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25年 11月西脇だより

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25年 11月西脇だより
にしわき
平成25年度
11月号
神戸市立西脇小学校
学校だより
四分休符
校 長 高田 和周
貞観五年(863 年)創立と伝わる多聞六神社の例祭の、古式豊かな笛太鼓の音が多聞の里の
空高く響き渡り、秋の深まりを感じる頃となりました。また校庭の芝生は、冬芝の種が施設開
放の方によって蒔かれ、只今養生中で立ち入り禁止です。丹精込められた冬芝の生育が楽しみ
です。学校は、音楽会を目前に控え、子どもたちの歌声が演奏が、熱を帯びてまいりました。2
日の音楽会にお越しいただき、励ましの拍手をお願いしたいと存じます。
夏休みの音楽研修の折、講師の先生に、
「日本人は、特にベートーベンが好きなように思いま
すが。
」と、昼食中の雑談の中でお尋ねしました。先生は、しばらく考えられた後、「そう思い
ます。
」とおっしゃいました。小学校の音楽室に飾られていた写真の厳しい表情は、いかにも巨
匠というように感じておりました。また、お耳が不自由であったことを図書室の伝記を読んで、
子ども心に、すごい人だなと思っておりました。今年の音楽会で 6 年生が、ベートーベン作曲、
交響曲第 5 番「運命」を演奏いたします。楽譜を見せていただくと、なんと冒頭の四分休符で
始まります。世界的な名曲の出だしが、いきなり休符なのはなぜだろうと驚き、音楽の素養も
ないのに暫く自分なりに考えてみました。お耳が不自由なベートーベンさんは、きっと頭に心
に湧きあがってくる音を、目に見える楽譜に表現されたのだと考えました。音を見ているベー
トーベンさんの出だしの休符には、大きな意味があるのだと、自分なりに得心いたしました。
出だしに、音を出さない表現に込めた楽聖、渾身の思いは如何にと、そんなことも考えながら、
この名曲を鑑賞したいと思います。表現することの大切さを感じる芸術の秋は、同時に、言葉・
態度など、自分自身が日常的に表現していることを、見つめ振り返る、よい機会であると考え
ています。
廊下で偶然 1 年生に出会いました。楽譜を持って、口はしっかりと閉じていながら、皆ニコ
ニコと体育館に歩いて行きます。私は、楽しそうな雰囲気につられて体育館まで、その列につ
いて行きました。1 年生は、先生のお話を、しっかりと目でも聞いていました。歌声を聴くと、
さらに 1 年生の成長ぶりが感じられました。先生が、声が出やすいようにと楽譜を工夫されて
いることは承知しておりましたが、それでも驚きました。壇上に居並ぶ 1 年生には、学校の中
で迷子になっていた頃とちがい、逞しさも感じられるようになっていました。音楽会を楽しみ
にしている 1 年生は、初めての大舞台に、大いに張り切り、そして、大いに緊張すると思いま
す。うまくいっても、いかなくても、笑顔の視線でお励ましいただきたいと存じます。
校長室前の廊下に、国立国会図書館よりダウンロードした、
「東海道五拾三次」で有名な歌川
(安藤)広重の浮世絵を掲示しています。画題は『六十余州名所図会』
「播磨 舞子の濱」です。
江戸時代の日本の名所を描いています。播磨の国では、舞子の浜が選ばれました。舞子の浜は、
古来よりの名所であったことが、ここでも窺えます。ジャポニズムに傾倒し、浮世絵に敬意を
払っていた炎の画家ゴッホは、この「播磨 舞子の濱」に大きく影響された「オリーブ畑」と
いう作品を残しているそうです。2002 年に兵庫県立美術館で開催されたゴッホ展には、JR 灘
駅から美術館まで人が列をなしたと聞いています。今、西脇小学校では、日本人が大好きな巨
匠たちに出会うことができます。
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