的配合と相同であるいずれかの配
列であり得る。さらに、組み込み要素は、非コード又はコードヌクレオチド配列であり得
る。他方では、ベクターは非相同組換えにより宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得る。
【0108】
自律複製のためには、ベクターはさらに、問題の宿主細胞においてのベクターの自律的
な複製を可能にする複製の起点を含んで成る。複製の起点は、細胞において機能する、い
40
ずれかのプラスミドレプリケーター介在性自律複数であり得る。用語“複製の起点”又は
“レプリケーターのプラスミド”とは、プラスミド又はベクターのインビボでの複製を可
能にするヌクレオチド配列として本明細書において定義される。
【0109】
複 製 の 細 菌 起 点 の 例 は 、 E.コ リ に お け る 複 製 を 可 能 に す る プ ラ ス ミ ド pBR322, pUC19, p
ACYC177及 び pACYC184, 及 び バ チ ル ス に お け る 複 製 を 可 能 に す る pUB110, pE194, pTA1060
及 び pAMβ 1 の 複 製 の 起 点 で あ る 。
酵 母 宿 主 細 胞 へ の 使 用 の た め の 複 製 の 起 点 の 例 は 、 複 製 の 2 ミ ク ロ ン 起 点 、 す な わ ち AR
S1, ARS4, ARS1及 び CEN3の 組 み 合 わ せ 、 及 び ARS4及 び CEN6の 組 み 合 わ せ で あ る 。
【0110】
50
(25)
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糸 状 菌 細 胞 に お い て 有 用 な 複 数 の 起 点 の 例 は 、 AMA1及 び ANS1で あ る ( Gems な ど ., 1991
, Gene 98 : 61-67; Cullen な ど ., 1987, Nucleic Acids Research 15: 9163-9175; WO
00/24883号 ) 。 AMA1遺 伝 子 の 単 離 、 及 び 前 記 遺 伝 子 を 含 ん で 成 る プ ラ ス ミ ド 又 は ベ ク タ ー
の 構 成 は 、 WO00/24883号 に 開 示 さ れ る 方 法 に 従 っ て 達 成 さ れ 得 る 。
【0111】
本発明のポリヌクレオチドの1以上のコピーが、遺伝子生成物の生成を高めるために宿
主細胞中に挿入され得る。ポリヌクレオチドのコピー数の上昇は、宿主細胞ゲノム中に配
列の少なくとも1つの追加のコピーを組み込むことによって、又はポリヌクレオチドと共
に増幅可能な選択マーカー遺伝子を含むことによって得られ、ここで細胞は選択マーカー
遺伝子の増幅されたコピーを含み、そしてそれにより、ポリヌクレオチドの追加のコピー
10
が、適切な選択剤の存在下で前記細胞を培養することによって選択され得る。
本発明の組換え発現ベクターを構成するために上記要素を連結するために使用される方
法 は 、 当 業 者 に 良 く 知 ら れ て い る ( 例 え ば 、 Sambrookな ど ., 1989, 前 記 を 参 照 の こ と )
。
【0112】
宿主細胞:
本発明はまた、ポリペプチドの組換え生成において都合良く使用される、本発明のポリ
ヌクレオチドを含んで成る組換え宿主にも関する。本発明のポリヌクレオチドを含んでな
るベクターは、そのベクターが染色体組み込み体として、又は前記のような自己複製染色
体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に導入される。用語“宿主細胞”とは
20
、複製の間に生じる突然変異のために、親細胞と同一ではない親細胞のいずれかの子孫を
包含する。宿主細胞の選択は、ポリペプチドをコードする遺伝子及びその源に、かなりの
程度依存するであろう。
宿主細胞は、単細胞微生物、例えば原核生物、又は単細胞微生物、真核生物であり得る
。
【0113】
有用な単細胞は、細菌細胞、たとえば次のグラム陽性細菌バチルス・アルカロフィラス
、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・サーキュラン
ス、バチルス・クラウシ、バチルス・コアギランス、バチルス・ラウタス、バチルス・レ
ンタス、バチルス・リケニホルミス、バチルス・メガテリウム、バチルス・ステアロサー
30
モフィラス、バチルス・スブチリス及びバチルス・スリンギエンシス、又はストレプトミ
セス細胞、例えばストレプトミセス・リビダンス又はストレプトミセス・ムリナス、又は
次 の グ ラ ム 陰 性 細 菌 : E.コ リ 及 び プ ソ イ ド モ ナ ス sp.( 但 し 、 そ れ ら だ け に は 限 定 さ れ な
い)である。好ましい態様においては、細菌宿主細胞は、バチルス・レンタス、バチルス
・リケニホルミス、バチルス・ステアロサーモフィラス又はバチルス・サブチリス細胞で
ある。もう1つの好ましい態様においては、バチルス細胞は、好アルカリ性バチルスであ
る。
【0114】
細 菌 宿 主 細 胞 中 へ の ベ ク タ ー の 導 入 は た と え ば 、 コ ン ピ テ ン ト 細 胞 ( た と え ば 、 Young
and Spizizin, 1961, Journal of Bacteriology 81: 823-829, 又 は Dubnau and Davidoff
40
-Abelson, 1971, Journal of Molecular Biology 56: 209-221 を 参 照 の こ と ) を 用 い て
プ ロ ト プ ラ ス ト 形 質 転 換 ( た と え ば 、 Changand Cohen, 1979, Molecular General Geneti
cs 168: 111-115) 、 エ レ ク ト ロ ポ レ ー シ ョ ン ( た と え ば 、 Shigekawa and Dower, 1988,
Biotechniques 6: 742-751を 参 照 の こ と ) 又 は 接 合 ( た と え ば 、 Koehler and Thorne, 19
87, Journal of Bacteriology 169: 5771-5278を 参 照 の こ と ) に よ り も た ら さ れ 得 る 。
【0115】
宿主細胞は、真核生物、たとえば哺乳類、昆虫、植物、又は菌類細胞であり得る。
好ましい態様においては、宿主細胞は菌類細胞である“菌類”とは、本明細書において
使 用 さ れ る 場 合 、 門 ア ス コ ミ コ タ ( Ascomycota) 、 バ シ ジ オ ミ コ タ ( Basidiomycota) 、
キ ト リ ジ オ ミ コ タ ( Chytridiomycota) 及 び ヅ イ ゴ ミ コ タ ( Zygomycota) ( Hawksworth な
50
(26)
ど ., Ainsworth and Bisby’ s Dictionary of the Fungi, 8
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t h
edition, 1995, CAB Inte
rnational, University Press, Cambridge, UKに よ り 定 義 さ れ る ) 、 及 び オ ー ミ コ タ ( Oo
mycota) ( Hawksworth な ど ., 1995, 前 記 、 171ペ ー ジ に 引 用 さ れ る ) 、 並 び に 栄 養 胞 子
菌 ( Hawksworh な ど ., 1995, 前 記 ) を 包 含 す る 。
【0116】
より好ましい態様においては、菌類宿主細胞は酵母細胞である“酵母”とは、本明細書
に お い て 使 用 さ れ る 場 合 、 子 嚢 胞 子 酵 母 ( Endomycetals) 、 担 子 胞 子 酵 母 、 及 び 不 完 全 菌
類 ( Blastomycetes) に 属 す る 酵 母 を 包 含 す る 。 酵 母 の 分 類 は 未 来 に お い て 変 化 し 得 る の
で 、 本 発 明 の た め に は 、 酵 母 は 、 Biology and Activities of Yeast (Skinner, F.A., Pa
ssmore, S.M., and Davenport, R.R., eds. Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No
10
. 9, 1980) に 記 載 の よ う に し て 定 義 さ れ る で あ ろ う 。
【0117】
さ ら に よ り 好 ま し い 態 様 に お い て は 、 酵 母 宿 主 細 胞 は 、 カ ン ジ ダ ( Candida) 、 ハ ン セ
ヌ ラ ( Hunsenula) 、 ク レ ベ ロ ミ セ ス ( Kluyveromyces) 、 ピ チ ア ( Pichia) 、 サ ッ カ ロ ミ
セ ス ( Saccharomyces) 、 シ ゾ サ ッ カ ロ ミ セ ス ( Schizosaccharomyces) 又 は ヤ ロ ウ ィ ア (
Yarrowia) で あ る 。
【0118】
最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、サッカロミセス・カルスベルゲンシス
( Saccharomyces carlsbergensis) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ レ ビ シ ア エ ( Saccharomyses ce
revisiae) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ ジ ア ス タ チ カ ス ( Saccharomyces diastaticus) 、 サ ッ カ
20
ロ ミ セ ス ・ ド ウ グ ラ シ ( Saccharomyces douglasii) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ ク ル イ ビ リ ( Sac
charomyces kluyveri) 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ ノ ル ベ ン シ ス ( Saccharomyces norbensisi)
、 又 は サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ オ ビ ホ ル ミ ス ( Saccharomyces oviformis) 細 胞 で あ る 。 も う 1つ
の 最 も 好 ま し い 態 様 に お い て は 、 酵 母 宿 主 細 胞 は 、 来 る べ ろ ミ セ ス ・ ラ ク チ ス ( Kluyvero
myces lactis) で あ る 。 も う 1 つ の 最 も 好 ま し い 態 様 に お い て は 、 酵 母 宿 主 細 胞 は 、 ヤ ロ
ウ ィ ア ・ リ ポ リ チ カ ( Yarrowia lipolytica) 細 胞 で あ る 。
【0119】
もう1つのより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は糸状菌細胞である。“糸状菌
” と は 、 ユ ー ミ コ タ ( Eumycota) 及 び オ ー ミ コ タ ( Oomycota) の す べ て の 糸 状 形 を 包 含 す
る ( Hawksworthな ど ., 1995, 前 記 に よ り 定 義 さ れ る よ う な ) 。 糸 状 菌 は 一 般 的 に 、 キ チ
30
ン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン及び他の複合多糖類から構成される菌子
体壁により特徴づけられる。成長増殖は、菌子拡張によってであり、そして炭素代謝は絶
対好気性である。対照的に、酵母、たとえばサッカロミセス・セレビシアエによる成長増
殖は、単細胞葉状体の発芽によってであり、そして炭素代謝は発酵性である。
【0120】
さ ら に よ り 好 ま し い 態 様 に お い て は 、 糸 状 菌 宿 主 細 胞 は 、 ア ク レ モ ニ ウ ム ( Acremonium
) 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ( Aspergillus) 、 ア ウ レ オ バ シ ジ ウ ム ( Aureobasidium) 、 ビ ジ ェ ル
カ ン デ ラ ( Bjerkandera) 、 セ リ ポ リ オ プ シ ス ( Ceriporiopsis) 、 コ プ リ ナ ス ( Coprinus
) 、 コ リ オ ル ス ( Coriolus) 、 ク リ プ ト コ ー カ ス ( Cryptococcus) 、 フ ィ リ バ シ ジ ウ ム (
Filibasidium) 、 フ サ リ ウ ム ( Fusarium) 、 ヒ ュ ー ミ コ ラ ( Humicola) 、 マ グ ナ ポ ル セ (
40
Magnaporthe) 、 ム コ ル ( Mucor) 、 ミ セ リ オ プ ソ ラ ( Myceliophthora) 、 ネ オ カ リ マ ス チ
ッ ク ス ( Neocallimastix) 、 ネ ウ ロ ス ポ ラ ( Neurospora) 、 パ エ シ ロ ミ セ ス ( Paecilomyc
es) 、 ペ ニ シ リ ウ ム ( Penicilium) 、 フ ァ ネ ロ カ エ テ ( Phanerochaete) 、 フ ィ エ ビ ア ( P
hlebia) 、 ピ ロ マ イ セ ス ( Piromyces) 、 プ レ ウ ロ タ ス ( Pleurotus) 、 シ ゾ フ ィ ラ ム ( Sc
hizophyllum) 、 タ ラ ロ ミ セ ス ( Talaromyces) 、 サ ー モ ア ス カ ス ( Thermoascus) 、 チ エ
ラ ビ ア ( Thielavia) 、 ト リ ポ ク ラ ジ ウ ム ( Tolypocladium) ト ラ メ テ ス ( Trametes) 又 は
ト リ コ ダ ー マ ( Trichoderma) の 種 の 細 胞 で あ る が 、 但 し そ れ ら だ け に は 限 定 さ れ な い 。
【0121】
最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アスペルギラス・アワモリ、アスペ
ルギラス・フミガタス、アスペルギラス・ホエチダス、アスペルギラス・ジャポニカ、ア
50
(27)
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スペルギラス・ニジュランス、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・オリザエ細
胞である。
【0122】
も う 1つ の 最 も 好 ま し い 態 様 に お い て は 、 糸 状 菌 宿 主 細 胞 は 、 フ サ リ ウ ム ・ バ ク ト リ ジ
オイデス、フサリウム・クロックウェレンズ 、フサリウム・セレアリス、フサリウム・
クルモラム、フサリウム・グラミネアラム、フサリウム・グラミナム、フサリウム・ヘテ
ロスポラム、フサリウム・ネグンジ、フサリウム・オキシスポラム、フサリウム・レチキ
ュラタム、フサリウム・ロゼウム、フサリウム・サムブシウム、フサリウム・サルコクロ
ウム、フサリウム・ソラニ、フサリウム・スポロトリキオイデス、フサリウム・スルフレ
ウム、フサリウム・トルロサム、フサリウム・トリコセシオイデス又はフサリウム・ベネ
10
ナタム細胞である。もう1つの最も好ましい観点においては、糸状菌宿主細胞は、ビジェ
ル カ ン デ ラ ・ ア ダ ス タ ( Bjerkandera adusta) 、 セ リ ポ リ オ プ シ ス ・ ア ネ イ リ ナ ( Cerip
oriopsis aneirina) 、 セ リ ポ リ オ プ シ ス ・ カ レ ギ エ ア ( Ceriporiopsis caregiea) 、 セ
リ ポ リ オ プ シ ス ・ ギ ル ベ ス セ ン ス ( Ceriporiopsis gilvescens) 、 セ リ ポ リ オ プ シ ス ・ パ
ノ シ ン タ ( Ceriporiopsis pannocinta) 、 セ リ ポ リ オ プ シ ス ・ リ ブ ロ サ ( Ceriporiopsi
s rivulosa) 、 セ リ ポ リ オ プ シ ス ・ ス ブ ル フ ァ ( Ceriporiopsis subrufa) 、 セ リ ポ
リ オ プ シ ス ・ ス ブ ベ ル ミ ス ポ ラ ( Ceriporiopsis subvermispora) 、 コ プ リ ン ス ・ シ ネ レ
ウ ス ( Coprins cinereus) 、 コ リ オ ラ ス ・ ヒ ス タ ス ( Coriolus hirsutus) 、 ヒ ュ ー ミ コ
ラ・インソレンス、ヒューミコラ・ラヌギノサ、ムコル・ミエヘイ、ミセリオプソラ・サ
ーモフィリア、ネウロスポラ・クラサ、ペニシリウム・プルプロゲナム、ファネロカエテ
20
・ ク リ ソ ス ポ リ ウ ム ( Phanerochaete chrysosporium) 、 フ レ ビ ア ・ ラ ジ ア タ ( Phlebia r
adiata) 、 プ レ ウ ロ タ ス ・ エ リ ン ギ ( Pleurotus eryngii) 、 チ エ ラ ビ ア ・ テ レ ス ト リ ス
、 ト ラ メ テ ス ・ ビ ロ サ ( Trametes villosa) 、 ト ラ メ テ ス ・ ベ ル シ コ ロ ル ( Trametes ver
sicolor) 、 ト リ コ ダ ー マ ・ ハ ル ジ ア ナ ム 、 ト リ コ ダ ー マ ・ コ ニ ン ギ 、 ト リ コ ダ ー マ ・ ロ
ンジブラキアタム、トリコダーマ・レセイ又はトリコダーマ・ビリデ細胞である。
【0123】
菌類細胞は、プロトプラスト形質転換、プロトプラストの形質転換、及びそれ自体知ら
れている態様での細胞壁の再生を包含する工程により形質転換され得る。アスペルギラス
宿 主 細 胞 の 形 質 転 換 の た め の 適 切 な 方 法 は 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 238023号 及 び Yeltonな ど .,
1984, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81; 1474-1874に 記 載 さ
30
れ る 。 フ ラ リ ウ ム 種 を 形 質 転 換 す る た め の 適 切 な 方 法 は 、 Malardierな ど ., 1989, Gene78
: 147-156, 及 び WO96/00787号 に よ り 記 載 さ れ る 。 酵 母 は 、 Becker and Guarente. In Abe
lson, J.N. and Simon, M.I., editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biolo
gy, Methods in Enzymology, Volume 194, pp 182-187, Academic Press, Inc., New Yor
k; Ito な ど , 1983, Journal of Bacteriology 153: 163; 及 び Hinnen な ど , 1978, Proc
eedings of the National Academy of Sciences USA 75; 1920に よ り 記 載 さ れ る 方 法 を 用
いて形質転換され得る。
【0124】
生成方法:
本 発 明 は ま た 、 ( a) そ の 野 生 型 に お い て 、 ポ リ ペ プ チ ド を 生 成 で き る 細 胞 を 、 ポ リ ペ
40
プ チ ド の 生 成 の 助 け に 成 る 条 件 か で 培 養 し ; そ し て ( b) ポ リ ペ プ チ ド を 回 収 す る こ と を
含んで成る、本発明のポリペプチドを生成するための方法にも関する。好ましくは、前記
細胞は、サーモアスカス属、及びより好ましくは、サーモアスカス・アウレウニアタスで
ある。
【0125】
本 発 明 は ま た 、 ( a) ポ リ ペ プ チ ド の 生 成 を 助 け る 条 件 下 で 宿 主 細 胞 を 培 養 し ; そ し て
( b) ポ リ ペ プ チ ド を 回 収 す る こ と を 含 ん で 成 る 、 本 発 明 の ポ リ ペ プ チ ド を 生 成 す る た め
の方法にも関する。
本発明はまた、(a)ポリペプチドの生成の助けとなる条件下で宿主細胞を培養し、こ
こで前記宿主細胞は配列番号1の成熟ポリペプチドコード領域に少なくとも1つの突然変
50
(28)
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異を有する変異体ヌクレオチド配列を含んで成り、そして前記変異体ヌクレオチド配列は
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250か ら 成 る ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド し ; そ し て ( b ) 前 記 ポ リ
ペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドの生成方法にも関する。
【0126】
本発明の生成方法においては、細胞は、当業界において知られている方法を用いて、ポ
リペプチドの生成のために適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、ポリペ
プ チ ド の 発 現 及 び /又 は 単 離 を 可 能 に す る 、 適 切 な 培 地 に お い て 、 及 び 条 件 下 で 行 わ れ る
実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、
バッチ、供給バッチ、又は団体状態発酵を包含する)により培養され得る。培養は、炭素
及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られてい
10
る方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(
例 え ば 、 American Type Culture Collection の カ タ ロ グ に お け る ) に 従 っ て 調 製 さ れ 得
る。ポリペプチドが栄養培地に分泌される場合、ポリペプチドは培地から直接的に回収さ
れ得る。ポリペプチドが分泌されない場合、それは細胞溶解物から回収され得る。
【0127】
セルロース分解増強活性を有するポリペプチドは、そのポリペプチドに対して特異的で
ある、当業界において知られている方法を用いて検出され得る。
得られるポリペプチドは、当業界において知られている方法により回収され得る。例え
ば、ポリペプチドは、従来の方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧−乾燥、蒸発又は
沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から回収され得る。
20
【0128】
本発明のポリペプチドは、当業界において知られている種々の方法、実質的に純粋なポ
リペプチドを得るために、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎
水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点
電 気 泳 動 ) 、 示 差 溶 解 性 ( 例 え ば 、 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム 沈 殿 ) 、 SDS− PAGE又 は 抽 出 ( 但 し
、 そ れ ら だ け に は 限 定 さ れ な い ) に よ り 精 製 さ れ 得 る ( 例 え ば 、 Protein Purification,
J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publlishers, New York, 1989を 参 照 の こ と
)。
【0129】
植物:
30
本発明はまた、ポリペプチドを、回収可能な量で発現し、そして生成するために、本発
明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列により形質転換
されている、トランスジェニック植物、植物部分又は植物細胞にも関する。ポリペプチド
は、植物又は植物部分から回収され得る。他方では、組換えポリペプチドを含む植物又は
植物部分が、食品又は飼料の品質を改良するために、例えば、栄養価値、味のよさ及び流
動性質を改良するために、又は抗栄養因子を破壊するために使用され得る。
【0130】
トランスジェニック植物は、双子葉植物又は単子葉植物であり得る。単子葉植物の例は
、草、たとえば湿地帯を好む草(イチゴツナギ属の草、イネ科)、飼草、たとえばウシノ
ケグサ・トボシガラ、ドクムギ、温帯性草、たとえばヌカボ、及び穀草類、たとえば小麦
40
、カラスムギ、ライ麦、大麦、イネ、モロコシ及びトウモロコシである。
双子葉植物の例は、タバコ、マメ科植物、たとえばハウチワマメ、ジャガイモ、テンサ
イ 、 エ ン ド ウ 、 豆 及 び 大 豆 、 並 び に ア ブ ラ ナ 科 ( ブ ラ シ カ セ ア エ 科 ( Brassicaceae) ) 、
たとえばカリフラワー、ナタネ及び密接に関連するモデル生物アラビドプシス・タリアナ
( Arabidopsis Thaliana) で あ る 。
【0131】
植物部分の例は、茎、カルス、葉、根、果物、種子、及び塊根、並びにそれらの一部を
含んで成る個々の組織、例えば表皮、葉肉、柔組織、維管束系、分裂組織である。特定の
植 物 組 織 、 例 え ば ク ロ ロ プ ラ ス ト 、 ア ポ プ ラ ス ト ( apoplast) 、 ミ ト コ ン ド リ ア 、 液 胞 、
ペルオキシソーム、及び細胞質が植物部分であると思われる。さらに、いずれの植物細胞
50
(29)
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でも、その組織起源が何であろうと、植物部分であると見なされる同様に、植物部分、例
えば本発明の利用性を促進するために単離された特定の組織及び細胞もまた、植物部分、
例えば胚、内胚乳、糊粉及び種子皮として見なされる。
【0132】
また、そのような植物、植物部分及び植物細胞の子孫も、本発明の範囲内に包含される
。
本発明のポリペプチドを発現するトランスジェニック植物又は植物細胞は、当業界にお
いて知られている方法に従って構成され得る。手短には、植物又は植物細胞は、本発明の
ポリペプチドをコードする1又は複数の発現構造体を植物宿主ゲノム又はクロロプラスト
ゲノム中に組み込み、そしてその得られる修飾された植物又は植物細胞をトランスジェニ
10
ック植物又は植物細胞に生長せしめることによって構成される。
【0133】
便利には、発現構造体は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、選
択の植物又は植物部分において前記ヌクレオチド配列の発現のために必要とされる適切な
調 節 配 列 と 共 に 作 用 可 能 に 関 連 し て 含 ん で な る DNA構 造 体 で あ る 。 さ ら に 、 発 現 構 造 体 は
、その発現構造体が組み込まれている宿主細胞を同定するために有用である選択マーカー
、 及 び 問 題 の 植 物 中 へ の 前 記 構 造 体 の 導 入 の た め に 必 要 な DNA配 列 を 含 む こ と が で き る (
後 者 は 、 使 用 さ れ る DNA導 入 方 法 に 依 存 す る ) 。
【0134】
調節配列、たとえばプロモーター及びターミネーター配列、及び任意には、シグナル又
20
は遷移配列の選択は、ポリペプチドがいつ、どこで及びいかにして、発現されるかの所望
に基づいて決定される。たとえば、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の発現は、
構造的又は誘発的であり、又は進行的、段階的又は組織特異的であり、そして遺伝子生成
物は特定の組織又は植物部分、たとえば種子又は葉に標的化され得る。調節配列は、たと
え ば Tague な ど ., Plant Phys., 86: 506, 1988に よ り 記 載 さ れ て い る 。
【0135】
構 成 的 発 現 の た め に は 、 35S− CaMVプ ロ モ ー タ ー 、 ト ウ モ ロ コ シ ユ ビ キ チ ン 1 、 及 び 米
ア ク チ ン 1プ ロ モ ー タ ー が 使 用 さ れ 得 る ( Franck な ど ., 1980, Cell 21 : 285-294, Chri
stensen な ど , 1992, Plant Mo. Biol. 18: 675-689; Zhang な ど ., 1991, Plant Cell 3
: 1155-1165) 。 器 官 − 特 異 的 プ ロ モ ー タ ー は 、 貯 蔵 組 織 た と え ば 種 子 、 ジ ャ ガ イ モ 塊 茎
30
、 及 び 果 物 ( Edwards & Coruzzi, 1990, Annu. Rev. Genet. 24: 275-303) 、 又 は 代 謝 組
織 、 た と え ば 分 裂 組 織 ( Ito な ど ., 1994, Plant Mol. 24: 863-878) か ら の プ ロ モ ー タ
ー、又は種子特異的プロモーター、たとえばイネからのグルテリン、プロラミン、グロブ
リ ン 又 は ア ル ブ ミ ン プ ロ モ ー タ ー ( Wu な ど ., Plant and Cell Physiology Vol.34, No.3
9, No.8, pp.885-889 (1998)) 、 Conrad U. な ど , Journal of Plant Physiology Vol. 1
52, No.6, pp.708-711 (1998)に よ り 記 載 さ れ る ビ シ ア ・ フ ァ バ ( Vicia faba) か ら の レ
グ ミ ン B4 及 び 未 知 の 種 子 タ ン パ ク 質 遺 伝 子 か ら の ビ シ ア ・ フ ァ バ プ ロ モ ー タ ー 、 種 子 油
本 体 の タ ン パ ク 質 か ら の プ ロ モ ー タ ー ( Chen な ど ., Plant and Cell Physiology Vol.39
, No.9, pp.935-941 (1998)) 、 ブ ラ シ カ ・ ナ パ ス ( Brassica napus) か ら の 貯 蔵 タ ン パ
ク 質 napAプ ロ モ ー タ ー 、 又 は た と え ば WO91/14772号 に 記 載 の よ う な 当 業 界 に お い て 知 ら れ
40
ているいずれか他の種子特異的プロモーターであり得る。
【0136】
さ ら に 、 プ ロ モ ー タ ー は 、 葉 特 異 的 プ ロ モ ー タ ー 、 た と え ば 株 又 は ト マ ト か ら の rbcsプ
ロ モ ー タ ー ( Kyozuka な ど ., Plant Physiology Vol.102, No.3, pp.991-1000 (1993))
、 コ レ ラ ウ ィ ル ス あ で の メ チ ル ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ 遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー ( Mitra, A. and
Higgins, DW, Plant Molecular Biology Vol.26, No.1, pp.85-93 (1994)) 、 又 は イ ネ か
ら の aldP遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー ( Kagayaな ど ., Molecular and General Genetics Vol.248,
No.6, pp.668-674 (1995)) 、 又 は 創 傷 誘 発 性 プ ロ モ ー タ ー 、 た と え ば ジ ャ ガ イ モ pin2
プ ロ モ ー タ ー ( Xuな ど ., Plant Molecular Biology Vol.22, No.4, pp.573-588 (1993))
であり得る。同様に、プロモーターは、非生物処理、例えば温度、渇水又は塩分濃度の変
50
(30)
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更により誘発され得るか、又はプロモーターを活性化する外部から適用される物質、例え
ばエタノール、エストロゲン、植物ホルモン、例えばエチレン、アブシジン酸及びジベレ
リン酸、並びに重金属により誘発され得る。
【0137】
プロモーターエンハンサー要素は、植物において、本発明のポリペプチドのより高い発
現を達成するために使用され得る。たとえば、プロモーターエンハンサー要素は、プロモ
ーターと本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列との間に配置されるイント
ロ ン で あ り 得 る 。 た と え ば 、 Xuな ど 、 前 記 は 、 発 現 を 増 強 す る た め に イ ネ ア ク チ ン 1 遺 伝
子アクチン1遺伝子の第1イントロンの使用を開示する。
【0138】
10
選択マーカー遺伝子、及び発現構造体のいずれかの他の部分は、当業界において入手で
きるものから選択され得る。
核酸構造体は、当業界において知られている従来の技法、たとえばアグロバクテリウム
−介在性形質転換、ウィルス−介在性形質転換、マイクロインジェクション、粒子衝撃、
バイオリスティク形質転換、及びエレクトロポレーションに従って、植物ゲノム中に組込
ま れ る ( Gasser な ど ., Science, 244, 1293; Potrykus, Bio/tech. 8,535,1990; Shimam
oto な ど ., Natune, 338, 274, 1989) 。
【0139】
現在、アグロバクテリウム・ツメファシエンス介在性遺伝子トランスファーは、トラン
ス ジ ェ ニ ッ ク 双 子 葉 植 物 を 生 成 す る た め の 好 ま し い 方 法 ( Hooykas & Schilperoort, 1992
20
, Plant Mol. Biol. 19: 15-38を 参 照 の こ と ) で あ る が 、 し か し な が ら 、 そ れ は ま た 、 他
の形質転換方法が一般的に、それらの植物のためには好ましいけれども、単子葉植物を形
質転換するためにも使用され得る。現在、トランスジェニック単子葉植物を生成するため
の 好 ま し い 方 法 は 、 胚 カ ル ス 又 は 成 長 す る 胚 の 粒 子 衝 撃 法 ( 形 質 転 換 性 DNAに よ り 被 覆 さ
れ た 微 小 金 又 は タ ン グ ス テ ン 粒 子 ) で あ る ( Christou, 1992, Plant J. 2: 275-281; Shi
mamoto, 1994, Curr. Opin. Biotechnol. 5: 158-162; Vasil な ど ., 1992, Bio/Technol
ogy 10: 667-674) 。 単 子 葉 植 物 の 形 質 転 換 の た め の 他 の 方 法 は 、 Omirulleh B, な ど ., P
lant Molecular Biology Vol. 21, No.3, pp.415-428 (1993) に よ り 記 載 さ れ る よ う に 、
プロトプラスト形質転換に基づかれている。
【0140】
30
形質転換に続いて、発現構造体を組み込んでいる形質転換体が、当業界において良く知
られている方法に従って、選択され、そして完全な植物に再生される。しばしば、形質転
換 方 法 は 、 例 え ば 2 種 の 別 々 の T− DNA構 造 体 に よ る 同 時 形 質 転 換 、 又 は 特 異 的 組 換 え 酵 素
による選択遺伝子の部位特異的切除を用いることにより、再生の間、又は次の生成にいて
、選択遺伝子の選択的排除のために企画される。
【0141】
本発明はまた、(a)ポリペプチドの生成のために適切な条件下で、本発明のセルロー
ス分解増強活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んで成るトラン
スジェニック植物又は植物細胞を培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収すること
を含んで成る本発明のポリペプチドを生成するための方法にも関する。
40
【0142】
セルロース分解増強活性の除去又は低減:
本発明はまた、同じ条件下で培養される場合、親細胞よりもポリペプチドを少なく生成
する変異体細胞をもたらす、本発明のポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列
又はその一部を破壊し、又は欠失することを含んで成る、親細胞の変異体細胞を生成する
ための方法にも関する。
【0143】
変異体細胞は、当業界において知られている方法、例えば挿入、破壊、置換又は欠失を
用いて、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を低めるか又は排除
することにより構成され得る。好ましい観点においては、ヌクレオチド配列が不活性化さ
50
(31)
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れる。修飾されるか又は不活性化されるヌクレオチド配列は、活性のために必須のコード
領域又はその一部、又はコード領域の発現のために必要とされる調節要素であり得る。そ
のような調節又は制御配列の例は、プロモーター配列又はその機能的部分、すなわちヌク
レオチド配列の発現に影響を及ぼすのに十分である部分であり得る。可能性ある修飾のた
めの他の制御配列は、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプ
チド配列、転写ターミネーター及び転写活性化因子を包含するが、但しそれらだけには限
定されない。
【0144】
ヌクレオチド配列の修飾又は不活性化は、親細胞を突然変異誘発にゆだね、そしてヌク
レオチド配列の発現が低められているか、又は排除されている変異体細胞を選択すること
10
によって行われ得る。特異的又はランダムであり得る突然変異誘発は、例えば適切な物理
的又は化学的突然変異誘発剤の使用により、適切なオリゴヌクレオチドの使用により、又
は DNA配 列 を PCR生 成 さ れ た 突 然 変 異 誘 発 に ゆ だ ね る こ と に よ り 行 わ れ 得 る 。 さ ら に 、 突 然
変異誘発は、それらの突然変異誘発剤のいずれかの組み合わせの使用により行われ得る。
【0145】
本 発 明 の た め に 適 切 な 物 理 的 又 は 化 学 的 突 然 変 異 誘 発 剤 の 例 は 、 紫 外 線 ( UV) 照 射 、 ヒ
ド ロ キ シ ル ア ミ ン 、 N− メ チ ル − N’ − ニ ト ロ − N− ニ ト ロ ソ グ ア ニ ジ ン ( MNNG) 、 O− メ チ
ル ヒ ド ロ キ シ ル ア ミ ン 、 亜 硝 酸 、 エ チ ル メ タ ン ス ル ホ ネ ー ト ( EMS) 、 亜 硫 酸 水 素 ナ ト リ
ウム、蟻酸及びヌクレオチド類似体を包含する。
そのような剤が使用される場合、突然変異誘発は典型的には、選択の突然変異誘発の存
20
在下で、適切な条件下で、突然変異誘発されるベき親細胞をインキュベートし、そして低
め ら れ た 又 は 発 現 の な い 遺 伝 子 を 示 す 変 異 体 細 胞 を ス ク リ ー ニ ン グ し 、 そ し て /又 は 選 択
することによって行われる。
【0146】
ヌクレオチド配列の修飾又は不活性化は、その転写又は翻訳のために必要とされる遺伝
子又は調節要素における1又は複数のヌクレオチドの導入、置換又は除去により達成され
得る。例えば、ヌクレオチドは、停止コドン導入、開始コドンの除去又は読み取り枠の変
更をもたらすために、挿入され又は除去され得る。そのような修飾又は不活性化は、当業
者 に お い て 知 ら れ て い る 方 法 に 従 っ て 、 特 定 部 位 の 突 然 変 異 誘 発 又 は PCR生 成 さ れ た 突 然
変異誘発により達成され得る。主に、修飾はインビボで、すなわち修飾されるべきヌクレ
30
オチド配列を発現する細胞に対して直接的に行われ得るが、修飾は下記に例示されるよう
にインビトロで行われ得ることが好ましい。
【0147】
細胞によるヌクレオチド配列の発現を排除するか又は低めるための便利な手段の例は、
遺伝子置換、遺伝子欠失又は遺伝子破壊の技法に基づかれている。例えば、遺伝子破壊方
法においては、内因性ヌクレオチド配列に対応する核酸配列が、欠失遺伝子を生成するた
めに、親細胞を形質転換する欠失性核酸配列を生成するようインビトロで突然変異誘発さ
れる。相同組換えにより、その欠失性核酸配列は、その内因性ヌクレオチド配列を置換す
る。その欠失性ヌクレオチド配列はまた、ヌクレオチド配列が修飾されるか又は破壊され
ている形質転換体の選択のために使用され得るマーカーをコードする。特に好ましい観点
40
においては、ヌクレオチド配列は、選択マーカー、例えば本明細書に記載されるそれらに
より破壊される。
【0148】
他方では、ヌクレオチド配列の修飾又は不活性化は、ヌクレオチド配列に対して相補的
な 配 列 を 用 い て 、 確 立 さ れ た ア ン チ セ ン ス 又 は RNAi技 法 に よ り 行 わ れ 得 る 。 よ り 特 定 に は
、細胞によるヌクレオチド配列の発現は、細胞において転写され得、そして細胞において
生 成 さ れ る ポ リ ペ プ チ ド mRNAに 対 し て ハ イ ブ リ ダ イ ズ す る こ と が で き る 遺 伝 子 の ヌ ク レ オ
チド配列に対して相補的な配列を導入することによって低められ又は排除され得る。相補
的 ア ン チ セ ン ス ヌ ク レ オ チ ド 配 列 の mRNAへ の ハ イ ブ リ ダ イ ズ を 可 能 に す る 条 件 下 で 、 翻 訳
されるタンパク質の量は低められ又は排除される。
50
(32)
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【0149】
本発明はさらに、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又はその制御配列の破壊
又は欠失を含んで成り、又は親細胞に比較してポリペプチドを少なく生成するか、又は全
く生成しない変異体細胞をもたらす、親細胞の変異体細胞に関する。
【0150】
そ の よ う に し て 創 造 さ れ た ポ リ ペ プ チ ド 欠 失 変 異 体 細 胞 は 、 生 来 の 及 び /又 は 異 種 タ ン
パク質の発現のための宿主細胞として特に有用である。従って、本発明はさらに、(a)
タンパク質の生成のために適切な条件下で変異体細胞を培養し;そして(b)タンパク質
を回収することを含んで成る、生来の又は異種タンパク質の生成方法に関する。用語“異
種タンパク質”とは、宿主細胞に対して生来ではないタンパク質、生来の配列を変更する
10
た め に 修 飾 が 行 わ れ て い る 生 来 の タ ン パ ク 質 、 又 は そ の 発 現 が 組 換 え DNA技 法 に よ る 宿 主
細胞の操作の結果として定量的に変更されている生来のタンパク質として本明細書におい
て定義される。
【0151】
さらなる観点においては、本発明は、本発明のポリペプチド及び興味あるタンパク質生
成物の両者を生成する細胞の発酵によりセルロース分解増強活性を実質的に有さないタン
パク質生成物の生成方法に関し、ここで前記方法は、発酵が完結される前、その間、又は
完結された後、セルロース分解増強活性を阻害することができる、有効量の剤を、発酵ブ
イヨンに添加し、その発酵ブイヨンから興味ある生成物を回収し、そして任意には、回収
された生成物を、さらなる精製にゆだねることを含んで成る。
20
【0152】
さらなる観点においては、本発明はセルロース分解増強活性を実質的に有さないタンパ
ク質生成物の生成方法に関し、ここで前記方法は、細胞を、生成物の発現を可能にする条
件下で培養し、セルロース分解増強活性を実質的に低めるために、前記得られる培養物ブ
イ ヨ ン を 、 組 み 合 わ さ れ た pH及 び 温 度 処 理 に ゆ だ ね 、 そ し て 培 養 物 ブ イ ヨ ン か ら 生 成 物 を
回 収 す る こ と を 含 ん で 成 る 。 他 方 で は 、 前 記 組 み 合 わ さ れ た pH及 び 温 度 処 理 は 、 培 養 物 ブ
イ ヨ ン か ら 回 収 さ れ た 酵 素 調 製 物 に 対 し て 行 な わ れ 得 る 。 前 記 組 み 合 わ さ れ た pH及 び 温 度
処理は任意には、セルロース分解増強インヒビターによる処理と組合して使用され得る。
【0153】
本 発 明 の こ の 観 点 に よ れ ば 、 セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 の 少 な く と も 60% 、 好 ま し く は 少
30
な く と も 75% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 85% 、 さ ら に よ り 好 ま し く は 少 な く と も 95% 、
及 び 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 99% を 除 去 す る こ と が 可 能 で あ る 。 セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活
性の完全な除去は、この方法の使用により得られる。
前 記 組 み 合 わ さ れ た pH及 び 温 度 処 理 は 好 ま し く は 、 所 望 す る 効 果 を 達 成 す る た め の 十 分
な 時 間 、 4 ∼ 5 の 範 囲 の pH及 び 80∼ 90℃ の 範 囲 の 温 度 で 行 わ れ る 。
興味ある生成物の培養及び精製のために使用される方法は、当業界において知られてい
る方法により行われ得る。
【0154】
セルロース分解増強を実質的に有さない生成物を生成するための本発明の方法は、真核
生物ポリペプチド、特に菌類タンパク質、例えば酵素の生成において特に興味あるもので
40
ある。前記酵素は、例えば澱粉分解酵素、脂肪分解酵素、タンパク質分解酵素、細胞分解
酵素、オキシドレダクターゼ又は植物細胞壁分解酵素から選択され得る。
【0155】
そのような酵素の例は、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、カ
ルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラ
ーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリン、グルコシルトランスフェラーゼ、
デオキシリボヌクレアーゼ、エンドグルカナーゼ、エステラーゼ、ガラクトシダーゼ、β
−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、α−又はβ−グルコ
シダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ヘミセルラーゼ、インバーターゼ、イソメラーゼ、ラ
ッカーゼ、リガーゼ、リパーゼ、リアーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分
50
(33)
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解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、フェノールオキシダーゼ、ポリフェノールオキ
シダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスフェラーゼ、トランスグル
タミナーゼ又はキシラナーゼを包含する。セルロース分解増強欠失細胞はまた、医薬的に
興味あるもの、例えばホルモン、成長因子、受容体及び同様のものの異種タンパク質を発
現するために使用され得る。
【0156】
用語“真核生物ポリペプチド”とは、生来のポリペプチドのみだけではなく、またアミ
ノ 酸 置 換 、 欠 失 又 は 付 加 、 又 は 活 性 、 熱 安 定 性 、 pH耐 性 及 び 同 様 の も の を 増 強 す る た め の
他のそのような修飾により修飾されているそれらのポリペプチド、例えば酵素を包含する
。
10
もう1つの観点においては、本発明は、本発明の方法により生成される、セルロース分
解増強活性を実質的に有さないタンパク質生成物に関する。
【0157】
組成物:
本発明はまた、本発明のポリペプチドを含んで成る組成物にも関する。好ましくは、組
成物は、そのようなポリペプチドにおいて富化される。用語“富化される”とは、組成物
の セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 が 、 例 え ば 、 少 な く と も 1.1の 富 化 因 子 、 高 め ら れ る こ と を 示
す。
【0158】
組成物は、主要成分、例えば単一成分組成として本発明のポリペプチドを含んで成る。
20
他方では、組成物はさらに、1又は複数の酵素活性、例えばアミノペプチダーゼ、アミラ
ーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ
、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリン、グリコシルトランスフェ
ラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エンドグルカナーゼ、エステラーゼ、α−ガラクト
シダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコ
シダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インバーターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダ
ーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、
フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、ト
ランスグルタミナーゼ又はキシラナーゼを含んで成る。追加の酵素は例えば、次の属及び
種に属する微生物により生成され得る:アスペルギラス、好ましくはアスペルギラス・ア
30
キュレアタス、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・フミガタス、アスペルギラ
ス・ホエチダス、アスペルギラス・ジャポニカ、アスペルギラス・ニジュランス、アスペ
ルギラス・ニガー又はアスペルギラス・オリザエ;フサリウム、好ましくはフサリウム・
バクトリジオイデス、フサリウム・セレアリス、フサリウム・クロックウェレンズ 、フ
サリウム・クルモラム、フサリウム・グラミネアラム、フサリウム・グラミナム、フサリ
ウム・ヘテロスポラム、フサリウム・ネグンジ、フサリウム・オキシスポラム、フサリウ
ム・レチキュラタム、フサリウム・ロゼウム、フサリウム・サムブシウム、フサリウム・
サルコクロウム、フサリウム・スルフレウム、フサリウム・トルロサム、フサリウム・ト
リコセシオイデス又はフサリウム・ベネナタム;ヒューミコラ、好ましくはヒューミコラ
・インソレンス、又はヒューミコラ・ラヌギノサ;又はトリコダーマ、好ましくはトリコ
40
ダーマ・ハルジアナム、トリコダーマ・コニンギ、トリコダーマ・ロンジブラキアタム、
トリコダーマ・レセイ又はトリコダーマ・ビリデ。
【0159】
ポリペプチド組成物は、当業界において知られている方法に従って調製され得、そして
液体又は乾燥組成物の形で存在することができる。例えば、ポリペプチド組成物は、顆粒
又は微粒子の形で存在することができる。組成物に包含されるべきポリペプチドは、当業
界において知られている方法に従って安定化され得る。
本発明のポリペプチド組成物の好ましい使用の例は下記に与えられる。本発明のポリペ
プチド組成物の用量、及び組成物が使用される他の条件は、当業界において知られている
方法に基づいて決定され得る。
50
(34)
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【0160】
単糖類、二糖類及び多糖類へのバイオマスの分解又は転換:
本発明はまた、前記セルロース材料を、有効量のセルロース分解タンパク質により、セ
ルロース分解増強活性を有する、有効量のポリペプチドの存在下で処理し、ここで前記セ
ルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース分解増強活性を有する
ポリペプチドの不在に比較して、セルロース材料の分解を高める、セルロース材料を分解
するか又は転換するための方法にも関する。
【0161】
本発明のポリペプチド及び宿主細胞が、エタノール、プラスチック、他の製品又は中間
体の生成のためのバイオマスからの化学的又は発酵供給材料としての単離類、二糖類及び
10
多糖類の生成に使用され得る。特に、本発明のポリペプチド及び宿主細胞は、セルロース
又はヘミセルロースの部分的又は完全な溶解により加工残留物(乾燥された蒸留物穀物、
醸造からの古穀物、サトウキビバガス、等)の価値を高めるために使用され得る。セルロ
ース材料のグルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、及びアラビノース、そ
れらのポリマー、又はそれらの由来する生成物へのセルロース分解タンパク質による加工
の増強は、下記の通りである。
【0162】
ポリペプチドは、細胞を有するか又は有さない粗発酵ブイヨンの形で、又は半精製され
た又は精製された発酵調製物の形で存在することができる。セルロース分解増強タンパク
質 は 、 単 一 成 分 調 製 物 、 例 え ば フ ァ ミ リ ー 61タ ン パ ク 質 、 多 成 分 の タ ン パ ク 質 調 製 物 、 例
20
え ば 多 く の フ ァ ミ リ ー 61タ ン パ ク 質 、 又 は 多 成 分 及 び 単 一 成 分 タ ン パ ク 質 調 製 物 の 組 合 せ
で あ り 得 る 。 セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 タ ン パ ク 質 は 、 酸 性 、 中 性 又 は ア ル カ リ 性 pH− 範 囲 の い
ずれかでのセルロース分解タンパク質の活性を増強することができる。他方では、本発明
の宿主細胞は、バイオマスによる発酵工程におけるポリペプチドの源として使用され得る
。宿主細胞はまた、セルロース分解タンパク質をコードする生来又は異種遺伝子、及びバ
イオマスの加工において有用な他の酵素を含むことができる。
【0163】
バイオマスは、木材資源、都市ごみ、古紙、収穫物及び収穫残留物を包含するが、但し
、 そ れ ら だ け に は 限 定 さ れ な い ( 例 え ば 、 Wiselogel な ど ., 1995, in Handbook on Bioe
thanol (Charles E. Wyman, editor), pp. 105-118, Taylor & Francis, Washington D.
30
C.; Wyman, 1994, Bioresource Technology 50: 3-16; Lynd, 1990, Applied Biochemist
ry and Biotechnology 24/25 : 695-719; Mosierな ど ., 1999, Recent Progress in Bioc
onversion of Lignocellulosics, in Advances in Biochemical Engineering/Biotechnol
ogy, T. Scheper, managing editor, Volume 65, pp. 23-40, Springer-Verlag, New Yor
kを 参 照 の こ と ) 。
【0164】
バイオマスの主要細胞壁における有力な多糖は、セルロースであり、第2の最も富んだ
ものはヘミセルロースであり、そして第3のものはペクチンである。細胞が増殖を停止し
た後に生成される二次細胞壁はまた、多糖類を含み、そしてヘミセルロースに共有結合さ
れるポリマー性リグニンにより強化される。セルロースは、アンヒドロセロビオースのホ
40
モ ポ リ マ ー 及 び 従 っ て 、 線 状 β − ( 1 − 4 ) − D− グ ル カ ン で あ り 、 そ し て ヘ ミ セ ル ロ ー
スは、種々の化合物、例えばキシラン、キシログルカン、アラビノキシラン及びマンナン
を、広範囲の置換基を有する複合枝分れ鎖の構造体において包含する。一般的に多形的で
あるが、セルロースは、平行グルカン鎖の不溶性結晶性マトリックスとして主に植物組織
に見出される。ヘミセルロースは通常、セルロース、及び細胞壁マトリックスの安定化を
助ける他のヘミセルロースに水素結合する。
【0165】
本発明の方法においては、セルロース分解タンパク質は、セルロース材料のグルコース
への、又はヘミセルロースのキシロース、マンノース、ガラクトース及びアラビノース、
それらのポリマー又は下記に記載のようなそれらに由来する生成物への加工に関与するい
50
(35)
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ずれかのタンパク質であり得る。セルロース分解タンパク質は、単一成分調製物、例えば
セルラーゼ、多成分調製物、例えば下記のようなエンドグルカナーゼ、セロビオビドロラ
ーゼ、グルコヒドロラーゼ、β−グルコシダーゼ、又は多成分及び単一成分タンパク質調
製物の組合せであり得る。セルロース分解タンパク質は、活性を有し、すなわち酸性、中
性 又 は ア ル カ リ 性 pH− 範 囲 で セ ル ロ ー ス を 加 水 分 解 す る 。
【0166】
セルロース分解タンパク質は、セルロース分解酵素を生成できることが知られている微
生物から得られるか又は単離され、そして精製され得る、菌類又は細菌起源のもの、例え
ばバチルス、シュードモナス、ヒューミコラ、コプリナス、チェラビア、フサリウム、マ
イセリオプソラ、アクレモニウム、セファロスポリウム、スシタリジウム、ペニシリウム
10
又 は ア ス ペ ル ギ ラ ス の 種 の も の ( 例 え ば 、 EP458162号 を 参 照 の こ と ) 、 特 に 種 ヒ ュ ー ミ コ
ラ ・ イ ン ソ レ ン ス ( Humicola insolens) ( ヌ シ タ リ ジ ウ ム ・ サ ー モ フ ィ ラ ム と し て 再 分
類 さ れ る ; 例 え ば ア メ リ カ 特 許 第 4,435,307号 を 参 照 の こ と ) 、
【0167】
コ プ リ ナ ス ・ シ ネ レ ウ ス ( Coprins cinereus) 、 フ サ リ ウ ム ・ オ キ シ ス ピ ラ ム ( Fusari
um oxysporum) 、 マ イ セ リ オ プ ソ ラ ・ サ ー モ フ ィ ラ ス ( Myceliophthora thermophila) 、
メ リ ピ ラ ス ・ ギ ガ ン テ ウ ス ( Meripilus giganteus) 、 チ ェ ラ ビ ア ・ テ レ ス ト リ ス ( Thiel
avia terrestris) 、 ア ク レ モ ニ ウ ム sp., ア ク レ モ ニ ウ ム ・ ペ ル シ ン ナ ム ( Acremonium p
ersicinum) 、 ア ク レ モ ニ ウ ム ・ ア ク レ モ ニ ウ ム ( Acremonium acremonium) 、 ア ク レ モ ニ
ウ ム ・ ブ ラ キ ペ ニ ウ ム ( Acremonium brachypenium) 、 ア ク レ モ ニ ウ ム ・ ジ ク ロ モ ス ポ ラ
20
ム ( Acremonium dichromosporum) 、 ア ク レ モ ニ ウ ム ・ オ ブ ク ラ バ タ ム ( Acremonium obcl
avatum) 、 ア ク レ モ ニ ウ ム ・ ピ ン ケ ル ト ニ ア エ ( Acremonium pinkettoniae) 、 ア ク レ モ
ニ ウ ム ・ ロ ゼ オ グ リ セ ウ ム ( Acremonium roseogriseum) 、 ア ク レ モ ニ ウ ム ・ イ ン コ ロ ラ
タ ム ( Acremonium incoloratum) 、 及 び ア ク レ モ ニ ウ ム ・ フ ラ タ ム ( Acremonium furatum
);
【0168】
好 ま し く は 、 種 ヒ ュ ー ミ コ ラ ・ イ ン ソ レ ン ス DSM1800、 フ サ リ ウ ム ・ オ キ シ ス ピ ラ ム DSM
2672、 マ イ セ リ オ プ ソ ラ ・ サ ー モ フ ィ ラ ス CBS117.65、 セ フ ァ ロ ス ピ リ ウ ム sp. RYM-202,
ア ク レ モ ニ ウ ム sp. CBS478.94、 ア ク レ モ ニ ウ ム sp. CBS265.95、 ア ク レ モ ニ ウ ム 、 ペ ル シ
シ ナ ム CBS169.65、 ア ク レ モ ニ ウ ム AHU9519、 セ フ ァ ロ ス ポ リ ウ ム sp. CBS535.71、 ア ク レ
30
モ ニ ウ ム ・ ブ ラ キ ペ ニ ウ ム CBS866.73、 ア ク レ モ ニ ウ ム ・ ジ ク ロ モ ス ピ ラ ム CBS683.73、 ア
ク レ モ ニ ウ ム ・ オ ブ ク ラ バ タ ム CBS311.74、 ア ク レ モ ニ ウ ム ・ ピ ン ケ ル ト ニ ア エ CBS157.70
、 ア ク レ モ ニ ウ ム ・ オ ゼ オ グ リ セ ウ ム CBS134.56、 ア ク レ モ ニ ウ ム ・ イ ン コ ロ ラ タ ム CBS14
6.62及 び ア ク レ モ ニ ウ ム ・ フ ラ タ ム CBS299.70Hか ら 選 択 さ れ た 株 に よ り 生 成 さ れ る そ れ ら
のものである。
【0169】
セルロース分解タンパク質はまた、トリコダーマ(特に、トリコダーマ・ピリデ、トリ
コダーマ・レセイ及びトリコダーマ・コニンギ)、好アルカリ性バチルス(例えば、アメ
リ カ 特 許 第 3,844,390号 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 458162号 を 参 照 の こ と ) 及 び ス ト レ プ ト ミ セ ス
( 例 え ば 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 458162号 を 参 照 の こ と ) か ら 得 ら れ る 。 化 学 的 に 修 飾 さ れ た
40
又はタンパク質構築された変異体が包含される。
【0170】
特に適切なセルロース分解タンパク質は、アルカリ性又は中性セルラーゼである。その
よ う な セ ル ラ ー ゼ の 例 は 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 495,257号 , ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 531,372号 , WO
96/11262号 , WO 96/29397号 , WO 98/08940号 に 記 載 さ れ る セ ル ラ ー ゼ で あ る 。 他 の 例 は
、 セ ル ラ ー ゼ 変 異 体 、 例 え ば WO 94/07998号 , ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 531,315号 , ア メ リ カ 特 許
第 4,435, 307号 , ア メ リ カ 特 許 第 5,457, 046号 , ア メ リ カ 特 許 第 5,648, 263号 , ア メ リ カ
特 許 第 5,686, 593号 , ア メ リ カ 特 許 第 5,691, 178号 , ア メ リ カ 特 許 第 5,763, 254号 , ア メ
リ カ 特 許 第 5,776, 757号 号 , WO 89/09259号 , WO 95/24471号 , WO 98/12307号 , 及 び PCT/
DK98/00299に 記 載 さ れ る そ れ ら で あ る 。
50
(36)
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【0171】
本発明の方法に使用されるセルロース分解タンパク質及びセルロース分解増強タンパク
質は、当業界において知られている方法を用いて、適切な炭素及び窒素源、及び無機塩を
含 む 栄 養 培 地 上 で の 上 記 微 生 物 株 の 発 酵 に よ り 生 成 さ れ 得 る ( 例 え ば 、 Bennett, J. W. a
nd LaSure, L. (eds. ), More Gene Manipulations in Fungi, Academic Press, CA, 199
1を 参 照 の こ と ) 。 適 切 な 培 地 は 、 商 業 的 に 入 出 で き る か 、 又 は 公 開 さ れ る 成 分 ( 例 え ば
、 American Type Culture Collectionの カ タ ロ グ に お け る ) に 従 っ て 調 製 さ れ 得 る 。 増 殖
及びセルロース分解タンパク質生成のために適切な温度範囲及び他の条件は、当業界にお
い て 知 ら れ て い る ( Bailey, J. E. , and Ollis, D. F., Biochemical Engineering Fund
amentals, McGraw-Hill Book Company, NY, 1986を 参 照 の こ と ) 。
10
【0172】
発酵は、セルロース分解タンパク質又はセルロース分解増強タンパク質の発現又は単離
をもたらす細胞のいずれかの培養方法であり得る。従って、発酵は、適切な培地において
、及びセルロース分解タンパク質又はセルロース分解増強タンパク質の発現又は単離を可
能にする条件下で行われる実験室又は産業発酵器における振盪フラスコ培養、小又は大規
模発酵(例えば、連続、バッチ、供給バッチ、又は固体状態発酵)を包含するものとして
理解され得る。
【0173】
上記方法により生成される、その得られるセルロース分解タンパク質又はセルロース分
解増強タンパク質は、従来の方法、例えば遠心分離、濾過、噴霧乾燥、蒸発又は沈殿(但
20
し、それらだけには限定されない)により、発酵培地から回収され得る。次に、回収され
たタンパク質はさらに、種々のクロマトグラフィー方法、例えばイオン交換クロマトグラ
フィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー又は同様のものにより
精製され得る。
【0174】
セ ル ロ ー ス タ ン パ ク 質 は 、 カ ル ボ キ シ メ チ ル セ ル ロ ー ス ( CMC) を 加 水 分 解 し 、 そ れ に
より、インキュベーション混合物の粘度を低める。粘度のその得られる低下は、振盪粘度
計 ( 例 え ば 、 Sofraser, Franceか ら の MIVI 3000) に よ り 決 定 さ れ 得 る 。 セ ル ラ ー ゼ 粘 度
単 位 ( CEVLI) に 関 し て 測 定 さ れ る セ ル ラ ー ゼ 活 性 の 決 定 は 、 カ ル ボ キ シ メ チ ル セ ル ロ ー
ス ( CMC) の 溶 液 の 粘 度 を 低 め る サ ン プ ル の 能 力 を 測 定 す る こ と に よ り 、 サ ン プ ル に 存 在
30
する触媒活性の量を定量化される。アッセイは、セルロース分解タンパク質及び基質のた
め に 適 切 な 温 度 及 び pHで 行 わ れ る 。 Celluclast
T M
(Novozymes A/S, Bagsvaerd, Denmark)
に 関 し て は 、 ア ッ セ イ は 、 0.1Mの リ ン 酸 緩 衝 液 ( pH9.0) に お い て 40℃ で 30分 間 、 基 質 と
し て CMC( 333g/lの カ ル ボ キ シ メ チ ル セ ル ロ ー ス Hercules 7LFD) 、 及 び 約 3.3∼ 4.2CEVU/m
lの 酵 素 濃 度 を 用 い て 行 わ れ る 。 CEVU活 性 は 、 言 及 さ れ る 酵 素 標 準 、 例 え ば CELLUZYME
T M
Standard 17-1194 (Novozymes A/Sか ら 入 手 で き る )に 対 し て 計 算 さ れ る 。
【0175】
本 発 明 へ の 使 用 の た め に 適 切 な セ ル ロ ー ス 分 解 調 製 物 の 例 は 例 え ば 、 CELLUCLAST
vozymes A/Sか ら 入 手 で き る ) 及 び NOVOZYM
T M
T M
(No
188 (Novozymes A/Sか ら 入 手 で き る )を 包 含
す る 。 使 用 さ れ 得 る セ ル ラ ー ゼ を 含 ん で 成 る 他 の 市 販 の 調 製 物 は 、 CELLUZYME
T M
, CEREFLO
40
及 び ULTRAFLO (Novozymes A/S), LAMINEUX 及 び SPEZYMETM CP (Genencor Int.),及 び
ROHAMENT 7069 W (Rohm GmbH)を 包 含 す る 。 セ ル ラ ー ゼ 酵 素 は 、 約 0.001重 量 % ∼ 約 5.0重
量 % 、 よ り 好 ま し く は 約 0.025重 量 % ∼ 約 4.0重 量 % 、 及 び 最 も 好 ま し く は 約 0.005重 量 %
∼ 約 2.0重 量 % の 固 形 物 の 有 効 量 で 添 加 さ れ る 。
【0176】
上記で言及されたように、本発明の方法に使用されるセルロース分解タンパク質又はセ
ルロース分解増強タンパク質は、単一成分調製物、すなわち他のセルロース分解成分を実
質 的 に 有 さ な い 成 分 で あ り 得 る 。 単 一 成 分 は 、 そ の 単 一 成 分 を コ ー ド す る DNA配 列 の ク ロ
ー ニ ン グ 、 及 び 前 記 DNA配 列 に よ り 形 質 転 換 さ れ 、 そ し て 宿 主 に お い て 発 現 さ れ る 続 く 細
胞 に よ り 生 成 さ れ る 組 換 え 成 分 で あ り 得 る ( 例 え ば 、 WO 91/17243号 及 び WO 91/17244号 を
50
(37)
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参 照 の こ と ) 。 単 一 成 分 セ ル ロ ー ス 分 解 タ ン パ ク 質 の 他 の 例 は 、 JP-07203960-A 及 び WO9206209号 に 開 示 さ れ る そ れ ら を 包 含 す る が 、 但 し そ れ ら だ け に は 限 定 さ れ な い 。 宿 主 は
好ましくは、異種宿主であるが(酵素は宿主に対して外来性である)、しかし宿主細胞は
一定の条件下でまで、相同宿主でもあり得る(酵素は宿主に対して生来のものである)。
単一成分セルロース分解タンパク質はまた、発酵ブイヨンからそのようなタンパク質を精
製することにより調製され得る。
【0177】
本発明の方法の実施において有用な単一成分セルロース分解タンパク質の例は、エンド
グルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、グルコヒドロラーゼ及びβ−グルコシダーゼを包
含するが、但しそれらだけには限定されない。
10
用語“エンドグルカナーゼ”とは、セルロース、セルロース誘導体(例えば、カルボキ
シメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース)、リケニン、混合されたβ−1,
3 − グ ル カ ン 、 例 え ば 穀 物 β − D− グ ル カ ン 又 は キ シ ロ グ ル カ ン に お け る β − 1 , 4 結 合
、 及 び 、 セ ル ロ ー ス 成 分 を 含 む 他 の 植 物 材 料 に お け る 1 , 4 − β − D− グ ル コ シ ド 結 合 の
エ ン ド ヒ ド ロ シ ス を 触 媒 す る エ ン ド − 1 , 4 − ( 1 , 3 ; 1 , 4 ) − β − D− グ ル カ ン 4
− グ ル カ ノ ヒ ド ロ ラ ー ゼ 活 性 は 、 Ghose, 1987, Pure and Appl. Chem. 59: 257-268の 方
法 に 従 っ て 、 カ ル ボ キ シ メ チ ル セ ル ロ ー ス ( CMC) 加 水 分 解 を 用 い て 決 定 さ れ る 。
【0178】
エ キ ソ − 1 , 4 − β − D− グ ル カ ナ ー ゼ は 、 セ ロ ビ オ ヒ ド ロ ラ ー ゼ 及 び グ ル コ ヒ ド ロ ラ
ーゼの両者を包含する。
20
【0179】
用語“セロビオヒドロラーゼ”とは、セルロース、セロオリゴサッカリド、又は鎖の還
元又は非還元性末端からセロビオースを開放する、いずれかのβ−1,4−結合グルコー
ス 含 有 ポ リ マ ー に お け る 1 , 4 − β − D− グ ル コ シ ド 結 合 の 加 水 分 解 を 触 媒 す る 1 , 4 −
β − グ ル カ ン セ ロ ビ オ ヒ ド ロ ラ ー ゼ ( E. E. 3. 2. 1. 91) と し て 本 明 細 書 に お い て 定 義
さ れ る 。 本 発 明 の た め に は 、 エ ン ド グ ル カ ナ ー ゼ 活 性 は 、 Lever な ど ., 1972, Anal. Bio
chem. 47: 273- 279 及 び van Tilbeurgh な ど ., 1982, FEBS Letters 149: 152-156; va
n Tilbeurgh and Claeyssens, 1985, FEBS Letters 187: 283-288に よ り 記 載 さ れ る 方 法
に 従 っ て 決 定 さ れ る 。 本 発 明 に お い て は 、 Leverな ど の 方 法 は 、 ト ウ モ ロ コ シ の 茎 に お け
る セ ル ロ ー ス の 加 水 分 解 を 評 価 す る た め に 使 用 さ れ 、 そ し て Van Tilbeurghな ど の 方 法 は
30
、蛍光二糖誘導体に対するセロビオヒドロラーゼ活性を決定するために使用された。
【0180】
用語“グルコヒドロラーゼ”とは、連続的グルコース単位を除去するために、1,4−
β − D− グ ル カ ン に お け る 1 , 4 − 結 合 ( O− グ ル コ シ ル 結 合 ) の 加 水 分 解 を 触 媒 す る 1 ,
4 − β − D− グ ル カ ン グ ル コ ヒ ド ロ ラ ー ゼ ( E. C. 3. 2. 1. 74) と し て 本 明 細 書 に お い て
定 義 さ れ る 。 本 発 明 の た め に は 、 エ ン ド グ ル カ ナ ー ゼ 活 性 は 、 Himmel な ど ., 1986, J. B
iol. Chem. 261: 12948-12955に よ り 記 載 さ れ る 方 法 に 従 っ て 決 定 さ れ る 。
【0181】
用 語 “ β − グ ル コ シ ダ ー ゼ ” と は 、 β − D― グ ル コ ー ス の 開 放 を 伴 っ て 、 末 端 の 非 還 元
性 β − D− グ ル コ ー ス 残 基 の 加 水 分 解 を 触 媒 す る 、 β − D− グ ル コ シ ド グ ル コ ヒ ド ロ ラ ー ゼ
40
( E. C. 3. 2. 1. 21) と し て 本 明 細 書 に お い て 定 義 さ れ る 。 本 発 明 の た め に は 、 β − グ
ル コ シ ダ ー ゼ 活 性 は 、 Venturi な ど ., 2002, J. Basic Microbiol. 42: 55-66に よ り 記 載
される基本方法(但し、異なった条件が本明細書に記載のように使用される)に従って決
定 さ れ る 。 1 単 位 の β − グ ル コ シ ダ ー ゼ 活 性 は 、 100mMの ク エ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 、 0.01% の T
ween-20に お い て 基 質 と し て の 4mMの p − ニ ト ロ フ ェ ニ ル − β − D− グ ル コ ピ ラ ノ シ ド か ら 5
0℃ 、 pH5で の 1 分 当 た り 生 成 さ れ る 1.0μ モ ル の p − ニ ト ロ フ ェ ノ ー ル と し て 定 義 さ れ る
。
【0182】
本発明のポリペプチドは、バイオマス基質のセルロース成分を分解するためにセルロー
ス 分 解 タ ン パ ク 質 と 共 に 使 用 さ れ る ( 例 え ば 、 Brigham な ど ., 1995, in Handbook on Bi
50
(38)
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oethanol (Charles E. Wyman, editor), pp. 119-141, Taylor & Francis, Washington D
. C.; Lee, 1997, Journal of Biotechnology 56: 1-24を 参 照 の こ と ) 。
【0183】
セルロース分解増強活性を有するポリペプチド及びセルロース分解タンパク質の最適量
は、いくつかの因子、例えば成分セルロース分解タンパク質の混合物、セルロース基質、
セ ル ロ ー ス 基 質 の 濃 度 、 セ ル ロ ー ス 基 質 の 前 処 理 、 温 度 、 時 間 、 pH及 び 発 酵 生 物 ( 例 え ば
、同時糖化及び発酵について酵母)の包含に依存するが、但しそれらだけには限定されな
い。用語“セルロース分解タンパク質”とは、試験される条件下でセルロースを加水分解
し、又は転換し、又は分解できるものとして示されるそれらのタンパク質又はタンパク質
の 混 合 物 と し て 本 明 細 書 に お い て 定 義 さ れ る 。 そ れ ら の 量 は 通 常 の ア ッ セ イ 、 例 え ば BCA
10
( ビ シ ン コ ニ ン 酸 、 P. K. Smith な ど ., 1985, Anal. Biochem. 150: 76) に よ り 、 通 常
測定され、そして好ましい量は、加水分解されるバイオマスの量に比例して添加される。
【0184】
好ましい観点において、gセルロース材料当たりのセルロース分解増強活性を有するポ
リ ペ プ チ ド の 量 は 、 g セ ル ロ ー ス 当 た り 、 約 0.01∼ 約 2.0mg、 好 ま し く は 約 0.025∼ 約 1.5m
g、 よ り 好 ま し く は 約 0.05∼ 約 1.25mg、 よ り 好 ま し く は 約 0.075∼ 約 1.25mg、 よ り 好 ま し く
は 約 0.1∼ 約 1.25mg、 さ ら に よ り 好 ま し く は 約 0.15∼ 約 1.25mg、 及 び 最 も 好 ま し く は 約 0.2
5∼ 約 1.0mgで あ る 。
【0185】
もう1つの好ましい観点においては、gセルロース材料当たりセルロース分解タンパク
20
質 の 量 は 、 g セ ル ロ ー ス 当 た り 、 約 0.5∼ 約 50mg、 好 ま し く は 約 0.5∼ 約 40mg、 よ り 好 ま し
く は 約 0.5∼ 約 25mg、 よ り 好 ま し く は 約 0.75∼ 約 20mg、 よ り 好 ま し く は 約 0.75∼ 約 15mg、
さ ら に よ り 好 ま し く は 約 0.5∼ 約 10mg、 及 び 最 も 好 ま し く は 約 2.4∼ 約 10mgで あ る 。
好 ま し い 観 点 に お い て は 、 gセ ル ロ ー ス 分 解 タ ン パ ク 質 の 当 た り 、 セ ル ロ ー ス 分 解 増 強
活 性 を 有 す る ポ リ ペ プ チ ド の 量 は 、 g セ ル ロ ー ス タ ン パ ク 質 当 た り 、 約 0.005∼ 約 1.0g、
好 ま し く は 約 0.01∼ 約 1.0g、 よ り 好 ま し く は 約 0.15∼ 約 0.75g、 よ り 好 ま し く は 約 0.15∼
約 0.5g、 よ り 好 ま し く は 約 0.1∼ 約 0.5g、 さ ら に よ り 好 ま し く は 約 0.1∼ 約 0.5g、 及 び 最 も
好 ま し く は 約 0.05∼ 約 0.2gで あ る 。
【0186】
本発明の方法は、セルロース材料を多くの有用な有機生成物、化学物質及び燃料に加工
30
するために使用され得る。エタノールの他に、セルロースから生成され得るいくつかの商
品及び特定の化学製品は、キシロース、アセトン、アセテート、グリシン、リシン、有機
酸(例えば、乳酸)、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、グリセロース、フル
フラール、ポリヒドロキシマルカノエート、シス、シス−ムコン酸及び動物飼料を包含す
る ( Lynd, L. R. , Wyman, C. E. , and Gerngross, T. U., 1999, Biocommodity Engine
ering, Biotechnol. Prog. , 15: 777-793; Philippidis, G. P., 1996, Cellulose bioc
onversion technology, in Handbook on Bioethanol :Production and Utilization, Wym
an, C. E. , ed., Taylor & Francis, Washington, DC, 179-212; 及 び Ryu, D. D. Y. ,
and Mandels, M. , 1980, Cellulases : biosynthesis and applications, Enz. Microb
. Technol., 2: 91-102) 。 可 能 性 あ る 共 同 生 成 の 有 益 性 は 、 発 酵 で き る 炭 水 化 物 か ら の
40
複数の有機生成物の合成以上に拡張する。生物学的加工の後に残存するリグニンに富んで
いる残留物は、リグニン由来の化学物質に転換されるか、又は粉末生成のために使用され
得る。
【0187】
本発明の方法に従ってセルロース材料を加工するのに使用される従来の方法は、当業者
に良く知られている。本発明の方法は、本発明に従って作動するよう構成されるいずれか
の従来のバイオマス加工装置の使用を包含する。
【0188】
そのような装置は、バッチ−撹拌反応器、限外濾過を伴っての連続流動撹拌反応器、連
続 プ ラ グ − 流 動 カ ラ ム 反 応 器 ( Gusakov, A. V. , and Sinitsyn, A. P. , 1985, Kinetic
50
(39)
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s of the enzymatic hydrolysis of cellulose :'1. A mathematical model for a batch
reactor process, Enz Microb. Technol. 7: 346-352) 、 ア ト リ ッ タ ー 反 応 器 ( Ryu, S.
K. , and Lee, J. M., 1983, Bioconversion of waste cellulose by using an attriti
on bioreactor, Biotechnol. Bioeng. 25: 53-65) 、 又 は 電 磁 場 に よ り 誘 導 さ れ る 集 中 的
撹 拌 を 伴 っ て の 反 応 器 ( Gusakov, A. V. , Sinitsyn, A. P., Davydkin, 1. Y. , Davydk
in, V. Y. , Protas, O. V. , 1996, Enhancement of enzymatic cellulose hydrolysis
using a novel type of bioreactor with intensive stirring induced by electromagne
tic field, Appl. Biochem. Biotechnol. 56: 141-153) を 包 含 す る 。
【0189】
従 来 の 方 法 は 、 糖 化 、 発 酵 、 別 々 の 加 水 分 解 及 び 発 酵 ( SHF) 、 同 時 糖 化 及 び 発 酵 ( SSF
10
) 、 同 時 糖 化 及 び 共 発 酵 ( SSCF) 、 ハ イ ブ リ ッ ド 加 水 分 解 及 び 発 酵 ( HHF) 、 及 び 直 接 的
微 生 物 転 換 ( DMC) を 包 含 す る が 、 但 し そ れ ら だ け に は 限 定 さ れ な い 。
【0190】
SHFは 、 第 1 に 、 セ ル ロ ー ス を グ ル コ ー ス に 酵 素 的 に 加 水 分 解 し 、 そ し て 次 に 、 グ ル コ
ー ス を エ タ ノ ー ル に 発 酵 す る 別 々 の 工 程 段 階 を 用 い る 。 SSFに お い て は 、 セ ル ロ ー ス の 酵
素 的 水 分 解 及 び グ ル コ ー ス の エ タ ノ ー ル へ の 発 酵 は 、 1 つ の 段 階 に 組 合 さ れ る ( Philippi
dis, G. P. , 1996, Cellulose bioconversion technology, in Handbook on Bioethanol
: Production and Utilization, Wyman, C. E. , ed., Taylor & Francis, Washington,
DC, 179-212) 。
【0191】
20
SSCFは 、 複 数 の 粒 の 共 発 酵 を 包 含 す る ( Sheehan, J. , and Himmel, M. , 1999, Enzym
es, energy and the environment: A strategic perspective on the U. S. Department
of Energy's research and development activities for bioethanol, Biotechnol. Prog
. 15: 817-827) 。 HHFは 、 同 じ 反 応 器 に お い て 、 但 し 異 な っ た 温 度 で 行 わ れ る 2 種 の 別 々
の 段 階 、 す な わ ち 高 温 の 酵 素 的 糖 化 、 続 い て 発 酵 株 が 耐 え ら れ 得 る 低 温 で の SSFを 包 含 す
る 。 DMCは 、 す べ て の 3 種 の 工 程 ( セ ル ラ ー ゼ 生 成 、 セ ル ロ ー ス 加 水 分 解 及 び 発 酵 ) を 、
1 つ の 段 階 で 組 合 す ( Lynd, L. R. , Weimer, P. J. , van Zyl, W. H. , and Pretorius
, I. S. , 2002, Microbial cellulose utilization: Fundamentals and biotechnology,
Microbiol. Mol. Biol. Reviews 66: 506-577) 。
【0192】
30
“発酵”又は“発酵工程”とは、いずれかの発酵工程、又は発酵段階を含んで成るいず
れかの工程を言及する。発酵工程は、発酵生成物、例えば次のものを生成するために使用
される発酵工程を包含する:アルコール(例えば、アラビニトール、ブタノール、エタノ
ール、グリセロール、メタノール、1,3−プロパンジオール、ソルビトール及びキシリ
トール);有機酢(例えば、酢酸、アセトン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸
、 2 , 5 − ジ ケ ト − D− グ ル コ ン 酸 、 蟻 酸 、 フ マ ル 酸 、 グ ル カ ル 酸 、 グ ル コ ン 酸 、 グ ル タ
ル酸、3−ヒドロプロピオン酸、イタコン酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、プ
ロピオン酸、琥珀酸、及びキシロン酸);ケトン(例えば、アセトン);アミノ酸(例え
ば、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、リシン、セリン及びトレオニン);ガス
( 例 え ば 、 メ タ ン 、 水 素 ( H2 ) 、 二 酸 化 炭 素 ( CO2 ) 及 び 一 酸 化 炭 素 ( CO) ) 。 発 酵 工 程
40
はまた、消費できるアルコール産業(例えば、ビール及びワイン)、酪農産業(例えば、
発酵された酪農製品)、革産業、及びタバコ産業に使用される発酵工程を包含する。
【0193】
本発明はさらに、(a)セルロース材料を、有効量のセルロース分解タンパク質により
、請求項8記載のセルロース分解増強活性を有する、有効量のポリペプチドの存在下で糖
化し、ここで前記セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース分
解増強活性を有するポリペプチドの不在に比較して、セルロース材料の分解を高め;(b
)段階(a)の糖化されたセルロース材料を、1又は複数の発酵微生物と共に発酵し;そ
して(c)前記酵素から有機物質を回収することを含んで成る、有機物質の生成方法に関
する。セルロース分解増強活性を有するポリペプチドは、細胞を有するか又は有さない粗
50
(40)
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発酵ブイヨンの形で、又は半精製された又は精製された酵素調製物の形で存在することが
で き る 。 セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 タ ン パ ク 質 は 、 単 一 成 分 調 製 物 、 例 え ば 、 フ ァ ミ リ ー 61タ ン
パ ク 質 、 多 成 分 タ ン パ ク 質 調 製 物 、 例 え ば 複 数 の フ ァ ミ リ ー 61タ ン パ ク 質 、 又 は 多 成 分 及
び単一成分タンパク質調製物の組合せであり得る。
【0194】
有機物質は、醗酵に由来するいずれかの物質であり得る。好ましい観点においては、有
機物質はアルコールである。用語“アルコール”とは、1又は複数のヒドロキシル成分を
含む有機物質を包含することが理解されるであろう。より好ましい観点においては、アル
コールはアラビニトールである。もう1つのより好ましい観点においては、アルコールは
ブタノールである。もう1つのより好ましい観点においては、アルコールはエタノールで
10
ある。もう1つのより好ましい観点においては、アルコールはグリセロールである。もう
1つのより好ましい観点においては、アルコールはメタノールである。もう1つのより好
ましい観点においては、アルコールは1,3−プロパンジオールである。
【0195】
もう1つのより好ましい観点においては、アルコールはソルビトールである。もう1つ
の よ り 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 ア ル コ ー ル は キ シ リ ト ー ル で あ る 。 例 え ば 、 Gong, C. S
. , Cao, N. J., Du, J. , and Tsao, G. T. , 1999, Ethanol production from renewab
le resources, in Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology, Scheper, T.
, ed., Springer-Verlag Berlin Heidelberg, Germany, 65: 207-241; Silveira, M. M.
, and Jonas, R. , 2002, The biotechnological production of sorbitol, Appl. Micro
20
biol. Biotechnol. 59: 400-408; Nigam, P. , and Singh, D. , 1995, Processes for f
ermentative production of xylitol-a sugar substitute, Process Biochemistry 30 (2
): 117-124; Ezeji, T. C. , Qureshi, N. and Blaschek, H. P. , 2003, Production of
acetone, butanol and ethanol by Clostridium beijerinckii BA101 and in situ reco
very by gas stripping, World Journal of Microbiology and Biotechnology 19 (6): 5
95-603を 参 照 の こ と 。
【0196】
もう1つの好ましい観点においては、有機物質は有機酸である。もう1つのより好まし
い観点においては、有機酸は酢酸である。もう1つのより好ましい観点においては、有機
酸はアセトン酸である。もう1つのより好ましい観点においては、有機酸はアジピン酸で
30
ある。もう1つのより好ましい観点においては、有機酸はアスコルブン酸である。もう1
つのより好ましい観点においては、有機酸はクエン酸である。もう1つのより好ましい観
点 に お い て は 、 有 機 酸 は 2 ,5 − ジ ケ ト − D− グ ル コ ン 酸 で あ る 。 も う 1 つ の よ り 好 ま し い
観点においては、有機酸は蟻酸である。もう1つのより好ましい観点においては、有機酸
はフマル酸である。
【0197】
もう1つのより好ましい観点においては、有機酸はグルカン酸である。もう1つのより
好ましい観点においては、有機酸はグルコン酸である。もう1つのより好ましい観点にお
いては、有機酸はグルクロン酸である。もう1つのより好ましい観点においては、有機酸
はグルタル酸である。もう1つのより好ましい観点においては、有機酸は3−ヒドロキシ
40
プロピオン酸である。もう1つのより好ましい観点においては、有機酸はイタコン酸であ
る。もう1つのより好ましい観点においては、有機酸は乳酸である。もう1つのより好ま
しい観点においては、有機酸はリンゴ酸である。もう1つのより好ましい観点においては
、有機酸はマロン酸である。
【0198】
もう1つのより好ましい観点においては、有機酸はシュウ酸である。もう1つのより好
ましい観点においては、有機酸はプロピオン酸である。もう1つのより好ましい観点にお
いては、有機酸は琥珀酸である。もう1つのより好ましい観点においては、有機酸はキシ
ロ ン 酸 で あ る 。 例 え ば 、 Chen, R. , and Lee, Y. Y. , 1997, Membrane-mediated extrac
tive fermentation for lactic acid production from cellulosic biomass, Appl. Bioc
50
(41)
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hem. Biotechnol. 63-65: 435-448を 参 照 の こ と 。
【0199】
もう1つの好ましい観点においては、有機物質はケトンである。用語“ケトン”とは、
1又は複数のケトン成分を含む有機物質を包含することが理解されるであろう。もう1つ
の よ り 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 ケ ト ン は ア セ ト ン で あ る 。 例 え ば 、 Qureshi and Blasch
ek, 2003, 前 記 を 参 照 の こ と 。
【0200】
もう1つの好ましい観点においては、有機物質は、アミノ酸である。もう1つの好まし
い観点においては、有機物質は、アスパラギン酸である。もう1つの好ましい観点におい
ては、有機物質は、グルタミン酸である。もう1つの好ましい観点においては、有機物質
10
は、グリシンである。もう1つの好ましい観点においては、有機物質は、リシンである。
もう1つの好ましい観点においては、有機物質は、セリンである。もう1つの好ましい観
点 に お い て は 、 有 機 物 質 は 、 ト レ オ ニ ン で あ る 。 例 え ば Richard, A. , and Margaritis,
A. , 2004, Empirical modeling of batch fermentation kinetics for poly (glutamic
acid) production and other microbial biopolymers, Biotechnology and Bioengineeri
ng 87 (4): 501-515を 参 照 の こ と 。
【0201】
もう1つの好ましい観点においては、有機物質はガスである。もう1つの好ましい観点
においては、有機物質はメタンである。もう1つの好ましい観点においては、有機物質は
H2 で あ る 。 も う 1 つ の 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 有 機 物 質 は CO2 で あ る 。 も う 1 つ の 好 ま
20
し い 観 点 に お い て は 、 有 機 物 質 は COで あ る 。 例 え ば 、 Kataoka, N. , A. Miya, and K. Ki
riyama, 1997, Studies on hydrogen production by continuous culture system of hyd
rogen-producing anaerobic bacteria, Water Science and Technology 36 (6-7): 41-47
; and Gunaseelan V. N. in Biomass and Bioenergy, Vol. 13 (1-2), pp. 83-114,1997,
Anaerobic digestion of biomass for methane production: A reviewを 参 照 の こ と 。
【0202】
セルロース材料からの有機物質の生成は典型的には、主要段階を必要とする。それらの
4種の段階は、前処理、酵素加水分解、発酵及び回収である。エタノールの生成方法が下
記に例示されるが、しかし類似する方法が他の有機物質、例えば上記物質を生成するため
に使用され得ることが理解されるであろう。
30
【0203】
前処理:前処理又は前加水分解段階においては、セルロース材料が加熱され、リグニン
及び炭水化物構造が分解され、ほとんどのヘミセルロースが溶解され、そしてセルロース
画分のセルロース分解酵素への接近を可能にされる。加熱は、上記により直接的に又はス
ラリーにおいて行われ、ここで触媒がまた、反応を早めるために、上記により直接的に又
はスラリーにおいて行われ、ここで触媒がまた、反応を早めるために材料に添加され得る
。 触 媒 は 、 強 酸 、 例 え ば 硫 酸 及 び SO2 、 又 は ア ル カ リ 、 例 え ば 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム を 包 含 す
る。前処理段階の目的は、酵素及び微生物の侵入を促進することである。セルロース性バ
イ オ マ ス は ま た 、 熱 水 蒸 気 暴 発 前 処 理 を 受 け や す い ( ア メ リ カ 特 許 出 願 番 号 第 2002016473
0号 を 参 照 の こ と ) 。
40
【0204】
糖化:糖化としても知られている酵素加水分解段階においては、本明細書に記載される
よ う な 酵 素 は 、 前 処 理 さ れ た 材 料 に 添 加 さ れ 、 セ ル ロ ー ス 画 分 を 、 グ ル コ ー ス 及 び /又 は
他 の 糖 に 転 換 さ れ る 。 糖 化 は 一 般 的 に 、 調 節 さ れ た pH、 温 度 及 び 混 合 条 件 下 で 撹 拌 さ れ る
タ ン ク 反 応 器 又 は 発 酵 器 に お い て 行 わ れ る 。 糖 化 段 階 は 、 200時 間 ま で 続 く こ と が で き る
。 糖 化 は 、 約 30℃ ∼ 約 65℃ 、 特 に 約 50℃ の 温 度 で 、 及 び 約 4 ∼ 約 5 、 特 に 約 4.5の pHで 行
われ得る。酵母により代謝され得るグルコースを生成するために、加水分解は典型的には
、β−グルコシダーゼの存在下で行われる。
【0205】
発酵:発酵段階においては、前処理及び酵素か水分解段階の結果としてセルロース材料
50
(42)
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から放される糖は、発酵生物、例えば酵母によりエタノールに発酵される。発酵はまた、
調 節 さ れ た pH、 温 度 及 び 混 合 条 件 下 で 同 じ 容 器 に お い て 酵 素 加 水 分 解 と 同 時 に 行 わ れ る 。
糖化及び発酵が同じ容器において同時に行われる場合、その工程は、同時糖化及び発酵又
は SSFと 呼 ば れ る 。
【0206】
いずれかの適切なセルロース基質又は原料は、本発明の発酵工程において使用され得る
。基質は一般的に、所望する発酵生成物、すなわち当業界において良く知られているよう
に、発酵及び使用される工程から得られる有機物質に基づいて選択される。本発明の方法
に使用されるための適切な基質の例は、セルロース含有材料、例えば木材、又は植物残留
物、又は発酵微生物により代謝され、そして発酵培地への直接的な添加により供給され得
10
る 、 加 工 さ れ た セ ル ロ ー ス 材 料 か ら 得 ら れ る 低 分 子 糖 DP1-3を 包 含 す る 。
【0207】
用語“発酵培地”とは、発酵微生物が添加される前の培地、例えば糖化工程に起因する
培 地 、 及 び 同 時 糖 化 及 び 発 行 工 程 ( SSF) に 使 用 さ れ る 培 地 を 言 及 す る こ と が 理 解 さ れ る
であろう。
【0208】
“発酵微生物”とは、所望する発酵工程への使用のために適切ないずれかの微生物を言
及する。本発明の適切な発酵微生物は、糖、例えばグルコース、キシロース、アラビノー
ス、マンノース、ガラクトース又はオリゴ糖を、所望する発酵生成物に直接的に又は間接
的に発酵することができ、すなわち転換することができる。発酵微生物の例は、菌類生物
20
、 例 え ば 酵 母 を 包 含 す る 。 好 ま し い 酵 母 は 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス spp. の 株 、 及 び 特 に サ ッ カ
ロ ミ セ ス ・ セ レ ビ シ ア エ の 株 を 包 含 す る 。 市 販 の 酵 母 は 、 Red Star( 商 標 )
T M
;/ Lesaffr
e Ethanol Red (Red Star/Lesaffre, USAか ら 入 手 で き る ) 、 FALI (Fleischmann's Yeast
, a division of Burns Philp Food Inc., USAか ら 入 手 で き る )、 SUPERSTART (Alltechか
ら 入 手 で き る )、 GERT STRAND (Gert Strand AB, Swedenか ら 入 手 で き る ) 及 び FERMIOL (
DSM Specialtiesか ら 入 手 で き る )を 包 含 す る 。
【0209】
好 ま し い 観 点 に お い て は 、 酵 母 は サ ッ カ ロ ミ セ ス ssp. で あ る 。 よ り 好 ま し い 観 点 に お
いては、酵母は、サッカロミセス・セレビシアエである。もう1つのより好ましい観点に
お い て は 、 酵 母 は 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ ジ ス タ チ カ ス ( Saccharomyces distaticus) で あ る
30
。 も う 1 つ の よ り 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 酵 母 は 、 サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ ウ バ リ ウ ム ( Sacc
haromyces uvarum) で あ る 。 も う 1 つ の よ り 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 酵 母 は 、 ク ル イ ベ
ノミセスである。もう1つのより好ましい観点においては、酵母は、クルイベノミセス・
マ リ キ シ ア ヌ ス ( Kluyveromyces marxianus) で あ る 。 も う 1 つ の よ り 好 ま し い 観 点 に お
い て は 、 酵 母 は 、 ク ル イ ベ ノ ミ セ ス ・ フ ラ ギ リ ス ( Kluyveromyces fragilis) で あ る 。 も
う1つのより好ましい観点においては、酵母は、カンジダである。
【0210】
もう1つのより好ましい観点においては、酵母は、カンジダ・シュウドトロピカリス(
Candida pseudotropicalis) で あ る 。 も う 1 つ の よ り 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 酵 母 は 、
カ ン ジ ダ ・ ブ ラ シ カ エ ( Candida brassicae) で あ る 。 も う 1 つ の よ り 好 ま し い 観 点 に お
40
いては、酵母は、クラビスポラである。もう1つのより好ましい観点においては、酵母は
、 ク ラ ビ ス ポ ラ ・ ル シ タ ニ ア エ ( Clavispora lusitaniae) で あ る 。 も う 1 つ の よ り 好 ま
し い 観 点 に お い て は 、 酵 母 は 、 ク ラ ビ ス ポ ラ ・ オ プ ン チ ア ( Clavispora opuntia) で あ る
。
【0211】
もう1つのより好ましい観点においては、酵母は、パキソレンである。もう1つのより
好 ま し い 観 点 に お い て は 、 酵 母 は 、 パ キ ソ レ ン ・ タ ン ノ フ ィ ラ ス ( Pachysolen tannophil
us) で あ る 。 も う 1 つ の よ り 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 酵 母 は 、 ブ レ タ ノ ミ セ ス で あ る 。
も う 1 つ の よ り 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 酵 母 は 、 ブ レ タ ノ ミ セ ス ・ ク ラ ウ ゼ ミ ( Bretan
nomyces clausenii) で あ る ( Philippidis, G. P. , 1996, Cellulose bioconversion te
50
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chnology, in Handbook on Bioethanol : Production and Utilization, Wyman, C. E. ,
ed., Taylor & Francis, Washington, DC, 179-212) 。
【0212】
グルコースをエタノールに効果的に発酵する微生物は、例えばヅイモモナス・モビリス
( Zymomonas mobilis) 及 び ク ロ ス ト リ ジ ウ ム ・ サ ー モ セ ラ ム ( Clostridium thermocellu
m) を 包 含 す る ( Philippidis, 1996, 前 記 ) 。
上記に記載される生成物はまた、本明細書において記載のように、他の有機物質を生成
するために使用され得ることは、当業界において良く知られている。
【0213】
サ ッ カ ロ ミ セ ス ・ セ レ ビ シ ア エ ( Chen, Z. , Ho, N. W. Y. , 1993, Cloning and impr
10
oving the expression of Pichia stipitis xylose reductase gene in Saccharomyces c
erevisiae, Appl. Biochem. Biotechnol. 39-40 : 135-147; Ho, N. W. Y. , Chen, Z, B
rainard, A. P. , 1998, Genetically engineered Saccharomyces yeast capable of eff
ectively cofermenting glucose and xylose, Appl. Environ. Microbiol. 64: 1852-185
9) 、 又 は 細 菌 、 例 え ば E. コ リ ( Beall, D. S. , Ohta, K., Ingram, L. O., 1991, Para
metric studies of ethanol production from xylose and other sugars by recombinant
Escherichia coli, Biotech. Bioeng. 38: 296-303) 、 ク レ ビ シ エ ラ ・ オ キ シ ト カ ( Kle
bsiella oxytoca) ( Ingram, L. O., Gomes, P. F. , Lai, X. , Moniruzzaman, M. , Wo
od, B. E. , Yomano, L. P., York, S. W. , 1998, Metabolic engineering of bacteria
for ethanol production, Biotechnol. Bioeng. 58: 204-214) 、 及 び ズ イ モ モ ナ ス ・ モ
20
ビ リ ス ( Zymomonas mobilis) ( Zhang, M. , Eddy, C. , Deanda, K., Finkelstein, M.
, and Picataggio, S. , 1995, Metabolic engineering of a pentose metabolism pathw
ay in ethanologenic Zymomonas mobilis, Science 267: 240-243; Deanda, K., Zhang,
M. , Eddy, C. , and Picataggio, S. , 1996, Development of an arabinose-fermentin
g Zymomonas mobilis strain by metabolic pathway engineering, Appl. Environ. Micr
obiol. 62: 4465-4470) に お け る 異 種 遺 伝 子 の ク ロ ー ニ ン グ は 、 ヘ キ ソ ー ス 及 び ペ ン ト ー
スをエタノール転換できる生物の構成を導く(共発酵)。
【0214】
酵母又はもう1つの微生物は典型的には、分解されたセルロース又は加水分解物に添加
さ れ 、 そ し て 発 酵 は 約 24∼ 約 96時 間 、 例 え ば 約 35∼ 約 60時 間 、 進 行 す る 。 温 度 は 典 型 的 に
30
は 、 約 26∼ 約 40℃ 、 特 に 約 32℃ で あ り 、 そ し て pHは 、 約 3 ∼ 約 6 、 特 に 約 4 ∼ 5 で あ る 。
【0215】
酵母又はもう1つの微生物は典型的には、分解されたセルロース又は加水分解物に添加
さ れ 、 そ し て 発 酵 は 約 24∼ 約 96時 間 、 例 え ば 約 35∼ 約 60時 間 、 進 行 す る 。 温 度 は 典 型 的 に
は 、 約 26∼ 約 40℃ 、 特 に 約 32℃ で あ り 、 そ し て pHは 、 約 3 ∼ 約 6 、 特 に 約 4 ∼ 5 で あ る 。
5
酵 母 又 は も う 1 つ の 微 生 物 は 好 ま し く は 、 約 10 ∼ 10
1 2
7
、 好 ま し く は 約 10 ∼ 10
1 0
、特に約
7
5 × 10 個 の 生 存 計 数 /ml発 酵 ブ イ ヨ ン の 量 で 適 用 さ れ る 。 エ タ ノ ー ル 生 成 期 の 間 、 酵 母 細
7
胞 計 数 は 好 ま し く は 、 約 10 ∼ 10
1 0
8
、 特 に 約 2 × 10 で あ る 。 発 酵 の た め の 酵 母 の 使 用 に 関
す る さ ら な る ガ イ ド は 、 例 え ば 引 用 に よ り 本 明 細 書 に 組 込 ま れ る 、 "The Alcohol Textboo
k" (Editors K. Jacques, T. P. Lyons and D. R. Kelsall, Nottingham University Pre
40
ss, United Kingdom 1999)に 見 出 さ れ 得 る 。
【0216】
当業界における最も広く使用される工程は、糖化のための保持段階が存在しない、すな
わ ち 酵 母 及 び 酵 素 が 一 緒 に 添 加 さ れ る 、 同 時 糖 化 及 び 発 酵 ( SSF) 工 程 で あ る 。
エタノール生成に関しては、発酵に続いて、マッシュが蒸留され、エタノールが抽出さ
れる。本発明に従って得られるエタノールは、例えば燃料エタノール、飲料エタノール、
すなわち飲用スピリット、又は産業用エタノールとして使用され得る。
【0217】
発酵刺激体が、発酵工程、及び特に発酵微生物の性能、例えば増強速度及びエタノール
収率を、さらに改良するために、本明細書において記載される酵素工程のいずれかと組合
50
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して使用され得る。“発酵刺激体”とは、発酵微生物、特に酵母の増殖のための刺激体を
言及する。増殖のための好ましい発酵刺激体はビタミン及び鉱物を包含する。ビタミンの
例は、総合ビタミン、ビオチン、パントテネート、ニコチン酸、メソ−イノシトール、チ
ア ミ ン 、 ピ リ ド キ シ ン 、 パ ラ − ア ミ ノ 安 息 香 酸 、 葉 酸 、 リ ボ フ ラ ビ ン 、 及 び ビ タ ミ ン A, B
, C, D、 及 び Eを 包 含 す る 。
【0218】
例 え ば 、 Alfenore な ど ., Improving ethanol production and viability of Saccharo
myces cerevisiae by a vitamin feeding strategy during fed-batch process, Springe
r-Verlag (2002)( 引 用 に よ り 本 明 細 書 に 組 込 ま れ る ) を 参 照 の こ と 。 鉱 物 の 例 は 、 P, K,
Mg, S, Ca, Fe, Zn, Mn及 び Cuを 含 ん で 成 る 栄 養 物 を 供 給 で き る 、 鉱 物 及 び 鉱 物 塩 を 包 含
10
する。
【0219】
回収:アルコールは、発酵されたセルロース材料から分離され、そして蒸留の従来方法
に よ り 精 製 さ れ る 。 約 96体 積 % 間 で の 純 度 を 有 す る エ タ ノ ー ル が 得 ら れ 、 例 え ば 燃 料 用 エ
タノール、飲料スピリット又は産業用エタノールとして使用され得る。
【0220】
他の有機物質に関しては、当業界において知られているいずれかの方法、例えば、クロ
マトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、粗水性、クロマトフォーカシング、及び
サイズ排除)、電気泳動方法(例えば分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫
酸 ア ン モ ニ ウ ム 沈 殿 ) 、 SDS− PAGE、 蒸 留 又 は 抽 出 が 使 用 さ れ 得 る が 、 但 し そ れ ら だ け に
20
は限定されない。
【0221】
本発明の方法においては、セルロース分解タンパク質及びセルロース分解増強ポリペプ
チドは、セルロース材料の分解を改良するために、1又は複数の追加の酵素活性により補
足され得る。好ましい追加の酵素は、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ(例えば、リパーゼ
、 ホ ス ホ リ パ ー ゼ 及 び /又 は ク チ ナ ー ゼ ) 、 プ ロ テ ア ー ゼ 、 ラ ッ カ ー ゼ 、 ペ ル オ キ シ ダ ー
ゼ又はそれらの混合物である。
本発明の方法においては、追加の酵素が、発酵の前、又は間、例えば発酵微生物の増殖
の間又は後、添加され得る。
【0222】
30
本明細書に言及される酵素は、いずれかの適切な起源、例えば細菌又は哺乳類起源に由
来し、又はそれらから得られる。用語“得られる”とは、酵素が、生来の酵素として酵素
を天然において生成する生物から単離されたことを本明細書において意味する。用語“得
られる”とはまた、酵素が宿主生物において組換え的に生成され得たことを本明細書にお
いて意味し、ここで組換え的に生成された酵素は、宿主生物に対して生来のものであるか
又 は 外 来 性 の も の で あ り 、 又 は 欠 失 さ れ 、 挿 入 さ れ 、 そ し て /又 は 置 換 さ れ る 1 又 は 複 数
の ア ミ ノ 酸 を 有 す る 修 飾 さ れ た ア ミ ノ 酸 配 列 を 有 し 、 す な わ ち 変 異 体 及 び /又 は 生 来 の ア
ミノ酸配列のフラグメントであるか、又は当業界において知られている核酸シャフリング
工程により生成される酵素である組換え的に生成された酵素である。天然の変異体は、生
来の酵素の意味内に包含され、そして組換え的に、例えば特定部位の突然変異誘発又はシ
40
ャフリングにより得られる変異体は、外来性酵素の意味内に包含される。
【0223】
酵素はまた、精製され得る。用語“精製された”とは、本明細書において使用される場
合、それが由来する生物からの他の成分を有さない酵素を包含する。用語“精製された”
とはまた、それが得られる生来の生物からのほかの成分を有さない酵素を包含する。酵素
はまた、存在するわずかに少量の他のタンパク質を伴って、精製され得る。表現“他のタ
ンパク質”とは、特に他の酵素に関する。用語“精製された”とは、本明細書において使
用される場合、他の成分、特に他のタンパク質、及び最も特定には、本発明の酵素起源の
細胞に存在する他の酵素の除去を言及する。
【0224】
50
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酵素は、“実質的に純粋”であり得、すなわちそれが生成される生物、例えば組換え的
に生成される酵素のための宿主生物からの他の成分を有さない。好ましい観点においては
、 酵 素 は 、 少 な く と も 75% ( w/w) 、 好 ま し く は 少 な く と も 80% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く
と も 85% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 90% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 95% 、 よ り 好 ま し
く は 少 な く と も 96% 、 よ り 好 ま し く は 少 な く と も 97% 、 さ ら に よ り 好 ま し く は 少 な く と も
98% 、 又 は 最 も 好 ま し く は 少 な く と も 99% 純 粋 で あ る 。 も う 1 つ の 好 ま し い 観 点 に お い て
は 、 酵 素 は 100% 純 粋 で あ る 。
【0225】
本発明に使用される酵素は、本明細書に記載される方法への使用のために適切ないずれ
か の 形 、 例 え ば 細 胞 を 有 す る か 又 は /有 さ な い 粗 発 酵 ブ イ ヨ ン 、 乾 燥 粉 末 又 は 顆 粒 、 無 粉
10
塵性顆粒、液体、安定化された液体又は保護された酵素の形で存在することができる。顆
粒 は 、 ア メ リ カ 特 許 第 4,106,991号 及 び 第 4,661,452号 に 開 示 さ れ る よ う に し て 生 成 さ れ 、
そして任意には、当業界において知られている方法により被覆され得る。液体酵素調製物
は、例えば、確立された方法に従って、安定剤、例えば糖、糖アルコール又はもう1つの
ポ リ オ ー ル 、 及 び /又 は 乳 酸 又 は も う 1 つ の 有 機 酸 を 添 加 す る こ と に よ り 安 定 化 さ れ 得 る
。 保 護 さ れ た 酵 素 は 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 238,216号 に 開 示 さ れ る 方 法 に 従 っ て 調 製 さ れ 得
る。
【0226】
ヘミセルラーゼ:
ヘミセルロースの酵素加水分解は、広範囲の種類の菌類及び細菌により行われ得る。セ
20
ルロース分解に類似するヘミセルロース加水分解は、多くの酵素の共同作用を必要とする
。
【0227】
ヘミセルラーゼは、次の3種の一般的なカテゴリーに分類され得る:多糖鎖内の内部結
合を攻撃する内部作用性酵素、多糖鎖の還元又は非還元性末端のいずれかから進行的に作
用する外部作用性酵素、及びリグニングルコシド結合を加水分解する、アクセサリー酵素
、アセチルエステラーゼ及びエステラーゼ、例えばクマル酸エステラーゼ及びフェルラ酸
エ ス テ ラ ー ゼ ( Wong, K. K. Y. , Tan, L. U. L., and Saddler, J. N. , 1988, Multipl
icity of β -1, 4-xylanase in microorganisms: Functions and applications, Microbi
ol. Rev. 52: 305-317; Tenkanen, M. , and Poutanen, K. , 1992, Significance of es
30
terases in the degradation of xylans, in Xylans and Xylanases, Visser, J., Beldm
an, G. , Kuster-van Someren, M. A. , and Voragen, A. G. J. , eds., Elsevier, New
York, NY, 203-212; Coughlan, M. P. , and Hazlewood, G. P. , 1993, Hemicellulose
and hemicellulases, Portland, London, UK; Brigham, J. S. , Adney, W. S. , and H
immel, M. E. , 1996, Hemicellulases : Diversity and applications, in Handbook on
Bioethanol : Production and Utilization, Wyman, C. E. , ed., Taylor & Francis,
Washington, DC, 119- 141) 。
【0228】
ヘミセルラーゼは、キシラナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アセチルキシランエステ
ラーゼ、グルクロニダーゼ、エンド−ガラクタナーゼ、マンナナーゼ、エンド又はエキソ
40
−アラビナーゼ、エキソ−ガラクタナーゼ及びそれらの混合物を包含する。内部作用性ヘ
ミセルラーゼ及び補助酵素の例は、エンドアラビナナーゼ、エンドアラビノガラクタナー
ゼ、エンドグルカナーゼ、エンドマンナナーゼ、エンドキシラナーゼ及びフェラキサンエ
ンドオキシラナーゼを包含する。
【0229】
外 部 作 用 性 ヘ ミ セ ル ラ ー ゼ 及 び 補 助 酵 素 の 例 は 、 α − L− ア ラ ビ ノ シ ダ ー ゼ 、 β − L− ア
ラ ビ ノ シ ダ ー ゼ 、 α − 1 , 2 − L− フ コ シ ダ ー ゼ 、 α − D− ガ ラ ク ト シ ダ ー ゼ 、 β − D− ガ
ラ ク ト シ ダ ー ゼ 、 β − D− グ ル コ シ ダ ー ゼ 、 β − D− グ ル ク ロ ニ ダ ー ゼ 、 β − D− マ ン ノ シ
ダ ー ゼ 、 β − D− キ シ ロ シ ダ ー ゼ 、 エ キ ソ グ ル コ シ ダ ー ゼ 、 エ キ ソ セ ロ ビ オ ヒ ド ロ ラ ー ゼ
、エキソマンノビオヒドロラーゼ、エキソマンナナーゼエキソキシラーゼ、キシラン、α
50
(46)
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−グルクロニダーゼ及びコニフェリンβ−グルコシダーゼを包含する。エステラーゼの例
は、アセチルエステラーゼ(アセチルガラクタンエステラーゼ、アセチルマンナンエステ
ラーゼ、及びアセチルキシランエステラーゼ)及びアリールエステラーゼ(クマル酸エス
テラーゼ及びフェルラ酸エステラーゼ)を包含する
【0230】
好 ま し く は 、 ヘ キ セ ル ラ ー ゼ は 、 外 部 作 用 性 ヘ ミ セ ル ラ ー ゼ 、 及 び よ り 好 ま し く は 、 pH
7以 下 の 酸 性 条 件 下 で ヘ ミ セ ル ロ ー ス を 加 水 分 解 す る 能 力 を 有 す る 外 部 作 用 性 ヘ ミ セ ル ラ
ー ゼ で あ る 。 本 発 明 の へ の 使 用 の た め に 適 切 な ヘ ミ セ ル ラ ー ゼ の 例 は 、 VISCOZYMETM (Nov
ozymes A/Sか ら 入 手 で き る )を 包 含 す る 。 ヘ ミ セ ル ラ ー ゼ は 、 約 0.001∼ 約 5.0重 量 % 、 よ
り 好 ま し く は 約 0.025∼ 約 4.0重 量 % 、 及 び 最 も 好 ま し く は 約 0.005∼ 約 2.0重 量 % の 有 効 量
10
で添加される。
【0231】
キ シ ラ ナ ー ゼ ( E. E. 3. 2. 1. 8) は 、 い ず れ か の 適 切 な 源 、 例 え ば 菌 類 及 び 細 菌 生 物
、例えばアスペルギラス、ジスホロトリカム、ペルシリウム、ネウロスポラ、フサリウム
、トリコダーマ、ヒューミコラ、サーモミセス及びバシラスから得られる。キシラナーゼ
を 含 ん で 成 る 、 好 ま し い 市 販 の 調 製 物 は 、 SHEARZYME( 商 標 ) , BIOFEED WHEAT( 商 標 ) ;,
BIO-FEED Plus( 商 標 ) ; L, CELLUCLAST( 商 標 ) ;, ULTRAFLO( 商 標 ) ;, VISCOZYME( 商
標 ) ;, PENTOPAN MONO( 商 標 ) ; BG, 及 び PULPZYME( 商 標 ) HC (Novozymes A/S); 及 び
LAMINEX( 商 標 ) 及 び SPEZYME( 商 標 ) CP (Genencor Int.)を 包 含 す る 。
【0232】
20
エステラーゼ:
セルロースの生物転換のために使用され得るエステラーゼは、アセチルエステラーゼ、
例えばアセチルガラクタンエステラーゼ、アセチルマンナンエステラーゼ、及びアセチル
キシランエステラーゼ、及びリグニングルコシド結合を加水分解するエステラーゼ、例え
ばクマル酸エステラーゼ及びフェルラ酸エステラーゼを包含する。
【0233】
本発明において使用される場合、カルボン酸エステルヒドロラーゼとしても知られてい
る“エステラーゼ”は、エステル結合に対して作用する酵素を言及し、そして酵素命名法
(Enzyme Nomenclature, 1992, Academic Press, San Diego, California, with Suppleme
n t 1 ( 1 9 9 3 ) , S u p p l e m e n t 2 ( 1 9 9 4 ) , S u p p l e m e n t 3 ( 1 9 9 5 ) , S u p p l e m e n t 4 ( 1 9 9 7 )及 び S
30
upplement 5, in Eur. J. Biochem. 223: 1-5,1994 ; Eur. J. Biochem. 232: 1-6,1995
; Eur. J. Biochem. 237: 1-5,1996 ; Eur. J. Biochem. 250: 1-6,1997,及 び Eur. J. B
iochem. 264: 610-650,1999に 従 っ て EC3. 1. 1カ ル ボ ン 酸 エ ス テ ル ヒ ド ロ ラ ー ゼ に お い て
分類される酵素を包含する。
【0234】
エステラーゼの非制限例は、アリールエステラーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ
、アセチルエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、コリンエステラーゼ、トロピン
エステラーゼ、ペクチンエステラーゼ、ステロールエステラーゼ、クロロフィラーゼ、L
−アラビノノラクトナーゼ、グルコノラクトナーゼ、ウロノラクトナーゼ、タンナーゼ、
レチニル−パルミテートエステラーゼ、ヒドロキシブチレート−ダイマーヒドロラーゼ、
40
アシルグリセロールリパーゼ、3−オキソアジペートエノールラクトナーゼ、1,4−ラ
クトナーゼ、ガラクトリパーゼ、4−ピリドキソラクトナーゼ、アシルアルニチンヒドロ
ラ ー ゼ 、 ア ミ ノ ア シ ル − tRNAヒ ド ロ ラ ー ゼ 、 D− ア ラ ビ ノ ノ ラ ク ト ナ ー ゼ 、 6 − ホ ス ホ グ
ル コ ノ ラ ク ト ナ ー ゼ 、 ホ ス ホ リ パ ー ゼ A1、 6 − ア セ チ ル グ ル コ ー ス デ ア セ チ ラ ー ゼ 、 リ ポ
タ ン パ ク 質 リ パ ー ゼ 、 ジ ヒ ド ロ ク マ リ ン リ パ ー ゼ 、 リ モ ニ ン − D− 環 − ラ ク ト ナ ー ゼ 、 ス
テロイド−ラクトナーゼ、トリアセテート−ラクトナーゼ、アクチノマイシンラクトナー
ゼ 、 オ ル セ リ ネ ー ト − デ プ シ ド ヒ ド ロ ラ ー ゼ 、 セ フ ァ ロ ス ポ リ ン − Cデ ア セ チ ラ ー ゼ 、 ク
ロロゲネートヒドロラーゼ、α−アミノ酸エステラーゼ、4−メチルオキサロアセテート
エ ス テ ラ ー ゼ 、 カ ル ボ キ シ メ レ ン ブ テ ノ リ ダ ー ゼ 、 デ オ キ シ リ モ ネ ー ト A− 環 − ラ ク ト ナ
ーゼ、2−アセチル−1−アルキルグリセロホスホコリンエステラーゼ、フサリニン−C
50
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オルニチンエステラーゼ、シナピンエステラーゼ、ワックス−エステルヒドロラーゼ、ホ
ルボール−ジエステルヒドロラーゼ、ホスファチジルイノシトールデアセチラーゼ、シア
レ ー ト O− ア セ チ ル エ ス テ ラ ー ゼ 、 ア セ ト キ シ ブ チ ニ ル ビ チ オ フ ェ ン デ ア セ チ ラ ー ゼ 、 ア
カチルサクチレートデアセチラーゼ、メチルウンベリフェリル−アセテートデアセチラー
ゼ 、 2 − ピ ロ ン − 4 , 6 − ジ カ ル ボ キ シ レ ー ト ラ ク ト ナ ー ゼ 、 N− ア セ チ ル ガ ラ ク ト サ ミ
ノグリカンデアセチラーゼ、幼若ホルモンエステラーゼ、ビス(2−エチルヘキシル)フ
タ レ ー ト エ ス テ ラ ー ゼ 、 タ ン パ ク 質 − グ ル タ メ ー ト メ チ ル エ ス テ ラ ー ゼ 、 11− シ ス − レ チ
ニル−パルミテートヒドロラーゼ、すべてのトランス−レチニル−パルミテートヒドロラ
ー ゼ 、 L− ラ ム ノ ノ − 1 , 4 − ラ ク ト ナ ー ゼ 、 5 − ( 3 , 4 − ジ ア セ ト キ シ ブ ト − 1 − イ
ニ ル ) − 2 , 2’ − ビ チ オ フ ェ ン で ア セ チ ラ ー ゼ 、 脂 肪 − ア シ ル − エ チ ル − エ ス テ ル シ ン
10
タ ー ゼ 、 キ シ ロ ノ − 1 , 4 − ラ ク ト ナ ー ゼ 、 N− ア セ チ ル グ ル コ サ ミ ニ ル ホ ス フ ァ チ ジ ル
イノシトールでアセチラーゼ、セトラキセートベンジルエステラーゼ、アセチルアルキル
グリセロールアセチルヒドロラーゼ及びアセチルキシランエステラーゼを包含する。
【0235】
本 発 明 へ の 使 用 の た め の 好 ま し い エ ス テ ラ ー ゼ は 、 脂 質 分 解 酵 素 、 例 え ば リ パ ー ゼ ( EC
3.1. 1.3, EC 3.1. 1.23, 及 び /又 は EC 3.1. 1.26と し て 分 類 さ れ る ) 及 び ホ ス ホ リ パ
ー ゼ ( EC 3.1. 1.4 及 び /又 は EC 3.1. 1.32と し て 分 類 さ れ , EC 3.1. 1.5と し て 分 類 さ
れるリソホスホリパーゼを包含する)である。他の好ましいエステラーゼは、クチナーゼ
( EC3. 1. 1. 74と し て 分 類 さ れ る ) で あ る 。
【0236】
20
エステラーゼは、発酵微生物の性能を改良するために、例えば発酵微生物の内部及び/
又 は 外 部 、 又 は 発 酵 微 生 物 の 細 胞 膜 に お け る 脂 質 組 成 /濃 度 を 変 更 す る た め に 、 発 酵 の 間
、 発 酵 微 生 物 中 へ の 及 び /又 は そ れ か ら の 溶 質 の 移 動 の 改 良 性 を も た ら す た め に 、 及 び /又
はエタノール収率を高めるためにより代謝できるエネルギー源を供給するために(例えば
、トウモロコシ基質からの成分、例えば油を、発酵微生物において有用な成分、例えば不
飽和脂肪酸及びグリセロールに転換することにより)、所望する有益性を得るために効果
的 な 量 で 添 加 さ れ 得 る 。 エ ス テ ラ ー ゼ の 有 効 量 の 例 は 、 約 0.01∼ 約 400LU/g DS( 乾 燥 固 形
物 ) で あ る 。 好 ま し く は 、 エ ス テ ラ ー ゼ は 、 約 0.1∼ 約 100LU/g DS、 に よ り 好 ま し く は 約 0
.5∼ 約 50LU/g DS及 び さ ら に よ り 好 ま し く は 、 約 1 ∼ 約 20LU/g DSで 使 用 さ れ る 。 エ ス テ ラ
ーゼの量のさらなる最適化はこの後、当業界において知られている標準方法を用いて得ら
30
れる。
【0237】
1 リ パ ー ゼ 単 位 ( LU) は 、 30℃ 、 pH7.0( リ ン 酸 緩 衝 液 ) で 、 基 質 と し て ト リ ブ チ リ ン
及 び 乳 化 剤 と し て ア ラ ビ ア ガ ム を 用 い て 、 1 分 当 た り 1.0μ モ ル の 滴 定 で き る 脂 肪 酸 を 放
す酵素の量である。
【0238】
好ましい観点においては、エステラーゼは、脂質分解酵素、より好ましくはリパーゼで
ある。本明細書において使用される場合、“脂質分解酵素”とは、リパーゼ及びホスホリ
パーゼ(リソ−ホスホリパーゼを包含する)を言及する。脂肪分解酵素は好ましくは、微
生物起源、特に細菌、菌類又は酵母起源のものである。
40
【0239】
使 用 さ れ る 脂 質 分 解 酵 素 は 、 い ず れ か の 源 、 例 え ば ア ブ シ デ ア ( Absidia) 株 、 特 に ア
ブ シ ジ ア ・ ブ ラ ケ ス レ ナ ( Absidia blakesleena) 及 び ア ブ シ ジ ア ・ コ リ ム ピ フ ェ ラ ( bsi
dia corymbifera) 、 ア ク ロ モ バ ク タ ー ( Achromobacter) 株 、 ア ク ロ モ バ ク タ ー ・ イ オ フ
ァ ガ ス ( Achromobacter iophagus) 、 ア エ ロ モ ナ ス ( Aeromonas) 株 、 ア ル テ ル ナ リ ア ( A
lternaria) 株 、 特 に ア ル テ ル ナ リ ア ・ ブ ラ シ シ オ ラ ( Altemaria brassiciola) 、 ア ス ペ
ル ギ ラ ス ( Aspergillus) 株 、 特 に ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ ー ( Aspergillus niger) 、 ア ス
ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ ( Aspergillus oryzae) 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ フ ミ ガ タ ス ( Aspergil
lus fumigatus) 及 び ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ フ ラ バ ス ( Aspergillus flavus) 、 ア ク ロ モ バ ク
タ ー ( Achromobacter) 株 、 特 に A. イ オ フ ァ ガ ス ( Achromobacter iophagus) 、 ア ウ レ オ
50
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バ シ ジ ウ ム ( Aureobasidium) 株 、 特 に A. プ ル ラ ン ス ( Aureobasidium pullulans) 、 バ
シ ラ ス ( Bacillus) 株 、 特 に B. プ ミ ラ ス ( Bacillus pumilus) 、 B. ス テ ア ロ サ ー モ フ ィ
ラ ス ( Bacillus stearothermophilus) 及 び B. サ ブ チ リ ス ( Bacillus subtilis) 、 ベ ア
ウ ベ リ ア ( Beauveria) 株 、 ブ ロ コ チ リ ッ ク ス ( Brochothrix) 株 、 特 に B. サ ー モ ソ ハ タ
( Brochothrix thermosohata) 、 カ ン ジ ダ ( Candida) 株 、 特 に C. シ リ ン ド ラ セ ア ( Cand
ida cylindracea) ( C. ル ゴ サ ) 、 C. パ ラ リ ポ リ チ カ ( Candida paralipolytica) 及 び C
. ア ン タ ル ク チ カ ( Candida antarctica) 、
【0240】
ク ロ ノ バ ク タ ー ( Chromobacter) 株 、 特 に C. ビ ス コ サ ム ( Chromobacter viscosum) 、
コ プ リ ナ ス ( Coprins) 株 、 特 に C. シ ネ レ ウ ス ( Coprins cinereus) 、 フ サ リ ウ ム ( Fusa
10
rium) 株 、 特 に F. グ ラ ミ ネ ア ラ ム ( Fusarium graminearum) 、 F. オ キ シ ス ポ ラ ム ( Fusa
rium oxysporum) 、 F. ソ ラ ニ ( Fusarium solani) 、 F. ソ ラ ニ pisi( Fusarium solani p
isi) 、 F. ロ セ ウ ム ク ル モ ラ ム ( Fusarium roseum culmorum) 及 び F. ベ ネ ナ ロ ム ( Fusar
ium venenatum) 、 ゲ オ ト リ カ ム ( Geotricum) 株 、 特 に G. ペ ニ シ ラ タ ム ( Geotricum pen
icillatum) 、 ハ ン セ ヌ ラ ( Hansenula) 株 、 特 に H. ア ノ マ ラ ( Hansenula anomala) 、 ヒ
ュ ー ミ コ ラ ( Humicola) 株 、 特 に H. プ レ ビ ス ポ ラ ( Humicola brevispora) 、 H. ブ レ ビ
ス var. サ ー モ イ ダ エ ( Humicola brevis var. thermoidea) 、 及 び H. イ ン ソ レ ン ス ( Hum
icola insolens) 、 ヒ ポ ザ イ マ ( Hyphozyma) 株 、 レ ク ト パ シ ラ ス ( Lactobacillus) 株 、
特 に L. ク ル バ タ ス ( Lactobacillus curvatus) 、 メ タ ル ヒ ジ ウ ム ( Metarhizium) 株 、 ム
コ ル ( Mucor) 株 、 パ エ シ ロ ミ セ ス ( Paecilomyces) 株 、 ペ ニ シ リ ウ ム ( Penicillium) 株
20
、 特 に P. シ ク ロ ピ ウ ム ( Penicillium cyclopium) 、 P. ク ラ ス ト サ ム ( Penicillium cru
stosum) 及 び P. エ キ パ ン サ ン ( Penicillium expansum) 、 シ ェ ー ド モ ナ ス ( Pseudomonas
) 株 、 特 に P. ア エ ル ギ ノ サ ( Pseudomonas aeruginosa) 、 P.ア ル カ リ ゲ ネ ス ( Pseudomon
as alcaligenes) 、 P. セ パ ク ラ ( Pseudomonas cepacia) ( ブ ル ク ホ ル デ リ ア ・ セ パ シ ア
) 、 P. フ ル オ レ セ ン ス ( Pseudomonas fluorescens) 、 P. フ ラ ギ ( Pseudomonas fragi)
、 P. マ ル ト フ ィ ラ ( Pseudomonas maltophilia) 、 P. ハ ン ド シ ナ ( Pseudomonas mendoci
na) 、
【0241】
P. メ フ ィ チ カ リ ポ リ チ カ ( Pseudomonas mephitica lipolytica) 、 P. ア ル カ リ ゲ ネ ス
( Pseudomonas alcaligenes) 、 P. プ ラ ン タ リ ( Pseudomonas plantari) 、 P. シ ュ ー ド
30
ア ル カ リ ゲ ネ ス ( Pseudomonas pseudoalcaligenes) 、 P. プ チ ダ ( Pseudomonas putida)
、 P. ス タ ゼ リ ( Pseudomonas stutzeri) 、 及 び P. ウ ィ ス コ ン シ ネ ン シ ス ( Pseudomonas
wisconsinensis) 、 リ ゾ オ ク ト ニ ア ( Rhizooctonia) 株 、 特 に R. ソ ラ ニ ( Rhizooctonia
solani) 、 リ ゾ ム コ ル ( Rhizomucor) 株 、 特 に R. ミ エ ヘ イ ( Rhizomucor miehei) 、 リ ゾ
パ ス ( Rhizopus) 株 、 特 に R. ジ ァ ポ ニ カ ス ( Rhizopus japonicus) 、 R. ミ ク ロ ス ポ ラ ス
( Rhizopus microsporus) 、 及 び R. ノ ド サ ス ( Rhizopus nodosus) 、 ロ ー ド ス ポ リ ジ ウ
ム ( Rhodosporidium) 株 、 特 に R. ト ル ロ イ デ ス ( Rhodosporidium toruloides) 、 ロ ー ド
ト ル ラ ( Rhodotorula) 株 、 特 に R. グ ル チ ニ ス ( Rhodotorula glutinis) 、 ス ポ ロ ボ ロ ミ
セ ス ( Sporobolomyces) 株 、 特 に S. シ バ タ ナ ス ( Sporobolomyces shibatanus) 、 サ ー モ
ニ セ ス ( Thermomyces) 株 、 特 に T. ラ ヌ ギ ノ サ ス ( Thermomyces lanuginosus) ( ヒ ュ ー
40
ミ コ ラ ・ ラ ヌ ギ ノ サ ) 、 チ ア ロ ス ポ レ ラ ( Thiarosporella) 株 、 特 に T. フ ァ セ オ リ ナ ( T
hiarosporella phaseolina) 、 ト リ コ ダ ー マ ( Trichoderma) 株 、 特 に T. ハ ル ジ ア ナ ム (
Trichoderma harzianum) 及 び T. レ セ イ ( Trichoderma reesei) 、 及 び /又 は ベ ル チ シ リ
ウ ム ( Verticillium) 株 か ら 誘 導 さ れ 得 る 。
【0242】
好 ま し い 観 点 に お い て は 、 脂 質 分 解 酵 素 は 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ( Aspergillus) 、 ア ク ロ
モ バ ク タ ー ( Achromobacter) 、 バ チ ル ス ( Bacillus) 、 カ ン ジ ダ ( Candida) 、 ク ロ モ ガ
ク タ ー ( Chromobacter) 、 フ サ リ ウ ム ( Fusarium) 、 ヒ ュ ー ミ コ ラ ( Humicola) 、 ヒ フ ォ
ザ イ マ ( Hyphozyma) 、 シ ュ ー ド モ ナ ス ( Pseudomonas) 、 リ ゾ ム コ ル ( Rhizomucor) 、 リ
ゾ パ ス ( Rhizopus) 又 は サ ー モ ミ セ ス ( Thermomyces) 株 か ら 誘 導 さ れ る 。
50
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【0243】
より好ましい観点においては、脂質分解酵素はリパーゼである。リパーゼは、例えばト
ウモロコシ基質に起因する、発酵培地(発酵酵母を含む)におけるトリグリセリド油及び
脂肪の構造及び組成を修飾するそれらの能力のために本明細書においては適用され得る。
リパーゼは、異なったタイプのトリグリセリド転換、例えば加水分解、エステル化及びエ
ステル交換を触媒する。
【0244】
適切なリパーゼは、当業界において良く知られているように、酸性、中性及び塩基性リ
パ ー ゼ を 介 在 す る が 、 但 し 酸 性 リ パ ー ゼ ( 例 え ば 、 Amanoか ら 入 手 で き る リ パ ー ゼ G AMANO
50) が 、 中 性 又 は 塩 基 性 リ パ ー ゼ に 比 較 し て 、 リ パ ー ゼ の 低 濃 度 で よ り 効 果 的 で あ る と
10
思われる。本発明への使用のための好ましいリパーゼは、カンジダ・アンタルクチカリパ
ーゼ及びカンジダ・シリンドラセアリパーゼを包含する。より好ましいリパーゼは、精製
さ れ た リ パ ー ゼ 、 例 え ば カ ン ジ ダ ・ ア ン タ ル ク チ カ リ パ ー ゼ ( リ パ ー ゼ A) 、 カ ン ジ ダ ・
ア ン タ ル ク チ カ リ パ ー ゼ ( リ パ ー ゼ B) 、 カ ン ジ ダ ・ シ リ ン ド ラ セ ア リ パ ー ゼ 、 及 び ペ ニ
シリウム・カメムベルチリパーゼである。
【0245】
リ パ ー ゼ は 、 EP258,068− Aに 開 示 さ れ る も の で あ り 得 、 又 は リ パ ー ゼ 変 異 体 、 例 え ば WO
00/60063号 又 は WO00/32758号 ( 引 用 に よ り 本 明 細 書 に 組 込 ま れ る ) に 開 示 さ れ る 変 異 体 で
あ り 得 る 。 好 ま し い 市 販 の リ パ ー ゼ は 、 LECITASE
mes A/Sか ら 入 手 で き る ) and G AMANO
T M
T M
, LIPOLASE
T M
, 及 び LIPEX
T M
(Novozy
50 (Amanoか ら 入 手 で き る )を 包 含 す る 。
20
リ パ ー ゼ は 好 ま し く は 、 約 1 ∼ 約 400LU/g DS, 好 ま し く は 約 1 ∼ 約 10LU/g DS及 び よ り
好 ま し く は 約 1 ∼ 約 5LU/g DSの 量 で 添 加 さ れ る 。
【0246】
本発明のもう1つの好ましい観点においては、エステラーゼは、クチナーゼである。ク
リナーゼは、クチンを分解できる酵素である。クチナーゼは、いずれかの源から誘導され
得 る 。 好 ま し い 観 点 に お い て は 、 ク チ ナ ー ゼ は 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ( Aspergillus) 株 、 特
に A. オ リ ザ エ ( Aspergillus oryzae) 、 ア ル テ マ リ ア ( Altemaria) 株 、 特 に A. ブ ラ シ
ン オ ラ ( Altemaria brassiciola) 、 フ サ リ ウ ム ( Fusarium) 株 、 特 に F. ソ ラ ニ ( Fusari
um solani) 、 F. ソ ラ ニ pisi( Fusarium solani pisi) 、 F. ロ ゼ ウ ム ク ロ モ ラ ム ( Fusa
rium roseum culmorum) 、 又 は F. ロ ゼ ウ ム サ ム ブ シ ラ ム ( Fusarium roseum sambucium)
30
、 ヘ ル ミ ン ト ス ポ ラ ム ( Helminthosporum) 株 、 特 に H. サ チ ビ ュ ウ ム ( Helminthosporum
sativum) 、 ヒ ュ ー ミ コ ラ ( Humicola) 株 、 特 に H. イ ン ソ レ ン ス ( Humicola insolens)
、 シ ュ ー ド モ ナ ス ( Pseudomonas) 株 、 特 に P. メ ン ド シ ナ ( Pseudomonas mendocina) 又
は P. プ チ ダ ( Pseudomonas putida) 、 リ ゾ オ ク ト ニ ア ( Rhizooctonia) 株 、 特 に R. ソ ラ
ニ ( Rhizooctonia solani) 、 ス ト レ プ ト ミ セ ス ( Streptomyces) 株 、 特 に S. ス カ ビ エ ス
( Streptomyces scabies) 、 又 は ウ ロ ク ラ ジ ウ ム ( Ulocladium) 株 、 特 に U. コ ン ソ ル チ
ア レ ( Ulocladium consortiale) か ら 誘 導 さ れ る 。
【0247】
最も好ましい観点においては、クチナーゼは、ヒューミコラ・インソレンスの株、特に
ヒ ュ ー ミ コ ラ ・ イ ン ソ レ ン ス DSM1800の 株 か ら 誘 導 さ れ る 。 ヒ ュ ー ミ コ ラ ・ イ ン ソ レ ン ス
40
ク リ ナ ー ゼ は WO96/13580号 ( 引 用 に よ り 本 明 細 書 に 組 み こ ま れ る ) に 記 載 さ れ る 。 ク チ ナ
ー ゼ は 、 変 異 体 、 例 え ば WO00/34450号 及 び WO01/92502号 ( 引 用 に よ り 本 明 細 書 に 組 込 ま れ
る)に開示される変異体の1つであり得る。好ましいクチナーゼ変異体は、引用により本
明 細 書 に 組 込 ま れ る WO01/92502号 の 例 2 に 列 挙 さ れ る 変 異 体 を 包 含 す る 。 ク チ ナ ー ゼ の 有
効 量 は 、 約 0.01∼ 約 400LU/g DS、 好 ま し く は 約 0.1∼ 約 100LU/g DS、 及 び よ り 好 ま し く は
約 1 ∼ 約 50LU/g DSで あ る 。 こ の 後 、 ク チ ナ ー ゼ の 量 の さ ら な る 最 適 化 は 、 当 業 界 に お い
て知られている標準方法を用いて得られる。
【0248】
もう1つの好ましい観点においては、エステラーゼは、ホスホリパーゼである。本明細
書に使用される場合、用語“ホスホリパーゼ”とは、リン脂質に対する活性、例えば加水
50
(50)
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分解活性を有する酵素である。リン脂質、例えばレシチン又はホスファチジルコリンは、
外 部 ( sn-1) 及 び 中 間 ( sn-2) 位 置 に お い て 2 個 の 脂 肪 酸 に よ り エ ス テ ル 化 さ れ 、 そ し て
第3位置においてリン酸によりエステル化されたグリセロールから成る。リン酸は、アミ
ノアルコールにエステル化され得る。いくつかのタイプのホスホリパーゼ活性、例えばリ
ソ リ ン 脂 質 を 形 成 す る た め に 1 つ の 脂 質 ア シ ル 基 を 加 水 分 解 す る ホ ス ホ リ パ ー ゼ A1及 び A2
( そ れ ぞ れ 、 sn-1及 び sn-2位 置 に お け る ) ; 及 び リ ソ リ ン 脂 質 に お け る 残 る 脂 肪 ア シ ル 基
を 加 水 分 解 す る リ ソ ホ ス ホ リ パ ー ゼ ( 又 は ホ ス ホ リ パ ー ゼ B) が 区 別 さ れ 得 る 。 ホ ス ホ リ
パ ー ゼ C及 び ホ ス ホ リ パ ー ゼ D( ホ ス ホ ジ エ ス テ ラ ー ゼ ) は 、 そ れ ぞ れ ジ ア シ ル グ リ セ ロ ー
ル又はホスファチジン酸を開放する。
【0249】
10
用 語 “ ホ ス ホ リ パ ー ゼ ” と は 、 ホ ス ホ リ パ ー ゼ 活 性 、 例 え ば ホ ス ホ リ パ ー ゼ A( A1又 は A
2) 、 ホ ス ホ リ パ ー ゼ B活 性 、 ホ ス ホ リ パ ー ゼ C活 性 又 は ホ ス ホ リ パ ー ゼ D活 性 を 有 す る 酵 素
を 包 含 す る 。 用 語 “ ホ ス ホ リ パ ー ゼ A” と は 、 本 明 細 書 に お い て 使 用 さ れ る 場 合 、 ホ ス ホ
リ パ ー ゼ A1及 び /又 は A2活 性 を 有 す る 酵 素 を 包 含 す る 。 ホ ス ホ リ パ ー ゼ 活 性 は 、 他 の 活 性
を有する酵素、例えばホスホリパーゼ活性を有するリパーゼにより提供され得る。ホスホ
リパーゼ活性は、ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼからであり得る。他の観点にお
いては、ホスホリパーゼ酵素活性は、ホスホリパーゼ活性のみを実質的に有する酵素によ
り提供され、そしてホスホリパーゼ酵素活性は副活性ではない。
【0250】
ホスホリパーゼは、いずれかの起源のもの、例えば動物起源(例えば、哺乳類、例えば
20
ウシ又はブタ膵臓)のもの、又はヘビの毒又はハチの毒起源のものであり得る。他方では
、ホスホリパーゼは、次の微生物起源のものであり得る:糸状菌、酵母又は細菌、アスペ
ル ギ ラ ス ( Aspergillus) 、 例 え ば A. ア ワ モ リ ( A. awamori) 、 A. フ ォ エ チ ダ ス ( A. fo
etidus) 、 A. ジ ャ ポ ニ カ ス ( A. japonicus) 、 A. ニ ガ ー ( A. niger) 又 は A. オ リ ザ エ
( A. oryzae) ; ジ ク チ オ ス テ リ ウ ム ( Dictyostelium) 、 例 え ば D. ジ ス コ イ デ ウ ム ( D.
discoideum) ; フ サ リ ウ ム ( Fusarium) 、 例 え ば F. ク ル モ ラ ム ( F. culmorum) 、 F. グ
ラ ミ ネ ア ラ ム ( F. graminearum) 、 F. ヘ テ ロ ス ポ ラ ム ( F. heterosporum) 、 F. ソ ラ ニ
( F. solani) 、 F. オ キ シ ス ポ ラ ム ( F. oxysporum) 又 は F. ベ ネ ナ タ ム ( F. venenatum
) ; ム コ ル ( Mucor) 、 例 え ば M. ジ ャ バ ニ カ ス ( M. javanicus) 、 M. ム セ ド ( M. mucedo
) 又 は M. サ ブ チ リ シ マ ス ( M. subtilissimus) ; ネ ウ ロ ス ポ ラ ( Neurospora) 、 例 え ば N
30
. ク ラ サ ( N. crassa) ; リ ゾ ム コ ル ( Rhizomucor) 、 例 え ば R. プ シ ラ ス ( R. pusillus
) ; リ ゾ パ ス ( Rhizopus) 、 例 え ば R. ア ル ヒ ズ ス ( R. arrhizus) 、 R. ジ ャ ポ ニ カ ス ( R
. japonicus) 、 又 は R. ス ト ロ ニ フ ァ ー ( R. stolonifer) ;
【0251】
ス ク レ ロ チ ニ ア ( Sclerotinia) 、 例 え ば S. リ ベ ル チ ア ナ ( S. libertiana) ; ト リ コ
フ ァ イ ト ン ( Trichophyton) 、 例 え ば T. ル ブ ラ ム ( T. rubrum) ; ホ エ ト ゼ リ ニ ア ( Whet
zelinia) 、 例 え ば W. ス ク レ ロ チ オ ラ ム ( W. sclerotiorum) ; バ チ ル ス ( Bacillus) 、
例 え ば B. メ ガ テ リ ウ ム ( B. megaterium) 又 は B. サ ブ チ リ ス ( B. subtilis) ; シ ト ロ バ
ク タ ー ( Citrobacter) 、 例 え ば C. フ レ ウ ン ジ ( C. freundii) ; エ ン テ ロ バ ク タ ー ( Ent
erobacter) 、 例 え ば E. フ ェ ロ ゲ ネ ス ( E. aerogenes) 又 は E. ク ロ ア ガ エ ( E cloacae)
40
; エ ド ワ ー ド シ エ ラ ( Edwardsiella) 、 例 え ば E. タ ル ダ ( E. tarda) ; エ ル ウ ィ ニ ア ( E
rwinia) 、 例 え ば E. ヘ ル ビ コ ラ ( E. herbicola) ; エ ス シ ェ リ シ ア ( Escherichia) 、 例
え ば E. コ リ ( E. coli) ; ク レ ブ シ ェ ラ ( Klebsiella) 、 例 え ば K. プ ネ ラ モ ニ ア エ ( K.
pneumonie) ; プ ロ テ ウ ム ( Proteus) 、 例 え ば P. バ ル ガ リ ス ( P. vulgaris) ; プ ロ ピ テ
ン シ ア ( Providencia) 、 例 え ば P. ス ツ ア ル チ ( P. stuartii) ; サ ル モ ネ ラ ( Salmonell
a) 、 例 え ば S. チ ピ ム リ ウ ム ( S. typhimurium) ; セ ラ チ ア ( Serratia) 、 例 え ば S. リ
ケ フ ァ シ エ ン ス ( S. liquefasciens) 、 S. マ ル セ セ ン ス ( S. marcescens) ; シ ゲ ラ ( Sh
igella) 、 例 え ば S. フ レ キ シ ネ リ ( S. flexneri) ; ス ト レ プ ト ミ セ ス ( Streptomyces)
、 例 え ば S.ビ オ レ セ オ ル ベ ル ( S. violeceoruber) ; 又 は ヤ ル シ ニ ア ( Yersinia) 、 例 え
ば Y. エ ン テ ロ コ リ チ カ ( Y. enterocolitica) 。
50
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【0252】
好 ま し い 市 販 の ホ ス ホ リ パ ー ゼ は 、 LECITASE
T M
及 び LECITASE
T M
ULTRA (Novozymes AI
Sか ら 入 手 で き る )を 包 含 す る 。
ホ ス ホ リ パ ー ゼ の 有 効 量 は 、 約 0.01∼ 約 400Lu/g DS、 好 ま し く は 約 0.1∼ 約 100Lu/g DS
、 及 び よ り 好 ま し く は 約 1 ∼ 約 50LU/g DSで あ る 。 ホ ス ホ リ パ ー ゼ の 量 の さ ら な る 最 適 化
は、この後、当業界において知られている標準方法を用いて得られる。
【0253】
プロテアーゼ:
本発明のもう1つの好ましい観点においては、少なくとも1つの界面活性剤及び少なく
とも1つの炭水化物生成酵素が、少なくとも1つのプロテアーゼと組合して使用される。
10
プ ロ テ ア ー ゼ は 、 遊 離 ア ミ ノ 窒 素 ( FAN) を 生 成 す る た め の タ ン パ ク 質 を 消 化 す る た め に
使用され得る。そのような遊離アミノ酸は、酵母のための栄養物として機能し、それによ
り、酵母の増殖及び従って、エタノールの生成を増強する。
【0254】
発酵工程への使用のための発酵微生物は、少なくとも1つのプロテアーゼの存在下で発
酵微生物の増殖により生成され得る。いずれの1つの操作理論に制限されないが、有効量
の少なくとも1つのプロテアーゼと共に発酵微生物を増殖することが、発酵微生物が続い
て、発酵工程において使用される場合、プロテアーゼの添加を伴わない条件下で増殖され
る発酵微生物に比較して、発酵微生物の遅れ時間を低めると思われる。増殖工程における
プロテアーゼの作用は、発酵微生物に対して有害であるか又は有益である遺伝子の抑制又
20
は発現を、直接的に又は間接的にもたらし、それにより、遅れ時間を低め、そしてより早
い発酵循環をもたらすと思われる。
【0255】
プロテアーゼは、当業界において良く知られており、そしてペプチド結合の分解を触媒
する酵素を言及する。適切なプロテアーゼは、菌類及び細菌プロテアーゼを包含する。好
ま し い プ ロ テ ア ー ゼ は 、 酸 性 プ ロ テ ア ー ゼ 、 す な わ ち pH7以 下 の 酸 性 条 件 下 で 、 タ ン パ ク
質を加水分解する能力により特徴づけられるプロテアーゼを包含する。適切な酸性菌類プ
ロ テ ア ー ゼ は 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ( Aspergillus) 、 ム コ ル ( Mucor) 、 リ ゾ パ ス ( Rhizopus
) 、 カ ン ジ ダ ( Candida) 、 コ リ オ ラ ス ( Coriolus) 、 エ ン ド チ ア ( Endothia) 、 エ ン ト
モ フ ト ラ ( Enthomophtra) 、 イ リ ペ ッ ク ス ( Irpex) 、 ペ ニ シ ラ ム ( Penicillium) 、 ス ク
30
レ ロ チ ウ ム ( Sclerotium) 及 び ト ル ロ ピ シ ス ( Torulopsis) 由 来 の 菌 類 プ ロ テ ア ー ゼ を 包
含する。
【0256】
ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ ー ( 例 え ば 、 Koaze な ど ., 1964, Agr. Biol. Chem. Japan 28:
216を 参 照 の こ と ) 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ サ イ ト イ ( Aspergillus saitoi) ( 例 え ば 、 Yoshi
da, 1954, J. Agr. Chem. Soc. Japan 28: 66を 参 照 の こ と ) 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ア ワ モ
リ ( Hayashida な ど ., 1977, Agric. Biol. Chem. 42: 927-933) 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ア
キ ュ レ ア タ ス ( WO95/02044号 ) 、 又 は ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ 由 来 の プ ロ テ ア ー ゼ ; 及
びムコル・プラシス又はムコル・ミエヘイからの酸性プロテアーゼが特に企画される。
【0257】
酸 性 プ ロ テ ア ー ゼ で な い 細 菌 プ ロ テ ア ー ゼ は 、 市 販 の 製 品 ALCALASE
40
T M
及 び NEUTRASE
T M
(Novozymes A/Sか ら 入 手 で き る )を 包 含 す る 。 他 の プ ロ テ ア ー ゼ は 、 Genencor Internatio
nal, Inc., USA か ら の GC106及 び Novozymes A/Sか ら の NOVOZYMT 50006を 包 含 す る 。
好 ま し く は 、 プ ロ テ ア ー ゼ は 、 Handbook of Proteolytic Enzymes, Edited by A. J. B
arrett, N. D. Rawlings and J. F. Woessner, Academic Press, San Diego, 1998, Chap
ter 270に 記 載 の よ う に 、 ア ス パ ラ ギ ン 酸 プ ロ テ ア ー ゼ で あ る 。 ア ス パ ラ ギ ン 酸 プ ロ テ ア
ー ゼ の 適 切 な 例 は 、 Berka な ど ., 1990, Gene 96: 313; Berka な ど ., 1993, Gene 125:
195-198; 及 び Gomi な ど ., 1993, Biosci. Biotech. Biochem. 57: 1095-1100に よ り 開
示されるそれらを包含する。
【0258】
50
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ペルオキシダーゼ:
ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 活 性 を 有 す る 他 の 化 合 物 は 、 い ず れ か の ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ ( EC1. 11.
1. 7) 又 は ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 活 性 を 示 す 、 そ れ ら か ら 誘 導 さ れ た ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 活 性
を有するいずれかのフラグメントであり得る。
好ましくは、ペルオキシダーゼは、植物(例えば、ホースラディシュ又は大豆ペルオキ
シダーゼ)、又は微生物、例えば菌類又は細菌により生成される。
【0259】
い く つ か の 好 ま し い 菌 類 は 、 不 完 全 菌 亜 門 、 ハ イ フ ォ マ イ セ テ ス ( Hyphomycetes) 網 、
例 え ば 、 フ サ リ ウ ム 、 ヒ ュ ー ミ コ ラ 、 ト リ コ ダ ー マ 、 マ イ ロ セ シ ウ ム ( Myrothecium) 、
ベ ル チ シ ラ ム ( Vetticillum) 、 ア ル ス ロ マ イ セ ス ( Arthromyces) 、 カ ル ダ リ オ マ イ セ ス
10
( Caldariomyces) 、 ウ ロ ク ラ ジ ウ ム ( Ulocladium) 、 エ ム ベ リ シ ア ( Embellisia) 、 ク
ラ ド ス ポ リ ウ ム ( Cladosporium) ; 又 は ド レ ス ク レ ラ ( Dreschlera) 、 特 に フ サ リ ウ ム ・
オ キ シ ス ポ ラ ム ( DSM2672) 、 ヒ ュ ー ミ コ ラ ・ イ ン ソ レ ン ス 、 ト リ コ ダ ー マ ・ レ セ イ 、 マ
イ ク ロ セ シ ウ ム ・ ベ ロ カ リ ア ( Myrothecium verrucaria) ( IFO6113) 、 ベ ル チ シ ラ ム ・
ア ル ボ ア ト ラ ム ( Vetticillum alboatrum) 、 ベ ル チ シ ラ ム ・ ダ ヒ ル ( Verticillum dahli
e) 、 ア ル ス ロ マ イ セ ス ・ ラ マ サ ス ( Arthromyces ramosus) ( FERM P-7754) 、 カ ル ダ リ
オ マ イ セ ス ・ フ マ ゴ ( Caldariomyces fumago) 、 ウ ロ ク ラ ジ ウ ム ・ カ ル タ ラ ム ( Ulocladi
um chartarum) 、 エ ム ベ リ シ ア ・ ア リ ( Embellisia alli) 又 は ド レ ス ク レ ラ ・ ハ ロ デ ス
( Dreschlera haloes) に 属 す る 株 を 包 含 す る 。
【0260】
20
他 の 好 ま し い 菌 類 は 、 担 子 菌 亜 門 、 バ シ ジ オ マ イ セ ス ( Basidiomycetes) 網 、 例 え ば コ
プ リ ヌ ス ( Coprins) 、 フ ァ ネ ロ カ エ ト ( Phanerochaete) 、 コ リ オ ラ ス ( Coriolus) 又 は
ト ラ メ テ ス ( Trametes) 、 特 に コ プ リ ヌ ス ・ シ ネ レ ウ ス f. ミ ク ロ ス ポ ラ ス ( Coprins ci
nereus f. microsporus) ( IFO8371) 、 コ プ リ ヌ ス ・ マ ク ロ リ ガ ス ( Coprins macrorhizu
s) 、 フ ァ ネ ロ カ エ ト ・ ク リ ソ ス ピ リ ウ ム ( Phanerochaete chrysosporium) ( 例 え ば 、 NA
-12) 、 又 は ト ラ メ テ ス ( Trametes) ( 以 前 、 ポ リ ポ ラ ス と 呼 ば れ る ) 、 例 え ば T. ベ ル シ
コ ロ ル ( T. versicolor) ( 例 え ば 、 PR4 28-A) に 属 す る 株 を 包 含 す る 。
【0261】
さ ら な る 好 ま し い 菌 類 は 、 接 合 菌 亜 門 、 マ イ コ ラ セ ア エ ( Mycoraceae) 網 、 例 え ば 、 リ
ゾ パ ス ( Rhizopus) 又 は ム コ ル ( Mucor) 、 特 に ム コ ル ・ ヒ エ マ リ ス ( Mucor hiemalis)
30
に属する株を包含する。
いくつかの好ましい菌類は、アクチノミセス網の株、例えばストレプトミセス・スフェ
ロ イ デ ス ( Streptomyces spheroids) ( ATTC23965) 、 ス ト レ プ ト ミ セ ス ・ サ ー モ ビ オ ラ
セ ウ ス ( Streptomyces thermoviolaceus) ( IFO12382) 、 又 は ス ト レ プ ト ベ ル チ シ ラ ム ・
ベ ル チ シ リ ウ ム ssp. ベ ル チ シ リ ク ( Streptoverticillum verticillium ssp. verticilli
um) を 包 含 す る 。
【0262】
他 の 好 ま し い 細 菌 は 、 ロ ー ド バ ク タ ー ・ ス フ ァ エ ロ イ デ ス ( Rhodobacter sphaeroides
) 、 ロ ー ド モ ナ ス ・ パ ル ス ト リ ( Rhodomonas palustri) 、 ス ト レ プ ト コ ー カ ス ・ ラ ク チ
ス ( Streptococcus lactis) 、 シ ュ ド モ ナ ス ・ プ ロ シ ニ ア ( Pseudomonas purrocinia) (
40
ATCC15958) 、 シ ュ ー ド モ ナ ス ・ フ ル オ レ セ ン ス ( Pseudomonas fluorescens) ( NRRL B-1
1) 及 び バ チ ル ス 株 、 例 え ば バ チ ル ス ・ プ ミ ラ ス ( Bacillus pumilus) ( ATCC12905) 及 び
バ チ ル ス ・ ス テ ア ロ サ ー モ フ ィ ラ ス ( Bacillus stearothermophilus) を 包 含 す る 。
【0263】
さ ら に 好 ま し い 細 菌 は 、 ミ ク ソ コ ー カ ス ( Myxococcus) に 属 す る 株 、 例 え ば M. ビ レ ス
セ ン ス ( M. virescens) を 包 含 す る 。
ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ は ま た 、 ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ を コ ー ド す る DNA配 列 、 及 び ペ ル オ キ シ ダ
ー ゼ を コ ー ド す る DNA配 列 の 発 現 の た め の DNA配 列 を 担 持 す る 組 換 え DNAベ ク タ ー に よ り 形
質転換された宿主細胞を、ペルオキシダーゼの発現を可能にする条件下で、培養培地にお
いて培養し、そして増殖物からペルオキシダーゼを回収することを含んで成る方法により
50
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生成されるペルオキシダーゼでもあり得る。
【0264】
好 ま し い 観 点 に お い て は 、 組 換 え 的 に 生 成 さ れ た ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ は 、 WO92/16634号 に
従 っ て 、 コ プ リ ヌ ス sp.( Coprinus sp.) , 特 に C. マ ク ロ リ ズ ス ( C. macrorhizus) 又 は
C. シ ネ レ ウ ス ( C. cinereus) か ら 誘 導 さ れ た ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ で あ る 。
本発明においては、ペルオキシダーゼ活性を有する化合物は、ペルオキシダーゼ酵素、
及びチトクロム、ヘモグロビン又はペルオキシダーゼ酵素由来のペルオキシダーゼ活性フ
ラグメントを含んで成る。
【0265】
1 ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 単 位 ( POXU) は 、 次 の 条 件 下 で 、 pH7.0の 0.1Mの リ ン 酸 緩 衝 液 、 0.8
10
8mMの 過 酸 化 水 素 及 び 1.67mMの 2, 2’ − ア ジ ノ − ビ ス ( 3 − エ チ ル ベ ン ゾ チ ア ゾ リ ン − 6
− ス ル ホ ネ ー ト ) ( ABTS) に お い て 30℃ で 1 分 当 た り 、 1 μ モ ル の 過 酸 化 水 素 の 転 換 を 触
媒 す る 酵 素 の 量 で あ る 。 反 応 は 、 0.15∼ 0.30の 範 囲 に あ る べ き で あ る 、 418nmで の 吸 光 度
の 変 化 に よ り 60秒 間 ( 混 合 の 後 、 15秒 ) 、 進 行 す る 。 活 性 の 計 算 に 関 し て は 、 36mM
- 1
cm
- 1
の 酸 化 さ れ た ABTSの 吸 収 係 数 及 び 2μ モ ル の ABTS当 た り に 転 換 さ れ る 1μ モ ル の H2 O2 の 化 学
量論が使用される。
【0266】
ラッカーゼ:
本 発 明 に お い て は 、 ラ ッ カ ー ゼ 及 び ラ ッ カ ー ゼ 関 連 酵 素 は 、 EC1. 10. 3. 2と し て 分 類
さ れ る い ず れ か の ラ ッ カ ー ゼ 酸 素 、 EC1. 10. 3. 1と し て 分 類 さ れ る い ず れ か の カ テ コ ー
20
ル オ キ シ ダ ー ゼ 酵 素 、 EC1. 3. 3. 5と し て 分 類 さ れ る い ず れ か の ピ リ ル ビ ン オ キ シ ダ ー ゼ
酵 素 、 又 は EC1. 14. 18. 1と し て 分 類 さ れ る い ず れ か の も の フ ェ ノ ー ル モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー
ゼ酵素を包含する。
【0267】
上記酵素は、微生物性であり、すなわち細菌又は菌類(糸状菌及び酵母を包含する)か
ら得られるか、又はそれらは植物から誘導され得る。
菌類からの適切な例は、次の株から得られるラッカーゼを包含する:アスペルギラス(
Aspergillus) 、 ニ ュ ー ロ ス ポ ラ ( Neurospora) 、 例 え ば N. ク ラ サ ( N. crassa) 、 ポ ド
ス ポ ラ ( Podospora) 、 ボ ト リ チ ス ( Botrytis) 、 コ リ ビ ア ( Collybia) 、 ホ メ ス ( Fomes
) 、 レ ン チ ヌ ス ( Lentinus) 、 プ レ ウ ロ タ ス ( Pleurotus) 、 ト ラ メ テ ス ( Trametes) 、
30
例 え ば T. ビ ロ サ ( T. villosa) 、 及 び T. ベ ル シ コ ロ ル ( T. versicolor) 、 リ ゾ オ ク ト
ニ ア ( Rhizooctonia) 、 例 え ば R. ソ ラ ニ ( R. solani) 、 コ プ リ ヌ ス ( Coprins) 、 例 え
ば C. ニ ネ レ ウ ス ( C. cinereus) 、 C. コ マ タ ス ( C. comatus) 、 C. フ リ エ シ ル ( C. fri
esii) 、 及 び C. プ リ カ チ リ ス ( C. plicatilis) 、 プ サ チ レ ラ ( Psathyrella) 、 例 え ば P
. コ ン デ レ ア ナ ( P. condelleana) 、 パ ナ エ オ ラ ス ( Panaeolus) 、 例 え ば P. パ ピ ロ ナ セ
ウ ス ( P. papilionaceus) 、 マ イ セ リ オ プ ソ ラ ( Myceliophthora) 、 例 え ば M. サ ー モ フ
ィ ラ ( M. thermophila) 、 シ タ リ ジ ウ ム ( Schytalidium) 、 例 え ば S. サ ー モ フ ィ ラ ム ( S
. thermophilum) 、 ポ リ ポ ラ ス ( Polyporus) 、 例 え ば P. ピ ン シ タ ス ( P. pinsitus) 、
ピ シ ノ ポ ラ ス ( Pycnoporus) 、 例 え ば P. シ ン ナ バ リ マ ス ( P. cinnabarinus) 、 フ レ ビ ア
( Phlebia) 、 例 え ば P. ラ ジ タ ( P. radita) ( WO92/01046号 ) 又 は コ リ オ ラ ス ( Coriolu
40
s) 、 例 え ば C. ヒ ル ス タ ス ( C. hirsutus) ( 日 本 特 許 第 2− 238885号 ) 。
【0268】
細菌からの適切な例は、バチルスの株から得られるラッカーゼを包含する。
コ プ リ ン ス ( Coprins) 、 マ イ セ リ オ プ ソ ラ ( Myceliophthora) 、 ポ リ ポ ラ ス ( Polypor
us) 、 ピ シ ノ ポ ラ ス ( Pycnoporus) 、 シ タ リ ジ ウ ム ( Scytalidium) 又 は リ ゾ ク ト ニ ア ( R
hizoctonia) か ら 得 ら れ る ラ ッ カ ー ゼ が 好 ま し く は ; 特 に 、 コ プ リ ヌ ス ・ シ ネ レ ウ ス ( Co
prins cinereus) 、 マ イ セ リ オ プ ソ ラ ・ サ ー モ フ ィ ラ ( Myceliophthora thermophila) 、
ポ リ ポ ラ ス ・ ピ ン シ タ ス ( Polyporus pinsitus) 、 ピ ン ノ ポ ラ ス ・ シ ン ナ パ リ ヌ ス ( Pycn
oporus cinnabarinus) 、 シ タ リ ジ ウ ム ・ サ ー モ フ ィ ラ ム ( Scytalidium thermophilum)
又 は リ ゾ ク ト ニ ア ・ ソ ラ ニ ( Rhizoctonia solani) か ら 得 ら れ る ラ ッ カ ー ゼ が 好 ま し い 。
50
(54)
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【0269】
市 販 の ラ ッ カ ー ゼ は 、 NS51001 (ポ リ ポ ラ ス ・ ピ ン シ タ ス ラ ッ カ ー ゼ , Novozymes A/S
か ら 入 手 で き る ) 及 び NS51002 (マ イ セ リ オ プ ソ ラ ・ サ ー モ フ ィ ラ ラ ッ カ ー ゼ , Novozyme
s A/Sか ら 入 手 で き る )で あ る 。
【0270】
ラ ッ カ ー ゼ 又 は ラ ッ カ ー ゼ 関 連 酵 素 は ま た 、 ラ ッ カ ー ゼ を コ ー ド す る DNA配 列 、 及 び ラ
ッ カ ー ゼ を コ ー ド す る DNA配 列 の 発 現 の た め の DNA配 列 を 担 持 す る 組 換 え DNAベ ク タ ー に よ
り形質転換された宿主細胞を、ラッカーゼの発現を可能にする条件下で、培養培地におい
て培養し、そして増殖物からラッカーゼを回収することを含んで成る方法により生成され
るラッカーゼでもあり得る。
10
【0271】
ラ ッ カ ー ゼ 活 性 ( LACU) は 、 pH5.5で の 好 気 性 条 件 下 で シ リ ン ガ ル ダ ジ ン の 酸 化 か ら 決
定 さ れ る 。 生 成 さ れ る 紫 色 が 530nmで 光 度 測 定 さ れ る 。 分 析 条 件 は 、 19mMの シ リ ン ガ ル ダ
ジ ン 、 23mMの 酢 酸 緩 衝 液 、 pH5.5、 30℃ 、 1 分 の 反 応 時 間 で あ る 。 1 ラ ッ カ ー ゼ 単 位 ( LAC
U) は 、 上 記 条 件 下 で 1 分 当 た り 1.0μ モ ル の シ リ ン ガ ル ダ ジ ン の 転 換 を 触 媒 す る 酵 素 の 量
である。
【0272】
ラ ッ カ ー ゼ 活 性 ( LAMU) は 、 pH7.5で 好 気 性 条 件 下 で シ リ ン ガ ル ダ ジ ン の 酸 化 か ら 決 定
さ れ る 。 生 成 さ れ る 紫 色 は 、 530nmで 光 度 測 定 さ れ る 。 分 析 条 件 は 、 19mMの シ リ ン ガ ル ダ
ジ ン 、 23mMの ト リ ス /マ レ エ ー ト 、 pH7.5、 30℃ 、 1 分 の 反 応 時 間 で あ る 。 1 ラ ッ カ ー ゼ 単
20
位 ( LAMU) は 、 上 記 条 件 下 で 1 分 当 た り 1.0μ モ ル の シ リ ン ガ ル ダ ジ ン の 転 換 を 触 媒 す る
酵素の量である。
【0273】
本 発 明 の ポ リ ペ プ チ ド は 、 上 記 に 示 さ れ る 酵 素 、 及 び /又 は バ イ オ マ ス 基 質 の セ ル ロ ー
ス成分をさらに分解するためにセルロース分解タンパク質と共に使用され得る(例えば、
Brigham な ど ., 1995, in Handbook on Bioethanol (Charles E. Wyman, editor), pp. 1
19-141, Taylor & Francis, Washington D. C.; Lee, 1997, Journal of Biotechnology
56 : 1-24を 参 照 の こ と ) 。
【0274】
洗剤組成物:
30
セルロース分解増強活性を有する本発明のポリペプチドは、洗剤組成物に添加され得、
そして従って、洗剤組成物の成分になることができる。
本発明の洗剤組成物は、手動又は機械洗濯用洗剤組成物、例えば染色された布の前処理
のために適切な洗濯用添加剤組成物及びすすぎ用布ソフトナー組成物として配合され得、
又は一般的な家庭用硬質表面洗浄操作における使用のための洗剤組成物として配合され得
、又は手動又は機械皿洗い操作のために配合され得る。
【0275】
特定の観点においては、本発明は、本発明のポリペプチドを含んで成る洗剤添加剤を提
供する。前記洗剤添加剤及び洗剤組成物は、1又は複数の他の酵素、例えばプロテアーゼ
、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カーボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、
40
マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ、例えばラ
ッ カ ー ゼ 及 び /又 は ポ ロ キ シ ダ ー ゼ を 含 ん で 成 る こ と が で き る 。
一般的に、選択された酵素の性質は、選択された洗剤と適合できるべきであり(すなわ
ち 、 他 の 酵 素 及 び 非 酵 素 の 成 分 、 等 と の pH− 最 適 適 合 性 ) 、 そ し て 酵 素 は 効 果 的 な 量 で 存
在すべきである。
【0276】
セルラーゼ:適切なセルラーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学
的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。適切なセルラーゼは、バ
チルス、ヒューミコラ、フサリウム、チエラビア、アクレモニウム属からのセルラーゼ、
例 え ば ア メ リ カ 特 許 第 4,435,307号 、 ア メ リ カ 特 許 第 5,648,263号 、 ア メ リ カ 特 許 第 5,691,
50
(55)
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178号 、 ア メ リ カ 特 許 第 5,776,757号 及 び WO89/09259号 に 開 示 さ れ る ヒ ュ ー ミ コ ラ ・ イ ン ソ
レ ン ス 、 マ イ セ リ オ プ ソ ラ ・ サ ー モ フ ィ ラ /オ キ シ ス ポ ラ ム か ら 生 成 さ れ る 菌 類 セ ル ラ ー
ゼを包含する。
【0277】
特に適切なセルラーゼは、色彩保護有益性を有するアルカリ又は中性セルラーゼである
。 そ の よ う な セ ル ラ ー ゼ の 例 は 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 0495257号 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 0531372
号 、 WO96/11262号 、 WO96/29397号 、 WO98/08940号 に 記 載 さ れ る セ ル ラ ー ゼ で あ る 。 例 の 例
は 、 WO94/07998号 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 0531315号 、 ア メ リ カ 特 許 第 5,457,046号 、 ア メ リ カ
特 許 第 5,685,593号 、 ア メ リ カ 特 許 第 5,763,254号 、 WO95/24471号 、 WO98/12307号 及 び PCT/
DK98/0299号 に 記 載 さ れ る そ れ ら の も の で あ る 。
市 販 の セ ル ラ ー ゼ は 、 Celluzyme
及 び Puradex HA
T M
T M
10
及 び Carezyme
T M
(Novo Nordisk A/S), Clazinase
(Genencor International Inc.) 及 び KAC− 500 (B)
T M
T M
(Kao Corporat
ion) を 包 含 す る 。
【0278】
プロテアーゼ:適切なプロテアーゼは、動物、植物又は微生物起源のものを包含する。
微生物起源が好ましい。化学的に修飾された、又はタンパク質構築された変異体が含まれ
る。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ又は金属プロテアーゼ、好ましくはアルカリ微
生物プロテアーゼ又はトリプシン−様プロテアーゼであり得る。アルカリプロテアーゼの
例 は 、 ス ブ チ リ シ ン 、 特 に バ チ ル ス に 由 来 す る そ れ ら の も の 、 例 え ば ス ブ チ リ シ ン Novo、
ス ブ チ リ シ ン Carlsberg、 ス ブ チ リ シ ン 309、 ス ブ チ リ シ ン 147及 び ス ブ チ リ シ ン 168( WO89
20
/06279号 に 記 載 さ れ る ) で あ る 。 ト リ プ シ ン − 様 プ ロ テ ア ー ゼ の 例 は 、 ト リ プ シ ン ( 例 え
ば 、 ブ タ 又 は ウ シ 起 源 の も の ) 、 及 び WO89/06270号 及 び WO94/25583号 に 記 載 さ れ る フ サ リ
ウムプロテアーゼである。
【0279】
有 用 な プ ロ テ ア ー ゼ の 例 は 、 WO92/19729号 、 WO98/20115号 、 WO98/20116号 及 び WO98/349
46号 に 記 載 さ れ る 変 異 体 、 特 に 1 又 は 複 数 の 次 の 位 置 で の 置 換 を 有 す る 変 異 体 で あ る : 27
, 35, 57, 76, 87, 97, 101, 104, 120, 123, 167, 170, 194, 206, 218, 222, 224, 235
及 び 274。
【0280】
好 ま し い 市 販 の プ ロ テ ア ー ゼ 酵 素 は 、 Alcalase
M
, Esperase
Properase
T M
T M
及 び Kannase
, Purafect
T M
T M
T M
, Savinase
(Novo Nordisk A/S), Maxatase
, Purafect OxP
T M
, FN2
T M
及 び FN3
T M
T M
T M
, Primase
, Maxacal
T M
T M
, Duralase
T
T M
,
, Maxapem
30
(Genencor International
Inc.) を 包 含 す る 。
【0281】
リパーゼ:適切なリパーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に
修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。有用なリパーゼの例は、ヒュ
ー ミ コ ラ ( 別 名 、 サ ー モ ミ セ ス ) 、 例 え ば ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 258068号 及 び 第 305216号 に 記
載 の よ う な ヒ ュ ー ミ コ ラ ・ ラ ウ ギ ノ サ ( T.ラ ウ ギ ノ サ ) 、 又 は WO96/13580号 に 記 載 の よ う
な ヒ ュ ー ミ コ ラ ・ イ ン ソ レ ン ス 、 P.ア ル カ リ ゲ ネ ス 又 は P.プ ソ イ ド ア ル カ リ ゲ ネ ス ( ヨ ー
ロ ッ パ 特 許 第 218272号 ) 、 P.セ パ シ ア ( ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 331376号 ) 、 P.ス ツ ゼ リ ( P.st
40
utzeri) (イ ギ リ ス 特 許 第 1,372,034号 )、 P.フ ル オ レ セ ン ス 、 プ ソ イ ド モ ナ ス sp. SD705株
( WO75/06720号 及 び WO96/27002号 ) 、 P.ウ イ ス コ ン シ ネ ン シ ス ( WO96/12012号 ) か ら の リ
パ ー ゼ 、 バ チ ル ス リ ー パ ー ゼ 、 例 え ば B.ス ブ チ リ ス ( Dartoisな ど . (1993), Biochemica
et Biophysica Acta, 1131, 253-360) 、 B. ス テ ア ロ サ ー モ フ ィ ラ ス ( 日 本 特 許 64/74499
2) 又 は B.プ ミ ラ ス ( WO91/16422号 ) か ら の リ ー パ ー ゼ を 包 含 す る 。
【0282】
他 の 例 は 、 リ パ ー ゼ 変 異 体 、 例 え ば WO92/05249号 、 WO94/01541号 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 40
7225号 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 206105号 、 WO95/35381号 、 WO96/00292号 、 WO95/30744号 、 WO94
/25576号 、 WO95/14783号 、 WO95/22615号 、 WO97/04079号 及 び WO97/0720号 に 記 載 さ れ る も
のを包含する。
50
(56)
好 ま し い 市 販 の リ パ ー ゼ 酵 素 は 、 Lipolase
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T M
及 び Lipolase Ultra
T M
(Novo Nordisk A/
S) を 包 含 す る 。
【0283】
ア ミ ラ ー ゼ : 適 切 な ア ミ ラ ー ゼ ( α − 及 び /又 は β ) は 、 細 菌 又 は 菌 類 起 源 の そ れ ら の
ものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。ア
ミ ラ ー ゼ は 、 バ チ ル ス 、 例 え ば イ ギ リ ス 特 許 第 1,296,839号 に よ り 詳 細 に 記 載 さ れ る 、 B.
リケニルホルミスの特許株から得られるα−アミラーゼを包含する。
【0284】
有 用 な ア ミ ラ ー ゼ の 例 は 、 WO94/02597号 、 WO94/18314号 、 WO96/23873号 及 び WO/43424号
に 記 載 さ れ る 変 異 体 、 特 に 1 又 は 複 数 の 次 の 位 置 で の 置 換 を 有 す る 変 異 体 で あ る : 15, 23
10
, 105, 106, 124, 128, 133, 154, 156, 181, 188, 190, 197, 202, 208, 209, 243, 264
, 304, 305, 391, 408及 び 444。
市 販 の ア ミ ラ ー ゼ は 、 Duramyl
A/S), Rapidase
T M
T M
及 び Purastar
, Termamayl
T M
T M
, Fungamyl
T M
及 び BAM
T M
(Novo Nordisk
(Genencor International Inc.)で あ る 。
【0285】
ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ /オ キ シ ダ ー ゼ : 適 切 な ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ /オ キ シ ダ ー ゼ は 、 植 物 、 細
菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築され
た変異体が包含される。有用なペルオキシダーゼの例は、コプリナス、例えばコプリナス
・ シ ネ レ ウ ス 、 及 び WO93/24618 号 、 WO95/10602号 及 び WO98/15257号 に 記 載 さ れ る そ れ ら
のようなそれらの変異体からのペルオキシダーゼを包含する。
市 販 の ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ は 、 Guardzyme
T M
20
(Novo Nordisk A/S) を 包 含 す る 。
【0286】
洗剤酵素は、1又は複数の酵素を含む別々の添加剤を添加することにより、又はそれら
の酵素のすべてを含んで成る組合された添加剤を添加することにより洗剤組成物に包含さ
れ得る。本発明の洗剤添加剤、すなわち別々の添加剤又は組合された添加剤が、例えば粒
質物、液体、スラリー、等として配合され得る。好ましくは洗剤添加剤配合物は、粒質物
、特に非−ダスチング粒質物、液体、特に安定された液体又はスラリーである。
【0287】
非 − ダ ス チ ン グ 粒 質 物 は 、 ア メ リ カ 特 許 第 4,106,991号 及 び 第 4,661,452号 に 開 示 の よ う
にして生成され得、そして任意には、当業界において知られている方法により被覆され得
30
る 。 蝋 被 覆 材 料 の 例 は 、 1000∼ 20,000の 平 均 モ ル 重 量 を 有 す る ポ リ ( 酸 化 エ チ レ ン ) 生 成
物 ( ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル 、 PEG) ; 16∼ 50の 酸 化 エ チ レ ン 単 位 を 有 す る 、 エ ト キ シ ル
化 さ れ た ノ ニ ル フ ェ ノ ー ル ; 12∼ 20個 の 炭 素 原 子 を 有 す る ア ル コ ー ル を 有 し 、 そ し て 15∼
80の 酸 化 エ チ レ ン 単 位 を 有 す る 、 エ ト キ シ 化 さ れ た 脂 肪 ア ル コ ー ル ; 脂 肪 ア ル コ ー ル 、 脂
肪酸;及び脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリドである。流動層技法による適用のた
め に 適 切 な フ ィ ル ム 形 成 被 覆 材 料 の 例 は 、 イ ギ リ ス 特 許 第 1483591号 に 与 え ら れ て い る 。
例えば、液体酵素調製物は、確立された方法に従って、ポリオール、例えばプロピレング
リコール、糖又は糖アルコール、硫酸又は硼酸を添加することによって、安定化される。
保 護 さ れ た 酵 素 は 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 第 238,216号 に 開 示 さ れ る 方 法 に 従 っ て 調 製 さ れ 得 る
。
40
【0288】
本発明の洗剤組成物は、いずれかの便利な形、例えば棒状、錠剤、粉末、顆粒、ペース
ト 又 は 液 体 の 形 で 存 在 す る こ と が で き る 。 液 体 洗 剤 は 、 水 性 で あ り 、 典 型 的 に は 、 70% ま
で の 水 及 び 0 ∼ 30% の 有 機 溶 媒 を 含 み 、 又 は 非 水 性 で あ り 得 る 。
洗 剤 組 成 物 は 、 非 イ オ ン 性 、 例 え ば 半 − 極 性 及 び /又 は ア ニ オ ン 性 及 び /又 は カ チ オ ン 性
及 び /又 は 両 性 イ オ ン で あ り 得 る 1 又 は 複 数 の 界 面 活 性 剤 を 含 ん で 成 る 。 界 面 活 性 剤 は 典
型 的 に は 、 0.1∼ 60重 量 % の レ ベ ル で 存 在 す る 。
【0289】
そ こ に 含 ま れ る 場 合 、 洗 剤 は 通 常 、 約 1 % ∼ 約 40% の ア ニ オ ン 性 界 面 活 性 剤 、 例 え ば 線
状アルキルベンゼンスルホネート、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルフェート
50
(57)
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(脂肪酸スルフェート)、アルコールエトキシスルフェート、第二アルカンスルホネート
、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−又はアルケニル琥珀酸又は石鹸を含むで
あろう。
【0290】
そ こ に 含 ま れ る 場 合 、 界 面 活 性 剤 は 通 常 、 約 0.2% ∼ 約 40% の 非 イ オ ン 性 界 面 活 性 剤 、
例えばアルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリ
コシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化された脂肪酸モノエタノールア
ミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコ
サ ミ ン の N− ア シ ル N− ア ル キ ル 誘 導 体 ( “ グ ル コ サ ミ ド ” ) を 含 む で あ ろ う 。
【0291】
10
洗 剤 は 、 0 ∼ 65% の 洗 剤 ビ ル ダ ー 又 は 錯 生 成 剤 、 例 え ば ゼ オ ラ イ ト 、 ジ ホ ス フ ェ ー ト 、
三リン酸、ホスホネート、カーボネート、シトレート、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミ
ン四酢酸、ジエチレントリアミン六酢酸、アルキル−又はアルキニル琥珀酸、可溶性シリ
ケ ー ト 又 は 層 化 さ れ た シ リ ケ ー ト ( 例 え ば Hoechstか ら の SKS− 6 ) を 含 む こ と が で き る 。
洗剤は、1又は複数のポリマーを含んで成る。例としては、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール
) 、 ポ リ ( ビ ニ ル ピ リ ジ ン − N− オ キ シ ド ) 、 ポ リ ( ビ ニ ル イ ミ ダ ゾ ー ル ) 、 ポ リ カ ル ボ
キ シ レ ー ト ( 例 え ば ポ リ ア ク リ レ ー ト 、 マ レ イ ン 酸 /ア ク リ ル 酸 コ ポ リ マ ー 及 び ラ ウ リ ル
メ タ ク リ レ ー ト /ア ク リ ル 酸 コ ポ リ マ ー を 含 ん で 成 る 。
【0292】
20
洗 剤 は 、 H2 O2 源 を 含 ん で 成 る 漂 白 シ ス テ ム 、 例 え ば 過 酸 形 成 漂 白 活 性 化 剤 、 例 え ば テ ト
ラアセチルエチレンジアミン又はノナノイルオキシベンゼンスルホネートと共に組合され
得る過硼酸塩又は過炭酸塩を含むことができる。他方では、漂白システムは、例えばアミ
ド、イミド又はスルホン型のペルオキシ酸を含むことができる。
本発明の洗剤組成物の酵素は、従来の安定剤、例えばポリオール、例えばプロピレング
リコール又はグリセロール、糖又は糖アルコール、乳酸、硼酸又は硼酸誘導体、例えば芳
香族硼酸エステル又はフェニル硼素酸誘導体、例えば4−ホルミルフェニル硼素酸を用い
て 安 定 化 さ れ 得 、 そ し て 前 記 組 成 物 は 、 例 え ば WO92/19709号 及 び WO92/19708号 に 記 載 の よ
うにして配合され得る。
【0293】
30
洗剤はまた、他の従来の洗剤組成物、例えば布コンディショナー、例えばクレー、泡増
強剤、石鹸泡抑制剤、抗腐蝕剤、土壌懸濁剤、抗−土壌再沈着剤、染料、殺菌剤、蛍光増
白剤、ヒドロトロープ、曇りインヒビター、又は香料を含むことができる。
洗 剤 組 成 物 に お い て は 、 い ず れ か の 酵 素 、 特 に 本 発 明 の 酵 素 は 、 洗 浄 液 体 1 L当 た り 0.0
1− 100mgの 酵 素 タ ン パ ク 質 、 好 ま し く は 洗 浄 液 体 1 L当 た り 0.05− 5mgの 酵 素 タ ン パ ク 質 、
特 に 洗 浄 液 体 1 L当 た り 0.1− 1mgの 酵 素 タ ン パ ク 質 に 対 応 す る 量 で 添 加 さ れ 得 る こ と が 、
現在企画される。
【0294】
洗剤組成物においては、セルロース分解増強活性を有する本発明のポリペプチドは、洗
浄 液 体 1 L当 た り 0.001∼ 100mgの タ ン パ ク 質 、 好 ま し く は 0.005∼ 50mgの タ ン パ ク 質 、 よ り
40
好 ま し く は 0.01∼ 25mgの タ ン パ ク 質 、 さ ら に よ り 好 ま し く は 0.05∼ 10mgの タ ン パ ク 質 、 最
も 好 ま し く は 0.05∼ 5mgの タ ン パ ク 質 及 び さ ら に 最 も 好 ま し く は 0.01∼ 1 mgの タ ン パ ク 質
に対応する量で添加され得る。
セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る 本 発 明 の ポ リ ペ プ チ ド は ま た 、 WO97/07202号 ( 引 例 と
して本明細書組み込まれる)に開示される洗剤配合物に導入され得る。
【0295】
他の使用:
一般的に、いずれかの植物細胞壁材料の処理は、セルロース分解増強活性を有する本発
明のポリペプチドを補足することにより増強され得る。
シグナルペプチド:
50
(58)
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本発明はまた、培養培地中へのタンパク質の分泌を可能にする、配列番号2のアミノ酸
1 ∼ 22か ら 成 る シ グ ナ ル ペ プ チ ド を コ ー ド す る 、 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 1 ∼ 66か ら 成
る核酸配列に作用可能に連結されるタンパク質をコードする、前記核酸配列に対して外来
性の遺伝子を含んで成る核酸構造体にも関する。
【0296】
本発明はまた、組換え発現ベクター、及びそのような構造体を含んで成る組換え宿主細
胞にも関する。
本発明はまた、(a)そのような組換え宿主細胞を、タンパク質の生成のために適切な
条件で培養し;そして(b)タンパク質を回収することを含んで成るタンパク質の生成方
法にも関する。
10
前記核酸配列は、他の制御配列と共に、外来性遺伝子に作用可能に連結され得る。その
ような他の制御配列は、前記の通りである。
【0297】
前記タンパク質は、宿主細胞に対して生来性でも又は異種性でもあり得る。用語“タン
パク質”とは、コードされた生成物の特定の長さを言及することを本明細書においては意
味せず、そして従って、ペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質を包含する。用語“タ
ンパク質”とはまた、コードされた生成物を形成するために組み合わされ得る核酸のポリ
ペプチドを包含する。タンパク質はまた、少なくとも2種の異なったタンパク質(ここで
、1又は複数のタンパク質は宿主細胞に対して生来のものであるか又は異種のものであり
得る)から得られた部分又は完全なポリペプチド配列の組み合わせを含んで成るハイブリ
20
ッドポリペプチドを包含する。タンパク質はさらに、上記タンパク質及びハイブリッドタ
ンパク質の天然に存在する対立遺伝子及び構築された変動性を包含する。
【0298】
好ましくは、タンパク質は、ホルモン、ホルモン変異体、受容体又はその一部、抗体又
はその一部、又はレポーターである。より好ましい態様においては、タンパク質はオキシ
ドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ又はリガ
ーゼである。さらにより好ましい態様においては、タンパク質は、アミノペプチダーゼ、
アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロ
ラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランス
フェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エンドグルカナーゼ、エステラーゼ、α−ガラ
30
クトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グ
ルコシダーゼ、インバーターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、
オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキ
シダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ又はキシラ
ナーゼである。
【0299】
前記遺伝子は、いずれかの原核、真核生物又は他の源から得られる。
本発明はさらに、次の例により記載されるが、但しそれは本発明を制限するものではな
い。
【実施例】
40
【0300】
材料:
緩衝液及び基質として使用される化物物質は、少なくとも試薬品種の市販の製品であっ
た。
株:
サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ ラ ン チ ア カ ス ( Thermoaseus aurantiacus) 株 NN044936 T002-5を
、 セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る フ ァ ミ リ ー GH61ポ リ ペ プ チ ド の 源 と し て 使 用 し た 。 ア
ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ JaL250株 ( WO99/61651号 ) を 、 セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る
サーモアスカス・アウランチアカスポリペプチドの発現のために使用した。
【0301】
50
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培地:
サーモアスカス・アウランチアカスの通常のプレート及び増殖のための固体ジャガイモ
デ キ ス ト ロ ー ス 培 地 を 、 1L当 た り 39gの ジ ャ ガ イ モ デ キ ス ト ロ ー ス 糖 ( Difco BD Bioscien
ces, Franklin Lakes, NJ) か ら 構 成 し た 。 サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ ラ ン チ ア カ ス 培 養 物 の
増 殖 の た め の 液 体 培 地 を 、 1L当 た り 、 24gの ジ ャ ガ イ モ デ キ ス ト ロ ー ス ブ イ ヨ ン か ら 構 成
した。
【0302】
Luria− Bertani( LB) 培 地 を 、 1L当 た り 、 10gの ト リ プ ト ン 、 5gの 酵 母 抽 出 物 及 び 10gの
NaClか ら 構 成 し た 。 プ レ ー ト の た め の LB培 地 を 同 様 に し て 調 製 し た が 、 但 し 1L当 た り 、 さ
ら に 15gの 寒 天 を 含 ん だ 。 5 − ブ ロ モ − 4 − ク ロ ロ − 3 − ヨ ー ド リ ル − β − D− ガ ラ ク ト ピ
10
ラ ノ シ ド ( X-Gal ; Gold Biotechnology, St. Louis, MO) を 、 N, N’ − ジ メ チ ル ホ ル ム
ア ミ ド に 、 1ml当 た り 40μ gの 原 液 濃 度 で 溶 解 し 、 そ し て 示 差 コ ロ ニ ー ス ク リ ー ニ ン グ の た
め に LBプ レ ー ト 上 に 通 常 通 り 広 げ た 。 選 択 的 増 殖 条 件 の た め に 、 ア ン ピ シ リ ン を LB培 地 に
、 1L当 た り 50∼ 100mgの 最 終 濃 度 で 添 加 し た 。
【0303】
NNCYP培 地 は 、 1L当 た り 5.0 g の NH4 NO3 、 0.5 g の MgS04 -7H20、 0.3 g の CaCl2 、 2
.5 g の ク エ ン 酸 、 5.0 g の Bacto Peptone、 1.0 g の 酵 母 抽 出 物 、 COVE 微 量 金 属 、
及 び 約 5 の 最 終 pH を 達 成 す る た め の 十 分 な K2 HP04 か ら 構 成 さ れ た 。 Cove微 量 金 属 溶 液 は
、 1L当 た り 、 0.04 g の Na2 B4 07 ・ 10H2 O、 0.4 g の CuS04 ・ 5H2 0、 1.2 g の FeS04・ 7H2
0、 0.7 g の MnSO4 ・ H2 O、 0.8 gの Na2 Mo02 ・ 2H2 0、 及 び 10 g の ZnS04 ・ 7H2 0か ら 構 成
20
された。
【0304】
例 1 : ゲ ノ ム DNAラ イ ブ ラ リ ー 構 成 :
3 % グ ル コ ー ス と 共 に 200mlの NNCYP培 地 ( pH5.0) を 含 む 、 500mlの そ ら せ 版 付 フ ラ ス コ
を 、 PDA上 で 増 強 さ れ た サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ ラ ン チ ア カ ス の プ レ ー ト か ら の 寒 天 プ ラ グ
に よ り 接 種 し た 。 培 養 物 を 、 170rpmで 振 盪 し な が ら 、 45℃ で 一 晩 、 増 殖 し た 。 菌 糸 体 を 、
Whatman #1 フ ィ ル タ ー (Whatman Inc., Clifton NJ)を 通 し て の 濾 過 に よ り 集 め 、 そ し て
液体窒素下で凍結した。凍結された菌糸体を、冷却された乳鉢において粉末に粉砕し、そ
し て ス キ リ ュ ー カ ッ プ 管 に 分 配 し た 。 粉 末 を 、 0.5% の ド デ シ ル 硫 酸 リ チ ウ ム 及 び 0.5mMの
GDTAを 含 む 、 50mMの CAPS− NaOH緩 衝 液 40mlに 懸 濁 し た 。
30
【0305】
そ の 懸 濁 液 を 60℃ で 2 時 間 、 静 置 し 、 そ し て 逆 さ に す る こ と に よ り 定 期 的 に 混 合 し た 。
これに、等体積の中和されたフェノール:クロロホルム(1:1)を添加し、そして管を
、 回 転 ホ イ ー ル 上 で 、 37℃ で 2 時 間 、 混 合 し た 。 Sorvall H1000B ロ ー タ ー (Kendro, Ash
eville NC)に お け る 2500rpmデ の 10分 間 の 遠 心 分 離 の 後 、 水 性 相 を 上 記 の よ う に 再 抽 出 し
、 そ し て 遠 心 分 離 し た 。 第 2 抽 出 か ら の 水 性 相 を 、 酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム の 添 加 に よ り 2.5Mに
し 、 そ し て 凍 結 ま で 、 -20℃ で 静 置 し た 。
【0306】
融 解 の 後 、 抽 出 物 を 、 15,000× gで 20分 間 、 遠 心 分 離 し た 。 ペ レ ッ ト を 捨 て 、 そ し て 上
清 液 に お け る 核 酸 を 、 0.7体 積 の イ ソ プ ロ パ ネ ー ル の 添 加 に よ り 沈 殿 し た 。 15,000× gで の
40
遠 心 分 離 の 後 、 ペ レ ッ ト を 、 70% エ タ ノ ー ル に よ り 3 度 す す ぎ 、 空 気 乾 燥 し 、 そ し て 1.0m
lの 0.1× TEに 溶 解 し た 。 溶 解 さ れ た ペ レ ッ ト を 、 酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム の 添 加 に よ り 2.0Mに し
、 そ し て エ タ ノ ー ル に よ り 63% に す る こ と に よ り 再 び 沈 殿 し た 。 ペ レ ッ ト を 70% エ タ ノ ー
ル に よ り 2 度 す す ぎ 、 乾 燥 し 、 そ し て 200μ lの 0.1× TEに 溶 解 し た 。 溶 液 に お い て 、 DNAを
、 KClに よ り 20mMに し た 。
【0307】
サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ ラ ン チ ア カ ス ゲ ノ ム ラ イ ブ ラ リ ー を 、 TOPO( 商 標 ) Shotgun Sub
cloning Kit (Invitrogen, Inc, Carlsbad, CA)を 用 い て 構 成 し た 。 ゲ ノ ム DNAを 、 そ の 製
造業者により推薦されるようにして、アルゴン下でネブライザーによりランダムに剪断し
た 。 2.5∼ 5.0kbの 挿 入 体 に つ い て の サ イ ズ 選 択 を 、 TAE緩 衝 液 中 、 1 % ア ガ ロ ー ス ゲ ル 上
50
(60)
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での分離用ゲルの電気泳動により行った。
【0308】
ゲ ノ ム DNAを 、 製 造 業 者 の 説 明 書 に 従 っ て 、 pCR( 商 標 ) 4Blunt-TOPO中 に ク ロ ー ン 化 し
、 そ し て そ れ を 用 い て 、 E. コ リ TOP10細 胞 (Invitrogen, Inc, Carlsbad, CA)を 形 質 転
換 し た 。 上 記 の よ う に し て ア ン ピ シ リ ン 及 び X− Galに よ り 補 充 さ れ た LB寒 天 上 で の 初 期 プ
レ ー ト を 用 い て 、 約 64,000個 の ク ロ ー ン が 生 成 さ れ た こ と を 評 価 し た 。 ラ イ ブ ラ リ ー を 、
組 換 え ク ロ ー ン の 力 価 の 決 定 に 続 い て す ぐ に 増 幅 し た 。 個 々 の 形 質 転 換 反 応 を 用 い て 、 1m
l当 た り 100μ gの ア ン ピ シ リ ン を 含 む LB培 地 200mlを 接 種 し た 。 次 に 、 振 盪 フ ラ ス コ 培 養 物
を 、 37℃ で 一 晩 、 飽 和 ま で 増 殖 し 、 そ し て プ ラ ス ミ ド DNAを 、 ア ル カ リ 溶 解 に よ り 抽 出 し
、 そ し て Qiagen Plasmid Maxi キ ッ ト を 用 い て 精 製 し た 。
10
【0309】
増 幅 さ れ た ラ イ ブ ラ リ ー を 用 い て 、 上 記 の よ う に 、 ア ン ピ シ リ ン 及 び X− Galに よ り 補 充
さ れ た LB寒 天 上 へ の E. コ リ TOP10細 胞 の 再 形 質 転 換 及 び プ レ ー ト 化 に よ り ク ロ ー ン の 単 離
の た め の コ ロ ニ ー を 生 成 し た 。 コ ロ ニ ー の 採 取 を 、 Q-Pix ロ ボ ッ ト (Genetix, Hampshire
, UK)を 用 い て 、 そ の 製 造 業 者 の 説 明 書 に 従 っ て 行 っ た 。 合 計 22,353個 の コ ロ リ ー を ま ず
、 96ウ ェ ル プ レ ー ト に 採 取 し 、 次 に 、 上 記 培 地 セ ク シ ョ ン に 概 略 さ れ る 選 択 条 件 下 で 培 養
し 、 そ し て -80℃ で グ リ セ ロ ー ル に 原 液 と し て 貯 蔵 し た 。
【0310】
例2:ローリングサークル型増幅及びマイクロアレイのプリント:
ロ ー リ ン グ サ ー ク ル 型 増 幅 ( RCA) 及 び 生 成 物 希 釈 の た め の ロ ボ ッ ト 方 法 を 、 Biomek FX
20
ロ ボ ッ ト (Beckman Coulter, Brea, CA)上 で の 使 用 の た め に 開 発 し た 。 TempliPhi DNA S
equencing Template Amplification キ ッ ト (Amersham Biosciences Corp. , Piscataway,
NJ)を 、 RCAの た め に 使 用 し 、 そ し て 製 造 業 者 の プ ロ ト コ ー ル を 、 ロ ボ ッ ト 方 法 に お い て
追跡した。
【0311】
RCA反 応 を 、 ラ イ ブ ラ リ ー か ら の 9.972個 の ク ロ ー ン に 対 し て 行 っ た 。 二 重 反 復 384− ウ
ェ ル 希 釈 プ レ ー ト ( Genemate, Kaysville, UT) を 、 ラ イ ブ ラ リ ー の 9,600個 の RCA生 成 物
か ら 調 製 し 、 そ し て そ れ ら の ク ロ ー ン を 、 ポ リ − Lリ シ ン 被 覆 さ れ た ガ ラ ス ス ラ イ ド 上 に
プ リ ン ト し 、 そ れ ぞ れ 約 33Mbの ク ロ ー ン 化 さ れ た DNAを 表 す マ イ ク ロ ア レ イ を 製 造 し た 。
さ ら に 、 サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ ラ ン チ ア カ ス cbh1( 受 託 番 号 AX657575) 及 び xynA( 受 託 番
30
号 AJ132635) 遺 伝 子 を 、 正 の 対 照 と し て 、 及 び 空 の pCR( 商 標 ) 4Blunt-TOPOベ ク タ ー を 負
の 対 照 と し て ス ポ ッ ト し 、 そ し て RCAを 、 形 質 転 換 さ れ て い な い E. コ リ 細 胞 か ら 調 製 し た
。 ア レ イ プ リ ン ト 化 を 、 ア メ リ カ 特 許 第 5,807,522号 に 記 載 さ れ る 方 法 を 用 い て 行 っ た 。
【0312】
例 3 : 発 酵 及 び RNA抽 出 :
す べ て の 発 酵 を 、 5.2% ( w/v) グ ル コ ー ス 又 は 5.2% セ ル ロ ー ス の い ず れ か の 炭 素 源 に
よ り バ ッ チ 供 給 さ れ た 2Lの Applikon発 酵 器 に お い て 行 な っ た 。 基 本 培 地 は NNCYPで あ り 、
そ し て セ ル ロ ー ス 培 地 は ま た 、 初 期 細 胞 増 殖 を 促 進 す る た め に 0.4% グ ル コ ー ス を 含 ん だ
。 pHは 、 水 酸 化 ア ン モ ニ ウ ム 又 は リ ン 酸 の 添 加 に よ り 、 発 酵 の 間 、 調 節 さ れ た 。 発 酵 を 、
42℃ 、 pH5で 、 約 120時 間 、 行 っ た 。 菌 糸 体 の サ ン プ ル を 、 5 回 の 接 種 後 、 1 日 目 に 収 穫 し
た 。 菌 糸 体 サ ン プ ル を す ば や く 、 Miracloth
T M
40
(Calbiochem, San Diego, CA)を 通 し て 濾
過 に よ り 培 養 地 か ら 分 離 し 、 そ し て 次 に 、 液 体 窒 素 に お い て 凍 結 し 、 そ し て -80℃ で 貯 蔵
した。
【0313】
FastRNAO キ ッ ト (Q-BIOgene, Carlsbad, CA)を 用 い て 、 そ の 製 造 業 者 の プ ロ ト コ ー ル に
従 っ て 、 菌 糸 体 サ ン プ ル か ら RNA抽 出 し た 。 RNA品 質 を 、 55Vで 1 ∼ 1.5時 間 、 TBE緩 衝 液 中
、 1 % ア ガ ロ ー ス ゲ ル 上 で の 電 気 泳 動 に よ り 、 又 は Agilent 2100バ イ オ ア ナ ラ イ ザ ー (Ag
ilent Technologies, Santa Clara, CA)を 用 い て の 毛 管 電 気 泳 動 分 析 に よ り 評 価 し た 。 品
質 を 、 UV分 光 及 び /又 は Agilent 2100バ イ オ ア ナ ラ イ ザ ー 上 で の 分 析 に よ り 測 定 し た 。 発
酵 日 2 , 3 及 び 4 か ら の サ ン プ ル の み が 、 マ イ ク ロ ア レ イ 実 験 の た め の 十 分 な 品 質 の RNA
50
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を一定して生成した。
【0314】
例4:蛍光プローブの構成及びマイクロアレイハイブリダイゼーション:
サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ ラ ン チ ア カ ス サ ン プ ル か ら の 低 RNA収 率 は 、 マ イ ク ロ ア レ イ ハ イ
ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン の た め の 十 分 な 量 の RNAを 生 成 す る た め に 線 状 増 幅 方 法 ( aRNA増 幅 )
の 使 用 を 必 要 し た 。 RNAを 増 幅 し 、 そ し て ア ミ ノ ア リ ル MessageAmpTm ARNA キ ッ ト (Ambi
on, Inc., Austin, TX)を 用 い て 、 そ の 製 造 業 者 の 説 明 書 に 従 っ て 蛍 光 ラ ベ ル し た 。
【0315】
手 短 に は 、 第 1 鎖 cDNAを 、 2 μ gの 合 計 RNAか ら 、 T7 Olico( dT) に よ り プ ラ イ ム さ れ た
逆 転 写 に よ り 生 成 し た 。 次 に 、 T7プ ロ モ ー タ ー プ ラ イ マ ー を 用 い て 、 第 2 鎖 cDNAを 合 成 し
10
た 。 ア ミ ノ ア リ ル − dUTPを 、 イ ン ビ ト ロ 転 写 の 間 、 aRNA中 に 組 込 み 、 蛍 光 シ ア ニ ン 色 素 に
よ る 続 く ラ ベ ル 化 を 促 進 し た 。 得 ら れ る aRNAを 精 製 し 、 そ し て 製 造 業 者 の 説 明 書 に 従 っ て
、 aRNA上 の ア ミ ノ ア リ ル 修 飾 さ れ た UTP残 基 へ の Cy3 及 び Cy5蛍 光 団 (CyeDye Post Labelin
g Reactive Dyes, Amersham Pharmacia Biotech, Arlington Heights, IL)の 直 接 的 な カ
ップリングによりラベルした。
【0316】
蛍 光 プ ロ ー ブ を 組 合 し 、 精 製 し 、 そ し て 真 空 下 で 乾 燥 し 、 次 に 、 15.5μ lの 水 に 再 懸 濁
し 、 そ し て 次 の も の に 添 加 し た : 3.6 μ lの 20X SSC、 2. 5μ l の 250 mM HEPES (pH 7.0)
、 1.8μ l の poly-dA (500 ug/ml)、 及 び 0. 54μ l の 10% SDS。 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン
の 前 、 溶 液 を 0.22μ mの フ ィ ル タ ー に よ り 濾 過 し 、 100℃ に 2 分 間 、 加 熱 し 、 そ し て 室 温 に
20
冷却した。
【0317】
プ ロ ー ブ ( そ れ ぞ れ 5μ gの Cy3− 及 び Cy5− ラ ベ ル さ れ た aRNA) を 、 カ バ − ガ ラ ス 下 で マ
イクロアレイに適用し、そして湿潤されたチャンバーに配置した。ハイブリダイゼーショ
ン を 、 63℃ で 一 晩 ( 15∼ 16時 間 ) 、 行 っ た 。 走 査 の 前 、 ア レ イ を 、 0.03% SDSと 共 に 1 × S
SC、 0.2× SSC及 び 0.05× SSCに よ り 連 続 的 に 洗 浄 し 、 そ し て テ ー ブ ル ト ッ プ 遠 心 分 離 機 ( S
orvall R7, RTH-250 rotor; Asheville, NC) に よ り 500rpmで 2 分 間 、 遠 心 分 離 し 、 過 剰
の液体を除去した。
【0318】
マ イ ク ロ ア レ イ ス ラ イ ド を 、 Axon GenePixO 4000B ス キ ャ ナ ー (Axon Instruments, In
30
c., Union City, CA)を 用 い て 映 像 化 し た 。 次 に 、 映 像 及 び デ ー タ 分 析 を 、 GenePix( 商 標
) Pro 5.0ソ フ ト ウ ェ ア を 用 い て 、 そ の 製 造 業 者 の 説 明 書 に 従 っ て 行 っ た 。 マ イ ク ロ ア レ
イ ス ポ ッ ト に つ い て の 蛍 光 強 度 値 を 、 GenePix( 商 標 ) ソ フ ト ウ ェ ア を 用 い て 測 定 し 、 そ
し て 個 々 の ス ポ ッ ト に つ い て の Cy5: Cy3強 度 の 比 を 、 デ フ ォ ー ル ト バ ッ ク グ ラ ウ ン ド 減 法
に 従 っ て 計 算 し た 。 Cy5/Cy3強 度 比 が 複 製 ア レ イ 上 で 2.0又 は そ れ 以 上 で あ る ス ポ ッ ト を 、
DNA配 列 分 析 の た め に 選 択 し た 。
【0319】
マ イ ク ロ ア レ イ 分 析 に 続 い て 、 興 味 あ る ク ロ ー ン を 、 -80℃ で 貯 蔵 さ れ た グ リ セ ロ ー ル
細 胞 懸 濁 液 か ら 選 択 し 、 そ し て 単 離 し た 。 配 列 決 定 の た め に 使 用 さ れ る DNAを 、 ア ル カ リ
溶 液 方 法 に よ り 調 製 し た 。 個 々 の ク ロ ー ン を 、 pCR( 商 標 ) 4Blunt-TOPOベ ク タ ー の ポ リ リ
40
ン カ ー を 端 に 有 す る T7及 び M13逆 方 向 プ ラ イ マ ー ( MWG Biotech, Inc., High Point, NC)
を用いて配列決定した。新たな配列を、既知配列の延長を可能にするプライマーを企画す
るために使用し、そして次に、プライマー−ウォーキング方法を用いて、十分な長さのク
ローンを得た。
【0320】
同 一 性 を 最 初 に 、 blast(n)ア ル ゴ リ ズ ム ( Altschul な ど ., 1990, Joumal of Molecula
r Biology 215: 403-410) を 用 い て 、 DNAレ ベ ル で 調 べ た 。 続 い て 、 6 種 の 可 能 性 あ る 読
取 枠 の 個 々 に お け る DNA配 列 の 推 定 上 の 翻 訳 を 、 Fasty( Pearson な ど ., 1997, Genomics
46: 24-36) 及 び tblast(X)( Altschul な ど ., 1990, 前 記 )を 用 い る こ と に よ り 公 開 の デ
ー タ ベ ー ス ( 例 え ば 、 SwissProt, SWall, Trembl, Genpept, and GeneseqP) に 比 較 し た
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。
【0321】
例 5 : pAILo2発 現 ベ ク タ ー の 構 成 :
発 現 ベ ク タ ー pAILo1を 、 NA2-tp: プ ロ モ ー タ ー 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ ー ア ミ ロ グ ル コ
シ ダ ー ゼ タ ー ミ ネ ー タ ー 配 列 ( AMGタ ー ミ ネ ー タ ー ) 及 び ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ジ ュ ラ ン ス
ア セ ト ア ミ ダ ー ゼ 遺 伝 子 ( amdS) を 含 ん で 成 る pBANe6( ア メ リ カ 特 許 第 6,461,837号 ) を
修 飾 す る こ と に よ り 構 成 し た 。 pBANe6の 修 飾 を 、 特 定 部 位 の 突 然 変 異 誘 発 に よ り 、 amdS選
択 マ ー カ ー か ら の 位 置 2051, 2722及 び 3397bpで の 3 種 の NcoI制 限 部 位 を ま ず 排 除 す る こ と
に よ り 行 っ た 。 す べ て の 変 化 は 、 amdS遺 伝 子 生 成 物 の 実 際 の タ ン パ ク 質 配 列 を 末 変 化 ま ま
残す“サイレント”であるよう企画された。
10
【0322】
それらの3種の部位の除去を、次のプライマー(下線のヌクレオチドは変更された塩基
を 表 す ) を 用 い て 、 GeneEditor特 定 部 位 の 突 然 変 異 誘 発 キ ッ ト ( Promega, Madison, WI)
により、その製造業者の説明書に従って、同時に行った:
AMDS3NcoMut (2050):
5'-GTGCCCCATGATACGCCTCCGG-3' (配 列 番 号 3)
AMDS2NcoMut (2721):
5'-GAGTCGTATTTCCAAGGCTCCTGACC-3' (配 列 番 号 4)
AMDS1 NcoMut (3396):
5'-GGAGGCCATGAAGTGGACCAACGG-3' (配 列 番 号 5)。
20
【0323】
次 に 、 す べ て の 3 種 の 予 測 さ れ る 配 列 変 化 を 含 ん で 成 る プ ラ ス ミ ド を 、 QuickChange突
然 変 異 誘 発 キ ッ ト (Stratagene, La Jolla, CA)を 用 い て 、 特 定 に 部 位 の 突 然 変 異 誘 発 に ゆ
だ ね 、 位 置 1643で の AMGタ ー ミ ネ ー タ ー の 末 端 で の NcoI制 限 部 位 を 排 除 し た 。 次 の プ ラ イ
マー(下線のヌクレオチドは、変更された塩基を表す)を、突然変異誘発のために使用し
た:
【0324】
ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ ー ア ミ ロ グ ル コ シ ダ ー ゼ ( AMG) タ ー ミ ネ ー タ ー 配 列 を 突 然 変 異
誘発するための上方プライマー:
5’ − CACCGTGAAAGCCATGCTCTTTCCTTCGTGTAGAAGACCAGACAG− 3’ ( 配 列 番 号 6 )
30
ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ ー ア ミ ロ グ ル コ シ ダ ー ゼ ( AMG) タ ー ミ ネ ー タ ー 配 列 を 突 然 変 異
誘発するための下方プライマー:
5’ − CTGGTCTTCTACACGAAGGAAAGAGCATGGCTTTCACGGTGTCTG− 3’ ( 配 列 番 号 7 ) 。
【0325】
pBANe6の 修 飾 に お け る 最 後 の 段 階 を 、 pAILo1( 図 2 ) を 生 成 す る た め に 、 Quick Change
突然変異誘発キット及び次のプライマー(下線のヌクレオチドは変更された塩基を表す)
を 用 い て 、 ポ リ リ ン カ ー の 開 始 で の 新 し い NcoI制 限 部 位 の 付 加 で あ っ た :
ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ ー ア ミ ラ ー ゼ プ ロ モ ー タ ー ( NA2− tpi) を 突 然 変 異 誘 発 す る た め
の上方プライマー:
5’ − CTATATACACAACTGGATTTACCATGGGCCCGCGGCCGCAGATC− 3’ ( 配 列 番 号 8 )
40
ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ガ ー ア ミ ラ ー ゼ プ ロ モ ー タ ー ( NA2− tpi) を 突 然 変 異 誘 発 す る た め
の下方プライマー:
5’ − GATCTGCGGCCGCGGGCCCATGGTAAATCCAGTTGTGTATATAG− 3’ ( 配 列 番 号 9 ) 。
【0326】
pAILo1の amdS遺 伝 子 を 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ジ ュ ラ ン ス pyrG遺 伝 子 に よ り 交 換 し た 。 プ
ラ ス ミ ド pBANe10( 図 3 ) を 、 pyrG遺 伝 子 の た め の 源 と し て 使 用 し た 。 pBANe10の 配 列 の 分
析 は 、 pyrGマ ー カ ー が NsiI制 限 フ ラ グ メ ン ト 内 に 含 ま れ 、 そ し て NcoI又 は PacI制 限 部 位 の
い ず れ も 含 ま な い こ と を 示 し た 。 andSは ま た 、 NsiI制 限 部 位 を 端 に 有 す る の で 、 選 択 マ ー
カ ー を 交 換 す る た め の 方 法 は 、 NsiI制 限 フ ラ グ メ ン ト の 単 純 な 交 換 で あ っ た 。 pAILo1及 び
pBANe10か ら の プ ラ ス ミ ド DNAを 、 制 限 酵 素 NsiIに よ り 消 化 し 、 そ し て 生 成 物 を 、 標 準 方 法
50
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を 用 い て 、 ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 に よ り 精 製 し た 。 pyrG遺 伝 子 を 含 む pBANe10か ら の Nsi
Iフ ラ グ メ ン ト を 、 pAILo1の 主 鎖 に 連 結 し 、 amdS遺 伝 子 を 含 む 元 の NsiI DNAフ ラ グ メ ン ト
を置換した。組換えクローンを、制限消化により分析し、それらが正しい挿入体及び正し
い 配 向 を 有 す る か ど う か を 決 定 し た 。 時 計 と は 逆 方 向 に 転 写 さ れ た pyrG遺 伝 子 を 有 す る ク
ロ ー ン を 選 択 し た 。 新 規 プ ラ ス ミ ド を 、 pAILo2と 命 名 し た ( 図 4 ) 。
【0327】
例6:アスペルギラス・オリザエ発現ベクターの構成:
下記に示される2種の合成オリゴヌクレオチドプライマーを、ゲノムクローン番号3か
ら の 推 定 上 の フ ァ ミ リ ー GH61Aを コ ー ド す る サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ レ ン チ ア カ ス 遺 伝 子 を P
CR増 幅 す る た め に 企 画 し た 。 InFusion Cloning キ ッ ト (BD Biosciences, Palo Alto, CA)
10
を 用 い て 、 制 限 消 化 又 は 連 結 の 必 要 性 を 伴 わ な い で 、 発 現 ベ ク タ ー pAILo2中 に フ ラ グ メ ン
トを直接的にクローン化した。
【0328】
前方向プライマー:
5’ − CACAACTGGATTTACCATGTCCTTTTCCAAG− 3’ ( 配 列 番 号 10)
逆方向プライマー:
5’ − AGTCACCTCTAGTTATTAACCAGTATACAG− 3’ ( 配 列 番 号 11) 。
太 字 の 文 字 は 、 コ ー ド 配 列 を 表 す 。 残 り の 配 列 は 、 pAILo2の 挿 入 部 位 に 対 し て 相 同 で あ
る。
【0329】
20
200pモ ル の 個 々 の 上 記 プ ラ イ マ ー を 、 GH61Aコ ー ド 配 列 を 含 む 元 の サ ー モ ア ス カ ス ・ ア
ウ レ ン チ ア カ ス ゲ ノ ム ク ロ ー ン 番 号 3 を 表 す DNA、 10 mMの KCI、 20 mMの ト リ ス - HCI p
H 8. 8、 10 mM の (NH4 )2 SO4 、 2 mMの MgS04 、 0.1% の Triton X-100、 そ れ ぞ れ 200 μ Mの
デ オ キ シ リ ボ ヌ ク レ オ チ ド (dATP, dTTP, dGTP, and dCTP)、 及 び 2単 位 の VentRe DNA
ポ リ メ ラ ー ゼ (す べ て の PCR は 、 New England Biolabs, Inc., Beverly, MAか ら の 酵 素 及
び 試 薬 に 関 す る )か ら 成 る PCR反 応 ( 50μ lの 最 終 体 積 ) に 使 用 し た 。 増 幅 条 件 は 、 1 サ イ
ク ル 、 95℃ で 1 分 ; 30サ イ ク ル 、 そ れ ぞ れ 94℃ で 30秒 、 50℃ で 30秒 、 72℃ で 1 分 ; 及 び 最
終 1 サ イ ク ル 、 72℃ で 7 分 。 次 に 、 熱 阻 止 が 、 4 ℃ ソ ー キ ン グ サ イ ク ル に 進 行 し た 。
【0330】
次 に 、 フ ラ グ メ ン ト を 、 Infusion Cloningキ ッ ト を 用 い て 、 そ の 製 造 業 者 の 説 明 書 に 従
30
っ て pAILo2発 現 ベ ク タ ー 中 に ク ロ ー ン 化 し た 。 ベ ク タ ー を 、 NcoI及 び PacIに よ り 、 製 造 業
者 に よ り 推 薦 さ れ る 条 件 下 で 消 化 し た 。 フ ラ グ メ ン ト を 、 MinElute
T M
Reaction Cleanup K
it (QIAGEN, Valencia, CA)を 用 い て 精 製 し た 。 遺 伝 子 フ ラ グ メ ン ト 及 び 線 状 化 さ れ た ベ
ク タ ー を 、 反 応 に お い て 一 緒 に 連 結 し 、 フ ァ ミ リ ー GH61A遺 伝 子 の 転 写 が NA2− tpiプ ロ モ
ー タ ー の 制 御 下 に あ る 発 現 プ ラ ス ミ ド pDZA2( 図 5 ) を も た ら し た 。 プ ラ ス ミ ド pDZA2は 、
152bpの pAILo2を 欠 失 し た 。
【0331】
連 結 反 応 は 、 NcoI及 び RocIに よ り 消 化 さ れ た 、 約 100ngの pAILo2、 及 び 100ngの サ ー モ ア
ス カ ス ・ ア ウ レ ン チ ア カ ス GH61A精 製 さ れ た PCR生 成 物 を 含 ん だ 。 連 結 条 件 は 、 Infusion C
loningキ ッ ト の 製 造 業 者 の プ ロ ト コ ー ル に 従 っ た 。 E. コ リ XL1-Blue Subcloning-Grade C
40
ompetent Cells (Stratagene, La Jolla, CA)を 、 連 結 生 成 物 に よ り 形 質 転 換 し た 。 構 造
体 の 同 一 性 を 、 形 質 転 換 さ れ た E. コ リ か ら 精 製 さ れ た プ ラ ス ミ ド か ら の GH61Aコ ー ド 配 列
の DNA配 列 決 定 に よ り 確 め た 。 組 換 え プ ラ ス ミ ド を 含 む 1 つ の ク ロ ー ン を 、 E. コ リ pDZA27と 命 名 し た 。
【0332】
例 7 : セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る フ ァ ミ リ ー GH61ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る サ ー モ
アスカス・アウレンチアカスゲノム配列の特徴化:
サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ レ ン チ ア カ ス GH61Aゲ ノ ム ク ロ ー ン 15の DNA配 列 決 定 を 、 バ ー ジ ョ
ン 3.1Big Dyeタ ー ミ ネ ー タ ー 化 学 及 び dGTP化 学 ( Applied Biosystems, Inc., Foster Cit
y, CA) 及 び プ ラ イ マ ー ウ ォ ー キ ン グ 方 法 を 用 い て 、 Applied Biosystems Model 3700 Aut
50
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omated DNA Sequencerに よ り 行 っ た 。 ヌ ク レ オ チ ド 配 列 を ア セ ン ブ リ ー し 、 そ し て Vector
NTI 8 Suiteソ フ ト ウ ェ ア ー パ ッ ケ ー ジ の ContigExpress成 分 (Informa, Inc., Frederic
k, MD)を 用 い て 比 較 し た 。
【0333】
セルロース分解増強活性を有するサーモアスカス・アウレンチアカスポリペプチドのヌ
クレオチド配列(配列番号1)及び推定されるアミノ酸配列(配列番号2)を、図1に示
す 。 そ の コ ー ド 配 列 は 、 250個 の ア ミ ノ 酸 の タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 。 コ ー ド 配 列 は 、 停
止 コ ド ン を 包 含 す る 799bpで あ り 、 そ し て 46bpの 単 一 の イ ン ト ロ ン に よ り 中 断 さ れ る 。 コ
ー ド 領 域 は 、 48.7% の G+ Cで あ る 。 SignalP プ ロ グ ラ ム (Nielsenな ど ., 1997, Protein
Engineering 10: 1-6)を 用 い て 、 22個 の ア ミ ノ 酸 残 基 の シ グ ナ ル ペ プ チ ド が 推 定 さ れ 、 こ
10
れ は 、 成 熟 ポ リ ペ プ チ ド が 228個 の ア ミ ノ 酸 を 含 む こ と を 示 す 。
【0334】
ア ミ ノ 酸 配 列 の 比 較 一 列 整 列 を 、 blosum62マ ト リ ッ ク ス と 共 に Paracel BioView Workbe
nch ソ フ ト ウ ェ ア ー (Paracel, Pasadena, CA)を 使 用 す る blastpア ル ゴ リ ズ ム ( Higgins,
1989, 前 記 ) を 用 い て 決 定 し た 。 ギ ャ ッ プ ペ ナ ル テ ィ ー 、 延 長 11及 び 延 長 1 を 、 対 様 一
列整列パラメーターとして使用した。その一列整列は、セルロース分解増強活性を有する
フ ァ ミ リ ー GH61ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ レ ン チ ア カ ス 遺 伝 子 の 推
定 さ れ る ア ミ ノ 酸 配 列 が 、 そ れ ぞ れ 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ジ ュ ラ ン ス の 仮 の タ ン パ ク 質 AN
1041.2( 受 託 番 号 EAA65609) 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ジ ュ ラ ン ス の 仮 の タ ン パ ク 質 AN7891.2
( 受 託 番 号 EAA59545) 及 び ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ ニ ジ ュ ラ ン ス の 仮 の タ ン パ ク 質 AN9524.2( 受
20
託 番 号 EAA66740) か ら の フ ァ ミ リ ー 61タ ン パ ク 質 の 推 定 さ れ る ア ミ ノ 酸 配 列 に 対 し て 67%
、 63% 及 び 58% の 同 一 性 を 共 有 し た こ と を 示 し た 。
【0335】
プ ラ ス ミ ド pDZA2-7を 含 む E.コ リ XL1-Blue (Stratagene, La Jolla, CA)を 、 2004年 1 月
30日 の 寄 託 日 に 、 NRRL B− 30704と し て Agricultural Research Service Patent Culture
Collection, Northern Regional Research Center, 1815 University Street, Peoria, I
llinois, 61604に 寄 託 し た 。
【0336】
例 8 : セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る フ ァ ミ リ ー GH61ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る サ ー モ
ア ス カ ス ・ ア ウ レ ン チ ア カ ス ゲ ノ ム 遺 伝 子 の ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ JaL250に お け る 発
30
現:
ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ JaL250プ ロ ト プ ラ ス ト を 、 Christensen な ど ., 1988, BiolT
echnology 6 : 1419-1422の 方 法 に 従 っ て 調 製 し た 。 約 1.5μ gの pDZA2を 用 い て 、 ア ス ペ ル
ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ JaL250を 形 質 転 換 し た 。 プ ラ ス ミ ド pAILo2を 対 照 と し て 用 い た 。
pDZA2に よ る ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ JaL250の 形 質 転 換 が 約 11の 形 質 転 換 体 を 生 成 し
た 。 10個 の 形 質 転 換 体 を 、 個 々 の PDAプ レ ー ト に 単 離 し た 。
【0337】
す べ て の 形 質 転 換 の 集 密 PDAプ レ ー ト を 、 5mlの 0.01% Tween20に よ り 洗 浄 し 、 そ し て 125
mlの ガ ラ ス 振 盪 フ ラ ス コ 中 の 25mlの MDU2BP培 地 を 別 々 に 接 種 し 、 そ し て 34℃ 、 250rpmイ ン
キ ュ ベ ー ト し た 。 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン の 6日 後 、 個 々 の 培 養 物 か ら の 上 清 液 5 μ lを 、 8 ∼
40
16% Tris-Glycine SDS-PAGE ゲ ル (Invitrogen, Inc, Carlsbad, CA)を 用 い て 、 そ の 製 造
業 者 の 説 明 書 に 従 っ て 分 析 し た 。 SDS− PAGE分 析 は 、 GH61HAバ ン ド が 、 10個 の 形 質 転 換 体
の う ち 9 個 に 関 し て 、 25kDaよ り も わ ず か に 高 い 見 掛 分 子 量 を 伴 っ て 移 動 し た こ と を 示 し
た。
【0338】
例 9 : セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ レ ン チ ア カ ス GH61Aの 特 徴
化:
ト ウ モ ロ コ シ の 茎 を 、 希 硫 酸 を 用 い て 、 U. S. Department of Energy National Renewa
ble Energy Laboratory (NREL)で 前 処 理 し た 。 次 の 条 件 を 、 前 処 理 の た め に 使 用 し た : 19
0℃ で の 0.048gの 硫 酸 /g乾 燥 バ イ オ マ ス 及 び 25% ( w/w) 乾 燥 固 形 物 、 約 1 分 。 NRELに 従 っ
50
(65)
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て 、 前 処 理 さ れ た ト ウ モ ロ コ シ の 茎 ( PCR) に お け る 水 不 溶 性 固 形 物 は 、 52% セ ル ロ ー ス
、 3.6% ヘ ミ セ ル ロ ー ス 及 び 29.8% リ グ ニ ン を 含 ん だ 。
【0339】
セ ル ロ ー ス 及 び ヘ ミ セ ル ロ ー ス は 、 NREL標 準 分 析 方 法 # 002を 用 い て 高 性 能 液 体 ク ロ マ
トグラフィーにより糖の続く分析を伴って、2段階硫酸加水分解により決定された。リグ
ニ ン は 、 NREL標 準 分 析 方 法 # 003を 用 い て 、 硫 酸 に よ る セ ル ロ ー ス 及 び ヘ ミ セ ル ロ ー ス の
加 水 分 解 の 後 、 重 量 的 に 決 定 さ れ た 。 酵 素 加 水 分 解 の 前 、 PCSを 多 量 の DDI水 に よ り 洗 浄 し
; 水 洗 浄 さ れ た PCSの 乾 量 は 20.6% で あ る こ と が 見 出 さ れ た 。
【0340】
サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ レ ン チ ア カ ス GH61Aポ リ ペ プ チ ド を 、 例 8 に 記 載 の よ う に し て 、
10
ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ に お い て 発 現 し 、 そ し て ブ イ ヨ ン を 9500× gで 遠 心 分 離 し 、 そ
し て 次 に 、 上 清 液 を 、 PM10 膜 (Millipore, Billerica, MA)を 備 え た Amicon撹 拌 細 胞 を 用
い て 濃 縮 し 、 そ し て Econo-Pac 10DG 過 ラ ム (BioRad Laboratories, Hercules, CA)を 用
いて脱塩した。
【0341】
PCSの 加 水 分 解 ( 50mMの 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 緩 衝 液 ( pH5.0) 1ml当 た り 10mg) を 、 1.0mlの 合
計 反 応 体 積 を 伴 っ て 、 1.1mlの Immunoware 微 小 管 (Pierce, Rockford, IL)を 用 い て 行 っ
た 。 T. ア ウ ラ ン チ ア カ ス GH61Aポ リ ペ プ チ ド を 、 こ の 後 、 Tr/AoBGと 呼 ば れ 、 そ し て Novoz
ymes A/S, Bagsvaerd, Denmarkか ら 得 ら れ る 、 ア ス ペ ル ギ ラ ス ・ オ リ ザ エ ( WO02/095014
号)からのβ−グルコシダーゼを発現するトリコダーマ・レセイの発酵に由来するセルラ
20
ー ゼ 調 製 物 の 加 水 分 解 能 力 を 増 強 す る そ の 能 力 に つ い て 試 験 し た 。 PCSの 加 水 分 解 を 、 1g
の PCS当 た り 0.2mgの T.ア ウ レ ン チ ア カ ス GH61Aポ リ ペ プ チ ド に よ り 補 充 さ れ た 、 PCS1 g当
た り 2.5mgの Tr/AoBGを 用 い て 行 っ た 。
【0342】
PCS加 水 分 解 を 、 50℃ で 行 っ た ( TS Autoflow CO2 ジ ャ ケ ッ ト 付 イ ン キ ュ ベ ー タ ー ) 。 反
応 は 、 二 重 反 復 し て 行 わ れ 、 そ し て ア リ コ ー ト は 、 加 水 分 解 の 間 、 採 取 さ れ た 。 PCS化 水
分 解 反 応 を 、 20μ lの 個 々 の 加 水 分 解 物 の ア リ コ ー ト と 、 180μ lの 0.11Mの NaOH( 停 止 試 薬
)とを混合することにより、停止した。適切な連続希釈を、個々のサンプルについて生成
し 、 そ し て 還 元 糖 含 有 量 を 、 下 記 の よ う に し て 、 96ウ ェ ル マ イ ク ロ プ レ ー ト 形 に 適 合 さ れ
た ア ッ セ イ を 用 い て 決 定 し た 。 手 短 に は 、 適 切 に 希 釈 さ れ た サ ン プ ル の 90μ lア リ コ ー ト
30
を 、 96ウ ェ ル の 円 錐 底 の マ イ ク ロ プ レ ー ト に 配 置 し た 。
【0343】
反 応 を 、 2 % NaOH中 、 1.5% ( w/v) PHBAH60μ lを 個 々 の ウ ェ ル に 添 加 す る こ と に よ り 開
始 し た 。 プ レ ー ト を 、 95℃ で 10分 間 、 カ バ ー し な い で 加 熱 し た 。 プ レ ー ト を 、 室 温 ( RT)
に 冷 却 し 、 そ し て 50μ lの 蒸 留 水 を 個 々 の ウ ェ ル に 添 加 し た 。 個 々 の ウ ェ ル か ら の 100μ l
の ア リ コ ー ト を 、 平 ら な 底 の 96ウ ェ ル プ レ ー ト に 移 し 、 そ し て A4 1 0 n m で の 吸 光 度 を 、 Spec
traMax Microplate Reader (Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を 用 い て 測 定 し た 。 グ
ル コ ー ス 標 準 ( 0.4% の 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム に よ り 希 釈 さ れ た 、 0.1∼ 0.0125mg/ml) を 用 い
て 、 得 ら れ た A4 1 0 n m 値 を グ ル コ ー ス 同 等 物 に 翻 訳 す る た め の 標 準 曲 線 を 調 製 し た 。 得 ら れ
る 同 等 物 を 用 い て 、 個 々 の 反 応 に つ い て の PCSセ ル ロ ー ス 転 換 の 百 分 率 を 計 算 し た 。
40
【0344】
還元糖へのセルロース転換の程度(転換、%)を、次の等式を用いて計算した:
転 換 率 ( % ) = RS( m g / m l ) * 100* 162/( セ ル ロ ー ス ( m g / m l ) * 180) = RS( m g / m l ) * 100/( セ
ル ロ ー ス ( m g / m l ) * 1.111)
こ の 等 式 に お い て は 、 RSは 、 グ ル コ ー ス 同 等 物 に お い て 測 定 さ れ た 、 溶 液 に お け る 還 元
糖 の 濃 度 ( mg/ml) で あ り 、 そ し て 因 子 1.111は 、 グ ル コ ー ス へ の セ ル ロ ー ス の 転 換 に お い
ての重量増加を表す。
【0345】
Tr/AoBGの み ( 2.5mg/g PCS) 、 又 は T. ア ウ ラ ン チ ア カ ス GH61Aポ リ ペ プ チ ド ( 0.2mg/g
PCS) に よ り 補 充 さ れ た Tr/AoBGに よ る セ ル ロ ー ス 転 換 を 、 表 1 に 要 約 す る :
50
(66)
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【0346】
【表1】
10
【0347】
表 1 は 、 T. ア ウ ラ ン チ ア カ ス GH61Aポ リ ペ プ チ ド が PCSに 対 す る Tr/AoBGの 活 性 を 増 強 し
た こ と を 示 す 。 T. ア ウ ラ ン チ ア カ ス GH61Aポ リ ペ プ チ ド が 単 独 で ( 0.2mg/g PCS) 、 115時
20
間 後 、 わ ず か 0.7% 以 下 の セ ル ロ ー ス 転 換 率 を 生 成 し た 。 2.5mgの Tr/AoBGへ の 0.2mgの T.
ア ウ ラ ン チ ア カ ス GH61Aポ リ ペ プ チ ド の 補 充 が 、 3.5mgの Tr/AoBGに よ る 転 換 よ り も 高 い セ
ル ロ ー ス 転 換 を も た ら し 、 こ の こ と は 、 PCSに 対 す る Tr/AoBG活 性 が T. ア ウ ラ ン チ ア カ ス G
H61Aポ リ ペ プ チ ド に よ り 増 強 さ れ 、 そ し て Tr/AoBGと T. ア ウ ラ ン チ ア カ ス GH61Aポ リ ペ プ
チドとの間に相乗効果が存在したことを示唆する。
【0348】
生物学的材料の寄託:
次 の 生 物 学 的 材 料 を 、 Agriculture Research Service Patent Culture Collection, No
rthern Regional Research Center (NRRL),1815 University Street, Peoria, Illinois
に、ブタペスト条件に基づいて寄託し、そして次の受託番号を付与された:
30
寄 託 物 : E. coli 株 pDZA2-7
受 託 番 号 : NRRL B-30704
寄 託 日 : 2004 年 1 月 30日
【0349】
前 記 株 は 、 培 養 物 へ の 接 近 が 、 37 C.F.R.§ 1.14.及 び 35 U.S.C.§ 122下 で 特 許 及 び 商
標局長により決定される本特許出願の係属の間、利用できることを保証する条件下で寄託
された。寄託物は、寄託された株の実質的に純粋な培養物を示す。寄託物は、本出願の対
応物又はその子孫が出願される国々における外国特許法により要求される場合、利用でき
る。しかしながら、寄託物の入手可能性は、政府の指令により許される特許権の低下にお
いて本発明を実施する許可を構成しないことが理解されるべきである。
40
【0350】
本明細書に記載される発明は、本明細書に開示される特許の態様により範囲を限定され
るものではない。何故ならば、それらの態様は本発明のいくつかの観点を例示するもので
ある。いずれかの同等の態様が本発明の範囲内で意図される。実際、本明細書に示され、
そして記載されるそれらの修飾の他に、本発明の種々の修飾は、前述の記載から当業者に
明らかになるであろう。そのような修飾はまた本発明の範囲内にある。
種々の文献が本明細書に引用されており、それらの開示は引用により本明細書に組み込
まれている。
【図面の簡単な説明】
【0351】
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【 図 1 】 図 1 は 、 サ ー モ ア ス カ ス ・ ア ウ レ ン チ ア カ ス セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 の ゲ ノ ム DN
A配 列 及 び 推 定 さ れ る ア ミ ノ 酸 配 列 ( そ れ ぞ れ 、 配 列 番 号 1 及 び 2 ) を 示 す 。 予 測 さ れ る
イ ン ト ロ ン は 、 イ タ リ ッ ク 形 で 示 さ れ る 。 予 測 さ れ る ( Signal P) シ グ ナ ル ペ プ チ ド は 下
線 が 引 か れ て い る 。 コ ー ド 配 列 は 、 停 止 コ ド ン を 含 む 799bpで あ り 、 そ し て 56pbの 1 つ の
イ ン ト ロ ン に よ り 中 断 さ れ る 。 予 測 さ れ る 成 熟 ポ リ ペ プ チ ド は 228個 の ア ミ ノ 酸 を 含 む 。
【 図 2 】 図 2 は 、 pAILo1の 制 限 地 図 を 示 す 。
【 図 3 】 図 3 は 、 pBANe10の 制 限 地 図 を 示 す 。
【 図 4 】 図 4 は 、 pAILo2の 制 限 地 図 を 示 す 。
【 図 5 】 図 5 は 、 pDZA2の 制 限 地 図 を 示 す 。
【図1】
【図2】
(68)
【図3】
【図5】
【図4】
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(69)
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【配列表】
2007523646000001.app
【手続補正書】
【 提 出 日 】 平 成 18年 10月 19日 (2006.10.19)
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
( a ) 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250と 少 な く と も 70% 、 好 ま し く は 少 な く と も 75% 、
更 に 好 ま し く は 少 な く と も 80% 、 更 に 好 ま し く は 少 な く と も 85% 、 更 に 好 ま し く は 少 な く
と も 90% 、 更 に 好 ま し く は 少 な く と も 95% 、 更 に 好 ま し く は 少 な く と も 97% の 同 一 性 を 有
するアミノ酸配列を有するポリペプチド;
( b ) ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼
805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 少 な く と
も低い緊縮条件下、好ましくは少なくとも中位の緊縮条件下、更に好ましくは少なくとも
中−高緊縮条件下、そして最も好ましくは少なくとも高緊縮条件下でハイブリダイズする
ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド;及び
( c ) 配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250の 1 又 は 複 数 の ア ミ ノ 酸 の 保 存 性 置 換 、 欠 失 及 び /
又は挿入を含んで成る変異体から成る群から選択された、セルロース分解増強活性を有す
る単離されたポリペプチド。
【請求項2】
配列番号2のアミノ酸配列からなるもしくは当該アミノ酸配列を含んでなるポリペプチ
ド、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントから成る請求項1のポリペプ
チド。
【請求項3】
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 23∼ 250の ア ミ ノ 酸 配 列 か ら 成 る 又 は 当 該 ア ミ ノ 酸 配 列 を 含 ん で
成る請求項2記載のポリペプチド。
【請求項4】
E. コ リ NRRL B-30704に 含 ま れ る プ ラ ス ミ ド pDZA2-7に 含 ま れ る ポ リ ヌ ク レ オ チ ド に よ り
コードされる請求項1記載のポリペプチド。
【請求項5】
請求項1∼4のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含ん
で成る単離されたポリヌクレオチド。
【請求項6】
発現宿主におけるポリペプチドの生成を指図する1又は複数の制御配列に作用可能に結
合される、請求項5記載の単離されたポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体又は組換
え発現ベクター。
【請求項7】
請求項5記載の単離されたポリヌクレオチドを含んで成る組換え宿主細胞。
【請求項8】
請求項1∼4のいずれか1項記載のポリペプチドの生成方法であって、(a)その野生
型において、前記ポリペプチドの生成の助けと成る条件下でそのポリペプチドを生成でき
る細胞を培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項9】
請求項1∼4のいずれか1項記載のポリペプチドの生成方法であって、(a)前記ポリ
ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る核酸構造体を含んで成る宿主細胞を
、前記ポリペプチドの生成の助けと成る条件下で培養し;そして(b)前記ポリペプチド
(70)
JP 2007-523646 A 2007.8.23
を回収することを含んで成る方法。
【請求項10】
( a ) ( i) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼ 805、 ( ii) 配 列 番 号 1 の ヌ ク レ オ チ ド 67∼
805に 含 ま れ る cDNA配 列 、 又 は ( iii) 前 記 ( i) も し く は ( ii) の 相 補 的 鎖 と 、 DNA集 団 と
を、少なくとも中位の緊縮条件下、更に好ましくは少なくとも中−高緊縮条件下、そして
最も好ましくは少なくとも高緊縮条件下でハイブリダイズし;そしてセルロース分解増強
活性を有するポリペプチドをコードする、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを単離す
ることにより得られる単離されたポリヌクレオチド。
【請求項11】
配 列 番 号 2 の ア ミ ノ 酸 1 ∼ 22を 含 ん で 成 る シ グ ナ ル ペ プ チ ド を コ ー ド す る ヌ ク レ オ チ ド
配列に作用可能に結合されるタンパク質をコードする、前記ヌクレオチド配列に対して外
来性の遺伝子を含んで成る核酸構造体。
【請求項12】
請 求 項 11記 載 の 核 酸 構 造 体 を 含 ん で 成 る 組 換 え 宿 主 細 胞 。
【請求項13】
( a ) 請 求 項 12記 載 の 組 換 え 宿 主 細 胞 を 、 タ ン パ ク 質 の 生 成 の 助 け と 成 る 条 件 下 で 培
養し;そして(b)前記タンパク質を回収することを含んで成る、タンパク質の生成方法
。
【請求項14】
請求項1∼4のいずれかの1項記載のポリペプチドの生成方法であって、(a)セルロ
ース分解増強活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んで成るトラ
ンスジェニック植物又は植物細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けになる条件下で培養
し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項15】
請求項1∼4のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにより
形質転換されている、トランスジェニック植物、植物部分又は植物細胞。
【請求項16】
請 求 項 1 ∼ 4 の い ず れ か 1項 記 載 の セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る ポ リ ペ プ チ ド 、 セ
ルロース分解活性、及び界面活性剤を含んで成る洗剤組成物。
【請求項17】
セルロース材料を分解するか又は転換するための方法であって、前記セルロース材料を
、有効量のセルロース分解タンパク質により、請求項1∼4のいずれか1項記載のセルロ
ース分解増強活性を有する、有効量のポリペプチドの存在下で処理し、ここで前記セルロ
ース分解増強活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース分解増強活性を有するポリ
ペプチドの不在に比較して、セルロース材料の分解を高める方法。
【請求項18】
前記1又は複数のセルロース分解酵素が、セルラーゼ、エンドグルカナーゼ、セロビオ
ヒ ド ロ ラ ー ゼ 及 び β − グ ル コ シ ダ ー ゼ か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 請 求 項 17記 載 の 方 法 。
【請求項19】
ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、ラッカーゼ又はペルオキシダーゼから
成る群から選択された、有効量の1又は複数の酵素により、前記セルロース材料を処理す
る こ と を さ ら に 含 ん で 成 る 請 求 項 17記 載 の 方 法 。
【請求項20】
前 記 方 法 が 、 前 処 理 工 程 、 同 時 糖 化 及 び 発 酵 工 程 ( SSF) 、 又 は ハ イ ブ リ ッ ド 加 水 分 解
及 び 発 酵 工 程 ( HHF) に お け る 段 階 で あ る 、 請 求 項 17記 載 の 方 法 。
【請求項21】
分 解 さ れ た セ ル ロ ー ス 材 料 を 回 収 す る こ と を さ ら に 含 ん で 成 る 請 求 項 17記 載 の 方 法 。
【請求項22】
前 記 分 解 さ れ た セ ル ロ ー ス 材 料 が 、 糖 で あ る 請 求 項 21記 載 の 方 法 。
【請求項23】
(71)
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前 記 セ ル ロ ー ス 分 解 タ ン パ ク 質 及 び /又 は 前 記 セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る ポ リ ペ
プ チ ド が 、 細 胞 を 含 む か 又 は 含 ま な い 発 酵 ブ イ ヨ ン の 形 で 存 在 す る 請 求 項 17記 載 の 方 法 。
【請求項24】
(a)セルロース材料を、有効量のセルロース分解タンパク質により、請求項1∼4の
いずれか1項記載のセルロース分解増強活性を有する、有効量のポリペプチドの存在下で
糖化し、ここで前記セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース
分解増強活性を有するポリペプチドの不在に比較して、セルロース材料の分解を高め;
(b)段階(a)の糖化されたセルロース材料を、1又は複数の発酵微生物と共に発酵
し;そして
(c)前記酵素から有機物質を回収することを含んで成る、有機物質の生成方法。
【請求項25】
前記1又は複数のセルロース分解酵素が、セルラーゼ、エンドグルカナーゼ、セロビオ
ヒ ド ロ ラ ー ゼ 及 び β − グ ル コ シ ダ ー ゼ か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 請 求 項 24記 載 の 方 法 。
【請求項26】
ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、ラッカーゼ又はペルオキシダーゼから
成る群から選択された、有効量の1又は複数の酵素により、前記セルロース材料を処理す
る こ と を さ ら に 含 ん で 成 る 請 求 項 24記 載 の 方 法 。
【請求項27】
前 記 段 階 ( a ) 及 び ( b ) が 、 同 時 糖 化 及 び 発 酵 に お い て 同 時 に 行 わ れ る 請 求 項 24記 載
の方法。
【請求項28】
前 記 有 機 物 質 が 、 ア ル コ ー ル 、 有 機 酸 、 ケ ト ン 、 ア ミ ノ 酸 又 は ガ ス で あ る 請 求 項 24記 載
の方法。
【請求項29】
前 記 セ ル ロ ー ス 分 解 タ ン パ ク 質 、 及 び /又 は セ ル ロ ー ス 分 解 増 強 活 性 を 有 す る ポ リ ペ プ
チ ド が 、 細 胞 を 有 す る か 又 は 有 さ な い 発 酵 ブ イ ヨ ン の 形 で 存 在 す る 請 求 項 24記 載 の 方 法 。
(72)
【国際調査報告】
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JP 2007-523646 A 2007.8.23
(76)
JP 2007-523646 A 2007.8.23
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
C12N
C12N
9/24
9/42
(2006.01)
(2006.01)
C12N
9/24
C12N
9/42
A01H
C11D
5/00
3/386
(2006.01)
(2006.01)
A01H
5/00
A
C11D
3/386
(81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),
EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,
CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,
CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L
U,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW
(72)発明者 ドットソン,ウィリアム
アメリカ合衆国,ニュージャージー 98536,プレインズボロ,フォックス ラン ドライブ
4006
(72)発明者 グリーニアー,ジェニファー
アメリカ合衆国,カリフォルニア 95688,バカビル,サリナス ドライブ 149
(72)発明者 ディン,ハンシュ
アメリカ合衆国,カリフォルニア 95616,デイビス,カラバッジョ ドライブ 2151
Fターム(参考) 2B030 CA14
4B024 AA03 AA08 BA12 CA04 CA09 CA11 CA20 DA01 DA02 DA05
DA12 EA04 GA11 HA01
4B050 CC03 DD03 DD04 LL04
4B065 AA57Y AA62X AB01 AC14 BA01 BD26 BD27 BD33 CA31 CA57
4H003 DA01 DA05 DA17 DA19 EC03
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