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物質検索に役立つ CAS 番号 化学物質の安全性に関する情報を

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物質検索に役立つ CAS 番号 化学物質の安全性に関する情報を
第八章
1.
情報源へのアクセス
物質検索に役立つ CAS 番号
化学物質の安全性に関する情報を文献やインターネット上のデータベースなどから入手するに
は、検索キーが必要となる。しかしながら化学物質の名称は、例えばエチルアルコール、エタノ
ール、アルコールなど複数の名称を持っていたり、データベースが英語で書かれている場合もあ
り、データベースに記載されている名称と検索キーが一致しなければ、情報を引き出すことが困
難である。このような問題を解決する手法として CAS 番号がある。CAS とは Chemical Abstract
Service の略で、米国化学会(American Chemical Society)の中にある組織で、化学物質にユニー
ク(認識可能)な番号を付与するサービスを行なっている。新規化学物質の場合は、申請により番号
の入手が可能である。
この番号は 2~6 桁-2 桁-1 桁の形で成り立っている。例えばエチルアルコールは 64-17-5 の
番号が付与されている。この番号に該当する化学物質は、必ず該当する化学物質名称を有する。
しかし一つの化学物質に複数の CAS 番号があることは認識しておく必要がある。例えばキシレン
はベンゼン環の水素に二つのメチル基が置換されたものであるが、その位置によりオルト体
(95-47-6)、メタ体(108-38-3)、パラ体(106-42-3)の異性体が存在し、それぞれ CAS 番号を有して
いる。また混合物としても固有の CAS 番号(1330-20-7)がある。
しかし CAS 番号が分かれば、検索により物質の安全性に関する情報は、容易に入手できるよう
になる。CAS 番号はインターネットの Chemfinder (http://chemfinder.cambridgesoft.com)から
入手できる。また試薬メーカーが提供する試薬リストからも入手できる。
2.
MSDS の入手
化学物質を取扱う上での安全性に関するまとまった情報として、MSDS(化学物質等安全データ
シート)を入手することが便利である。化学物質排出把握管理促進法や労働安全衛生法などで
MSDS の提供を義務付けられた化学物質については、譲渡などの行為により MSDS を提供・入手
することになる。従って MSDS を読めば、その化学物質に関する安全性情報は入手できるが、
MSDS の作成者の能力に内容が依存してしまい、必ずしも充分な情報が記載されているとは限ら
ない。そのためその化学物質を取扱う者は、必ず自分で化学物質の安全性に関する情報をチェッ
クすることが必要である。
MSDS の様式は JIS Z 7250 で規定されており、以下の項目を記載することになっている。
1
製品及び会社情報
2
組成、成分情報
3
危険有害性の要約
4
応急措置
5
火災時の措置
6
漏出時の措置
7
取扱い及び保管上の注意
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8
暴露防止措置及び保護措置
9
物理的及び化学的性質
10
安定性及び反応性
11
有害性情報
12
環境影響情報
13
廃棄上の注意
14
輸送上の注意
15
適用法令
16
その他の情報
MSDS は、またインターネット上からも入手が可能である。以下のサイトが便利である。
日本化学工業協会 MSDS ライブラリー
http://www.jcia-net.or.jp
国立医薬品食品研究所(ICSC カード)
http://www.nihs.go.jp/ICSC
海外では
http://www.hazard.com
3.
有害性情報
有害性の情報を理解するには、かなり専門性が必要である。
化学物質排出把握管理促進法に規定する化学物質についての有害性情報は環境省の化学物質デ
ータベースに掲載されている。
http://www.env.go.jp/chemi/prtr/db/index.html
特に RTECS (Registry of Toxic Effects of Chemical Substances)のように世界中の文献をリストア
ップしている場合は、同じ急性毒性値が複数存在するため、どの値を採用すればよいか判断に苦
しむ場合があるので注意が必要である。できれば権威ある研究機関の文献や、判断した値を優先
して採用すべきである。
RTECS には、豊富な情報が掲載されている。
http://hazard.com/msds2/
米国立労働安全衛生研究所
http://www.cdc.gov/niosh/npg/npg.html
その他 CD-ROM で入手できる情報として、IUCLID がある。ここには世界的に取り組んでい
る高生産量化学物質安全点検のデータが収載されている。
4.関係法令・物性等
化学物質排出把握管理促進法に規定する化学物質について他の関係法令に掲載されているかど
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うかや、物性等については、環境省の化学物質データベースに掲載されている。同データベース
では有害性についても情報を掲載している。
http://www.env.go.jp/chemi/prtr/db/index.html
この他、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等環境関係の法令や、モニタリング結果等の汚染状
況については、環境省ホームページで関係法令やプレス発表資料(ほとんどのモニタリング結果
はプレス発表される)で確認できる。環境省ホームページ内で、キーワードをもとに検索を行う
ことも可能である。
その他、環境や化学物質に限らず広く法令全般については、総務省法令データ提供システムで
検索が可能である。
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi
5.
その他関連情報
PRTR 制度に関係した情報としては、下記のホームページに掲載されている。
環境省
http://www.env.go.jp/chemi/prtr/risk0.html
経済産業省
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/
(社)環境情報科学センター
http://www.ceis.or.jp
製品評価技術基盤機構
http://www.safe.nite.go.jp
NGO のサイト
エコケミストリー研究会
http://env.safetyeng.bsk.ynu.ac.jp/ecochemi
有害化学物質削減ネットワーク
http://www.toxwatch.net
化学物質アドバイザーなどのリスクコミュニケーション関連情報は、環境省のリスクコミュニ
ケーションホームページに掲載されている。
http://www.env.go.jp/chemi/communication/index.html
この他、調べたい内容に応じ、上記ホームページのリンク集から関係情報源を探したり、検索
エンジンを用いて検索を行うと良い。ただし、情報源の信頼性は十分に考慮すべきであり、中立
的な立場が求められる化学物質アドバイザーとしては、公的な機関や規模が大きな学会の情報等
の方を重視した方が適切である。
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