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動物からうつる身近な感染症について 5

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動物からうつる身近な感染症について 5
【気に なる 話題 ~ 動 物から うつ る身 近な 感 染症に つい て⑤ ~】
〈 蚊や ダニ から うつ る 病気〉
ある病原体が感染し、増殖する動物を宿主と呼びます。そして病原体を宿主から別の
動物に運搬し、感染させる動物を媒介者といいます。蚊やダニは、ヒトや動物間を吸血
しながら移動するため、病原体の媒介者となります。
・マラ リア
ハマダ ラカ の 唾 液 に 含 ま れ る マ ラ リ ア 原 虫 に 感 染 す る こ と で 発 症 し ま す 。
熱 帯 地 方 を 中 心 に 年 間 3 億 か ら 5 億 人 が 感 染 し 、 150 万 人 以 上 が 死 亡 し
て い る 深 刻 な 感 染 症 で す ( WHO の 推 計 )。 原 虫 の 種 類 に よ り 、「 熱 帯 熱 マ
ラ リ ア 」、「 三 日 熱 マ ラ リ ア 」、「 卵 形 マ ラ リ ア 」、「 四 日 熱 マ ラ リ ア 」 に 分 け
られます。症状は悪寒を伴う周期的な発熱が特徴です(ただし、熱帯熱マラリアに周期
性 は あ り ま せ ん )。最 近 は 殺 虫 剤 に 抵 抗 性 の ハ マ ダ ラ カ や 治 療 薬 に 耐 性 を も つ マ ラ リ ア 原
虫が現れており、制圧は難しい状況です。
・デン グ熱 、デ ング 出 血熱
デ ン グ ウ イ ル ス を 原 因 と し 、 ネ ッタ イシ マカ や ヒト スジ シマ カ が 運 搬 役 で す 。主 な 流
行地は、東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国です。今のところ日本国内での
感染例はありませんが、海外で感染し帰国後発症する例があります。症状は突然の発熱
で 始 ま り 、発 疹 が 胸 部 か ら 手 足 、顔 面 へ と 広 が り 1 週 間 程 度 で 消 失 し ま す 。ま た 、一 部
に発熱後に出血がみられるものをデング出血熱といいます。デング熱はふつう後遺症も
なく快復しますが、デング出血熱では適切に治療しなければ死亡することもあります。
・日本 紅斑 熱
マダ ニ が 運 搬 役 と な る リ ケ ッ チ ア が 病 原 体 で す 。 リ ケ ッ チ ア は 、
宿主細胞の中でしか増殖できない「偏性細胞内寄生細菌」です。我
が 国 で は 1984 年 に 患 者 が 初 め て 報 告 さ れ ま し た 。ほ と ん ど の 患 者 に 、① 発 熱 、② 発 疹 、
③ダニの刺し口、の主要三徴候がみられます。日本の発生地域は温暖な九州、四国、中
国、近畿、東海地域の太平洋側に限られ、発生時期は 7 月から 9 月の夏季が中心です。
マダニは一度かみつくと1~2 週間は離れずに吸血を続けます。無理に引き抜くと頭部
が残り、マダニの体液が逆流して感染の危険が増します。見つけたらさわらずに皮膚科
を受診しましょう。
蚊 やダニからうつる病 気 を防 ぐ注 意 点
・野 外 活 動 の際 には、皮 膚 の露 出 を少 なくする。
・蚊、ダニ忌 避 剤 を使 用 する(蚊 帳 も有 効 )。
・野 外 活 動 後 は入 浴 し、付 着 するダニの除 去 を注 意 深 く行 うこと。
(感染症情報センター 記)
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