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原子オーダ制御半導体表面の構造と電子状態

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原子オーダ制御半導体表面の構造と電子状態
4
9
3
放射光第器巻欝 5
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Grad槌te Sch,∞I[
略
そしてその発展として新しい機能材料を創製する
じ
半導体デバイスの高性能化に向け 9 表面制御の
というふうに行われている九この研究には多原
研究が行われている。これはヂパイス作製に不可
子オーダで半導体表面の構造や化学結合状態を解
欠な異種薄膜堆積(ヘテロエピタキシャノレ成長を
析する必要がありヲシンクロトロン放射光の持つ
含む)の過程で基板表面に欠陥が生じやすし
優れた特徴(高輝度也波長可変性,観光性9 パ
パイス特性の劣化を紡ぐためには表面の保護(不
ルス性など)が大きな威力を発揮する。もちろん,
働化; passivation) が必要になるためでヲ
他の表面解析手段(反射型電子線回折 (R日EED) ,
この
方面の研究が盛んに行われている。
オージェ電子分光,定査型トンネル
その進め方はヲまず表面科学の手法を駆使して
顕微鏡 (STM) など)で得られる情報を複合化
表面の構造ヲ状態を解明すること?次にこれらの
して正しい表面のイメージを摺むことが重要であ
結果に基づいて表面を原子オーダで制調すること 9
る。
*現所属:東京大学工学系研究科 亨 113 東京都文京区本郷 731
TEL:03-3812♂ 111 (内線 719 1) FAX:0
3
3
8
1
2
9
2
5
4
E-mail:[email protected]蛾tokyo.ac.jp
(18所属 :NTT 壌界領域研究所)
-41
(C) 1995 The Japanese Society for Synchrotron Radiation Research
4
9
4
放射光第 8 巻第 5 号
(19路年)
1983 年に高エネルギー物理学研究所放
NTT ビームライン
して以
3
.
1
碗麓 /Ga偽装閣の光電子分光,
波,
ってきた。ここでは
X 線定在
EXAFS による解析
そのー伊!としてヲ①不安定な GaAs 表面を硫黄処
超高速電子デバイスや光デバイスへの応用が期
っし官仕 IL しに克明対rv:ノ橋窓解析ヲ②セレン
待される GaAs 系化合物半導体は表面欠陥が生じ
によるドライ表面処理法ヲ③表面の特性を利用し
やすいという大きな問題があり,これを保護する
ノ結晶作製ヲおよび④Sb/GaAs 表面
良好な passivation 膜の開発が課題である。通常
のプロセスで GaAs 上に絶縁膜を堆積させると
の Realtime
GaAs 表面に欠陥 (antisite 欠陥など)が発生し,
界面準位が 10 11 cm- 2eV- 1 オーダーあるいはそれ以
実験は主に高エネルギー物理学研究所放射光実
下にならず,界面の伝導現象を利用した高速素子
験施設 BL-1A 2) で、行った。試料は任 GaAs(lll)A ,
が実現しなかった。しかし最近VI族元素,特に
B, (100) を用いた。硫黄処理は渦破化アンモニ
硫黄で表面麗を保護することによって,界面準位
ウム溶液で行い
が大きく低下し,
司高真空中で力螺l して原子層オー
HeteroB
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rTransistor の
ダの GaS 層を形成した。金属/半導体界面の状
電流利得が向上,半導体レーザの長寿命化,など
態 φ 構造を解明するために
Pd を蒸着しヲま
注目すべき成果が続々と発表されるようになって
た絶縁物/半導体界面の状態@構造を解明するた
きたが,何故効果があるのか,表面の構造,電子
め CaF 2層をエピ成長しヲその表面@界面からの
状態はどうなっているのかが不明で、あった。
ベクトノレを総定した。一方参セレン処理
まず\硫黄処理を行った GaAs ,
GaP , InP 基
については , MBE 装置内で GaAs 清浄表面にセ
板に各種電極金属を蒸着し,
レンビームを照射した後ヲ題高真空中加熱で原子
を測定した。その結果,図 1 に示すように,
Schottky 諦壁高さ
ーダの Ga-SeJ留を形成した。また InSb ナノ
Schottky 障壁高さは堆積金属の仕事関数に依存
結晶を育成するため,この表ffij に In droplet を形
し, unplnmng に近い表面状態が実現することを
成し, Sb ピーム照射を行った。これらの実験は
見い出した九そこで,この表面を放射光光電子
BL-1A に設置した複合表面分析装震で行った。
また歩表面 φ 界面の構造についてはヲタンヂムに
設置した超高真空 X 線定在波解析装援3) を用いて
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GaP
軟 X 線定在波測定および蛍光測定を行っ
た。半導体ナノ結晶の評価は AFM (原子間力顕
1
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0
(100)
日 J多目移日
微鏡) SEM および断面 TEM (溺陸型電子顕微鏡)
により行った。
0
.
6
Realtime 光龍子分光については, NTT 厚
木 SOR 施設(常伝導リング)に建設した
Realtime 光電子分光ピームラインので行った。
0
.
2
アンチモンを堆穣した GaAs 衰弱を in situ で加
熱しつつ放射光光電子分光スベクトルを測定し,
別途観察していた RHEED パターンの変化と対
応させて?表面構造と結合状態の相関を調べた。
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-42-
5
第8
放射光
4
9
5
(19路年〉
分光で解析したところ歩額 2 に示すように硫黄
ノレミネッセ
処理 GaAs 表面には主に As-S 結合が存在し,
陥
Ga-S 結合も存在するが,超高真空中加熱により,
を Real
GaS 結合のみになることが判った九
ヰに示すよう
また図 3 に示すようにラ硫黄処理表面を超高真
りヲ
ス
そこでこの様子
ところ,
スペクトノレの経時変
イヒ8) からヲ
0
空中加熱することにより約 500 C くらいでフォト
って行く禄子が
学的により
よく判る。
の表面
いるためラ
では GaAs
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4
9
6
第 8 議第 5 号
(19窃章容)
タ往置から GaAs のバンドベン
る相対的位置関係)を決定する
ドを見積もるとヲ処理後の 0.8eV ベンドから約
手法である。対象原子(この場合は硫黄)が網平
Ga3d や As3d
していると仮定するとヲ硫黄原子かち
O .4eV まで減少しヲ
放出される蛍光 X 線の強度分布は模式的に図の
察された。
この表面 Ga-S
光イオ
ン化断面讃?脱出深さから見積もると,
GaAs
(
1
1
1
) B 面で約1. 7 原子層となりヲ
(111)
(100) ヲ
ようになる。実際のプロファイルを図に示
いて解析することによって?硫黄原子に
るコヒーレント率(めとコヒーレント位置
A の 11慣に減少する九この厚さを, Abi
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(めが求まる o P が Q の時は純平面上に 9
で求めた硫黄原子と Ca との結合エネルギーゆと
む .5 の時は網平面の中間に存在することを示して
比較すると,
6.1eV と最も強い (111) B 面の場
いる。玄たヲ F が O の時は完全にランダム分布を
合に最も厚い Ga-S 層が形成され, 4.3eV と弱い
しており, 1 の時は完全に P の位置に硫黄原子が
していることを意味する。
結合を持つ (111) A では最も薄い Ga-S 膳が形
成される結果になりヲ定性的に現象がよく説明さ
また
約 3keV の軟 X 線を用いて (111) 面からの対
称反射条件と (11 拘 1) 面からの非対称反射条件で
れた。
次に,この表面の硫黄原子位置を X 線定在波
X 線定在波実験を行いヲ GaAs 表面の硫黄原子位
に決定した。図告に結果的を示す。
法によって決定した。 x 線定在波法とは国 5 に示
すように入射 X 線と回折 X 線の干渉によっ
両条件で、決めた P の交点から,硫黄は GaAs
晶表面領域に生じる定在波場を利用して原子の位
(111)B 留の As 原子位置と置換した位寵を占め
ていることが判る。またヲ
F が 0.81 と 1 に近い
ことから,かなりオーダーしている。同様の 3 次
XSW 解析を GaAs(100) 面に対して行ったと
ころタ硫黄原子はやはり As 原子と置換して G仕
S 結合を持っており,光電子分光の結果とよく一
致することが判った O すなわち, GaAs 表面は硫
黄原子で覆われており,第 2 麗 lこ Ga 原子が存在
して熱力学的に安定な Ga-S 結合が表面安定化に
3
1
123
〉、
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3
していることになる。この結果を擬ポテンシャ
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.
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ロ
ノレを用いた第一原理計算結果ω と比較すると,
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回以
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図
7 に示すように As-S 結合を持つ GaAs 表面では
A で示す反結合の表面準位がバンドギャップ内を
槙切る形で存在するのに対して,
Ga-S 結合を持
つ GaAs 表面には A 準位はなく, DL D2 の S 原
。
子_Sp3 軌道に起因する表面準位ノてンドも価電子帯
Angle
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近携に存在しており,エネルギー的に安定である
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板表面領域での格子緩和が起こることが知られて
いる O これを解明するには, X 線定在波で求めた
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第話
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放射光第 8 議第 5 号
と EXA
S-Ga 原子関距離(格子緩和なし
出による酸化反応によって Ga-S 結合が切断され,
の
FS で直譲求めた S-Ga 原子関距離
(1 鈎5年)
まず Ga 酸化物が形成される。これに伴い,
n型
表面領域の上方へのバンドペンディングが
有無によるない〉を比較すれば良い。
進行する。さらに酸化を進めると,枇素原子が酸
の K 吸収端の XAFS プロファイルを示す l九ま
抽出した X 分布ラフーリエ変換し
化され害大気中で 10 分間 uv 光照射を行うと半
を示す。この結果を解析して求め
分近くの硫黄原子が酸化される九
この一部酸化された S/GaAs 表面における表
距離を X 線定在波の結果,
の結果と比較した問。 EXAFS の鑑誌
しく関発した f化学状態識別表面構造
と
り, XSW の 2.30Â と極めて近いことから GaAs
解析法J によって決定した 14)。関 9 (a) にその試
(1 ∞〉面では表面層の格子緩和はほとんどないこ
料からの XANES (X 線吸収端近傍構造)を示す。
とを示している O ただし,理論計算結果 (2.27 チ)
約 2471eV の吸収端は Ga と結合した S 原子によ
とは少し異なるが,誤差範囲で 3 者は一致してい
るもので,約 2481eV のピーク A は続黄酸化物に
ると言ってよい。
よるものと同定される。 X 線定在波は,ある波長
の X 線を結晶に入射させ,
この硫黄安定化 GaAs 表面は GaAs
り酸化されにくい(安定である)が9
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,四h、
ブラッグ反射を起こ
す角度で生じるため 9 入射 X 線のエネ jレギーを
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-46-
放射光
5
第8
4
9
9
(19部年)
変化させてもそれに応じて入射角度を変えれば原
状態識別構造解析が可能になる O もう 1 つの伊j は
則的には全て定在波場が生じる O そこで,硫黄の
試料から放出される光電子を測定し,その化学状
吸収端から徐々にエネルギーを変えた X 線を入
態を chemical shift で分離し,おのおのの成分の
射してそれぞれの条件で X 線定在波解析を行っ
みで X 線定在波解析を行う手法である。図 10 に
た。その結果,
過硫化アンモニウム溶液処理を行っただけの
(b) に示すように Ga-S 結合の硫
黄のみを励起出来るエネルギーの X 線ではコヒー
GaAs 表面からの X 線定在波スペクトルを示す問。
レント率 F は 0.35 程度であるのに対して,硫黄
図 2 に示すように,アニール前では表面に Gaδ
酸化物を励起出来るエネルギ…の X 線で測定し
と As-S が混在するが,軟 X 線で励起された光電
たコヒーレント率は 0.1 以下になった。またそれ
子スペクトルのうち Ga-S 結合状態にある Sls ピー
ぞれのコヒーレント位置 P を (c) に示すが,
ほ
クのみの X 線定在波プロファイルを解析するこ
ピーク B も酸化
とによって化学状態を選別して原子位置とコヒー
ぼ 0.03 で一定であった。なお,
物に起因するもので,
このエネルギ…の X 線で
レント率が求まることになる O その結果, 図 10
も F は小さくなっていた。 この結果は, 一部酸
に示すように Ga-S 結合はかなりオーダリングし
化された S/GaAs 表面でも Ga と結合した硫黄は
ており,溶液反応の段階ですでに表面安定化が進
かなりオーダした位震に存在するのに対して,酸
j子していることが判った。
化された硫黄はほぼランダム分布をしていること
このように表面の構造をサイトや化学状態を識
を示唆する。このように,化学結合状態の違いは
別した形で解析する手法は最近になっていくつか
吸収端の違いに現れるため,
報告 16, 17) されつつあり,放射光解析の今後進むべ
これを上手く活用す
れば spectroscopy と diffraction を組み合わせた
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-47-
次に,硫黄処理 GaAs 表面に金属を堆積し,
れらの界面での反応 9
第8
民u
放射光
回一勺
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(19部年)
という反応で形成されているため,構造的安定性
也9・
L胡
に疑問が持たれた。そこで, X 線定在波法によっ
構造変化が電気特性
(Schottky ダイオード)とどのような桔関を持っ
て界面硫黄原子の位置を決定したところ,
かを調べた。 S/GaAs 表面に仕事関数の小さい金
に示すように, GaAs(lll 池田ではコヒ}レント
として Al を 1---2Á オーダで徐々に堆積させて
率 F がほぼ 1 と極めて良くオーダリングしてい
図 12
光電子分光測定を行ったところヲ表面の Ga-S 結
ることが判った 19)。しかし,
GaAs(lll)B 面では
合が切断されて,金属 Ga と A1-S 結合状態の Al
F は 0.16 と小さく,界面にランダムに近い状態
が検出された 1% この試料をオージぶ電子分光法
で存在している。 Al/GaAs の Schottky ダイオー
で深さ方向分析したところ,国 11 に示すように,
ドを作って障壁高さを測定した結果,界面が安定
Ga 原子が A1 薄膜表面に偏析し硫黄原子が Al
な (111 池田の方がより小さな障壁高さ,すなわ
/GaAs 界面に残っていることが判った。 この硫
ち
黄は A1 と強く結合しているが,
φbn (i deal)= 手 (A1)-Ea
Ga-S+A1
(
1
)
→ A1 同S 十 Ga
により近い値をもつことが判った。ここで,
争は
仕事関数, Ea は電子親和力である O
1れ 11Brills--­
一方, GaAs の MIS (金属/絶縁物/半導体)
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素子への応用をはかるため,硫黄安定化 GaAs 表
面に CaF2 層をエピ成長させた。 CaFz/ S/GaAs
(111)A , B 界面からの S2p 光電子ピーク形状お
よび強度を解析した結果,
GaAs(lll)A 面上に
CaF 2 を堆積させると約 30% の硫黄が CaF 2 表面
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P=0.915 土 0.032
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MIS 用には GaAs(111)B 詣
が望ましいことが判ったお)。これは,前述のよう
3lAνS/GaAs(lll)A
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(111)B 面では 5% 以下
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放射光第 8 巻第 5 号
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合しているのに対して ,
(111)A 面上の硫黄は 1
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つの Ga 原子の atop 位置に存在しており,結合
エネルギーが 4.3eV と小さく 10う堆積膜との反応、
で表面偏析しやすいためと思われる。
この研究の延長として,
CaF 2 膜を界面反応抑
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制層として用いた例についても触れておきたい。
GaAsSchottky 素子の関値 (V心ノてラツキの製
にも dipole がきちんと( ?)保存されており,
造マージンを向上させるためには,
水素処理で dipole が消滅することを示している的。
Schottky 障
壁高さ :φbn を大きくする必要があり,そのため
には式 (2) から判るように仕事関数の大きな金
3
.
2 セレン安定化 GaAs 表面
属 (Pt, Pd , Au など)を電極として用いればよ
V 族元素による表面安定化という観点では,硫
い。しかし,これらの金属は GaAs と極めて反応
黄に比べると As の原子半径により近いセレンの
しやすく, PdGa などの合金属の形成,遊離 As
方が表面層の歪みが小さい。また,
などの欠陥が生じるという問題があった 2% そこ
MBE 法で堆積出来るため,制御性という点では
で GaAs(111)B 表面を硫黄処理し,その上に 2
優れた表面処理法になりうる O
分子層の CaF 2 をエピ成長させたところ,図 13 の
そこでまず,
セレンは
MBE 内で清浄 GaAs(100) 表面
X 線定在波分布に示すように界面の硫黄は良くオー
にセレンビームを照射し,
ダリングしており,また 2 分子層の CaF 2 は Pd
分光によってセレン安定条件を調べた。 hν ココ 90
蒸着金属と GaAs の界面反応を抑制していること
eV で測定した As3d 光霞子スペクトルを図 15 に
が判ったへただし室温成長したアモルファス
示すお)。室温でセレンを堆積させた試料を 200 C
CaF 2 膜では S のオーダリングが良くない。この
で加熱すると As-Ga 成分の他に As-Se 成分も出
Schottky ダイオードの障壁高さは 0.8geV と高い
現する。熱処理時間を長くしまた温度を上げて
値を示し,また菌 14 に示すように良好な!顎方向
いくと As-Se 成分が徐々に減少し,
整流特性を示すことが判った。ここで,水素処理
くなくなる O 一方,温度上昇に伴って主ピークの
によって約 2 ケタも劣化する余地があるが,これ
As-Ga ピーク位置が高結合エネルギ…側にシフ
は良好なダイオ…ドと同様,本ダイオードの界面
トするが, Ga3d ピーク,儲電子帯最上端にも毘
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Se3d 光電子スペクトノレは臨時 (a) に示すよう
に 3 つの成分から成っているように見えるが,
ス
様のシフトが見られることからバンドベンドの緩
ピン軌道分裂を考慮したピーク分離を行うと,低
和現象であると結論される。つまり, GaAs 表面
結合エネルギー側のピーク 3 と高結合エネルギ…
の表面的状態や Asδe 結合状態の消失が表面準
側のピーク A の 2 成分が存在していることが判
位の低減と深く相関しており,
る。 Se3d,
それによってピニ
Ga3d ,
As3d 光電子強度,光イオン化
ングされていたフェルミレベルが解放されてフラッ
断面積,光電子脱出深さから計算した結果,約
トバンドの方向に動いたことを意味している O
2--3 原子層の Ga-Se 層が表面に存在することが
そこで表面に存在するおの結合状態を調べた。
半IJ っ fこお)。
50-
この 2 つのお3d 成分の起源を解明す
放射光第 8 巻第 5 号
503
(19弱年)
るため,角度分解光霞子光を行った。具体的には
いことが予想される。そこで,
光電子の取り出し角度をく 110> とく 1-10> 方向
枇索やアンチモンの分子線を照射し放射光光電
で徐々に変化させて光電子スペクトルを測定しヲ
子分光で調べたところヲ誌とん
モデルとの比較を行った。その結果,それ以前に
を見出した'l1) o Chikyow ら紛はお/ AIGaAs 表面
誌ピーク A が表面敏感な成分と思われていたが,
上への GaAs マイクロ結晶成長を実現しているが,
実はピークおが表面敏感な成分であり,
ピーク
さらに小さなナノ結晶を育成するためには,より
(b) のようにな
低温で良い結晶ができる材料を選択する必要があ
A と B の比をプロットすると,
Se/GaAs 表面に
しないこと
ることが判った。この傾向を説明するためには,
る。そこで我々は InAs と InSb に着目した o
単にピーク B を表面 Se 原子に asslgn するだけで
InAs はバンドギャップが 0.35eV と狭いが?数
は説明出来ず\図 17 に示すように第 2 層の Ga
10nm 以下の微結品では 0 次元量子閉じ込め効果
が 1/4 だけ抜けており,この Ga 空孔に接する Se
によって1. 3--- 1. 5μm 帯赤外光の半導体レーザ
原子をピーク B に asslgn することで初めて国 16
に応用出来ることが知られている。
(b) の結果が説明出来る。すなわち,
そこで, Se/GsAs 表面にまずインジウム drop­
Se/GaAs
表面は欠陥 Zincblende 型 Ga2Se3構造をしている
l
e
t (液滴)を形成しヲその上に枇紫やアンチそ
可能性が高いことが判ったお)。
ンの分子線を照射したところ, InAs や InSb の微
結品が形成されることを見出した。国 18 にその
3
.
3 安定化表面上へのナノ結晶の作製
概念図と光電子スペクトルを示す。セレンで終端
セレンで安定化した GaAs(100) 表面は dan­
化された GaAs 表面上にはナノ結晶が生成される
g
l
i
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gbond が無い(少ない? )ため,いろんな
ため,基板からの Ga3d ピーク強度は極めて大き
ガスの吸着に対して安定であり,化学吸着しにく
く, In4d 強度は小さい。一方 GaAs 表面上 InSb
薄膜からは Ga3d 強度はほとんど検出されず\
Side view
状に成長していることが判る。すなわちヲ関 17
く 110>
に示す Se-Ga 表面層は表面エネルギーが小さい
ため,いわゆる濡れ性が小さくヲナノ結晶を作る
のに適していることが判った。
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504
教射光第 8 巻第 5 号
(19弱年)
GaAs 基板上の歪みを持つ InAs 膜で 0.04eV と
われていた価電子帯不連続量よりかなり大きく,
ナノ結晶中に正孔を閉じ込める可能性があること
を示す貴重なデータである O
シリコン基板上にも化合物半導体のナノ
結晶が作成できる O シワコン基板をフッ酸で処理
して水素終端化し,その表面に約 6Â の GaSb を
MBE 成長させると 0.1μm 以下の微小結品がで
きる O しかし, Sb で覆われた表面では濡れ性が
いいために均一なナノ結品が出来なかったが,シ
リコン表面をセレンビームで終端化することによっ
て約 20nm の GaSb ナノ結晶(断面 TEM で無欠
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陥を確認)が出来ることを見出した 300
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アンチモン /GaAs 表面の Real
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状態@構造変化
さらに, (010J 方向に 1 度傾斜させて研磨した
表面(理論的には約 16nm 幅のテラス構造を持つ)
アンチモンは結晶成長モードを島状成長から層
を用いて InSb ナノ結品成長を試みたところ,あ
状成長に変える働きをする Surfactant 元素とし
る程度( 1
1
0J 軸方向に配列した結晶が得られた。
て知られている O また, GaSb 自体も超格子構造
図 19 に AFM (AtomicF
orceMicroscope) 像を
iこすることによって光通信用赤外検出器,半導体
示すお)。最小サイズは約 30nm であり 9 約 50nm
関踊で揃っている。これは, 16nm のステップが
3 重ヲ 4 重に step bunching を起こしたテラス構
れれ ealí れg
造を成していると考えれば説明がつく。また,
2X4
4400C
In4d 光電子スベクトノレのピーク位置(結合エネ
1X3
3600C
ルギー)が IsSb 結晶からの In4d ピーク位置と一
致しており, InSb ナノ結晶の成長が確認された O
ただし量子サイズ効果を実証するデータはまだ
1X4
得られていなし、。また,葉子効果デバイスへの応
2000C
用にはこのナノ結晶を制御した形で成長させるこ
とが必要である O
また,本手法を InAs ナノ結晶に応用し,同様
のサイズの結晶を作成した o UPS と放射光光電
2X4
As終端欝
子分光を組み合わせて価電子帯最上端および
In4d , Ga3d , As3d コアレベル位置を正確に決定
し, IsAs ナノ結晶と GaAs 基板の界面における
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価電子帯不連続最 (Valence BandD
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測定し,
vacuum畑annealed
0.18eV という値を得たお〉。これは,
52
放射光第 8 議第 5 号
5
0
5
(19弱年)
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レーザなどの光ヂパイスへの応用が期待される材
は単一の GかSb 結合と Ga-As 結合のみになり,
料である。そこで,
GaAs 表面での Sb 原子の挙
Well-ordered 構造になる。光電子強度から求め
動を調べるため,超高真空中での加熱中に放射光
た Sb の表面 coverage は 1 より小さいためヲこの
を照射し,表面状態の変化を Real time に観察す
表面構造はお安定化 GaAs(100) 構造と類似で,
ることを試みた到。
Sb-Sb ダイマーが 3/4 だけ形成されるものと考え
Sb/GaAs(100) 系は,超高真空加熱中にいろ
られるがヲ光篭子分光だけでは表面構造を決めら
S
b
/
G
a
A
s
(
1
0
0
)
んな表面構造を示すことをまず Real time の
れない。そこでヲこの 2X4
RHEED 観察(図 20) から見出した。最初は Sb
構造を X 線定在波で解析した。翻 22(a) に (111)
原子がランダムに存在するため,ハローパターン
反射とその 90 度回転である (1-11) 反射によっ
3
6
0
であるが, 200 C以上で 1X4 構造に変化し,
0
℃以上で 1
440 C で 2X4 に変わり,
0
て X 線定在波を測定した結果を示すへここでは
560 C 以
軟 X 線によって励起される光龍子スペクトルを
上では 4X2 o
r4X1 構造になる。これは Sb が表
測定しその額分強度をフ。ロットした。このプロ
面から脱離し, Ga 面が現れたためである O
ファイノレ壱解析し,
X3 ,
0
コヒーレント率から GaAs 上
この系を放射光光電子分光で11顕次観察したとこ
Sb 原子の位置を決定し,図 22( 討に示す表面構
ろ,国 21 に示すように,ハローパターンでは Sb­
造モデルを作った。この結果, Sb-Sb ダイマーの
Sb 結合とお側As 結合が見られ,非品質 Sb が表面
距離 (L品協)は 2.95λ となり,ダイマー化によっ
に存在することが判る。 1X4 構造では Sb4d に新
て約 lÂ距離が短くなって表面安定化しているこ
しいピークが出現するが,この起源は不明で、ある O
とが判った。また, DGかSb 距離は1.81Â と求まっ
さらに温度を上げて 2X4 構造が現れると,表面
fこ O
5
3
5
0
6
放射光
(19部生存)
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第 8 巻館 5 号
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以上述べたように,表面構造の変化は表面の化
ること,ならびに化学シフトの変化を 0.1 秒おき
学結合の変化と密接に棺関しているものであるた
に検出して表面反応過程が解析出来ることを示し
め,結品成長中の表面状態を調べるには,単に
た判。シリコン成長過程の光電子分光モニターに
RHEED によるモニターだけでなく,光電子スペ
ついては表面準位ピークを用いた興味ある報告が
クトノレを高速に測定して結合状態をもモニターす
なされておりおりまた有機金属気相成長過程の表
ることが必要になる。
面構造変化も斜入射 X 線回折でモニターされて
最近我々は,結品成長中の基板表面に放射光を
照射して交互供給 MBE 成長過程をコアレベソレ光
いるお)。今後この方面の研究が飛躍的に進展する
と思われる。
電子スペクトノレ強度の振動によってモニター出来
-54-
5
0
7
放射光第 g 議第 5 号〈時弱年)
(
と
関紙伊織鳥す.玄蹴. Oshi臨九設ev.
以上,主に GaAs を対象に 9 その大き
問問@館, 297長(
鱗お顕&給処夢二蹴
ある表面制御技術の開発に放射光利用解析が
S. 灘間ya醗a,
Watana恥
忽関締九関ucl.屈は口踏
ように有効で、あるかを示してきた。得ら
59長
(
をまとめると,以下のようになる。
(
1
) 硫黄安定化 GaAs 表面は G仕S
1---2 原子)欝存在し,表面欠陥生成を抑制してい
る。特に GaAs(111)B 面は最も浩二'がで.
CR ドヮエ
ピ成長後も界面を保護している。この表面を X
線定在波,
問.
XAFS で解析し 9 格子緩和に関す
良ev.
報を得た。
(
2
) セレン安定化 GaAs 表面は原子サイズが枇索
S. 闘aeya!服部ld
と近いためか,硫黄より安定な表面が実現出来る。
5
1
8(19ヲ3).
躍42, 1
1194
M. Oshi盟九
Phys.
PF シンポジウム,
この表面構造を欠陥 Ga2Se3 型と決定した。
and 蹴. Oshi臨議, J
.
Phenom.s
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.
and 関.nw.. 1!l1TI1Ii:i.. P
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s
.
関臨a
(
3
) この表面は枇素やアンチモン分子線に対して
5と Related
不活性であるため, In の droplet を用いたナノサ
イズ結晶成長が可能であることを実証しさる記
傾斜基板を使った配列制御成長法の見通し
(
4
) アンチモン /GaAs 表面の超高真空加熱中の
構造@状態変化を Real time に RHEED と
子分光で観察し表面構造と結合状態が密接に関
連していることを見出した。 またヲ
2
x4S
b
/
GaAs(100) 構造を X 線定在波で決定し
謝辞
本小文をまとめるに当たり 9 共同研究者であり
協力を頂いた筑波大南日藤夫教授ヲ大井川治宏助
手,東工大橋爪弘雄教授ラおよび NTT
研究所前山智主幹研究員,
村松康司主任研究員,前回文彦研究主任ヲ杉山宗
弘社員, LSI 研究所菅原裕彦主任研究員?
and
蹴.
元ポスドク Dr. TomScimeca'こ厚く感謝いたし
ます。また,他に協力頂いた方々にこの場を借り
てお礼申し上げます。
J
p
n
.J
.
文献
翠は.
1
) 罵嶋正治 自本物理学会誌、 49 (
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事\誠総尋
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報告〈信学技報)服部年 4 月
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Instru臨.sub酪itted.
and 主藍iyolまura多 J. E
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Phenom.submi託 ed.
3
2
)F
.Maeda, Y.Watana取組品闘. Oshl路a: Phvs. 主主.ev.
麟翠, 14733 倒的.
3
3
) M. Sugiy組九 F. 協同a. D. 地eva郡a
Oshlma, P長VS.
and 関.
Y.
(19路年)
3
5
) Y.Ta主総長uwa, Y
.Enta, T
.Ya臨時uchi, T
.fまorie, M.
誼. Sakamoto, T
.Nishimori,国.
震針。総品拭
App
.
1P
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.Lett. 長4. 2
0
1
3
(1 ヲヲ4).
3吾)習場
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G.B
.Stephenson, P. 国. Fuoss, F
.L
.
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. 1踊問ratoni , J
.C
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宣24, 1(19党).
設ev.
2 の擁念が Surfactant と呼ばれるもので,
X 鰻主主窓j度
Si や GaAs などの結晶性の良い単結晶に X 線をブッ
ラグ角近接の角度で入射すると,入射設と回折波の午
Si 表面を
As や Sb 原子麗で覆うことによって,そのよへの Ge
成長が議状成長から層状成長モードは変わる。つまり,
、渉によって結晶中に定寝技場が生むる。この定在波は,
ドを制御する方法である。…
反射器にま養護方向に反射商関擦と関ーの周期で変識し,
る修飾はその逆で,表酪エネルギ…
入射角を変化 2させることによってその位揺を変化さざせ
そのよの結晶成長を麓状から犠端な島状
ることが出来る。この窓窓波に励童草されたニ次放射隷
もので皐る。この抱に舎{3 x .f3趨構造
強度はその擦子設置における定在波強度に比拐j してい
が安定な表揺を形成することを利用してそのよにエピ
ことによる半導体中 sheet doping 技術,
ると考えちれるため,入射条件に対して二次放射線強
S
i
度フ。口ファイノレを測定することによっ
ーダで炭化させることによる選択エピ成
を決定できる。
どもこの範轄に入る。
は主に思表踏の
As ,
Ga などの
よび NiSia!Si(l11) の界面
どに利用されて
X 畿利用 XSW が
その 1 つが,
じ込め効果によ
blueshift で,パンド閣議移での発光に比べ十より様
波長の発光が得られる。 3 次元的に議子関じ込めが鎚
こる結晶を量子ドットと呼仏これに注入
顔。半導体表蕗には dangling bond ,
正孔をうまく閉じ込めて発議させた学導体レーザでは
μA の鰻挺しきい{農で,高利得,線憾の狭いシャー
antisite 欠絡 (AsG勾 GaA. など)に組閣する
位が生成され,これが露子ヂパイスの特性に大きな影
プなレーザ発援が可能になり,次世代光遇語、用の纏想
通常のヂパイスではこれを防止するため
的光灘として類持されている。作り方は主に結晶成長
に保護藤、 (passivaもion 藤)を堆議するが,さら
通報における自己組織化現象を利用しているため,ま
菌準位(界蕗準設)を低減するため,原子オーダで衰
だ制御性が劣っているが,ナノリソグラフィなど加工
れている。
弱構造を制御する投衡の開発が進められている o 本小
文で述べた GaAs 議題を碕驚原子鰭で絡端された系
ま九ガラス中に賂じ込められた CdSSe などの半
は,この自的で行っており i 原子オーダ制御表面の第
/結晶は非繰形光学現象を示す物繋として詮目
1 の概念に椋 5きする。 Si
されている。
政難終端表留などが安定な系として知られている。
-56-
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