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2013

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2013
不徴収協定に基づく派遣交換留学終了報告書
所 属 ( 本 学 ) 理工学研究科 機械物理工学専攻
現 在 の 学 年 修士 2 年
留
学
先
国 ドイツ
留
学
期
間 2013 年 10 月
留学先大学
ミュンヘン工科大学
1 日~ 2014 年 9 月
23 日
① 留学先大学の概略
ミュンヘン工科大学はルートビッヒ王2世により 1868 年にドイツ南部バイエルン州ミュンヘ
ンに創立され,現在もドイツの工学教育,研究機関として重要な役割を担っている.学生数は
35,979 人,留学生の割合は 20%を占める(2013/14 年 冬学期)。ミュンヘン北部に位置するガ
ーヒング・バイ・ミュンヘンキャンパスは滑り台(図1参照)があることで有名.
図1 ガーヒング・バイ・ミュンヘンキャンパスの滑り台
② 留学前の準備
当初から1年間の留学を希望していたため,卒業時期を遅らせることを前提に計画を立て
た.ミュンヘン工科大学,現地での生活に関する情報は過去にミュンヘン工科大やドイツに留
学した経験のある先輩から提供していただいた.
英語に関しては TOEFL を中心に勉強した.大学院の講義も英語開講または英語に関する講
義を積極的に履修した.私は第二外国語がドイツ語ではなかったため,ドイツ語に関しては
完全にゼロからのスタートであった.留学を決意したときから友人から借りた教科書で文法を
勉強し,朝の NHK のラジオ講座等でとにかくドイツ語に触れる時間を長くすることを意識した.
学部4年後期には大学の講義「ドイツ語会話(応用・留学コース)」,修士1年前期には「ドイツ
語文化演習」を履修した.インターネット上には様々なドイツ語学習のサイトがあるため,それ
らを利用することもあった.
ビザは現地到着後2ヶ月半程度経過した頃に取得した.事前に日本のドイツ大使館にて留
学中の財政能力証明を発行し持参した.また,奨学金を受けていることの証明書があれば発
行料 50 ユーロが免除されるとのことを聞き,こちらも持参したが大学側の判が押されていな
かったため有効な書類と判断されなかった.
ミュンヘンでの住居探しは非常に困難であるが,ミュンヘン工科大が協定校であるため学
生寮を優先的に斡旋してもらえた.期限を守って書類を提出すれば確実に住居を見つけるこ
とができる.
③ 留学中の勉学・研究
3.1)講義
3つの東工大での専門である複合材料に関する講義とドイツ語の語学の授業を履修した.
ドイツでの成績は最高 1.0 最低 5.0 4.1 以上で不可となる.専門科目の講義も全てドイツ語
での講義であったため,完全に理解できたとは言い難いが予習・復習でなんとか喰らいつい
ていった.
「複合材料のサプライチェーンと価値創造チェーン」
「スマート構造」
「繊維複合材料」
「ドイツ語 A2.2」 (前期) / 「ドイツ語 B1.2」(後期)
3.2)研究
留学後半は機械工学科の炭素複合材料研究所(LCC)においてタームプロジェクトを実施
した.ドイツ語では Semesterarbeit と呼ばれるこのプロジェクトは博士学生が自身の博士論文
執筆のために全体の研究を分割し,学部・修士学生に提供されたものであり,そのうちの1つ
に参加した.Web 上または掲示板に貼りだされたテーマの中から興味のあるものを担当する
教員にアポイントメントをとり,各種契約事項を済ませたのち研究を開始した.定期的に指導
教員とミーティングをし,それ以外の時間はワークショップで実験をしたり,文献調査をした.
実験的に研究を進めていく上で大学の研究設備を利用したがその規模に驚いた.ワークショ
ップでは学部・修士に問わず多くの学生が作業をしており,毎日顔をあわせるうちに休憩時間
を共に過ごしたり,力のいる作業を手伝ったりすることで研究所内でのつながりも増えた.
図2 炭素複合材料研究所のワークショップ
④ 留学中に行った勉学・研究以外の活動
4.1)学生フォーミュラ
ミュンヘン工科大学の学生フォーミュラチーム TUfast にチーム史上初のアジア人として所
属した.シャーシ(自動車の骨格となるフレーム)チームに属し,モノコック(自動車の車体)の
強度解析をメインのタスクとして扱った.マシンの製造期間は全員が参加し,特に新車発表会
(図3参照)の直前は連夜夜通しの作業であった.ロンドンでのイギリス大会とホッケンハイム
でのドイツ大会に帯同し,ドイツ大会ではコンバッションエンジンカーの設計部門でチームとし
て1位を受賞することができた.製造期間中はトラブルも多々発生し,緊迫した状況でのメン
バーの人間的な面も感じることができたことも大きな経験の1つである.ゼロの状態から1つ
のものを作り上げることの楽しさを再確認でき,それが大会で認められた瞬間は特別であっ
た.
図3 新車発表会の様子(左:コンバッションエンジンカー,右:電気自動車)
その他所属していたコミュニティは以下の通りである.
 スポーツサークル(陸上競技,サッカー)
 日本に興味のあるドイツ人とミュンヘン留学中の日本人とのコミュニティ
 ミュンヘン在住の日本人を中心としたサッカーチーム
4.2)サッカー観戦
ミュンヘンといえばビールとサッカー.1部と2部それぞれチームがあり,試合当日はユニホ
ームを着てビール瓶を片手に歌っているサポーターを街中で見ることができる.スタジアムは
サッカー専用であるため選手との距離も近く,より臨場感を味わえる.
図4(左) 臨場感あふれるスタジアムでの観戦
図5(右) TSV1860 ミュンヘンカラ―のホームスタジアム
⑤ 留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード
学生フォーミュラチームは約 60 人のメンバーのほとんどがドイツ人またはドイツ語圏の学
生で構成されたコミュニティであり,自身の語学力不足から所属当初は言いたいことが言え
ないなど,コミュニケーションがうまくとれない時期もあった.しかし活動を続けていくにつれ,
彼らは特に自分の意見をストレートに伝えるので,それに屈しないように「自分にできること,
できないこと,賛成すること,反対すること」をはっきり意思表示することが重要であり,同時
に一種のマナーであり,それによって関係が成立することを認識した.留学終盤には多少間
違ったドイツ語でも気にせず堂々と英語を混じえてでも意思表示し,特に自分のアイデアを
マシンの製造作業において出せるようになった.
⑥ 留学費用
2013 年 10 月から 5 ヶ月間毎月 600 ユーロの奨学金をドイツ学術交流会(DAAD)から,2014
年 3 月から 6 ヶ月間毎月 8 万円の奨学金を東工大基金から支援を受けた.渡航費,生活費,
住居費,保険料等は奨学金と仕送りで賄った.
⑦ 留学先での住居
留学決定後(7月初旬),大学側から学生寮の申し込みに関するメールが来るので,その
手順にしたがって手続きを進めればよい.私の寮は個人の部屋にシャワーとトイレがついて
おり,キッチン(2つ)と共同スペースは共用であった.フロアには約 20 人が住んでおり,東側
西側で使用するキッチンが決められていた.ゴミ捨て等の役割は当番表にしたがった.キッチ
ンはコミュニケーションの場として非常に重要であり,ドイツ語力の向上に役立った.また,同
じフロアの友人同士で Facebook グループを作成し,インターナショナル・ディナーパーティや
バーベキュー,誕生日パーティ,W 杯観戦などのイベント等を開催した.
⑧ 留学先での語学状況
機械工学科におけるほとんどの講義がドイツ語での開講であり苦労した.後半のタームプ
ロジェクトでの指導教員とのディスカッションおよび文書作成は英語でおこなった.寮では英
語とドイツ語半々を使用した.ほとんどの学生が英語を話せるため基本的には英語だけでも
問題はないが,中にはドイツ語しかできない学生もいる.また,ドイツ語ができるかできないか
で日常生活における楽しみが大きく異なるのでやはり語学は重要である.
⑨ 単位認定、在学期間
単位認定を行う予定.また,1年間の留学であったため在学期間を延長する.
⑩ 就職活動
留学中は特に就職活動を実施していない.
⑪ 留学先で困ったこと(もしあれば)
特になし。
⑫ 留学を希望する後輩へアドバイス
日本を1歩踏み出すことは確かに勇気のいることですが,その分得られるものは大きいと
思います.現地学生・留学生だけでなく現地の日本人など多くの人と知り合うことでいろんな
人の生き方や考え方を知ることができるはずです.思い切ってドイツ人だけのコミュニティに
飛び込んでみることも非常に良い経験になり,またそれが1番の語学の向上の手段であった
りもします.特にスポーツのサークル等は同じ目的を持った者同士の集まりであることが多い
ため,個人的には比較的輪に入りやすいと感じました.中には自分が彼らにとって生まれて
初めて会う日本人だということも頻繁にあり,そのような中で上手く異文化交流をしていくこと
も留学の楽しみの 1 つではないかと思います.留学が終わるときに自他共に認めるぐらい現
地にかぶれることができたのであれば,有意義な留学を過ごせたということの証明になるは
ずです.
いつも心に留めておかなければならないのは,留学は決して自分一人の力だけでできるも
のではなく,家族,友人,研究室の先生方,大学をはじめ多くの人の理解やサポートが不可
欠であり,どれか一つでも欠ければ決して上手くいかないということです.自分の今ある環境
に感謝すること,与えられたチャンスを目一杯活用し,多くのことに挑戦すること,そして何よ
り楽しむことで最高の留学生活を送ってください.
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