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神戸市地球温暖化防止実行計画(2015年9月改定)(本編)(PDF形式

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神戸市地球温暖化防止実行計画(2015年9月改定)(本編)(PDF形式
神戸市地球温暖化防止実行計画
~スマートチャレンジ!みんなで創る低炭素都市“こうべ”~
平成 27 年 9 月改定
神戸市
・
~神戸市地球温暖化防止実行計画の改定にあたって~
「神戸市地球温暖化防止実行計画」は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき神戸市域全
体及び神戸市役所の事務事業における地球温暖化対策を推進するために、平成 23 年 2 月に策定した法
定計画ですが、この度、東日本大震災後のエネルギー環境の急変を踏まえ、下記の内容に重点を置いて
改定を行いました。
(1)将来的な削減目標を市民・事業者の実行性を担保する観点から「最終エネルギー消費量」に
①温暖化防止対策の目的
地球温暖化防止の取組みの目的は、地球レベルで温室効果ガス排出量を大幅削減することにより温暖
化による気候変動の影響を緩和させることであり、この目的のために、国際的にも国としても温室効果
ガス排出量を指標とした削減目標を掲げ、取組みを推進しています。本市においても、最終的には、温
室効果ガス排出量の削減を目指すべきと考えています。
②エネルギー環境の急変への対応が急務
しかし、東日本大震災以降、我が国の電源構成が急変したことにより、市民・事業者に節電等の努力
をお願いしているところですが、最終エネルギー消費量は減少したにもかかわらず、計画上の目標であ
る温室効果ガス排出量が増加するという、なかなか数値として節電状況が反映されない事象が発生して
います。これでは、市民・事業者の省エネ意識の高揚に支障をきたすのではないかと懸念しています。
また、我が国の温室効果ガス総排出量のうち、化石エネルギーの消費を起源とする排出量が約9割(神
戸市域では約 94%)を占めています。地域レベルで取組みを着実に推進するためには、この化石エネル
ギーの消費量削減のために、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの導入の2つが重要な対策とな
ります。このことから、市民・事業者の身近な取組みである省エネルギーの推進を適正に評価できる目
標と再生可能エネルギーの普及を評価できる目標の設定が必要となります。
③削減目標の設定と進行管理の徹底
このような状況の中、電源構成の将来予測が不確実なため、市民、事業者の省エネの取組み努力が適
切に評価・誘導できるという観点から、家庭や事務所、各施設や工場、自動車等で最終的に消費する電
気、ガス、石油などのエネルギーの総量(最終エネルギー消費量)の削減を目標とします。併せて、再
生可能エネルギーの導入目標(2020 年度に 10%以上)に基づき、着実な導入を目指します。
また、目標の進行管理においては、PDCAサイクルの仕組みに基づき、神戸市域における部門別の
最終エネルギー消費量の算定とともに、温室効果ガス排出量の算定を継続して行い、また、再生可能エ
ネルギーの導入状況も把握し、これらにより地球温暖化対策全体の推進状況の監視を行います。
さらに、温室効果ガスの削減に向けた廃棄物の減量化やリサイクルの推進などの対策や施策において
も、市民や事業者が取組み易いように、計画推進の「管理指標」を設けて、進捗状況の監視を行います。
(2)地球温暖化に対する「適応策」の位置付け
従来から実施している「緩和策」に加えて、今後は「適応策」をともに推進していきます。この適応
策とは、地球温暖化による気候変動の影響は避けられないとの前提に立ち、今後予想される熱中症・熱
帯感染症の増加、集中豪雨等による洪水・土砂災害、海水面上昇による高潮被害、生態系の変化や農水
産物の収穫減などの影響に対し、あらかじめ対応しようとするものです。
今回の計画改定では、最初の取組みのステップとして、既存の施策で適応策としても位置付けられる
ものを、分野横断的に環境側面で体系化を図り、推進体制の整備を図ります。今後の国等の動向を踏ま
え、追加的な適応策も検討していきます。
目
第1章
次
計画の骨子と主な改定内容 ········································································ 1
1.計画の位置づけ ································································································· 1
2.基本理念と4つの基本方針 ·················································································· 2
3.主な改定内容 ···································································································· 4
4.新しい目標等の概要 ··························································································· 8
第 2 章 計画策定の背景等······················································································ 9
1.地球温暖化問題の現状と国内外の動向 ··································································· 9
2.神戸市の地球温暖化対策の経緯 ·········································································· 14
第 3 章 これまでの推移と現況 ············································································· 19
1.市域における温室効果ガスの排出状況(現況) ····················································· 19
2.市の事務・事業における温室効果ガスの排出状況(現況)······································ 22
3.再生可能エネルギーの導入状況 ·········································································· 24
4.従前計画の目標達成状況 ··················································································· 26
5.市域における最終エネルギー消費量の状況 ··························································· 26
6.市の事務・事業における最終エネルギー消費量の推移············································ 27
第 4 章 将来推計 ································································································· 28
1.将来推計の考え方 ···························································································· 28
2.市域における温室効果ガス排出量・最終エネルギー消費量の将来予測 ······················ 31
第 5 章 目標 ········································································································ 33
1.目標の見直し方針 ···························································································· 33
2.計画期間、目標基準年度、目標年度 ···································································· 35
3.目標値の指標の変更(「温室効果ガス排出量」から「最終エネルギー消費量」へ) ···· 35
4.目標数値(目標強度)の見直し ·········································································· 38
5.見直し後の最終エネルギー消費量に係る削減目標 ·················································· 42
6.再生可能エネルギーの導入目標 ·········································································· 42
7.市の事務・事業における削減目標の変更について ·················································· 46
第 6 章 対策・施策 ······························································································ 48
1.市域全体における削減に向けた対策・施策 ··························································· 48
(1)市民の取組み ······························································································· 49
(2)事業者の取組み ···························································································· 60
(3)行政の取組み ······························································································· 68
2.市の事務・事業における削減に向けた取組み ························································ 92
第 7 章 地球温暖化への適応策の推進 ·································································112
1.「適応策」とは ······························································································ 112
2.日本や神戸における気候変動と予想される影響 ···················································· 114
3.本計画に盛り込む範囲 ····················································································· 118
4.適応策の推進計画 ··························································································· 118
第 8 章 計画の進行管理 ······················································································132
1.モニタリングの継続実施と結果の公表 ································································ 132
2.チェック体制・組織 ························································································ 135
3.進行管理の手法 ······························································································ 135
参考資料 ··············································································································136
第1章 計画の骨子と主な改定内容
----------------------------------------------------------------1.計画の位置づけ
(1)地球温暖化とは
地球温暖化とは、地球表面の大気や海洋の平均温度が長期的に上昇する現象であり、その主因は
人為的な温室効果ガスの排出量の増加であるとされています。地球温暖化は、地球全体の気候に大き
な変動をもたらすものであり、我が国においても平均気温の上昇、農作物や生態系への影響、暴風、
台風等による被害も観測されています。
世界の政策決定者に対し正確でバランスの取れた科学的知見を提供することを目的とする「気候変
動に関する政府間パネル(IPCC)
」は、平成 26 年 10 月に最新の知見をとりまとめた第 5 次評価報
告書の統合報告書を公表しました。この中で観測事実として、気候システムによる温暖化については
疑う余地がないこと、人間による影響が 20 世紀半ば以降に観測された地球温暖化の支配的な要因で
あった可能性が極めて高いことなどが示され、早い段階での温室効果ガスの大幅な排出削減などの緩
和策や気候変動影響のリスクを低減する適応策の必要性を訴えています。
(2)計画の位置付けと関連計画
「地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「温対法」という。
)」第 20 条第 2 項において、地方
公共団体は区域内における活動から排出される温室効果ガス抑制のための総合的かつ計画的な施策
の策定・実施に努めることとされています。
それを具体化するために、温対法第 20 条の3に基づいて策定されたものが、神戸市地球温暖化防
止実行計画(以下「実行計画」という。
)であり、神戸市域全体の地球温暖化対策 (区域施策編)の他
に、神戸市役所が実施する事務事業に係る地球温暖化対策 (事務事業編)を含んで構成しています。
なお、実行計画の区域施策編は都道府県、政令指定都市、中核市、特例市に策定義務があります。
(3)関連計画との連携
実行計画は神戸市のマスタープランである「神戸市基本計画」や神戸市の環境行政の大綱である「神
戸市環境基本計画」の下位計画に位置付けられています。計画の体系を下図に示します。
(第5次) 神戸市基本計画
(平成 23 年 2 月改定)
(第3次) 神戸市環境基本計画
(平成 23 年 2 月改定、平成 27 年度改定作業中)
神戸市都市計画
温対法第
神戸市地球温暖化防止実行計画
20 条の3
(平成 23 年 2 月策定、平成 27 年度改定予定)
マスタープラン
神戸市一般廃棄物処理基本計画
神戸市環境
モデル都市
(平成 23 年 2 月策定、平成 27 年度改定作業中)
神戸市緑の基本計画
生物多様性 神戸プラン 2020
(平成 23 年 2 月策定、平成 27 年度改定作業中)
その他関係計画
1
2.基本理念と4つの基本方針
地球温暖化防止は人類共通の喫緊の課題となっています。地球温暖化を防止するには、全世界での温
室効果ガス排出量を大幅に削減し、温室効果ガス濃度の上昇を抑制し、さらには低減することが必要で
す。しかし、世界の取組の現状は、アメリカを除く先進国については京都議定書に基づく国際的な枠組
みのもとで、第 1 約束期間である 2008 年(平成 20 年)から 2012 年(平成 24 年)の平均値として、
国と地域別に設定された目標の達成に向けて削減対策が進められていますが、その他の国々は対象とな
っておらず、中国を始めとする経済発展の著しい途上国においては温室効果ガスの排出量が急激に増加
している現状にあります。
一方、2010 年(平成 22 年)11~12 月に開催された気候変動枠組条約第 16 回締約国会議(COP16)
において、京都議定書後の枠組み構築に向け、先進国・途上国両方の削減目標や行動が同じ土俵に位置
付けられる「カンクン合意」が採択され、その後毎年開催されている気候変動枠組条約締約国会議
(COP17~COP20)においても、主に 2020 年(平成 32 年)以降の国際枠組み作りの議論が進展しつ
つあり、COP21 での合意を目指しています。
また、近年では、上記のような地球温暖化を防止するための方策、いわゆる地球温暖化の緩和策とと
もに、猛暑日やゲリラ豪雨、洪水被害の増加など、地球温暖化が影響していると考えられる気候の変動
に対して自然や社会のあり方を調整する方策、いわゆる地球温暖化への適応策を講じることの重要性が
注目されており、わが国においては、2015 年(平成 27 年)の夏頃を目途に「気候変動適応計画」が閣
議決定される予定です。
このような状況のもと、エネルギーや資源を多量に消費している大都市として、地球温暖化の防止や
適応を喫緊の課題としてとらえ、国際的合意を待つことなく、できるところから速やかに対策を実施し
ていくことが求められていることから、本計画を策定し、以下の基本理念及び基本方針に基づき、市域
における温室効果ガスの削減や地球温暖化への適応に取り組むこととします。
【基本理念】
本計画の上位計画である「環境基本計画」に掲げる望ましい環境像「自然と太陽のめぐみを未来につ
なぐまち・神戸」の実現に向け、『スマート(賢く、無駄なく)に、新たなライフスタイルや技術革新
にチャレンジ(挑戦)して、低炭素なまちを市民・事業者・市の“協働と参画”で創(つく)る』とい
う意味を込めて、計画の基本理念を『スマートチャレンジ!みんなで創る低炭素都市 “こうべ”』とし
ます。
【基本方針】
1 市民の健康で文化的な生活の維持・向上を目指します。
2 市域での対策を通じて世界の地球温暖化対策に貢献します。
3 市民・事業者・市の「協働と参画」により取組を推進します。
4 神戸の自然的・社会的条件を活かした施策を推進します。
2
基本方針1:市民の健康で文化的な生活の維持・向上を目指します。
地球温暖化対策では何よりもエネルギーや資源の使用抑制が求められます。しかし、この使用抑制が
単に市民に我慢を強いるものであっては、持続的で実効性のある対策とはなりません。一方、現在の私
たちの生活を振り返ると、多くのエネルギーや資源を無駄に消費していることに気づきます。そして、
このような無駄な消費は、決して健康で文化的な生活をもたらすものではないと考えます。また、地球
温暖化への適応策を講じることは、地球温暖化による災害や農作物被害、健康被害など様々な悪影響を
抑制することになり、健康で文化的な生活の維持・向上に直接つながる対策であると言えます。
本計画では、こういった無駄な消費をできるだけ抑制するとともに、限られたエネルギーや資源をよ
り効率的・効果的に活用することにより、市民のライフスタイルをより質の高いものに転換するととも
に、地球温暖化への適応策を進めることにより、健康で文化的な生活の維持・向上を目指します。
基本方針2:市域での対策を通じて世界の地球温暖化対策に貢献します。
地球温暖化対策は全世界で取り組むことが不可欠です。市域での温室効果ガスの排出削減は、全世界
での排出削減につながり、市域でのエネルギーや資源の使用抑制は、全世界でのエネルギーや資源の節
約につながるものでなければなりません。本計画ではいわゆるカーボンリーケージを生じない対策、施
策の推進を目指します。
基本方針3:市民・事業者・市の「協働と参画」により取組を推進します。
本市には、阪神・淡路大震災を乗り越えてきた「市民力の絆」という他の大都市にない強みがありま
す。また、世界のトップレベルの技術を有する地元企業も多数立地しています。このような強みを礎と
して、市民・事業者・市の「協働と参画」により、本計画に位置付けた各種施策を着実に推進していき
ます。
基本方針4:神戸の自然的・社会的条件を活かした施策を推進します。
神戸には海・山・緑・田園といった他の大都市に見られないすばらしい自然環境があります。
とりわけ神戸の貴重な財産である六甲山を新たな CO2 吸収源と位置付けて、適切な森林管理を推進す
るとともにバイオマスの活用を図ります。さらに、晴れの日が多い瀬戸内海性気候を活かして、太陽光
発電や太陽熱利用の普及による再生可能エネルギーの活用を積極的に推進します。
3
3.主な改定内容
(1)目標値の変更
目標値の指標を今までの「温室効果ガス排出量」から新たに「最終エネルギー消費量」に変更する
など、温暖化対策の取組み目標値を見直しました。
①指標変更の必要性 (発電に伴う二酸化炭素排出量の急増)
市内のエネルギー需要の約 3 割を占める電力に関しては、平成 23(2011)年 3 月の東日本大震災
以降、原子力発電量の減少に伴う火力発電量の急増を原因として、発電量あたりの二酸化炭素(温室
効果ガス)の排出量(電力の二酸化炭素排出係数)が急増しています。
この急増は、今までの温暖化防止計画では想定外のことで、「市民・事業者のエネルギー使用量が
減少しているにも関わらず、地域における二酸化炭素(温室効果ガス)の排出量が増加する」という事
例が発生しています。この状況下で、削減目標の指標に二酸化炭素(温室効果ガス)排出量を採用して
いる場合、節電などの削減努力が適切に反映できないことが顕著化しました。
このため、目標に係る指標を「二酸化炭素(温室効果ガス)排出量」から、電気・ガス・その他の燃
料の使用量をエネルギー量に換算して合算した「最終エネルギー消費量」に変更し、原子力発電や火
力発電などの電源構成比の変動に伴う二酸化炭素(温室効果ガス)排出量の増減に左右されることな
く、市民・事業者の節電などの削減努力が直接的に反映できる指標への変更が必要となりました。
神戸市域における『最終エネルギー消費量』及び『温室効果ガス(二酸化炭素)排出量』の推移
1990年度を100とした伸び率(%)
120
115
110
105
100
95
90
85
80
75
最終エネルギー消費量
温室効果ガス排出量
70
2010 年度から 2012 年度にかけて、最終エネルギー消費量が減少しているにもかかわらず、
温室効果ガス排出量が大幅に増加している。これは、原子力発電所の設備利用率の低下により、
電源構成比に占める火力発電の割合が増加(二酸化炭素排出係数が増加)したためである。
■図1-1
神戸市域における「最終エネルギー消費量」及び「温室効果ガス(CO2)排出量」の推移
4
②削減目標の指標を「最終エネルギー消費量」に変更
節電などの削減努力が直接的に反映できる削減目標になるように、今までの「二酸化炭素(温室効
果ガス)排出量」から「最終エネルギー消費量」に目標の指標を変更しました。また、併せて目標年
次、目標基準年などについても国の動向に合わせて変更し、目標値を見直しました。
なお、
「最終エネルギー消費量」とは、家庭や事業所などで使用する電気、ガス、その他の燃料を
すべて合算したエネルギー量です。これにより、電力の二酸化炭素排出係数の変動に左右されること
なく節電等の省エネの進捗状況を評価することができます。
今までの削減目標
新しい削減目標
神戸市域全体の
神戸市域全体の
「温室効果ガス排出量」を
「最終エネルギー消費量」を
(1990年度比で)
(2005年度比で)
2020年度までに
15%以上
2020年度までに
25%以上
(短期目標)
(温室効果ガス排出量換算では約20%)※
2030年度までに
25%以上
2030年度までに
30%以上
(中期目標)
(温室効果ガス排出量換算では約31%)※
2050年度までに
40%以上
2050年度までに
80%以上
(長期目標)
(温室効果ガス排出量換算では約80%)
今後も、市域全体の最終エネルギー消費量の
算定と併せ、温室効果ガス排出量も毎年度算
定し公表を継続します。
※今までの計画の目標設定と同じ条件(電力の二酸化炭素排出係数 0.28kg-CO2/kWh)を
用いて、新目標の最終エネルギー消費量の目標削減率を温室効果ガス排出量に換算。
「最終エネルギー消費量」とは、
「需要先で消費されるエネルギー量」と定義される。採取
されたままの状態の原油、石炭、天然ガスなどの「1次エネルギー」を転換または加工して、
電気、都市ガス、プロパンガス、灯油、ガソリン、軽油などの「2次エネルギー」が作られ
る。石炭など転換されずそのまま使用する「1次エネルギー」の一部と「2次エネルギー」
を含めて、最終的に需要先(家庭や工場・事業所)で使用されるエネルギーの総量を「最終エネ
ルギー消費量」という。その単位は、J(ジュール)又は原油換算で L(リットル)。
J(ジュール)=エネルギーの大きさを示す指標の一つで、
1MJ = 0.0258 × 10-3 原油換算 kl。
5
【削減目標の変更にあたって検討した事項】
温室効果ガス排出量の削減目標から最終エネルギー消費量の削減目標に変更するにあたっ
て、①温室効果ガス排出量、②最終エネルギー消費量、③電力係数を固定した温室効果ガス
排出量を指標として比較検討を行いました。
(第 5 章 3 節 P35~P36 参照)
その結果、電力の二酸化炭素排出係数に大きな変動があっても市民・事業者の節電の取り
組みを適切に評価できることが特に重要と考え、最終エネルギー消費量を指標に決めました。
なお、最終エネルギー消費量を指標とした場合に問題となる下記の事項を検討した上で、
目標、対策・施策、進行管理の内容を策定しました。
第1に、将来、国が示す電源構成に基づき、原発が再稼働し,加えて、再生可能エネルギ
ーの発電が増えることにより火力発電量が減れば、その分の二酸化炭素排出量が減るが,電
力消費量でみると変わりはないこと。
第2に、石炭、石油、天然ガスは、この順に、二酸化炭素排出量が多いので、それらのう
ちどれを使うかによって、エネルギー消費量が変わらなくても二酸化炭素排出量の増減が発
生すること。たとえば、石炭から天然ガスに燃料転換が起こった場合、二酸化炭素排出量は
減るが、エネルギー消費量は変わらない。もっとも、日本ではそのような燃料転換は起こり
そうにない。逆に、エネルギー消費量が変わらなくても、石炭消費が増えれば、二酸化炭素
排出量が増える。この変化は、実際のこの数年生じている。
第3に、再生可能エネルギーの利用は、二酸化炭素排出量の原因である化石燃料の消費は
減らすが、エネルギー消費の総量という点では変わりはないこと。そのため、別途、再生可
能エネルギーの導入目標が必要になること。
第4に、化石燃料の消費に関わらない温室効果ガスの排出や森林吸収などは、エネルギー
消費量では把握できないこと。
(2)地球温暖化への適応策の新規導入
①適応策とは
地球温暖化による気候変動への対応には、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑制する
「緩和策」と、既に起こりつつある、あるいは起こりうる地球温暖化(気候変動)の影響に対して、
自然や社会のあり方を調整する「適応策」があります。今までは、緩和策に重点を置いて対策を実施
してきました。
今後は、
「緩和策」を最大限に実施することに加え、気候変動の影響は避けられないとの前提に立
ち、自らを守るために気候変動の影響に対する社会経済の脆弱性の改善を図る「適応策」が必要とな
ってきます。
6
緩
和
策
適
応 策
地球温暖化の原因となる温室効果ガス
既に起こりつつある、あるいは起こりうる地
(二酸化炭素など)の排出を抑制
球温暖化(気候変動)の影響に対して、自然
・・・気候変動の人為的な要因の改善
や社会のあり方を調整・・・緩和策を実施し
たとしても回避できない影響に対する対策
(例示)
省エネルギー対策(化石燃料の使用削減)
再生可能エネルギーの普及対策
森林吸収源の増加対策
二酸化炭素の回収貯蔵技術の実用化対策
(例示)
治水対策・洪水対策
熱中症・感染症対策
農作物の病害虫・高温障害対策
生態系の保全対策
②日本や神戸における気候変動と予想される影響と対策
悪影響の例
身近な気候変動の例
健康
熱中症患者増加
感染症患者増加
① 猛暑日(日最高気温が 35℃以上)が増加。
② 熱帯夜の日数が増加。
③ 平均気温が上昇を続けている。
農業
農作物の減収
防災
河川洪水
土砂災害
④ 短時間豪雨(1時間降水量 50mm 以上)が増加。
沿岸域の高潮
⑤ 降水量は年ごとの変動が大きくなっている。
自然生態系の変化
対策例
★1 熱中症・暑熱ストレス対策
★2 動物由来感染症対策
★3 水・食物媒介性感染症
★4 衛生害虫等の分布拡大対策
★5 農・畜産・水産業対策
★6 河川洪水対策・都市の浸水対策の推進
★7 土砂災害対策
★8 高潮・沿岸部都市浸水対策の推進
★9 ヒートアイランド対策
(温暖化対策にも寄与する対策)
★10 生物多様性の保全 (自然生態系の保全)
③取組み方針
本計画における適応策への取り組みは、まず、気候変動・災害などに対し既に対策が講じられてい
るリスク管理対策、いわゆる「潜在的適応策」を地球温暖化の切り口から体系整理して総合的に継続
実施することから始めます。
そして、今後の国の適応計画の公表や国の自治体への技術的財政的支援などの状況を踏まえて、長
期的視点や総合的視点のもと、影響モニタリングや将来影響予測に基づく、さらなる適応策の導入に
ついて検討していきます。
7
4.新しい目標等の概要
(1)計画期間
2015(平成 27)年度~2030(平成 42)年度
(2)神戸市域全体の目標
①最終エネルギー消費量に関する目標
●基準年 2005 年度
●目標年 短期目標 2020 年度
中期目標 2030 年度
長期目標 2050 年度
●最終エネルギー消費量の削減目標 (2005 年度比)
短期目標 2020 年 15%以上 削減
中期目標 2030 年 25%以上 削減
長期目標 2050 年 40%以上 削減
②再生可能エネルギー等の導入に関する目標
●神戸市域におけるエネルギー消費量の10%以上の再生可能エネルギーを導入する
(目標年
次2020年度)
●神戸市域における電力消費の30%を地域の分散型エネルギーにする
(再エネ 15%+コジェネ等 15%)(目標年次2030年度)
(3)神戸市役所の事務事業に係る目標
①最終エネルギー消費量に関する目標
●基準年
2005 年度
●最終エネルギー消費量の削減目標(2005 年度比)
2015 年度 18%以上 削減
2020 年度 24%以上 削減
②再生可能エネルギー等の導入に関する目標
●エネルギー消費量の30%以上導入(売電・他者供給分を含む)(目標年次2020年度)
最終エネルギー消費量の削減量目標(エネルギー指標の J(ジュール)単位又は原油量換算)
目標年次
神戸市域全体
市の事務・事業
2015
18%以上(2005 年度比)
2020
15%以上(2005 年度比)
2030
25%以上(2005 年度比)
2050
40%以上(2005 年度比)
24%以上(2005 年度比)
再生可能エネルギー等の導入目標
目標年次
2020
2030
神戸市域全体
神戸市域におけるエネルギー消費
量の10%以上導入
電力消費の30%を地域の分散型
エネルギーにする
(再エネ 15%+コジェネ等 15%)
8
市の事務・事業
市の事務・事業におけるエネルギー消費量の
30%以上導入(売電・他者供給分を含む)
第2章 計画策定の背景等
----------------------------------------------------------------1. 地球温暖化問題の現状と国内外の動向
(1)地球温暖化問題の現状
20 世紀後半以降の大量生産・大量消費社会の出現と人口の爆発的増加は、石油等の化石エネ
ルギー消費の著しい増大や大規模な土地改変等をもたらし、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度
が急激に上昇しつつあります。
CO2 は温室効果ガスであるため、地球温暖化の可能性が指摘されるようになり、国連は 1988
年(昭和 63 年)、専門家で構成する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
」を設置し、こ
れまで 5 次にわたって評価報告書をとりまとめてきました。この報告書では、人為的起源の温
室効果ガスの増加が、温暖化の原因であった可能性が極めて高く、気候システムの変化が今後
さらに大きな影響を与える可能性が高いことを示唆しています。
「IPCC 第5次報告書(2014)」の概要
気候システムの温暖化は疑う余地がなく、
:各年の平均気温の基準値からの偏差
:
(折線)
:偏差の 5 年移動平均
:
(直線)
:長期的な変化傾向
基準値は 1981〜2010 年の 30 年平均値
このことに最大の影響を及ぼしているの
は、人間活動に起因する 1750 年以降の大
気中の二酸化炭素濃度の増加である。
温室効果ガスの継続的な排出は、更なる
温暖化や気候システムの変化をもたらし、
また、気候変動を抑制するためには、温室
効果ガス排出量の大幅かつ持続的な削減
が必要であると考えられる。
■図 2-1 世界の年平均気温偏差 (出典)気象庁資料
RCP8.5(高位参照シナリオ)
過去の期間の
モデル結果
RCP2.6(低位安定化シナリオ)
RCP2.6(低位安定化シナリオ)
将来の気温上昇を2℃以下に抑えるという目標のもとに開発された排出量の最も低いシナリオ
RCP8.5(高位参照シナリオ)
2100 年における温室効果ガス排出量の最大排出量に相当するシナリオ
■図 2-2 世界平均地上気温変化
(出典)気候変動 2013:「自然科学的根拠 気候変動に関する政府間パネル 第 5 次評価報告書
第 1 作業部会報告書 政策決定者向け要約」をもとに作成
9
<地球温暖化の影響>
○ 地球の自然環境は、今まさに温暖化の影響を受けており、今後、気温上昇が約2~3℃以上にな
った場合には、世界のすべての地域でマイナスの影響が生じる可能性大。
○ 淡水資源については地域により増減するが、多くの中緯度および乾燥熱帯地域において10~
30%減少。
○ 生態系については、今世紀中多くの生態系の復元力が、気候変化とそれに伴う撹乱等によって
追いつかなくなる可能性大。
○ 食物については、潜在的食料生産量が、地域の平均気温の1~3℃までの上昇幅では増加し、そ
れを超えて上昇すれば減少に転じる。
○
2080 年代までに、海面上昇により、毎年の洪水被害人口が追加的に数百万人増加。
<温室効果ガスの安定化と必要削減量>
○ 地球環境への深刻な影響を回避する水準に大気中の温室効果ガスを安定化させるためには、例
えば、2050 年(平成 62 年)に世界の温室効果ガスの排出量を 2000 年(平成 12 年)比で 50~
85%削減することで、気温上昇を 2.0~2.4℃に抑えることが可能。
【コラム 1】地球温暖化の仕組み
地球の気温は、太陽からの日射エネルギ
ーと地球から放射されるエネルギーとの
バランスによって保たれています。二酸化
炭素等の大気中の温室効果ガス(GHG)は、
地球から放射されるエネルギー(赤外線)
を一旦吸収し、その一部を下向きに再放出
して地球を暖める性質があります。
近年の人間活動の著しい増大は、大気中
の温室効果ガスの濃度を上昇させつつあ
り、温室効果ガスが吸収したエネルギーの
より多くが地表面へ再放出されるため、地
球の温暖化を進行させています。
(2)地球温暖化問題に係る国内外の動向
① 国際動向
1997 年(平成 9 年)12 月に京都市で開催された気候変動に関する国際連合枠組条約第 3 回
締約国会議 (COP3) における、
「京都議定書」の採択や、2010 年の COP16 における「カン
クン合意」の採択等により、先進国には温室効果ガスの削減目標が課され、各国において取
組が進んでいます。
現在、2015 年にフランスで開催予定の COP21 における、全ての国が参加する 2020 年以降
の温室効果ガス排出削減の新たな枠組みの採択に向けて国際交渉が進められており、2013 年
11 月の COP19 では、COP21 において、新枠組みの下での各国の削減目標を確定するための
準備として、全ての国が、2015 年の COP21 に十分に先立って自国の 2020 年以降の削減目標
案を示すこととされました。また、2014 年 9 月には、潘基文国連事務総長のイニシアチブに
より、国連気候サミットが開催され、2020 年目標の引き上げや 2020 年以降の削減目標につ
いて、各国の大胆な約束の表明が求められました。
10
■表 2-1 地球温暖化対策に係る国際的動向
項
目
概
要
気候変動枠組条約の採
択(1992 年 6 月)
○地球サミット(リオデジャネイロ)において、
「気候変動に関する国際
連合枠組条約」を採択。
「京都議定書」の採択
(1997 年 12 月)
(2005 年 2 月発効)
○京都市で開催された、気候変動に関する国際連合枠組条約第 3 回締約
国会議(COP3)において、
「京都議定書」が採択。
(55 カ国以上の締結、締約国の排出量が全体の 55%以上を占めたこ
とにより、2005 年(平成 17 年)2 月発効。)
【京都議定書の概要】
◆ 1990 年(平成 2 年)を基準年として第 1 約束期間(2008 年(平成
20 年)~2012 年(平成 24 年)年の 5 年間)における温室効果ガス
の削減目標を先進国に義務付け(日本は 6%削減)。
◆ 排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズムなどの京都メカ
ニズムを盛り込む。
「カンクン合意」の実
施
○ 2009 年(平成 21 年)7 月にイタリアのラクイラで開催された G8 サ
ミットにおいて、「2050 年(平成 62 年)までに先進国全体で温室効
果ガス排出量を 80%またはそれ以上削減する。
」という長期目標を支
持。
○ 2009 年(平成 21 年)12 月にデンマークのコペンハーゲンで開催され
た COP15 において、
「世界全体の気温上昇を 2℃以下に抑え、先進国
は中期目標を 2010 年(平成 22 年)1 月末までに登録する」などを規
定したコペンハーゲン合意に留意。
○2010 年(平成 22 年)12 月にメキシコのカンクンで開催された COP16
において、途上国にも削減目標を求めるほか、実際に削減できたかど
うかを検証する国際的な制度の導入や、途上国での排出削減を支援す
る「グリーン気候基金」などを規定したカンクン合意を採択。
○2011 年 11 月~12 月に南アフリカのダーバンで開催された COP17 に
おいて、2020 年以降の「全ての国に適用される将来の法的枠組み」
構築に向けた道筋に合意し、その構築までの間の取組の基礎となる
「カンクン合意」の実施のための仕組みの整備、京都議定書第 2 約束
期間の設定に向けた合意を示したダーバン決定を採択。
○2014 年 12 月にペルーのリマで開催された COP20 においては、2020
年以降の枠組みについて、2015 年の COP21 に十分先立って提出を招
請されている約束草案を提出する際に示す情報等を定める「気候行動
のためのリマ声明」が採択された。
■図 2-3 二酸化炭素排出量の各国構成比(2011 年)
■図 2-4 主要国の一人当たりの二酸化炭素排出量(2011 年)
(出典)環境省環境統計集「主要国及び各地域におけるエネルギー使
用による二酸化炭素排出量の推移(2011)」を基に作成
(出典)環境省環境統計集「主要国及び各地域におけるエネルギー使
用による二酸化炭素排出量の推移(2011)
」を基に作成
11
② 国の動向
ア.京都議定書採択後の動向
国は、京都議定書の採択を受け「地球温暖化対策の推進に関する法律」(以下、「温対法」とい
う。
)など、関連法を整備するほか、京都議定書目標達成計画などの所要の計画を策定し、地球温
暖化対策を進めています。これらの法、計画では、地方公共団体や事業者、市民の果たすべき責
務や役割などを定めています。
■表 2-2 地球温暖化対策に係る国の動向
項 目
「地球温暖化対策
推進大綱」
・1998 年 6 月策定
概
要
○京都議定書の採択を踏まえ、内閣に設置された地球温暖化対策推進本部に
より、緊急に推進すべき地球温暖化対策を定める。
○その後、京都議定書の批准に向け、所要の対策を盛り込み改定。
・2002 年 3 月改定
「温対法」
○地方公共団体、事業者及び国民の果たすべき責務を明確化するとともに、
・1998 年 10 月制定
国、地方公共団体に対し、温室効果ガスの排出抑制のための措置に関する
(最終改正;2013.3)
計画策定を義務化。
◆温室効果ガス排出抑制のための総合的・計画的施策の策定・実施
◆地方公共団体の事務・事業に関する実行計画の策定・実施
○その後、事業者による温室効果ガスの算定と報告の義務化、国による報告
データの公表などを規定する改正を実施。
○政令市等に対して実行計画及び地域推進計画を統合した「地方公共団体実
行計画」の策定を義務づけ。
〇京都議定書第一約束期間及び京都議定書目標達成計画に基づく取組が終
了することを受けて、国による「地球温暖化対策計画」の策定を規定する
改正を実施。
「京都議定書目標
○温対法に基づき、国、地方公共団体、事業者及び国民が講ずべき温室効果
達成計画」
ガス排出抑制措置等の基本的事項を定めるとともに、計画の目標を達成す
・2005 年 4 月策定
るために必要な国及び地方公共団体の施策等を定める。
・2008 年 3 月全部
【計画における地方公共団体の基本的役割】
改定
◇地域の特性に応じた対策の実施
◇率先した取組の実施
◇地域住民等への情報の提供と推進活動
〇2012 年度末をもって第一約束期間が終了。2012 年度の我が国の温室効果
ガス総排出量は 13 億 4,300 万トン(基準年比+6.5%)。これに森林等吸
収源及び京都メカニズムクレジットを加味すると、5 カ年平均で基準年比
-8.4%となり、京都議定書の目標(基準年比-6%)を達成。なお、日本
は第二約束期間には加わらないものの、国連気候変動枠組条約下のカンク
ン合意に基づき、引き続き地球温暖化対策に取り組むこととしている。
「エネルギーの使
用の合理化等に関
する法律」(省エネ
○石油危機を契機に 1979 年(昭和 54 年)に制定され、エネルギー使用の
合理化に関する措置等を規定。
○京都議定書の採択以降、数次の改正を行い対策を強化。
法)
・トップランナー方式の導入によるエネルギー消費効率の向上(1998.6)
・1979 年制定
・大規模オフィスビル等の業務部門における対策を強化(2002.6)
(最終改正;2014.6)
・運輸部門、住宅・建築物の省エネルギー対策の強化(2005.8)
・工場・事業場単位の規制から企業(事業者)単位の規制導入(2008.5)
12
イ.ポスト京都議定書に向けた国の動向
国は、国連に登録した90年比25%の温室効果ガス削減目標をゼロベースで見直すとともに、
技術で世界に貢献していく、攻めの地球温暖化外交戦略を組み立てるとの考えの基に、新たな
2020年度の温室効果ガス削減目標を2005年度比で3.8%減と決定し、COP19で表明するととも
に国連気候変動枠組条約事務局に登録しました。また、「美しい星」実現のため、東日本大震災
及び原発事故を乗り越えつつ技術革新及び普及の先頭に立ち、国際的なパートナーシップを強化し、
国際社会をリードすることを目的として、ACE:「Action for Cool Earth(美しい星への行動)」
を策定し、温室効果ガス「2050年世界半減、先進国80%削減」の目標実現に向け、その努力の先頭
に立つことを目指しています。
■表 2-3 ポスト京都議定書に向けた国の動向
項
目
概
要
「クールアース 50」を
○世界全体の温室効果ガスを 2050 年(平成 62 年)までに半減すること
発表(2007 年 5 月)
を提案。
(この長期目標は、2008 年(平成 20 年)7 月の G8 洞爺湖サミ
ットで合意。)
クールアース推進構想
の発表 (2008 年 1 月)
2020 年目標の提出
(2010 年 1 月)
○世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で福田総理大臣がクールア
ース推進構想を提案。
○国連気候変動枠組条約事務局に対して、公平かつ実効性のある国際的
な枠組み等を前提に、わが国の 2020 年(平成 32 年)の温室効果ガス
排出量を 1990 年(平成 2 年)比で 25%削減する目標を提出。
「基本法案」の閣議決
定(2010 年 3 月 12 日)
中長期ロードマップの
公表
○「基本法案」を閣議決定し、国会に上程(ただし、再上程するも衆議
院解散により 2012 年 11 月廃案となる)。
○基本法案に定める「中長期目標」を実現するための対策・施策の道筋
を提示するため、「中長期ロードマップ」を公表。
(2010 年 3 月 31 日)
○カンクン合意履行のため、また、COP19 までに 25%削減目標をゼロ
温室効果ガス削減目標
ベースで見直すとの総理指示を踏まえ、新たな 2020 年削減目標を、
(新目標)の決定
2005 年度比 3.8%減とする。
(2013 年 11 月 15 日)
◆新目標は、原子力発電の活用の在り方を含めたエネルギー政策及び
エネルギーミックスが検討中であることを踏まえ、原発による温室
効果ガスの削減効果を含めずに設定した決定時点での目標。
◆以後、エネルギー政策やエネルギーミックスの検討の進展を踏まえ
て見直し、確定的な目標を設定する。
【新目標の考え方】
新目標は、経済成長を遂げつつも、
・世界最高水準のエネルギー効率をさらに改善
・再生可能エネルギーの導入を含めた電力の排出原単位の改善
・改正フロン法に基づくフロン類対策の強化
・二国間クレジット制度の活用
・森林吸収源の活用
などを総合的に進めることにより、達成。
○新目標の決定を受けて、国連気候変動枠組条約事務局に、新目標を登
録(2013 年 11 月 29 日)
13
ウ.低炭素都市づくりに関する国の動向
国は、まちづくりの観点からも CO2 削減を推進するため、
「都市の低炭素化の促進に関する法
律」を公布・施行し、低炭素都市の実現を目指しています。
■表 2-4 低炭素都市づくりに関する国の動向
項
目
概
要
「低炭素都市づくりガ
○低炭素都市づくりに関する考え方と対策の効果分析方法を示してお
イドライン」を策定・
り、低炭素都市づくりを検討する自治体での活用を期待。
(2013 年 12
公表(2010 年 8 月)
月、低炭素まちづくり実践ハンドブックの策定により廃止)
「都市の低炭素化の促
○都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針の策定について定める
進に関する法律」
とともに、低炭素まちづくり計画の作成、これに基づく特別の措置並
(2012 年 9 月公布)
びに低炭素建築物の普及促進のための措置を講ずることにより、都市
(2012 年 12 月施行)
の低炭素化の促進を図る。
「低炭素まちづくり実
○「都市の低炭素化の促進に関する法律」施行にあわせた「都市の低炭素
践ハンドブック」の策
化の促進に関する基本的な方針」及び「低炭素まちづくり計画作成マ
定(2013 年 12 月)
ニュアル」の策定を受け、「低炭素都市づくりガイドライン」を「低炭素
まちづくり実践ハンドブック」として再構成。
③兵庫県の動向
兵庫県は、
「環境の保全と創造に関する条例」
(以下、
「兵庫県条例」という。
)に基づき、2000
年(平成 12 年)7 月に「兵庫県地球温暖化対策推進計画」を策定し、2014 年(平成 26 年)3 月
に改定された「第3次兵庫県地球温暖化防止推進計画」では、2020 年(平成 32 年)における温
室効果ガスの排出量を 2005 年(平成 17 年)比で 6%削減することを目標に対策を推進していま
す。
また、兵庫県条例では、燃料、熱及び電力の使用量が原油換算で 1500kl 以上の大規模事業所
を対象に、温室効果ガスの抑制計画の策定、措置結果の報告を義務付けているほか、一定規模以
上(原油換算で 1500kl 以上の燃料使用に相当)の運送事業者に対しても同様の義務付けを行っ
ています。その後、2014 年(平成 26 年)6 月には一部条例の改正があり、対象事業所の拡大や
事業者ごとの公表制度の確立が盛り込まれています。
このほか、温対法に基づき、兵庫県地球温暖化防止活動推進センターを設置し、地球温暖化に
ついて啓発・広報活動を行うとともに、活動団体等への支援を行うなど、県域における取組を推
進しています。
2. 神戸市の地球温暖化対策の経緯
(1)地球温暖化対策の施策体系
本市では、地球温暖化対策をめぐる国内外の情勢の変化に対応し、地球温暖化対策を市政の重
要施策と位置づけ、地方公共団体として取り得る足元からの取組を進めてきました。
本市の地球温暖化対策の施策体系は次図のとおりですが、東日本大震災以降の我が国の温暖化
対策やエネルギー政策の転換に加え、京都議定書第一約束期間の終了、京都議定書目標達成計画
に基づく取組の終了に伴う温対法の改正等により、国による地球温暖化対策計画の策定を規定す
る等の所要の措置を講じることが新たに定められたことを受けて、実行計画の改定を行う必要が
生じました。
14
国際連合
国
気候変動に関す
る国際連合枠組
条約
○1992.6、採択
○1994.3、発効
神戸市
環境基本法
○1993.11、制定
神戸市民の環境を
まもる条例
○1972.8、制定
○1994.3、全面改正
環境基本計画
○1994.12、閣議決
定
〇2000.12、改定
○1997.12、採択
2002.6、批准
○2005. 2、発効
神戸市環境保全基本計画
○1996.3、策定
新・神戸市環境基本計画
○2002.3、改定
地球温暖化対策推
進大綱
○1998.6、策定
○2002.3、改定
京都議定書
温対法
○1998.10、制定
○最終改正 2014.5
神戸市総合基
本計画
・基本構想
・基本計画
神戸市地域新エネ
ルギービジョン
○1998.3、策定
省エネ法等
の関連法の
改正
神戸 市地球温 暖化
防止地域推進計画
○2000.3、策定
京都議定書目標
達成計画
○2005.4、策定
神戸市役所 CO2
ダイエット作戦
○2001.3、策定
○2006.2、改定
温室効果ガス削減
目標達成のための
アクションプログラム
○2008.3、策定
目標年次
2010
年
統
合
神戸市環境基本計画
〇2011.2、改定
国連気候変動枠組条約事務局への
新目標の登録
○2013.11 登録
地球温暖化防止実行計画
(中長期目標設定)
〇2011.2、策定
〇2015 春 改定
低炭素都市づくりガイドライン
○2010.8 策定
都市の低炭素化の促進に関する法律
神戸スマート都市づくり計画
○2012.12 施行
○2012.7
神戸市環境モデル都市アクショ
「環境モデル都市」として選定
ンプラン
〇2013.3、選定
〇2014.3、策定
■図 2-5 神戸市における地球温暖化対策の施策体系
15
■表 2-5 (参考)市・県・国・世界の対応表
神戸市域
温
室
効
果
ガ
ス
排
出
量
・
二
酸
化
炭
素
排
出
量
兵庫県域
日本の 0.82%(2010 年)
(注)2020 年 BAU の排出係数は 0.299、2020 年目標値の排出係
数は 0.281
最
終
エ
ネ
ル
ギ
ー
消
費
量
・
一
次
エ
ネ
ル
ギ
ー
供
給
量
日本の 5.3%(2010 年)
(出典)兵庫県地球温暖化防止推進計画(2020 年の排出係数は
0.514)
(出典) 都道府県別エネルギー消費統計(資源エネルギー庁)
人
口
(出典) 兵庫県将来推計人口(平成 20 年 5 月)、神戸市統計書
16
(出典) 兵庫県将来推計人口(平成 20 年 5 月)、兵庫県統計書
日本国内
世界全体
(百万t-CO2)
温
室
効
果
ガ
ス
排
出
量
・
二
酸
化
炭
素
排
出
量
1,600
(百万t-CO2)
(Mt)
1,600
40,000
1,400
35,000
1,493
1,400
1,343
1,351
1,277
1,256
1,261
1,420
1,200
1,200
1,087
1,000
1,000
800
30,000
34,841 35,591
34,126
その他
中南米
29,097
アフリカ
25,000
中東
800
20,000
600
インド
20,366
600
中国
15,000
400
ロシア
400
10,000
200
OECD(日米除く)
200
日本
5,000
0
0
1990
2005
2010
2012
2020
(年)
2030
アメリカ
0
温室効果ガス排出量(技術固定ケース含む)
1990 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2050 (年)
温室効果ガス排出量(対策・施策中位ケース)
数値は、エネルギー起源二酸化炭素排出量
世界の 4.1%(2010 年)
(出典) 対策導入量等の根拠資料(2020 年以降は、「成長シナ
リオ」かつ「原発0ケース」で設定)
最
終
エ
ネ
ル
ギ
ー
消
費
量
・
一
次
エ
ネ
ル
ギ
ー
供
給
量
32,053
33,351
(百万kl)
(百万kl)
588
600
500
570
539
600
561
560
517
508
(出典) IEA World Energy Outlook2012
(Mtoe:石油換算トン)
18,000
16,726
15,977
16,000
14,531
500
473
13,623
14,000
400
400
300
300
10,000
8,000
200
200
100
100
0
12,376
12,000
9,828
8,597
2005
2010
2012
2020
2030
アフリカ
中東
インド
ロシア
4,000
OECD(日米除く)
2,000
日本
アメリカ
0
(年)
中南米
中国
6,000
0
1990
その他
1990 2000 2010 2015 2020 2030 2035 2050 (年)
一次エネルギー供給量(技術固定ケース含む)
数値は、一次エネルギー供給量
一次エネルギー供給量(対策・施策中位ケース)
(出典) 対策導入量等の根拠資料(2020 年以降は、「成長シナ
リオ」かつ「原発0ケース」で設定)
(出典) IEA World Energy Outlook2012
人
口
(出典) 日本の将来推計人口(国立社会保障・人口問題研)、
総務省統計
17
(出典) 世界の統計(2014)
■表 2-6 神戸市の地球温暖化対策の概要
法律、計画等
概
要
「神戸市環境基本計画」
・1996 年 3 月策定
・2002 年 3 月全面改定
・2011 年 2 月改定
○「神戸市民の環境をまもる条例」第 7 条に基づき策定(目標年次 2010
年(平成 22 年)
)。その後、環境をめぐる状況の変化等に対応するため
「新・環境基本計画」を策定。
〇さらに「神戸市環境基本計画」として改定。
【神戸市環境基本計画の概要】
・5つの基本方針に基づき取り組みを推進することにより、望ましい
環境像「自然と太陽のめぐみを未来につなぐまち・神戸」の実現を
目指す。
・市民・事業者・市の役割と行動を明確化
・基本方針の『「低炭素社会」の実現』の中に「地球温暖化防止」を位
置付け、具体的な数値で温室効果ガスの削減目標を掲げる。
「神戸市地球温暖化防止
実行計画」
・2011 年 2 月策定
〇「温対法」第 20 条の 3 に基づき、
「地域推進計画」
、「地方公共団体実
行計画」
、
「新エネルギービジョン」の現行 3 計画を統合し、かつ都市計
画との連携などの法定事項を記載した地方公共団体実行計画として策
定。
■表 2-7 アクションプログラムに基づき実施している主な温室効果ガス削減対策
部門
産業・業務
家庭
運輸
実施事業
・エネルギー使用量の削減、エネルギー効率の向上
・建築物の省エネ性能の向上、省エネ機器の普及促進
・エネルギー管理システムの導入促進
・環境に配慮したビジネスの推進
・環境産業の育成支援
・エネルギー使用量の削減、エネルギー利用効率の向上
・住宅の省エネ化、高効率機器の導入促進
・自動車対策
・環境に配慮した事業活動(ビジネススタイル)の促進
・総合対策
廃棄物
・分別ルールの徹底・資源集団回収活動の推進
・レジ袋削減の取組
・容器包装プラスチックの分別収集・分別ルールの徹底など
吸収源
・二酸化炭素の吸収源対策の推進
横断的対策
・都市構造の低炭素化の推進
・再生可能エネルギーの導入促進
・ヒートアイランド対策の推進
・環境教育・環境学習の推進と人材の育成
・国際環境協力の推進
18
第3章 これまでの推移と現況
----------------------------------------------------------------1. 市域における温室効果ガスの排出状況(現況)
(1)神戸市域の排出状況
①温室効果ガスの排出状況(全排出量の推移)
2012 年度(平成 24 年度)における神戸市域全体の温室効果ガス排出量は、CO2 に換算して
11,895 千トンであり、これは、前年度 2011 年度(平成 23 年度)と比べて 4.4%(506 千トン)
の増加で、基準年度(1990 年度(平成 2 年度))と比べると 7.5%の増加となっています。
2012 年度の市民 1 人あたり排出量は、7.7 トン/人であり、基準年度(7.5 トン/人)と比
較して 3%程度増加しています。一方で、国民 1 人あたりの排出量(全国平均値、10.5 トン/
人)と比較すると 27%程低くなっています。
■表3-1 温室効果ガス排出量(単位:千トン)
区 分
2011 年度
(基準年比%)
2012 年度
(基準年比%)
2000 年度
2005 年度
11,069
10,068
10,239
11,230
産業部門
5,038
4,009
4,054
4,600
4,685
4,804
4,992
業務部門
1,295
1,322
1,587
2,079
1,927
2,058
2,183
家庭部門
1,324
1,366
1,478
1,820
1,568
1,847
2,018
運輸部門
2,449
2,331
2,295
2,085
2,085
1,995
2,039
196
203
262
270
233
264
225
10,303
9,231
9,676
10,855
10,498
10,968
11,457
766
837
564
375
443
420
439
1,477,410
1,423,792
1,493,398
1,525,393
1,544,200
1,544,496
1,542,128
7.49
7.07
6.86
7.36
7.08
7.37
7.71
(-5.4)
(-1.5)
(+2.9)
1,261
1,340
1,344
1,355
1,258
1,308
1,343
123,611
125,570
126,926
127,768
128,057
127,799
127,515
10.2
10.7
10.6
10.6
9.8
10.2
10.5
排出量合計
CO2
廃棄物部門
CO2 計
その他ガス
神戸市人口(人)
市民一人あたり排出量
(トン/人)
排出量(百万トン)
国
2010 年度
(基準年比%)
1995 年度
温室効果ガス
全
基準年度
(1990 年度)
人口(千人)
国民一人あたり
排出量(トン/人)
10,941
(-1.2)
11,389
11,895
(+2.9)
(+7.5)
注)1.産業部門とは、製造業、建設業、農林水産業等に係る部門をいう(エネルギー転換部門、工業プロセスを含む。)。
2.業務部門とは、卸売・小売業、金融・保険業、サービス業など、産業部門、家庭部門、運輸部門及び廃棄物部門のいずれに
も属さない部門をいう。
3.家庭部門とは、一般家庭の居住に係る部門をいう。
4.運輸部門とは、自動車、船舶、鉄道、航空機等に係る部門をいう。
5.廃棄物部門とは、廃棄物の処理(焼却・埋立)に係る部門をいう。
6.数値を四捨五入しているため、比率の合計が100%とならない場合がある。
7. 部門別内訳については推計値であり、2011年度分より算定方法を一部変更している。
8.温対法施行令の改正(平成22年4月1日施行)に基づく算定方法の変更及び統計資料の見直しに対応して、これまでに公表
した値を修正している。
9.その他ガスとは、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン及び六ふっ化硫黄をいう。
19
(千トン)
+7.5%
12,000
11,895
11,069
11,230
11,389
10,359
10,000
8,000
1990 年度
基準年度
2005年度
2010年度
2011年度
2012年度
■図3-1 神戸市域の温室効果ガス排出量の推移(単位:千トン)
全国一人あたり排出量
(トン/人)
市民一人あたり排出量
12
11
10.2
10.6
9.8
10
10.2
10.5
9
8
7
7.49
7.37
7.36
7.71
6.71
6
5
1990
年度
基準年度
2005年度
2010年度
2011年度
■図 3-2 神戸市域における市民一人あたり排出量の推移
■ 門別排出量の 2010 年度目標との比較
20
2012年度
②温室効果ガスの排出状況(種類別排出量の内訳)
温室効果ガス排出量のうち二酸化炭素の排出量は 96.3%(エネルギー起源(化石燃料由来)
が 93.5%、非エネルギー起源が 2.8%)、フロン類が 2.4%、一酸化二窒素が 0.8%、メタンが
0.5%となっています。
■図 3-3-1 2012 年度の種類別温室効果ガス排出量の内訳
③二酸化炭素の排出状況(全排出量の推移、部門別排出量の推移・内訳)
温室効果ガス排出量の約 96%を占めている二酸化炭素の排出量は、2012 年度(平成 24 年度)
で 11,457 千トンであり、部門別の排出割合を見ると、産業部門が 43.6%、業務部門が 19.1%、
家庭部門が 17.6%、運輸部門が 17.8%、廃棄物部門が 2.0%であり、全国の排出割合とほぼ同
様となっています。
1990 年度(平成 2 年度)と比較すると、産業部門で 0.9%、運輸部門で 16.7%の減少となっ
ている一方、業務部門では 68.6%、家庭部門では 52.4%、廃棄物部門では 14.8%の増加とな
っています。
廃棄物部門,
225
運輸部門,
2,039
※各部門の主要業種等
産業部門
製造業、建設業、農林水産業など
業務部門
事務所、店舗、銀行、病院、ホテ
ルなど
家庭部門
家庭での電気・ガス・灯油の消費
運輸部門
自動車、船舶、鉄道、航空
廃棄物部門 一般廃棄物、産業廃棄物(プラス
チック類、廃油などの焼却)
産業部門,
4,992
業務部門,
2,183
家庭部門,
2,018
■図 3-3-2 2012 年度の部門別 CO2 排出量の内訳
21
2. 市の事務・事業における温室効果ガスの排出状況(現況)
(1)全排出量の推移
2013 年度(平成 25 年度)における市の事務・事業全体からの温室効果ガス排出量は、CO2
に換算して 514.5 千トンであり、2020 年度(平成 32 年度)の目標値(373.6 千トン)にはま
だ達していません。
温室効果ガス排出量(千トンーCO2)
600
534
500
514.5
445.7
457.1
373.6
400
300
200
100
0
1990
(基準年)
2011
(実績値)
2012
(実績値)
2013
(実績値)
2020(年度)
(目標値)
■図 3-4 市の事務・事業に伴う温室効果ガス排出量の推移
図 1-9 市の事務・事業に伴う温室効果ガス排出量の推移
■ 門別排出量の 2010 年度目標との比較
(2)事業別排出量
2013 年度(平成 25 年度)の温室効果ガスの排出量を事業別にみると、廃棄物事業からの
排出が 44.7%と半分近くを占め、次いで、下水道事業(12.1%)、地下鉄事業(7.1%)、教育事業
(6.0%)、水道事業(5.7%)の順となっています。
2004 年度
福祉事業
病院事業
2.4%
3.1%
教育事業
3.3%
2013 年度
福祉事業
4.6%
その他
13.7%
地下鉄
事業
5.8%
その他
11.8%
病院事業
3.7%
廃棄物事業
44.7%
教育事業
6.0%
廃棄物事業
50.9%
地下鉄事業
7.1%
バス事業
4.4%
バス事業
4.4%
水道事業
4.7%
水道事業
5.7%
下水道事業
11.5%
下水道事業
12.1%
■図 3-5 市の事務・事業に伴う温室効果ガス排出量の事業別排出割合
図 1-9 市の事務・事業に伴う温室効果ガス排出量の推移
※ 門別排出量の 2010 年度目標との比較
22
(3)活動区分別排出量
2013 年度(平成 25 年度)の温室効果ガスの排出量を活動区分別にみると、廃棄物焼却か
らの排出が 40.6%と最も多く、次いで電力、施設燃料の順となっており、エネルギー起源の占
める割合が大きくなっています。
下水処理
廃棄物埋立 4.8%
下水汚泥焼却 その他
2.0%
0.1%
1.7%
※「施設燃料」とは、
都市ガス、灯油、
LPG、A 重油等をい
う。
※「その他」には、
農業活動等が含ま
れる。
電力
37.0%
廃棄物焼却
40.6%
自動車等燃料
5.7%
非エネルギー起源
施設燃料
8.1%
エネルギー起源
■図 3-6 市の事務・事業に伴う温室効果ガスの活動区分別排出割合(2013 年度)
■ 門別排出量の 2010 年度目標との比較
(4)温室効果ガスの種類別排出量
温室効果ガスの種類別の排出割合は、非エネルギー起源二酸化炭素が 39.6%、エネルギー起
源二酸化炭素が 52.2%を占めています。
なお、市の事務・事業には、廃棄物処理事業や下水道事業に伴う非エネルギー起源二酸化炭素
が多いのが特徴です。
ハイドロフルオロ
カーボン, 0.0%
一酸化二窒素,
5.9%
メタン, 2.4%
エネルギー起源
二酸化炭素,
52.2%
非エネルギー起
源二酸化炭素,
39.6%
■図 3-7 市の事務・事業に伴う温室効果ガスの種類別排出量(2013 年度)
23
3. 再生可能エネルギーの導入状況
(1)再生可能エネルギーとは
「再生可能エネルギー」とは、自然界に存在し、地球上で絶えることのない再生可能なエネ
ルギーのことで、本計画では次のエネルギーを対象とします。
再生可能エネルギーは地球資源を枯渇させずに利用することが可能であり、地球温暖化の原
因となる CO2 を増やしません。
このため、石油、石炭、天然ガス等の化石燃料が持つ有限性への対策や地球温暖化の緩和策
として、導入が促進されています。
■表 3-2 本計画において対象とする再生可能エネルギーの種類
(発電分野)太陽光発電、風力発電、水力発電(大規模、中小規模)、
再生可能エネルギー
バイオマス発電、廃棄物発電(ごみ発電)、地熱発電
(熱利用分野)太陽熱利用、バイオマス熱利用、バイオマス燃料製造、
温度差熱利用、廃棄物熱利用、廃棄物燃料製造
※上記のほかに、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な
利用の促進に関する法律施行令」(以下「エネルギー供給構造高度化法施行令」という。)では、大気熱等が含ま
れます。
(2)再生可能エネルギーの導入概況
市域における再生可能エネルギーの導入状況については、詳細に把握することができてい
ませんが、その概況は次のとおりです。
■表 3-3 再生可能エネルギーの導入に係る目標の達成状況
項
目
目
標
目標年度
H25 実績
市域への再生可能エネル
ギーの導入割合
市域で使用するエネルギー消費量
の 10%以上
市の事務・事業への再生可
能エネルギー導入割合
公共施設等の再生可能エ
ネルギー発電量
(ごみ発電を除く)
住宅への太陽光発電の導
入件数(導入世帯数)
市の事務・事業で使用するエネル
ギー消費量の 30%以上
3.6%
2020 年度
(平成 32 年度) (H24 実績)
2020 年度
27.5%
(平成 32 年度)
2010 年度(平成 22 年度)の約 10
倍の発電量(19,800MWh)
2020 年度
(平成 32 年度)
4,700MWh
2010 年度(平成 22 年度)の約 14
倍の導入(82,000 件)
2020 年度
(平成 32 年度)
12,000 件
※1kW は、”0.28J(ジュール)/時”に相当します。
■表 3-4 再生可能エネルギーの導入概況(発電関係)
種
類
太陽光発電設備
風力発電設備
導入状況
10kW 未満
約 13,500 件、約 49,000kW(2014.3)
10kW 以上
約 600 件、約 37,000kW(2014.3)
ポーアイしおさい公園 20kW、
科学技術高等学校・神戸工科高等学校 2kW など
バイオマス発電設備
西水環境センター 1,010kW 相当(消化ガス利用ガスエンジン)
中小水力発電所
湊川ポンプ場 85 kW、
千苅浄水場 180 kW
ごみ発電
クリーンセンター(4 施設)
※1kW は、”0.28J(ジュール)/時”に相当します。
24
34,250kW
【コラム 2】再生可能エネルギー
再生可能エネルギーとは、自然界に存在し、地球上で絶えることのない再生可能なエネルギーのことで、
有限で枯渇の危険性を有する石油・石炭などの化石資源と対比して、
「自然環境の中で繰り返し起こる現象
から取り出すことができるエネルギー」と定義されています。単に RE と略される場合もあります。具体
的には、太陽光や太陽熱、風力や水力、バイオマス、地熱、波力、温度差などを利用した自然エネルギー
と、廃棄物の焼却熱利用・発電などのリサイクルエネルギーを指します。
太陽光発電:主にシリコン系の半導体を用いた
太陽電池を搭載するパネルを使用し、太陽光に
より半導体の電子にエネルギーが与えられ、発
電します。太陽光発電システムは、設置する場
所の広さに合わせて自由に規模を決めること
ができ、家庭用から大規模施設まで、施設にあ
ったシステムを設置することが可能です。
太陽熱利用:太陽の熱エネルギーを集熱器、貯
湯槽等により集熱し、水や空気を温めて給湯や
冷暖房に利用します。
風力発電:風車の羽根の回転による運動エネル
再生可能エネルギーと新エネルギー
ギーを発電機に伝えて電気エネルギーへ変換
<出典>経済産業省資源エネルギー庁「~新エネルギーの
導入拡大に向けて~」
(平成 16 年 5 月)
(平成 20 年 4
月に改正された「新エネルギー利用等の促進に関する特別
措置法施行令」により、クリーンエネルギー自動車・天然
ガスコジェネレーション・燃料電池を削除)
し、発電します。風況の良好な地点であれば設
備稼働率が高く、多くの発電を見込めます。
水力発電:ダムなどに貯水した水でタービン
を回し発電する大規模水力発電(貯水式水力、
ダム式水力)と川、上下水道、用水路など小規模な流水を利用し、発電する小規模水力発電(マイク
ロ水力発電)があります。
バイオマスエネルギー:バイオマス(化石資源を除いた再生可能な生物由来の有機性資源のこと)を燃料
にして得られるエネルギーのこと。燃料となる資源は、廃棄物系と植物(栽培作物)系に分類されます。
バイオマスを燃焼させることによって、電力や熱を生成したり、バイオマスを発酵、蒸留して燃料用
のアルコールを生成して利用します。
廃棄物エネルギー:廃棄物は、都市ごみ等の一般廃棄物と民間事業者から排出される産業廃棄物に二分
されます。これらの廃棄物焼却に伴い発生する高温燃焼ガスによりボイラで蒸気を作り、蒸気タービ
ンで発電機を回すことにより電力を生成します。また、焼却熱や発電後の廃熱を蒸気や温水として熱
利用するほか、燃えるごみやプラスチックなどを細かく砕き、加工して固形化燃料(RDF)を製造した
り、廃プラスチックを油化して利用します。
温度差熱利用:年間を通じて温度変動が小さく保たれている海や河川、下水処理水等の水温や工場や変
電所等の廃熱等と外気との温度差を利用し、熱交換器等を使って冷水や温水として熱利用します。
25
4. 従前計画の目標達成状況
2011 年(平成 23 年)に策定した従前の「神戸市地球温暖化防止実行計画」における、2020
年(平成 32 年)に向けた温室効果ガスの中期削減目標と、その達成状況は次のとおりです。
①神戸市域からの温室効果ガスの排出量
2020 年度に、1990 年度比で 25%以上削減(CO2 換算)
2012 年度における神戸市域からの温室効果ガスの排出量は 11,895,000 トンであり、
1990 年度比で 7.5%増加となっております。
②市の事務・事業からの温室効果ガスの排出量
2020 年度に、1990 年度比で 30%以上削減(CO2 換算)
2013 年度
(平成 25 年度)
における市の事務・事業からの温室効果ガスの排出量は 514,481
トンであり、1990 年度比で 3.7%削減となっています。
5. 市域における最終エネルギー消費量の状況
(1)電気の二酸化炭素排出係数の推移
温室効果ガスの排出量は、電気やガス等の各種エネルギー消費量にエネルギー種ごとの排出
係数を乗じて算出します。多くの場合、エネルギー種ごとの排出係数は大きな経年変化を見せ
ませんが、電気については、市域に電気を供給している一般電気事業者の電源構成の変化によ
り大きな変化が生じます。神戸市域に電気を供給している一般電気事業者についても、東日本
大震災の影響を受け原子力発電の稼働率が低下したことにより、電力の二酸化炭素排出係数が
大きく変動し、本実行計画の目標達成にも影響を及ぼすようになりました。
具体的には、2008 年度から 2012 年度の 5 年間平均で、電気の二酸化炭素排出係数を 1990
年度から 2 割削減するという目標(排出係数 0.282)を掲げていたのに対し、原子力発電所の
稼働率低下に伴い、2012 年度の一般電気事業者の二酸化炭素排出係数は 0.475kg-CO2/kWh
となり、2008 年度から 2012 年度の 5 ヵ年平均における一般電気事業者の二酸化炭素排出係数
は、0.347kg-CO2/kWh となりました。
■図 3-8 電力供給量と電気の CO2 排出係数の推移
26
CO2 排出係数:単位量あたりの燃料や電気の使用に伴い発生する CO2 量を係数化した数値です。
電気の場合、単位は kg- CO2/kWh で表されます。発電時に CO2 を排出しない原
子力や水力、太陽光のほか、CO2 を排出する石油・石炭・天然ガスなどの化石
燃料も使用されるため、後者の割合が多くなると係数は上昇します。
このように、電気の二酸化炭素排出係数が大きく変動する場合、域内の各主体による省エネ
取り組みが、域外の一般電気事業会社の電力構成の変化の影響で正しく評価されないことにな
るため、エネルギー消費量を主な評価指標として活用することとします。
(2)市域における最終エネルギー消費量の推移
神戸市域の 2012 年度の最終エネルギー消費量は 127,397TJ でした。1990 年度と比べると
2.7%の増加、前年度(2011 年度)と比べると 0.4%の減少となりました。部門別にみると、
業務部門、家庭部門ではエネルギー消費量が前年度と比べて減少しましたが、産業部門、運輸
部門、廃棄物部門で増加しました。
■表 3-5 市域における最終エネルギー消費量(単位:TJ)
■ 門別排出量の 2010 年度目標との比較
1990年度
2011年度
(1990年度比%)
2012年度
(1990年度比%)
2011年度からの
増減量(増減%)
合計
124,037
127,877
(+3.1%)
127,397
(+2.7%)
産業部門
54,264
53,918
54,061
業務部門
15,958
22,654
21,577
家庭部門
18,197
22,306
22,250
運輸部門
35,538
28,911
29,414
79
88
95
▲480
(▲0.4%)
+143
(+0.3%)
▲1,077
(▲4.8%)
▲56
(▲0.3%)
+503
(+1.7%)
+7
(+8.0%)
廃棄物部門
注) ・数値を四捨五入しているため、合計値があわない場合があります。
・エネルギー消費量の部門別内訳については推計値であり、2011年度分より算定方法を一部変更しています。
6.市の事務・事業における最終エネルギー消費量の推移
市の事務・事業における 2013 年度の最終エネルギー消費量は 2,304TJ で、年々減少傾向に
あります。
■表 3-6 市の事務・事業における最終エネルギー消費量(単位:TJ)
■ 門別排出量の 2010 年度目標との比較
合計
1990年度
2005年度
2009年度
2013年度
3,074
2,759
2,435
2,304
27
第4章 将来推計
----------------------------------------------------------------1.
将来推計の考え方
温室効果ガス排出量及び最終エネルギー消費量の動向を把握するため、基準年度を 2010 年度とし、
目標年度(2020 年度:平成 32 年度、2030 年度:平成 42 年度)まで基準年度レベルの削減対策で趨
勢した場合の温室効果ガス排出量(現状趨勢ケース、以下「BAU(=Business as usual)」と表記しま
す。
)を、以下の条件のもとに予測を行いました(表 4-1、表 4-2)
。
■表 4-1 2020 年度、2030 年度 BAU の予測条件
項目
人口
世帯数
実質市内総生産
(産業)
具体的な条件
条件
2010 年度
2020 年度
2030 年度
153.9 万人
150.2 万人
142.3 万人
68.3 万世帯
69.4 万世帯
69.2 万世帯
6 兆 2,484 億円
6 兆 4,517 億円
6 兆 5,696 億円
度)レベル(関西電力㈱
0.281
0.281
0.281
の 2010 年度調整後排
kg-CO2/kWh
kg-CO2/kWh
kg-CO2/kWh
暫く増加したあと減少に
転じる
同上
過去のトレンドに応じて
変化する
2010 年度(平成 22 年
電気の排出係数
出係数)とする
【出典】
・人口:「日本の市区町村別将来推計人口」
(2008 年 12 月 国立社会保障・人口問題研究所)
・世帯数:「兵庫県の世帯数の将来推計」
(2008 年 11 月 兵庫県)
・電気の排出係数:「平成 20 年度の電気事業者別実排出係数・調整後排出係数等の公表」
(2012 年 1 月 環境省)
■表 4-2 温室効果ガス別の排出量に関する将来予測の考え方
区分
エネルギー消費量予測の考え方
CO2
産業部門
・エネルギー産業は、過去のトレンドに基づき、基準年とほぼ同程度となると
予測。
・製造業は、詳細分類ごとに、それぞれ以下の参照指標の見通しとともに変動
する。
【製造業詳細分類ごとの参照指標】
詳細分類
参照指標
見通し
2020 年度
石油・石炭
プラスチック
窯業・土石
金属製品
実 質 市 内 総 生 過去のトレンドに準
産(石油・石炭 じて推移する。
製品)
実質市内総生
産(化学)
実質市内総生
産(窯業・土石)
実質市内総生
産(金属)
28
2030 年度
過去のトレンドに準
じて推移する。
食料品、
飲料・飼料
化学工業
非鉄金属
一般機械
電気機械
輸送用機
械
精密機械
その他
パルプ・紙
実質市内総生
産(食料品)
実質市内総生
産(化学)
製造品出荷額
(非鉄金属)
実質市内総生
産(一般機械)
実質市内総生
産(電気機械)
実質市内総生
産(輸送用機
械)
実質市内総生
産(精密機械)
実質市内総生
産(その他の製
造業)
実質市内総生
産(パルプ・紙)
中長期ロードマップで示
された「鉱工業生産
量」の基準年度比変
化率と同等の水準で
変化する
中長期ロードマップで示
された「紙・板紙生
産量」の基準年度比
変化率と同等の水準
で変化する
繊維工業、 実 質 市 内 総 生
衣類・その 産(繊維)
他
家具装備
品
出版・印刷
ゴム製品
なめし革
鉄鋼業
エネルギー使用量
(家具装備品)
エネルギー使用量
(出版・印刷)
エネルギー使用量
(ゴム製品)
エネルギー使用量
(なめし革)
粗鋼生産量
過去のトレンドに基
づき、基準年とほぼ
同程度となる
中長期ロードマップ
で想定された将来推
移に準じて推移する
中長期ロードマップで示
された基準年度比変
化率と同等の水準で
変化する
過去のトレンドに基
づき、基準年とほぼ
同程度となる
中長期ロードマップで示
された「粗鋼生産量」
の基準年度比変化率
と同等の水準で変化
する
・建設業は、2020 年度については、
「実質市内総生産(鉱業・建設業)
」の過
去のトレンドに準じて変動すると予測。2030 年度については、中長期ロー
ドマップで示された基準年度比変化率と同等の水準で変化すると予測。
・農林水産業は、
「農業粗生産額推計(市)の 2010 年レベル」とほぼ同程度と
なると予測。
業務部門
・業務部門は、「業務用建物の床面積」の過去のトレンドに準じて変動すると
予測。
家庭部門
・家庭部門は、兵庫県が試算する「世帯数(神戸市)」とともに変動すると予
測。
運輸部門
・自動車は、2020 年度については、
「普通乗用車、小型乗用車、軽乗用車、バ
29
ス、貨物車、軽貨物車」の各保有台数の過去のトレンドに準じて変動すると
予測。2030 年度については、中長期ロードマップで示された基準年度比変
化率と同等の水準で変化すると予測。
・船舶及び鉄道、航空は、それぞれ「実質市内総生産 (船舶)
、輸送人員数(神
戸市)
、神戸空港ジェット燃料供給量(空港管理状況調書)
」の過去のトレン
ドに準じて変動すると予測。
廃棄物部門
・助燃用燃料は、国立社会保障・人口問題研究所で将来推定している「神戸市
内の人口のトレンド」に準じて変動すると予測。
CH4
燃料焼却
・燃料起源 CO2 排出量(上記 CO2 区分に相当)の将来予測に併せて予測。
工業プロセス
・実質市内総生産(化学)とともに変動すると予測。
農業
・過去のトレンドに基づき、基準年とほぼ同程度となると予測。
廃棄物
・一般廃棄物焼却及び下水処理は、国立社会保障・人口問題研究所で将来推定
している「神戸市内の人口のトレンド」に準じて変動すると予測。
・産業廃棄物は、
「実質市内総生産(産業)」の過去のトレンドに準じて変動す
ると予測。
N2O
燃料焼却
・燃料起源 CO2 排出量(上記 CO2 区分に相当)の将来予測に併せて予測。
医療用ガス
・国立社会保障・人口問題研究所で将来推定している「神戸市内の人口のトレ
ンド」に準じて変動すると予測。
農業
・過去のトレンドに基づき、基準年とほぼ同程度となると予測。
廃棄物
・一般廃棄物焼却及び下水処理は、国立社会保障・人口問題研究所で将来推定
している「神戸市内の人口のトレンド」に準じて変動すると予測。
・産業廃棄物は、
「実質市内総生産(産業)」の過去のトレンドに準じて変動す
ると予測。
HFC
PFC
・経済産業省の「2020 年までの代替フロン等3ガスの排出見通し(自然体推
計(BAU)結果)
」に記載の用途別トレンドに準じて変動すると予測。
SF6
30
2. 市域における温室効果ガス排出量・最終エネルギー消費量の将来予測
(1)温室効果ガスの排出量の将来予測
市域からの温室効果ガス排出量は、実質市内総生産の伸びや世帯数増加等の影響を受け、2020 年度
(平成 32 年度)には 11,139 千トン、2030 年度(平成 42 年度)には 10,724 千トンになると見込まれ
ます。これは、1990 年度(平成 2 年度)より 2020 年度では、0.6%増加、2030 年度では、3.1%減少
し、現状(2010 年度(平成 22 年度)
)より 2020 年度では、7.5%増加、2030 年度では、3.5%増加す
ることになります(表 4-3)
。
これを部門別に見ると、
1990 年度と比較して、2020 年度は、
業務部門で 47.7%、廃棄物部門で 35.2%、
家庭部門で 20.2%と大きな増加が見込まれています。同様に 2030 年度には、業務部門で 44.4%、廃棄
物部門で 29.1%、家庭部門で 20.0%の増加が見込まれます。
■表 4-3 将来予測(2020 年度(平成 32 年度)BAU、2030 年度(平成 42 年度))の温室効果ガス排出量
(単
位:千トン)
排出量
区分
CO2
1990 年度
2005 年度
将来予測
2010 年度
2012 年度
2020 年度
BAU
2030 年度
BAU
産業部門
5,038
4,600
4,325
4,992
4,757
4,797
業務部門
1,295
2,079
1,804
2,183
1,913
1,870
家庭部門
1,324
1,820
1,569
2,018
1,592
1,589
運輸部門
2,449
2,085
1,980
2,039
1,963
1,807
196
270
269
225
265
253
766
375
413
439
649
408
11,069
11,230
10,359
11,895
11,139
10,724
廃棄物部門
その他ガス
合
計
(※括弧内の数値は算出に用いた電力に係る CO2 排出係数)
■図 4-1 温室効果ガス排出量の推移とBAU推計値(千 ton-CO2)
31
(2)最終エネルギー消費量の将来予測
市域の最終エネルギー消費量は、2020 年度(平成 32 年度)には 136,800TJ、2030 年度(平成 42
年度)には 134,173TJ になると見込まれます。これは、1990 年度(平成 2 年度)より 2020 年度では、
10.3%増加、2030 年度では、8.2%増加し、現状(2010 年度(平成 22 年度)
)より 2020 年度では、
5.8%増加、2030 年度では、3.8%増加することになります(表 4-4)
。
これを部門別に見ると、1990 年度と比較して、2020 年度は、業務部門で 69.8%、家庭部門で 33.1%、
廃棄物部門で 10.1%と大きな増加が見込まれています。同様に 2030 年度には、業務部門で 66.0%、家
庭部門で 32.9%、産業部門で 5.4%の増加が見込まれます。
■表 4-4 将来予測(2020 年度(平成 32 年度)BAU、2030 年度(平成 42 年度))の最終エネルギー消費
量
(単位:TJ)
排出量
区分
CO2
1990 年度
2005 年度
将来予測
2010 年度
2012 年度
2020 年度
BAU
2030 年度
BAU
産業部門
54,264
52,934
50,966
54,061
56,794
57,176
業務部門
15,958
25,446
25,546
21,577
27,093
26,494
家庭部門
18,197
24,157
23,874
22,250
24,217
24,175
運輸部門
35,538
30,364
28,774
29,414
28,609
26,245
79
87
89
95
87
82
124,037
132,449
129,250
127,397
136,800
134,173
廃棄物部門
合
計
■図 4-2 最終エネルギー消費量の推移とBAU推計値(TJ)
32
第5章 目標
----------------------------------------------------------------1.目標の見直し方針
この度の計画改定において、平成 23(2011)年2月に策定した従前の計画における取組み目標につ
いて、次の方針により一部見直しを行いました。
(目標の見直し方針)
1.目標指標の変更
電源構成の変動に左右されることなく、市民・事業者による省エネ等の削減努力が正し
く評価できるように、削減目標値の指標を「温室効果ガス排出量」から「最終エネルギー
消費量」に変更します。
2.基準年度・目標年度の変更
従前の計画では、京都議定書の基準年である平成 2(1990)年度を基準年としていま
したが、平成 25(2013)年 11 月に策定された国の新目標では基準年を平成 17(2005)年
度に変更していることから、これらの国内外の動向や国が作成した手引きを踏まえて目標
基準年を平成 17(2005)年度に変更します。
また、目標年度は、2020(平成 32)年度(短期目標)、2030(平成 42)年度(中期目
標)
、2050(平成 62)年度(長期目標)の 3 つとします。
3.市域における削減目標に係る目標数値(目標強度)の見直し
従前の計画における目標年次である 2020 年度(短期目標)及び 2050 年度(長期目標)
に、国が作成した手引きに基づいて新たに中期目標年次として 2030 年度を追加するに当
たり、実効性があり、かつバランスのとれた目標数値(目標強度)になるように目標を見
直します。
4.再生可能エネルギー等の導入に係る目標の据え置き
再生可能エネルギー等の導入に係る目標は、従前の計画において定めた目標を継承しま
す。
5.神戸市役所の事務・事業に係る目標の取り扱い
上述の市域全体における目標の見直し方針に準じますが、
率先目標として既に市域全体
の目標より高い目標強度が設定されていることから、目標の強度については従前の計画か
ら変更しないこととします。また、目標年次については、中期目標及び長期目標は設定せ
ず、短期目標(2020 年度)のみを設定することとします。
上記方針に基づき、見直した目標を比較できるように一覧にした「目標見直しの全体像」を
次ページに掲載します。また、次項以降で、具体的な見直しの考え方や方法について説明します。
33
目標見直しの全体像
従前の計画における目標(平成 23 年 2 月策定)
(※環境モデル都市選定時(平成 25 年 3 月)の設定目標を含む)
温室効果ガスの削減量目標(二酸化炭素(CO2)換算)
目標年度
神戸市域全体
市の事務・事業
2015
10%以上(1990 年度比)
25%以上(1990 年度比)
2020
25%以上(1990 年度比)
30%以上(1990 年度比)
2030
30%以上(1990 年度比)※
2050
80%以上(1990 年度比)
再生可能エネルギー等の導入目標
目標年度
神戸市域全体
市の事務・事業
2020
神戸市域におけるエネルギー消費量の
10%以上の再生可能エネルギーを導入
市の事務・事業におけるエネルギー消費
量の30%以上の再生可能エネルギーを
導入(売電・他者供給分を含む)
2030
電力消費の30%を地域分散型エネルギ
ーにする(再エネ 15%+コジェネ等 15%)
見直し
(削減目標の基準年、目標年次、評価指標、数値)を変更
改定計画の新目標(平成 27 年 3 月改定)
最終エネルギー消費量の削減目標(エネルギー指標の J(ジュール)単位又は原油量換算)
目標年度
神戸市域全体
市の事務・事業
2015
18%以上(2005 年度比)
2020
15%以上(2005 年度比)
2030
25%以上(2005 年度比)
2050
40%以上(2005 年度比)
24%以上(2005 年度比)
再生可能エネルギー等の導入目標
目標年次
神戸市域全体
市の事務・事業
2020
神戸市域におけるエネルギー消費量の
10%以上の再生可能エネルギーを導入
市の事務・事業におけるエネルギー消費
量の30%以上の再生可能エネルギーを
導入(売電・他者供給分を含む)
2030
電力消費の30%を地域分散型エネルギ
ーにする(再エネ 15%+コジェネ等 15%)
(参考)温室効果ガス(二酸化炭素換算)での上記削減目標の試算
(※電力の二酸化炭素排出係数は、従前の計画と同じく 0.28 kg-CO2/kWh を用いて試算)
目標年次
神戸市域全体
2015
市の事務・事業
約26%(1990 年度比)
2020
約19%(1990 年度比) 約 20%(2005 年度比)
2030
約30%(1990 年度比) 約 31%(2005 年度比)
約30%(1990 年度比)
注)最終エネルギー消費量を温室効果ガス(CO2)排出量に換算して比較する場合、電力の二酸化
炭素排出係数により削減量が左右されるため、比較する双方の排出係数を統一するとともに、基準
年についても統一する必要がある。
34
2.計画期間、目標基準年度、目標年度
2015(平成 27)年度~2030(平成 42)年度
●計画期間
ただし、環境の状況や社会情勢の変化、国の動向等に柔軟かつ適切に対応するため、
計画期間中であっても必要な場合には、計画内容を見直すこととします。なお、今後、
エネルギーミックスが決まり、国の目標が見直された場合でも、本市は最終エネルギー
消費量を目標に変更していることから、直ちに目標値を見直す必要性は低いと考えられ
ます。なお、対策・施策については、今後国が策定する地球温暖化対策計画の内容を踏
まえ、必要な見直しを行います。
●基準年度
2005 年度
●目標年度
短期目標
2020 年度
中期目標 2030 年度
長期目標 2050 年度
3.目標値の指標の変更(「温室効果ガス排出量」から「最終エネルギー消費量」へ)
(1)目標値の指標の検討
目標の変更にあたっては、①温室効果ガス排出量、②最終エネルギー消費量、③電力係数を固
定した温室効果ガス排出量を指標として比較検討を行いました(表 5-1 参照)。
その結果、電力の二酸化炭素排出係数に大きな変動があっても、市民・事業者の省エネ等の削
減努力が正しく評価できるように、削減目標値の指標を従前の「温室効果ガス排出量」から電気、
ガス、その他の燃料の使用量を熱量(仕事量)に換算して合算した「最終エネルギー消費量」に
変更することが適切であると判断しました。
なお、少量(温室効果ガス総排出量の約 4%)ですが、最終エネルギー量に置き換えられない
内容(メタンガスやフロンガスなど)が存在しており、廃棄物処理や下水処理に伴い発生する非エ
ネルギー起源の温室効果ガスについては、従前どおり温室効果ガス排出量を指標とした目標値を
用います。
(P47 参照)
35
■表 5-1 温暖化防止のための削減目標の指標の比較
①
②
③
温室効果ガス
(GHG)排出量
最終エネルギー
消費量
単位
二酸化炭素換算
の重量
〔g-CO2〕
エネルギー・熱量単
位のジュール(又
は、原油換算して容
積単位のリットル)
電力係数を固定した
温室効果ガス
(GHG)排出量
二酸化炭素換算の重
量
〔g-CO2〕
電力の二酸化炭素排出係数の大
×
◎
できる
◎
できる
×
できない
△
一部できない
指標の種類
比較項目
できない
幅な変動があった場合、節電の
取組み評価が適切にできるか。
燃料転換(熱量当たりの二酸化炭
○ できる
(転換後が電気の場合)
素排出量が少ない燃料に変更す
ること)の評価ができるか。
進行管理は、該当年ごとの電力
○ はい
×
いいえ
×
いいえ
〇
はい
〇
はい
×
いいえ
×
できない
○ できる
○ できる
「算定年度ごとの
電力排出係数を用
いて算定した温室
効果ガス排出量」を
「最終エネルギー
消費量」と併せて算
定しこれを評価の
参考にする。
「算定年度ごとの電
力排出係数を用いて
算定した温室効果ガ
ス排出量」を「固定
の電力排出係数用い
て算定した温室効果
ガス排出量」と併せ
て算定しこれを評価
の参考にする。
の二酸化炭素排出係数により算
定された温室効果ガス排出量を
指標としているか。
毎年度算定する排出量又は消費
量は、毎年度の換算係数により
算出された値を示しているか。
目標達成年の電源構成が不明な
場合、進行管理に適する目標値
設定ができるか。
欠点を補完する方法
「最終エネルギ
ー消費量」を「算
定年度ごとの電
力排出係数を用
いて算定した温
室効果ガス排出
量」と併せて算定
し、これを評価の
参考にする。
①温室効果ガス(GHG)排出量
化石燃料の使用(エネルギー起源)に伴う二酸化炭素の排出量の他、非エネルギー起源の二酸化炭
素や他の温室効果ガス(一酸化二窒素、メタン、代替フロン類など)をすべて二酸化炭素に換算した、
温室効果ガス総排出量を削減目標の指標にしたもの。
②最終エネルギー消費量
家庭、事務所・施設、工場、自動車等で最終的に消費する電気、ガス、石油などのエネルギー
の総量を削減目標の指標としたもの。(電力・熱については、再生可能エネルギーを起源としたエ
ネルギーの消費量を含むが、自家消費のための再生可能エネルギーは消費量に含めない。)
③電力排出係数を固定した温室効果ガス(GHG)排出量
電力の二酸化炭素(CO2)排出係数をすべて固定値にし、目標値設定及び目標達成評価を行うこ
とにより、①の欠点を補完しようとするもので他の事項は、①と同じ。
36
(2)最終エネルギー消費量について
本計画においては、最終エネルギー消費量を「様々なエネルギーを最終的に消費する場合にお
いて、需要者がエネルギー供給事業者(電力会社、ガス会社、石油燃料販売者等)から購入し、
それを需要者自らが消費したエネルギーの量」と定義します。
上記定義に基づけば、需要者自らが生産し、自らが消費する再生可能エネルギー量(以下、
「自
家消費分」という。
)は、エネルギー供給事業者から購入するエネルギー(電気、都市ガス、その
他燃料)量の削減という形で反映されることから、最終エネルギー消費量の削減分として扱われ
ます。
一方、再生可能エネルギーを生産しても、自ら消費することなくエネルギー供給事業者に販売
する場合には、最終エネルギー消費量の削減には相当しません。この場合、生産された再生可能
エネルギーは、温室効果ガス(二酸化炭素など)の排出削減に寄与することになり、電力の場合、
二酸化炭素排出係数の低減という形で反映されますが、削減目標には反映されません。そのため、
再生可能エネルギーについては、第 6 節(P42)で、別途、目標を設けています。
上記を整理すると表 5-2 のとおりとなります。
■表 5-2
部門
家庭
産業
業務
その他
再生可能エネルギーの生産・利用と最終エネルギー消費量及び CO2 削減の関係
二酸化炭素の
試算上の
利用形態
最終エネルギー消費量の削減
削減
取り扱い
自家消費
○含む
○含む
他者供給
(発電なら
売電)
×含まない
(電力の場合、二酸化炭素排出
係数の低減に寄与する)
○含む
自家消費
○含む
○含む
他者供給
(発電なら
売電)
×含まない
(電力の場合、二酸化炭素排出
係数の低減に寄与する)
○含む
削減目標の算定
においては、家庭
での発電分はす
べて自家消費分
として計算
(参考)
「最終エネルギー消費量」とは、
「需要先で消費されるエネルギー量」と定義されます。
採取されたままの状態の原油、石炭、天然ガスなどの「1次エネルギー」を転換または加
工して、電気、都市ガス、プロパンガス、灯油、ガソリン、軽油などの「2次エネルギー」
が作られます。一部の石炭など、転換または加工されずそのまま使用される「1次エネルギ
ー」の一部と「2次エネルギー」を含めて、最終的に需要先(家庭や工場・事業所)で使用さ
れるエネルギーの総量を「最終エネルギー消費量」といいます。その単位は、熱量J(ジュ
ール)又は原油換算で L(リットル)で表します。
J(ジュール)は、エネルギーの大きさを示す指標の一つで、
1MJ = 0.0258 × 10-3 原油換算 kl
37
4.目標数値(目標強度)の見直し
従前の計画における目標年次である 2020 年度(短期目標)及び 2050 年度(長期目標)に、
国が作成した手引きに基づき、新たに中期目標として 2030 年度を追加するに当たり、実効
性があり、かつバランスのとれた目標数値(目標強度)になるように目標を見直しました。
①短期目標(2020 年度)
、中期目標(2030 年度)について
下記のとおり 3 つの試算ケースについて比較検討を行いました。
・
「従前目標ケース」
:従前の計画における対策・施策の強度と同じ条件で「温室効果ガ
スの削減量」を「最終エネルギー消費量の削減量」に変更した場合
(従前の計画における目標は、温室効果ガスを 1990 年比で 2020 年度に 25%削減
(短期目標)としている。なお、2030 年度の目標強度については、「環境モデル都
市」として国に選定された際の削減目標(中期目標)である「1990 年度比で CO2
を 30%削減」に準ずることとした。
)
・
「中位ケース」
:
「国立環境研究所 AIM プロジェクトチーム」が作成した「削減根拠
資料 2012 (以下、「AIM 資料」という。) (※1)」において設定された対策・施策強
度の「中位ケース」で試算し、さらに神戸市独自の削減項目(※2)も追加した場合
・
「低位ケース」
:AIM 資料において設定された対策・施策強度の「低位ケース」で試
算し、さらに神戸市独自の削減項目(※2) (対策強度は上記の「中位ケース」の場合
より弱く設定)も追加した場合
(※1) 国立環境研究所 AIM プロジェクトチームが作成した削減根拠資料 2012 とは
AIM は、Asian-Pacific Integrated Model の略で、日本語では、
「アジア太平洋地域
における温暖化対策統合評価モデル」といわれ、国立環境研究所地球環境研究グループ
の温暖化影響・対策研究チームが開発した。その開発チームが発表した「削減導入量等
の根拠資料(H24 年9月改定)
」に、部門、対策別の国内削減量が試算されている。
(※2) 神戸市独自の削減項目とは (例示)
①高効率機器への転換などのハード面以外の、様々な省エネルギーのための実践行動
による削減分 ⇒産業・業務・家庭部門
②事業場への再生可能エネルギーの導入及び自家消費による化石燃料由来エネルギー
の使用量削減 ⇒産業・業務・家庭部門
③乗用車利用から公共交通機関利用への変更等のモーダルシフトによる削減、貨物自
動車から船舶・鉄道輸送へのモーダルシフトによる削減 ⇒運輸部門
④「神戸市環境保全協定」による取組み、及び、
「兵庫県条例に基づき新たに導入され
た一定規模以上の事業所に対する温室効果ガス削減計画の提出、事業所ごとの実績
公表制度」の運用による削減対策の促進による削減分 ⇒産業・業務部門
38
なお、AIM 資料を用いた各部門の推計は、次の方法で実施しました。
・
「産業部門」は、主に各業種における対策による国全体での削減量(AIM 資料に記載
有り)を、統計資料に基づいて、各業種の全国に占める神戸市の製造品出荷額割合等
で按分している(これにより、神戸市の産業特性を反映している)。なお、他の分野の
推計と異なり、産業における対策・施策強度には、高位、中位、低位の区別がない。
・
「業務・家庭部門」は、主に神戸市の各部門・各対策項目のエネルギー消費量を元に、
既存の機器や高効率機器等の比率や高効率機器の効率上昇割合(高位・中位・低位の
対策強度別に AIM 資料に記載有り)を勘案して推計している(神戸市のエネルギー
消費量から直接算定している)
。
・
「運輸部門」については、主に神戸市の車種別の走行距離を基に、それぞれの車種にお
ける PHV(プラグインハイブリット自動車)・EV(電気自動車)・FCV(燃料電池自動車)
等の割合(高位・中位・低位の対策強度別に AIM 資料に記載有り)を勘案して、推
計している(神戸市の車種別走行距離から直接算定している)。
【コラム3】環境貢献都市KOBE
本市では、エネルギー消費を効率よく削減する「スマートな省エネ」や次世代エネルギーの利用
拡大などによる「クリーンな創エネ」を推進して温室効果ガスの大幅な削減を図るとともに、エネ
ルギーの安定供給とコスト低減に官民一体で取組むことにより、人に、自然に、地球に、未来に貢
献する「環境貢献都市KOBE」をめざしています。
本市が国の「環境モデル都市」に選定されたことを受けて、平成 26 年 3 月に策定した「神戸市
環境モデル都市アクションプラン」では、以下の 3 つの方針を設けました。
①多様なエネルギーのバランスの取れた活用を市全体で実践し、大都市における新たな自立・分
散型エネルギー社会のモデルとして「ベストバランスエネルギー都市」を実現します
②六甲山の緑の保全・育成を進め、都市部や河川沿いで緑地整備を進めることで「水と緑のネッ
トワーク」を形成し、
「みどりあふれる都市」を実現します。
③時代の要請に応えた交通環境の形成を図るとともに、都心・ウォーターフロント、観光地など
の回遊性を向上させ、人と環境にやさしく魅力的な、「生活を楽しむ都市」を実現します。
これらの方針のもと、様々な取組を実践して、環境貢献都市KOBEを進めていきます。
39
TJ
国の新目標の
削減目安
低位ケース
低位ケース
△
従前計画
(環境モデル都市)
従前計画
(温暖化防実行計画)
中位ケース
中位ケース
革新的な省エネ
技術の実現
①グラフ上に基準年度(2005 年度)の最終エネルギー消費量と長期目標(2050 年度)の最終エ
ネルギー消費量をプロットし、その 2 点を結んだ。
②さらに、短期目標(2020 年度)と中期目標(2030 年度)のそれぞれの試算条件における対策
後の最終エネルギー消費量をプロットした。
③着実に継続して長期目標達成に向けた削減取組みを推進していくという方針に従えば、毎年一
定の割合で削減が続く目標設定(①、②でプロットした 4 点が直線状に並んだ状態)が妥当で
あると考えられる。短期目標(2020 年度)においては「低位ケース」を、また中期目標(2030
年度)においては「従前目標ケース」(または「低位ケース」)を設定したケースが、上述の状
態にもっとも近い。
④また、中期目標(2030 年度)については、
「環境モデル都市」として国に認定された削減目標
である「従前目標ケース」を採用することで、認定制度との整合性が担保される。
⑤一方で、短期目標(2020 年度)に「中位ケース」や「従前目標ケース」を採用すると、今後 5
~6 年の間に大幅な削減が必要となり、実現性の観点から、これらの採用は難しいと考えられ
る。
⑥以上の理由から、短期目標(2020 年度)には「低位ケース」を、中期目標(2030 年度)には
「従前目標ケース」の削減量を目処とした削減目標を設定した。
基
準
年
度
短
期
目
標
年
度
中
期
目
標
年
度
長
期
目
標
年
度
■図 5-1 最終エネルギー消費量を指標とした各試算ケースの比較検討のために作成したグラフ
40
各試算ケースの結果は、下表のとおりとなりました。
最終エネルギー消費量 各部門別の割合 (%) 短期目標(2020年度)(2005 年度比)
産業
業務
家庭
運輸
全体
「従前目標ケース」(23 年 2
月策定温暖化防止実行計画)
▲0.2
▲33.1
▲39.2
▲34.7
▲21.5
「中位ケース」
▲2.8
▲30.2
▲34.0
▲35.6
▲21.3
「低位ケース」
▲0.4
▲22.3
▲27.5
▲27.3
▲15.7
国の新目標での削減目安
▲1.1
▲6.5
▲17.9
▲25.8
(▲10.1)
最終エネルギー消費量 各部門別の割合 (%) 中期目標(2030年度)(2005 年度比)
産業
業務
家庭
運輸
全体
「従前目標ケース」
(環境モデル都市選定時)
+0.4
▲38.4
▲39.1
▲46.2
▲25.0
「中位ケース」
▲7.1
▲42.8
▲37.1
▲52.9
▲29.9
「低位ケース」
▲4.5
▲31.8
▲30.3
▲43.0
▲23.2
以上の試算結果を踏まえ、継続的かつ着実に長期目標達成に向けた削減取組みを推進してい
くことが可能な目標として、短期目標(2020 年度)には「低位ケース」、中期目標(2030 年
度)には「従前目標ケース」の削減量を目処とした削減目標を設定しました。
なお、各目標における試算ケースの採用根拠は次のとおりです。
●短期目標(2020 年度)について、
「中位ケース」や「従前目標ケース」を採用すると、今
後 5~6 年の間にかなり大幅な削減が必要となり、その削減の取組みの実現性から考える
と、これらの採用は難しいと判断される。
●中期目標(2030 年度)について、
「環境モデル都市」として国に選定された際の削減目標
に準じた設定(
「従前目標ケース」)とすることで、環境モデル都市認定制度との整合性を
担保することができる。
②長期目標(2050 年度)について
国の第4次環境基本計画に、2050 年における温室効果ガス 80%削減が掲げられています。
さらに、国の中央環境審議会地球環境部会の示した 2050 年における温室効果ガス排出量
80%の削減を達成した姿は、
「最終エネルギー消費量を現状より 40%程度削減し、一次エネ
ルギー消費量に占める再生可能エネルギー量の比率が約 50%になり、さらに温室効果ガス
排出量 80%削減の達成のために必要な削減分を二酸化炭素の固定・貯蔵(CCS)で補う。
」と
いう姿が示されています。この姿に準じて、長期目標を、
「2050 年度に最終エネルギー消費
量を 40%削減する(2005 年度比)」としました。
(図 5-2 参照)
41
■図 5-2
2050 年における温室効果ガス排出量 80%削減の姿
(出典:平成 24 年 6 月 中央環境審議会地球環境部会「2013 年以降の対策・施策に関する報告書」)
5.見直し後の最終エネルギー消費量に係る削減目標
神戸市域全体としての最終エネルギー消費量の削減目標は、次のとおりです。
市域全体としての最終エネルギー消費量の削減目標
短期目標(2020 年度)
:
15%以上 削減
中期目標(2030 年度)
:
25%以上 削減
長期目標(2050 年度)
:
40%以上 削減
(2005 年度比)
6.再生可能エネルギー等の導入目標
再生可能エネルギー等の導入に関する目標は、従前計画の目標を継承し、さらに、平成 25
年3月の環境モデル都市選定時の目標を加味して、下記のとおりとします。
再生可能エネルギー等の導入目標
目標年次
2020
神戸市域全体
市の事務・事業
神戸市域におけるエネルギー消費量の
市の事務・事業におけるエネル
10%以上導入 ※
ギー消費量の30%以上導入
(売電・他者供給分を含む)
神戸市域における電力消費の
2030
30%を地域の分散型エネルギーにする
(再エネ 15%+コジェネ等 15%)
※
目標の進行管理においては、2030 年度目標との整合を図るため、市域内電力
消費量に占める再エネ発電量の導入割合を併せて評価することとする。これは、
市域における電力消費に占める再エネの比率を表すことでもある。
42
(参考)国の新目標
2013 年 11 月に国が気候変動枠組み条約事務局に登録した
2020 年度における温室効果ガスの排出抑制・吸収の量に関する目標
3.8%削減
※2005 年度の温室効果ガス排出量(13 億 5,100 万t-CO2)を基準とする。
※2020 年度における原子力発電所の稼働状況の見通しが立たないため、直近の実績である 2012
年度の電力の二酸化炭素排出係数を用いて試算した上で、さらに排出係数の一定の改善を見込
んだもの。
※原発による削減効果を含めずに、
①最終エネルギー消費量を原油換算で 4,400 万 kl 削減、
②再生可能エネルギーの導入拡大による電力の二酸化炭素排出係数の改善、
③フロン対策の強化、
④二国間クレジット制度の構築・実施による、海外における温室効果ガス排出量の削減分、
⑤森林吸収源の活用(基準年度総排出量比約 2.8%(約 3,800 万 t-CO2、一定の前提を置いて
試算)以上)
などを総合的に進めることによる削減を含む目標値。
※最終エネルギー消費量の部門別の目安としての目標値は、
産業部門▲2百万 kl(▲1.1%)、
業務その他部門▲5百万 kl(▲6.5%)、
家庭部門▲10 百万 kl(▲17.9%)、 運輸部門▲25 百万 kl(▲25.8%)削減。
(参考) 「気候変動に関する国際連合枠組条約」に基づく第一回日本国隔年報告書(2013 年 12 月)
より抜粋
43
短期目標(2020年度)における目標値設定に係る検討資料
最終エネルギー消費量の推移と目標値に係る部門別内訳【従前目標ケース(短期目標(2020)年度)】(TJ)
部門
1990
年度
(①)
2005
年度
(基準
年度)
(②)
2020年度
2012
年度
BAU
(③)
対策
ケース
(④)
BAU
からの
削減量
(③-
④)
左記のう
ち自家消
費分の再
エネ
(再掲)
1990 年度
比
(100-
④/①×
100)
2005 年度比
(基準年度比)
(100-④/②×100)
自家消費分の再エネ
含む
(含まない)
産業部門
54,264
52,394
54,061
56,794
52,307
▲ 4,487
(▲1,242)
▲ 3.6%
▲ 0.2%
(+ 2.2%)
業務部門
15,958
25,446
21,577
27,093
17,027
▲ 10,066
(▲ 20)
+ 6.7%
▲33.1%
(▲33.0%)
家庭部門
18,197
24,157
22,250
24,217
14,677
▲ 9,540
(▲ 2,193)
▲19.3%
▲39.2%
(▲30.4%)
運輸部門
35,538
30,364
29,414
28,609
19,839
▲ 8,770
▲44.2%
▲34.7%
79
87
95
87
87
+0
+ 9.8%
+ 0.0%
127,397
136,800
廃棄物部門
合計
124,037
132,449
103,937
▲ 32,863
(▲3,455)
▲16.2%
▲21.5%
(▲18.9%)
最終エネルギー消費量の推移と目標値に係る部門別内訳【中位ケース(短期目標(2020)年度)】(TJ)
部門
1990
年度
(①)
2005
年度
(基準
年度)
(②)
2020年度
2012
年度
BAU
(③)
対策
ケース
(④)
BAU から
の削減量
(③-④)
左記のう
ち自家消
費分の再
エネ
(再掲)
1990 年度
比
(100-
④/①×
100)
2005 年度比
(基準年度比)
(100-④/②×100)
自家消費分の再エネ
含む
(含まない)
産業部門
54,264
52,394
54,061
56,794
50,908
▲ 5,886
(▲1,242)
▲ 6.2%
▲ 2.8%
(▲ 0.5%)
業務部門
15,958
25,446
21,577
27,093
17,753
▲ 9,340
(▲ 20)
+11.2%
▲30.2%
(▲30.2%)
家庭部門
18,197
24,157
22,250
24,217
15,953
▲ 8,264
(▲ 2,193)
▲12.3%
▲34.0%
(▲24.9%)
運輸部門
35,538
30,364
29,414
28,609
19,569
▲ 9,040
▲44.9%
▲35.6%
79
87
95
87
87
+0
+ 9.8%
+ 0.0%
124,037
132,449
127,397
136,800
104,270
▲ 32,529
▲15.9%
▲21.3%
廃棄物部門
合計
(▲3,455)
(▲18.7%)
最終エネルギー消費量の推移と目標値に係る部門別内訳★【低位ケース(短期目標(2020)年度】
(TJ)
2020年度
部門
1990
年度
(①)
2005
年度
(基準
年度)
(②)
2012
年度
BAU
(③)
対策ケー
ス
(④)
BAU から
の削減量
(③-
④)
左記のう
ち自家消
費分の再
エネ
(再掲)
1990 年
度比
(100-
④/①×
100)
2005 年度比
(基準年度比)
(100-④/②×100)
自家消費分の再エネ
含む
(含まない)
産業部門
54,264
52,394
54,061
56,794
52,196
▲ 4,598
(▲1,242)
▲ 3.8%
▲ 0.4%
(+ 2.0%)
業務部門
15,958
25,446
21,577
27,093
19,777
▲ 7,316
(▲ 20)
+23.9%
▲22.3%
(▲22.2%)
家庭部門
18,197
24,157
22,250
24,217
17,521
▲ 6,695
(▲ 2,193)
▲3.7%
▲27.5%
(▲18.4%)
運輸部門
35,538
30,364
29,414
28,609
22,088
▲ 6,521
▲37.8%
▲27.2%
79
87
95
87
87
+0
+ 9.8%
+ 0.0%
124,037
132,449
127,397
136,800
111,670
▲ 25,130
▲10.0%
▲15.7%
廃棄物部門
合計
44
(▲3,455)
(▲13.1%)
中期目標(2030年度)における目標値設定に係る検討資料
最終エネルギー消費量の推移と目標値に係る部門別内訳★【従前目標ケース(中期目標(2030)年度】
(TJ)
2030年度
部門
1990
年度
(①)
2005
年度
(基準年
度)
(②)
2012
年度
BAU
(③)
対策
ケース
(④)
BAU から
の
削減量
(③-
④)
左記のう
ち自家消
費分の再
エネ
(再掲)
1990 年度
比
(100-
④/①×
100)
2005 年度比
(基準年度比)
(100-④/②×100)
自家消費分の再エネ
含む
(含まない)
産業部門
54,264
52,394
54,061
57,176
52,608
▲ 4,569
(▲1,334)
▲ 3.1%
+ 0.4%
(+ 3.0%)
業務部門
15,958
25,446
21,577
26,494
15,671
▲ 10,822
(▲ 22)
▲ 1.8%
▲38.4%
(▲38.3%)
家庭部門
18,197
24,157
22,250
24,175
14,715
▲ 9,460
(▲ 2,192)
▲19.1%
▲39.1%
(▲30.0%)
運輸部門
35,538
30,364
29,414
26,245
16,324
▲ 9,922
▲54.1%
▲46.2%
79
87
95
82
82
+0
+ 3.4%
▲ 5.7%
124,037
132,449
127,397
134,173
99,399
▲ 34,773
▲19.9%
▲25.0%
廃棄物部門
合計
(▲3,548)
(▲22.3%)
最終エネルギー消費量の推移と目標値に係る部門別内訳【中位ケース(中期目標(2030)年度)】
(TJ)
2030年度
部門
1990
年度
(①)
2005
年度
(基準年
度)
(②)
2012
年度
BAU
(③)
対策
ケース
(④)
BAU か
らの
削減量
(③-
④)
左記のう
ち自家消
費分の再
エネ
(再掲)
1990 年
度比
(100-
④/①×
100)
2005 年度比
(基準年度比)
(100-④/②×100)
自家消費分の再エネ
含む
(含まない)
産業部門
54,264
52,394
54,061
57,176
48,654
▲8,263
(▲1,334)
▲10.3%
▲ 7.1%
(▲ 4.6%)
業務部門
15,958
25,446
21,577
26,494
14,543
▲11,951
(▲ 22)
▲ 8.9%
▲42.8%
(▲42.8%)
家庭部門
18,197
24,157
22,250
24,175
15,198
▲8,977
(▲ 2,192)
▲16.5%
▲37.1%
(▲28.0%)
運輸部門
35,538
30,364
29,414
26,245
14,307
▲11,938
▲59.7%
▲52.9%
79
87
95
82
82
+0
+ 3.4%
▲ 5.7%
124,037
132,449
127,397
134,173
92,784
▲41,388
▲25.2%
▲29.9%
廃棄物部門
合計
(▲3,548)
(▲27.3%)
最終エネルギー消費量の推移と目標値に係る部門別内訳【低位ケース(中期目標(2030)年度)】
(TJ)
2030年度
部門
1990
年度
(①)
2005
年度
(基準
年度)
(②)
2012
年度
BAU
(③)
対策
ケース
(④)
BAU か
らの
削減量
(③-
④)
左記のう
ち自家消
費分の再
エネ
(再掲)
1990 年度
比
(100-
④/①×
100)
2005 年度比
(基準年度比)
(100-④/②×100)
自家消費分の再エネ
含む
(含まない)
産業部門
54,264
52,394
54,061
57,176
50,062
▲7,115
(▲1,334)
▲ 7.7%
▲ 4.5%
(▲ 1.9%)
業務部門
15,958
25,446
21,577
26,494
17,362
▲9,132
(▲ 22)
+8.8%
▲31.8%
(▲31.7%)
家庭部門
18,197
24,157
22,250
24,175
16,842
▲7,333
(▲ 2,192)
▲ 7.4%
▲30.3%
(▲21.2%)
運輸部門
35,538
30,364
29,414
26,245
17,323
▲8,923
▲51.3%
▲43.0%
79
87
95
82
82
+0
+3.4%
▲ 5.7%
124,037
132,449
127,397
134,173
101,670
▲32,503
▲18.0%
▲23.2%
廃棄物部門
合計
45
(▲3,548)
(▲20.6%)
7.市の事務・事業における削減目標の変更について
市民・事業者の取組みを率先垂範する立場から、従前計画においては、市域全体の温室効
果ガス削減目標より5%上乗せした削減目標を市の事務・事業に設定しました。
今回の市の事務・事業における削減目標値の変更に当たっては、従前計画の目標強度は変
更することなく、エネルギー起源の温室効果ガスの指標を最終エネルギー消費量の指標に置
き換えました。なお、従前計画では対象としていた病院事業(中央及び西市民病院)及び外
国語大学は、地方独立行政法人所管となったことから、市の事務・事業を対象とした削減計
画の対象から除外しました。
(1)最終エネルギー消費量に係る削減目標
市の事務・事業における最終エネルギー消費量に係る削減目標は下記のとおりとします。
神戸市役所の事務事業における最終エネルギー消費量削減目標値
目標年次 2015 年度(中間目標)
18%以上 (2005 年度比)
目標年次 2020 年度
24%以上 (2005 年度比)
ごみ発電、太陽光発電、バイオ天然ガスなど、自ら作った再生可能エネルギーは、市の事
務・事業の中で自家消費し、低炭素化を図ることが望ましいですが、送電等のグリッドが整
備されていないため、売電等を行っています。このため、市の事務・事業としての最終エネ
ルギー消費量は、市が電気やガスを購入した量から市が販売した量を差し引いた量(電力で
は買電力量から売電力量を差し引いた量)として取り扱います。
なお、水道局事業の目標達成評価については、直結給水事業などの推進により市域全体に
波及する電力使用量の削減(間接的削減)を含めて、総合的に水道事業における最終エネル
ギー消費の削減量を評価することとします。
(部局別の最終エネルギー消費量の実績と削減目標)
1990(H2)
年度
(推定値)
〔GJ〕
2009(H21)
年度
2013(H25)
年度
〔GJ〕
〔GJ〕
1,465,316
1,213,645
1,088,983
-25.7
1,115,106
-23.9
994,950
-32.1
水道局
304,338
277,141
288,646
-5.2
261,730
-14.0
248,644
-18.3
交通局
658,738
631,792
600,518
-8.8
594,841
-9.7
564,539
-14.3
330,653
312,479
326,341
-1.3
294,281
-11.0
285,353
-13.7
2,304,487
-16.5
2,265,958
-17.9
2,093,486
-24.1
年度
部局
市長部局
(独立法人の外
大、病院含まず)
★
教育委員会
2005(H17)
年度
基準年
〔GJ〕
合計
3,074,421
2,759,045
2,435,057
1990年度実績
との比較
100
89.7
79.2
★
75.0
2005
年度
比
(%)
(%)
2015(H27)
年度
目標値
〔GJ〕
★
73.7
2005
年度
比
(%)
(%)
2020(H32)
年度
目標値
〔GJ〕
★
2005
年度
比
(%)
(%)
68.1
教育事業においては、従前計画策定後の平成 25 年度より3か年ですべての普通教室に冷暖
房空調の設置が行われており、エネルギー消費の増加が見込まれる。詳細はP.104 参照。
46
(2)非エネルギー起源の温室効果ガスに係る削減目標
廃棄物焼却や下水汚泥の処理などに起因する温室効果ガスの排出量については、最終エネ
ルギー消費量の指標では管理することができないため、下表に掲げる従来どおりの温室効果
ガス排出量を指標とした目標値とします。また、目標の強度について従前計画のものから変
更していません。
※ 非エネルギー起源温室効果ガスの発生源となる市の事務事業
(括弧内の数値は、市の事務事業に係る温室効果ガス排出量に占める割合(2013 年度実績値)
)
・廃棄物焼却
(40%)
・下水処理
(4.8%) ・下水汚泥焼却
・廃棄物埋立
(1.7%)
・その他
(0.1%)
(2.0%)
(事業別の非エネルギー起源の温室効果ガス排出量の実績と削減目標)
年度
1990(H2)
年度
(推定値)
2005(H17)
年度
基準年
2009(H21)
年度
2013(H25)
年度
2005
年度比
2015(H27)
年度
目標値
2005
年度比
2020(H32)
年度
目標値
2005
年度比
事業
〔t-CO2〕
〔t-CO2〕
〔t-CO2〕
〔t-CO2〕
(%)
〔t-CO2〕
(%)
〔t-CO2〕
(%)
廃棄物
処理
307,567
238,837
251,234
-18.3
200,487
-34.8
197,987
-35.6
下水道
25,719
39,754
24,935
-3.0
21,640
-15.9
20,540
-20.1
その他
1918
582
343
-82
550
-71.3
520
-72.9
335,204
279,173
276,512
-17.5
222,677
219,047
-34.6
合計
1990年度実績
との比較
284,000
100
118.0
98.3
97.3
上表は、間接的削減を含めない実績値及び目標値を示しています。
47
78.3
-33.6
77.1
第6章 対策・施策
----------------------------------------------------------------1.市域全体における削減に向けた対策・施策
市民・事業者・行政の協働による取組みをより推進するために、各主体がそれぞれの役割を認
識し、その役割を果たさなければなりません。まず、市民の取り組みにおいては、より多くの市民
が地球温暖化対策の必要性を理解し、
「エネルギーを無駄なく、大切に、有効に使う」という日常
生活での意識と実践行動の継続に努めなければなりません。
事業者の取り組みについては、自主的な取組みの推進を柱としており、具体的には、
(一社)日
本経済団体連合会(経団連)が公表している「低炭素社会実行計画」などを参考に、事業者の自主
的な取組みを推進しなければなりません。
行政の取り組みについては、新たに、都市づくり、まちづくりの段階からの温暖化対策を促進
するために、関係計画の推進を実行計画に位置付けました。また、環境モデル都市アクションプラ
ンなどの新たな取り組みも整理して計画に追加しました。行政はこれらの取組みを着実に進めてい
きます。
なお、部門別の削減目標の設定はありませんが、下記の部門別最終エネルギー消費量の削減目
安を参考に、削減対策の進捗状況について定期的に把握していきます。この部門別の削減目安は、
市域全体における削減目標を設定する際に試算した部門別の削減効果量をもとに設定したもので、
強制力や拘束力を意味するものではなく、必要に応じた施策・対策の見直しのための参考基準とし
て使用します。
部門別最終エネルギー消費量の削減目安 (2005 年度比の削減量)
産業
業務
家庭
運輸
短期目標(2020)年度
1%以上
22%以上
27%以上
27%以上
中期目標(2030)年度
1%以上
38%以上
39%以上
46%以上
(参考) 神戸市内の部門別の最終エネルギー消費量の推移 2005 年度(基準年)を 100 とした場合
(2020 年度、2030 年度は部門別削減目安に基づく消費量をプロットしている。)
注)部門別内訳については推定値であり、2011 年度分より算定方法を一部変更しています。
48
(1)市民の取組み
家庭部門や業務部門の最終エネルギー消費量は、平成 23(2011)年 3 月の東日本大震災以降、
省エネの取り組みが推進し減少傾向にありますが、地球温暖化対策が大きく動き始めた平成 2
(1990)年度の最終エネルギー消費量と比較すると、平成 24(2012)年度の最終エネルギー消費
量は家庭部門で 22%増、業務部門で 35%増と市民の生活と直結した部門では依然と大幅に増加し
た状況が続いています。
家庭部門や業務部門の地球温暖化対策を推進させるための第一歩として、より多くの市民の皆さ
んに地球温暖化対策の必要性を理解してもらうことが重要であり、さらに「エネルギー資源を無駄
なく、大切に、有効に使う」という日常生活での意識と実践行動の継続が重要です。
まず、各市民(家庭)がどれだけの電力と都市ガスなどのエネルギーを使用しているのか現状を市
民自らが把握します。そして、その使用量が多いのか少ないのかを客観的に把握できる比較指標で
自己評価した上で、省エネの取組み状況に応じた、さらなる省エネの取組みを推進します。その際、
「市民向省エネ実践手引き」を活用します。
さらに、市民向の市や国が作成している資料や WEB サイトを活用し、地球温暖化対策の必要性
の気づきや具体的な取組みの実践を促していきます。
取組み内容
取組みを促す仕組み・情報
●温暖化対策の必要性を理解する。
気づき
●何ができるのか、何をすればよいか考
える。
●市民向省エネ実践手引き(ステップ 1 と 2)
●家庭向け省エネ診断受診(うちエコ診断)
●もったいないやん!宣言
●小学生・中学生向け環境学習教材「くらし
のエコチェック」
●省エネの知識をフル活用し、毎日の実
践行動により省エネをする。(こまめな
●市民向省エネ実践手引き(ステップ 3)
スイッチのオンオフや適正温度設定
●家庭版エコ市民マニュアル
など)
●省エネルギーセンターの「家庭の省エネ百
●マイカーの利用を減らし、徒歩、自転
科」
「家庭の省エネ徹底ガイド」
車、バイク、電車・バスを利用する。
●省エネ型機器等の導入(買い替えの際
実践
は、省エネ型家電製品や高効率給湯機
等を購入する。自動車は、低燃費車を
選択する。)
●省エネ製品買い替えナビゲーションの「し
んきゅうさん」
(環境省運営のウェブサイ
トで提供)
●再生可能エネルギー等の導入(太陽光
発電システムの設置、太陽熱温水器の
●家庭用太陽光発電システム設置補助制度
設置、燃料電池システム(エネファー
●家庭用燃料電池システム設置補助制度
ム)の設置など)
49
①「市民向省エネ実践手引き」の活用
我が家のエネルギー消費量を確認し、省エネに取組む。その方法は?
(我が家では、必要なエネルギーを、無駄なく、効率よく、賢く使っているでしょうか)
省エネ診断を受ける
(兵庫県「うちエコ診断」は無料)
専門家に協力を求める
市民向省エネ
実践手引き
自分自身でやってみる
その他の方法 (例:我が家のエ
ネルギー消費量確認無しで、取
組メニューからできそうなもの
を選んで取り組む)
市民向省エネ
実践手引き
無
駄
な
く
、
効
率
よ
く
、
賢
く
使
う
必
要
な
エ
ネ
ル
ギ
ー
を
、
取
組
み
の
開
始
・
継
続
電気 …家電、冷暖房、調理、給湯など
ガス …調理、給湯、暖房、エネファームなど
灯油 …暖房など
ガソリン・軽油 …自動車・バイクなど
ステップ1 我が家のエネルギー消費量を知る
●電気・ガスの使用量は、
「検針票」や「領収のお知らせ」を集計しなくても、パソコンやスマ
ートフォンなどから過去2年間の使用量を知ることができます。
●灯油・ガソリン・軽油の使用量は、領収(納品)書、家計簿などから調べます。
●我が家の電気・ガス・灯油・ガソリン・軽油使用量を合算して、エネルギー消費量を同一の
指標にするために、原油換算のエネルギー量と二酸化炭素排出量を算定します。
ステップ2 市内の電気・ガスの平均使用量(市民1人当たり)と比べる
●住宅の種類や世帯人数に応じた平均値を示しています。
●我が家の省エネの取組み状況が『進んでいるか、進んでいないか』の判断材料の一つにして
みてください。(それぞれの世帯事情により、必要なエネルギー使用量は異なりますので、平
均値はあくまでもご参考程度の指標です。なお、平均より少ない使用量でも、まだまだ、省
エネの余地がある場合もあります。)
ステップ3 我が家に合った省エネの取組みを見つけて行動してみる
●住宅種類、世帯人数、省エネ達成レベルに応じた、取組みメニューを提示しています。参考
にしてみてください。
●省エネ行動を開始、継続してください。
・・・家計の負担も低減するかもしれません。
「必要なエネルギーを、無駄なく、効率よく、賢く使う」
・・・エコライフの実践
50
ステップ1 我が家のエネルギー消費量を知る
パソコンやスマート
フォンなどから、電気
使用量(関西電力)やガ
ス使用量 (大阪ガス)
を調べることができま
す。関西電力や大阪ガ
スのインターネットサ
イトで登録手続きを行
います。
関西電力
「はぴeみる電」に登録
大阪ガス
「マイ大阪ガス」に登録
電気
関西電力
ガス
大阪ガス
関西電力、大阪ガスとも
に、お客様番号等の情報を
入力すれば会員となり、過
去2年間の使用量が確認
することができます。ただ
し、契約者本人の確認のた
めに、料金支払いが銀行口
座の引き落としやクレジ
ットカード決済であれば、
口座番号やカード番号の
一部を入力する必要があ
ります。
また、コンビニ等の窓口
支払いの場合は、後日、ロ
グインパスワード(ご本人
確認コード)が郵送されま
す。
51
電気・ガス
ステップ1
ある世帯でのエネルギー使用量の実例
世帯全体の1年間の電気使用量
(はぴeみる電(WEB データ))
ステップ2で、市内の
電気・ガスの平均使用
量(市民1人当たり)と
比べるときに使用しま
す。
世帯全体の1年間のガス使用量
(マイ大阪ガス会員(WEB データ))
エネルギ
ーの種類
期間
電気
2013 年 6 月
(※)
~2014 年 5 月
ガス
2013 年 6 月
~2014 年 5 月
住居
灯油
2013 年 6 月
~2014 年 5 月
世帯全体
での
年間
使用量
①
世帯
人数
②
4731
1人
当たり
年間
使用量
③=
(①/②)
1183
kWh
610
m3
kWh
4人
0L
153 m3
0L
(住居
合計)
1 人当たり
エネルギー消費量
熱量
原油
換算
換算
MJ
L
④
⑤
4,258
111
414
③×⑥
④/⑪
③×0.350
6,885
180
④×⑦
④/⑪
③×2.277
0
0
0
③×⑧
④/⑪
③×2.49
11,143
291
762
世帯全員での
エネルギ
ーの種類
期間
世帯全体での
年間使用量
エネルギー消費量
①
ガソリン
車・
バイ
2013 年 6 月
~2014 年 5 月
2013 年 6 月
軽油
ク
~2014 年 5 月
2000L
0L
世帯全員
(車合計)
1 人当た
り二酸
化炭素
排出量
kg
348
世帯全員
での二酸
化炭素排
出量
kg
熱量換算
MJ
④
原油換算
L
⑤
69,200
1,812
4,640
①×⑨
④/⑪
①×2.32
0
0
0
①×⑩
④/⑪
①×2.49
69,200
1,812
4,640
備考
暖房はエア
コンとガス
ファンヒー
ターを使用
備考
ガソリン車 1 台
(7 人定員ワン
ボックス車、14
年目)、
レジャーに多
用(走行距離
12,000km)
エネルギー消費量(熱量換算)への換算係数
(※)太陽光発電などの再生可能エネルギー
の発電分を自家消費した電力量は含めない。
不足分として電力会社から購入した電力量の
みを計上する。また、エネファーム、エコウ
ィル等の家庭用コージェネレーションで発電
した電力使用量も含めない。この場合は、都
市ガス使用量で計上する。
⑥電気:3.60 MJ/ kWh
⑦都市ガス:45.0 MJ/m3
⑧灯油:36.7MJ/L
⑨ガソリン:34.6MJ/L
⑩軽油:37.7 MJ/L
⑪原油:38.2 MJ/L・・・(原油に換算する際に使用)
52
ステップ2 市内の電気・ガスの平均使用量(市民1人当たり)と比べる
H25(2013)年度市民1人当たりの年間平均使用量
単身世帯 2人世帯 3人世帯 4人以上世帯
電気
戸建住宅
3015
2351
1880
1591
kWh
集合住宅
2290
1710
1300
1004
平均より 18%も多いなー。娘(学生)の部屋の一晩中の
照明つけっぱなしをやめさせたらもっと減るだろう
な。あとはこまめな照明とパソコンとテレビのスイッ
チ OFF でどれぐらい減るかなー。ふー。
1183 kWh
集合住宅で
夫婦と子の
4人世帯
H25(2013)年度市民1人当たりの年間平均使用量
単身世帯 2人世帯 3人世帯 4人以上世帯
都市ガス
戸建住宅
253
199
147
109
m3
集合住宅
169
158
133
110
えー。平均より 39%も多いなー。暖房用のファンヒ
ーターを灯油からガスに13年前に全部変えてたん
だ。だから、冬の使用量が夏の3倍前後なんだ。と
ころで、電気のエアコンとガスファンヒーターどっ
ちがいいんだろう。それと、食器洗浄に、オールシ
ーズン温水はいるのかな。いつも台所の給水栓がお
湯側になっている。気づけば戻しているけど。
153 m3
集合住宅で
夫婦と子の
4人世帯
平成 25(2013)年度の単純な神戸市民1人当たりの平均使用量は、電気が 1,865 kWh、ガスが 147
m3ですが、この値をそのまま比較してもあまり意味がありません。理由は、住宅の種類や世帯の
人数によって使用量が大きく異なるからです。下記グラフは、国の調査データから、平成 22~24
年(2010~12)年度の神戸市での住宅の種類別、世帯構成人数別の平均使用量を推定したものです。
このデータの傾向に基づき平成 25(2013)年度の市民1人当たりの平均使用量を補正し、上記に
示す住宅の種類、世帯構成人数別の市民 1 人当たりの電気・ガスの年間平均使用量を試算しました。
推定値
推定値
53
オール電化の世帯、エネファームなどで自家発電をしている世帯、太陽光発電を導入している世
帯などの場合、下記の市民1人当たりの最終エネルギー消費量で比較してください。
なお、算定するのは購入した電力使用量または都市ガス使用量だけです。太陽光発電の場合、購
入電力から販売電力を差し引いた電力量で計算します。
その際は、電気、ガス、灯油を仕事量や熱量の基本単位である「ジュール」に一定の係数を乗じ
て換算の上合算すれば、我が家と市の平均を比較することができます。
54
ステップ3 我が家に合った省エネの取組みを見つけて行動してみる
ステップ2で、電気・ガスの使用量を市内平均値と比較することで、省エネの取組みが進んでいる
かどうか、わかりましか。平均値と比較するだけでは、評価できないことも多いと思いますが、エネ
ルギー使用量を把握することを契機に、我が家の「省エネ達成レベル」をご自分で把握できたのでは
ないでしょうか。(なお、自動車の燃料(ガソリン、軽油)や暖房用ストーブやファンヒーターの燃料の
使用量については、
「我が家の使用量」と比較していただくデータが準備できていません。)
ステップ3では、我が家に合った省エネの取組みを見つけていただき、取組み項目の再確認と実践行
動をお願いします。
我が家の「省エネ達成レベル」を自己評価してみる
かなり実施している
そこそこ実施している
⇒ 「かなり」
⇒ 「そこそこ」
まだまだ実施の余地あり ⇒ 「まだまだ」
我が家の「状況パターン」を選択してみる
住宅の形態
戸建住宅
集合住宅
世帯構成人数
×
省エネ達成レベル
×
単身
かなり
2~3人
そこそこ
4人以上
まだまだ
「状況パターン別の取組みメニュー」や当面の「削減目標」を決める
最終エネルギー消費量
(電気、ガス、灯油、ガソリンなどの使用量)の削減目標
現状からの最終エネルギー消費量の
省エネ達成レベル
当面の削減目標
かなり
まずは、 5%以上程度の削減
そこそこ
まずは、10%以上程度の削減
まだまだ
まずは、15%以上程度の削減
55
ステップ3
状況パターン別 取組みメニュー例 (その 1)
◎:重点的取組みメニュー
○:推奨メニュー
戸建、集合住宅共通メニュー
省エネ達成
レベル
取組み内容
(冷房時)
エアコン、扇風機、など
◎ ○
◎
エアコン等の運転はいつもOFFタイマー設定でする
◎ ○
◎
運転時間を短縮する(外気温や風の変化を上手に利用する)
○ ◎
扇風機を併用して、室内空気を循環する
○ ○
窓に断熱フィルムを取り付ける
エアコンのフィルターをこまめに清掃する
(
使用しない時期は、電源プラグを抜いて待機電力の消費をカットする
)
関
係
窓
除湿器・加湿器
風
給
呂
湯
関
・
係
照明機器
家電機器全般
(買い替え時)
冷凍冷蔵庫
テレビ
パソコン
日
常
生
活
全
般
洗濯機
衣類乾燥機
電子レンジ
(オーブンレンジ)
◎ ○
暖房時の設定温度を下げる(設定温度目安20℃)
◎ ○
電気ポット
掃除機
◎ ○
電気カーペットは部分使用で電源オンにする
◎ ○
カーテンを厚め長めにして、断熱性を高める
不要時は電源オフにする
◎
○ ○
◎
○ ○
○
○ ○
◎
◎ ○
白熱球ランプをLEDなどの省エネ型ランプに取り替える
○ ◎
蛍光灯照明をLED照明に付け替える
○ ◎
○ ○
○
○ ○
○ ○
昼間は、カーテンやブラインドを調整して自然光を積極的に取り入れる
◎ ○
○
○
照度調整のある照明器具では、照度を必要に応じてこまめに調整する
◎ ○
○
○
温度設定を下げる
◎ ○
○
シャワーを流しっぱなしにしない
○ ◎
◎ ○
節水型(手元止め)シャワーヘッドに取り替えて、温水の使用量を減らす
○ ◎
浴槽入浴は間隔を空けず次の人がすぐに利用する
○ ◎
買い替え時には、消費電力の少ないものを選択する。特に、エアコンや冷
蔵庫などの場合、★印やeマークなどの統一省エネラベルや、年間の目安 ◎ ○
電気料金表示を参考に選択する。
○ ○
○ ○ ○
開閉回数は必要最小限にし、開放時間も必要最小限にする
○ ◎ ○ ○ ○
庫内はいつも整理し、冷気の通り道を作る
○ ◎ ○ ○ ○
設定温度を季節に応じてこまめに調整する
○ ◎ ○ ○ ○
壁との間隔を適正にあけ、熱交換がしやすいようにする
○ ◎ ○ ○ ○
画面をエコモードに設定し、明るさを低めにする
見ていない、またはほとんど見ていないテレビは、一度オフにしてみる
○ ◎ ○ ○ ○
◎ ○
○ ○ ○
省電力モードに設定し、使わないときはこまめにオフにする
○ ◎ ○ ○ ○
できるだけ、まとめ洗いをする
○ ◎ ○ ○ ○
洗剤の適正量を守り、すすぎ回数を必要最小回数にする
屋外、室内干しをできるだけ増やし、利用を必要最小限にする
野菜などの食材のしたごしらえに電子レンジを活用する(調理に積極的に
利用すると省エネにつながる場合が多い)
○ ◎ ○ ○ ○
◎ ○
○ ○ ○
○ ◎ ○ ○ ○
◎ ○
○ ○ ○
長時間の炊飯ジャーの使用をやめ、別容器に移し、冷蔵、冷凍保管し、直
◎ ○
前に電子レンジを利用して加温する
○ ○ ○
長時間使用しないときは、電源オフにして、必要な時はやかんなどで必要
◎ ○
量沸かす
○ ○ ○
ごみパックが満杯近くになり吸引力が弱くなっている場合は新しいものに
取り替える
ふたを開けっぱなしにしない
温水洗浄便座
○
◎
◎ ○
電氣こたつ、電気カーペット設定温度を下げる、つけっぱなしにしない
ガスコンロの場合、炎が鍋からはみ出さないようにする。
調理機器
○
○ ○
○
エアコン等の運転はいつもOFFタイマーを利用する
温水使用後は、温水混合栓の水側に戻す習慣をつける
給湯機器
(風呂給湯機器)
○
○ ○
◎ ○
不要な部分の照明をこまめにオフにする
照
明
関
係
◎ ◎
◎
よしずや緑のカーテンを利用して直射日光を和らげる
(暖房時)
衣服の工夫(厚着をする。厚めの靴下をはく。)
エアコン、ストーブ、
エアコンやファンヒーターのフィルターをこまめに清掃する
ファンヒーター、電気こた
つ、電気カーペット、など 扇風機を併用して、室内空気を循環する
配慮
ま そ
2 4
要
か
乳
高
だ こ
単 ~ 人
介
な
児
齢
ま そ
身 3 以
護
り
等
者
だ こ
人 上
者
冷房時の設定温度を上げる(設定温度目安28℃)
空
調
冷
房
・
暖
房
世帯人数
○ ◎ ○ ○ ○
◎ ○
○ ○ ○
便座ヒーター温度を下げる。冷房期間はオフにする
○ ◎ ○ ○ ○
洗浄水の温度設定を下げる
○ ◎ ○ ○ ○
56
状況パターン別 取組みメニュー例 (その 2)
ステップ3
◎:重点的取組みメニュー
○:推奨メニュー
戸建住宅中心メニュー
省エネ達成 世帯人数
取組み内容
太陽光発電を設置する
リフォーム時、
新築時を中心に
ま
だ
ま
だ
そ
2 4
要
か
乳 高
こ
単 ~ 人
介
な
児 齢
そ
身 3 以
護
り
等 者
こ
人 上
者
◎ ○
○ ○
エネファームを設置する
○ ◎
○ ○
太陽熱温水器の設置
○ ◎
○ ○
高効率給湯機に取り替える
○ ◎
○ ○
断熱性の高い窓に交換
○ ◎
○ ○
内窓を追加する、二重窓にする
○ ◎
○ ○
ガラス交換(単版ガラスから複層ガラス等に)
○ ◎
○ ○
窓に断熱フィルムを取り付ける
◎ ○
エネルギー使用量の「見える化」と省エネ自動制御をするシステムである
HEMS(ヘムス)を導入する
○ ○
○ ◎
○ ○
集合住宅中心メニュー
取組み内容
リフォーム時、
新築時を中心に
省エネ達成 世帯人数
ま そ
2 4
要
か
乳 高
だ こ
単 ~ 人
介
な
児 齢
ま そ
身 3 以
護
り
等 者
だ こ
人 上
者
高効率給湯機に取り替える
○ ◎
○ ○
内窓を追加する、二重窓にする
○ ◎
○ ○
ガラス交換(単版ガラスから複層ガラス等に)
○ ◎
○ ○
窓に断熱フィルムを取り付ける
◎ ○
○
自家用車メニュー
取組み内容
省エネ達成 世帯人数
0
ま そ
2 4
要
か
乳 高
だ こ
介
単 ~ 人
な
児 齢
ま そ
護
身 3 以
り
等 者
だ こ
人 上
者
エコドライブ(緊急時以外は、急発進、急ブレキーを控えるなど)
◎ ○
○ ○ ○
アイドリングストップを心がける
◎ ○
○ ○ ○
低燃費車にする(ハイブリッド車、より排気量の小さい車にするなど)
◎ ○ ◎ ○ ○ ○
エコドライブ
買い替え
点検・整備
利用を減らす
タイヤをエコタイヤに交換する
○ ◎ ○ ○ ○
エンジンに低燃費オイルを使用する
○ ◎ ○ ○ ○
タイヤの空気圧を適切に保つ
◎ ○
○ ○ ○
近くの利用の際は、自動車の使用を控え、徒歩や自転車に変える
◎ ○
○ ○ ○
可能であれば、自動車の使用を控え、電車バスなどの公共交通を利用に
◎ ○
する
○ ○ ○
57
②地球温暖化対策の取り組みの必要性に気づいてもらうために
ア.インターネットなどを活用した積極的な情報収集
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次報告書の要点や、世界レベルの人口やエネ
ルギー使用量の急増、途上国や先進国での温暖化対策の現況などについて、国や神戸市が提供す
る正確な情報の把握に努めます。
イ.もったいないやん!宣言
温室効果ガスやごみの排出量の削減のためには、神戸市民 150 万人の一人ひとりが日常の生活
をほんの少し変えるだけで大きな効果があります。
家庭版エコマニュアルも参考にして「わが家のもったいないやん!宣言」をして身近なことか
ら取組むことができます。
(神戸市ホームページ http://www.waketon.city.kobe.lg.jp/mottainai/ )
ウ.環境学習教材「くらしのエコチェック」
神戸市では、子どもたちに環境に配慮したくらし方を習慣として身につけてもらうため、小学
生用と中学生用の環境学習教材「くらしのエコチェック」を作成しています。学校での「総合的
な学習の時間」や、家庭での取り組みなどに活用されています。
(神戸市ホームページ掲載アドレス
http://www.city.kobe.lg.jp/life/recycle/education/school/ecocheck.html )
小学生用教材「くらしのエコチェック ~ごみ・水・エネルギーと私たちのくらし~」
「くらしのエコチェック」は、子どもが中心となって、日々のくらしと環境との関わり
を知り、自ら環境に良い「心がけ」と「目標」を設け、実践活動を積み重ねるなかで、環
境への負荷が少ないライフスタイルを身につけていくことを目指しています。子どもと保
護者が一緒に取り組む環境家計簿のひとつです。
中学生用教材「くらしのエコチェック ~地球温暖化と私たちのくらし~」
この教材は、環境問題と私たちのくらしの関わりについて気づき、自らの行動を環境に
配慮したものに変えていくきっかけとなるように編集されています。
③省エネなどの具体的な温暖化対策の取組みをわかってもらうために
ア.
「家庭版エコマニュアル」の活用
神戸市が作成した家庭で実践できるいろんな対策をわかりやすく解説したマニュアルで、戸
建・集合住宅別、世帯数別に電気や都市ガスの削減目標を示すとともに、電気・都市ガスの使用
量を 3 年間記録して比較できるようにしています。
(神戸市ホームページ掲載アドレス
http://www.city.kobe.lg.jp/life/recycle/environmental/ecomanual/index.html )
58
イ.製品の賢い省エネ方法などわかりやすく紹介した「家庭の省エネ百科」
・
「家庭の省エネ徹底ガ
イド」の利用
省エネルギーセンターと資源エネルギー庁が作成している省エネに関するガイドブックで、具
体的な説明で分かりやすい内容です。インターネットから容易に入手することができます。
(資源エネルギー庁の広報パンフレットサイト
http://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/ )
ウ.古い家電製品買い替えメリットを認識
パソコン上でできる省エネ製品買い替えナビゲーションの「しんきゅうさん」を利用します。
これにより、電気代削減分と購入経費の比較ができるので、買い替えのタイミングを検討します。
「しんきゅうさん」は、環境省運営のウェブサイトで提供されています。現在使用し
ている家電を、最新の省エネ型家電に買い替えた際の年間の省エネルギー効果(削減電力
量・電気料金)や CO2 排出削減効果をグラフなどによりわかりやすく表示できます。機器の
使用条件や時間とともに、新旧の家電製品のメーカーや機種名を指定すれば、かなり正確
に削減できる電気代や二酸化炭素の量などが具体的に示され、何年で買い替え費用が回収
できるかなどのイメージがしやすい、優れもののシステムですが、知る人はまだ多くはあ
りません。また、省エネのノウハウも記載されています。
(入手先サイト http://shinkyusan.com/index.html )
エ.住まいの断熱・遮熱の重要性を認識
住まいの断熱・遮熱は快適な環境を保ち、エネルギー使用量を少なくする効果があります。特
に、戸建住宅の取り組みが中心となりますが、屋根・天井・外壁・床・窓の断熱を新築時やリフ
ォーム時に住宅の断熱化に取り組むことで、大幅な省エネルギーが図れます。上述の「家庭の省
エネ百科」や「家庭の省エネ徹底ガイド」にも取組内容の紹介があります。また、一般社団法人
日本建材・住宅設備産業協会の作成したPR資料もインターネットから入手することができます。
④再生可能エネルギー等の積極的な導入
国や市などが実施する助成制度等を活用し、積極的に再生可能エネルギーの導入に努めます。
ア.
「神戸市住宅用太陽光発電システム設置補助制度」の活用
神戸市では、家庭部門における地球温暖化対策の推進のため、市内の自ら居住する住宅に太陽
光発電システムを設置される方を対象に、費用の一部に対する補助制度を実施しています。
イ.
「神戸市家庭用燃料電池システム(エネファーム)設置補助制度」の活用
家庭用燃料電池「エネファーム」は、都市ガスやLPガスから取り出した水素と、空気中の酸
素との化学反応により発電するとともに、排熱を給湯に有効活用するコジェネレーション(熱電
併給)システムです。
また、エネファームは、エネルギー利用の総合効率が 80%以上と高く CO2 削減に寄与するほ
か、分散型電源として電力の需給緩和にも貢献できる機器です。
そこで、神戸市では、エネファームの普及拡大を図るため、市内の住宅にエネファームを設置
する個人を対象に、費用の一部に対する補助制度を実施しています。
59
(2)事業者の取組み
① 業種別に策定されている自主行動計画等の推進
事業者自らが自主的に策定した計画に基づいて、事業者の主体的かつ積極的な地球温暖化対策
を促進していきます。
例えば、経団連の「低炭素社会実行計画」において、各業種は、国内の事業活動から排出され
る CO2 の 2020 年における削減目標を自ら設定しています。具体的な目標としては、CO2 排出
量(またはエネルギー使用量)の「絶対量」を削減する目標以外に、原単位あたりの削減目標を設
定している場合もあります。なお、採用している原単位は、業種ごとに、
「製造出荷額当たり」
、
「営業床面積当たり」
、
「販売額当たり」などがあります。また、目標基準年についても業種ごと
に設定しています。
あわせて、
「低炭素社会実行計画」において、各業種は、消費者・顧客を含めた主体間の連携の
強化(低炭素製品・サービス等を通じた貢献、国民運動に繋がる取組み)
、途上国への技術移転な
ど国際貢献の推進、
革新的技術の開発についても取組む内容を策定しています。
これらの内容は、
類似業種や業種外であっても取組みの参考になることは多いと考えられます。なお、経団連の各
業種の「低炭素社会実行計画」は公表されており、インターネットで入手することができます(経
団連WEBページによれば、経団連は、現在、2030 年に向けた目標等の策定を各業種に要請して
いるところ)
。
(経団連WEBページより)
60
参 考
「経団連低炭素社会実行計画」業務部門及び運輸部門における各業種の主体間連携の内容の例示
(公表資料に基づき神戸市が作成、2014(平成 26)年 7 月 11 日現在)
日本チェーンストア協会
ばら売り・量り売りやトレイなしの食品、容器包装を極力減らした商品、詰め替え商品、LED
電球等の販売を通じて環境負荷の低減に向けてお客様と一緒に取り組んでいく。
日本フランチャイズチェーン協会
①省エネ機器(インバータ式冷凍・冷蔵、空調機器、高効率照明等)の積極的な導入。
②スマートメーターの導入。 ③自然エネルギーの導入(太陽光発電等)
。
日本百貨店協会
①店内の空調温度緩和の業界挙げての取組み
②来店時、公共交通機関の利用促進(パーク&ライド等)
③環境配慮型商品の取扱いの拡大及び開発
※運輸部門では、共同納品(納品代行制度)の促進による納品車両の削減、納品車両の天然ガ
ス自動車への転換。百貨店統一リサイクルハンガーの導入により、物流効率化の推進と廃
棄ハンガーの削減を実現。
全日本トラック協会
①荷主との連携強化を図り、以下の取組を実施する。
・幹線や都市内などでの共同輸配送の推進 ・自営転換の推進
②走行環境(燃費)の改善のため、以下のような対策を関係機関に働きかける。
・物流幹線道路の整備促進 ・高度道路交通システム(ITS)の推進 ・路上工事の縮減 等
全国通運連盟
①外部要因としての車両性能の向上による CO2 削減
②事業者のエコドライブの取組み
③事業者の往復集配等による実車率の向上促進
日本民営鉄道協会
①鉄道車両の省エネルギー化・低炭素化
・回生ブレーキの導入 ・VVVF 制御装置の搭載 ・車内灯の LED 化
②運転用電力設備の省エネルギー化・低炭素化
・回生インバータ装置の設置 ・高効率変圧器の挿入 ・信号機の LED 化
③鉄道施設の省エネ化・低炭素化
・太陽光、風力発電設備の導入 ・省エネ型空調設備の設置 ・照明の LED 化
④その他の取組み
・カーボンオフセット乗車券の販売 ・鉄道の利用促進 ・職員への環境関連教育の実施
・駅および線路脇の緑化 ・社会活動等(地域との連携による緑の保全活動)
・環境をテーマにした電車等の取組み ・鉄道でエコキャンペーン
このほか、後述の神戸市が作成している「事業者向けエコマニュアル」にも、具体的な省エネ手法
を紹介していますので、取組みの参考にすることができます。経団連に直接参画していない事業者に
おいても、上述の取り組み事例を参考に、自主的な取組みを推進していくものとします。
併せて、省エネルギー診断の受診とそれに基づく省エネルギー対策の実施を展開していきます。
61
(参考) 経団連の低炭素社会実行計画における目標数値、指標の種類、基準年度等の一覧表
(公表資料に基づき神戸市が市域関連業種について作成、2014(平成 26)年 7 月 11 日現在)
業種名
指標の種類
基準年度
2020 年の目標値
産 業 部 門
1
日本鉄鋼連盟
BAU からの CO2 削減 2005
500 万 t- CO2 削減
量
2
日本化学工業協会
BAU からの CO2 削減 2005
150 万 t- CO2 削減
量
3
日本製紙連合会
BAU からの CO2 削減 2005
139 万 t- CO2 削減
量
4
電機・電子 4 団体(温 エネルギー原単位
2012
暖化対策連絡会)
7.73%以上削減
(※)2020 年に向けて、エネルギー原単位
改善率年平均1%
5
セメント協会
BAU からのエネルギ 2010
5.6 万 kL 削減
ー削減量
6
日本自動車工業会・日 CO2 排出量
1990
709 万 t- CO2
(1990 年比 28%削減)
本自動車車体工業会
7
日本自動車部品工業会
CO2 排出量
年平均 1%の改善を図る
8
日本鉱業協会
CO2 排出量
1990
15%削減
9
日本建設業連合会
建設施工段階(施工高) 1990
20%削減
における CO2 排出量
11
12
石灰製造工業会
日本ゴム工業会
石灰生産量(想定 1077
15 万 t- CO2 削減
万トン)あたりの CO2
※2020 年に想定される CO2 排出量
削減量
315.6 万 t からの削減量
生産量(新ゴム量)あ 2005
15%削減
たりのCO2 排出原単位
13
日本製薬団体連合会
工場、研究所から排出 2005
23%削減
されるエネルギー起源
の CO2 排出量
14
日本アルミニウム協会
圧延量あたりのエネル 2005
0.8GJ/t 削減
ギー原単位
15
日本印刷産業連合会
CO2 排出量
2010
8.5 万 t 削減
( 2010 年 度 の 原 油 換 算 原 単 位
21.15kL/億円を年平均 1%改善し、
2020 年度には 19.13kL/億円までの
改善を目指す。
)
16
板硝子協会
CO2 排出量
1990
115 万 t(90 年比 35%削減)
17
全国清涼飲料工業会
CO2 排出原単位
1990
10%削減
18
日本乳業協会
CO2 排出量
2013 年以 2020 年に向けて、CO2 総排出量を
降
62
年率 1%削減する。
19
日本電線工業会
メタル電線エネルギー 1990
32%削減
消費量(原油換算)千
kL
光ファイバーケーブル
1990
79%削減
1997
23%削減
エネルギー原単位(原
油換算)kL/千 kmc
20
日本ベアリング工業会
CO2 排出原単位
21
日本産業機械工業会
国内生産活動における
年平均 1%以上改善(暫定目標)
エネルギー消費原単位
(kL/億円)
22
23
石油鉱業連盟
日本伸銅協会
CO2 排出量
1990
6 万 t(27%)低減
排出原単位
1990
25%削減
板条製品の年間生産量
1%以上改善
において想定されるエ
(0.479kL/ton→0.474kL/ton)
ネルギー原単位
24
ビール酒造組合
炭酸ガス総排出量
2020
BAU56.5 万 t より、電力排出係数
による変動を除いた部分で 5.4 万 t
削減する。
25
日本造船工業会・日本 CO2 排出量
2012
5%程度削減
2020
BAU( 自 然 体 ケ ース ) より 4300t-
中小型造船工業会
26
石灰石鉱業協会
CO2 排出量
CO2 削減する
27
2008 年か 2013 年からの 8 年間でエネルギー
日本工作機械工業会
ら 2012 年 原単位を年平均 1%改善
の平均値
28
日本衛生設備機器工業 CO2 排出量
1990
35%削減
会
29
製粉協会
CO2 排出原単位
1990
33.5kg(6.7%削減)
30
日本産業車両協会
CO2 排出量
2005
5.9 万 t(15%削減)
31
日本鉄道車輌工業会
CO2 排出量
1990
2.9 万 t(33%削減)
エネルギー転換部門
32
電気事業連合会
CO2 原単位
-(震災前は、0.33kg- CO2/kWh)
33
石油連盟
省エネ対策量
2010
53 万 kl 削減
34
日本ガス協会
CO2 排出原単位
1990
9.9g- CO2/m3(89%削減)
エネルギー原単位
1990
0.26MJ/m3(85%削減)
業 務 部 門
35
日本チェーンストア協 「床面積×営業時間」 1996
約 15%削減
会(食料品、日用品等の 当たりのエネルギー消
36
スーパーマーケット)
費量
電気通信事業者協会
契約数あたりの電力使 2010
1%以上削減
用量
37
日本フランチャイズチ 「売上高」当たりのエ 2010
約 10%削減 (毎年 1%削減 )
ェーン協会(コンビニエ ネルギー消費量(電力)
※加盟 11 社の全店舗の平均として
ンスストア)
設定
63
38
日本百貨店協会
「床面積×営業時間」 1990
20%削減
当たりのエネルギー消
費量
39
日本冷蔵倉庫協会
冷蔵倉庫の運営全般に 1990
152 千 kwh/千設備 t(15%削減)
おけるエネルギー原単
位
40
全国銀行協会
「延べ床面積」当たり 2009
10.5%削減
の電力使用量
41
生命保険協会
床面積あたりの電力消 2009
年平均 1%削減
費量
42
日本貿易会
エネルギー使用量(原 2009
2.9 万 kL へ削減(9.0%削減)
油換算)
43
44
日本損害保険協会
日本 LP ガス協会
床面積あたりの電力使 2009
年平均 1%削減
(2009 年度比 10.5%
用量
削減)
LP ガス輸入基地・二次 1990
22.0%削減
基地における取扱数量
当たりの電力CO2 排出
原単位(kg- CO2t)
45
不動産協会
ERR15%以上 PAL 低減率 10%以
新築オフィスビル
上を達成することとし、さらに大規
模なものは ERR25%以上の達成を
目指す。
CASBEE 一新築「運用段階」につ
新築分譲マンション
いて「参照値」より 5%以上環境性
能が高いレベルを目指す。
46
自社仕様ビルのエネル 2005
2015 年度は 15%、
2020 年度は 20%
ギー消費量
下回ることを目指す。
日本ビルヂング協会連 (「温室効果ガス排出 2005
約 20%削減
合会(オフィスビル)
(1,990 年比で約 40%削減)
量」)
ただし、管理ガイドライン(93 項
目)の対策を実施し、電力の CO2
の排出係数の低下を加味しない場
合
運 輸 部 門
47
1990
20%削減
全日本トラック協会
「輸送重量・距離」当 2005
22%削減
(営業用トラック)
たりの CO2 排出量
定期航空協会
RTK(有償トンキロメ
0.00095t- CO2/RTK
ートル)あたりの CO2
(2020 年度 BAU 比 0.00116T-
排出量
CO2/RTK)
日本船主協会
輸送単位あたりの CO2
排出量(平均値)
48
49
50
日本内航海運組合総連 CO2 排出量
1990
合会
64
590 万 t/ CO2 削減(31%削減)
51
日本民営鉄道協会
「車両・走行距離」当 2010
5.7%削減
たりの電力使用量
53
西日本旅客鉄道株式会 エネルギー消費量
2010
社
エネルギー消費原単位:3%削減
当社全体のエネルギー消費量:2%
削減
在来線運転用および駅オフィス等
のエネルギー消費量:9%削減
55
全国通運連盟
「 温 室 効 果 ガ ス 排 出 2009
約 11%削減 (2010 年までに 1998
(集荷車両)
量」
年比で約 15%の削減済)
②事業者向けエコマニュアルの活用
事業者向けエコマニュアルは神戸市が作成した資料で、省エネ対策をこれから取り組まれる事業
者を対象に、初期費用ゼロ型から運転管理・機器更新型など種々の対策のほか、省エネ実践事例、
各種補助制度等を紹介しています。
(神戸市ホームページ掲載アドレス
http://www.city.kobe.lg.jp/life/recycle/environmental/heat/index_biz.html )
③市内中小事業者の節電推進事業(電力診断)の活用
昨今の厳しい電力需給状況に対応するとともに、中小企業の節電を促進することを目的として、
中小企業を対象に無料で電力診断及び簡易、安価な改善策の提案を行う節電推進事業の受診を促し
ます。
(神戸市ホームページ掲載アドレス
http://www.city.kobe.lg.jp/life/recycle/environmental/heat/denryokushindan.html )
④ボイラー等の燃料転換の推進
二酸化炭素の排出量が低減できるように燃料転換を推進します。つまり、ボイラー等で使用する
燃料の種類を石炭、重油から天然ガス(都市ガス)
、さらにはバイオマスなどの再生可能エネルギ
ーなどに換えることで、同一熱量を得るのに発生する二酸化炭素の量を大幅に削減することができ
るので(単位熱量当たりの二酸化炭素排出量を石炭で 1.0 とすると仮定すると、石油では 0.8、天
然ガスでは 0.6 の発生量となる。
)
、使用燃料を二酸化炭素排出量の少ない燃料に転換します。
さらに、燃料転換と合わせて、高効率ボイラー等の高効率機器やコージェネレーション設備の導
入を行い、さらなる温室効果ガスの削減を行います。
⑤兵庫県条例・要綱に基づく特定物質排出抑制計画・報告制度の運用
ア.兵庫県条例に基づく特定物質排出抑制計画・報告制度
兵庫県では「環境の保全と創造に関する条例」に基づき、平成 15 年 10 月から、一定規模以上
の事業所又は運送事業者を対象として、特定物質(温室効果ガス)排出抑制計画書及び措置結果報
告書の提出を義務付けています。県内の該当事業者は、この計画に基づき、積極的に対策を推進し
ていきます。
この制度は、平成 26 年 6 月に、
「第 3 次兵庫県地球温暖化防止推進計画」
(平成 26 年 3 月策定)
に基づき、以下の通り制度の改正を行っているので、その変更内容に応じて対応します。
65
兵庫県条例に基づく特定物質排出抑制計画・報告制度の概要と見直し
【概要】
燃料、熱、電気の使用量が原油換算で一定規模以上の事業所に対し、条例に基づき排出の抑
制に係る目標を含む特定物質(温室効果ガス)排出抑制計画の作成・提出及び措置結果の報告を
義務付けている。
【見直し】
①対象事業所
これまでの燃料、熱及び電気の使用量合計が原油換算 1,500kL/年以上使用事業所に加えて、
大気汚染防止法のばい煙発生施設を設置する 500kL/年以上使用事業所も本制度の対象とする。
また、排出抑制計画・報告制度と温暖化アセス制度を一体的に運用するための、温暖化アセス
制度の対象事業所等を排出抑制計画・報告制度の対象に追加する。
②公表制度
各主体の参画と協働による連携の推進と情報の共有化を図るため、排出抑制計画、排出実績
及び主要措置について、事業者ごとに県が個別に公表する。
イ.兵庫県要綱に基づく特定物質排出抑制計画・報告制度の概要と見直し
上記兵庫県条例の対象に該当しない事業所は、以下で示す兵庫県要綱で規定された特定物質排出
抑制計画・報告制度のもとでの対策を推進していきます。
兵庫県要綱に基づく特定物質排出抑制計画・報告制度の概要と見直し
【概要】
大気汚染防止法のばい煙発生施設を設置し、燃料、熱、電気の使用量が原油換算で一定規模
未満の中小規模の事業所に対しては、要綱に基づき排出の抑制に係る目標を含む特定物質排出
抑制計画の作成・提出及び措置結果の報告について指導する。また、条例に準じた目標設定の
考え方等について見直しを行う。
【見直し】
対象事業所
対象事業所を、これまでの大気汚染防止法のばい煙発生施設を設置し、燃料、熱及び電気の
使用量合計が原油換算 1,500kL/年未満使用事業所から、大気汚染防止法のばい煙発生施設を設
置する 500kL/年未満使用事業所に変更する。
66
(参考) 見直し前後における対象事業所と公表方法の変更点
兵庫県条例および兵庫県要綱の見直し前後における対象事業と公表方法の変更点は以下の通りになり
ます。
67
(3)行政の取組み
1.部門別の施策・対策
「市域の削減目標」を達成するため、本市が主体となって推進することが必要な施策を、次の施策
体系により、実施していきます。
産業・業務部門
A.エネルギー使用量の削減、エネルギー利用効率の向上
(1)事業者における温室効果ガスの削減対策の推進
①KEMS(神戸環境マネジメントシステム)の取得事業者の拡大
KEMS(神戸環境マネジメントシステム)は、PDCA サイクルを基本とし、費用・労力等の点で
ISO14001 より取り組みやすい神戸独自の環境マネジメントシステムで、これまで幅広い事業者に
普及を図ってきました。このシステムは、温室効果ガスの排出削減にも効果があることから、中小
事業者を中心に一層の普及拡大を推進します。
②中小事業者の省エネルギーの推進
中小事業者の省エネルギー対策を推進するため、省エネの診断を行う無料電力診断の実施や、省
エネセミナーの開催、省エネ対策をまとめた事業者向けエコマニュアルの作成等の普及啓発を行っ
ており、今後もこれらの取組を充実していきます。
さらに、KEMS の取得事業者の拡大を図るとともに、中小事業者が有する技術を新たに支援する
制度を検討していきます。
【コラム4】KEMS(神戸環境マネジメントシステム)
KEMSとは、PDCAサイクルを基本とした具体的で取り組みやすい、神戸独自の環境マネジメン
トシステムです。事業者が環境保全活動に持続的に取り組むとともに、その
取り組みによってコスト削減などのメリットにつながることをめざしています。
環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001よりも取得に
かかる費用や労力を低減しています。主に中小規模の組織を対象と考えており、
KEMSの普及により、環境保全活動の裾野の広がりを期待しています。
平成 26年 12月時点で、552の組織がKEMSの認証を取得し
(累計では 716)
、環境保全活動に取り組んでいます。
(2)環境保全協定締結事業者の拡大とグリーンカンパニーネットワークを通じた環境配慮活動の推進
事業者の自主的な取組による CO2 排出量の削減を推進するため、
「神戸市民の環境をまもる条例」
に基づき、
大規模工場やエネルギー消費量が多い事業者等との環境保全協定の締結を進めていきます。
また、環境保全協定締結事業者、神戸商工会議所環境対策委員会、神戸地区環境保全連絡協議会で
構成するグリーンカンパニーネットワークを通じて、環境保全に関する講習会の開催のほか、事業者
の先進的な取り組み事例の市ホームページ等での公表や表彰制度の実施など、省エネの取組を積極的
に支援し、協働による環境配慮活動を推進していきます。
68
【コラム 5】環境保全協定
本市では、市と事業者が協働し、従来の公害防止対策にとどまらず、
省資源・省エネルギー、地球温暖化防止等、総合的な環境保全活動を
推進していくため、平成 6 年 3 月の「神戸市民の環境をまもる条例」
の全面改正時に、環境保全協定の締結に関する規定を設け、協定締結
事業者の拡大を図っています(平成 26年 12月末現在、111事業
者と協定締結)
。協定の内容は、協定締結事業者は、公害防止対策、環
境保全活動や総合的な環境保全活動を自主的に推進することや、市の
行う環境保全施策への協力、環境管理体制の整備を図ること、それに
対して、本市は、環境保全に関する施策の策定及び実施、協定締結事
業者に対する支援(情報提供、環境保全活動の紹介)を行うことなど
を規定しています。
特に地球温暖化対策に関して、本市と環境保全協定締結事業
環境保全協定締結の記念楯
者との間で、CO2 排出削減目標の設定、削減対策、達成状況の報
告・公表等を行う規定を盛り込み、市と事業者との協働による温暖化対策を推進しています。
また、平成20年度からは、エネルギー消費量が多い省エネ法対象事業者にも、協定の締結を働きかけ、
新たに協定締結を進めています。
協定締結事業者に対する支援としては、環境保全講習会の開催(年 2 回)
、協定締結事業者の環境保全
に関する取組を市のホームページ等で情報発信するなどを行っているほか、6月の夏至の日及び7月 7
日の七夕には、環境省が推進する「ライトダウンキャンペーン」を市と事業者の協働で実施しています。
(3)「こうべ旬菜育成推進事業」の推進
安全・安心な野菜の供給、環境負荷軽減を目的に実施している「こうべ旬菜育成推進事業」を更に推
進することで、施肥により発生する温室効果ガスの削減を図るとともに、インターネット等を利用し
た情報発信、市内小売店・飲食店とのマッチング、直販所の活用など、多様な販路を確保することで
地産地消を推進し、フードマイレージ(食糧の輸送に伴う温室効果ガスの排出量)の削減を進めます。
69
B.建築物の省エネ性能の向上、省エネ機器の普及促進
(1)民間建築物
①CASBEE 神戸でのB+ランク以上の取得
建築物の環境性能を総合的に評価する CASBEE 神戸の結果公表、すまいの環境性能表示の義務
化により、B+以上の評価への誘導を図るとともに、長期優良住宅や低炭素建築物の認定制度につい
て普及啓発を行い、制度の利用促進を図る。
【コラム6】CASBEE 神戸
住みよい暮らしを支える質の高い住宅であっても、冷暖房の消費エネルギーが増え、地球温暖化に
つながるのであれば、望ましくはありません。そのため、
「住みやすさ」と「環境への配慮」の両面の
バランスのよさを総合的に評価する取組が進められています。
CASBEE(Comprehensive Assessment System for Building Enviromental Efficiency)
とは、建物の環境配慮の取組を、総合的に評価し、格付けする仕組みで、国土交通省の支援の下、産
官学共同プロジェクトにより開発された「建築環境総合性能評価システム」です。
本市でも、平成 18 年 8 月より、神戸市建築物総合環境評価制度(CASBEE 神戸)を実施してい
ます。これは、延床面積 2,000 ㎡以上の新築等を行う場合に、建築主が CASBEE を使用して、建
築物の総合的な環境性能を自己評価し、届出された評価結果を市が公表する制度で、建築主の環境に
対する自主的な取組を促しています。
さらに平成 22 年 11 月より、住宅の新築にあたり、建築主が CASBEE 神戸により評価し、その
総合評価と評価項目の中で特に重要な環境性能(地球温
暖化への配慮、建物の断熱による省エネ等5項目)の評価
結果を広告物(新聞やチラシなど)にラベルの形で表示で
きる「神戸市すまいの環境性能表示」を開始し、平成 25
年 7 月からは延床面積 2,000 ㎡以上の集合住宅に対する
表示を義務化しています。
②民間建築物・住宅の省エネ化の促進
建築物、住宅における省エネ化について、省エネ診断の実施、相談窓口での助言を引き続き推進
するとともに、
「うちエコ診断」や省エネ化に対する国の補助制度などについて、建築物所有者、テ
ナント両方への情報提供に努める。
(2)公共建築物、公共施設等
■ 低炭素化の推進、ESCO 改修等
■ 高効率機器の導入
■ 道路等の基盤施設への環境に配慮した技術の導入
70
C.環境に配慮したビジネスの推進
(1)グリーン購入の推進
製品やサービスを購入する際に、その必要性を十分に考慮し、購入が必要な場合には、できる限り
環境への負荷が少ないものを優先的に購入するグリーン購入の取組みを推進します。
(2)カーボンオフセットの推進
■ 事業者に対し、神戸市民の住宅用太陽光発電、家庭用燃料電池の設置による温室効果ガス削減量を
市が取りまとめてクレジット化する「こうべ CO2 バンク」等のクレジットの購入を働きかけるなど、
事業者によるカーボンオフセットの取組を推進します。
■ また、
市民等が省エネに取り組む
「こうべ省エネチャレンジ」
による温室効果ガス削減についても、
削減量に応じて事業者から環境教育の資金を提供いただく仕組みを検討していきます。
■ 本市が開催、関係するイベントについても、温室効果ガスの排出量を認識し、主体的に削減する努
力を行うとともに、クレジットの購入、グリーン電力証書の活用等によるカーボンオフセットの導
入を推進します。
D.環境産業の育成支援
(1)エネルギー関連分野の産業振興
「低炭素社会」の実現に貢献する交通インフラやエネルギー関連分野(鉄道車両、造船、原子力発
電関連機器、高効率発電設備、再生可能エネルギーなどの新技術)に関する産業の集積強化及び振興
を進めます。
(2)製品開発のためのインセンティブの検討
■ 低炭素社会の実現に向けた製品開発への支援制度の検討や再生可能エネルギーを活用した先駆的
な取組に対する社会実験等により、新たなビジネス環境の創出などを進めます。
■ 製品開発のためのインセンティブの検討や低炭素に関する都市システム(スマートグリッド等)の
導入を検討します。
(3)産官学連携による新たな環境技術の開発・実証試験等の推進
技術のイノベーションを図っていくため、産官学の連携により、新たな環境技術の開発・実証試験
等を推進し、新たな低炭素社会の構築を推進していきます。
71
家庭部門
A.エネルギー使用量の削減、エネルギー利用効率の向上
(1)家庭における削減対策の推進、取組の支援
①「もったいないやん!宣言」の拡大による省エネ活動の推進
■ 家庭部門における温室効果ガスの削減の取組を推進するため、これまでから取り組んでいる「家
庭版エコマニュアル」の活用促進や「わが家のもったいないやん!宣言」に参加いただく市民の
輪を広げる運動を更に推進し、全ての世帯が宣言して、削減の取組が実践されるように働きかけ
ていきます。
■ さらに宣言だけでなく、市民が家庭で環境に配慮した取組を実践した効果を評価し、その結果を
フィードバックする「温室効果ガスの削減効果の見える化の仕組み」や家庭での省エネ診断制度
等を導入することを通じて、市民の取り組み意欲を高め、家庭部門における温室効果ガスの排出
削減を推進していきます。
「もったいないやん!宣言」拡大のイメージ
②「緑のカーテン事業」の全市展開
「緑のカーテン」は、ゴーヤ、ヒョウタンなどの蔓性植物を
窓際に繁茂させることで日陰をつくり、室温を下げる効果があ
ります。また、植物を育成することや植物をテーマとした環境
学習を行うことを通じて、子どもたちに環境を大切にする心を
育むことが期待されます。
そこで、家庭や市民団体による「緑のカーテン」の育成を全
市に広げ、植物を活用した温室効果ガスの削減を推進します。
緑のカーテンの設置例(本庁舎)
③こうべ省エネチャレンジによる環境配慮行動の推進
市民・事業者の省エネ・創エネ機器導入等の環境配慮行動による温室効果ガス削減量をクレジッ
トとして活用する「こうべ CO2 バンク事業」の取組みの一つとして、家庭や事業所等で電気・ガス
の使用量削減による省エネに取り組んでいただき、前年同月より削減できた方等に協賛企業からの
記念品を提供する「こうべ省エネチャレンジ」を、夏と冬の節電期間にあわせて実施し、環境配慮
行動の実践と定着を図ります。
なお、この取組により削減された温室効果ガス削減量を神戸市が取りまとめ、削減量に応じて事
業者から環境教育の資金を提供いただく仕組みを検討し、市民の環境配慮行動が環境教育を通じて
市民に還元される仕組みの構築をめざします。
72
④学校エコマニュアルキャラバン隊事業をはじめとする学校や地域での地球温暖化に関する環境教育の推
進
■ 小学生用に作成した「神戸市くらしのエコチェック」に省エネルギーに関する事項を盛り込み、
NPO との協働により実施する「学校エコマニュアルキャラバン隊事業」を拡充して、子どもた
ちの「気づき」
「考え」
「行動する」契機とするとともに、
「神戸市くらしのエコチェック」に取り
組む小学校の拡大を図ります。
■ こうべ環境未来館などでの親子向け環境学習講座や学識経験者・企業・NPO などの協力による
大人向け講座「KOBE 環境大学」
、出前トークなどにより、市民の自主的な学習活動を支援する
とともに、地球温暖化問題に関する最新情報の発信を推進します。
⑤事業者と連携した地域の低炭素化の推進
環境保全協定を締結している事業者等と協働し、事業者自ら(産業・業務部門)の温室効果ガス
削減とともに、環境教育イベントの実施等により地域住民の環境意識の向上を図り、家庭部門の温
室効果ガス削減を促進することで、
地域全体の低炭素化をめざす公民連携の取組を進めていきます。
平成 27 年度より、市内商業施設と連携し、マイバッグ持参率に応じたエコセールの実施や環境教
育イベントの開催、店舗内の啓発展示等により、来店者・地域住民の環境配慮行動促進をめざすモ
デルプロジェクトを実施し、その成果を検証して、他の商業施設等への展開を図っていきます。
⑥エコタウンまちづくりの推進
地域の住民が主体となって、概ね小学校区を活動範囲として、地域ぐるみで環境にやさしいまち
づくりに取り組む「エコタウンまちづくり」の全市展開を目指して、市民との協働と参画により、
「地球温暖化防止」を含めた幅広い取組を推進します。
あわせて、「エコタウン情報交換会」や「KOBE エコ市民だより(エコエコ)」等を通じて、活
動事例紹介等を行い、ネットワークづくりを促進します。
【コラム7】もったいないやん!宣言
市民一人ひとりが地球環境問題に取り組むため、市民・事業者・学識経験者
など様々な立場からの代表者で構成する「神戸市地球環境市民会議」と協働で、
「もったいないやん!KOBE 運動」を展開しており、地球温暖化を家庭から
防止していくために、家庭での省エネ行動の目安となる取組目標や部屋別の取
組メニューを提示した「家庭版エコマニュアル」の普及を図るとともに、家庭
で取り組みやすい 12 のエコライフメニューを実践することで取組の輪を広げ
ることを目指した「わが家のもったいないやん!宣言」を、NPO との協働と
参画により結成したエコマニュアルキャラバン隊による地域団体等への説明
会やイベントでのPRを通じて、広く呼びかけています。
また、小学4年生を対象とした環境学習教材「くらしのエコチ
ェック」を活用し,
「家庭版エコマニュアル」の学校教育を通じ
た普及啓発を実施しています。
更に、地域団体が主体となって取り組む「わがまちもったい
ないやん!宣言」制度についてもエコタウンを通じて呼びかけて
います。
73
【コラム8】緑のカーテン
「緑のカーテン」とはゴーヤやアサガオなどつる性植物を窓側に繁茂させることにより、日陰を生み
出し、室温をさげることでエアコンの使用を減らし、地球温暖化の原因となる CO2の排出量を削減し
ようとする取組です。本市では、学校園や地域福祉センターなどを拠点に地域ぐるみで植物の育成や
環境学習を行うことを通じて、環境を大切にする心の育成を図るとともに、室温の低下を体感するこ
とで地球温暖化対策の重要性を理解してもらう契機とすることを目的として普及に努めています。長
田区が先行して実施した成果や、優れた取組を活かして、全市に取組を拡大していきます。また、
「段
ボールコンポスト」を活用し、生ごみから再生した堆肥を使用した緑のカーテンの育成を図るなど、
他の施策とも連携して市民主体の取組が広まるよう努めていきます。
【コラム9】環境学習
市民一人ひとりが環境に配慮した活動をする「エコ市民」の育成に向けて、本市では市民の環境学習
の機会を広げています。
平成 16 年に開館した「こうべ環境未来館」
(西区見津が丘)は、
全市的な環境教育・環境学習の拠点として、情報発信や市民の意
識啓発を行い、学校教育や市民の環境学習の場として幅広く活用
されています。ごみの減量・資源化(3R)に関する展示や、再
生品のリユースコーナー、ビオトープでの生きものとのふれあい
など、気軽に楽しめる施設内容に加えて、併設された神戸市資源
リサイクルセンターの見学案内も、ごみの分別・資源化に対する
意識啓発の機会として多く利用されています。
また、小学生と保護者を対象として開催している環境学習講座
「こうべエコちゃれゼミ」では、企業やNPOの協力も得ながら、
施設見学会、省エネ実験、生きもの観察など様々なテーマを取り
上げ、家族で環境について考えるきっかけづくりを行っています。
さらに、平成 3 年から開催している「KOBE環境大学」で
は、大人を対象に、身近な生活の中から環境問題に気づき、理解
を広げる講座を開催し、知識を深めるとともに実践活動への参加を働きかけています。
74
(2)省エネ活動の普及啓発の実施
現在、環境問題に詳しい NPO と協力して、市内のイベント等で、省エネ活動の実施を呼びかけてい
る「エコマニュアルキャラバン隊」事業を引き続き継続し、省エネ活動の普及啓発に努めていきます。
(3)国・県等の施策との連携による温室効果ガス削減の推進
国や県が実施する温室効果ガスの削減対策等との連携を図り、温室効果ガスの削減の取組を推進し
ます。
B.住宅の省エネ化、高効率機器の導入促進
(1)CASBEE 神戸の積極的な活用、神戸市住まいの環境性能表示の普及促進(再掲)
(2)長期優良住宅の普及促進等(再掲)
(3)家庭の省エネ診断、省エネ対策の助言・指導、改修の推進
環境省の家庭エコ診断制度(うちエコ診断)を実施している兵庫県と連携して、イベント等でうち
エコ診断制度を周知し、家庭の省エネ対策を進めていきます。
(4)省エネルギー機器の普及促進
家庭で使用される機器の省エネルギー化を推進するため、特に、エネルギーの使用割合が多い給湯
器、照明、家電製品等について、省エネルギー機器の普及促進を図っていきます。
「スマートな省エネ」を推進するため、西神南地区において、民間事業者(トヨタホーム近畿㈱)
が HEMS を導入するなど環境に配慮した良好な戸建住宅地づくりを行っており、神戸市と連携して
HEMS の普及啓発に取組んでいます。
運輸部門
A.自動車対策
(1)自動車から排出するCO2削減に係る総合的対策の推進
①総合交通計画の推進
神戸市総合交通計画(2013 年 9 月策定)に基づき、人口減少・超高齢化の進行や地球環境問題
などを踏まえ、すべての人にやさしくくらしやすいまち、持続可能な、魅力・活力あるまちを実現
するため、公共交通を中心に歩行者、自転車、自動車などがバランスよく組み合わされた、安全で
快適な交通環境の形成を目指します。交通施策の基本方針として、①公共交通中心の交通ネットワ
ークの維持・充実、②地域のくらしを支える交通環境の形成、③都心・観光地における魅力的な交
通環境の形成 の 3 つを掲げ、めざす交通環境の実現に向けた取組みを進めていきます。
②公共交通機関への転換の促進、利用しやすい環境づくりの推進
■ マイカー利用から公共交通機関への転換を図る動機づけとなるよう、エコファミリー・エコショ
ッピング制度を引き続き実施します。
■ IC カードの利用を推進し、公共交通機関を利用しやすい環境づくりを推進するとともに、ホー
ムページの充実、市バス路線の PR、地下鉄駅ターミナル周辺のバス情報案内の充実など、公共
交通機関を利用しやすくする情報提供を推進します。
また、
乗り継ぎ機能の強化を行うとともに、
需要に応じた路線・ダイヤの設定・見直しを行い、利用者の利便性の向上に努めます。
■ 次世代型路面電車を用いた LRT や連節バス等を用いた BRT は、段差が少なく地上レベルで乗
75
車可能な、人や環境にやさしい公共交通機関であり、新たな交通手段として導入可能性の検討を
進めます。
③モーダルシフトの推進、神戸港の低炭素化
■ 阪神港が国の「国際コンテナ戦略港湾」として、トラックによる陸上輸送から内航フィーダー、
内航フェリーなどを活用した海上輸送へシフトする「モーダルシフト」を更に推進することで、
温室効果ガスの排出削減を進めます。
■ 現在、自動車が担っている旅客・貨物の輸送については、バスや鉄道など、温室効果ガスの排出
が少なく、輸送効率のよい交通手段への転換を促進するような施策を推進していきます。
■ 停泊中の船舶への陸電供給、荷役機械の省エネ設備の導入、集約的な物流拠点の整備、共同集荷・
配送による配送車の稼働率の向上など、神戸港における環境負荷を低減する取組を推進します。
④次世代自動車の普及促進
■ 公用車への率先導入、事業者への助成、インフラ整備、普及啓発を
施策の柱に次世代自動車の普及を促進し、2020 年度に神戸市内の
電気自動車(EV)
、プラグインハイブリッド自動車(PHV)併せて
累計 3 万台の達成を目指します。
■ 電気自動車の走行を支える市内の充電設備網の整備を進めます。
■ 2014 年 3 月に発足した
「神戸市 FCV 導入促進協議会」
を通じて、
2014 年に世界に先駆けて日本で市販された燃料電池自動車の普及
電気自動車と充電施設
を推進します。
(こうべ環境未来館)
⑤自転車の利用環境の整備
■ 環境にやさしい自転車の利用環境の向上を図るため、
本市の都市部を東西につなぐ路線などから、
順次、自転車走行空間の整備を進めていきます。
■ 都心・ウォーターフロント研究会の提言を受けて、ウォーターフロントにおいて自転車の活用を
推進していくことで、回遊性の向上とあわせて、低炭素な交通手段の普及を図ります。
自転車レーン(国道 28 号)
《参考》自転車走行空間の整備形態(一例)
76
⑥環境に配慮した物流の推進
ア.グリーン配送推進運動の展開
事業者との協働により、走行距離が長い配送用車両を「グリーン配送適合車」
(電気自動車、天然
ガス自動車、ハイブリッド自動車などの次世代自動車や燃費効率の高い自動車が対象)へ転換し、
エコドライブを実践する「グリーン配送推進運動」を幅広く展開します。
イ.地産地消の推進
「こうべ旬菜」など地場産の農水産物を、インターネット等を利用した情報発信、市内小売店・
飲食店とのマッチング、直販所の活用など、多様な販路を確保することで地産地消を推進し、フー
ドマイレージ(食糧の輸送に伴う温室効果ガスの排出量)の削減を進めます。
【コラム 10】次世代自動車の普及促進
本市では、環境性能に優れた次世代自動車※の普及を進めるため、
(1)公用車への率先
導入、
(2)事業者への助成、
(3)電気自動車用急速充電器などのインフラ整備、
(4)普
及啓発 を柱に取り組みを進めています。
(1)公用車への率先導入
平成 20 年 11 月に「公用車への次世代自動車の導入基準」を改正し、乗用車・バンタ
イプの公用車については原則、次世代自動車を導入することを定めました。
平成 25 年度末で、乗用車・バンタイプの次世代自動車の導入率は 10.8%(公用車全体
では 18.4%)ですが、平成32年度までに 100%導入を目指し、率先導入に取り組んで
いきます。
(2)事業者への助成
国・県と協調し、民間事業者に次世代自動車の購入又はリース費用の一部(基準車との
差額の 1/6 相当額で 100 万円が上限)を助成する補助制度(神戸市次世代自動車普及促
進補助制度)を設けており、平成 25 年度は 48 件の助成を行いました。
(3)電気自動車用急速充電器などのインフラ整備
平成21~23年度にかけて、電気自動車(EV)の走行に欠かせない急速充電器を面的に
11 箇所整備し、
平成 25 年度末で民間での設置を含めて 30 基が一般に供用されています。
一方、平成 26 年 12 月に世界に先駆けて国内で販売された燃料電池自動車(FCV)に
欠かせない水素ステーションについては平成26年3月に立ち上げた「神戸市 FCV 導入促
進協議会」での議論を踏まえ、整備を推進していきます。
(4)普及啓発
毎年5月に「エコ&セーフティ神戸カーライフフェスタ」を開催する(平成 26 年度の
来場者数 51,300 人)ほか、市が導入した次世代自動車を人が多く集まる市内のイベント
に出展しています。
※次世代自動車…燃料電池自動車、電気自動車など、二酸化炭素や大気汚染物質の排出
量が少ない環境性能の優れた自動車の総称。
77
【コラム 11】コミュ二ティサイクル「Kobe Linkle(こうべリンクル・略称こべリン)
」
コミュニティサイクルとは、従来のレンタサイクルとは異なり、複数の自転車貸出・返却拠点を設
置し、どの拠点でも貸出・返却が可能な新たな交通システムです。
自転車を複数の人により共同利用するコミュニティサイクルは、パリ市で本格導入されている
「Velib’(ヴェリブ)
」をはじめ欧州や北米、アジア等の各都市での普及・展開、あるいは国内でも各
都市で社会実験や導入が進められるなど、環境にやさしい新たな利用形態による「公共交通システム」
のひとつとして、近年注目されています。
神戸市では、都心・ウォーターフロントにおける回遊性を向上させる取り組みとして、コミュニテ
ィサイクル事業を実施する事業者を公募しました。平成 27 年 3 月より事業者により運営が開始され
ます。
神戸市のコミュニティサイクルの名称は「Kobe Linkle(こうべリンクル・略称こべリン)
」です。
Kobe(神戸)と Link(リンク・つなぐ)と Cycle(サイクル・自転車)の合成語で、場所と場所を
つなぐ、人と人をつなぐコミュニティサイクルをイメージして命名されました。
Kobe Linkle の自転車貸出・返却拠点(ポート)は、開始当初は下記 6 箇所に設置します。今後
は主に都心・ウォーターフロントにおいてポートを増設していく予定です。
貸出する自転車は、神戸の坂にも対応した電動アシスト自転車です。
78
【コラム 12】エコドライブの普及促進
エコドライブとは「ふんわりアクセル」などの燃費が向上する車の運転方法のことで、走行距
離あたりの排気ガスを減らし環境に優しいだけでなく、交通安全やガソリン代の節約にもつなが
ります。
国のエコドライブ普及連絡会(警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省)はエコドライブの
実践方法を
「エコドライブ10のすすめ」
として 10 個のキーワードと共に普及を図っています。
本市でも、エコドライブをテーマの一つとした「エコ&セーフティ神戸カーライフフェスタ」
を毎年5月に環境省・JAF と共に開催するとともに、事業者を対象にしたエコドライブ実車講習
会の開催や自動車教習所の卒業生へのちらし配布などにより、エコドライブの普及に努めていま
す。
「エコドライブ 10 のすすめ」
1.ふんわりアクセル「eスタート」
2.車間距離にゆとりをもって、
加速・減速の少ない運転
3.減速時は早めにアクセルを離そう
4.エアコンの使用は適切に
5.ムダなアイドリングはやめよう
6.渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
7.タイヤの空気圧から始める点検・整備
8.不要な荷物はおろそう
9.走行の妨げとなる駐車はやめよう
10.自分の燃費を把握しよう
【コラム 13】エコファミリー制度、エコショッピング制度
交通局では、マイカー利用から公共交通への転換を図る動機づけとなるよう、
「エコファミリー制度」
を導入し、拡充するとともに、
「エコショッピング制度」を積極的に実施しています。
〔エコファミリー制度〕
休日に買い物等で増加するマイカー利用から公共交通への転換を図るため、大人が同伴する場合
に小学生以下 2 人まで市バス・地下鉄の料金を無料にする制度。
適用日:土曜・日曜・祝日、夏休み期間(7/21~8/31)
、
年末年始(12/25~1/7)
〔エコショッピング制度〕
公共交通を利用して提携店舗・施設等を訪れたお客様に、割引等のサー
ビスを提供する制度。
エコファミリー制度は、2003 年(平成 15 年)10 月~2014年(平成
26年)3月末までで、およそ 1,146 万人の小学生に利用されています。エ
コショッピング制度では、2004 年(平成 16 年)3月~2014 年(平成
26 年)3 月末までで、569 店舗と提携し、合計約 33,000 人の利用があ
りました。
79
(2)交通流対策の推進
自動車利用への対応策として、バイパス整備、交差点改良、踏切対策などによる道路の渋滞解消、
交通流の円滑化を図ります。
(3)新たな取組の推進
①新たな次世代自動車普及に向けた実証試験の実施
次世代自動車の技術開発の動向にあわせて、燃料電池自動車などの新たな次世代自動車の実証試
験を積極的に実施します。
■ 超小型モビリティを活用した新たな交通手段
・CO2 削減に有効な「超小型モビリティ」の活用促進に向けた実証事業等を事業者と市が連携して
進めます。
・2013 年 3 月、国土交通省「超小型モビリティ導入促進事業」に六甲・摩耶山上エリアの「超小
型モビリティの観光レンタル事業」が選定され、同年 10 月より、民間事業者(六甲産業㈱)が「ウ
リボーライド」の愛称で事業を開始しました。事業期間(3 年間)を通じて、需要動向等も見極め
ながら更なる事業拡大も検討します。
②自動車の利活用の見直し
ア.パーク&ライド等の拡充
公共交通機関の利用を促進するために、パーク&ライド駐車場などの拡充を図り、公共交通機
関の利便性の増進、利用へ誘導するための施策を推進していきます。
イ.新たな取組の実施
更なる低炭素社会の構築に向けて、1 台の自動車を複数の利用者が共有することで、自動車保
有台数や走行距離を減らすカーシェアリング等の新たな施策を推進していきます。
B.環境に配慮した事業活動(ビジネススタイル)の促進
(1)モーダルシフトの推進(再掲)
(2)グリーン配送推進運動の展開(再掲)
(3)環境に配慮した物流の円滑化、都市内物流の効率化の推進
住宅市街地への大型貨物車の流入を抑制する環境ロードプライシングの実施等により、環境に配慮
した物流の円滑化を推進するとともに、共同集荷・配送システムによる都市内物流の効率化、システム
化を推進していきます。
80
廃棄物部門
(1)分別の徹底と更なる減量・資源化の推進
①廃棄物の減量・資源化の推進
神戸市一般廃棄物処理基本計画の目標(2020 年度:ごみ処理量の 30%削減、資源化率の 35%達
成(2008 年度比)
)の達成に向け、容器包装プラスチック等の分別ルールの順守徹底、新聞紙・雑
がみ・段ボールなど古紙類の資源化の促進、手付かず食品の削減・段ボールコンポストの活用によ
る生ごみの減量・資源化などに重点的に取組むことで、廃棄物の処理過程で排出される温室効果ガ
スの排出削減を図ります。
②学校教育との連携(ふれあいごみスクール)
学校教育の一環として、神戸市内のすべての市立小学校にごみ収集車が出向き、児童や保護者を
対象に、ごみの減量・資源化、ごみ収集車の仕組みや排出ルール、ごみを集める仕事の大切さなど
について学ぶ「ふれあいごみスクール」を学校と連携して充実を図り、子どもたちの学び・考え・
実践する活動へ結び付けます。
(2)生ごみ(厨芥類)の減量・資源化の推進
ごみに最も多く含まれる「生ごみ」の減量・資源化については、家庭では、食材のムダをなくすこ
とや水切りの徹底などの啓発に加え「段ボールコンポスト」の普及に努めるとともに、事業系につい
ても「食品リサイクル法」の効果的な周知に努めていきます。
(3)レジ袋削減の推進
これまで、レジ袋の削減のため、事業者と削減に向けた協定を締結して、削減を進めてきており、
引き続き、協定締結の拡大を図るとともに、レジ袋削減の新たな枠組みの構築の検討を進めていきま
す。
81
【コラム 14】レジ袋削減運動
神戸市では、地球環境問題に対する市民・事業者・行政による三者協働の取り組みを進めるため、市
民運動「もったいないやん!KOBE」運動を展開しておりますが、その一環といたしまして、レジ袋
削減運動に取り組んでいます。
・燃えるごみのうち、約 4,000 トンがレジ袋!
日本では、1 人あたり一日1枚のレジ袋を消費しているといわれており、神戸市においては、年間5
億枚以上のレジ袋が消費されていることになります。
そのうち、約 4,000 トンは、燃えるごみとして排出されており、レジ袋を削減することは、ごみを減
らすことにつながります。
・レジ袋の原料は貴重な石油資源!
レジ袋の原料は石油です。レジ袋一枚当たり、
「大さじ一杯分以上(18.3 ミリリットル)
」の原油が使
われています。一年間に神戸市では、1人あたり約 4.7 リットルの原油を使用していることになります。
・レジ袋を削減しよう!
このように、レジ袋を削減することは、ごみの減量や石油資源の節約だけでなく、製造・焼却にかか
る二酸化炭素の発生を抑制し、地球温暖化防止にもつながります。
また、レジ袋の削減は、ごみの発生抑制(リデュース)の中でも代表的な取り組みであり、買い物と
いう身近な行動を通じて、環境にやさしいライフスタイルへのきっかけとして、循環型社会の構築にも
大きな意義があると考えています。
・レジ袋削減の取り組み
そこで市では、事業者、
「地球環境市民会議」
、市長の 3 者で西区・北区をモデル地域として「レジ袋
の無料配布の中止(有料化)
」協定を締結し、取り組みを進めているほか、レジ袋削減の取り組みを行っ
ている店舗を「ワケトンエコショップ」に認定し、広報を行っています。
あわせて、レジ袋削減の取り組みの一環として、平成 24 年度から、市内の小・中学生を対象とした
「マイバッグ作品展」を実施しており、多くの作品のご応募をいただいています。
お買い物にはマイバッグ♪ レジ袋削減で地球を守ろう!
←マイバッグ作品展優秀作品
82
二酸化炭素吸収源対策
(1)「六甲山森林整備戦略」と計画的な取組
・六甲山の環境保全機能を最大限に活用するため、
「六甲山森林整備戦略」に基づく森林整備を進める
とともに、持続可能な森林整備体制を構築します。
・市有林については、スギ・ヒノキなどの人工林整備に加え、六甲山系の大部分を占めるコナラやア
ラカシ、アカマツなどの二次林の整備のさらなる推進を図るなど、今後も計画的な森林整備を進め
ていきます。
・多様な主体が参画できる仕組みを強化するため、森林整備・所有者調整・資金管理を担うマネジメ
ント組織の設立を目指します。
・六甲山の森林整備により発生する間伐材等の木質系資源について、バイオマス資源としての有効活
用の検討を行います。また「オフセットクレジット制度」導入の可能性についても検討を進めます。
(2)市民・事業者との協働による森づくりの推進
「こうべ森の学校」等を通じて、幅広い市民や企業の参加を促し、適正に管理された森林育成面積
を拡大するとともに、
「企業の森」などの社会貢献活動として森林の保全育成を行う企業の増加を目指
します。
(3)CO2吸収源など六甲山の持つ機能・資源の活用推進(再掲)
六甲山の適切な森林管理を実施することにより、六甲山を新たな森林吸収源と位置付け、カーボン
オフセット制度を活用して、見込まれる CO2 吸収量をクレジット化するとともに、六甲山の間伐材等
を利用したバイオマス発電、森林管理等に必要な財源等について検討を進めます。
(4)恒久的な公園緑地の確保
六甲山系など都市の骨格を形成する貴重な緑地は、CO2 吸収源としての機能もあり、
「みどりの聖
域」として「緑地の保全、育成及び市民利用に関する条例」に基づき、一定の行為制限を行うことや
適正な維持管理を行うことにより、将来にわたって良好に保全します。
また、密集市街地などで公園緑地などのオープンスペースが少なく必要性が高い地域では、公共公
益施設の統廃合などの機会を活用し財政負担が少ない方法によって、身近な都市公園の整備を進めま
す。
各部門共通
(1)「神戸スマート都市づくり計画」の推進
都市において、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量のうち、約5割が都市計画に関連の
深い運輸部門や家庭・業務部門から排出されていると言われています。また、人口減少や少子高齢化
など、都市を取り巻く社会経済情勢が大きく変化し、都市は拡大成長期から成熟期へ移行しており、
83
これからの神戸の都市計画は、現在の都市空間の質を高め、マネジメントすることで、
「都市空間を再
編」していく役割へと転換することが求められており、平成23年3月に策定した「神戸市都市計画マ
スタープラン」では、持続可能な環境配慮型都市をめざし、環境と共生した都市空間の再編に取り組
む必要性を掲げています。
「神戸市都市計画マスタープラン」で示した都市計画の方針を実現するために、神戸の都市空間の特
長を活かして、環境共生の取り組みを支える「土地利用」
、
「都市交通」
、
「エネルギー」
、
「水と緑」を、
神戸市環境基本計画をはじめとした関連分野の施策との連携のもと、総合的・戦略的な施策展開によ
りつくりあげることを目的として「神戸スマート都市づくり計画」を平成24年7月に策定しました。
「神戸スマート都市づくり計画」は、平成22年8月に国土交通省が策定・公表した「低炭素都市づ
くりガイドライン」などを参考にしながら、神戸市全域における低炭素都市づくりにかかる取り組み
の方向性を示しており、CO2排出量の削減とあわせて、ヒートアイランド現象の緩和、生物多様性へ
の寄与といった効果が見込め、さらに、環境共生にむけた取り組みは、
「神戸市都市計画マスタープラ
ン」でめざす都市空間として掲げている、災害に強く安全で、多様なライフスタイルにあわせて誰も
がいきいきと暮らしやすく、活力を創造し、デザインの視点で磨かれた魅力ある都市空間の実現にも
つながっていきます。
「神戸スマート都市づくり計画」では、
① コンパクトな土地利用の誘導
② 人と環境にやさしい交通環境の形成
③ 効率的なエネルギー利用の促進
④ 水と緑のネットワークの形成
⑤ 協働と参画で進める環境マネジメントの導入
の5つの目標を掲げ、それぞれの施策展開の方針と、その実現に向けたモデル地区における先導的な
取り組みを示しています。
今後は、
「神戸スマート都市づくり計画」を本市における都市の低炭素化の基本方針とし、平成 24 年
12 月に施行された「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づく「低炭素まちづくり計画」の策定
についても検討していきたいと考えています。
スマート都市づくり計画の概念図
84
スマート都市づくりの推進方策
①多様な都市機能がまとまった「コンパクトな土地利用」の誘導
■ 多様な用途が共存した市街地を、メリハリをつけて戦略的に形成するため、都心域や連携拠点・
地域拠点などには商業・業務や住宅などの多様な都市機能の集積をはかるとともに、山麓部など
の基盤が不十分な市街地では緩やかな低密度化を誘導します。
■ 生活圏レベルでは、地域の特性に応じるとともに、高齢化にも配慮して徒歩圏内に日常生活を支
える商業、医療、福祉などの生活利便施設が立地した住環境の形成をはかります。
②公共交通を中心とした「人と環境にやさしい交通環境」の形成
■ 自動車から鉄道・バスなどの公共交通への転換をはかるため、地域間における公共交通ネットワ
ークを維持・形成し、その利用を促進します。そして、高齢者にも配慮し、歩いて暮らせるまち
づくりを推進するため、地域内における公共交通や歩行者・自転車を重視した交通環境をめざし
ます。
■ 交通渋滞の解消や交通流の円滑化、次世代自動車の利用の促進など、環境負荷の少ない自動車利
用環境の整備を進めます。
③多様な建築物の集積を活かした「効率的なエネルギー利用」の促進
■ 効率的なエネルギー利用を促進するため、エネルギー消費密度が高い都心周辺や、多様な用途の
建築物が共存している複合機能地などにおいて、建築物・建築設備の更新時期にあわせたエネル
ギー消費の削減と利用効率の向上を促進します。
■ 複合機能地の周辺などに多く存在する未利用エネルギー
(工場や廃棄物処理施設などからの排熱、
下水・河川・海水・地下水の温度差エネルギーなど)の活用や、山麓部の斜面や港湾など神戸の
地形を活かした再生可能エネルギーの活用などを促進します。
④海や山の豊かな自然環境と市街地とをつなぐ「水と緑のネットワーク」の形成
■ 瀬戸内海や六甲山などの豊かな自然環境と六甲山系南部の市街地とをつなぐ水と緑のネットワ
ークを形成するため、結節点となる山麓部や臨海部などにおいて良好な緑を保全・創出するとと
もに、住吉川・石屋川・都賀川・生田川・新湊川・妙法寺川の6河川と、浜手幹線・中央幹線・
山手幹線の3大幹線道路の沿線一帯において、生物や涼しい風の通り道にもなる「環境形成帯」
を創出します。
■ 多くの人が集まる都心周辺などにおいて、水・緑・風を活用した熱環境の改善をはかります。
⑤協働と参画で進める「環境マネジメント」の導入
■ 土地利用や都市交通、エネルギー、水と緑を総合的にマネジメントしていくため、選択と集中に
より優先順位を定め、多様な手法を活用して総合的・戦略的に取り組みを推進するとともに、市
民・事業者との協働と参画により、持続的に環境共生に取り組むわがまち空間づくりを推進しま
す。
■ 環境分野の技術革新などの社会情勢の変化に柔軟に対応できるよう、定期的に計画の検証・評価
と反映を行います。
85
スマート都市づくり
の推進方策
実現に向けた取り組み
多様な都市機能がまとまった
「コンパクトな土地利用」
の誘導
土地利用
公共交通を中心とした
「人と環境にやさしい交通環境」
の形成
都市交通
多様な建築物の集積を活かし
た「効率的なエネルギー利用」
の促進
エネルギー
・都市機能の集積
・用途地域・高度地区・区域区分の見直し
・総合交通計画の策定
・都市計画道路の見直し
・エネルギーの効率的な利用を促す制度等の検討
・モデル地区において、地域ぐるみでの省エネ配慮
の推進
・地区レベルでのエネルギーの面的利用
海や山の豊かな自然環境と
市街地とをつなぐ
「水と緑のネットワーク」の形成
協働と参画で進める
「環境マネジメント」の導入
水と緑
・緑化制度の見直し
・モデル地区において緑化ルール等の検討
協働と参画のまちづくり
86
【コラム 15】都市におけるエネルギーの有効利用の方針骨子
【方針のねらい】
環境配慮型都市づくりをめざして平成 24 年 7 月に策定した「神戸スマート都市づくり計画」では、
目標のひとつに「多様な建築物の集積を活かした『効率的なエネルギー利用』の促進」を掲げており、
その実現にむけた取り組みとして、本方針をとりまとめました。
効率的なエネルギー利用の促進にむけては、建物単体での環境性能の向上やエネルギーの面的な利
用の推進、未利用エネルギーの活用を進めていく必要があります。
そこで、本方針では、建物の新築や増・改築時などに事業者等に実施していただく事項や行政の役
割の方向性などを示し、都市におけるエネルギー消費の削減と利用効率の向上をめざします。
【エネルギーの有効利用のために事業者等に実施していただく事項】
エネルギーの面的利用の検討
E
【再開発など相当規模の面的な整備を行う事業】
・地域冷暖房や建物環のエネルギー融通など、エネルギーの面的利
用の検討
【既存の地域冷暖房区域内の一定規模以上の建物】
・地域冷暖房の受け入れについての検討
効率的なエネルギー利用について検
討を促します。
建物単体での環境性能の向上
CASBEE
+
【都市の社会基盤となるような大規模な建物】
・高い環境性能の確保(省エネ・CASBEE 神戸「A」適合)
・建物の用途等に応じて、先進的な省エネ設備の導入、再生可能エ
ネルギー等の活用、分散型エネルギー源の確保などの検討
【それ以外の建物】
・規模に応じて CASBEE 神戸「B+」以上の取得など
・低炭素化に資する措置などを選択的に実施
(太陽光発電パネル、HEMS、高効率設備機器など)
環境性能の底上げを促します。
CASBEE
CO2
【都市計画制度等を活用して建築制限等の緩和を受ける建物】
・低炭素建築物の認定(住宅においては、省エネ法に定める省エネ
性能の確保や CASBEE 神戸「A」ランク以上の取得
・周辺環境の向上に資する緑化やヒートアイランド対策などの検討
・災害など非常時における安全・安心のために、非常時のエネルギ
ー等の確保や、再生可能エネルギー等の活用などの検討
特に高い環境性能の確保を促します。
未利用エネルギーの活用の検討
【エネルギーの面的な利用などと合わせて検討する事項】
スラッジセンターやクリーンセンター、工場などからの排熱や、
下水、海水、地下水、地中などから得られる温度差エネルギーなど、
神戸の地域特性に応じた未利用エネルギーの活用の検討
E
未利用エネルギーの活用について検討
を促します。
【エネルギー有効利用のための行政の役割】
■情報提供
・未利用エネルギーの賦存場所や活用のための
条件
・環境性能向上に必要な手法・相談窓口・助成
など
■必要な支援制度の検討
・要請規律の緩和・補助金等の助成制度・顕彰
制度など
【既存建築物へのエネルギー性能の向上】
■省エネへの取組の推進
・建物の大規模修繕や設備更新時の環境性能の
向上
・環境性能向上の手法やメリットについて、わ
かりやすい情報提供
87
(2)ヒートアイランド対策の推進
■ 都市排熱によって生じるヒートアイランド現象を低減するた
め、地域冷暖房や発電への活用など、熱の有効利用を推進しま
す。
■ 本市の地形的な特徴である「海と山」からの涼しい風が市街地
を流れる「風の道」を形成するよう、河川及び河川沿いの緑地
の整備をはじめ、街路樹による緑陰空間の確保、屋上緑化、壁
面緑化、緑のカーテンづくりなどを進めます。現在実施してい
る地域やまちかどなどの緑化助成を更に推進していくとともに、
兵庫県条例に基づく建築物の屋上・敷地緑化の届出制度の運用
により、都市緑化を推進していきます。
■ 道路での遮熱性舗装の導入等、環境に配慮した技術の導入を推進します。
■ 微細な霧を用いて周囲の空気を冷やすミスト散布の公共施設への普及促進を図っていくほか、
打ち
水の実施等を通じて、地球温暖化対策の必要性についての市民や事業者の意識を高めるとともに、
ヒートアイランドの緩和を図ります。
【コラム 16】風の道
都市部の気温は、アスファルト舗装、ビルの輻射熱、ビルの冷房の排気熱、車の排気熱などによっ
て、夏になると周辺地域よりも数度高くなります。このように都市部の気温がその周辺の郊外部に比
べて異常な高温を示す現象をヒートアイランド現象といいます。
高温により自然環境が影響を受け、住民の生活や健康にも影響を及ぼすことから、近年問題視され
ています。対策を行わなければ、人口の集中がある場所では例外なく起こる現象で、都市の規模が大
きいほど影響も大きい傾向にあります。
ヒートアイランド現象の対策として、風の道の形成があります。
風の道は、ドイツのシュツットガルトの都市内において、山から市街地まで開放空間を連続的に設
け、風を導くようなルートを確保するためにさまざまな規制を設けたことが始まりでした。
市では、川をさかのぼる瀬戸内海からの海風や六甲山からの涼しい山風が市街地に流れ込むような
風の道を形成するため、街路樹による緑陰空間の確保をはじめ、沿道建築物の屋上・壁面緑化・保水
性舗装、水の活用などを進めます。
また、公園や緑地などのクールスポットからの冷気を都市排熱で風を暖めず、冷涼なままできるだ
け運ぶため、河川と緑地等により水と緑のネットワークを形成していきます。
このような取組を行うことにより、風の道を形成し、市街地におけるヒートアイランド現象の緩和
を図ります。
(3)太陽光発電等の積極的導入(業務・家庭)
温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの導入を促進するため、本市の温暖で降水量の少な
い気候を活かして、公共施設、学校園などへの太陽光発電や太陽熱給湯器等の積極的な導入を推進し
ます。
①太陽光発電「KOBEろっこう・かもめ発電」の推進
ア.市の公有財産(土地・建物)の活用
・神戸市の公有財産(土地、建物屋根)を民間の発電事業者に賃貸して太陽光発電事業を促進して
おり、神戸六甲西発電所 1.5MW(土地、神戸市北区)
、神戸港太陽光発電所 1.2MW(建屋屋根、
88
神戸市東灘区)が建設され、2013 年 9 月より発電を開始しています。また、2014 年には西区布
施畑の土地を貸出し、
2015 年 10 月頃より 1.99MW の太陽光発電施設が発電を開始する予定です。
イ.民間事業者による導入促進
・民間の発電事業者が再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT 制度)を活用したメガソーラ
ーの導入を内陸部、臨海部で進めており、更なる導入促進を図るため、神戸市の HP の活用、セ
ミナーやシンポジウムの開催等を通じて、太陽光発電事業の有用情報を積極的に発信します。
ウ.住宅への太陽光発電の導入促進
・日照時間が長い恵まれた神戸の地域特性を活かし、住宅用太陽光発電システムの導入補助を行っ
てきた結果、2013 年度末に約 1 万 2 千世帯に太陽光発電設備が設置されました。今後も、市の
補助制度等の導入促進施策により、住宅への太陽光発電の導入促進を図ります。
②再生可能エネルギーの有効活用(市民参加型の再生可能エネルギー導入促進)
・市民参加型の太陽光発電に関する先進事例を研究した上で、神戸市内での事業化を検討します。
また、市内には、太陽光発電の普及が期待できる場所(例:農地、ため池、土手など)が多数存
在していることから、小規模ではありますが未利用地における太陽光発電導入のスキームを構築
することで、未利用地における太陽光発電普及にもつなげていきます。
(4)こうべバイオガス事業の拡大
下水の処理過程で発生する消化ガスを精製した「こうべバイオガス」を、天然ガス自動車の燃料
として利用するとともに、都市ガスと同等レベルまで高度精製し導管注入することで、さらなる有
効活用を推進します。
「こうべバイオガス」の一層の利活用を図るため、他のバイオマスを利用した
汚泥の再生エネルギー化の実証実験を進めます。
①「KOBEグリーンスイーツプロジェクト」の推進
下水処理過程で発生する消化ガスを活用する、神戸の独自技術「こうべバイオガス事業」により、
2010 年には日本初の都市ガス導管注入を開始、2013 年度には都市ガスとして 100 万 m3、自動車
燃料として 36 万 m3 を供給しました。さらに、食品製造系バイオマスや六甲山の間伐材など、神戸
の特徴的な地域バイオマスを下水汚泥と混合し、バイオマス増量等をめざす実証研究「KOBE グリ
ーン・スイーツプロジェクト」を、国や事業者との連携により取り組んでおり、将来的には 5,000
世帯分の都市ガス供給を目指します。
②「こうべWエコ発電プロジェクト」の推進
民間の発電事業者(エナジーバンクジャパン㈱)と共同で太陽光発電(発電能力約 2MW)とバ
イオガス発電(発電能力 350kW)で安定した発電事業を行う「こうべ W エコ発電プロジェクト」
を、2014 年 3 月から神戸市垂水処理場で実施しています。本事業により年間、太陽光発電で約 200
万 kWh、バイオガス発電で約 250 万 kWh、計約 450 万 kWh(家庭 1,300 世帯分)の発電が見込
まれ、引き続き、本技術の利用拡大、安定的な電力供給を推進します。
89
【コラム 17】こうべバイオガス事業
本市では年間約 2 億 m3 の下水を処理し、その過程において約 100 万 m3 の下水汚泥が発生していま
す。下水汚泥を全て消化(嫌気性微生物による有機物の分解処理)することで汚泥の減量化・安定化を図
っており、その過程でメタンを主成分とする約 1,400 万 m3 の消化ガスが発生しています。現在 55%を
消化槽の加温や空調設備の燃料として利用し、残りは
未利用のまま焼却処分としていました。
東灘処理場では、消化ガスの活用用途を広げる目的
で消化ガスを高度精製し、天然ガス自動車の燃料とし
て利用する実証試験を 2004 年度(平成 16 年度)
より開始しました。2006 年(平成 18 年)4月から
「こうべバイオガス活用設備」(高度精製装置、中圧
ガスタンク、ガス供給設備)を建設し、2008 年(平
成 20 年)4月1日より、こうべバイオガス・ステー
ションで天然ガス自動車燃料として供給を開始しました。
この事業では、処理施設で排出された下水汚泥から発生
した消化ガスをメタン濃度 98%のバイオ天然ガスに精
こうべバイオガス精製設備
製し、市バスや民間の宅配車など天然ガス自動車へと供
給しています。
2010 年度(平成 22 年度)からは、さらなる活用を
目指し「バイオガス都市ガス導管注入実証事業」を本市、
プラントメーカー、大阪ガスの3者で実施しました。この
事業では既存の精製設備に加えて、熱量調整設備や微量成
分除去設備を設置し、現在大阪ガスが供給する都市ガスと
同等レベルにまで高度精製することにより、都市ガス事業
者の導管網に直接注入し、都市ガスとして需要家に供給し
こうべバイオガス供給設備
ます。都市ガス仕様に精製した下水汚泥由来のバイオガスを、直接都市ガス導管へ供給する試みは日本初
の試みであり、消化ガスの発生量と使用量のアンバランスを吸収し、完全 100%有効利用可能となりま
す。
現在、東灘処理場では、一日あたり約 12,000 m3 の消化ガスから、こうべバイオガス約 6,000 m3
を精製し、そのうち 2,300 m3 を処理場内で利用、1,000 m3 を自動車燃料として供給、2,700 m3 を
都市ガスとして供給しています。(平成 25 年度実績)
本市で発生した下水汚泥を活用し、再生可能エネルギーとして神戸市民が使用する、循環型社会のモデ
ルとして、その効果が期待されます。
本事業を通じて、人類が存続する限り枯渇しない資源であるバイオガスの利用を実証し、低炭素・循環
型社会の構築に貢献していきます。
90
(5)太陽光発電等以外の再生可能エネルギーや未利用エネルギーの活用促進
再生可能エネルギーの利用可能性調査に基づき、木質バイオマスなど、太陽光発電や太陽熱利用以
外の再生可能エネルギーの利用を促進します。
また、小水力発電等自然エネルギーを活用した施設を、効率的発電が可能な箇所へ設置することを
検討するなど、費用対効果を検証しながら CO2 の削減を図っていきます。
(6)分散型エネルギーの有効利用の促進
廃熱など未利用エネルギー等の分散型エネルギーを有効利用するスマートグリッドなどの新技術に
ついて、市内企業と協働して、神戸の地域特性に応じた実証試験やモデル事業の実施に向けて調査研
究を推進します。
■ 家庭用燃料電池(エネファーム)の普及促進
家庭部門の更なる CO2 削減及び分散型エネルギーの導入促進を図るため、高効率なコジェネレーシ
ョン(熱電併給)システムである家庭用燃料電池(エネファーム)の設置に対して、2013 年度より国
に随伴して補助を行っており、2014 年度以降も導入促進を図ります。
(7)国際環境協力の推進
一連の水循環システム・都市整備など本市が蓄積してきたまちづくりの経験やノウハウを活用して、
国際環境協力を推進しています。具体的には、JICA 等を通じた講師派遣や研修生の受入、国外から
の視察等の受入、地元企業等の海外展開の支援などを行って、海外における地球温暖化対策に貢献し
ていきます。
91
2.市の事務・事業における削減に向けた取組み
A.市の事務事業全般
(1)中長期計画(省エネ法)に基づく省エネルギー改修の推進
■ 省エネ法に基づくエネルギー管理指定工場(燃料・熱・電気によるエネルギー使用量が年 1,500kℓ
(原油換算)以上である事業所)を中心に、設備改修に関する「中長期計画」を定め、これを実施
していくことで、エネルギー消費の低減を図ります。
■ 事業場における照明設備の高効率化(LED 照明、インバータ化など)やヒートポンプなどの高効
率機器の導入を進めます。加えて、温室効果ガスの排出が大きい熱源などの設備について、更新の
機会をとらえ最新の機器への省エネルギー改修を実施します。また、再生可能エネルギーを積極的
に導入します。
(2)建築物・施設毎の低炭素化の推進
■ 全市的な視点による維持管理経費の低減、
最適配置と利活用等の施設再編を行うファシリティマネ
ジメント推進の考え方を踏まえたうえで、公共建築物の建築・改修については「公共建築物の建築・
改修指針」
(2011 年(平成 23 年)3 月策定)を参考に実施します。また、ESCO 事業の活用や BEMS
などの導入も含め、建築物の低炭素化を図っていきます。
■ 設備の更新、新設にあたっては高効率設備や LED など最新技術を活用した設備の積極的な導入を
進めます。
■ 街灯の高効率ランプへの切り替え:300W 以上の道路照明灯約 12,000 灯を対象に、CO2 削減効果
の大きい LED 照明灯へ切り替え計画を策定し、順次切り替えを行います。
(3)改修などの機会をとらえた再生可能エネルギーの導入
■ 日照時間が長いという神戸市の地域特性を活かし、
太陽光発電の市関連施設への積極的な導入を行
っており、2013 年度末までに、1kW 以上の太陽光発電を 143 箇所(発電能力合計 5,219kW)に
導入しました。さらに、環境省の補助事業(グリーンニューディール基金)を活用し、2013~2015
年度に学校、公園、市場などの公共施設及び民間施設などに対して、計約 450kW の太陽光発電装
置の設置を計画しています。
■ 公共施設や学校園の耐震補強工事の施工、設備の更新、施設の新設などの機会には、再生可能エネ
ルギー設備の導入を併せて行います。また、施設への太陽光発電設備の設置を推進します。
(4)管理・運用マニュアルの策定と適切な運用
■ 各設備の管理・運転マニュアルである管理標準を、省エネ法対象のすべての施設を対象に策定し、
これを適切に運用することを通じて、最適な日常管理を実践し、エネルギー消費量を低減していき
ます。
■ 「エコオフィス推進の手引き」に基づき、電気、燃料などエネルギーの削減を推進します。
■ 市役所本庁舎、区役所など出先事業所では神戸環境マネジメントシステム(KEMS)など環境マ
ネジメントシステムの効果的な運用により、温室効果ガスの削減を図っていきます。
(5)グリーン購入及び環境配慮型契約の推進
■ グリーン調達等方針において、
本市が独自に対象としている品目
(飲料自動販売機、
グリーン配送、
バイオガス燃料など)の拡充に努めます。
■ 市民・事業者に対し環境物品等に関する情報を積極的に提供するなど普及促進に努めます。
92
■ 本市の環境配慮型契約は、
「電気の供給を受ける契約(入札によるものに限る)
」において実施して
おり、電気事業者に二酸化炭素排出係数、環境負荷低減に関する取組状況により評価する「裾切り
方式」を採用しています。今後、さらに温室効果ガスの排出量を削減できる方法の検討を行います。
(6)カーボンオフセットの導入、グリーン電力証書の活用
■ 市が開催するイベントで発生する温室効果ガスについて、温室効果ガスの排出量を認識し、主体的
に削減努力を行うとともに、削減が困難な部分について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削
減等のクレジットの購入、グリーン電力証書の活用などにより、排出量を埋め合わせるカーボンオフ
セットの導入を推進していきます。
93
B.廃棄物処理事業
(1)事業概要とエネルギー消費(温室効果ガス排出)について
家庭・事業者から排出された一般廃棄物を収集し、資源物(缶、びん、ペットボトル等)の回収、中
間処理(焼却、破砕等)、最終処分(埋立)を実施しています。廃棄物処理事業におけるエネルギーの使
用状況や温室効果ガスの排出状況は次のとおりです。
①クリーンセンター(ごみ焼却施設) 【4施設】
・・・廃棄物の焼却に伴い、 二酸化炭素(CO2) と一酸化二窒素(N2O)を排出しています。
②廃棄物最終(埋立)処分場 【2施設】
・・・埋め立てられた廃棄物中の有機物は、分解されて二酸化炭素またはメタンとして、大気中
に放出されます。木竹類の分解には、約75年かかると言われています。
③その他の排出源
・・・廃棄物等運搬自動車の燃料の使用や破砕・分別設備および事務室等での電気・燃料使用に
伴いCO2等を排出しています。
(2)最終エネルギー消費量(温室効果ガス排出量)の削減目標
■ 最終エネルギー消費量を市長部局の事業全体として、2020 (平成32)年度までに2005 (平成17)年度
比で32.1%削減します。(上記目標値には、間接的削減量を含みます。)
■ また、非エネルギー起源の温室効果ガス排出量を2020(平成32)年度までに164,510t-CO2以下に削
減します。(2005(平成17)年度の実績値は、307,567t-CO2)
(3)目標達成のための措置の内容と措置の目標
上記の目標を達成するために、神戸市一般廃棄物処理基本計画等に基づき、次の措置の目標を設定
し、取組みを進めていきます。
①ごみ処理量の削減
2005(平成17)年度(実績)
2020(平成32)年度(目標年)
736
421
2005(平成17)年度 (実績)
2020(平成32)年度(目標年)
-
23.2
2005(平成17)年度 (実績)
2020(平成32)年度(目標年)
16
35
ごみ処理量〔千トン〕
②容器包装プラスチックの資源化量の増加
容器包装プラスチックの
資源化量〔千トン〕
③資源化率の向上
資源化率〔%〕
④「雑がみ」の資源化推進
古紙類については、地域団体が「資源集団回収」として資源化に取り組んでいますが、一層の
活動の推進を図るほか、お菓子の箱や包装紙などの「雑がみ」については、取組が十分に進んで
いない状況であることから、
「雑がみ」に焦点をあてた啓発を進め、更なる資源化を推進します。
94
⑤「生ごみ」の減量・資源化推進
ごみに最も多く含まれる「生ごみ」の減量・資源化については、家庭では、食材の無駄をなく
すことや水切りの徹底などの啓発に加え「段ボールコンポスト」の普及に努めるとともに、事業
系についても「食品リサイクル法」の効果的な周知に努めていきます。
⑥電気・燃料等使用量の削減
■ 廃棄物等運搬自動車の燃料の使用や破砕・分別機械の電気・燃料使用の削減に努めます。
■ 廃棄物等運搬自動車についてはアイドリングストップの励行などエコドライブによる燃費向上
に努めます。
■ 事業所内事務室等では、従来から本庁舎・区役所庁舎で運用している「エコオフィスプラン」に
準じた省エネルギーに取り組み、事務室等でのエネルギー使用量削減に取り組みます。
■ 埋立を終了した廃棄物最終(埋立)処分場の浸出水処理を、排水処理プラントによる処理から、
生態系機能を用いた自然共生型の排水処理に段階的に移行することで、電力や薬剤使用に伴うエ
ネルギーを削減します。
■クリーンセンターや中継施設を効率的に活用することで、廃棄物の収集・運搬の効率化による温
室効果ガス排出量削減や、効率的なごみ発電に取り組みます。(廃棄物処理施設のネットワーク
化)
⑦ごみ発電の高効率化
ごみ発電の高効率化を図り、クリーンセンターでの買電量の削減に努めます。また、焼却に伴い
発生する廃熱の有効利用を行います。
神戸市では4か所の一般廃棄物焼却処理施設(CC)で「ごみ発電」を実施しており、2013年度に
は市内で生み出した再生可能エネルギー発電量(年間約2億kWh)の約8割、約1.6億万kWhを発電
しました。2017年度には、2か所のCCで焼却処理を停止する一方、新しく建設する(仮称)新港島
CCでは現港島CCの5倍以上の発電能力(15,200kW)の高効率設備(発電効率20.8%)を導入しま
す。引き続き、安定的なごみ焼却を実施することで発電量を増やすとともに、新しく建設するCC
では高効率のごみ発電設備を導入して、温室効果ガスの排出量削減を図ります。
⑧分かりやすい情報の提供
市民・地域団体・NPO・事業者・市などあらゆる主体の「協働と参画」によって、ごみの減量・
資源化を進めていくため、各主体間の「つながり」や、さらなる取組への「やりがい」を意識でき
るような、分かりやすい情報を提供します。
95
C.下水道事業
(1)事業概要とエネルギー消費(温室効果ガス排出)について
家庭や事業場などから流される汚水は、下水処理場で処理し、きれいな水(処理水)にして川や海
へ放流しています。こうすることで、川や海を汚さないようにし、美しい自然を守っています。処理
水は放流するだけでなく、公園のせせらぎに流し火災時の防火用水として備えるほか、処理場内の機
械用水や街路樹の散水用水などに再利用しています。六甲アイランド、ポートアイランドでは、水リ
サイクル事業を行っており、処理水をさらにきれいにした再生水が業務ビルの水洗トイレ用水などに
利用されています。
また、水をきれいにする過程で発生した汚泥(脱水汚泥)は、汚泥焼却施設で焼却して減量化して
います。汚泥焼却に伴い発生した温排水は六甲アイランドの地域温水供給システムで有効利用されて
います。焼却灰については、道路舗装材をはじめ歩道用ブロック、土壌改良材等に有効利用しており、
省資源化や埋立処分量の削減に役立っています。さらに下水処理場やポンプ場では、地球温暖化防止
に貢献する取り組みとして、新エネルギーの導入を進めており、湊川ポンプ場において高度処理水の
放流落差を生かした小水力発電、処理施設の屋上で太陽光発電を行っています。
一方、道路や住宅地などに降った雨は、雨水として道路側溝、雨水管きょで集めて川や海へ流し、
浸水から街を守っています。
下水道事業におけるエネルギーの使用状況や温室効果ガスの排出状況は次のとおりです。
①下水処理場【6施設】
下水処理場では、主に汚水処理に必要な機械の動力として電気を使用しています。
②汚泥焼却施設【1施設】
汚泥焼却施設(東部スラッジセンター)では、脱水汚泥の焼却に伴い一酸化二窒素(N2O)ガス
が副生するとされています。また、脱水汚泥を焼却するため、補助燃料として都市ガス等を使用し
ています。
③その他の排出源
ポンプ場(23 施設)でのポンプ駆動用エンジンや発電機の燃料として重油を使用しているほか、
公用車の燃料や事務所等で電気、ガスを使用しています。
(2)最終エネルギー消費量(温室効果ガス排出量)の削減目標
■ 最終エネルギー消費量を市長部局の事業全体として、2020(平成32)年度までに2005(平成17)
年度比で32.1%削減します。(上記目標値には、間接的削減量を含みます。)
■ 外部から供給されるエネルギーの消費量については、毎年度1%以上削減に努め、2020(平成32)
年度に2005(平成17)年度から14%以上削減します。さらにバイオガスの有効活用を進めます。
96
(3)目標達成のための措置の内容と措置の目標
①電力使用量の削減
設備改修や省エネ運転・創エネの取組等により、電力使用量(買電量)を削減します。
2005(平成17)年度 (実績)
2020(平成32)年度(目標年)
103,007
82,600※
電力使用量〔千kWh〕
※目標値は垂水・西部でのバイオガス活用を含んでいます。
②消化ガス(バイオ天然ガス等)の有効利用推進
■ 下水汚泥を減量化する過程で発生する消化ガスを、消化槽の加温、空調など下水処理場内で利
用するとともに、天然ガス自動車燃料として供給、都市ガス導管に注入、コージェネレーション
発電などに活用し、再生可能エネルギーである消化ガス(バイオ天然ガス)の有効利用推進に努
めます。また、下水汚泥焼却に伴い発生した熱を場内利用するとともに、六甲アイランドの地域
温水供給システムに利用します。
③下水汚泥の高温焼却
■ 汚泥を焼却する際の温室効果ガス発生量が少ない高温燃焼(常時 850℃以上)を行うための設備
改修を実施済みです。
■ 脱水汚泥含水率を低減することにより、脱水汚泥量を削減します。
■ 焼却に使用している補助燃料を重油から都市ガスに転換します。
④下水熱など未利用エネルギーの利用促進
■ 神戸市は 2013 年度に「下水熱等未利用熱ポテンシャルマップ策定事業(国土交通省(環境省提
携))」のモデル地域に応募し、選定されました。下水熱ポテンシャル(広域マップ)の作成を行
い、下水熱利用を推進します。
97
D.水道事業(工業用水道事業含む)
(1)事業概要とエネルギー消費(温室効果ガス排出)について
神戸市は自己水源に恵まれず、水源の4分の3を琵琶湖・淀川に依存し、主要な自己水源である千苅
貯水池も遠く給水区域の端にあります。また、神戸は六甲山麓の傾斜地に発達し、海山が接近し、東
西に長く、又広大な西北神区域が市域の7割を占め、起伏の多い街です。
このような状況の中、市民に安全で良質な水を安定的に供給していくためには、他都市に比較し、
多数のポンプ場(51ヵ所245台) 、配水池(126ヵ所257池)を設置しています。 (平成26年4月1日
現在)
神戸市水道局では全市域を対象に上水を安定供給する水道事業と臨海部の工業地帯を中心に配水す
る工業用水道事業を経営しています。
総配水量は減少傾向ですが、ポンプ場を経由する配水量は横ばいとなっています。これは、地形的
なことから揚水ポンプにより配水池へ送水する必要のある西北神地域の需要のためです。(なお、工業
用水道の配水は、臨海部のみで、配水にあたってはポンプに依存しておらず、今後、西北神地域に配
水する計画もありません。)
水道事業におけるエネルギー消費のほとんどが電力であり、その約96%がポンプ場等で水道水を配
水池へ送水するために、揚水ポンプで使用する電力です。
また、水道事業では、直結給水事業の推進を積極的に進めるほか、管埋設工事の浅層化を行ってお
り、これらにより管埋設工事におけるエネルギー消費量の間接的な削減に努めています。
(2)最終エネルギー消費量の削減目標
最終エネルギー消費量を市長部局の事業全体として、2020 (平成32)年度までに2005 (平成17)年度
比で18.3%削減します。(上記目標値には、間接的削減量を含みます。)
(3)目標達成のための措置の内容と措置の目標
①電力使用量の削減
■ 電力事業者等より購入する電気使用量(以下「購入電力量」という)の低減努力を継続します。
2005(平成17)年度 (実績)
2020(平成32)年度(目標年)
70,453
55,531
電力使用量〔千kWh〕
■ 配水場やポンプ場への太陽光発電や小水力発電等の再生可能エネルギー・未利用エネルギーの活
用を進めると共に、これまでの省エネルギー対策を継続していきます。
■ ポンプの新設や更新にあたっては効率の高い機器装置の導入を図ると共に、
既設ポンプの効率的
な運用を研究していきます。
■ 漏水防止も引き続き実施することで、
浄水や送水などによる電力消費量の低減に努めていきます。
■ 地域毎の水需要の動向や効率的な施設利用を考慮した施設の統廃合や規模の見直しの検討を行
い、水道システム全体の再構築計画に沿った計画的な更新・耐震化を行います。
■ 環境会計により、水道局における環境への取組を明確に公表します。
②間接的削減
■ 直結給水事業の推進
直結給水等の施策を積極的に推進し、市民の電気使用量の削減に寄与することにより、神戸市域
全体から排出される温室効果ガスの削減を図っていきます。
神戸市では、3階建て以上の建物については、受水槽(高置水槽を含む))を設置しポンプ加圧す
るシステムでしたが、昭和62年度から小規模3階建ての建物に受水槽を設けず配水管水圧を有効利
98
用できる直結給水(直結直圧給水方式)を開始して以来、順次その対象を拡大してきました。さら
に、平成9年度からは10階建て程度の建物にも直結給水(直結増圧給水方式)が可能となっております。
○直結直圧給水方式の推進
削減年間電力使用量
〔千kWh〕
2005(平成17)年度 (実績)
2020(平成32)年度(目標年)
5,235
11,246
2005(平成17)年度 (実績)
2020(平成32)年度(目標年)
3,430
10,388
○直結増圧給水方式の推進
削減年間電力使用量
〔千kWh〕
■ 管埋設工事の浅層化
管工事の浅層埋設による土工量の減少等に伴う土工機械の燃料消費の削減等が可能となります。
99
E.公営交通(バス)事業
(1)事業概要とエネルギー消費(温室効果ガス排出)について
市民生活に不可欠な市民の足として、市街地区域においては主に市バスが、北区・垂水区・西区
等においては市バスと民営バスが相互に役割分担をしながらサービスの提供を行うことで市民の
足を確保しており、1日に約18万9千人(平成25年度)に利用されています。
バス事業におけるエネルギー消費は、主にバス車両の運行に伴う燃料の使用になります。
(2)最終エネルギー消費量(温室効果ガス排出量)の削減目標
設定しません。だだし、削減の目安として、最終エネルギー消費量を交通局の事業全体として、2020
(平成32)年度までに2005(平成17)年度比で14.3%削減します。
(理由: 公営交通事業が直接、市域全体の温室効果ガス排出量の削減に寄与すると位置づけている
ため、設定できない。具体的には、公共交通機関であるバスの路線延伸や運転台数の増加等によ
りバス事業としての温室効果ガス排出量が増大しても、結果的には、モーダルシフト(乗用自動
車利用から輸送力当たりの温室効果ガスの排出が少ない公共交通機関であるバスへの交通手段の
移行)により市域全体温室効果ガス排出量が削減できると考えられるため。)
(3)目標達成のための措置の内容と措置の目標
①燃費向上に向けたエコドライブ等の推進
交通(市バス)事業に係る営業運転距離数(回送等含む)を燃料使用量で割った「燃費」の向上
に取組みます。
2005(平成17)年度 (実績) 2020(平成32)年度(目標年)
市バスの燃費〔km/L〕
2.19
2.50
■ アイドリングストップ運動の推進
バスターミナル等で発車時刻までの時間調整を行う際、原則としてエンジンを停止するなどの
「アイドリング・ストップ運動」を実施しており、今後も積極的に推進していきます。
■ ISS(自動アイドリング・ストップ&スタートシステム)装着車の導入
ISSの全バス車両への導入を継続します。ISS装着車とは、車両の停止・発進にあわせてエンジ
ンが自動停止・自動始動するアイドリング・ストップ&スタートシステムを装着した車両です。
■ エコドライブの励行
滑らかな加速・減速、速度に適したギアでの走行、空ぶかしの抑制等を心がけることにより、
燃費の向上を図ります。
■ 適切な車内温度の設定
乗客の方々へのサービスとしての側面も考慮しながら、気象状況に見合った適切な車内温度の
設定に努めます。
■ バス車両の適切な点検・整備
エンジン、タイヤの空気圧等を適切に点検・整備します。
②次世代自動車など環境にやさしい自動車の導入促進
■ 環境への負荷が少ない CNG(天然ガス)バスやハイブリッドバスなど次世代自動車の導入や、
道路状況に応じた車体サイズの車両(小型バス等)など、環境にやさしいバスの導入に努めます。
市バスへの次世代自動車
の導入〔台〕
2005(平成 17)年度 (実績)
2020(平成 32)年度(目標年)
15
400
100
■ こうべバイオガスの利用
こうべバイオガスの充填所に隣接する魚崎営業所の CNG バス 14 両(平成 25 年度)に、その燃
料としてこうべバイオガス利用し、運行しています。
③公共交通機関の利用促進
公共交通機関の利用を一層進め、マイカー等の使用抑制を促し、市内全域の温室効果ガス削減を
図るためにも、今後も、バスの利便性の向上、利用促進に努めるとともに、「エコファミリー制度」
や「エコショッピング制度」の利用促進に取り組みます。
101
F.公営交通(鉄道)事業
(1)事業概要とエネルギー消費(温室効果ガス排出)について
市営地下鉄「西神・山手線」は、既存の鉄道路線と有機的に連携を図るとともに、神戸市が中心と
なって開発を進めている須磨ならびに西神ニュータウンと既成市街地を結ぶ大量輸送機関として、昭
和52年3月に新長田~名谷間で開業し、その後東西へ計3回の延伸を重ねて、昭和62年3月に現在の営
業区間の新神戸~西神中央間(22.7km)が完成し、1日に約26万1千人(平成25年度)を輸送してい
ます。
また、市営地下鉄「海岸線」は、長田区~兵庫区~中央区の南部地域を通る新長田~三宮・花時計
前(7.9 km)が平成13年7月に開業し、1日に約4万3千人(平成25年度)を輸送しています。
なお、鉄道事業におけるエネルギー消費は、そのほとんどが電気の使用によるものです。
「西神・山
手線」における使用電力のうち、約 6 割(海岸線では約 3 割)が電車の運転に使用する直流電力で、残
りが駅舎や事務室などの照明や空調などに使用する交流電力です。
(2)最終エネルギー消費量(温室効果ガス排出量)の削減目標
設定しません。 だだし、削減の目安として、最終エネルギー消費量を交通局の事業全体として、
2020(平成32)年度までに2005(平成17)年度比で14.3%削減します。
(理由:地下鉄事業が直接、市域全体の温室効果ガス排出量の削減に寄与すると位置づけているた
め。具体的には、地下鉄営業線の延伸や運転列車数の増加等により地下鉄事業としての温室効果
ガス排出量が増大しても、結果的には、モーダルシフト(自動車利用から輸送力当たりの温室効果
ガスの排出が少ない地下鉄への交通手段の移行)により市域全体温室効果ガス排出量が削減でき
ると考えられるため。)
(3)目標達成のための措置の内容と措置の目標
①走行距離あたりの電力使用量の低減に係る措置の目標の設定
原単位電力量(電車の運転に使用する直流電力と駅舎や事務室などに使用する交流電力を合わせ
た年間全使用電力量を年間延べ走行距離数(回送含む)で割った数値)の削減に取り組みます。
○西神・山手線
2005(平成17)年度 (実績)
2020(平成32)年度(目標年)
3.62
3.37
原単位電力使用量
〔kWh/c・km〕
○海岸線
2005(平成17)年度(実績)
2020(平成32)年度(目標年)
8.90
8.58
原単位電力使用量
〔kWh/c・km〕
②車両の省エネ化の推進
現在の電力回生(発電)率は40%余りですが、今後さらなる改良を進め、電力回生率を50%強に向
上します。また、路線の標高差が最大250mに達する同地下鉄はVVVF制御装置や回生ブレーキが有
効に機能するため、順次、車両更新の際には、VVVF制御装置への更新や回生ブレーキの有効利用、
静止型インバーター装置への更新、室内客室灯のLED化などの設備の導入を行い、さらなる省エネ
化・低炭素化を図っていきます。
102
③車内の適正冷房温度の設定
オフラッシュ時での適正冷房を推進するとともに、弱冷車の導入を図ります。
④駅舎の省エネ化の推進
板宿変電所更新工事及び板宿駅電気室統合化工事や駅ビルにおける空調設備の省エネ化などの取
組を引き続き実施します。
■ 夜間電力を利用する氷蓄熱システムの導入:夜間電力で氷を作り、朝のラッシュ時の電力負荷の
ピーク時と昼間にとかして冷房します。
■ 外気温に合わせて駅の冷房設定温度を変動させる外気温度差制御システムの導入駅舎の冷房温
度を外気温に連動させ、コンコースで3度、ホームで4度、常に外気温よりも低く制御することに
より、冷やしすぎを防ぐとともに、出入口へ流れ出る冷気を少なくすることで、エネルギーロス
を少なくします。
■ 列車風を利用して排気する2種空調換気モードの導入:ホームのみの給気設定時は、コンコース
への給気は入線する列車風を利用し、ホームに給気した空気をコンコースまで押し上げ、その空
気は地上へ向かうことで排気します。
■ 駅舎でのVVVF・VI制御の導入:駅舎を換気する送風機のモータを、負荷変動に追従して常に最
大効率で制御し、モータの消費電力を削減します。
■ 駅コンコース照明の高効率化:駅コンコースの照明をインバータ化します。
■ 駅舎照明の一部消灯:安全確保に必要な部分を除き、駅舎照明の一部を消灯します。
103
G.教育事業
(1)事業概要とエネルギー消費(温室効果ガス排出)について
小学校、中学校、高校、幼稚園、盲養護学校、計306校園3分校の運営を行っています。(27年3月末
現在)
小学校
167校
中学校
82校2分校
高校
9校
幼稚園
42園
盲養護学校
1分校
教育事業におけるエネルギーの消費は、教室・校長室・職員室・事務室・体育館・給食室等での照
明や教育用コンピューター等の教材設備備品及び施設設備等での電気・都市ガス等の燃料使用よるも
のです。
(2)最終エネルギー消費量(温室効果ガス排出量)の削減目標
前計画策定時点において、最終エネルギー消費量を、2020(平成32)年度までに2005(平成17)
年度比で13.7%削減を計画していましたが、2013(平成25)年度から2015(平成27年度)の3カ年で、
小・中・高等学校の空調未整備校200校の普通教室等に空調を整備することとなったため、当初目標年
度におけるの削減目標の達成は非常に難しい状況となります。ただし、空調機器については、高効率
タイプやデマンドコントローラーを採用し、学校施設整備においても、トップランナー機器・LED照
明等の省エネルギー機器への更新を進めるとともに、太陽光発電設備の導入を増やすなどし、削減率
の向上を目指していきます。
(3)目標達成のための措置の内容
下記の取組みにより省エネルギーを中心とした取り組みを進め、電気使用量、都市ガス使用量など
を削減し、地球環境に配慮した教育事業を推進します。
①不必要な照明の消灯を徹底することにより電気使用量の削減をめざします。
■ 授業時間中の職員室の部分消灯の徹底。
■ トイレ等での人感知センサによる照明の自動点灯、消灯装置の設置の検討。
②備品類を使用していないときの電源オフを徹底することにより電気使用量の削減をめざします。
■ 教材用備品類(各教室のテレビ・ビデオ等)の未使用時における主電源オフの徹底。(待機電力
使用量の削減の徹底。)
■ 校長室・職員室・事務室等の管理諸室での使用していないときのOA機器の電源オフの徹底。
③空調設備の適正な温度管理の徹底により電気・ガス使用量等の削減をめざします。
■「神戸市立中学校空調設備運転指針」による運転を行います。 冷房28℃、暖房時20℃を目安に、冷
暖房時の温度管理の徹底します。
④学校版KEMSの推進
■ 市立学校でKEMSの取り組みを進め、学校のエネルギー消費量の削減と児童・生徒への環境教
育を推進します。
104
⑤太陽光発電システム
■設置可能な箇所への太陽光発電設備の導入を推進します。
⑥その他の措置
■ 節水弁の設置
規模の大きい小学校を中心に節水型水栓を設置しています。 これにより、設置校では上水道の使
用量が設置前に比べて5~7%削減されます。(下水道処理量も同様に削減されます。)
今後も校舎の新・増改築にあわせて順次設置を進めていく予定です。
また、学校トイレ小便器の排水について、自動ハイタンク方式からフラッシュバルブ方式に順次
改修していくことにより、節水を図ります。
■ 雨水・雑用水の有効利用
防災機能の強化という観点から校舎の地下ピットを利用してトイレ洗浄水用の雑用水槽を整備し
ています。
■ 体育館照明設備(水銀灯)の LED 照明への更新により、消費電力量の削減をめざします。
■ 屋上緑化等
校舎屋上(一部)に遮熱効果のある芝、プランターなどを配置し教育環境への負荷を軽減していま
す。緑のカーテンの設置、校庭芝生化など環境にやさしい学校づくりを推進します。
■ 両面コピーや用紙類の再利用の努力
印刷や複写の両面刷り、ミスコピー紙の裏面利用、使用済み封筒の再利用などの徹底をおこない
用紙の使用量の削減をめざします。
■ 紙ゴミのリサイクル
学校園で発生する紙ゴミをリサイクルできる紙とそうでない紙に分別し、リサイクルできる紙を
溶融処理し、トイレットペーパーにリサイクルしています。これにより資源の有効利用と焼却に伴
うCO2発生量の削減を図っています。
■ 光熱水費管理システムの構築
光熱水費の管理を目的として、自校での月々の電気、水道の使用量が把握できるシステムを構築
しました。(幼稚園・高校を除く)
これにより、過年度の使用量との比較が容易になり事後検証が効率的に行え、節減対策を効果的
に行うことが期待できます。
■ 教職員への啓発
職員会議等の機会を通じて教職員一人一人への趣旨の徹底を図ります。
■ 学校施設開放利用者への啓発
地球温暖化防止に向けた取組みとして、学校施設開放運営委員会へ電気・ガス・水道使用量の節
減についての呼びかけを行っていきます。
105
【コラム 18】環境にやさしい学校づくり
地球温暖化の防止や温室効果ガスの削減といった地球環境への負担低減を図る必要から、2009
年度(平成 21 年度)より、これまでモデル的に数校で実施してきた、
「緑のカーテン」及び「校園
庭の芝生化」により輻射熱を軽減することなどで、学校での環境学習と相まった取組を進めていま
す。
(2014年度(平成 26年度)実施状況)
(1) 緑のカーテン
105校園
(2) 校庭芝生化
29校園
(土壌改良・スプリンクラーの設置など)
【コラム 19】学校版 KEMS
本市では、学校における光熱水費等縮減の継続的な取組を促し、また児童・生徒等と一体となった
環境活動の実践など環境教育にも役立てるため、学校版 KEMS 認証取得に取り組んでいます。
2005 年度(平成 17 年度)までにモデル取得した6校を含め、2011 年度(平成 23 年度)末
までに小・中・高・特別支援学校と工業高等専門学校の全264校が認証を取得しました。
KEMS による各学校の自発的な取組により、認証取得を契機とした環境改善意識の向上や、
PDCAサイクルの実践を通した電気・ガス・水道・紙の使用量削減やごみ排出量の削減などの効果
が出ています。
KEMS による環境改善計画の例
項 目
目標値
具体的施策
空き室消灯、不在時の部分消灯、夜間使
1
電力使用量の削減
前年比 5%削減
用室の減少、コピー機節電、パソコン不
使用時の電源オフ、適正空調(28℃)
2
ガス使用量の削減
〃
3
水道使用量の削減
〃
4
事務用紙使用量の削減
前年比 10%削減
適正空調(暖房20℃)
、調理時のガス適
正管理
プールの適正な減増水、手洗い等の適切
な使用、閉栓確認、雨水の活用(散水)
両面印刷の活用、裏面の再利用、使用済
み用紙の回収、試し刷りを1 枚にする
紙ごみ回収とリサイクルを進める、使え
5
ごみの削減
前年より削減(袋数)
るごみと使えないごみを分ける、物を大
切にする
食べ残しが出ないようにする、毎日の食
6
給食残食の削減
前年比 2%削減
7
環境学習の計画的な推進
「環境学習カリキュラム」の実践
106
べ残し量を記録する
H.本庁舎・区役所庁舎での事務
(1)事業概要とエネルギー消費(温室効果ガス排出)について
本庁舎及び各区役所庁舎では、オフィス事務を中心に公用車の使用を含めた様々な事務を行ってい
ます。そして、現在オフィス事務については、KEMS(神戸環境マネジメントシステム)を取得し、
これに基づきオフィス事務の環境負荷低減に努めています。また、平成 17 年度には、本庁舎におい
て ESCO 事業による省エネルギー設備改修を実施しています。
「本庁舎及び区役所庁舎での事務」におけるエネルギー消費は、庁舎における電気及び都市ガスの
使用によるものと公用車の燃料使用によるものです。
(2)最終エネルギー消費量(温室効果ガス排出量)の削減目標
最終エネルギー消費量を市長部局の事業全体として、2020(平成32)年度までに2005(平成17)
年度比で32.1%削減します。(上記目標値には、間接的削減量を含みます。)
(3)目標達成のための措置の内容と措置の目標
施設ごとに KEMS(神戸環境マネジメントシステム)における「エコオフィス推進手順書」に定め
た目標及び取組み内容に基づき、着実に省エネルギー対策を推進します。なお、KEMS における目標
は、地球温暖化防止実行計画の目標達成を念頭に、短期間の目標が設定されており、取組みの進捗状
況に基づき、目標及び取組み内容が見直しされるシステムです。
以下に、本庁舎における「エコオフィス推進手順書」に基づく具体的な措置の内容を例示します。
電気使用量の削減
(1)不必要な照明の消灯やOA機器等のこまめな電源オフの徹底
1) 昼間執務時間、昼休み時間、残業時間のそれぞれにおいて、不必要な照明の消灯を徹底する。
・照明にスイッチ紐を取り付け、部分消灯を徹底する(設備構造上で出来ない場合を除く)
・使用していないときのOA機器等の電源OFFを徹底する。
・昼休み時間は、業務に支障のない範囲で一斉消灯を実施する。一斉消灯の際には、来客応対や
業務を継続しなければならない職員の存在に配慮し、集合スイッチによる一斉消灯の前に、所
属内で声をかけ、必要により紐スイッチの利用等により部分消灯に切り替える等の配慮を心が
ける。
・夜間残業時は、不要部分の消灯を行い、業務に最低限必要な照明のみを点灯する。
・昼休み時間、残業時に定期的に環境パトロールを実施し、不必要な照明の消灯を徹底する。
・最後に退庁する職員は、照明、OA機器、電気湯沸しポット等の電源が切れていることを確認す
る。
2) 効率的・計画的な事務処理により一層努め、夜間残業の削減、「エコオフィス推進の日(毎週
水曜と毎月20日に設定)」における定時退庁の徹底を図り、点灯時間等の削減に努める。
3) 庁舎内の自動販売機の省エネ型への変更、通電時間の見直し等を図る。
(2) 冷暖房時の適正な温度管理
1) 冷房時28℃、暖房時19℃を目安に過度にならないよう、冷暖房時の温度管理を徹底する。
2) 集中制御による暖房時における電気ストーブ等の使用を禁止する。
3) 執務室での夏季軽装の取組みを推進する(関西広域機構の「夏のエコスタイルキャンペーン」
や国の「クールビズ」と連携して実施)。
期間中は、執務室、庁舎内の会議室での服装は、適正冷房温度に対処できるよう、暑さをし
のぎやすい軽装(上着を着用しないなど。ただし、軽装にあたっては、社会常識を逸脱するこ
107
とのないよう節度を保つものとする。)を励行する。ただし、業務の性質上、軽装が不適切な
場合は除く。
都市ガス使用量の削減
(1) 給湯室におけるガス節約の徹底
・給湯室での食器類の洗浄の際、給湯器を利用しない、または、給湯温度を下げる。
・ガスコンロ等は、必要最小限の使用にとどめる。
(2) 冷暖房時の適正な温度管理
・冷房時28℃、暖房時19℃を目安に過度にならないよう、冷暖房時の温度管理を徹底する。
・集中制御による暖房時におけるガスストーブ、ガスファンヒーター等の使用を禁止する。
上水道使用量の削減
(1) トイレ・洗面所、給湯室における節水の徹底
・こまめに水道蛇口を閉めるなど節水の徹底
・トイレでの消音のための水洗はしない
・湯飲み類の洗浄における、洗剤の適正量使用と節水の徹底
・必要に応じて井戸水の利用の拡大、雨水の利用を検討
廃棄物の排出抑制
(1) 紙類のリサイクルとごみの分別排出を徹底
・「庁内ごみダイエットマニュアル」に基づき、分別廃棄を徹底し、ごみのリサイクルを推進す
る。
・各所属内におけるごみの分別排出が確実にできるよう「紙専用容器」・「燃えるごみ容器」・
「古新聞容器(置場)」・「燃えないごみ容器」の4種類のごみ容器を適正数設置する。なお、
分別区分に従って、「可燃ごみ専用」、「不燃ごみ専用」、「粗大ごみ専用」及び「資源ごみ
専用」の指定袋により排出する。
・必要により「エコ環境整理排出用文書(非公開文書)の一時保管容器」や「雑誌・ダンボール
仮置き場」を設定する。
・ごみの分別区分や「入れていいもの」と「入れてはいけないもの(禁忌品)」を容易に判断でき
るよう「分別早見表」などを所属内の見やすい場所に掲示する。
・非公開文書(機密文書や保護対象の個人データなど)の公文書の溶融処理による再資源化(エ
コ環境整理運動)を徹底する。
・給湯室内に「空き缶・空きびん・ペットボトル」のリサイクル容器を設置し、管理する。
・コピー室にリユース・リサイクル容器を設置し、管理する。
(2) ごみの発生を抑制
・過剰包装製品や使い捨て製品の購入を避ける。
・備品の修繕使用に努め、使用期間の長期化を図る。
・庁内LANの掲示板に不用になった備品情報を掲載し、または、その情報を入手して新品購入を
減らし、備品の長期利用と廃棄物の減量を図る。
紙類の購入量削減
・文書資料の簡素化に努めるとともに、作成部数を最小限にするよう徹底する。
・事務手続きの一層の簡素化を図る。
・印刷、複写の両面刷り・集約印刷を徹底する。
108
・ミスコピー紙の裏面利用を徹底する。
・使用済み封筒の再利用を徹底する。
・文書を同一宛て先にまとめて送る「合封」を徹底する。
・LAN、インターネットの活用等によるペーパーレス化を推進する。
・ホームページでの広報の充実を図るとともに、広報印刷物の種類・数量等の点検を行い、印刷
物の総量削減に努める。
・コピー室にリユース・リサイクル容器を設置し、管理する。
・コピー量の抑制と両面コピーの促進のために、コピー室に一定期間ごとに局室別のコピー枚数
と両面コピー率の張り紙等を行う。
・ペーパーレス会議を推進する。
・回覧物の電子化を推進する。
・コピー機・プリンターなどの適正配置化を図る。
公用車燃料の削減
(1) 自動車運転時の配慮
・エコドライブの徹底を継続・推進し、燃費を向上する。
・自動車の経済走行に努め、急発進・急加速・空吹かし等をしないなどの「エコドライブ」を徹
底する。
・不要なエンジンのアイドリングをやめる「アイドリングストップ運動」を徹底する。
・自動車のタイヤ空気圧等点検を徹底する。
・所属ごとに管理されている自動車について、運転日報へ記録するとともに、給油時の走行距離
数を記録し、適宜、燃費ノートを確認し、極端に燃費が悪化している場合には、その原因を確
認する。
(2) 自動車使用の抑制
・公共交通機関の積極的な利用や同一方面への自動車の相乗りを徹底することなどにより、自動
車の使用抑制を図る。
(3) 次世代自動車への買い替えの推進
・公用車への次世代自動車の導入基準」(2008年(平成20年)11月)に基づき、公用車の次世代
自動車(特に、電気自動車、プラグインハイブリット車)の導入を進め、一般公用車(バンを
含む)における次世代自動車導入率を100%とする。また、日本再興戦略「2015年からの燃料
電池自動車の市場投入と水素ステーションの先行整備(4大都市圏を中心に100か所)」に沿
って、2015年度より公用車としての量産型FCV導入を図る。
フロン類の回収、適正処理の推進
・自動車の廃車及び冷蔵庫、エアコンの廃棄並びに庁舎等の大型空調設備、冷凍設備の修理・廃
棄にあたっては、販売者、廃棄物処理業者等関係者にフロン類の回収・処理を指示するよう徹
底する。
グリーン購入の推進
(1) 調達総量の抑制
・物品の調達に当たっては、必要性及び必要量を十分検討し、調達総量の抑制に努める。また、
現在使用中の物品については、可能な限り長期使用に努める。
(2) 環境物品の調達
・物品の調達に当たっては、「神戸市グリーン調達等方針」に定める判断基準に適合した物品等
109
を調達する。
・物品等の購入にあたっては、資源採取、製造、流通、使用、廃棄等の製品のライフサイクルを
考慮し、全体として環境負荷のより少ないもの(環境にやさしい製品)を選択するよう努める。
・コピー用紙、印刷用紙、その他の用紙は「神戸市グリーン調達等方針」に基づき、適正なもの
を選択する。
・OA機器の購入にあたっては、可能な限り省エネタイプのものを選択する。
・過剰包装した製品、使い捨て製品の購入を極力避ける。
・「公用車への次世代自動車の導入基準」に基づき、次世代自動車の導入を徹底する。
・庁舎内の売店で環境にやさしい製品を積極的に販売するよう努める。
職員に対する啓発等
・職員研修等の機会を通じて、職員一人一人への本計画の趣旨の徹底を図る。
・庁内放送により、取組みへの理解・協力を呼びかけるとともに、来庁者への普及啓発を図る。
・本計画の実施状況等に関する情報を、庁内LAN等を通じて各所属に提供する。
・取組の実施状況を確認するため、環境パトロールを実施し、職員の意識啓発を図る。
110
I.その他の事務・事業
(保健福祉事業を含みます。なお、地方独立行政法人所管となった病院事業(中央及び西市民病院)、
外国語大学は、市の事務事業の対象外です。)
(1).事業概要とエネルギー消費(温室効果ガス排出)について
「その他事務事業」におけるエネルギー消費は、施設における電気及び各種燃料の使用によるもの
と公用車の燃料使用によるものです。
(2)最終エネルギー消費量(温室効果ガス排出量)の削減目標
最終エネルギー消費量を市長部局の事業全体として、2020(平成32)年度までに2005(平成17)
年度比で32.1%削減します。(上記目標値には、間接的削減量を含みます。)
なお、保健福祉事業や消防署の緊急自動車等の一部事務については、適切な市民サービス提供の観
点から、他の事業と一律の削減の取り組みが適切でない場合もあるので、事務事業の特性から適切な
範囲の取組みを行います。
(3)目標達成のための措置の内容
温室効果ガスの総排出量に関する目標の達成に必要な範囲で、「本庁舎・区役所庁舎での事務」お
よび「各種事業」の内容に準じます。
なお、現在所有している設備(空調機や照明等)の更新、新設にあたっては、再生可能エネルギー
に資する設備(太陽光発電等)や省電力・省エネルギーに資する設備(LED 等省エネルギー型照明、
高効率給湯器等)の導入を積極的に進めていきます。
111
第7章 地球温暖化への適応策の推進
----------------------------------------------------------------本計画(神戸市地球温暖化防止実行計画)は、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく法定計画
ですが、現行の規定では「地球温暖化への適応策(以下、「適応策」)
」の事項は、義務的記載事項では
ありません。
しかし、平成 24 年 6 月に中央環境審議会地球環境部会の報告書に「温暖化の影響は、気候、地形、
文化などにより異なるため、適応策の実施は、地域の取組を巻き込むことが不可欠であり、国レベルの
取組だけでなく地方公共団体レベルの総合的、計画的な取組を促進することが必要である。」と記載さ
れていることや、平成27年夏ごろに政府全体の総合的、計画的取組としての適応計画を策定する予定
であることから、神戸市においても本計画において適応策の推進を位置づけることにしました。
ただし、当面は本市において以前から潜在的に実施している適応策の着実な推進を行います。また、
政府が策定予定の適応計画は、政府全体で短期的(~10 年)、中期的(10~30 年)、長期的(30~100 年)
に適応策を重点的に講ずべき分野・課題を抽出して各省において検討されて策定されるとのことです。
従って、政府の適応計画策定後に、これらとの整合を図りながら本市が必要とする追加の適応策の検討
を行うこととします。
1.「適応策」とは
地球温暖化による気候変動への対応には、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑制する
「緩和策」と、既に起こりつつある、あるいは起こりうる地球温暖化(気候変動)の影響に対して、自
然や社会のあり方を調整する「適応策」があります。今まで神戸市では、緩和策に重点を置いて対策を
実施してきました。
今後は、今までどおりの「緩和策」を最大限に実施することに加え、気候変動の影響は避けられない
との前提に立ち、自らを守るための「適応策」が必要となってきます。「適応策」は、気候変動の影響
に対する社会経済の脆弱性の改善であり、影響に対する適応能力の向上や感受性の改善などにより、抵
抗能力を高めることであるとされています。
緩
和
策
適
応
策
地球温暖化の原因となる温室効果ガス(二酸化炭
既に起こりつつある、あるいは起こりうる地球温暖
素など)の排出を抑制
化(気候変動)の影響に対して、自然や社会のあり
・・・気候変動の人為的な要因の改善
方を調整・・・緩和策を実施したとしても回避でき
ない影響に対する対策
(例示)
(例示)
省エネルギー対策(化石燃料の使用削減)
治水対策・洪水対策
再生可能エネルギーの普及対策
熱中症・感染症対策
森林吸収源の増加対策
農作物の病害虫・高温障害対策
二酸化炭素の回収・貯蔵技術の実用化対策
生態系の保全対策
112
温室効果ガス排出量を直ちに大幅削減できても、気候変動とその悪影響は直ち
に止まらない。しかし、今、排出量を削減しないと、より大きな気候変動とそ
の悪影響が予測されています。
地球の地上気温の経年変化(年平均)
掲載元:JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)ホームページより
二酸化炭素の大気中濃度
大気中の
二酸化炭素濃度上昇
(産業革命前 280ppm
⇒ 2005 年 380ppm)
10000
5000
2005 年からの時間
0
掲載元:IPCC 第 4 次評価報告書第 1 作業部会報告書政策決定者向け要約(Summary for Policymakers)の
気象庁翻訳資料より引用。(この翻訳は、IPCC ホームページに掲載されている報告書をもとにしている。
)
113
2.日本や神戸における気候変動と予想される影響
気候変動の例
悪影響の例
① 猛暑日(日最高気温が 35℃以上)が増えている。
防災
河川洪水
土砂災害
② 熱帯夜の日数が増えている。
沿岸域の高潮
③ 平均気温が上昇を続けている。
④ 短時間豪雨(1時間降水量 50mm 以上)が増えて
いる。
⑤ 降水量は年ごとの変動が大きくなっている。
健康
熱中症患者増加
感染症患者増加
自然生態系
生態系の変化
農業
農作物の減収
① 猛暑日(日最高気温が 35℃以上)が増えている。
(縦棒):猛暑日の数
(縦棒):猛暑日の数
(折線):猛暑日の数(5
(折線):猛暑日の数(5 年平均)
年平均)
(直線):猛暑日(5
年平均)の近似直線(線形近似)
(直線):猛暑日(5
年平均)の近似直線(線形近似)
(縦棒):猛暑日の数
(縦棒):猛暑日の数
(折線):猛暑日の数(5
年平均) 年平均)
(折線):猛暑日の数(5
(直線):猛暑日(5 年平均)の近似直線(線形近似)
(直線):猛暑日(5 年平均)の近似直線
(線形近似)
114
神戸
全国
② 熱帯夜の日数が増えている。
(縦棒):最低気温 25℃以上の日数(熱帯夜)
(折線):最低気温 25℃以上の日数(5 年平均)
(直線):最低気温 25℃以上の日数(5 年平均)
の近似直線(線形近似)
(縦棒):最低気温 25℃以上の日数(熱帯夜)
(折線):最低気温 25℃以上の日数(5 年平均)
(直線):最低気温 25℃以上の日数(5 年平均)
の近似直線(線形近似)
115
神戸
全国
③ 平均気温が上昇を続けている。
神戸市の年平均気温偏差
神戸
1.5
(折線●):1981-2010 年平均からの差(℃)
(折線):1981-2010 年平均からの差(℃)の 5 年平均
(直線):1981-2010 年平均からの差(℃)の 5 年平均
の近似直線(線形近似)
1981-2010年平均からの差(℃)
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
-1.5
-2.0
1890
1900
1910
1920
1930
1940
1950
1960
1970
1980
1990
2000
2010
2020
年
全国
(折線●):1981-2010 年平均からの差(℃)
(折線):1981-2010 年平均からの差(℃)の 5 年平均
(直線):1981-2010 年平均からの差(℃)の 5 年平均
の近似直線(線形近似)
116
④ 短時間豪雨(1時間降水量 50mm 以上)が増えている。
:[アメダス]1 時間に降水量 50 ミリ以上の年間観測回数
:[アメダス]1 時間に降水量 50 ミリ以上の年間観測回数の
近似直線(線形近似)
:[アメダス]1 時間に降水量 50 ミリ以上の年間観測回数
:[アメダス]1 時間に降水量 50 ミリ以上の年間観測回数の
近似直線(線形近似)
117
神戸
全国
3.本計画に盛り込む範囲
第1ステップ
本計画の改定
において今回
(潜在的適応策の推進)
①既に実施している適応策(※)を地球温暖化対策の切り口で体系化す
る(※対症療法的、単体技術対策が多い)
新たに位置づ
ける範囲
②庁内横断的な体制整備と共通認識の共有化
③市民への情報提供と啓発の実施
平成27年夏ごろ
政府全体の総合的、計画的取組としての適応計画を策
定予定・・・短期的(~10 年)、中期的(10~30 年)
、
長期的(30~100 年)に適応策を重点的に講ずべき分
野・課題を抽出し各省が検討
第2ステップ(追加的適応策の検討・実施)
・・・今後の国等の動向を踏まえ、神戸市の方針を決定
長期的視点・総合的視点の導入
④将来の気候変動の予測と影響予測の実施
(実施計画の策定、予測技術の習得,モニタリングの実施)
⑤追加すべき適応策の決定・実施
4.適応策の推進計画
(1)目標
地球温暖化に対する適応策について、市民に対策の必要性を認識してもらえるように情報提供に
努め、庁内や関係機関を含めた連絡・協議・実施のための体制や仕組みを速やかに整備していきま
す。さらに、今後の追加的対策が、必要に応じて検討・実施できる体制づくりを推進していきます。
118
(2)庁内の連絡・協議・実施のための体制整備
影響の分類
適応策の内容
関係課
気候変動全般
危機管理全般
危機管理室
気温上昇
熱中症・暑熱ストレス対策
気温上昇
動物由来感染症
降水量増加
説明
対策
健康づくり支援課
保健福祉局
予防衛生課
健康部
生活衛生課
水・食物媒介性感染症
気温上昇
気温上昇
降水量増加
大雨・洪水
:収量・品質の向上、
適応技術の普及
生活衛生課
産業振興局
計画課 (農水産課)
農政部
(農業振興センター)
雨水排除、レインマップ、ハ
建設局
ザード、総合治水対策(県条
下水道部
例対応)、河川カメラ、雨水
気温上昇
大雨・洪水
気温上昇
海面上昇・高潮
気候変動全般
防災部
砂防・治山対策、
建設局
ヒートアイランド対策:緑化
公園部
等
防災部
ヒートアイランド対策:透水
建設局
性舗装
道路部
沿岸対策:護岸、堤防、防潮
みなと総局
堤、水門の整備
技術部
連絡調整
計画課
(保全課)
貯留など
生物多様性の保全
★2
★3
衛生害虫等の分布拡大対策
農・畜産・水産業対策
★1
計画課
(緑地課)
★6
★7
防災課
計画課
★8
計画課
★9
自然環境共生課
建設局
計画課
公園部
(緑地課)
119
★5
河川課
環境局
環境局
★4
地球環境課、
環境貢献都市課
★10
(3)影響と対策
★1 熱中症・暑熱ストレス対策
①影響
・猛暑日、熱帯夜の増加
・熱中症による救急搬送人員の増加が懸念、特に高齢者は、重症化のリスクが高く注意が必要
(神戸市の熱中症による救急搬送の事例)
年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
25 年度
搬送者数
130
652
377
420
640
②対策
・イベント開催時の注意喚起
・野外での長時間行事(運動会等)の開催時期変更
・熱中症対策マニュアルのより一層の普及啓発
・熱中症の予防法の周知啓発(リーフレット(下記掲載)
、ポスターの作成)
水分補給 帽子着用 クールスポットの活用
炎天下での活動時間の短縮
など
・熱中症患者の対処法の周知啓発(リーフレット(下記掲載)
、ポスターの作成)
・コミュニティでの高齢者等への見守り啓発体制の充実
・猛暑日・熱帯夜予測時の積極的アナウンス
・関係機関へ情報提供
120
感染症対策全般
①影響
感染症のリスクは地球温暖化による気候変動により、全般的に高まるとされている。
危険要因としては、
①気温上昇による熱帯に生息する蚊等の侵入
②洪水の発生による食水系の汚染、汚染水との接触による感染症の増加
を考慮する必要がある。
温暖化によって影響を受けると考えられる感染症の例として想定されるものを下記する。
感染症
感染経路等
原因
動物由来感染症
媒介動物(蚊、 気温の上昇、降水量の増加、都市
(マラリア、デング熱、ウエスト
ダニ、ノミ、ネ
部の温暖化、海外渡航者の増加、
ナイル熱、リフバレー熱、ダニ媒
ズミなど)
洪水による病原体への接触機会
介性脳炎、ハンタウイルス肺症候
(皮膚から)への増加、住民の感
群、日本脳炎、レプトスピラ症な
染症への警戒心の低下
ど)
水・食物媒介性感染症
水・食物の汚染
(コレラなどの下痢症など)
気温・海水温の上昇、降水量の増
加(途上国での洪水被害の増加)、
海外渡航者の増加
②対策
(市民への対策の必要性の説明)
現在行っている感染症予防対策は、将来、地球温暖化の影響がより進行した段階
でも当然のこと、今の段階においても、とても重要なことです。日頃からの各自の
取り組みによって、感染症の流行を最小限に防ぐことができます。
温暖化に伴う国内での感染症の発生状況の変化を把握するため、現在の感染症サーベイラン
ス(感染症の発生状況を調査・ 集計することにより、感染症の蔓延と予防に役立てるシステム)
や蚊など媒介生物の状況をモニタリングしていくことが重要となる。
★2
動物由来感染症対策
①影響
気温上昇、降水量の増加により感染症を媒介する蚊など生息域の変化(北上)やねずみ・衛
生害虫の生息期間が長期化し、個体数・生息密度が増加することで、媒介動物を介して人が感
染するリスクが上昇する。
②対策
・感染症の発生状況や予防法の周知啓発 (市民啓発)
121
⇒国内で、海外渡航時に蚊に刺されない対策の啓発(リーフ等の作成)
(長袖、長ズボンの着用、虫よけ剤の適切使用)
・平常時における媒介動物の発生源の環境整備
⇒発生源や地域特性の把握、サーベイランスの実施
⇒水たまりをなくす、茂みを剪定する、家屋周辺を整理整頓する等の環境整備方法の周知啓発
⇒住民による防除活動の支援(方法のアドバイス、肩掛け散布機の貸出等)
・感染症発生時の媒介動物の防除対策
⇒発生源における媒介動物の防除に係る連絡調整、関係者あて協力依頼等
⇒公共発生源における媒介動物の防除
・日本脳炎予防接種の接種率の向上
・感染症予防法に基づく運用や感染症予防マニュアルの関係者への周知
・感染症版危機管理マニュアルの平常時からの担当者における確認
・感染症サーベイランスの情報共有
122
★3
水・食物媒介性感染症
①影響
国内において、気温の上昇や降水の量・パターンが変化することで集中豪雨や洪水が増加し、
汚染された水や食物に接触することで感染する疾病への罹患リスクが高まる。
海外でもコレラ等の水や食物が感染源となる感染症が増加し、これらに海外で感染し国内に
帰国または入国する者が増え、国内流行の可能性が高まる。
②対策
・感染症の発生状況や予防法の周知啓発(市民)
・海外渡航者への啓発
・食中毒予防対策の周知徹底
(市民啓発)
・感染症予防(対策)マニュアル、食中毒予防処理要領の平常時からの確認
・感染症サーベイランスの情報共有
・海外渡航帰国感染者の早期発見と治療
・洪水時の衛生対策(消毒対策)
⇒水害対策マニュアルの整備、消毒用薬剤の入手ルートの確保、薬剤散布機等のメンテナンス
⇒避難所における衛生対策の周知徹底
⇒汚染地域の消毒方法の周知徹底
⇒汚染地域(公共域)の消毒
★4
衛生害虫等の分布拡大対策
①影響
・感染症を媒介する衛生害虫や、人に危害を
加える、見た目が不快であるなどの不快昆
虫の生息地域の拡大が確認されており、気
温上昇との関係が高いと推定されている。
②対策
・必要に応じたモニタリング等による生息域
の把握
・市民への正しい知識の普及と防除方法の啓
発の実施
123
★5
農・畜産・水産業対策
①影響
(要因)
・猛暑日(日最高気温が 35℃以上)が増えている。
・熱帯夜の日数が増えている。
・平均気温が上昇を続けている。
・短時間豪雨(1 時間降水量 50 ㎜以上)が増えている。
・降水量は年ごとの変動が大きくなっている。
(影響)
・気温の上昇により農作物の栽培、家畜の飼育が困難となる。
・気温・生態系の変化は病害虫の種類や発生頻度、漁場・藻場の形成に影響を及ぼす。
・農畜水産物の生産量減少や品質低下を招き、農漁業者の経営に悪影響を及ぼす。
②対策
(農業)
・高温に対応した品目(品種)の選定・開発
・高温に対応した栽培技術や設備の導入
・異常気象や自然災害、病虫害に備えたセーフティネットの構築(共済事業など)
・農業 ICT 技術等による気象予測システムの導入と農業者間の情報共有
(漁業)
・海洋環境のモニタリング調査(水温、生物相、栄養塩類など)
・漁場・藻場の変化予測システムの開発
124
★6
河川洪水対策
①影響
・短時間豪雨(1時間降水量 50mm 以上)が増えている。
・降水量は年ごとの変動が大きくなっている。
・これらにより、河川洪水の機会が増加することが予想される。
②対策
(1)河川整備の推進
本市では、都市基盤河川を含む 2 級河川では概ね確率年 100 年を、その他の準用河川で
は概ね確率年 30 年、普通河川では 10 年を整備基準として河川改修を進めており、治水安
全度の向上を図っている。
(2)河川情報の提供
最近各地で発生する異常な豪雨に対して、河川改修などのハード整備による「防災」対
策だけでは対応できないこともあり得る。そのため、下記の施策により河川情報の提供を
行うとともに、河川利用者の安全確保のための啓発を行い、早期の避難に結びつく「減災」
対策に取り組む。
①河川モニタリングカメラシステム
河川の増水の様子を、危険を実感できる映像で、パソコンや携帯電話を通じて市民に
伝え、迅速な避難を促す。
②河川増水警報システム
河川内の親水施設や遊歩道の利用者に対し、気象予報(大雨・洪水警報又は注意報)
に連動して回転灯やスピーカー(音声)を作動させることで、増水への注意喚起を促す。
③洪水ハザードマップ(
『くらしの防災ガイド』に併載)
洪水時の河川の堤防決壊や溢水等による浸水被害状況(浸水区域・浸水深さ)
・避難場
所・避難方法などの方策に係る情報を市民に分かりやすく提供し、迅速かつ安全な避難
に資することを目的として作成している。
(3)河川の浸水想定区域における連絡体制の強化
①河川溢水等による浸水想定区域の避難計画の作成
②避難準備情報、避難勧告、指示の伝達方法の確立
③住民への周知
125
★6
都市の浸水対策の推進
①影響
・短時間豪雨(1 時間降水量 50mm 以上)が増えている。
・降水量は年ごとの変動が大きくなっている。
・海面水位の上昇や高潮の影響を受けやすくなる。
・これらにより、都市浸水の機会が増加することが予想される。
②対策
(1)雨水幹線・雨水ポンプ場の整備
本市の雨水幹線・雨水ポンプ場は、10 年に1度の降雨に対応できる様、整備を進めてい
る。
(2)降雨情報システムの整備(レインマップこうべ 250)
市内にあるレーダーサイトから電波を発射し、雨の強さや雨域の移動などの降雨情報を連
続的に観測している。観測された降雨情報は、雨水排除施設の運転に利用するほか、防災お
よび日常生活に役立つ情報として、幅広く市民のみなさんに利用していただくため、インタ
ーネット及び携帯電話サイトにて配信(レインマップこうべ 250)している。
(3)雨水流出抑制施設の整備
近年多発しているゲリラ豪雨対策として、雨水流出抑制施設の整備を進めている。
126
★6
★9 高潮・沿岸部都市浸水対策の推進
①影響
・海面水位の上昇や台風の巨大化により高潮の影響を受けやすくなる。
②対策
(1)海岸保全施設整備
神戸港の高潮対策については、過去最大となる伊勢湾台風級の台風が室戸台風のコースを
通過する最悪の想定のもと、平成 27 年度を目標に、未整備区間の新港地区、苅藻島地区等
の整備を進め、神戸港の高潮対策事業を完了させる。
(2)三宮南地区浸水対策事業
平成 16 年に発生した台風による浸水を起因とし、三宮南地区の雨水幹線・ポンプ場の整
備を進めている。京橋ポンプ場は平成 23 年度に供用を開始し、中突堤ポンプ場と小野浜ポ
ンプ場について平成 27 年度早期の供用開始を目指している。
★7
土砂災害対策
①影響
・短時間豪雨(1 時間降水量 50 ㎜以上)が増えることで、土砂災害が増加する。
②対策
・ハード対策
国土交通省が施行する直轄砂防事業や、
兵庫県が施行する山地防災・土砂災害対策事業など、
治山砂防施設整備を推進するため、国・県に対する支援・協力を積極的に行う。
あわせて、市が所有する森林(市有林)における災害防止事業を推進する。
(1)国事業:砂防事業、六甲山系グリーンベルト整備事業
(2)県事業:砂防事業、六甲山系グリーンベルト整備事業、治山事業、急傾斜地崩壊対策事業、
地すべり対策事業など
(3)市事業:自然災害防止事業、市有林内山腹崩壊防止事業など
また、平成 24 年に策定した「六甲山森林整備戦略」に基づき、森林が持つ水源かん養機能、
土砂流出防止機能など公益的機能を維持、向上させるため、関係機関、森林所有者、地域住
民等と連携し、人工林の間伐などにより健全な森林を育成するための森林整備を進める。
・ソフト対策
「土砂災害警戒区域」などの土砂災害危険予想箇所や防災情報について、広報紙や窓口情報
提供システムなどにより、
市民や事業者に広く情報提供し、土砂災害防止のための啓発を図る。
127
★7
★8 ヒートアイランド対策
(温暖化対策にも寄与する対策)
①影響
・猛暑日(日最高気温が 35℃以上)が増えている。
・熱帯夜の日数が増えている。
・平均気温が上昇を続けている。
・降水量は年ごとの変動が大きくなっている。
・これらにより、都市排熱を原因とするヒートアイランド対策の必要性が増加することが予想
される。
②対策(温暖化対策にも寄与する対策)
神戸市では、六甲山系をはじめとする森林や西北神に広がる農地、市街地や海浜などの緑
地といった拠点となる自然空間と、それらをつなぐ河川・水路・街路などを適切に保全・育
成・創出することにより、潤いが実感できる快適な都市環境の保全に寄与する水と緑のネッ
トワークの形成に取り組んでいる。その中で、神戸の地形に即して、公園や緑地・道路・河
川空間などのオープンスペースを連続的に確保し、山や海からの涼しい風がまちを通り抜け
る「風の道」を形成することでヒートアイランド現象の緩和を図る。
また市域を越えた広域的な緑のつながりを意識し、生き物の生育・生息の場や移動経路と
なる生態系ネットワークとしての役割を担う、水と緑のネットワークを全市域にわたって形
成することにより、都市における「環境」の質の向上を図るとともに、温暖化対策にも寄与
する。
・吸収源対策公園緑地事業の推進
・都市部の緑化の推進
・河川沿公園の整備
・幹線道路での環境形成帯の創出(浜手、中央、山手の各幹線道路での街路樹等の緑化の推進)
・臨海部での環境形成帯の創出(緑地区間等)
・透水型道路、歩道の設置推進
水と緑のネットワークイメージ
128
129
★10
生物多様性(自然生態系)保全対策
①影響
気候変動により、現在生息・生育している動植物(六甲山に生育する冷温帯を好むブナ、北方
系の昆虫であるアキアカネなど)への影響が懸念される。また、市内において南方系の昆虫(ナ
ガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、タイワンウチワヤンマ等)の定着が確認されている。一方
で、気候変動による生物多様性への影響については、国等において十分なリスク評価が行われて
いない状況にある。
②対策
・気候変動による生物種の変化を把握するため、継続してモニタリングを実施するとともに、国
等の動向を踏まえ、より効果的なモニタリング手法や対策について検討する。
●市民等の目撃情報の活用(
「みんなでつくる KOBE 生きものマップ」投稿情報)
例:南方系昆虫(ナガサキアゲハ等)の確認、セミ・ホタル等の出現時期の変化など
●市が定期的に実施している生物調査等結果の活用
例:①海域:公共用水域調査(クロロフィル a、植物プランクトン、水温)、水生生物調
査(魚類、ベントス等)、藻場生育状況調査
②河川:水生生物調査(魚類、底生動物、付着藻類)
③内陸部:レッドデータフォローアップ調査(動物、植物)
130
・生物多様性のシンボル拠点の整備・活用
●しあわせの森の整備推進
神戸市北区の「しあわせの村」の北側に位置する国営明石海峡公園(神戸地区)と一
体となって、希少種の保存を行うとともに、里山管理及び周辺林の保全育成を図ること
による生物多様性の保全に努める。
●環境学習や生涯学習の拠点の整備・活用
シンボル拠点等の整備により、環境学習や生涯学習の拠点として、幅広い世代に親し
まれる空間づくりを行うとともに、それらを活用することにより、生物多様性の保全に
寄与する。
131
第8章 計画の進行管理
----------------------------------------------------------------1.モニタリングの継続実施と結果の公表
(1)温室効果ガス排出量の算定
毎年度、神戸市域における温室効果ガス総排出量を各部門別に算定し、結果を公表します。なお、
算定には各種統計書を用いるため、この統計書の発行を待って算定することになります。このため、
算定には年度終了から1年半程度の期間が必要です。
また、市の事務・事業における温室効果ガス総排出量も毎年度各事業別に算定し、公表します。な
お、この算定にあたっては当該年度の電力の二酸化炭素排出係数値の公表を待つ必要があるため、算
定には年度終了から半年程度の期間が必要です。
なお、算定にあたっては、当該年度の電力の二酸化炭素排出係数を使用します。
(2)最終エネルギー消費量の算定
温室効果ガス総排出量の算定と併せて、毎年度、神戸市域における最終エネルギー消費量を各部門
別に算定し、公表します。また、同様に市の事務・事業における最終エネルギー消費量を各事業別に
算定し、公表します。
(3)対策・施策の進捗状況
本計画では、最終エネルギー消費量などの削減目標の他、市域全体での削減に向けた対策・施策
について下表に掲げる「管理指標」を定めています。(上記の管理指標は、従前計画で設定した内容
を継承しています。
)また、市の事務・事業の取組みにあっては、事業別にその取組みに係る「措置
の目標」を定めています。この「管理指標」及び「措置の目標」に基づき取組み達成状況を毎年度モ
ニタリングし、施策・対策の進捗状況を把握します。なお、適応策の推進も含めた対策・施策の進行
管理に必要な管理指標の追加等についても継続して検討を行います。
また、定量的な把握が難しいと考えられる市民・事業者の省エネルギー行動などの取組み状況な
どについても、定期的な市民・事業者向けアンケートの継続により、取組み行動の変化などを把握し、
取組みの浸透状況の把握に努めます。
(4)モニタリング結果の公表
上記のモニタリング結果を「神戸市環境基本計画年次報告書案」の中に盛り込み、
「神戸市環境保
全審議会」に報告し、意見を受けた後、
「神戸市環境基本計画年次報告書」として公表します。
また、適宜、温室効果ガス排出量や最終エネルギー消費量などの算定結果の市政記者クラブへの
資料提供や、本市ホームページでの概要の掲載などを通じて、情報を公開していきます。これらの公
表の仕組みにより、計画の適切な進行管理を確実にします。
132
市域全体における削減に向けた対策・施策における管理指標
区分
現状(実績値)
管理指標
2013 年度
民間建築物における CASBEE 神戸 B+ラ
ンク以上取得割合〔%〕
産業・業務部
門
目標値
2020 年度
81
100
707
1,000
21
50
「わが家のもったいないやん!宣言」
の拡大〔万件〕(累計)
7
66
市民団体が取り組む緑のカーテン箇所
数
702
(累計)
1,000
12,000
82,000
(戸建住宅 6 万、集合住宅 2.2 万)
一戸建ての新築住宅に占める長期優良
住宅の割合〔%〕
28
50
次世代自動車(電気自動車及びプラグ
インハイブリッド車)普及台数
966
30,000
一般開放されている急速充電器の設置
数〔基〕
30
50
市域の再生可能エネルギーの導入割合
〔%〕
3.6
10以上
市の事務・事業への再生可能エネルギ
ー導入割合〔%〕
27.5
30以上
KEMS の取得事業所数
業務建築物における省エネ診断
年間実施件数
家庭部門
住宅用太陽光発電導入件数
〔導入世帯数〕
運輸部門
市域の電力販売量〔GWh〕
各部門
共通
都市ガス供給量
(業種別)
(神戸市統計書の項目)
〔千MJ〕
9,678
家庭用
10,437,242
商業用
4,580,473
工業用
13,384,296
公用
1,637,507
医療用
1,580,987
モニタリングのみ
2
0
1
2
年
度
モニタリングのみ
環境教育講座の年間受講者数
2,066
2,000
「市民参加型生物多様性モニタリング
プロジェクト」で確認された生物種数
(延数)
1,761
4,000
133
市の事務・事業における措置の目標
区分
基準年の実績値
目標値
2005(平成 17)年度
2020(平成 32)年度
736
421
(未実施)
23.2
16
35
103,007
88,592
70,453
55,531
直結直圧給水方式の推進による間接的削
減電力使用量〔千 kWh〕
5,235
11,246
直結増圧給水方式の推進による間接的削
減電力使用量〔千 kWh〕
3,430
10,388
2.19
2.50
15
400
電力使用量(山手線)〔kWh/c・km〕
3.62
3.37
電力使用量(海岸線)〔kWh/c・km〕
8.90
8.58
公共施設等の再生可能エネルギー(太
陽光・風力・中小水力等発電※ごみ発電
を除く)〔MWh〕
4,700
(2013 年度実績)
19,800
KEMS の導入〔%〕(年 200t-CO2 以上排
出する事業場が対象)
53.6
(2013 年度実績)
100
一般公用車(バンを含む。
)の次世代自
動車の割合〔%〕
10.8
(2013 年度実績)
100
措置の目標
ごみ処理量〔千トン〕
廃棄物処理
事業
容器包装プラスチックの資源化量〔千トン〕
資源化率〔%〕
下水道事業
電力使用量〔千 kWh〕
購入電力使用量〔千 kWh〕
水道事業
市バスの燃費〔km/L〕
市バスへの次世代自動車の導入〔台〕
交通事業
市の事務・
事業全体
134
2.チェック体制・組織
(1)神戸市地球環境保全推進本部
神戸市地球環境保全推進本部は、地球環境保全に関する施策を全庁的に推進するため、1992 年度
(平成 4 年度)に設置した本市の庁内組織です。組織体制の下部には、各局室区の関係課長で構成す
る 6 つの部会が構成されており、地球温暖化対策は「地球温暖化防止部会」が担当します。この部会
に「温室効果ガス排出量」
、
「最終エネルギー消費量」、及び、
「施策・対策の進捗状況」を報告し、市
の事務・事業のみならず、市域全体の温暖化対策の推進を図ります。
(2)神戸市地球温暖化防止実行計画協議会
温対法第 20 条の 4 に基づき、市民、事業者、地球温暖化防止活動推進員、学識経験者、行政等で
構成する協議会を設置しています。
「温室効果ガス排出量」、
「最終エネルギー消費量」、及び、
「施策・
対策の実施状況」など温暖化対策の推進状況を本協議会に報告し、協議いただいた結果をもとに、施
策・対策の追加や見直し等の対応を図ります。
(3)神戸市環境保全審議会
「神戸市民の環境をまもる条例」に基づいて設置された組織で、市長の附属機関として位置づけら
れています。毎年、同審議会に、神戸市域における「温室効果ガス排出量」、
「最終エネルギー消費量」、
及び「施策・対策の実施状況」などを含む環境状況を報告し、協議いただいた結果をもとに、施策・
対策の追加や見直し等の対応を図ります。
3.進行管理の手法
本計画では、目標の達成に向けて、毎年度、施策の進捗状況と温室効果ガス総排出量や最終エネル
ギー消費量を調査し、PDCA サイクルを用いて評価・見直し等を行うことで、適切な進行管理を図
ります。
① 計画の策定(Plan)
市域全体及び市の事務・事業について、分野別の削減目標・施策等を定めます。
② 実施(Do)
本計画に位置付ける施策や行動を市民・事業者・市が実施します。
③ 点検(Check)
温室効果ガス排出量、最終エネルギー消費量、施策の進捗状況を調査・評価して、結
果を公表します。
④ 見直し(Action)
調査・評価結果や神戸市地球温暖化防止実行計画協議会、神戸市環境保全審議会等の
意見等を踏まえ、施策の実施方法等を見直します。
135
【参考資料】
1.委員名簿(五十音順、敬称略)
(1)神戸市環境保全審議会委員名簿
区
分
氏
名
職
聡 子
大阪教育大学教育学部
石 川
雅 紀
神戸大学大学院経済学研究科 教授
岡
17名
役
石 川
大 久 保
学識経験者
(氏名欄の◎は会長、○は副会長)
規 子
教授
大阪大学大学院法学研究科 教授
絵 理 子
関西大学環境都市工学部 准教授
川 井
浩 史
神戸大学 内海域環境教育研究センター長
島 田
幸 司
立命館大学経済学部
中 嶋
節 子
京都大学大学院人間・環境学研究科
中 野
加 都 子
○ 新 澤
教授
甲南女子大学人間科学部生活環境学科
秀 則
兵庫県立大学経済学部
教授
眞 理 子
藤 原
健 史
岡山大学大学院環境生命科学研究科
槇 村
久 子
京都女子大学宗教・文化研究所 客員教授
増 田
啓 子
龍谷大学経済学部 教授
岡
大阪産業大学人間環境学部 教授
通
関西大学環境都市工学部 教授
森 本
政 之
神戸大学
山 本
祐 吾
和歌山大学システム工学部
渡 辺
信 久
大阪工業大学工学部 教授
伊 藤
め ぐ み
平 木
博 美
梅 田
幸 広
岡 島
亮 介
神戸市会
沖 久
正 留
5名
向 井
道 尋
※
平 井
真 千 子
※
安 達
和 彦
※
※
名誉教授
准教授
神戸市会議員
神戸市会議員
※
山本 じゅんじ
大かわら
岩 佐
3名
教授
花 田
◎ 盛
市民代表
教授
村 山
桜 井
鈴子 ※
光 一 朗
由 佳
知 子 ※
神戸市会議員
神戸市会議員
神戸市会議員
神戸市自治会連絡協議会 会長
第 12 期市政アドバイザー
第 11 期市政アドバイザー
髙 尾
ひ ろ 子
神戸市婦人団体協議会理事
玉 田
は る 代 ※
神戸市婦人団体協議会会長
136
教授
事業者代表
3名
阿 曽 沼
伴
淳
智
兵庫県環境保全管理者協会 企画委員会副委員長
代
生活協同組合コープこうべ 理事
村 田
泰 男
神戸商工会議所 専務理事
河 野
英 司
連合神戸地域協議会 事務局長
井 上
健 司
ひょうご環境保全連絡会
緒 方
隆 昌 ※
ひょうご環境保全連絡会 副会長
関係団体
濵 西
喜 生
3名
田 中
基 康 ※
川 﨑
雅 貴
原 田
幸 也 ※
労働団体代表
兵庫県農政環境部環境創造局長
環境省近畿地方環境事務所 環境対策課長
※は審議期間中(平成 26 年 5 月~平成 27 年 6 月)に退任された委員
【在籍委員の役職は、平成 27 年 6 月末時点のもの】
137
(2)神戸市地球温暖化防止実行計画の改定に係る専門部会委員名簿
(氏名欄の◎は部会長、○は副部会長)
区分
氏名
所属・役職等
備考
○ 島田
幸司
立命館大学経済学部教授
保全審委員
◎ 新澤
秀則
兵庫県立大学経済学部教授
保全審副会長
花田
眞理子
大阪産業大学人間環境学部教授
保全審委員
温対法協議会委員
増田
啓子
龍谷大学経済学部教授
保全審委員
温対法協議会委員
岡本
紘一
NPO 法人社会還元センター
グループ わ
理事
温対法協議会委員
ひろ子
神戸市婦人団体協議会
温対法協議会委員
勇治
神戸地域地球温暖化防止活動
推進連絡会 代表
温対法協議会委員
学識経験者
市民
(市民団体、地
球温暖化防止活
動推進員を含
む)
髙尾
馬場
宮本 光晴
アースパル KOBE
顧問
温対法協議会委員
瀬渡
成夫
兵庫県地球温暖化防止
活動推進センター事務局長
温対法協議会委員
内橋
秀明
兵庫県中小企業家同友会
事務局長
温対法協議会委員
誠一郎
神戸商工会議所産業部長
温対法協議会委員
原田
幸也
近畿地方環境事務所
環境対策課長
保全審委員
温対法協議会委員
中村
秀樹
近畿経済産業局
エネルギー対策課長
温対法協議会委員
遠藤
英二
兵庫県農政環境部環境管理局
温暖化対策課長
温対法協議会委員
横山
民夫
地球環境課長
金子
信一
環境貢献都市室
エネルギー利活用担当課長
事業者
草野
関係行政機関
神戸市環境局
※所属・役職等は平成 27 年 3 月末時点
138
2.計画改定の経緯
年
月
日
内
容
第 40 回神戸市環境保全審議会
・神戸市地球温暖化防止実行計画の改定について(諮問)
平成 26 年 5 月 13 日
・平成 26 年度 環境局の取り組みについて
・その他
平成 26 年 6 月 17 日
~6 月 30 日
第 12 期市政アドバイザー 第 4 回意識調査
調査対象:1,061 人、回収数:571 通、回収率:53.82%
第 1 回専門部会
平成 26 年 6 月 26 日
・正副部会長の選出について
・神戸市地球温暖化防止実行計画の改定について
・その他
第 1 回市民懇談会
・メインテーマ:「家庭でのエネルギー消費量は、どうしたら減らせるの
平成 26 年 7 月 26 日
か」
・参加者:市政アドバイザー 10 名、大学生 1 名、オブザーバー 8 名
第 2 回専門部会
平成 26 年 8 月 25 日
・目標値の変更について
・市民・事業者の意識・以降の反映について
・その他
第 2 回市民懇談会
・「業務部門(勤め先、買い物先、お出掛け先)の省エネを進めるには」
平成 26 年 9 月 6 日
・「家庭部門(近所の家、知らない人の家など)の省エネを進めるには」
・「運輸部門(車の運転、公共交通機関など)の省エネを進めるには」
・参加者:市政アドバイザー 9 名、大学生 1 名、オブザーバー 10 名
平成 26 年 10 月 23 日
~11 月 26 日
地球温暖化についてのアンケート調査
(事業者対象)
・送付先:425 事業者、回収数:154 通、回収率:36%
第 3 回専門部会
・削減目標の検討について
平成 26 年 11 月 14 日
・適応策の追加の検討について
・専門部会からの中間報告案について
・その他
139
第 41 回神戸市環境保全審議会
・神戸市地球温暖化防止実行計画の改定に係る中間報告について
・神戸市環境基本計画の改定について(諮問)
平成 26 年 11 月 19 日
・神戸市一般廃棄物処理基本計画の改定について(諮問)
・生物多様性 神戸プラン 2020 の改定について(諮問)
・平成 25 年度神戸市環境基本計画年次報告書について
・その他
第 4 回専門部会
平成 27 年 2 月 6 日
平成 27 年 3 月 23 日
・パブリックコメント募集に向けた神戸市地球温暖化防止実行計画改定案
について
神戸市地球温暖化防止実行計画改定案の公表と市民意見の募集
~4 月 21 日
第 42 回神戸市環境保全審議会
・「神戸市地球環境温暖化防止実行計画」の改定について(答申案)
平成 27 年 6 月 9 日
・「神戸市環境基本計画」改定について
・「神戸市一般廃棄物処理基本計画」の改定について(経過報告)
・「生物多様性神戸プラン 2020」の改定について(経過報告)
平成 27 年 8 月
平成 27 年
神戸市地球温暖化防止実行計画の改定について(答申)
(神戸市環境保全審議会)
「神戸市地球温暖化防止実行計画」の改定、公表
140
3. 神戸市域における最終エネルギー消費量の推移
産業
業務
家庭
運輸
単位【TJ】
廃棄物
合計
指数
1990を
100
指数
2005を
100
1990
54,264
15,958
18,197
35,538
79 124,037
100
94
1991
55,606
16,296
19,506
38,090
90 129,589
104
98
1992
55,063
16,869
19,817
37,933
83 129,765
105
98
1993
54,024
18,096
20,181
38,219
60 130,580
105
99
1994
46,595
20,389
19,186
36,895
61 123,125
99
93
1995
45,812
17,567
19,717
34,048
82 117,227
95
89
1996
53,974
19,953
21,178
39,306
841 135,252
109
102
1997
54,454
21,152
21,205
41,234
56 138,100
111
104
1998
50,259
22,171
21,462
35,405
69 129,366
104
98
1999
47,907
22,820
22,756
34,036
103 127,622
103
96
2000
46,875
23,047
22,995
33,814
87 126,818
102
96
2001
46,971
23,499
22,748
34,405
83 127,706
103
96
2002
48,364
24,830
23,606
33,246
46 130,093
105
98
2003
49,742
24,786
22,903
32,699
75 130,205
105
98
2004
52,409
25,023
22,973
30,672
86 131,164
106
99
2005
52,394
25,446
24,157
30,364
87 132,449
107
100
2006
53,852
26,034
23,923
31,442
79 135,329
109
102
2007
52,841
27,075
23,055
31,910
80 134,961
109
102
2008
53,500
25,778
22,596
30,478
53 132,404
107
100
2009
49,748
26,085
22,905
30,324
50 129,112
104
97
2010
50,960
25,547
23,873
28,852
88 129,320
104
98
2011
53,917
22,654
22,306
28,911
88 127,876
103
97
2012
54,061
21,577
22,250
29,414
95 127,397
103
96
(注)部門別内訳については推定値であり、2011年度分より算定方法を一部変更しています。
141
4.神戸市域における温室効果ガス排出量の推移
産業
CO2
業務
CO2
家庭
CO2
運輸
CO2
廃棄物
CO2
単位【千 t-CO2】
その他
ガス
合計
指数
1990を
100
指数
2005を
100
1990
5,038
1,295
1,324
2,449
196
766
11,069
100
99
1991
5,041
1,271
1,364
2,619
200
767
11,262
102
100
1992
4,880
1,249
1,324
2,602
212
794
11,061
100
98
1993
4,721
1,238
1,271
2,612
225
796
10,864
98
97
1994
4,284
1,623
1,368
2,542
211
866
10,894
98
97
1995
4,009
1,322
1,366
2,331
203
837
10,068
91
90
1996
4,763
1,460
1,423
2,695
256
842
11,438
103
102
1997
4,750
1,393
1,314
2,816
212
813
11,298
102
101
1998
4,366
1,434
1,314
2,405
226
728
10,473
95
93
1999
4,159
1,587
1,472
2,312
251
646
10,427
94
93
2000
4,054
1,587
1,478
2,295
262
564
10,239
93
91
2001
3,967
1,553
1,424
2,334
284
462
10,023
91
89
2002
4,091
1,616
1,465
2,252
292
437
10,154
92
90
2003
4,256
1,615
1,419
2,215
307
404
10,216
92
91
2004
4,642
2,035
1,737
2,104
277
383
11,179
101
100
2005
4,600
2,079
1,820
2,085
270
375
11,230
101
100
2006
4,708
2,070
1,738
2,152
275
390
11,333
102
101
2007
4,613
2,277
1,786
2,190
243
378
11,487
104
102
2008
4,568
1,866
1,535
2,075
232
405
10,681
96
95
2009
4,047
1,679
1,435
2,014
266
418
9,859
89
88
2010
4,329
1,804
1,569
1,980
269
412
10,362
94
92
2011
4,804
2,058
1,847
1,995
264
420
11,389
103
101
2012
4,992
2,183
2,018
2,039
225
439
11,895
107
106
(注)部門別内訳については推定値であり、2011年度分より算定方法を一部変更しています。
142
5.用語解説
【ア行】
ISO14001
国際的な単位・用語・工業規格などの標準化を推進する機構である ISO(国際標準化機構:
International Organization for Standardization)がまとめた、環境マネジメントシステムに関
する国際規格。企業などの組織が、環境マネジメントシステムを構築するために求められる要求
事項を規定した規格であり、環境方針及び計画を策定(Plan)して実施・運用(Do)し、点検
及び是正(Check)を行い、経営層が見直す(Action)という、いわゆる PDCA サイクルにより
環境マネジメントシステムを継続的に改善していくことが要求されている。
ICT(Information and Communication Technology)
情報・通信に関連する技術一般の総称。従来から用いられてきた「IT」とほぼ同様の意味で用
いられるが、IT(Information Technology)の「情報」に加えて「コミュニケーション」
(共同)
性が具体的に表現されている点に特徴がある。
一次エネルギー
自然界に存在するままの形のエネルギー源で、石油・石炭・天然ガス等の化石燃料、原子力の
燃料であるウラン、水力・太陽・地熱等の自然エネルギーのことをいう。
これに対し、電気・ガソリン・都市ガス等は、一次エネルギーを変換・加工して得られるエネ
ルギーであり、これらを二次エネルギーという。
一般廃棄物
産業廃棄物以外の廃棄物で、一般廃棄物はさらに「ごみ」と「し尿」に分類される。また、
「ご
み」は、商店、オフィス、レストラン等の事業活動によって生じた「事業系ごみ」と、一般家庭
の日常生活に伴って生じた「家庭系ごみ」に分類される。
ウォーターフロント
河岸、海岸通の土地、水辺といった意味だが、近年は、過密化する都市の新たな開発区域とし
ての港湾を指して使われている。
美しいわがまちキャンペーン
市民運動として定着している「クリーン作戦」に加え、美しいまちづくりの新たな方向として、
ポイ捨てされる前にポイ捨てしないよう呼びかける啓発キャンペーンを、行政だけでなく、地域
主体でも展開していこうとする運動。
エコタウン
概ね小学校区を対象に、ふれあいのまちづくり協議会など地域が主役となって環境にやさしい
まちづくりを行い、その広がりを通じて全市に環境に配慮した行動を推進する市の制度のこと。
エコタウンまちづくり
地球温暖化防止、循環型社会への転換を目指し、市民が主体となり、環境負荷の少ない活動、
及びライフスタイルへの変革を地域ぐるみですすめようとする神戸市独自のまちづくり。
エコ通勤
マイカーやバイクを使わず、公共交通機関や自転車、徒歩で通勤すること。
エコドライブ
環境に配慮した自動車の運転方法のことで、具体的には急発進・急停車しない、空ぶかししな
い、不要なアイドリングをしない、不要な荷物を載せたまま走らない、といった取り組み。
エコショッピング制度
自家用車から鉄道への利用転換を促進し、環境負荷の低減を図るため、地下鉄を使って提携店
で買い物や食事をすると割引を受けられる市の制度。
エコツーリズム
自然環境や歴史文化を対象として、それらを体験し学ぶとともに、対象となる地域の自然環境
や歴史文化の保全に責任をもつ観光のこと。
143
エコファミリー制度
土曜・日曜・祝日などに、大人が同伴する小学生以下の市バス・地下鉄などの料金が無料(大人
1人につき小学生以下2人まで)になる市の制度。
ESCO事業(Energy Service Company)
省エネルギーを企業活動として行う事業で、省エネルギーに関する包括的なサービスを提供し、
顧客の利益と地球環境の保全に貢献するビジネス。ESCO 事業を行う事業者(ESCO 事業者)は、
省エネルギー量を保証し、顧客の省エネルギー効果(メリット)からその一部を報酬として受け
取る。
EST(Environmentally Sustainable Transport)
経済協力開発機構(OECD)が 1994 年に開始した環境的に持続可能な交通の実現を目指す政
策ビジョンで、長期的な視野で、環境面から持続可能な交通・環境政策を策定・実施する取り
組みのこと。
エネルギー管理指定工場
エネルギーの使用の合理化を特に推進する必要があるとして、省エネ法に基づき経済産業大臣
が指定する工場等をいう。具体的には、前年度のエネルギー使用量が 3,000kl 以上(原油換算)
の工場等は「第一種エネルギー管理指定工場等」に、1,500kl 以上(原油換算)の工場等は「第
二種エネルギー管理指定工場等」として指定される。
エネルギー起源二酸化炭素と非エネルギー起源二酸化炭素
エネルギー起源二酸化炭素とは、燃料の使用に伴い発生する CO2 をいう。非エネルギー起源二
酸化炭素とは、廃プラスチック等の焼却、セメント製造、化学工業等に由来する CO2 をいう。
エネルギー産業
燃料や電力、蒸気等の動力を供給する産業をいう。
エネルギーの地産地消
地産地消とは、「地域生産、地域消費」の略語で、地元で生産されたものを地元で消費するこ
とを意味している。エネルギーの地産地消とは、地域内での自然エネルギーや原料収集及び発生
したエネルギーを当該地域内で供給、消費すること。
エネルギー転換部門
石油、石炭、天然ガス等の一次エネルギーを実際に消費される最終エネルギーに転換する部門
(発電、 石油精製等)のことをいう。なお、本計画では産業部門に含めている。
LED
LED とは発光ダイオード(Light Emitting Diode)の略称で、電気を流すと発光する半導体の一
種。長寿命と低消費電力という特徴があり、信号機や屋内外の照明に幅広く利用されている。
温室効果ガス
大気を構成する気体であって、赤外線を吸収し再放出する気体。京都議定書では、人為的に排
出される二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカー
ボン類、六ふっ化硫黄の 6 物質が排出削減対象となっている。
【カ行】
回生エネルギー
自動車等の走行中にブレーキを踏み、モーターが減速するまたは負荷が降下する際に、返って
くるエネルギーのことで、返ってきたエネルギーを電気エネルギーとしてバッテリーに回収し、
エンジンスターターやモーターの電力として再び用いることができる。
カーシェアリング
複数の会員間や会社で自動車を共同使用するサービスないしはシステムのこと。利用者は自ら
自動車を所有せず、管理する団体の会員となり、必要な時にその団体の自動車を借りる。
カーボンオフセット
自らの日常生活や企業活動等による温室効果ガス排出量のうち削減が困難な量の全部又は一
部を、ほかの場所で実現した温室効果ガスの排出削減や森林の吸収等をもって埋め合わせる活動。
144
カーボンリーケージ
京都議定書において削減目標を持つ国において温室効果ガスの削減活動を行った結果、削減目
標を持たない国で排出量が増加すること。
カーボンニュートラル
ライフサイクルの中で、二酸化炭素の排出と吸収がプラスマイナスゼロになること。例えば、
植物は焼却の際に二酸化炭素を排出するが、成長過程で光合成により大気中の二酸化炭素を吸収
しているため実際に大気中の二酸化炭素の増減には影響を与えないと考えられる。
風の道
ヒートアイランド現象対策の一つで、郊外から都市内に吹き込む風の通り道を作ることで、都
市部の気温上昇を抑える。
環境影響評価制度
環境に著しい影響を及ぼすおそれのある開発事業等の実施前に、事業者自らが事業の実施によ
る環境への影響を調査、予測、評価し、その結果を公表して広く住民その他利害関係者等からの
環境の保全上の意見を聴き事業計画に反映させることで、環境の保全や公害の防止を図る制度の
こと。
環境会計
企業等が、社会との良好な関係を保ちつつ環境保全への取組を効率的かつ効果的に推進してい
くことを目的として、事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果
を認識し、可能な限り定量的(貨幣単位又は物量単位)に測定する仕組み。この中でも、企業の
廃棄物削減と生産性向上に着目したものをマテリアルフローコスト会計という。
環境基準
環境基本法及びダイオキシン類対策特別措置法により政府が定めるもので、「大気の汚染、水
質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係わる環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、
及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい」とされる基準のこと。
KOBE 環境大学
ごみ問題など身近な事例から地球環境問題まで幅広い環境問題を学習し、環境問題に対する正
しい理解を広げるため、学識経験者や環境 NPO などによる講義や実践体験を通じて、環境ボラン
ティアとして行動し、地域活動の中心的役割を担う人材の育成を目指しているもの。
環境(エコ)定期券
土曜・日曜・祝日などの休日にマイカーのかわりに市バスを利用することにより自動車交通量
を抑制することを目的とした割引制度。
環境配慮型契約
製品やサービスを調達する際に、環境への負荷ができるだけ少なくなるような工夫をした契約
のこと。
環境保全協定
神戸市と事業者が協働して、公害防止対策だけでなく、事業者が行う省エネや廃棄物の減量・
資源化など幅広い環境保全活動を促進していくため、1994 年 3 月の「神戸市民の環境をまもる条
例」の全面改正の際に新たに設けられた制度。
環境マネジメントシステム
企業等の事業組織が、環境法令等を遵守することにとどまらず、自主的、継続的に環境の改善
に取り組んでいくための行動を、計画・実行・点検・見直しを行うという一連の手続きで運用す
る自律的なシステム。
環境ロードプライシング
並行する路線間に料金格差を設けて運転者や事業者に路線変更の動機付けを与え、都心部や住
宅地への交通流入を抑制し、環境影響の比較的少ない路線に交通を誘導することを目的とした施
策。
145
管理標準
事業者の工場・事業場におけるエネルギー原単位の改善を目的としてエネルギー使用設備の運
転管理、計測・記録、保守・点検について自ら定めたマニュアルのこと。エネルギーの使用の合
理化に関する法律に基づく「基本方針」において、
「事業者はエネルギー消費設備の運転、保守・
点検その他の項目に関し管理標準を設定し、これに準拠した管理を行う」よう定められている。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
1998年(昭和63年)に、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立。地球温暖
化に関する化学的・技術的・社会経済的な評価を行い、得られた知見を政策決定者をはじめ広く一
般にも公表。これまで、5~6年毎に5次にわたり評価報告書を発表している。
急速充電器
電気自動車に搭載される駆動用蓄電池(バッテリー)に、直流電流を供給して急速に充電する
機器。
京都メカニズム
京都議定書において導入された、国際的に協調して温室効果ガスの削減目標を達成するための
制度。排出量取引(先進国間の排出量の取引)、共同実施(先進国と市場経済移行国間の削減量
の取得)、クリーン開発メカニズムの(先進国と途上国間の削減量の取得)3種類がある。
共同集荷・配送システム
複数の事業所が共同して集荷・配送を行うことをいい、運搬車両の台数や輸送距離の削減など
の効果がある。また、車両の待機時間や荷待ちの車両も減少するなどの効果がある。
グリーンイノベーション
環境を意味する“グリーン”と、技術革新を意味する“イノベーション”を合わせた造語。環
境・資源・エネルギーに関する科学的発見や技術的発明に基づいて、低炭素社会、循環型社会、
自然共生社会を構築しようとするもの。
グリーンカンパニーネットワーク
「神戸発・地球にやさしい企業の環(わ)」をキャッチフレーズに、神戸市域で事業活動を行
っている事業者からなる、環境保全に関する交流、連帯、情報交換を推進する組織。
グリーン購入
製品やサービスを購入する際に、その必要性を十分に考慮し、購入が必要な場合には、できる
限り環境への負荷が少ないものを優先的に購入すること。
グリーン電力証書
風力、太陽光、バイオマス、水力、地熱を利用した電気(グリーン電力)のもつ「電気自体の
価値以外のもう一つの価値(=環境付加価値)」を証書として取引する仕組み。証書を購入した
企業・団体はグリーン電力を使用したと見なすことができる。
グリーン配送
物品の納入などの配送サービスに、排気ガスからの大気汚染物質の排出が少ない自動車を利用
して配送を行うこと。
KEMS(神戸環境マネジメントシステム)
ISO14001 よりも取得にかかる費用や労力を軽減した、ISO14001 と同じく PDCA サイクルを基本
とする神戸独自の環境マネジメントシステムで、神戸環境フォーラムが運営している。
建築物の屋上・敷地緑化の届出制度
建築物の屋上や壁面および敷地の緑化は、ヒートアイランド現象の緩和等に効果を
有し、緑化可能地が限られた都市部において総合的な緑化を進めていく上で重要な役
割 を 果 た す 。 兵庫県「環境の保全と創造に関する条例」に基づき、市街化区域内の一定規模以
上の建築物の新築・改築・増築については届出及び緑化が義務付けられている。
現状趨勢ケース(BAU:Business as usual)
英語では、Business as Usual と訳す。温暖化対策の文脈では、これまでに導入されている政
策や対策の効果を考慮し、それ以降は、新たな政策・対策の効果がないとした場合の将来予測を
指す。
146
公共建築物の建設・改修指針
市有施設に求められる性能(ⅰ健全度、ⅱ耐震性能、ⅲ法適合性、ⅳ防災安全性、ⅴ環境保全
性、ⅵバリアフリー)の中でも、環境保全に関する技術水準及びこれを確保するために必要な技
術的事項を定めることで、市有施設の新築、改修の際に、どのような省エネルギー技術を導入す
べきかを整理した、施設の用途や規模、運用上の特性に応じた効率的な CO2 排出量削減を図るた
めの整備基準。
工業プロセス
セメントやアンモニア等を工業的に製造するプロセスで、物理的・化学的に温室効果ガスを排
出する部門のことをいう。なお、本計画では産業部門に含めている。
神戸市民の環境をまもる条例
神戸市民の健全で快適な環境を確保することを目的とした条例で、(1)環境への負荷の少ない環
境保全型社会の実現を目指す、(2)健全で快適な環境を現在の市民から将来の市民へ継承する、(3)
環境を構成する大気、水などの資源の適正な管理と利用を図る、(4)市、事業者及び市民がそれぞ
れの責務を自覚し、協働して健全で快適な環境の実現を図る、(5)地球環境保全を、自らの問題と
してとらえ、貢献する、ことを基本理念としている。
こうべ環境未来館
環境教育の拠点として、地球温暖化防止とごみの減量・資源化に関する市民啓発や情報発信を
行う施設で、資源リサイクルセンターに併設されている。ごみ問題から地球温暖化防止対策、ビ
オトープづくりなど分かりやすく学べる展示や体験コーナー、大型家具・自転車のリユースコー
ナーなどのほか、NPO による環境学習講座も開催されている。
神戸市自転車利用環境総合計画
自転車や歩行者の事故増加などを背景に、自転車利用環境の改善を図るため平成
24 年度に策定。同計画では、「自転車走行空間の整備」「駐輪対策の推進」「自転車利
用ルールの周知徹底とマナー向上」の 3 つを施策の柱としている。
こうべ旬菜育成推進事業
平成 10 年度から野菜産地の育成、市民への安全・安心な野菜の供給、産地における環境負荷
軽減を目的として、神戸市内で生産され、人と環境の安全に配慮して栽培された野菜(有機栽培・
減農薬・減化学肥料栽培など)を「こうべ旬菜」として出荷している。こうべ旬菜の出荷量が増
加することによって、農産物の地産地消がより一層進む。
こうべ版GAP
土づくりから出荷まで生産段階における環境負荷の低減及び安全確保のための自主チェック
システムのこと。
こうべ森の学校
六甲山緑化発祥の地「再度山(ふたたびさん)」で、森林の手入れをしながら森を育てる技能
を磨き、みどりを守るとともに、森の恵みを楽しみながら利用して、より美しく豊かな六甲山の
森を育てる活動を行っている。具体的には、森の手入れ班をはじめ、木工班、自然観察班の 3 つ
のグループに分かれ、各々が興味のある活動に取り組んでいる。
国際連合枠組条約第3回締約国会議
1997年に京都で開催された「気候変動に関する国際連合枠組条約」の締約国による3回目の会議
のこと。1995年ドイツのベルリンで第1回締約国会議(COP1)が開催されて以来、毎年開催され
ている。
国内排出量取引制度
温室効果ガスの排出量の削減が着実に実施されるようにするため、大口排出源の温室効果ガス排
出量に排出枠を設定し、排出量の削減を担保するための制度。柔軟な義務履行を可能とする観点か
ら排出枠の取引等を義務履行の選択肢として認めるもの。平成22年10月に閣議決定された「地球温
暖化対策基本法案」において、温室効果ガスの中期削減目標の達成のために、国が実施する施策の
一つとして掲げられていたが、法案が平成24年11月廃案となり、大口排出源の温室効果ガス排出量
に排出枠の設定などは実現に至っていない。
147
コペンハーゲン合意
京都議定書に続く、2013 年以降の新たな地球温暖化対策の枠組み(ポスト京都)に関する政
治的な合意。2009 年 12 月にデンマークで行われた COP15 の全体会合で決定された。世界全体
の長期目標として産業化以前からの気温上昇を2度以内に抑えることや、先進国による途上国へ
の支援などが盛り込まれている。一方、具体的な削減目標などは入っておらず、先進国は中期目
標を、途上国は削減行動を、それぞれ条約事務局へ提出することになった。
それを受けて、わが国は平成 22 年 1 月 26 日、気候変動枠組条約事務局に「1990 年比 25%削
減、ただし、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の
合意を前提とする」との内容を提出した。
ごみ発電
クリーンセンターにおいて、ごみを焼却することにより発生させた蒸気でタービン発電機を回
して発電を行うこと。クリーンセンター等で使用する電気を賄い、余った電気は電力会社に売却
している。市内 4 箇所の全てのクリーンセンターでごみ発電を行っている。
コミュニティサイクル
複数の自転車貸出・返却拠点を設置し、どの拠点でも貸出・返却が可能な新たな交通システム
のこと。
コージェネレーション
発電と同時に発生した排熱も利用して、冷暖房や給湯等の熱需要に利用するエネルギー供給シ
ステムのこと。
【サ行】
再生可能エネルギー
有限で枯渇の危険性を有する石油・石炭などの化石燃料と対比して、自然環境の中で繰り返し
起こる現象から取り出すことができるエネルギーのこと。具体的には、太陽光や太陽熱、水力や
風力、バイオマス、地熱、波力、温度差などを利用した自然エネルギーと、廃棄物の焼却熱利用・
発電などのリサイクルエネルギーを指す。
雑がみ
古本・カタログ・菓子箱・包装紙など、新聞や広告、段ボール以外の家庭から出るほとんどの
紙が対象となるリサイクル可能な貴重な「資源」である。
CO2 換算(トンーCO2)
温室効果ガス(資料編-74 ページ参照)について、CO2(二酸化炭素)の持つ効果を基準とし
て換算する方法。例えば、CO2 と同じ量のメタンが排出される場合は CO2 の 21 倍、同量の六ふ
っ化硫黄が排出される場合は 23,900 倍で換算することになる。なお、対象ガスや係数(地球温
暖化係数)は、温対法で規定されている。
CO2 排出係数
電気の使用や、ガス、石油等の燃料の使用などに伴い発生する単位あたりの CO2 排出量を表し
たもの。特に電気の排出係数は、エネルギー自給率が低いわが国においては、安定かつ経済的に
電気を供給するため、原子力、火力、水力など、それぞれの発電方式の特性を活かし、組み合わ
せる「電源のベストミックス」が進められており、それぞれの割合により CO2 排出係数が変動す
ることから、他の燃料等に比べて、変動が大きい。電力会社においては、CO2 排出量削減のため、
京都メカニズムを活用した CO2 クレジットを用いたカーボンオフセットを行っており、2008 年
度から排出係数への反映を行っていることから、排出係数には「調整前排出係数(クレジット反
映前の係数)」と「調整後排出係数(クレジット反映後の排出係数)」の 2 種類がある。
CSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)
企業が利益を上げ配当を維持し、法令を遵守するだけでなく、人権に配慮した適正な雇用・労
働条件、消費者への適切な対応、環境問題への配慮、地域社会への貢献など企業が社会的側面に
も責任を有するという考え方をいう。
CCS (Carbon dioxide Capture and Storage)
火力発電所や工場などから発生する CO2 を大気に放出する前に回収し、貯留地点に輸送した後、
地中等に圧入して長期的に貯蔵する技術のこと。
148
自主行動計画
1997 年 6 月に、日本経済団体連合会が策定した「2010 年度に産業部門およびエネルギー転換
部門からの CO2 排出量を 1990 年度レベル以下に抑制するよう努力する」ことを目的とする、産
業界による地球温暖化対策のための自主的な計画。
次世代自動車
燃料電池自動車や、電気自動車など、二酸化炭素や大気汚染物質の排出量が少ない、環境性能
の優れた自動車の総称。
実質市内総生産
市内で生産された生産物の価値(市内総生産)から、年々の物価変動による影響を取り除いた
もの。
遮熱性舗装
表面に太陽光からの赤外線を反射するコーティングを施すことにより、路面温度の上昇を抑制
する道路舗装のこと。
遮熱塗装
建物の屋根に太陽光熱の遮蔽に効果がある塗料を塗装することで、夏期の太陽熱を反射させ、
塗装部表面温度の上昇を抑える効果がある。その結果、夏場の平均室温を下げ、冷房にかかるエ
ネルギーを節約できる。
循環型社会
大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会に代わるものとして提示された概念。循環型社会形成
推進基本法では、第一に製品等が廃棄物等となることを抑制し、第二に排出された廃棄物等につ
いてはできるだけ資源として適正に利用し、最後にどうしても利用できないものは適正に処分す
ることが徹底されることにより実現される、「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができ
る限り低減された社会」とされている。
省エネ診断
工場や事業場などにおいて、エネルギー消費設備が効率よく運用されているかなどの現状を把
握し、省エネルギーに関する改善の可能性を把握するための調査をいう。
小水力発電
処理場と処理水を放流する場所までの落差を利用して、水車を回し発電する方式のこと。
森林管理
森林は、大気中の二酸化炭素を吸収し、幹や枝等に長期間にわたって蓄積するなど二酸化炭素
の吸収、貯蔵庫として重要な役割を果たしているため、新規植林や再植林の他、持続可能な方法
(地拵え、地表かきおこし、植栽、下刈、除伐、間伐、主伐等)で森林の機能を発揮させること
をいう。
森林吸収、吸収源対策
森林が光合成を行なう性質を利用して、大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収して削減する仕組
み。京都議定書で認められる森林には、1990 年以降の新規植林、再植林、森林経営のほか、都
市公園などにおける植生回復が対象となる。
スマートエネルギーネットワーク
電気に熱、再生可能エネルギー、廃熱、大気熱等未利用エネルギーを組み合わせた総合的なエ
ネルギーネットワークのこと。
スマートグリッド
エネルギー供給源の出力変動と、家電や電気自動車などの需要変動の双方に適切に対応し、エ
ネルギー利用の効率化を実現するために、ICT(情報通信技術)を活用して、効率的に需給バラン
スをとり、電力の安定供給を実現するための電力送配電網のこと。
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スマートコミュニティ
電力だけでなく、熱や未利用エネルギーも含めたエネルギーを地域単位で統合的に管理すると
ともに、交通システムなども組み合わせた、人々のライフスタイル全体を視野に入れた社会シス
テムのこと。
スマートハウス
複数の家電をネットワークでつなぎ、エアコンやテレビなどの使用を自動制御する住宅のこと。
テレビの消し忘れをなくしたり、エアコンの温度調節を自動化することで無駄な電力消費を抑え
られる。また、太陽光発電設備や家庭用蓄電池と接続し、発電した電力をより効率的に使うこと
もできる。
スマートメーター
ICT(情報通信技術)によって、電気事業者と需要側との双方向通信機能を搭載した電力量計(電
力メーター)。電源スイッチ切り替えや、自動検針などの遠隔制御が可能となる。
3R
リデュース(Reduce)
:廃棄物等の発生抑制、リユース(Reuse)
:再使用、リサイクル(Recycle)
:
再生利用の 3 つの頭文字をとったものである。
税制のグリーン化
環境への負荷を低減するために税制を見直すこと。
ゼロエミッション
ある産業の製造工程から出る廃棄物を別の産業の原料として利用することにより、廃棄物の排
出(エミッション)をゼロにする循環型産業システムの構築を目指すもの。国連大学が提唱し、
現在、広く地球環境に与えるダメージがゼロという意で用いられている。
【タ行】
段ボールコンポスト
段ボールとピートモス、もみ殻くん炭などを使って、家庭(屋内)でも手軽に取り組める生ご
みの堆肥化のこと。
地域グリーンニューディール基金事業
国が地域の実情に応じて、地球温暖化対策等の喫緊の環境問題を解決するため、都道府県及び
政令指定都市に基金を造成するもの。本基金事業が地域において確実に実施されることで、当面
の雇用創出と中長期的に持続可能な地域経済社会の構築につなげることを目的としている。
地域冷暖房
駅やビル、商業施設、マンションなど一定地域内の建物群に対して、まとめて冷暖房や給湯を
行うシステムをいう。従来、個別に行ってきた冷暖房・給湯を地域ぐるみで行うことにより、個
別建物では利用が難しい未利用エネルギー(ごみ焼却排熱、バイオマスエネルギー等)の活用が
可能他、エネルギーの安定供給、省エネルギー、経済性、環境保全など多くのメリットがある。
地球温暖化防止活動推進センター
温対法によって定められたセンターで、各都道府県知事や政令指定都市等市長によって指定さ
れる。同法に基づき都道府県知事が委嘱する地球温暖化防止の活動を支援し助言を行う地球温暖
化防止活動推進員などと協力して、地球温暖化防止に関する「啓発・広報活動」
「活動支援」
「照
会・相談活動」「調査・研究活動」「情報提供活動」を行う。
地産地消
地域の消費者ニーズに即応した農漁業生産と、生産された農水産物を地域で消費しようとする
活動を通じて、農漁業者と消費者を結びつける取り組み。
長期優良住宅
耐久・耐震・省エネ性に優れ、数世代にわたって暮らせる住宅。配管等の維持管理や間取りの
変更などが容易にできるよう一定の措置が講じられたもの。「長期優良住宅の普及の促進に関す
る法律」」
(2009 年(平成 21 年)6 月 4 日施行)により、一定の基準を満たした認定長期優良住宅
は住宅ローン減税の拡充・登録免許税の税率引き下げ等の税制面での優遇などを受けられる。
150
低炭素都市
ビジネスや暮らし方など都市における活動や、住宅、工場、道路などの都市機能など、都市のあ
らゆる要素がCO2排出量の少ないものに変革された都市のこと。
電気自動車
電気を動力源として、電動機により走行する自動車。
電気の排出係数、調整後排出係数
電気の使用に伴い排出される温室効果ガスの量を換算する係数で、通常、消費電力量あたりの
二酸化炭素排出量(単位:kg- CO2/kWh)で表される。このうち、京都メカニズム等のクレジッ
ト分を差し引いたものを“調整後排出係数”といい、ともに温対法で規定されている。
電力回生
機器で生じる余剰なエネルギーを回収し、電力として再利用する技術のことで、機器のエネル
ギー効率を高められる。電動機(モーター)による電力回生が主流で、通常は駆動力として用いて
いる電動機を発電機として作動させ、回転抵抗を利用して電気を発生させる。電動機を動力とす
るエレベーター、鉄道車両、自動車等に用いられている。
都市廃熱
都市活動に伴う発電、焼却、空調等から発生する熱のこと。
トップランナー方式
電気製品などの省エネ基準や自動車の燃費・排ガス基準を、市場に出ている機器の中で最高の
効率のレベルに設定すること。1998 年 6 月に改正された「省エネ法」では、このトップランナ
ー方式が導入され、基準に達していない製品を販売し続ける企業にはペナルティーが科されるこ
とになった。
【ナ行】
二次林
人の手によって一度も伐採されたことがない樹林を自然林といい、その自然林が伐採された後
または台風や噴火などの自然災害で失われた後に自然に生えてきた樹林を二次林という。
燃料転換
温室効果ガスの排出量を削減するため、動力を得るためのエネルギー源を転換することで、一
例として、石炭や石油からガスや電力へ転換することなどが挙げられる。
燃料電池
燃料(水素)を外部から供給し、酸化剤(主に空気中からの酸素)を化学的に反応させて、そ
の反応エネルギーを電気として直接取り出す発電装置。
ノーマイカーデー
神戸市では毎月 20 日に個人目的の自動車使用の自粛を呼びかけており、自動車交通量の削減
を図る施策。交通混雑の緩和に結びつくとともに、実質的な自動車交通量の減少になるため、地
球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出削減につながる。
【ハ行】
パークアンドライド
最寄りの駅や停留所、目的地の手前まで自家用車で行って駐車し、そこから鉄道やバスに乗り
継ぐ移動方式。自動車の利用を抑制することによる環境保全対策及び都市の交通渋滞対策の一環
として推進されている。
バイオディーゼル燃料
廃食用油などの生物由来油に化学処理を施し、ディーゼルエンジンに使用できるようにした燃
料のこと。
バイオマス
生物(bio)の量(mass)という意味だが、再生可能な生物由来の有機性エネルギーや資源(化
石燃料は除く)をいうことが多く、基本的には草食動物の排泄物を含め 1 年から数十年で再生産
できる植物体を起源とするものを指している。
151
排水性舗装
多孔質な表層から浸透させた雨水を直下の不透水層で路側の排水施設に排水させる舗装。遮熱
性舗装とは異なり路盤以下に水を浸透させず、雨天走行時の安全性向上のほか、タイヤ摩擦音の
一部が表層内の空隙に吸収されることにより、道路交通騒音の発生を減少させる等の効果がある。
BAU
Business as Usual の略で、日本語では現状趨勢ケースと訳される。温暖化対策の文脈では、
これまでに導入されている政策や対策の効果を考慮し、それ以降は、新たな政策・対策の効果が
ないとした場合の将来予測を指す。
ヒートアイランド現象
都市域において、人工物の増加、地表面のコンクリートやアスファルトによる被覆の増加、そ
れに伴う自然的な土地の被覆の減少、さらに冷暖房などの人工廃熱の増加により、地表面の熱収
支バランスが変化し都心域の気温が郊外に比べて高くなる現象。
ヒートポンプ・インバータ機器
ヒートポンプとは、
「熱を汲み上げる」という意味で、「熱を移動させること」によって熱を取
り出して利用する仕組み。大気の熱をはじめ、河川や海、家庭や工場から出る排熱など、身近に
ある未利用熱をより高い温度にして効率的に利用することができる省エネルギー技術 。(NEDO
ホームページより)
インバータとは、周波数を自由に設定した交流電流を作る装置で、機器の制御を最適化できる
ため、省エネにも効果的。
PDCA
(1)方針・計画を立て(Plan)、
(2)それを実行し(Do)、
(3)その実施状況を評価し(Check)、
(4)見直し改善する(Action)ことを繰り返すサイクル。
ビオトープ
ドイツ語で「ビオ」は生物、
「トープ」は場所を指し、「生物のすむひとまとまりの空間」を意
味する。一般には学校等につくられた池をビオトープと理解されることもあるが、本来のビオト
ープは幅広いもので六甲山のような森林からツバメの巣のある家の壁までもビオトープといえ
る。
フードマイレージ
食べ物が運ばれてきた距離のことで、輸入食糧の総重量×輸送距離で表される。食料の生産地
から食卓までの距離が長いほど、輸送にかかる燃料や二酸化炭素の排出量が多くなるため、フー
ドマイレージが高くなり、食料の消費が環境に対して大きな負荷を与えていることになる。
輻射熱(ふくしゃねつ)
太陽から地球に届いた日射エネルギーのうち、熱エネルギーに転換されて地表面を温めている
熱のこと。
プラグインハイブリッド車
モーターとエンジンの両方を搭載しており、家庭用コンセントなどの外部電力で充電すること
が可能なハイブリッド車のこと。
【マ行】
まちづくり協議会
まちづくり提案の策定、まちづくり協定の締結等により、専ら、地区の住み良いまちづくりを
推進することを目的として住民等が設置した協議会で、市長がまちづくり協議会として認定した
地域団体をいう。
緑のカーテン
ゴーヤやアサガオなどつる性植物を窓側に繁茂させることにより日陰を生み出し、室温を下げ
ることでエアコンの使用を減らして地球温暖化の原因となる CO2 排出量を削減しようとする取り
組み。
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未利用エネルギー
河川水・下水等の温度差エネルギー(夏は大気よりも冷たく、冬は大気よりも温かい水)や、
工場等の廃熱といった、今まで利用されていなかったエネルギーのこと。
メガソーラー
出力1MW(メガワット=1,000kW)以上の大規模な太陽光(ソーラー)発電設備のこと。
モーダルシフト
トラック等による幹線貨物物流を、環境負荷の少ない大量輸送機関である鉄道貨物輸送・内航
海運に転換すること。
もったいないやん!KOBE 運動
神戸市民が環境問題に「気づき、考え、行動する」きっかけづくりとして、子どもから高齢者
まで全ての神戸市民が明るく、楽しく、創造的に環境に配慮した行動や取り組みを継続的に行え
るよう、全市的な市民運動として神戸市地球環境市民会議で展開しているもの。「もったいない
やん!川柳」の募集や、「わが家のもったいないやん!宣言」の募集などを行っている。
もったいないやん!宣言
温室効果ガスやごみの排出量の削減のためには市民のライフスタイルの転換が必要であるこ
とから、
「家庭版エコマニュアル」を参考に、取り組みやすい 12 のエコライフメニューを実践す
ることを宣言してもらい、取り組みの輪を広げることを目指している。
【ら行】
陸電供給
停泊中の船舶に陸上から電気を供給すること。
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