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表示しようとする機能性に関する説明資料(研究レビュー)

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表示しようとする機能性に関する説明資料(研究レビュー)
別紙様式(Ⅴ)-4
表示しようとする機能性に関する説明資料(研究レビュー)
標題:○○○(商品名)に含まれる機能性関与成分りんご由来プロシアニジンの
継続的な摂取による LDL コレステロール値の低下機能に関する研究レビュー
商品名:○○○(未定)
機能性関与成分名:りんご由来プロシアニジン
表示しようとする機能性:本品にはりんご由来プロシアニジンが含まれていま
す。りんご由来プロシアニジンには、LDL コレステロール値が高めの方の LDL コ
レステロール値を下げる機能のあることが報告されています。
作成日:2016 年○月○日
出者名:○○
抄
録
「目的」
疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授乳婦は除く)及び特定保健用
食品の試験対象者の範囲を超えない者において、りんご由来プロシアニジンを
含む食品の継続的な摂取が、LDL コレステロール値を低下させるかを検証するた
め、定性的研究レビューを実施した。
「方法」
(公財)日本健康・栄養食品協会および国立研究開発法人 農業・食品産業技
術総合研究機構 食品総合研究所からなる農林水産物の機能性調査部会(以下、
農林水産物の機能性調査部会という)のレビューワー3 名が、リサーチクエスチ
ョン「疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授乳婦は除く)及び特定
保健用食品の試験対象者の範囲を超えない者において、りんご由来プロシアニ
ジンを含む食品の継続的な摂取は、対照群と比較して LDL コレステロール値を
低下させるか?」に基づいて、3 つのデータベース(PubMed、JDreamⅢ、医中誌
Web)より文献検索を実施した。検索により特定された文献から適格基準に適合
しない文献を除外し、「論文の質の評価」により、一定水準以上の研究レベル
(QL3 以上)がある文献を採用文献とした。採用文献における LDL コレステロール
値を効果指標として、エビデンス総体の評価を実施した。なお、研究レビュー
の総合評価は、5 名の学識経験者からなる農林水産物の機能性評価委員会にて、
【科学的根拠レベル総合評価】、【「研究タイプ、質、数」の目安】、【一貫性の目
安】について A~E の 5 段階で評価した。
「結果」
別紙様式(Ⅴ)-4
適格基準に合致した 6 報を採用した。論文の質は、4 報(文献 1、2、5、6)が
QL1 で、2 報(文献 3、4)が QL2 であった。りんご由来プロシアニジン摂取によ
り、LDL コレステロール値の低下に「効果あり」とした文献は 3 報(文献 1、2、
3)で、うち 1 報(文献 1)は試験前の LDL コレステロール値が正常域の者を対象と
した試験であり、残り 2 報(文献 2、3)は軽症域の者を対象とした試験であっ
た。一方、「効果なし」とした文献は 2 報(文献 5、6)で、試験前の LDL コレステ
ロール値が 1 報(文献 5)は境界域者を、他の 1 報(文献 6)は長期摂取試験が境界
域者、過剰摂取試験が軽症域者を対象としたものであった。「効果あり」とした
文献のりんご由来プロシアニジンの摂取量は 382.3~957mg/日で、摂取期間は 4
~12 週間であることから、りんご由来プロシアニジンの 382.3~957mg/日、4~
12 週間の摂取により、疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授乳婦は
除く)及び特定保健用食品の試験対象者の範囲を超えない者において、LDL コレ
ステロール値を低下させることが示唆された。農林水産物の機能性評価委員会
における評価結果は、【科学的根拠レベル総合評価】:C、【「研究タイプ、質、
数」の目安】:C、【一貫性の目安】:D であった。
「結論」
採用文献数が 6 報で、LDL コレステロール低下機能に限定的ではあるものの、
りんご由来プロシアニジンの 382.3~957mg/日の 4~12 週間の継続的な摂取は、
「LDL コレステロール値を低下させる」機能を有すると考えられた。
はじめに
論拠、目的
りんごのポリフェノールはクロロゲン酸、フロレチン、フロリジン、プロシアニジン、カテ
キン、エピカテキン、ケルセチンなど多種類の物質からなる(参考文献1)。プロシアニ
ジンはモノマーであるカテキン、エピカテキンが重合した物質であり、重合度の異
なる複数の重合体の総称である。プロシアニジンはりんごのポリフェノールの主成分で
あり、LDL コレステロール値を低下させることが報告されている。しかし、これ
らの報告の中には、機能性表示食品の届出におけるガイドラインに合致した研究レ
ビューは確認されなかったため、疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授
乳婦は除く)及び特定保健用食品の試験対象者の範囲を超えない者において、
りんご由来プロシアニジンを含む食品の継続的な摂取が、対照群と比較して LDL
コレステロール値を低下させるかを検証するため、定性的研究レビューを実施
した。
なお、本研究レビューではりんごのポリフェノールを分画・濃縮した素材で
ある「りんごポリフェノール」を用いた文献 4 報に関し、論文中に記載された
総ポリフェノール量をプロシアニジン量に換算して記述した(項目 24【食品の
性状】参照)。
方法
別紙様式(Ⅴ)-4
プロトコールと登録
2013 年度より実施されている国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究
機構「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」における研究レビュ
ープロトコールに従い、農林水産物の機能性調査部会のレビューワー3 名が、文
献検索、文献スクリーニング、論文の質の評価、データ抽出を行い、5 名の学識
経験者からなる農林水産物の機能性評価委員会がエビデンスの強さを評価し
た。なお研究レビュープロトコールのデータベースへの登録は実施しなかっ
た。
適格基準
日本語または英語で記載され、査読付き雑誌に投稿されたヒト介入試験を対
象とした。リサーチクエスチョン及び PICOS は以下の通り設定した。
リサーチクエスチョン:疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授乳婦
は除く)及び特定保健用食品の試験対象者の範囲を超えない者において、りん
ご由来プロシアニジンを含む食品の継続的な摂取は、対照群と比較して LDL コ
レステロール値を低下させるか?
Participants(P):疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授乳婦は除
く)及び特定保健用食品の試験対象者の範囲を超えない者
Intervention(I):りんご由来プロシアニジンを含む食品の継続的な摂取
Comparison(C):りんご由来プロシアニジンを含まない食品の摂取
Outcome(O): LDL コレステロール値の低下
Study design(S):介入試験
なお、対象(P)は、健常者もしくは BMI 値が概ね 30kg/m2 未満、血中 LDL コレ
ステロール値が軽症域まで(~159mg/dl)、中性脂肪はやや高めまで(~
199mg/dl)とし、試験期間は 2 週間以上とした。
【除外基準】
・りんご及びその加工品単独でなく、他の果物や食品との組み合わせ摂取であ
る
・機能性関与成分としてりんご以外の食品に由来するポリフェノールやプロシ
アニジンを対象にしているもの
・LDL コレステロール値を評価指標に含まないもの
情報源
3 つのデータベースを情報源として用いた。すなわち、PubMed(最終検索日:
2015 年 12 月 15 日)、JDreamⅢ(最終検索日:2015 年 12 月 15 日)、医中誌 Web
(最終検索日:2015 年 12 月 15 日)を用いて検索した。各データベースとも検
索期間は限定せずに、最終検索日までの全範囲を対象として検索を行った。ま
た、未報告研究については UMIN 臨床試験登録システム(UMIN-CTR、最終検索
別紙様式(Ⅴ)-4
日:2015 年 12 月 15 日)を用いて検索した。
検索
リサーチクエスチョンに従い、各データベースにおける検索式は以下のよう
に設定した。UMIN-CTR では「自由記載語」欄に「りんご」、「フラバノール」、
「フラバン-3-オ-ル」、「プロシアニジン」とそれぞれ記入し検索した。
PubMed
#
検索式
1
apple
2
Procyanidin OR polyphenol
3
#1 AND #2
4
#3 AND Clinical Trial[pytp]
JDreamⅢ
#
検索式
1
"リンゴ"/AL OR "りんご"/AL OR "セイヨウリンゴ"/AL OR "Malus
domestica"/AL OR "Malus pumila"/AL OR "Malus x domestica"/AL
2
"プロシアニジン"/AL
3
"多価フェノール"/AL OR "ポリフェノール"/AL OR "ポリフェノール化合物
"/AL OR "ポリフェノール類"/AL OR "多価フェノール化合物"/AL OR "多
価フェノール類"/AL OR "多価フェノール類化合物"/AL OR "多官能フェ
ノール"/AL OR "多官能性フェノール"/AL
4
L2 OR L3
5
L1 AND L4
6
L5 AND (a1/DT)
7
L6 AND
"ヒト"/AL
CT:シソーラス用語、A1/DT:原著論文
医中誌 Web
#
検索式
1
りんご属/AL OR (りんご属/TH OR りんご/AL) OR
んご/AL)
2
Procyanidin/TH OR procyanidin/AL
3
Polyphenols/TH OR polyphenols/AL
4
#2 OR #3
5
#1 AND #4
(りんご属/TH OR り
別紙様式(Ⅴ)-4
研究の選択
各データベースで特定された文献について、適格基準、除外基準に基づいて
農林水産物の機能性調査部会のレビューワー3 名が採用文献と除外文献に分別し
た。1 次スクリーニングでは文献のタイトルと要約を用いて採否を判断した。除
外文献と明確に判断できない場合は、引き続き 2 次スクリーニングに供した。2
次スクリーニングでは文献を入手し、本文を詳細に吟味して採用文献と除外文
献に分別し、採用文献は別紙様式(Ⅴ)-7 に、除外文献には除外理由を付して
別紙様式(Ⅴ)-8 に記載した。
なお、未報告研究については UMIN-CTR 臨床試験登録情報を確認し、別紙様式
(Ⅴ)-9 に記載した。
データの収集プロセス
採用された文献より、農林水産物の機能性調査部会のレビューワー3 名が、別
紙様式(Ⅴ)-7及び別紙様式(Ⅴ)-11a-2 に基づいて、データを収集した。
データ項目
採用された文献の著者名、掲載雑誌、タイトル、研究デザイン、PICO、セッ
ティング、対象者特性、介入、対照、解析方法、主要アウトカム、副次アウト
カム、有害事象、査読の有無、論文の利益相反(COI)に関する情報を別紙様式
(Ⅴ)-7 に記載した。各文献における LDL コレステロール値の低下機能に係る
効果指標は、別紙様式(Ⅴ)-11a-2 に記載した。
個別の研究のバイアスリスク
採用文献の質の評価は、「ヒト介入試験の「論文の質」の評価採点表」((公
財)日本健康・栄養食品協会作成、添付資料参照)に基づいて、QL1~QL4 の 4
段階で評価を実施した。なお、QL1~4 の定義は下記の通りとし、一定水準以上
の研究レベル(QL3 以上)であるものを採用文献とした。
QL1:質が高い(いずれの評価視点においても適切)
QL2:質は中程度(一部の評価視点において不十分な点はあるものの概ね適切)
QL3:質が低い(多くの視点において不適切)
QL4:著しく質が低い(総合評価においては考慮しない)
さらに、別紙様式(Ⅴ)-11a-1 に基づいて、バイアスリスクの評価及び非直
接性の評価を実施した。各項目の評価は、「機能性表示食品の届出等に関するガ
イドライン」に記載された評価方法に準じて、高(-2)、中/ 疑い(-1)、低
(0)の 3 段階で実施した。なお、まとめについては、高(-2)、中(-1)、低
(0)の 3 段階で評価を実施した。
1)バイアスリスクの評価
・選択バイアス (ランダム化、割り付けの隠蔵)
・盲検性バイアス(参加者、アウトカム評価者)
別紙様式(Ⅴ)-4
・症例減少バイアス(ITT・FAS・PPS、不完全アウトカムデータ)
・選択的アウトカム報告
・その他のバイアス
・まとめ
2)非直接性の評価
・対象
・介入
・対照
・アウトカム
・まとめ
要約尺度
定性的研究レビューのため要約尺度は設定しなかった。
結果の統合
定性的研究レビューのため結果の統合は行わなかった。
全研究のバイアスリスク
別紙様式(Ⅴ)-13a に従い、バイアスリスク、非直接性、不精確、非一貫
性、出版バイアスについて評価を実施した。
追加的解析
定性的研究レビューのため追加的解析は実施しなかった。
研究レビューの総合評価
採用文献を「効果あり」、「判定保留」、「効果なし」、「負の効果あり」に分け
て RCT/RCT 以外の別、QL1~QL3 の別を一覧にして別紙様式(V)-16(総合評価
用集計表)に論文報数のまとめとして示した。なお、「効果あり」、「判定保
留」、「効果なし」、「負の効果あり」の定義は下記の通りとした。
効果あり: 効果指標(LDL コレステロール値)の低下で介入群と対照群の群間
差又はベースラインと介入後の差のいずれか又はその両方で有意確
率が 5%未満の場合をいう。
効果なし: 効果指標(LDL コレステロール値)の低下で介入群と対照群の群間
差及びベースラインと介入後の差のいずれも有意確率が 10%以上の
場合をいう。
判定保留: 「効果あり」とも「効果なし」ともいえない場合、あるいは効果指
標(LDL コレステロール値)の低下で介入群と対照群の群間差又は
ベースラインと介入後の差のいずれか又はその両方で有意確率が 5%
以上、10%未満の場合をいう。
負の効果あり: 効果指標(LDL コレステロール値)の上昇で介入群と対照群の群
間差又はベースラインと介入後の差のいずれか又はその両方で有意
確率が 5%未満の場合をいう。
別紙様式(Ⅴ)-4
研究レビューの総合評価は、5 名の学識経験者からなる農林水産物の機能性評
価委員会にて行った。(公財)日本健康・栄養食品協会が作成した資料をもと
に、【科学的根拠レベル総合評価】、【「研究タイプ、質、数」の目安】、【一貫性
の目安】について A~E の 5 段階で評価した。なお、A~E の基準は下記の通りと
した。
【科学根拠レベル総合評価】
A:機能性について明確で十分な根拠がある(High)
B:機能性について肯定的な根拠がある(Moderate)
C:機能性について示唆的な根拠がある(Low)
D:機能性について根拠が不十分
E:機能性について否定的な根拠がある
【「研究タイプ、質、数」の目安】
A:効果があるとされる質が高い RCT 論文が 5 報以上
B:効果があるとされる質が中程度以上の RCT 論文が 4 報以上
(効果があるとされる RCT 以外の介入試験があればこれも考慮する)
C:効果があるとされる RCT 論文が 2 報以上
(効果があるとされる RCT 以外の介入試験があればこれも考慮する)
D:効果があるとされる介入試験がある
E:効果がないとされる論文しかない
【一貫性の目安】
A:効果があるとされる結果でほぼ一貫している
B:効果があるとされる結果が効果がないとされる結果に大きく優る
C:効果があるとされる結果が効果がないとされる結果に優る
D:結果に一貫性がみられない
E:効果がないとされる結果でほぼ一貫している
結果
研究の選択
PubMed、JDreamⅢ、医中誌 Web の 3 つのデータベースにおける検索の結果、
PubMed からは 25 報、JDreamⅢからは 120 報、医中誌 Web からは 155 報の文献が
選定され、1 次スクリーニングの対象となった文献は 300 報であった。タイトル
及び抄録の内容から適格基準に合致しない文献、査読のない文献及び重複文献
を除外した結果、292 報の文献が除外された。8 報の文献については、該当文献
を入手した上で、本文の内容を精査し、適格基準に合致しているか確認を行っ
た。
その結果、さらに 2 報の文献が除外され(別紙様式(Ⅴ)-8)、最終的に 6 報
の文献が採用された。メタアナリシスは実施せず、6 報の文献により定性的な研
別紙様式(Ⅴ)-4
究レビューを実施した。なお、UMIN-CTR 臨床試験登録情報を確認したところ未
報告研究は確認されなかったので、別紙様式(V)-9 にその旨記載した。
文献検索フローチャート(別紙様式(Ⅴ)-6)
PubMed
(n=25
)
JDreamⅢ
(n=120
)
医中誌Web
(n=155
)
データベース検索により
特定された文献(n=300 )
他の情報源から特定された文献(n=0 )
1次スクリーニングの対象文献
除外文献
(n=300 ) 重複を含む
(n= 292 )
本文を入手し、適格基準に合致しているかを
精査した文献(n=8 )
本文を精査した結果、
除外すべき理由があり
除外した文献(n=2 )
データの統合に用いた文献数(n= 6 )
メタアナリシスを行った文献数(n=0 )
研究の特性
適格基準に合致する 6 報の文献を採用した。採用文献 6 報の研究特性は別紙様
式(Ⅴ)-7に記載した。いずれも英語または日本語で記載され、すべて無作
為化比較試験(RCT)であり、二重盲検試験は 4 報(文献 2、3、5、6)で、1 報は単
盲検、1 報は盲検化の記述が不明であった。日本で実施された試験が 4 報(文献
2、3、5、6)、海外が 2 報(文献 1、4)であった。6 報の研究の質は、QL1 が 4
報、QL2 が 2 報であった。文献報数のまとめは以下の通り。
別紙様式(Ⅴ)-4
効果あり
判定保留
効果なし
負の効果あり
3 報
1 報
2 報
0 報
合計
ヒト介入試験
RCT
総計:
6
報
RCT以外
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
QL1:
2報
0報
0報
0報
2報
0報
0報
0報
QL2:
1報
0報
1報
0報
0報
0報
0報
0報
QL3:
0報
0報
0報
0報
0報
0報
0報
0報
日本で実施された 4 報(文献 2、3、5、6)の試験は、LDL コレステロール値が境
界域から軽症域までの者を対象にりんごプロシアニジンとして 191.4mg/日(文献
2)~1148.4mg/日(文献 5、6)を 4~12 週間摂取させた介入試験であった。一方、
海外で実施された 2 報の試験は、健常者を対象にりんご及びその加工品をプロ
シアニジン 2 量体として 7~81mg/日(文献 1)を 4 週間 またはりんご果汁をプ
ロシアニジン B2 として 8.65~20.75mg/日(文献 4)を 4 週間摂取させた介入試
験であった。各文献における PICO 等の詳細については、別紙様式(Ⅴ)-7 に記
載した。
研究内のバイアスリスク
研究の質(QL1~QL3)、各論文のバイアスリスク及び非直接性の評価結果の詳
細は、別紙様式(Ⅴ)-11a-1 に記載した。
「選択バイアス」に関しては、文献 6 報中 5 報についてランダム化の方法に
関する記載不足のためバイアスリスクを中/疑い(-1)と評価した。また、割り付
け隠蔵の方法に関する記載不足の文献(文献 1、3)について、中/疑い(-1)と評
価した。
「盲検性バイアス(参加者)」に関しては、盲検化についての言及がない(文
献 4)や単盲検の文献(文献 1)について、中/疑い(-1)と評価した。「盲検性バ
イアス(アウトカム評価者)」は盲検化の言及がない文献(文献 4)を中/疑い(1)と評価した。
「症例減少バイアス」に関しては、FAS 解析の文献 1 報(文献 4)は中/疑い
(-1)、PPS 解析の文献 4 報(文献 1、2、5、6)は高(-2)と評価した。また、脱
落者を除いて解析した文献 4 報(文献 1、2、5、6)及び記載不足の 1 報(文献
3)を「不完全アウトカムデータ」の疑い(-1)と評価した。
「選択的アウトカム報告」に関しては、バイアスリスクが疑われる文献がな
かったため、(0)と評価した。
「その他のバイアス」に関しては、著者に素材の製造関連企業の従業員が含
まれる文献 4 報(文献 2、3、5、6)については、中/疑い(-1)と評価した。
以上の結果、6 文献ともに 8 項目中 3~5 項目において、バイアスリスクの可
能性が認められたため、「まとめ」としては 5 報について評価を中(-1)と評価
した。
非直接性に関しては、採用文献 1 報(文献 4)が対照群のない試験であったた
め「対照」の項目を(-1)と評価した。また、アウトカムにおいて前後差のみで
効果があった文献(文献 1、2、3)を中/疑い(-1)と評価した。対象、介入に関
別紙様式(Ⅴ)-4
してはいずれの文献もリサーチクエスチョンに合致していた。非直接性のまと
めについては 1 報(文献 4)を中(-1)、他の 5 報を低(0)と評価した。
個別の研究の結果
採用された文献 6 報のうち、3 報(文献 1、2、3)においてりんご由来プロシ
アニジンの摂取により、LDL コレステロール値の有意な低下が認められた。2 報
(文献 5、6)については、LDL コレステロール値に有意な低下がなかった。ま
た、1 報(文献 4)はりんご由来プロシアニジン摂取の影響を判定できず、判定
保留とした。なお、各文献に用いられた試験品は、2 報(文献 2、3)が「りん
ごポリフェノール」を配合したカプセルまたは錠剤で、2 報(文献 5、6)が
「りんごポリフェノール」を配合した飲料、2 報(文献 1、4)がりんご(果実)
とその加工品(果汁、搾汁残滓)であった。各文献で用いられた効果指標及びそ
の結果を別紙様式(Ⅴ)-11a-2 に示した。また、採用された文献 6 報の研究結
果の概略及び「論文の質の評価」の結果をそれぞれ下記に示した。
【文献 1】論文の質の評価:QL1 効果あり
デンマーク人の被験者 23 名にりんご果実またはその加工品(搾汁残滓、混濁
果汁、透明果汁)をプロシアニジン 2 量体として 7~81mg/日を 4 週間摂取させ
た結果、4 週間後の LDL コレステロール値の低下に有意な影響が認められた。り
んごを摂取しない対照群に比較して果実および搾汁残滓摂取による LDL コレス
テロール値の低下は有意ではなかった。
【文献 2】論文の質の評価:QL1 効果あり
日本人の被験者 24 名にりんごのポリフェノールを分画・濃縮した素材である
「りんごポリフェノール」を含むカプセルとしてプロシアニジンを 382.3mg/
日、12 週間摂取させた結果、LDL コレステロール値のベースラインと比較して
12 週間後に有意に低下した。いずれの時点でも対照群との差は有意ではなかっ
た。
【文献 3】論文の質の評価:QL2 効果あり
日本人の被験者 48 名に「りんごポリフェノール」を含む錠剤としてプロシア
ニジンを 3 種類の用量 191.4、382.3、957mg/日で 4 週間摂取させた結果、LDL
コレステロール値はベースラインと比較して 957mg/日摂取群において 4 週間後
に有意に低下した。いずれの時点でも対照群との差は有意ではなかった。
【文献 4】論文の質の評価:QL2 判定保留
スペイン人の被験者 20 名にポリフェノール含量の異なる 2 種類のりんご果
汁によりプロシアニジン B2 として 8.65 または 20.75mg/日を 4 週間摂取させた
結果、ベースラインに比較して 4 週間後の高ポリフェノールりんご果汁摂取群
の LDL コレステロール がほとんど変化しなかったのに比較して、低ポリフェ
ノールリンゴ果汁摂取群の LDL コレステロールは低下傾向(群間比較で
p=0.096)であった。りんご果汁の効果は認められたが、りんご果汁に含まれる
プロシアニジンの効果については判定保留とした。
別紙様式(Ⅴ)-4
【文献 5】論文の質の評価:QL1 効果なし
日本人の被験者(長期摂取試験 87 名、過剰摂取試験 30 名)に「りんごポリフェ
ノール」を添加した飲料により長期摂取試験ではプロシアニジンを 382.3mg/
日、過剰摂取試験では 1148.4mg/日をそれぞれ 12 週間、4 週間摂取させた結
果、いずれの試験においてもベースラインとの比較及び対照群との比較におい
て LDL コレステロールに有意な差を認めなかった。
【文献 6】論文の質の評価:QL1 効果なし
日本人の被験者(長期摂取試験 138 名、過剰摂取試験 53 名)に「りんごポリフ
ェノール」を添加した飲料により長期摂取試験ではプロシアニジンとして
191.4mg/日または 382.3mg/日を、過剰摂取試験では 1148.4mg/日をそれぞれ 12
週間または 4 週間摂取させた結果、いずれの試験においてもベースラインとの
比較及び対照群との比較において LDL コレステロールに有意な差を認めなかっ
た。
結果の統合
定性的研究レビューのため結果の統合は行わなかった。
全研究のバイアスリスク
バイアスリスク、非直接性、不精確、非一貫性、出版バイアスの評価結果を
別紙様式(Ⅴ)-13a 及び別紙様式(Ⅴ)-14 にまとめた。
バイアスリスクは 6 報中各文献のまとめで中(-1)が 5 報、低い(0)が 1 報であ
ったため、バイアスリスクは中(-1)と評価した。
非直接性は、プラセボ対照のない文献や前後差のみで効果がみられた文献が
あったが、まとめとしては低(0)と評価した。
不精確は低(0)と評価した。
非一貫性は、「効果あり」論文が 3 報、「効果なし」論文が 2 報、「判定保留」
が 1 報であったことから高(-2)と評価した。
その他のバイアスとして UMIN-CTR に登録された未報告研究が確認されず(別
紙様式(Ⅴ)-9)出版バイアスの可能性が否定できないため、中(-1)と評価し
た。
追加的解析
定性的研究レビューのため追加的解析は実施しなかった。
研究レビューの総合評価
農林水産物の機能性評価委員会における「LDL コレステロール値の低下」に対
する評価結果は、以下の通りであった。
科学的根拠レベルの総合評価(エビデンスの強さ):C
「研究タイプ、質、数」の目安:C
一貫性の目安:D
別紙様式(Ⅴ)-4
考察
エビデンスの要約、限界
【研究レビューの結果】
採用論文は 6 報あり、すべて無作為化比較試験(RCT)であり、単盲検が 1
報、盲検についての記載なしが 1 報、残り 4 報は二重盲検であった。論文の質
は QL1(質が高い)が 4 報、QL2(中程度)が 2 報であった。「効果あり」であった
文献は 3 報(QL1 が 2 報、QL2 が 1 報)であり、いずれもベースラインに比較
して介入後の LDL コレステロール値は有意に低下した。「効果なし」の論文は 2
報(QL1 が 2 報)、「判定保留」が 1 報(QL2)であった。以上の結果から、リン
ゴ由来プロシアニジンの継続的な摂取は LDL コレステロールの低下に示唆的な
根拠があると考えられた。
【食品の性状】
プロシアニジンはモノマーであるカテキン、エピカテキンが重合した物質で
あり、重合度の異なる複数の重合体の総称である。プロシアニジンはりんごの
ポリフェノールの主成分であることが、フジ、ゴールデンデリシャス種を含む
8 種類のりんご(芯を除く、果皮と果肉からポリフェノール画分を調製)の総ポ
リフェノール量、総フラバノール量などの比較(参考文献 2)や、フジ、ゴール
デンデリシャス種を含む 11 種類のりんご果汁(全果から搾汁)のポリフェノー
ル組成を比較した報告(参考文献1) によって示されている。
りんごのポリフェノールを分画・濃縮した素材である「りんごポリフェノー
ル」を用いた試験では、「りんごポリフェノール」を含むカプセル、又は「り
んごポリフェノール」を添加した飲料であった。「りんごポリフェノール」を
評価した文献 4 報(文献 2、3、5、6)ではその主成分がプロシアニジンであるこ
とを説明しているほか、文献 2 と文献 6 に引用された論文にポリフェノール成
分の定性的分析結果が示されている(参考文献 3、4、5、6)。また、T. Shoji ら
(参考文献 7)は「りんごポリフェノール」の製法とポリフェノール組成を報告
し、「りんごポリフェノール」のプロシアニジン量を 63.8%としている。文献
4 報(文献 2、3、5、6)では総ポリフェノール量として示されているが、本研究
レビューにおいてはプロシアニジン量に換算して評価を行った。
ヒト試験に用いられたりんご加工品は、透明果汁、混濁果汁、搾汁残滓、乾
燥りんごであった(文献 1、4)。新鮮果実や乾燥りんご、混濁果汁では食物繊
維であるペクチンが共存するが、透明果汁ではペクチン量は低い。りんごに含
まれるペクチンも LDL コレステロール低減作用を有し、その重合度や分子量の
大きさによって効果に差があることが知られている(参考文献 8)。本研究レビ
ューで採用した論文のうち、リンゴ果実やその加工品を用いた試験では含有す
るペクチンも LDL コレステロールに影響を与えている可能性があるためプロシ
アニジンのみの影響を評価することは困難であると考えられた。
【対象者】
・疾病に罹患していない者のみを対象とした場合の研究レビューの結果
採用された文献 6 報のうち、疾病に罹患していない者を対象とした文献は 2
報であった。うち 1 報(文献 1)は「効果あり」、他の 1 報(文献 4)は「判定
別紙様式(Ⅴ)-4
保留」であった。いずれも疾病に罹患していない者を対象とした試験であった
が、文献数は 2 報と少なく、これらの結果によって疾病に罹患していない者の
みを対象として研究レビューを行うことはできなかった。
・日本人への外挿性
採用論文 6 報中 4 報は日本人を対象にした試験であったことから、対象者や
試験食品の摂取形態、摂取量などを考慮した結果、りんご由来プロシアニジン摂取
による LDL コレステロール値の低下機能において、日本人への外挿性を否定するよ
うな科学的根拠は見当たらなかった。
【1 日あたりの摂取目安量】
日本で実施され、「効果あり」であった 2 報の試験(文献 2、3)は、りんご由
来プロシアニジンとして 382.3 または 957mg/日(りんご由来総ポリフェノール
として 600 または 1500mg/日から換算した)を摂取させた介入試験であった。一
方、海外で実施されて有効性を認めた 1 報の試験(文献 1)は、りんご及びそ
の加工品をプロシアニジン 2 量体として 7~81mg/日(りんご由来総ポリフェノ
ールとして 75~239mg/日)を摂取させた介入試験であったが、りんご果実に含
まれるペクチンの影響も推察される。従って、りんご由来のプロシアニジンと
して 382.3~957mg/日の摂取により、LDL コレステロール値の低下機能が得ら
れるものと考えられた。
【摂取期間】
「効果あり」文献 3 報の中で、プロシアニジンを主成分とする「りんごポリ
フェノール」を用いた 2 報の試験(文献 2、3)は 4~12 週間の摂取であった。
りんご加工品を用いた試験(文献 1)における摂取期間は 4 週間であった。以
上のことから、4~12 週間の摂取により LDL コレステロール値の低下を得られ
ると考えられた。
【研究レビューにおけるアウトカム指標と表示しようとする機能性の関連性】
採用文献は全て LDL コレステロール値に関するものであり、研究レビューにお
けるアウトカム指標と表示しようとする機能性の関連性は高いと考えられた。
結論
本研究レビューのアウトカム「LDL コレステロール値の低下」における効果指
標「LDL コレステロール値」の有意な低下効果が示唆され、表示しようとする機
能性「LDL コレステロール値の低下」との関連性は高いと考えられた。
以上の結果、りんご由来プロシアニジンの 382.3~957mg/日の継続的な摂取
は、「LDL コレステロール値の低下」に対して示唆的な科学的根拠(エビデンス
の強さ:C)を有しており、表示しようとする機能性として「本品にはりんご由
来プロシアニジンが含まれています。りんご由来プロシアニジンは、LDL コレス
テロール値が高めの方の LDL コレステロール値を低下させることが報告されて
います。」は適切であると考えられた。
別紙様式(Ⅴ)-4
スポンサー・共同スポンサー及び利益相反に関して申告すべき事項
資金源
本研究レビューは、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構の
「機能性食品開発プロジェクト」における課題番号C1「機能性を持つ農林水
産物のデータベースの構築及び個人の健康状態に応じた栄養指導システムの開
発」を委託された、(公財)日本健康・栄養食品協会が実施した。なお、農林水
産物の機能性評価委員会の委員とりんご由来プロシアニジンを取扱う事業者等
との利益相反はないことを確認した。
各レビューワーの役割
役割:研究レビューの実施(文献検索、文献スクリーニング、論文の質の評
価、データ抽出、研究レビューの作成)
担当:(公財)日本健康・栄養食品協会 農林水産物の機能性調査部会のレビュ
ーワー3 名(レビューワーA、レビューワーB、レビューワーC)
役割:研究レビューの実施(研究レビューの総合評価)
担当:(公財)日本健康・栄養食品協会 農林水産物の機能性評価委員会(農
学、薬学、統計学等に係る各分野の学識経験者 5 名)
PRISMA 声明チェックリスト(2009 年)の準拠《いずれかにチェックを入れる》
 おおむね準拠している。
☐ あまり準拠できていない項目もある。
(食品表示基準の施行後1年を超えない
日までに、PRISMA 声明チェックリストに準拠した資料との差し替えが必要)
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