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データベース マーケティング事例

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データベース マーケティング事例
マネジメント最前線
データベース
マーケティング事例
る「仮説検証」を取り上げたい。
∼仮説検証(マーケティングサイクルの実現)∼
小売店の発注担当者が目で見たマーケ
オンサイトでの仮説検証については、
ティング情報を駆使して発注を行うこと
による成功事例が各種出版物に記載され
ているのでそちらを参照されたい。今回は、
データベース活用による「仮説検証」に
コンサルティング事業本部
データベースの継続的活用は企業の継続
ついて記述する。ポイントは、
「如何に
的成長において必要不可欠
して仮説を立案するか?」である。検証
主席研究員
糸井 正孝
については、必ず何らかの実現方法が導
[専門分野]
データベースマーケティング
企業におけるデータベースの活用につ
き出せるが、仮説についてはそうではない。
いて考える。業種に特に制限はないが、
また、ある業種に適用できた仮説が他の
以下[図表 1]のような時間軸、営業拠点
業種に適用できるとは限らない。すなわち、
軸、サービス軸、消費者軸の実績を取り
確立した手法が存在しないわけであるが、
扱う企業をターゲットとする。
我々は以下の手法を推奨している。
データの活用目的は、大きく管理目的
と分析目的の 2 つに分類される。管理目
(1) 実績データに基づく店舗のセグメン
テーション
的データの代表的なものは、
[図表 1]
類似した環境にある店舗にもかかわら
の事業所別売上、管理会計であり、どの
ず、販売実績に違いがある場合、商品、
企業でもイントラネットなどで参照でき
サービスに何らかの理由があるはずであ
るはずだ。もうひとつの活用目的は、分
り、それを見つけ出すことを目的として、
析目的である。定型分析、非定型分析に
店舗のセグメンテーションを行う。店舗
分類され、定型分析については、各種
の立地条件、客層などを指数化し、これ
OLAP製品として完成されている。今回は、
らに基づくセグメンテーションを行うこ
非定型分析の事例として、小売業におけ
とが多いが、我々は実績データに基づく
[図表1]実績データ体系
※本原稿は、三菱総合研究所
時間軸
営業拠点軸
サービス軸
消費者軸
実績
例
月
事業所
−
−
売上
事業所別売上
月
−
サービス
−
売上
サービス別売上
年
−
−
−
売上・利益
管理会計
時刻
店鋪
商品
消費者
数量・価格
POSデータ
コンサルティング事業本部
MRI コンサルティング内の
「DB マーケティングコンサル
ティング」より抜粋しており
ます(http://cbu-web.mri.
co.jp/index. html)
。
なお、本原稿の詳細は、http:
//cbu-web.mri.co.jp/topics/
db_marketing/post.html で
ご確認下さい。
30
200704 マネジメント最前線
セグメンテーションを推奨している。立
[図表2]データベースを活用した仮説検証手順
地条件、客層の指数化において、人間の
思い入れが入ることを避け、実績データ
の傾向が似ているならば、立地条件、客
層が多少異なっていたとしても、同一施
策が打てるのではないかという考え方で
同一セグメントの
事例比較に基づく
仮説立案
実績データに基づく
店鋪の
セグメンテーション
仮説の検証
マーケティング
サイクルの
実現
ある。セグメンテーションの手法につい
ては、統計手法を用いるが、この点につ
いては、別の機会に言及したい。
(2) 同一セグメントの事例比較に基づく
仮説立案
セグメンテーション別に各種集計を行
い、分析を行うことがよくあるが、仮説
立案に限っていうならば、あまり推奨で
きない。データは集計すると特徴が薄ま
続ける仕組みを構築することが最も重要
るからだ。例えば、業種別、商品別に集
であると考える。季節による変化、流行
計を行った場合、成功している店舗とそ
による変化、他業種、競合の動向による
うではない店舗の情報が合計されるため、
変化を捉え続けることにより、消費者
成功の理由が薄まってしまう。我々が推
ニーズの「今」を把握することと、継続
奨する手法は、同一セグメンテーション
による効率化を図ることが可能であるた
において成功している店舗とそうではな
めだ。
い店舗の比較を行うことにより、仮説を
立案する手法である。2 店舗であれば、
最後に、管理目的のデータ活用と比べ
詳細な比較が可能であり、仮説を導き出
ると、分析目的のデータ活用は、成果が
しやすい。重要な点は、
「比較してはな
現れるまでに時間がかかることが多い。
らない店舗を比較しない」という点である。
しかし、マーケティングサイクルの実現と、
従って、(1) のセグメンテーションが重要
データに基づく仮説検証の継続は、企業
となる。
の継続的成長において必要不可欠である。
組織上のミッションの付与、人材育成、
(3) 仮説の検証
導き出した仮説を実際のサービスに適
用し、結果を実績データで確認する。ス
システムインフラの構築など、クリアし
なければならない問題は多いが、取り組
み続けるべき課題である。
ピードを重視し、かつ、リスクを少なく
するため、数店舗で即時に実施する。
(4) マーケティングサイクルの実現
(1) ∼ (3) のサイクルを継続して実施し
マネジメント最前線
200704 31
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