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軸足を移すxDSL関連アナログIC 軸足を移すxDSL関連

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軸足を移すxDSL関連アナログIC 軸足を移すxDSL関連
“基幹システム用”
から
“パソコン用”
に
軸足を移すxDSL関連アナログIC
Charles H. Small
技術資料
ADSL(asymmetric digital subscriber
xDSL トランシーバの市場は急激に拡大
すなわち,
line)と呼ばれるディジタル伝送方式に対
しそうだ.
◎Rockwell International 社のSemi
応したモデムが,パソコンやネットワー
ク端末に組み込まれようとしている.コ
conductor部門が提案する“consumer
●コンシューマ向け DSL が続々
DSL(CDSL)
”
ンシューマ機器向けDSLの規格の提案も
xDSL の標準規格はもともと,電話会
◎ Globespan Semiconductor 社(旧
盛んである.そのため,これまでおもに
社のみを対象に開発されたものである
(次
AT&T Paradyne 社 の Advanced
電話会社などの基幹システム向けであっ
頁の「
“xDSL”の“x”とは?」を参照)
.多
Transmission Technology部門)が提
たxDSL トランシーバやライン・ドライ
くの人々が,
「コンシューマ向けのDSL
バの市場の急成長が見込まれている.こ
サービスは既存のxDSL 標準と異なる仕
こでは,xDSL関連ICの製品動向を紹介
様にするべきである」と考えている.しか
する.
し,xDSL の規格が変われば,半導体業
(編集部)
界は混乱するだろう.新しい標準規格に
案する“consumer-installable DSL
(CiDSL)
”
◎Lucent Technologies 社が提案する
“WildWire”
といった規格である.
ケーブル・テレビ会社は,今よりさら
合わせて,早急に自社のDSL用プロセッ
さらに,DSL SIG(digital subscriber
に広いバンド幅を望むインターネット・
サを設計し直さなければならないからで
line special interest group)と呼ばれるパ
ユーザの切実な要求に応えたい,と考え
ある.幸い,こうした規格の変更は,
ソコン・メーカと地域電話会社の連合組
ている.こうした状況から,DSL(digital
xDSL ドライバのアナログ仕様には影響
織が,米国Microsoft 社と米国Cisco
subscriber line)のさまざまな伝送方式
を与えない.すなわち,今後も伝送媒体
Systems社によって提案された規格「DSL
が提案され,コンシューマ向けの応用製
として銅線が使用されそうだ.
lite」について調査中である.
品で使われようとしている.そのため,
コンシューマ向けのDSL規格では,
「ア
ナログ音声信号もDSL 回線で送る」とい
う電話会社の要求は無視されるだろう.
米 国 Analog Devices社 の“ AD815”は ド
ライブ能力が高い電流ドライバである.これ
に対して,
“AD816”には二つの大電流ドラ
イバと二つの低雑音レシーバが組み込まれて
いる.AD816 は xDSL の応用だけでなく,
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xDSL トランシーバのライン・ドライ
DSLモデムはパソコンまたはそのほかの
バは高性能・高出力の電流フィードバッ
ネットワーク端末に組み込まれるので,
ク型OPアンプである.こうしたライン・
高価なスプリッタは不要になる.ここで
ドライバの設計は,非常にむずかしい.
スプリッタとは,従来の電話サービスに
というのは,12,000フィート(3,600m)以
おいて,バンド幅を4 kHzにフィルタリ
上のより対線の信号をドライブする必要
ングする機能である.
があり,加えて雑音に対する高い耐性を
提案されているコンシューマ向けDSL
〔図1〕 xDSL向けのドライバ・チップ
●ドライバに対する要求はきびしい
備えていなければならないからである.
では,一般に,回線の末端での伝送速度
xDSL ドライバは,インピーダンス整
が低下する.これは家庭や小規模なオフ
合のための直列抵抗による電力損失を考
ィスにつながれた電話回線(銅線)が決し
慮して,平均電力(+3dB)の2 倍の電力
て理想的とはいえない状態にあるためで
を供給できなければならない.さらに,
ある.
この電力を供給するときに,問題となる
スプリッタが不要ないくつかのDSL規
高解像度モニタの誤差補正回路のドライバと
格が,公的なT1-E1標準化組織のG. Lite
しても利用できる.
ワーキング・グループに提案されている.
周波数帯域でのひずみを低レベルに抑え
ておく必要がある.
電力レベルによって,xDSL ドライバ
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“基幹システム用”から“パソコン用”に
軸足を移すxDSL関連アナログIC
の出力RMS電圧が決まる.RMS電圧に
品の選択を慎重に行わなければならない.
一般に,上記のようなパスを含むルー
信号の波高率をかけると,ドライバが負
適切なRF 回路の設計技法と寄生成分の
プは,できるだけ小さくするべきである.
荷インピーダンスを介して生成するピー
小さい部品の選択が重要になる.プリン
大きなループは磁界を発生したり,レシ
ク・ツー・ピーク電圧が得られる.xDSL
ト回路基板(PCB)には,低インピーダン
ーバを形成してしまう.望ましくない信
変調方式の設計者には,アナログ回路の
スのパスを作るために,部品面の未使用
号のカップリングの原因となり,その結
知識がそれほど必要ない.というのは,
部分を覆う接地したパターンを形成する
果,OP アンプの性能を低下させるおそ
この変調方式では波高率が非常に高くな
必要がある.さらに,寄生容量を減らす
れがある.
るからである.さらに,比較的電圧が低
ために,入力ピンの近くの領域の接地パ
いディジタル系の電源を利用して,xDSL
ターンは取り除いたほうがよい.
ドライバに負荷の重い処理をさせている.
インバータを入れた入力ピンの寄生容
電流量が大きいため,ほかのOP アン
プでは見られなかった効果が現れる可能
性もある.たいていのOP アンプの回路
したがって,xDSLシステムは一般に,出
量を最小限に抑えるには,電流フィード
は最大で数十mA の電流を出力するが,
力電圧を引き上げるための昇圧回路を備え
バック抵抗をこのノードの近くに配置す
xDSL ドライバは数百mA の電流を出力
ている.
る必要がある.インバータを入れた入力
する.そのため,差動利得誤差や差動位
ピンの寄生容量が1pF よりも小さいと,
相誤差を非常に小さく抑える必要がある.
●バイパス回路への配慮が重要
性能に大きな影響を与える場合がある.
高周波信号のバイパスには,0.1μF の
xDSL トランシーバのメーカが提供す
約3cm以上の長い配線には,ストリッ
セラミック・コンデンサを推奨する.こ
る参照設計は非常に重要である.という
プ・ラインの設計技法を適用するべきで
のようなコンデンサは,電源ピンの数mm
のは,要求される性能レベルを達成でき
ある.このような配線は,特性インピー
以内に配置する必要がある.そしてチッ
るかどうかは,適切なバイパス回路を設
ダンス(Z0)が50 Ωまたは75 Ωになるよ
プ・タイプであることが望ましい.電源
計できるかどうかにかかっているからで
うに設計し,適切に終端させる必要があ
ピンを大電流が流れる場合には,大型の
ある.適切なバイパス回路を使えば,差
る.高周波のAC 電流がどのようなパス
バイパス・コンデンサが必要になること
動利得誤差や差動位相誤差による高周波
を流れるかについて考慮することが大切
もある.この場合のバイパスには,イン
信号への影響を最小限に抑えることがで
である.ここで問題となるのは,チップ
ダクタンスの小さいタンタル・コンデン
きる.また,電源の高調波エネルギによ
の電源ピン,これに接続したバイパス・
サが適当である.そして,47μF 以上の
るひずみも低減できる.
コンデンサ,こうしたコンデンサからの
容量にしたほうがよい.負電源をバイパ
リターン・パス,出力回路,負荷からの
スさせるコンデンサの接地側は,出力電
出力電流のリターン・パスなどである
流のリターン・パスが共通になるように,
Analog Devices 社によれば,xDSL
機器の設計者はボードのレイアウトと部
ある.HDSLはT1/E1の伝送速度(1.544Mbpsまたは2.048Mbps)
“xDSL”の“x”とは?
を実現するために2組の導線を使う場合が多い.
HDSL は現在,かなりT1 に取って代わっている.つまり,現在
xDSL の元祖は,1980 年代初期に開発されたISDN(integrated
のT1回線の大部分は実際にはHDSL回線である.ヨーロッパでは,
services digital network)である.ISDNでは伝送速度160kbpsの
T1 回線にHDSL のファミリがある.これらはすべて,同じ変調方
データが80kHzのバンド幅に押し込められている.ISDNはシンプ
式を利用しており,1本∼4本のより対線で通信する.
ルな4レベルのPAM(pulse amplitude modulation)
変調を利用する.
なかにはSDSL(symmetric DSL)という言葉を,1 組のHDSL
規定されたより対線を使えば,18,000 フィート(5,400m)以上の距
を指して使っている人もいるが,対称型のADSLを指して使ってい
離の通信が可能である.最近の製品はさらに優れた信号処理技術を
る人のほうがずっと多いだろう.ここで,“A D S L ”の“A ”は
利用しており,もっと長い距離の通信を実現している.ISDN は,
asymmetric(非対称)の意味である.
コストが高く,性能向上の余地があまりないので,米国ではそれほ
最後に,VDSL(very high speed DSL)という方式もある.
ど普及しなかった.ただし,ドイツなど,米国以外の国では大きな
VDSLは短い距離で,非常に高い伝送速度を実現する.通常,1,000
成果を収めている.
フィート(300m)で51Mbps,3,000 フィート(900m)で25Mbps の
次に登場したのが,HDSL(high bit rate DSL)
である.HDSLは,
伝送速度を達成する.VDSLは,戸外にある光ファイバ・ハブと家
より広いバンド幅に対して,上記と同じ変調方式を適用する.高性
庭の間を,銅線を介して接続するような応用をねらっている.現在,
能なDSP を利用して,さらに高速な伝送速度を実現している.よ
VDSLの規格標準化の議論が白熱している.いくつかの時分割多重
り対線を使って,12,000(3,600m)フィートの距離の通信が可能で
方式が提案されている.
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