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11 スタートアップス・アドバイザー WHO`S WHO [PDF:1.3MB]

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11 スタートアップス・アドバイザー WHO`S WHO [PDF:1.3MB]
スタートアップ・アドバイザーWHO’S WHO
ベンチャー先進地シリコンバレーで気づいた
これからの時代のキャリアパス
企業のキャリアパスの一環としてシリコンバレーに赴任し新規事業開拓の業務に明け暮れ
るうちに、いつの間にかベンチャービジネスに情熱を燃やす人達に公私共に囲まれ、これ
まで知らなかった魅力的な新しいキャリアパスがあることに気づいた。
やがてその社会的意義・重要性に気づいた時点で自ら退路を断ち、新しいベンチャーのキャ
リアパスに挑戦する決意が固まった。
これまでに培った経験とは
親しくなった人達やパートナーもベンチャー
の育成をライフワークにしようと決意したの
企業の人が多く、同年代でも成功した人
は、その社会的意義の重要性に気づいた
学生時代は研究室で人工知能や画像
はプールが2つぐらいある豪邸に住んで仕
時点です。日本経済のバブル後の失われ
処理を勉強しましたが、NECに入社してか
事・プライベート共に充実した羨ましい生き
た10年を回復するためには産業の構造改
らは基本ソフトウェアの中核部の研究開発
方をしているのを数多く見ました。ベンチャー
革的な大きな視点が必要というのはやはり
を担当しました。
企業に引き抜かれた部下が成功し何年か
正論であり、古い産業を整理すると同時に
ベンチャービジネスというものを最初に
して数億円の家を買うといった景気のよい
新産業の育成が大事です。日本は近年新
知ったのはスタンフォード大学に客員研究
話も聞き、よい人材を集め引き止めるため
産業が育ちにくいと言われていますが、新
員としてNECから留学していた際に親しい
のストックオプション等のインセンティブの必
産業は最初はベンチャーからスタートします。
先生が起業された時です。その先生のシリ
要性を痛感したりもしました。また、IBMを
コンバレー屈指の高級住宅街ロスアルトス
退職しベンチャー起業した知人が、起業後
ヒルズの大きな家でのパーティにその後何
IBMにいた時の10倍ぐらい様々なことを学
度も呼んで頂きましたが、年齢差もあり感
んだと言う話も聞きました。そのような環境下
自分が情熱を持って研究開発したテクノ
銘は受けましたが当時はまだこういう生き
で、次第にこれまで目標としていたキャリアパ
ロジーの社会への普及、その成功の成果
方もあるのかといったレベルの認識でした。
スよりもベンチャー起業するというキャリアパ
としての大きなリターン、日本全体の経済に
その後、帰国してNECに復帰後、基本ソ
スの方がよいのではないかという意識が生
貢献するという使命感、こういったものを実
産総研で重要な
新しいキャリアパス
フトの開発部門がソフトウェアの海外拠点を
まれてきました。シリコンバレーでは、ベン
現するキャリアパスがベンチャー起業です。
北米に設置することになり、ソフトウェアの
チャーに対する社会的な評価は高く、成績
これは、産総研の独法化以降の流れの
海外展開の先兵としての期待を胸に北米
のよい卒業生は大企業ではなくベンチャー
上でも、シリコンバレーの例のように今後産
プリンストンにマネージャとして赴任しました。
に就職する、大企業の要職にある人がス
総研にとって重要なキャリアパスとなります。
タートアップにチャレンジし周りがそれに拍
しかし、個人的な経験からも長年ゴールと
手するといった社会の風潮があります。ス
して来たキャリアパスは簡単には変わらな
最初は、プリンストンにあるNECの北米
タンフォード大の教官であったジム・クラーク
いものです。ベンチャーの創出手法につい
研内にオフィスを構え優秀な研究者を雇っ
を初め、ベンチャー起業での成功が評価さ
て、先進的な米国シリコンバレーや英国ケ
てソフトウェアツール関連の研究開発プロ
れて4
0代でスタンフォード大の学長に就任
ンブリッジ等各国の第一人者の方々の話
シリコンバレーでの目覚め
ジェクトを立ち上げましたが、やがてソフトウェ
したジョン・ヘネシー等シリコンバレーではベ
を聞く機会がありましたが、有効な方法の
アビジネスを北米で立ち上げたいという
ンチャーは優秀な人材の重要なキャリアパ
一つとして身近にロールモデルとなるベンチ
NECの意向がありシリコンバレーにオフィス
スとして社会的に定着しています。また、失
ャー成功者がいるとよいということがありま
を移しました。そこで、初めてビジネスに必
敗しても借金が残らず、成功するまで何度
す。また、シリコンバレーでフェアチャイルド社
要な全領域を勉強しました。市場調査か
でも挑戦できる社会システムがベースにあ
が起業後急成長する過程において、ベン
ら始め、必要な技術者や、マーケティング・
り、成功してもまた次に挑戦するシリアル・
チャー気風を継承したフェアチルドレンと呼
セールス部隊を雇ってソフトウェア、マルチメ
アントレプレナーが多数存在し、成功者
ばれるOB達が次々とインテル等のスタート
ディア、インターネット関連の様々な新規事
はエンジェルやベンチャーキャピタリストと
アップスを立ち上げていったという歴史が
業の立ち上げに取り組みました。新規事
なって社会にノウハウや資産を還元すると
あります。ベンチャー創出にコミュニティが重
業 の中で N E Cに関 連 するビジネスは、
いう複数ステージにまたがるキャリアパスも
要と言われるのは、カルチャーやアイデアは
NECのBIGLOBEやPCの事業部と連携
存在します。そのような環境の中でまず最
お互い顔を合わせたコミュニケーションか
しましたが、それ以外のビジネスはベンチャー
初の段階として、ベンチャービジネス化する必
ら生まれやすいからです。まずロールモデ
ビジネス的な立ち上げが必要となりました。
要のあるものはNECから出向し兼業でCEO
ルとなる成功事例を産総研内で生み出
シリコンバレーですから雇ったメンバの中に
としてベンチャービジネスの立ち上げを行い
し、やがてそのベンチャーがフェアチャイルド
もベンチャー経験者も多くまた各種会合で
ました。さらに、ベンチャービジネスおよびそ
のように多数のベンチャーを輩出し新産業
ハイテク・スタートアップス
11
スタートアップ・アドバイザーWHO’S WHO
産業技術総合研究所 ベンチャー開発戦略研究センター スタートアップ・アドバイザー 高 村 淳 氏
●プロフィール 1978年3月、京都大学情報工学科修士課程修了。同年4月、NECに入社、基本ソフトウェ
ア中核部の研究開発を担当。1983年7月から1984年12月まで、スタンフォード大学計算機科学科客員研究
員として、画像処理、ナレッジベースシステムの研究開発に携わる。帰国後、基本ソフトウェア開発本部に復帰
し様々な新規ソフトウェア開発プロジェクトをマネージャとして担当。1991年11月北米プリンストンのNEC
Systems Laboratory, Inc. に出向し、その後シリコンバレーにオフィスを移し、ソフトウェア、マルチメディア、イン
ターネット関連の数々の新規ビジネスのインキュベーションにディレクタとして従事。2000年12月、Auraline,Inc
を北米で立ち上げて出向しCEOに就任。2001年7月、オーラライン株式会社を日本で設立し代表取締役社
長に就任。2003年3月より現職。
を創出するというような方法が有効ではな
いかと思います。
では、どのようにハイテク・スタートアップス
ハイテク・スタートアップスの創出過程
を発掘するかですが、実際にハイテク・スター
トアップスの創出を試行するという目的のも
とに現在様々な案件を手がけています。ま
市場
だ公表できない水面下の重要な案件もあ
対象市場
トップダウン的発掘
りますが、今回のシンポジウムで事例紹介
を行ったカーボンナノチューブを用いた光デ
バイス、本誌の産総研発ベンチャー紹介記
事の進 化システム総 研 案件、昨 年秋の
COMDEXで受賞したロボット・セラピー
「パ
ロ」
、産総研ブースを訪れたビル・ゲイツも試
したCoBIT等いろいろな案件を担当してい
ます。
ス
タ
ー
ト
ア
ッ
プ
・
ア
ド
バ
イ
ザ
ー
初期ニーズ
初期シーズ
ビ
ジ
ネ
ス
モ
デ
ル
プレマーケティング
市場調査
会社設立
ビジネス化
時間
追加研究
製品開発
プロダクト
ボトムアップ的発掘
技術
ベンチャーの創出の仕方にはシーズから
入るボトムアップ創出手法とニーズから入
るトップダウン創出手法があります。しかし、
様々な試行錯誤を経て思うのは、発掘の
発端はシーズであったりニーズであったりし
ても、結局はニワトリと卵の関係のようなも
のでどちらが先であるべきものではなく、図
のように初期のシーズとニーズからスタート
「スピンオフ・ベンチャー推進フォーラム in 大阪」
大企業文化からの解放と我が国経済構造の地殻変動に向けて
本フォーラムは、我が国産業がいままで成し遂げてきた成長の源泉を見据え、
キャッチアップ型ではない、新しいスピンオフ・ベンチャーを創出、
イノベーションに挑戦し、
新しい成長をつくるためのフォーラムです。
フォーラム開催要領
フォーラム・プログラム
してお互い作用しながらスパイラルに進化
を遂げながらビジネスになっていくという気
がします。
最後に、自分の研究成果を埋もれさせ
ることなく社会に役立たせるという高い志
とビジネスとして必ず成功させるという信念
がスタートアップを成功に導きます。まだ私
も現役で産総研の研究者の方々とこれま
でシリコンバレーおよび日本で経験したベン
チャー立ち上げのノウハウを活かしマネージ
メントチームを結成し起業に取り組みたい
と考えています。将来、自分で起業する体
力がなくなったら、それまで蓄積したノウハ
ウ、資産を社会に還元すべく若いアントレ
プレナーの支援・コーチ役に回るのが私の
夢であり理想のキャリアパスです。
日 時:2004年3月17日(水)
13:00 開 場
13:
30∼17
:
00 (13:
00開場)
13:
30∼13:
40 開会の挨拶
会 場:大阪産業創造館イベントホール
13:
40∼14
:
40 特別講演 「自今生涯」
(大阪市中央区本町1-4-5)
堀 場 雅 夫 氏
〔(株)堀場製作所取締役会長〕
主 催:経済産業省
:
50∼17
:
00 パネルディスカッション
後 援:
(社)
日本経済団体連合会、
(社)
経済同友会、14
モデレーター: 前 田 昇 氏
日本商工会議所、大阪商工会議所、
〔大阪市立大学大学院創造都市研究科教授〕
中小企業総合事業団、
日本経済新聞社、
: 金 丸 恭 文 氏
朝日新聞社、
日経BP社、
日本ベンチャー学会、パネラー(五十音順)
関西ベンチャー学会、
(社)
ニュービジネス協議会、
(財)大阪市都市型産業振興センター(順不
同、一部予定)
参加費:無 料
定 員:250名
〈お問い合わせ〉
「スピンオフ・ベンチャー推進フォーラム」事務局
(株)
リーディング・イノベーション内
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町1-11ウスイ紀尾井町ビル4F
TEL 03-3239-3711 FAX 03-3239-3713
E-Mail [email protected]
〔(社)経済同友会 新規事業創生委員会 委員
長、
フューチャーシステムコンサルティング(株)
代表取締役社長〕
鳥 谷 浩 志 氏
〔ラティス・テクノロジー(株)代表取締役社長〕
鳴 戸 道 郎 氏
〔(社)
日本経済団体連合会新産業・新事業委
員会企画部会長、富士通(株)特命顧問、
(株)富士通総研 代表取締役会長〕
村 上 路 一 氏
〔(株)
シクスオン 代表取締役社長〕
豊 國 浩 治 氏
〔経済産業省 産業技術環境局 技術振興課長〕
※ウェブサイトからお申し込み下さい。
URL http://www.spinoff-v.org
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