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CENTUM CS フィールドバス通信機能

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CENTUM CS フィールドバス通信機能
CENTUM CS フィールドバス通信機能
CENTUM CS フィールドバス通信機能
CENTUM CS Fieldbus Communication Functions
森 宏 *1
水 島 冬 樹 *1
MORI Hiroshi
MIZUSHIMA Fuyuki
富 田 昭 司 *1
林 俊 介 *2
TOMITA Shoji
HAYASHI Shunsuke
分散制御システムCENTUM CSにおいて,フィールドバス協会のフィールドバスに準拠したフィールドバス
通信機能を開発した。フィールド機器制御機能の操作・監視機能を実装しており,CENTUM CS制御機能と
フィールド機器制御機能とのカスケード制御も可能である。フィールドバスとはフィールドバス通信モジュー
ル
(ACF11)
がインタフェースする。ACF11は広域分散が可能なリモートIOバス
(RIOバス)
のノードに接続できる
ため,フレキシブルなシステム構築を可能としている。
本稿では,CENTUM CSフィールドバスシステムの中核となる通信機能を中心にその特長を紹介する。
We have developed Fieldbus communication functions in conformity with specifications of the
FOUNDATIONTM Fieldbus in the distributed control system CENTUM CS. The cascade control of the
CENTUM CS control function and the field device control function are possible, and the operation and
monitoring functions of the field device control function are supported. The fieldbus communication
module (ACF11) interfaces with the fieldbus. Moreover, because the ACF11 can be connected to the
node on the remote IO bus (RIO bus), the flexible system construction becomes possible.
This paper introduces characteristics centering on communication functions of the CENTUM CS
Fieldbus system.
1.
ザーのプラント操業に関する負担低減をねらったもので
は じ め に
ある。それを実現する上での技術的課題の一つがフィー
フィールドバスは,インテリジェント・フィールド機
器と制御システム間の,従来の4∼20 mA標準に代わる,
ルド機器と上位制御機器との通信であり,その機能特性
がより重要となる。
CENTUM CSのフィールドバス通信機能は,フィール
ディジタル双方向マルチドロップ通信路であり,IEC/ISA
(1)
において仕様標準化のための審議が行われている。
ドバス協会のフィールドバスに準拠しながら,これまで
フィールドバスは,省配線,制御機能フィールド分散
の当社における計装の考え方を継承し,ETS(Enterprise
化,制御データの双方向性などを特長とするが,なかで
Technology Solution)
を提供する上でのキー技術の一つで
も,フィールド機器のディジタル化,高機能化に伴う制
あるフィールドバス機能とCENTUM CSの制御機能およ
御機能のフィールド分散,すなわちこれまで分散制御シ
び操作監視機能との融合を実現した事を特長としてい
ステム
(Distributed Control System)
で実現されてきた制
る。
御機能のフィールドへの移行が注目されている。しかし
ながら,制御システムの急激な変革は必ずしも望ましい
ことではなく,現システムから段階的に拡張する仕組み
(2)
が必要と考える。
CENTUM CSフィールドバス通信機能の開発は,従来
2.
特 長
CENTUM CSフィールドバスシステムは以下を特長と
している。
(1)システム拡張性
のアナログ伝送との共存環境において,フィールド機器
・ 従来の4∼20 mAアナログ伝送との混在実装が可能で
の制御機能を含む操作・監視機能の統一化により,ユー
あり,段階的な拡張すなわちアプリケーションに応じ
て追加・拡張が柔軟に対応できる。
*1 システム事業部 制御システムセンター 開発2部
*2 システム事業部 制御システムセンター 開発3部
19
(2)DCS制御機能とフィールド機器制御機能との融合
・ 当初から,CENTUM CSはフィールドバス時代を予見
横河技報 Vol.42 No.2 (1998)
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CENTUM CS フィールドバス通信機能
し,浮動小数点データを用い処理しているので,高精
3.
度のデータを維持して制御演算を行える。
構 成
3.1 システム構成
・フィールド機器の入出力データは従来のアナログ / 接
点データと同様にプロセス入出力として扱うことがで
図1にシステム構成図を示す。
きるので,フィールドバスを意識する必要はない。
CENTUM CSフィールドバスシステムは以下の機器で
・異常状態に対して,フィールド機器の異常やプロセス
構成される。
の異常をいち早く検出できる他,フィールドバスファ
(1)インフォメーション・コマンドステーション
(ICS)
ンクションブロックの動作状態に応じてFCS機能ブ
分散型制御システムにおける操作監視機能。従来の
ロックは適切に対応(バンプレス出力制御など)でき
機能に加えてフィールドバスファンクションブロッ
る。
クの操作監視機能およびアラート
(アラーム / イベン
(3)フィールド機器制御機能の操作・監視
ト)
の収集機能を持つ。
・フィールド機器の制御機能を操作
(パラメータの調整な
(2)エンジニアリング・ワークステーション
(EWS)
ど)
またはフィールド機器の動作状況を連続して監視す
分散型制御システムにおけるエンジニアリング機
るためのマンマシンインタフェース機能を提供してい
能。従来の機能に加えて,フィールドバス通信モ
る。これまでのCENTUM CS制御機能と違和感なく操
ジュール
(ACF11)
をエンジニアリングする機能を持
作・監視することができる。
つ。
(4)異常監視
(3)フィールドコントロールステーション
(FCS)
・フィールド機器の故障などの異常アラームやフィール
分散型制御システムにおける制御機能。従来の機能
ド機器が自発的に出す機器アラーム
(IO故障など)
を常
に加えて,フィールドバス機能とのカスケード結合
時監視できるので,予防保全が容易になる。
処理およびI C S に対するフィールド機器のインタ
・フィールドバス通信モジュールの充実した診断機能に
フェース機能を持つ。
よって,部分故障からシステムに与える機能低下を最
(4)フィールドバス通信モジュール
(ACF11)
小化している。
フィールドバスのマスター機能およびFCS / フィー
(5)フィールド機器管理
ルド機器間のデータ中継機能を持つ。
・機器管理ツールによってフィールド機器保守情報であ
(5)パーソナルコンピュータ
(PC)
る機器状態やパラメータデータを計器室等現場以外の
フィールド機器をエンジニアリングするツールや
場所で監視できるため,保守が容易となる。
フィールド機器の保守ツールを実行す
る。
PC
EWS
3.2 フィールドバス通信モジュール
(ACF11)
図2にACF11の外観を示す。ACF11はRIO
Eネット/Ethernet
バスのノード内に実装され,従来の4∼20
mAアナログモジュール等との混在計装が可
ICS
能である。ACF11で実現している機能を以
ACG
下に示す。
Vネット
(1)上位制御機能とフィールド機器との
データ中継機能。
(2)ファンデーションフィールドバス仕様
FCS
に基づくLAS
(Link Active Scheduler)機
RIOバス
能およびTime Master機能。
(3)フィールド機器の異常監視機能。
ノード
10ネスト
(4)FCS制御機能 / RIOバスの異常監視機
ACF 11
能。
4∼20 mA
H1フィールドバス
4∼20 mA
(5)フィールド機器を含む瞬停復帰機能。
これによって一定時間内の瞬停に対し
てFCS機能ブロックのMANモードへの
遷移を抑制することができる。
図1 CENTUM CSシステム構成図
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CENTUM CS フィールドバス通信機能
FCS機能ブロック
SET
プライマリループ
PID
IN
OUT
プロセス出力
プロセス入力
フィールドバス
ファンクションブロック
CAS IN
フィールドバス
ファンクションブロック
IN
PID
OUT
OUT
OUT
AI
CAS IN
AI
AO
FIELD
VAL
FIELD
VAL
OUT
セカンダリ
ループ
図2 ACF11外観図
表1にACF11ハードウエア仕様を示す。ACF11は以下
図3 ブロック結合
(1)機器異常の検出
を特長とする。
フィールドバスファンクションブロックのデータス
・バス電源内蔵
テータスから機器異常を瞬時に判断できるため,プ
少ない機器数の場合,外部電源を用意する事なくエン
ジニアリングが容易。
・EDC(Error Detection and Correction)
機能
ライマリループの制御ブロックが適切なモードへ遷
移することが可能となっている。
(2)出力クランプの検出
容量の大きな制御入出力を扱うメモリを搭載している
フィールドバスファンクションブロックのデータス
ため,EDC機能を設け信頼性を確保。
テータスからFCS機能ブロックは出力クランプを検
・保守サポート機能
プログラム改定を容易にした他,内部動作モニタリン
グのための通信ポートを用意。
4.
制 御 機 能
4.1 プロセス入出力
出することができる。
(3)出力トラッキング
フィールド機器または通信の異常からの復帰時,
FCS機能ブロックはフィールド機器の出力値をト
ラッキングし,バンプレスに出力動作を継続するこ
とができる。
図3にFCS機能ブロックとフィールドバスファンク
これらによって,制御機能のフィールド分散化が行われ
ションブロックとの結合関係を示す。FCS機能ブロック
てもアプリケーション構築において柔軟な対応が可能に
からみてフィールドバスファンクションブロックの入出
なっている。FCS制御ブロックはフィールドバスの制御ブ
力は,従来のプロセス入出力と等価に扱えるだけでな
ロックとは異なるが,データステータスによる初期化ハン
く,FCS機能ブロック間のカスケード結合において必要
ドシェイクを実装しているので,フィールドバスファンク
とされる以下の機能も実現している。
ションブロックと問題なく結合する事ができる。
フェースプレートブロック
表1 ACF11ハードウエア仕様
項 目
仕 様
実装枚数
80台 / FCS(10台 / RIOノード×8ノード)
フィールドバス数
1セグメント / ACF11
通信速度
31.25 kbit/s voltage wire mode
接続形態
M4ネジ端子にて接続
内蔵バス電源
出力電圧:18∼20 VDC(19 VDC固定電圧)
連続出力電流:最大80 mA(過電流制限機能あり)
過度出力電流:最大100 mA(持続20 ms以下)
外 形
188 × 215 × 43.6 mm
表示LED
RDY, CTL, RCV, SND
絶 縁
H1バス / システム間 1500 VAC
保 守
オンラインメンテナンス可能
PV
SV
MV
MODE
端子番号
PI D
AI
PV
AO
CAS
IN
OUT
IN
PV
SP OUT
CAS
IN
OUT
MODE
BACK CALCULATION
フィールドバスファンクションブロック
(モジュール,ケーブルコネクタ)
EMC規格
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CENTUM CSとしてCE marking適合
図4 フェースプレートブロックによる操作・監視
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CENTUM CS フィールドバス通信機能
図5 フェースプレートブロック調整パネル
図6 エンジニアリングツールビルダ画面
4.2 フィールド機器制御機能の操作・監視
本システムではフィールド機器の制御機能すなわち
でのエンジニアリングが可能。
・ Common File Format(3)に準拠したフィールド機器オブ
フィールドバスファンクションブロックの動作状態(ブ
ジェクトファイルによるツール間のデータ交換が可能。
ロックの内部パラメータ等)
を監視する仕組みとして,オ
・ フィールドバスの制御・通信スケジュールの自動作成
ンデマンド通信機能によるフィールドバスファンクショ
が可能。
ンブロックのパラメータを表示・設定する機能を実装し
図6にエンジニアリングツールの画面例を示す。
ている。
フィールドバスファンクションブロックの各パラメー
6.
お わ り に
タは,従来のプロセス入出力と同様に端子番号で扱うこ
フィールドバスは2000年には従来の4∼20 mAアナロ
とができる。この端子番号とフェースプレートブロック
グ伝送の置き換えとして急速に普及していく事が予想さ
を結合することによって,FCS機能ブロックと同様にパ
れる。当社は,標準化に向けて積極的に活動すると共
ラメータ調整パネルで表示または設定することができ,
に,フィールドバス協会においても主幹事としてフィー
フィールドバス制御ブロックに対する,ICSによる操作・
ルドバス仕様の開発に参加,さらに実証試験等において
監視機能を実現している。
その実用性を検証してきた。
図4はアナログ入力ブロック(AI),PID制御ブロック
本稿のCENTUM CSフィールドバス通信機能はその先
(PID),アナログ出力ブロック(AO)で構成された制御
駈けとして,これまでのプロセス制御に関する経験とノ
ループにおいて,PIDの各パラメータとフェースプレー
ウハウをベースに開発されたものであり,フィールドバ
トブロックの測定値
(PV)
や設定値
(SP)
,出力値
(MV)
,
スの普及と発展に十分寄与するものと考える。
モード
(Mode)
との対応関係を,図5はフェースプレート
ブロック調整パネルの画面例を示している。
今後とも,フィールドバスのメリットを十分にユー
ザーに提供するために,更なる機能改善やコストダウン
等を分散制御システムとのバランスを考慮して追求する
4.3 アラーム・イベント
フィールド機器のアラート
(アラームやイベント)
は,
つもりである。
* CENTUM は横河電機の登録商標です。
ACF11が取り込みFCSを経由してICSに転送され,ICSの
* Windows NTは米国Microsoft Corporationの商標です。
ヒストリカルメッセージとして格納される。このメッ
* EthernetはXEROX Corporationの登録商標です。
セージは
「ヒストリカルレポート機能」
で参照できる他,
機器管理ツールでも参照可能である。
5.
フィールドバスのエンジニアリング
フィールドバスのエンジニアリング機能は,Windows
NT上で動作するツール
(フィールドバスエンジニアリン
グツール)
で実行している。したがって汎用ツールとの共
存も可能である。以下に本ツールの特長を示す。
参 考 文 献
(1)甲斐忠道.フィールドバス基礎ブック.オーム社.1995. 128p.
(2)Hiroshi Mori,Takafumi Kawano,and Toshiaki Shirai.Fieldbus
System Integrated into DCS.ISA/96 Advances in Instrumentation and Control Volume 51.1996
(3)Shoji Tomia,et.al.,Standardized file exchange eases fieldbus
interoperability design. Intech. vol. 44, no.3, 1997, p. 46-49
・フィールド機器が接続されていない状態
(オフライン)
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