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JSAI2012 OS-01 ことば-コンピュータ-コミュニケーション 1N2-OS-1b-1in
コミュニケーションの場を活性化させるスキルの解明
―「役回り」と「レトリック」による熟達度の定量的分析―
慶應義塾大学 坂井田 瑠衣 (政策・メディア研究科) 諏訪 正樹 (環境情報学部) [email protected]
  問題意識:コミュニケーションスキルはどう 測る か?
「あの人がいたから会話が盛り上がった」「会話全体が何となく盛り上がった」という曖昧な印象
「各々の参与者が発揮したスキルの度合い」「会話全体としての盛り上がりの度合い」という定量的な評価
  分析対象:バラエティ番組におけるお笑いタレントによるフリートーク
  テレビ朝日系のバラエティ番組
  台本がなく会話の展開は出演者の裁量
  出演者全員が高度な熟達者
  出演者の強い気概が感じられる番組
  NHK総合テレビのバラエティ番組
  アメトーーク!と出演者が一部共通
  俳優などのお笑い以外のゲストが数名出演
  出演者全員が高度な熟達者とは限らない
  分析方法:「役回り」と「レトリック」のコーディングによる会話分析
役回りとは
役回りカテゴリ
役回りカテゴリのコーディング
(i) 新しい視点を提供する役回り
  参与者全員が何らかの役回りを担当
  固定的ではなく,発話単位で流動的に演じるもの
  積極的な発言だけでなく,聞き手としての役回りも重要
  熟達者は臨機応変に役回りを振る舞い分け
  参与者の関係性,会話の目的,話題の進行などに応じて変化
出演者名
宮迫博之
蛍原徹
ケンドーコバヤシ
(雨上がり決死隊) (雨上がり決死隊)
経過時間
(A) 進行, (B) 挨拶, (C) 問題提起, (D) 新出情報や着眼点の提示
0:00:00
(ii) 前出の発話に応答する役回り
(D) 新情報提示
(E) 意見, (F) 補足, (G) 繰り返す, (H) 相槌
0:00:01 (1)あそうか(H)
0:00:02
(iii) 笑いを引き起こす役回り
(H) 相槌
(I) ボケ, (J) イジる, (K) 悪ノリ, (L) ツッコむ(指摘), (M) ツッコむ(念押し)
(1)僕とほぼ同級
生ですよ(D)
(2)僕40歳なんで
ね(F)
0:00:04
(I) ボケ
レトリック項目
レトリックとは
(K)悪ノリ
  修辞技法,文彩, あや
  直喩や隠喩などの比喩表現,列叙法,誇張法など[佐藤 92]
  熟達者は多様なレトリックを用いて発話を構成
  筆者が直感的に優れた表現と判断した台詞を会話から抽出
  それらに含まれるレトリックを従来の技法に加えて定義
(a) 一旦否定してから肯定する (e) 並外れた着眼点
(b) 詳細を明かさず先の展開を (f) 過剰な感情表現
想起させる
(g) 格言の引用
(c) 分かっているのにあえて聞く(h) 再現する
(d) 不適切な敬語
(i) 舞台裏を明かす
(F) 補足
(1)そう思うたら
蛍原さん,かっ
こ良く見えてき
ますね,やっぱ
り.王将と近い
いうだけで(I)
0:00:07 (2)ほんまや(K)
0:00:08
(3)そうやろ?(K)
0:00:09 (3)王将の丼に見
えてくるもんね,
これ(K)
(K) 悪ノリ
0:00:10
(K) 悪ノリ
(K) 悪ノリ
(2)ほんまや(K)
「アメトーーク!餃子の王将芸人」(2008年7月24日放送)より
  分析:以下の4手法による分析
分析①:レトリック得点の算出
分析②:状況に応じた役回りの演じ分け
レトリック得点とは
番組名
出演者数
  多様な役回りに
ある会話におけるレトリックの使用頻度の総得点
長けたケンコバ氏
「アメトーーク!」のレトリック得点
宮迫
蛍原
36.0
3.0
ナベ
アツ
10.0
ケン
コバ
16.8
  両番組での発話
山崎
徳井
福田
福島
設楽
日村
小杉
吉田
0.0
10.2
0.9
0.9
1.8
0.0
15.3
5.1
  宮迫氏
頻度を使い分け
(χ2 (1) = 10.59, p<.005)
  ケンドーコバヤシ(ケンコバ)氏
実際の得点:12種類中8種類を使用
筆者の印象:巧妙な話術に熟達
遷移後
(A) (B) (C) (D) (E) (F) (G) (H) (I) (J) (K) (L) (M)
遷移前
(A)
1.5 0.6 0.3 0.6 1.2 0.6 1.2 5.2 0.9 0.0 0.6 0.3 0.0
(B)
0.3 0.6 0.0 0.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0
(C)
0.0 0.0 0.0 0.6 2.0 1.2 0.3 0.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
(D)
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.5 2.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
(E)
1.2 0.0 2.0 0.6 2.9 0.9 1.7 3.2 0.6 0.0 0.9 0.3 0.0
(F)
0.3 0.0 0.3 0.0 2.9 0.3 0.6 3.5 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0
(G)
0.9 0.3 0.6 0.6 0.9 1.2 0.9 2.0 0.3 0.3 0.3 0.0 0.0
(H)
7.6 0.0 1.5 0.9 3.2 3.5 1.2 12.2 1.2 0.3 0.3 0.6 0.0
(I)
0.3 0.0 0.0 0.0 0.3 0.3 0.0 0.9 0.0 0.0 0.3 0.9 0.6
(J)
0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0
(K)
0.3 0.0 0.0 0.3 0.9 0.0 0.3 0.3 0.0 0.0 0.3 0.6 0.9
(L)
0.3 0.3 0.3 0.0 0.0 0.3 0.3 1.2 0.0 0.3 0.3 0.6 0.0
(M)
0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.9 0.0 0.0
分析③:役回りの遷移パターンマトリクス
分析④:発話者の遷移パターンマトリクス
役回りの遷移パターンマトリクスとは
36.0
福田
3.0
10.0
16.8
0.0
10.2
「ある出演者が発言した直後に誰が発言するか」の確率
福島
設楽 日村 小杉 吉田
0.9
「アメトーーク!」の役回りの遷移パターンマトリクス 「SHIBUYA
DEEP A」の役回りの遷移パターンマトリクス
表3­13:SHIBUYA
DEEP A の役回りの遷移パターンマトリクス(%)
表3­14:アメトーーク!の役回りの遷移パターンマトリクス(%)
遷移後
(A) (B) (C) (D) (E) (F) (G) (H) (I) (J) (K) (L) (M)
遷移前
(A)
1.5 0.6 0.3 0.6 1.2 0.6 1.2 5.2 0.9 0.0 0.6 0.3 0.0
(B)
0.3 0.6 0.0 0.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0
(C)
0.0 0.0 0.0 0.6 2.0 1.2 0.3 0.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
(D)
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.5 2.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
(E)
1.2 0.0 2.0 0.6 2.9 0.9 1.7 3.2 0.6 0.0 0.9 0.3 0.0
(F)
0.3 0.0 0.3 0.0 2.9 0.3 0.6 3.5 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0
(G)
0.9 0.3 0.6 0.6 0.9 1.2 0.9 2.0 0.3 0.3 0.3 0.0 0.0
(H)
7.6 0.0 1.5 0.9 3.2 3.5 1.2 12.2 1.2 0.3 0.3 0.6 0.0
(I)
0.3 0.0 0.0 0.0 0.3 0.3 0.0 0.9 0.0 0.0 0.3 0.9 0.6
(J)
0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0
(K)
0.3 0.0 0.0 0.3 0.9 0.0 0.3 0.3 0.0 0.0 0.3 0.6 0.9
(L)
0.3 0.3 0.3 0.0 0.0 0.3 0.3 1.2 0.0 0.3 0.3 0.6 0.0
(M)
0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.9 0.0 0.0
表3­14:アメトーーク!の役回りの遷移パターンマトリクス(%)
  (H)相槌→(H)の傾向が最上位
遷移後
(A) (B) (C) (D) (E) (F) (G) (H) (I) (J) (K) (L) (M)
遷移前
 
アメトーーク!の(H)→(H)は少ない
0.7 0.7 0.0 0.0 0.7 0.0 1.5 3.7 0.7 0.0 0.0 0.0 0.4
(A)
1.1 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 0.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
(B)
0.0 0.0 0.0 0.4 0.7 0.4 0.4 2.6 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0
 (C)
相槌を繰返すと冗長に聞こえる恐れ
0.0 0.4 1.1 0.0 0.4 1.1 0.0 2.9 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0
(D)
(E)
(F)
(G)
(H)
(I)
(J)
(K)
(L)
(M)
0.4
0.7
0.0
4.0
0.4
0.0
0.0
0.4
0.4
0.7
0.0
1.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.4
0.4
0.4
1.5
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
1.1
0.4
0.4
2.9
0.0
0.0
0.0
0.4
0.4
3.3
1.8
1.1
5.5
1.5
0.0
0.0
0.7
0.4
1.5
0.7
1.5
3.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.4
2.2
0.7
0.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
3.3
1.1
0.4
1.8
0.4
0.0
1.5
0.4
0.0
1.1
0.7
0.4
0.0
0.0
0.0
0.0
1.1
0.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.7
0.4
0.0
1.1
0.7
0.0
6.2
2.2
0.0
0.0
0.4
0.0
1.1
2.2
0.0
1.8
1.5
1.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.4
2.2
1.5
0.9
1.8
0.0
15.3
5.1
「アメトーーク!」の発話者の遷移パターンマトリクス
17
32
ナベ ケン
発話者の遷移パターンマトリクスとは
蛍原
山崎 徳井
アツ コバ
宮迫
「ある役回りの直後にどの役回りが使われるか」の確率
遷移確率が高かった組み合わせのセルに色付けした
121/43(回)
カテゴリ 比率(%)
(H)相槌
37.4
(E)意見
14.6
(G)繰返す
9.8
  SHIBUYA DEEP A:バラエティに不慣れなゲストの緊張を笑いで緩和
17
17
司会進行役
  アメトーーク!:自己の能力を顕示しながら多様な笑いを創出
表3­13:SHIBUYA DEEP A の役回りの遷移パターンマトリクス(%)
  曖昧な印象が,レトリック得点による分析と一致
  (K)悪ノリ→(K)の傾向が最上位
  悪ノリを次々に繰り出すのは困難
  熟達者による会話に特有の傾向
SHIBUYA DEEP A
8名
  (I)ボケ,(K)悪ノリを状況に応じて演じ分け,異なる効果を創出
実際の得点:(a), (c), (h)の3種を各々3回使用
筆者の印象:番組で強烈な個性を発揮
遷移後
(A) (B) (C) (D) (E) (F) (G) (H) (I) (J) (K) (L) (M)
遷移前
0.7 0.7 0.0 0.0 0.7 0.0 1.5 3.7 0.7 0.0 0.0 0.0 0.4
(A)
1.1 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 0.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
(B)
0.0 0.0 0.0 0.4 0.7 0.4 0.4 2.6 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0
(C)
0.0 0.4 1.1 0.0 0.4 1.1 0.0 2.9 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0
(D)
0.4 0.7 0.4 1.1 3.3 1.5 0.4 3.3 1.1 0.0 0.7 0.0 0.0
(E)
0.7 0.0 0.4 0.4 1.8 0.7 2.2 1.1 0.7 0.0 0.4 0.4 0.0
(F)
0.0 1.1 0.4 0.4 1.1 1.5 0.7 0.4 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0
(G)
4.0 0.0 1.5 2.9 5.5 3.3 0.4 1.8 0.0 0.0 1.1 1.1 0.0
(H)
0.4 0.0 0.0 0.0 1.5 0.0 0.0 0.4 0.0 0.0 0.7 2.2 0.0
(I)
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
(J)
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.5 0.0 0.0 6.2 1.8 0.4
(K)
0.4 0.0 0.0 0.4 0.7 0.0 0.0 0.4 1.1 0.0 2.2 1.5 2.2
(L)
0.4 0.0 0.0 0.4 0.4 0.0 0.0 0.0 0.4 0.0 0.0 1.1 1.5
(M)
アメトーーク!
12名
話題提供者,盛り上
期待されている役割
げ役
発話数(実現値/期待値) 35/23(回)
カテゴリ 比率(%)
特に多く振る舞った
(H)相槌
25.7
役回り
(I)ボケる
17.1
(上位3個)
(F)補足
14.3
遷移後
遷移前
宮迫
蛍原
ナベアツ
ケンコバ
山崎
徳井
福田
福島
設楽
日村
小杉
吉田
合計
時間
宮
迫
蛍
原
0.0 9.2
10.4 3.2
1.2 2.0
2.0 6.4
0.4 2.4
0.4 0.0
0.4 0.4
1.6 0.8
0.4 2.0
1.2 0.4
1.2 4.8
0.8 1.2
20.0 32.8
出演者名
ナ
ベ
ア
ツ
ケ
ン
コ
バ
2.4 4.0
0.8 6.0
1.2 0.8
0.4 0.0
0.0 0.0
0.0 0.0
0.0 0.0
0.0 0.8
0.4 0.4
0.0 0.0
0.0 2.0
0.0 0.0
5.2 14.0
宮迫
0:00:00
0:00:01 (1)あそうか(H)
0:00:02
0:00:04
山
崎
徳
井
福
田
福
島
設
楽
日
村
小
杉
吉
田
0.4
2.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
2.8
0.4
0.4
0.0
0.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.4
0.0
0.0
0.0
1.6
0.0
0.4
0.0
0.0
0.0
0.4
0.0
0.4
0.0
0.0
0.4
0.0
1.6
1.6
1.2
0.0
0.4
0.0
0.0
0.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
3.6
0.0
1.2
0.0
1.6
0.0
0.0
0.4
0.0
0.0
0.4
0.8
0.0
4.4
0.0
1.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.8
0.0
0.0
0.0
2.0
0.8
5.2
0.4
2.0
0.0
0.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.4
9.2
2.0 20.8
0.8 33.2
0.0 5.6
0.0 13.2
0.0 2.8
0.0 1.2
0.0 1.6
0.0 3.6
0.0 4.4
0.0 2.0
0.0 9.2
0.0 2.4
2.8
蛍原
合
計
  各参与者の発話遷移の合計値
  宮迫氏,蛍原氏,ケンコバ氏,
小杉氏が中心的役割
  個別の遷移傾向が高い組合せ
  <ケンコバ→小杉>
  <小杉→ケンコバ>
  固定的なボケとツッコミではなく,
状況に応じて互いが他にツッコむ
ケンコバ
(1)僕とほぼ同級生で
すよ(D)
(2)僕 40 歳なんでね(F)
(1)そう思うたら蛍原
さん,かっこ良く見え
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