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平成27年度 全日本大会担当レフェリー研修会

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平成27年度 全日本大会担当レフェリー研修会
平成27年度
全日本大会担当レフェリー研修会
期
日
平成27年6月27日(土)・28日(日)
会
場
味の素ナショナルトレーニングセンター
公益財団法人 日本ハンドボール協会
平成27年度 全日本大会担当レフェリー研修会 プログラム
6月28日(日)
9:30
研修2
プログラム及び日程は,予告なく変更される場合があります。
『競技規則の解説』
国際委員会委員・IHFレフェリー
池渕智一
10:45
6月27日(土)
休
憩
11:00
12:30
研修3
受
付
『レフェリングの実際』
13:00
IHFレフェリー 島尻真理子
開 会 行 事
13:15
11:30
講 演
昼
食
・
休
憩
12:30
『上級レフェリーに求めるもの』
審判部長 藤井俊朗
研修3
研修4
『レフェリング
『レフェリーの
の実際』
14:30
休
島尻真理子
憩
14:45
研修1
13:45
『罰則の適用について再考する』
日本大学 平木貴子
※研修3と研修4を約30分ずつ受講
Aグループ 研修3→研修4
Bグループ 研修4→研修3
研修5
競技規則研究委員会
委員 安田 寛
『競技運営に関して』
16:00
休
心理について』
競技本部長 江成元伸
憩
16:15
グループ討議
14:45
『全日本大会担当レフェリー
15:00
諸連絡・閉会
としてのリーダーシップ』
競技規則研究委員会
委員長 福島亮一
17:30
上級レフェリーに求めるもの
(公財)日本ハンドボール協会
審判部長
藤 井 俊 朗
レフェリーの使命とは┅
チーム・プレーヤーにトレーニングの成果を存分に発揮させる
コート内と交代地域の秩序を保つ
使命を果たすために
 競技規則に関する正しい知識に裏打ちされた判定 ⇒ 考え方の統一
『コート上では攻撃側も防御側も同等の可能性と権利を有している』
 ラフプレーとスポーツマンシップに反する行為を排除する
ハンドボールの競技規則の精神は,相手の身体を傷つけることなく,チームに本来
のプレーを行う正当なチャンスを与えることである。 ハンドボールの概念から抜粋
◉ 競技規則は罰するためにあるのではなく,ハンドボールがハンドボールであるた
めに存在する。
◉ RCはハンドボールがスポーツであるための生命線。失格に値する行為に対して
レフェリーがRCを出すのをためらえば,ハンドボールはスポーツではなくなっ
てしまう。しかし┅
 妥当性と信頼性のある判定
◉ それぞれのカテゴリーに相応しい競技運営を心掛ける。
それぞれの目線に立った競技運営を行う。
◉ レフェリーとしての基本事項の励行。
役割分担,領域分担,正しいジェスチャー,チームタイムアウト中の位置など。
決められた時間内の得点を争う競技⇒『時間の管理』と『得点の管理』は厳密
に行い,疑わしい場合には,競技時間を中断し必ず確認をする。
◉ 求められている物を知り,それを発揮する。
ゲームの流れを読み,それに協力することがレフェリーの役割。流れを作るの
が,決してレフェリーであってはならない。
1
 心身ともにコンディションを整える
◉ リラックスと集中をうまく使い分けて,各自最良のコンディションで臨む。
これらを実践するためには
“レフェリーとしての準備”が不可欠!
 レフェリングに関する準備
 身
体
的
準
備
 精
神
的
準
備
 事前に行う準備
 直前に行う準備
◇ 今年度から,すべての大会,すべての試合で行う直前の準備
▣ 試合前のウォーミングアップを入念に行う (トスの後,プレーヤーと共に)
最良のコンディションで臨むための,最後のチャンス
レフェリーの本気度をアピールするための,最高のチャンス
▣ オフィシャル席との打ち合わせ
密接な連携を保つため,各種合図の相互確認の方法はもちろんのこと,交代地
域規定の遵守についても協力を依頼する。これは,トラブルを未然に防ぐこと
にも繋がる。
様々な大会で多くのゲームをレフェリングすれば,必ず吹き損じや失敗がある。
しかし,その失敗に対して「いつもは一緒に吹いていないから」,
「仕事が忙しく
て準備不足だから」というのは言い訳にならず,チームやプレーヤーは常に厳し
いトレーニングを積んでいることを決して忘れてはならない。
☆レフェリーは常に周囲から注目されていることに気付いていますか?
特に,笛を鳴らしたとき,競技が中断しているときには,すべての人の視線がレフリー
に注がれる。レフェリーとしてのキャリアを積めば積むほど,その注目度は高まる。
その中で,浮足立ったり,ゲームに乗り遅れたり,ついつい独りよがりな笛を吹いてし
まったような経験はないでしょうか。または,知らず知らずのうちにレフェリーが主役に
なってしまったことはないでしょうか。
レフェリーは,それぞれ『個性』や『ハンドボール観』を持っており,これはレフェリ
ーとしての大切な要素でもある。しかし,それらは競技規則およびレフェリングに関
する指導の内容から外れないように表現されなければならない。さらには,レフェリー
の個性やハンドボール観ばかりが先行する主観ではなく,妥当性・信頼性のある判定や競
技運営をしなければならず,Players First の精神を決して忘れてはならない。
2
競技の担当が決まれば,たとえそれが都道府県大会であっても,全日本大会であっても,
小学生であっても,社会人・日本リーグであっても,大会に向けてレフェリーとしての準
備を怠ることなく┅
大会期間になったら,会場入りしたら,あるいはコートに立ったら,レフェリーとして
のプロ意識を持ち,始めから終わりまで丁寧かつ誠実に取り組み,大会を取り巻くすべて
の人に,
「そのとおり!」
「それが正しい!」と言わせるような判定や,競技運営はもちろ
んのこと,上級レフェリーとして相応しい行動や言動を心掛けることのできるレフェリー
であり,すべてのレフェリーの良き手本となるよう期待します。
行動規範について
競技場の内外を問わず,常にレフェリーは注目されていることを忘れず,上級レフェリ
ーに相応しい言動・行動を心掛ける。
▣ 競技会場(コートも含む)では決して目立たず,しかしコート上では美しく
▣ 試合を観るときには一ヶ所で(判定に対して反応しない)
▣ チームとの接触は極力避け,所属する都道府県のチームであっても,応援などは厳
に慎む
コート内外でチーム役員やプレーヤーが,著しくあるいは極めてスポーツマンシップに
反する行為を行えば,レッドカードが与えられる。同様に,競技会場外であっても,レフ
ェリーが社会人としてあまりにも恥ずべき行為を行えば,社会からレッドカードを突き付
けられることになる。
また,SNS(ブログを含む)を利用して情報発信する場合,内容によっては大きな誤解
を招くことになりかねないので細心の注意を払わなければならない。
全日本大会にレフェリーとしてノミネートされた自覚と責任,
そして誇りを持って,どのような状況においても,上級レフェ
リーに相応しい対応を!
3
研修1
罰則の適用について再考する
競技規則研究専門委員会
委 員
安
田
寛
①明らかに(ボールではなく)相手の身体を狙った違反
②罰則を適用すべきスポーツマンシップに反する行為
競技規則
平成17年版(2005 年)
8:3 …しかしながら、競技規則16:3【注】に記載しているとおり、特別な違反に対しては、プ
レーヤーが前もって警告となっていなくても、レフェリーはそのプレーヤーを直ちに2分間
退場とする権限を有している。
競技規則 2010 年版
8の4
特定の違反をしたプレーヤーは前もって警告となっていなくても、2分間退場となる。
8:4 即座に2分間退場
相手に対する危険性を軽視した違反行為に対して適用する。
(a) 衝撃の大きい違反行為や,高速で走っている相手に対する違反
(b) 相手を背後から捕まえ続けること,あるいは引き倒すこと
(c) 頭や喉,首に対する違反
(d) 胴体やボールを投げようとしている腕を激しく叩くこと
(e) 相手が身体のコントロールを失う行為をしようとすること(8:5a を参照)
(f) 高速でジャンプして,あるいは走って相手にぶつかること
4
8:5 失格(報告書なし)
危害を及ぼすような行為とは,違反が激しいときや,相手が違反を予測できず,身体を守れな
いような状況での違反を意味する。
(a) 走っている,ジャンプしている,あるいはボールを投げようとしているときに,明らかに
体のコントロールを失う。
(b) 顔や,喉,首などに対し,特に攻撃的な行為をする。(身体接触の激しさ)
(c) プレーヤーが自分の違反行為に対して,素知らぬ振りをする。
8:6 報告書を伴う失格
違反行為が意図的で,危険または悪質なものとレフェリーが判断したならば,レフェリーは競
技終了後に報告書を提出し,当該の機関が改めて別途の処分について検討する。
(a) あまりに無謀な,またはあまりに危険な行為
(b) 競技の状況とかけ離れた意図的で悪質な行為
レフェリーは,判定後直ちに報告書を
伴う失格であることを,オフィシャル
席ならびにチーム責任者に伝える。
段階罰を適用するための解説
罰則を探し(作り)出さず,明確なものを罰する。
競技規則に記載されている判断基準を用いる。
競技の開始直後から 8:4-8:5 を適用することがある(特に 8:4)
。
重大な場面が生じたときは, 8:4 /8:5 のどちらを適用するか,時間をかけて判定すること。
競技時間中,双方のチームに同じ判断基準を用いなければならない。
パッシブプレーの予告合図中・・・判断基準に変化はない。
心得ておくべき事項
速攻時の段階罰に相当する違反⇒少なくとも2分間退場
速攻を妨害する戦術的な違反⇒2分間退場
空中のプレーヤーを押す⇒結果として2分間退場 (8:4)
喉,首,顔面,頭部に対する攻撃にイエローカードは必要ない。⇒2分間退場,またはそれ以上。
競技の開始直後から,ピボットプレーヤーとそれを守る防御側プレーヤーを観察しておく。
ピボットポジションやウイングポジションでの攻防の解説も参考にすること。
しかし,過剰な反応やハリウッドアクションにも注意しなければならない!
5
グループ討議
全日本大会担当レフェリーとしてのリーダーシップ
競技規則研究専門委員会
委員長 福
・ 全日本大会を担当するレフェリーの役割とは何か
・ 全日本大会を担当するレフェリーの責任とは何か
・ 全日本大会を担当するレフェリーとしてのリーダーシップとは何か
みんなで話し合ってみましょう
話し合ったこと,話題になったこと memo
6
島 亮 一
研修2
競技規則の解説
国 際 専 門 委 員 会
委員
池 渕 智 一
この時間は,研修1での内容を踏まえて,映像を使って実際に判定をしてみましょう。
競技規則のどの条項を適用するのか,オートマティックに判定する感覚を養いましょう。
大会に臨む前に体力トレーニングやルールテストだけではなく,最近はアイトレーニングも行
うことが重要だと言われています。このようなビデオテストは,資格試験や国際大会前のミニ
コースで行われています。
今回行うビデオテストもIHF主催の大会で実際に行われたものです。20問ありますが,
問題によって繰り返し再生されるもの,スロー再生があるもの,1回しか再生されないものと
様々ですが,集中して試合と同じように判定をしてみてください。
さあ,何点取れるでしょうか!
格
№
の
罰
報告書を
伴う失格
失
常
階
題
即 座 に
2分間退場
通
段
問
報告書を
格
№
の
罰
伴う失格
失
常
階
題
即 座 に
2分間退場
通
段
問
8:3 8:4 8:5 8:6
8:3 8:4 8:5 8:6
1
11
2
12
3
13
4
14
5
15
6
16
7
17
8
18
9
19
10
20
合
計
点
/20
7
研修3
レフェリングの実際
IHFレフェリー
島尻真理子
これから示すことは
あくまでも 「基本の動き」
「レフェリングのための準備」 であり
「この通りに動けばいい」
「この位置に立っていればいい」
「これだけを準備していたらいい」
ということではありません。
基礎となる動きの確認とこれまでの自分への振り返り、そして、今後のレフェリングへのヒン
トとなればという思いを込めて、実技を担当させていただきます。
この実技研修は、レフェリーによっては当たり前のことだと思うかもしれませんが、いつかは
やってくる笛を置く日・・・その最後のゲームを担当するまで、常に改善し、変化し、対応するこ
とを辞めてはいけません。
Key Word は、
『基本に忠実であること』
ハンドボールの発展
観客
この4つが融合
レフェリー
ハンドボールの
発展
プレーヤー
ゲームが成立し、
ハンドボールの発展がある
コーチ
〈日本球界の命題〉
19年の熊本女子世界選手権、20年の東京オリンピック、そしてその先・・・
◆ 世界に通用するための個の発掘・育成
◆ 指導の一貫性
強 化 だけの話ではなく、我々レフェリーも考えること
コーチと共にハンドボールが発展していくための課題や現状、世界の最新情報等を共有し、
『どうプレーヤーを導いていくべきか』 『どうプレーさせるべきか』
について常に考え、実践していく
『強化(コーチ)』と『レフェリング(レフェリー)』が両輪となる
8
Q:では、レフェリーに求められているものって・・・なに?
レフェリーとして、大会(担当するゲーム)に臨むために準備するコトって・・・なに?
例えば
『体力』
『メンタル』
『技術』
『知識』
『スカウティング』
徹底的な準備 = 自 信
&
自分のレフェリングを助ける要素
コート上で、ゲームが競技規則通りに行われていることを保証できるのは、
唯一、レフェリーだけ。
レフェリーとして、一つひとつのプレーを自分の目で確かめ、競技規則に則って判定を
していくことは、重要な任務である。そのため、絶えずコート上でプレーをしっかりと
見るための努力をし続けなければならないし、場面によっての対応や工夫も必要となる。
基礎となる「競技規則」「レフェリーハンドブック」を理解したうえで、応用として一
つひとつの事象を判断していくことが必要。
運用する中で、ときには思い切った判断や動きが必要になる場面があるかもしれない。
しかし我々レフェリーは、あくまでも、『基本に忠実であること』
『応用』という言葉を、 『自己流の動きやジェスチャー』あるいは,
『自己流の競技規則の解釈』ということと、はき違えてはならない。
今回、行う実技は、基礎となる土台づくり
レフェリングをするうえで
「ボールがどこにあるかを把握していること」と「ボールを見ていること」は同じではない。
両レフェリーで、コート上の少なくとも12人のコートプレーヤーがどこにいるのかを常に
把握するために、コート上の広い範囲に絶えず目を配る努力をしていなければならない。
このことを頭に入れ、
1.2グループ に分かれる
2.2人一組
を作る
3.コートレフェリー(CR) と ゴールレフェリー(GR) の役割を決める
4.それぞれのポジションについて、
次表に示した動作をコート上で実践します。
9
担当
Ref-A
担当
Ref-B
GR
Ref-Aの笛の後、OFプレーヤー
1.笛
CR
2.方向指示
3.オフェンシブファール
がポイントを正しく取るか、DFプレ
<ジェスチャー6>
CR
↓
GR
ーヤーが3mの距離の確保をしない
などの方法で、相手の各種スローの実
○ボールを持っていたプレーヤーが、
GR
すぐにボールを床に落とすか置か
↓
ないという状況がないか(8の8
施を遅らせようとしていないか(8の
7c)を観察する。
CR
b)、確認しながら、走り始める。
1.笛
2.方向指示
3.警告
<ジェスチャー13>
コート全体の管理
GR①
※ 今回は都合上、二人のポジション
CR①
チェンジはしない。
4.ホールディング
<ジェスチャー4>
⇒違反したプレーヤーまたはチー
ム役員、タイムキーパーとスコ
アラーに警告であることを示す
(16の2)
1.笛
GR②
2.ゴールキーパースロー
CR②
<ジェスチャー8>
GR
↓
CR
Ref-Aの笛の後、競技から視野を
外すことなく、速やかにサイドライン
まで移動。コートの外側を走りなが
○ボールを持っていたプレーヤーが、
CR
すぐにボールを床に落とすか置か
↓
ないという状況がないか(8の8
ら、ゴールレフェリーのポジションに
つくための準備をする。
GR
b)、確認しながら、走り始める。
得点(ジェスチャー12)
◇ ボールが完全にゴールラインを
割る。
CR
◇ スロアーもチームメイトも反則
得点に同意するためのジェスチャー
GR
(ジェスチャー12)
を犯していない。
◇ プレーが中断されていない。
上記3つの条件がそろったことを確
認し、初めて「ゴールイン」となる。
10
研修4
研究課題「審判員の心理的スキルの評価とトレーニング法の開発」について
東京理科大学 村上貴聡
お忙しい中,ご協力いただき感謝いたします.本研究は文科省科学研究費の助成(研究
課題番号:25750302)を受けたものです.調査結果につきましては,後日,報告書という
形でお知らせする予定です.調査の趣旨および内容は下記の通りです.
【調査の趣旨】
近年,サッカーW 杯やオリンピックでは誤審や判定が覆るなど,審判に関する問題が数
多く取り上げられています.現代のスポーツ競技において審判員は不可欠であり,公式試
合ともなれば公認審判員がいなければその競技は成立しません.これまで審判員に関する
研究は,ゲームの生起に関わる重要な立場のわりには研究が少ないという現状がありまし
た.また,審判員の役割は,試合において実際に生起する様々な事象をルールに基づいて
コントロールすることであり,上手くやって当然,少しのミスも許されないという状況に
置かれています.そうした中,常に公正な審判(判定)を下さなければならない審判員は
「平常心」や「判断力」といった心理的要素が常に求められます.
そこで,審判員の心理面の強化がレベルアップにつながるものと考え,心理面の調査に
着手しました.審判員の心理的特性を明らかにすることによって,心理面の強化の方法な
どを開発できると考えています.
【調査の内容】
今回の調査は,審判時における心理的なことについて,55 項目の質問に回答していただ
きます.測定される内容は,「集中力」
「気持ちの切り替え」
「表情・態度」
「自信」「コミュ
ニケーション能力」
「意欲」の 6 領域です.それらの領域が,審判の経験年数や資格レベル,
そして種目によって異なるか否かを検討したいと考えています.
【結果の公表】
結果のフィードバックを競技団体の審判部ならびに協力者に行います.本研究で得られ
た知見を関係者に情報発信することは,審判員のレベルアップに貢献できると考えていま
す.また,学術会議やスポーツ関連公開行事等で結果を公表することで,社会への情報還
元につなげます.
詳しくは科研費データベースのホームページに掲載されています.
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/25750302.ja.html
何卒よろしくお願いいたします.
11
研修5
競技運営に関して
(公財)日本ハンドボール協会
競技本部長
江 成 元 伸
レフェリーの競技中の役割
競技中のコートレフェリーとゴールレフェリーは、役割は分担されているが区別はなく、
競技をレフェリングする権限と責任を同等に有しており(17:1)、警告、退場、失格及び
特別な事項の記録を行う。また、得点及び競技時間を管理する。
記録席から見た競技の現状
レフェリーの競技中の役割:レフェリーハンドブック 2015(P.21 参照)
IHF レベルの競技では、レフェリーは警告のみの記録だけでよい。これは、レフェリーが
競技に最大限集中できるための配慮であり、他の形式的な職務については、テクニカル・
デレゲート、タイムキーパー及びスコアラーに委ねられている。)
テクニカルデレゲート(以前は┅立会人,マッチバイザー)
この任務は,日本ハンドボール協会(以下,本協会という)主催,共催大会,加盟団体
の主催,共催大会の全試合に適用する。ただし,大会により2名のテクニカルデレゲ
ート(以下,TDという)を配置することができない場合は,主催者の役員を1名配置
し,記録席のもう一方の係員がTDの任務を遂行する。
大会中の各試合の全責任は競技委員長にあるが,TDは競技委員長のもと,競技役員
として試合に立ち会い,試合を円滑に運営するために,レフェリー,タイムキーパー,
スコアラー,その他の競技役員,補助員と協力して担当試合を管理する責任者である。
TDの果たす役割
1-1 レフェリー,他の競技役員,補助員と協力し,円滑なゲーム管理を行う。
1-2 判定上の問題が生じたとき,適切な助言・勧告を行う。
1-3 タイムキーパーの時計の管理,交代地域規定の管理をする。
1-4 公式記録用紙の管理・照合を行う。
12
1-5 試合中止の判断はレフェリーおよびTDにあるが,続行のために適切な助言・勧告を
行う。
1-6 交代地域違反についての管理・運用はTDの最大の任務である。
1-7 事実判定を除いた異議申し立てについては,真摯に対応し,適切に判断する。
必要があれば競技委員長,大会委員長と協議し,適切な競技運営の責任がある。(新規)
直近の課題
平成 26 年度全国高校選抜大会において,ラインクロスの違反があったシュートを得点と
記録した不適切な事例が発生した。その結果,その試合は得点修正がなされないまま終了
し,翌々日になって同点延長戦の再試合となる不手際となった。さらに,この判断が遅れ
ることになったことから,決勝戦の途中で中止となる異常な事態を引き起こした。
得点に絡むミスが大きな事態を引きおこしたことは,TD・レフェリーとしての責任は
重大であることを再確認する。改めてTD・レフェリーの任務を確認し,適切な競技運
営がなされることが求められる。
TDとレフェリー
・ レフェリーは得点の管理をする。17 の8
スピーディな試合(クイックスタート)
レフェリーは得点を記録する必要がない
得点記録はTDスコアラーの役割である
・ チームタイムアウトの際,罰則・得点の記録を照合する。
・ 得点は,スローオフ後には取り消すことができない。
・ 得点の際,GRは笛の合図とともに腕を上げて明確に得点であることを示す。
・ 得点の際,CRは記録席と確認の合図をする。
・ スコアラー・タイムキーパーは得点であることを確認する合図をする。
・ レフェリーは得点を管理する。17 の8
ゴールイン後の役割〔レフェリーハンドブック 2015 から〕
レフェリーに対して配慮(心構え)の要望
1 GRとCRはアイコンタクトをとる
2 CRは同意して腕を上げる
記録席に確認のアイコンタクト:腕を上げることを要請
3 GRも腕を上げ,笛を2回吹く
可能な限り得点が加算されていることを確認
4 GRはCRとなり,スローオフの笛を吹く
可能な限り得点が加算されていることを確認
GRもCRも得点が加算されていることを確認
ゴールインではなく紛らわしいときは明確なジェスチャーを
13
レフェリーと記録席との事前の打ち合わせの際の依頼事項
・ 時計を動かすとき,止めるとき確認の合図をして欲しい。
・ 得点が入ったときは,確認の合図をして確認してほしい。
・ 罰則を適用するときは,番号が分かったときにカードもしくは2分間の合図をして
欲しい。
・ 得点,罰則の適用など分からないときは笛で合図して欲しい。
・ 通信機器を使用しているときは,TDを通じてコンタクトして欲しい。
・ 得点表示,退場表示が不具合のときは,連絡して欲しい。
・ 入退場の管理をして欲しい。(TD不在時)
競技運営に関する確認(平成 27 年4月1日実施)┅別添資料№1(日本協会 HP にて公開)
・ 競技運営中不適切な処置が起きた場合は,明らかになった時点から適切な処置を行っ
たうえで競技を再開する。
(例) 2分間退場となったプレーヤーが,何らかの理由で退場しておらず,そのまま
出場し得点していた。⇒ 事実判明の時点で退場とする。得点などはそのまま
活かし,それ以上の罰則は付加しない。
・ 不適切な得点記録を修正する確認が行われた場合。修正した結果,同点の場合は延長
戦を判明した時点から速やかに行う。当日実施できない場合は翌日に行う。
レフェリーの行動
・ レフェリーは得点となったこと,得点でないことを明らかなジェスチャーなどで表現
し,記録席および観客に分かるようにする。
・ TD,記録席員は,得点があったときにはレフェリーと相互に確認し合う。
・ 着地,ラインクロスの判定は得点と間違いやすいことから,レフェリーは大きなジェ
スチャーをすることが必要であり,誤って得点が加算されないよう得点掲示に配慮す
る必要がある。
得点の際の記録用紙の書き方と配慮
・ (GRによる)得点の合図があったときは,得点をあげたプレーヤーの背番号を記入し,
累積の得点を記入する。その後,スローオフの笛の合図によって得点の時間を記入す
ることによって得点が確定する。ゴールに入ったときの時間を記入することがミスを
起こす第一歩である。TDはスコアラーに注意深く指導する必要がある。
14
実際の状況と対策
今回は着地,ラインクロスの判定をした。
① GRは得点の合図をしていない。
② GKはゴールエリア内からセンターライン付近にいる味方プレーヤーにパスをした。
③ GRからCRになったレフェリーは,スローオフの合図はしていない。
しかし,スコアラーや2名のTDも得点と勘違いした。得点の合図(2回の笛)が無かった
のにも係わらず合図があったと勘違いした。<思い込み>
すべての関係者の配慮不足と言わざるを得ない
テクニカルデレゲートの任務 平成 27 年度版(日本協会 HP にて公開)
1 注意喚起およびTDの任務を確認し,適切な競技運営が求められていることを強調し
た。
2 (競技中の)事実判定を除いた(チーム責任者による)異議申し立てについては,真摯に
対応し,適切な判断をする。必要があれば競技委員長,大会委員長と協議し,原則と
してその場,もしくは当日中に判断(裁定委員会開催),その後の対応を決定する。
3 平成 20 年度から,裁定委員会はプレーヤー,チーム役員,レフェリー,大会関係者に
よる重大な過失を伴う行為や処置も対象としてきた。
4 得点,罰則の記録ミスが試合中に判明した場合は,その時点から正しい状況で再開す
る。試合終了後に記録ミスが判明した場合,勝敗に関係する場合は相応しい状況から
再試合をしなければならない。
平成 26 年度の高校選抜大会のように,試合終了後であっても得点記録が不適切であり,
修正した結果同点であった場合は,延長戦を行わなければならない。
試合中に退場しなければならないプレーヤーが,何らかの理由によって退場せずに出
場し続けたことが判明した場合,その時点から退場を適用する。(退場しないで)出場
したことに対する責任はレフェリーおよびTDにあり,プレーヤーにそれ以上の罰則
は適用しない。
事実が判明する間にそのプレーヤーが得点をあげた場合は,その間のすべての記録を
認める。
外傷など
競技中に外傷などが発生した場合,出血を認める場合はコート内に留まることは許されな
い。レフェリーが交代地域に行くことを指示する。止血の確認がなされた後,出場が可能
となる。
骨折,脱臼といった整形外科的外傷,脳震盪,心臓振盪,その他競技に出場することでプ
レーヤーの健康が明らかに阻害されると判断できる場合は,医師・専門家の判断を参考に
して,チームで出場の可否を決定する。誰が見ても明らかに競技することが適切でないと
判断される場合には,競技に参加することができない。
15
通信機器の使用┅別添資料№2(日本協会 HP にて公開)
レフェリー・TD間で通信機器の使用を積極的に推進する。通信機器は公的な電波を利用
することから,短時間の交信で的確に行う。交信の内容として,事実判定に関する指摘は
避けなければならない。TDは,レフェリーが見ることのできなかった失格相当の違反を
助言することができる。
平成 26 年度高校選抜大会の事例でも,通信機器を利用することで,レフェリーとTDの
間で情報交換・確認が行えることから,ミスを未然に防ぐことができる。
本協会競技委員長,本協会審判長は競技運営を円滑にするため,またレフェリー育成のた
め,記録席または別の場所から通信機器を使い,レフェリーあるいはTDに各種のアドバ
イスをすることができる。
大会競技委員長,大会審判長,各連盟,各ブロックの役職者には4台目の通信機器の使
用は認めていない。
すべての試合に,緊張感を持って臨むようにお願いします。
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