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先取り予想 2014 年のドル円相場
株式会社GCIキャピタル
チーフ・ストラテジスト
山岡和雅
2014 年の主なイベント
2014 年のドル円相場をファンダメンタル面から見るにあたって、まずは両国の 2014 年の
主なイベントを確認しておこう。
SA
相場に影響を与える日本のもっとも大きなイベントとしては、4 月 1 日からの消費税税率引
き上げがあげられる。3 月までに駆け込み需要がどこまで広がるか、4 月以降、経済対策の
効果で消費の鈍化をどこまで抑えられるかが、相場にも大きな影響を与えそうだ。
一方、米国のイベントとしては、11 月 4 日の中間選挙が大きなポイントとなりそう。下院
の全ての議席及び上院の 1/3 が改選される同選挙。現状では上院(定員 100)が民主党 52、
民主党系無所属 2、共和党 46 と、民主党が優勢。下院(定員 435)が、民主党 200、共和
党 233、欠員 2 と共和党が優勢と、ねじれが生じている状況。これにより、新年度予算や債
M
務上限問題などで、オバマ大統領及び上院民主党と、下院共和党の対立が激化し、なかな
か物事が前に進まないという政治状況が出来上がっている。オバマ大統領としては、中間
選挙までに実績を上げ、下院での逆転と、上院での絶対多数(注)である 60 名確保を狙っ
ている状況。共和党としては、上下院ともに議会で有利に立ち、オバマ政権への揺すぶり
を強化して、2016 年の次期大統領選に備えたいという状況である。政治的な対立の激化は、
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9 月末からのドル売りでも見られたように、その国の通貨にとって大きな売り材料となるだ
けに、中間選挙に向けて対立が深刻化するようだと、相場に大きな影響を与えてきそうだ。
(注)上院の絶対多数
上院議員は法案審議に対してフィリバスター(議事妨害)の権利
を有しており、長時間の演説を続けることで、審議を時間切れで事実上廃案に持ち込むこ
とができる。しかし、60 名の賛成でフィリバスターは強制的に停止させることができるた
め、60 名は上院の絶対多数として重視されている。
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両国の景気動向見通し
上記イベントを意識しつつ、両国の景気動向の格差を予想していきたい。
両国ともリーマンショック以降の景気後退期からは回復を見せており、緩やかな動きなが
ら経済成長の流れに乗っていることには違いがない。後は、両国間の成長格差がポイント
となってくる。
序盤は、消費増税前の駆け込み需要の効果もあって、日本経済の回復が米国を上まわって
くる可能性がある。もっとも、米国でも 9 月の FOMC(連邦公開市場委員会)で量的緩和の
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縮小開始を見送った影響などから、懸念されていた長期金利の上昇圧力が減退しており、
鈍化気味であった住宅市場の底上げが今後期待されるだけに、日本と比べて著しく弱いと
いう印象になるとは考えていない。
4 月以降は、基本的には米国の成長が日本を上まわると考えている。消費増税の悪影響を 5
兆円ともいわれる経済対策と、アベノミクスによる基礎的な日本の経済力強化で乗り切る
動きを見せる日本経済であるが、4 月以降、増税の前倒し需要の反動がある程度でてくるこ
とは避けえない。一方、米国では中間選挙を前に景気を鈍化させるような動きを見せると
は考えにくく、米国の優位が予想されるところとなる。
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両国の金融政策見通し
続いては、これら経済成長動向を踏まえての、両国の金融政策見通しについて考えていきた
い。
まず、日本銀行の金融政策見通しであるが、現状の質的・量的緩和の姿勢をもう一段押し
進め、状況によっては追加緩和に踏み切る姿勢が予想される。黒田総裁はアベノミクスに
よる経済成長への支援に加え、当初から消費増税についても前向きな評価をしており、経
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済対策への支援姿勢を明らかにしてきた。今年 4 月の緩和実施に際して、今後の逐次投入
はしないと明言し、実際にその後は 4 月の緩和姿勢を継続するにとどめてきた黒田日銀であ
るが、消費増税による経済成長の鈍化を防ぐためにも、来年の早い段階での追加緩和は充
分に考えられるところである。
一方、米 FRB であるが、9 月に見送った量的緩和の縮小開始がどのタイミングで行われる
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かがポイントとなる。13 年中の緩和開始となっていれば、14 年半ばまで徐々に縮小姿勢を
継続し、2014 年半ばを目途に廃止という流れに向かうと考えられる。ただ、ここで気をつ
けたいのが、来年 1 月で 2 期目の任期満了となるバーナンキ FRB 議長の有力後任候補であ
るイエレン現副議長の姿勢である。バーナンキ議長と長年コンビを組んできたイエレン副
議長だけに、バーナンキ路線を基本的に踏襲すると考えられ、13 年中に緩和縮小が開始さ
れた場合は、そのままその流れを続けると予想される。しかし、もし 13 年中の縮小開始に
至らず、縮小開始のバトンがイエレン次期議長に託された場合、開始時期及び縮小終了(QE
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政策の廃止)時期は後ろにずれる可能性がある。バーナンキ議長はハト派(景気を重視し、
緩和的な政策を好む姿勢)として知られているが、イエレン副議長は、バーナンキ議長に輪
をかけてのハト派な人物。バーナンキ議長が縮小開始に踏み切れない状況というのは、何
らかの理由で米国の景気回復に勢いが付いていない状況と考えられ、そうした中でイエレ
ン副議長にバトンが渡された場合、その後は緩和維持の姿勢を強化する可能性がある。も
っとも、債務上限などを巡っての議会対立が相当に深刻化するなど、米国によほどのこと
がなければ、そもそもこうした状況には陥らないと考えられる。よって、通常の状況であれ
ば、14 年の金融政策動向は、米国よりも日本の方がより緩和的な姿勢が目立つと予想され
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る。
ドル円の動向
これらの状況を踏まえて、ドル円の相場を予想していきたい。
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