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平成23(2011)年度 事業報告書

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平成23(2011)年度 事業報告書
資料1
平成23年度
事 業 報 告 書
(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで)
学 校 法人
京 都 学 園
目次
はじめに
・・・・・
P.
1
Ⅰ.法人の概要
・・・・・
P.
2
Ⅱ.事業の概要
・・・・・
P.
9
Ⅲ.財務の概要
・・・・・
P. 63
おわりに
・・・・・
P. 71
はじめに
私立学校法により、学校法人は「事業報告書」作成の義務があります。本報告は法の理念に沿い
皆様方に本学の取り組みや財政内容をご理解していただき、高い公共性を持つ学校法人としての説
明責任を果たすことを目標に作成いたしました。
私立学校を取り巻く厳しい環境の中、本学園ならではの特色ある教育研究活動を推し進めるべく、
各設置学校では毎年度「事業の重点事項」を設定しています。これらの具体策を中心に予算配分、
執行を行い魅力ある学園づくりを目指しております。
また、「難しい」と言われ特殊性の指摘される学校法人会計ですが、解説を入れるなどして「わ
かり易い報告書」を心がけました。
学校法人
京都学園の平成 23 (2011)年度の法人の概要、事業の概要、財務の概要をここにまと
めましたので、ご報告申し上げます。今後とも本学園の教育・研究活動によりいっそうのご理解と
ご協力をお願い申し上げます。
平成 24 年 5 月
(京都学園大学)
- 1 -
Ⅰ. 法人の概要
1 建学の精神
世界的な視野で主体的に考え、行動する人材の育成
本学園は大正 14 年に創立者辻本光楠先生が旧制の京都商業学校を創立したことに始まり、
以来「日本人らしい日本人の育成」を建学の精神として掲げてきました。これは創立者の意思と
ひょうぼう
して標 榜 してきたものであり、本学園教育の理想であるといえます。
おご
この「日本人らしい日本人」とは「一国の国民として国際社会に卑屈になることなく、驕るこ
となく、互恵平等の立場で接することができる日本国民」の育成を説いたものであり、この理
解の上に立って「建学の精神」を認識したものです。
うた
この精神に謳われている「世界的」とは、「一国に限らず世界全体(Global)」を指すものであ
い
り、「主体的」とは「他から干渉を受けることなく自分で決定すること(Independence)」を云い、
「世界的視野に立って、自らの判断で決定し、行動する人材」を意味しています。
この建学の精神の中には、弱者への思いやり、強者への戒めの思想とともに、わが国伝統文化
ねが
ざ
が
に支えられる文化的精神の修得などへの冀いがこめられており、創立者が坐臥の念願とした次
の事柄を心としています。
(1)国際感覚豊かな人間
(2)日本伝統文化を深く理解する人間
(3)向上心を失わず、自立心を有する人間
(4)豊かな創造力をもって地域に貢献できる人間
(5)日本人としての自覚を失わず、平等、互恵の精神、思いやりの心をもつ人間
この「建学の精神」に秘められた心こそ、創立者の「教育は人をつくるに在り」との教育へのひたむきな
心情そのものと言えます。
- 2 -
2 学校法人の沿革
大正 14 年 3 月 京都市左京区吉田下阿達町に京都商業学校(夜間甲種四年)設立
昭和 3 年 3 月 京都市右京区花園寺ノ中町に五年生昼間部を設置
9 年 4 月 京都市左京区吉田下阿達町に京都商業実務学校(三年生乙種)を開校
19 年 3 月 京都商業学校を京都工業学校に転換
20 年 3 月 京都商業実務学校を廃校
10 月 財団法人京都工業学校を設立
21 年 4 月 京都商業学校復元認可(京都工業学校存続)
5 月 財団法人京都工業学校を財団法人京都学園に改称
22 年 4 月 6・3制実施に伴い京都学中学校を設置
23 年 4 月 学制改革により京都商業学校を京都商業高等学校に転換。京都工業学校廃校
26 年 3 月 私立学校法制定により財団法人京都学園を解散し、学校法人京都学園とする。京都学園中学校を廃校
43 年 4 月 京都がくえん幼稚園を新設
44 年 4 月 京都学園大学経済学部を新設
58 年 4 月 京都文化短期大学文化学科・経営学科を新設
平成 元年 4 月 京都学園大学法学部を増設
9 月 京都商業高等学校の校名を京都学園高等学校に変更
3 年 4 月 京都学園大学経済学部経営学科を経営学部に改組
4 年 4 月 京都学園大学ビジネスサイエンス研究所を新設
6 年 4 月 京都学園大学大学院法学研究科ビジネス法学専攻修士課程を新設
7 年 4 月 京都学園大学大学院経済学研究科地域政策専攻修士課程・経営学研究科経営学専攻修士課程を増設
10 年 12 月 京都学園大学人間文化学部(人間関係学科・文化コミュニケーション学科)設置認可
11 年 3 月 京都学園大学経済学部経営学科の廃止
4 月 京都文化短期大学(文化学科・経営学科)の募集停止
京都学園大学人間文化学部(人間関係学科・文化コミュニケーション学科)を増設
7 月 「京都学園大学ビジネスサイエンス研究所」を「京都学園大学総合研究所」に変更
12 年 4 月 京都学園中学校を新設
5 月 京都文化短期大学廃止
14 年 4 月 京都学園大学経営学部事業構想学科と京都学園大学大学院人間文化研究科人間文化専攻修士課程を増設
16 年 4 月 京都学園大学人間文化学部文化コミュニケーション学科を京都学園大学人間文化学部メディア文化学科に名称変更届出
18 年 4 月 京都学園大学バイオ環境学部(バイオサイエンス学科・バイオ環境デザイン学科)を増設
19 年 4 月 京都学園大学人間文化学部(人間関係学科、メディア文化学科)を
(心理学科、メディア社会学科、歴史民俗・日本語日本文化学科)に変更届出
20 年 3 月 京都学園高等学校 新校舎「光楠館」竣工
4 月 京都学園大学人間文化学部(心理学科、メディア社会学科、歴史民俗・日本語日本文化学科)設置
4 月 京都学園大学 京町家キャンパス開設
21 年 4 月 京都学園大学人間文化学部(国際ヒューマン・コミュニケーション学科)設置
22 年 4 月 京都学園大学大学院バイオ環境研究科(博士課程前期・後期)設置
- 3 -
3 設置する学校・学部・学科・研究科・機関等
(1)京都学園大学
京都学園大学
学長
内山
〒621-8555
(平成 23 年 5 月 1 日現在)
[創立 昭和 44(1969)年]
隆夫
京都府亀岡市曽我部町南条大谷1番地1
℡0771-22-2001(代)
・学部
経済学部
経済学科
経営学部
経営学科
事業構想学科
法学部
法学科
人間文化学部 ※平成20年4月改組
心理学科
メディア社会学科
歴史民俗・日本語日本文化学科
国際ヒューマン・コミュニケーション学科
人間関係学科
改組により募集停止
メディア文化学科
改組により募集停止
バイオ環境学部 バイオサイエンス学科
バイオ環境デザイン学科
・大学院
経済学研究科
経営学研究科
法学研究科
人間文化研究科
バイオ環境研究科(
(2)京都学園高等学校
京都学園高等学校
校長
※ 平成 22 年 4 月設置)
[創立 大正14(1925)年]
佐々井 宏平
〒616-8036
京都市右京区花園寺ノ中町8番地
℡075-461-5105(代)
・全日制課程 普通科
(3)京都学園中学校
京都学園中学校
校長
[創立 平成12(2000)年]
佐々井 宏平
〒616-8036
京都市右京区花園寺ノ中町8番地
℡075-461-5105(代)
(4)京都がくえん幼稚園
京都がくえん幼稚園
園長
竹田
〒618-0091
[創立
昭和43(1968)年]
澄子
京都府乙訓郡大山崎町円明寺殿山1番地5
℡075-957-3003(代)
- 4 -
(5)京都学園大学総合研究所
京都学園大学総合研究所
〒621-8555
京都府亀岡市曽我部町南条大谷1番地1
℡0771-29-2392
(6)京都学園大学リエゾンセンター
京都学園大学リエゾンセンター
〒621-8555
京都府亀岡市曽我部町南条大谷1番地1
℡0771-29-3592
(7)京都学園大学桂センター(心理教育相談室)
京都学園大学桂センター(心理教育相談室)
〒615-8191
京都市西京区川島有栖川町50番地2
安田生命桂ビル3階
℡075-383-6080
(8)京都学園大学サテライト教室(キャンパスプラザ京都6階第5講習室)
京都学園大学サテライト教室(キャンパスプラザ京都6階第5講習室)
〒600-8216
京都府京都市下京区西洞院通塩小路下ル
℡0771-22-2001(代・大学)
(9)京町家キャンパス「新柳居」
京町家キャンパス「新柳居」
〒604-8214
京都市中京区新町通錦小路上ル百足屋町384
℡0771-22-2001(代・大学)
(京町家キャンパス
- 5 -
新柳居)
4 学校・学部・学科等の学生数の状況
京都学園大学(学部・大学院)
学 部
学 科
経済学部
経営学部
法学部
人間文化学部
バイオ環境学部
(平成23年5月1日現在)
入学定員
経済学科
経済学研究科
計
経営学科
事業構想学科
経営学研究科
計
法学科
法学研究科
収容定員
学 生 数
185
5
190
96
96
5
197
135
5
755
10
765
388
388
10
786
565
15
483
8
491
297
325
11
633
393
8
計
140
580
401
心理学科
メディア社会学科
歴史民俗・日本語日本文化学科
国際ヒューマン・コミュニケーション学科
80
60
60
48
320
240
240
144
268
148
168
47
人間関係学科
-
-
メディア文化学科
-
-
人間文化研究科
10
25
258
100
100
23
223
1,008
969
400
400
46
846
3,946
681
413
289
27
729
2,935
1,320
1,065
240
193
345
258
5,851
4,451
計
バイオサイエンス学科
バイオ環境デザイン学科
バイオ環境研究科
計
計
京都学園高等学校
全日制(普通科)
(単位:人)
摘 要
15 募 集 停 止
(平成 20 年4月)
15 募 集 停 止
(平成 20 年4月)
20
京都学園中学校
京都がくえん幼稚園
学園合計
日本私立学校振興・共済事業団「学校法人基礎調査」
- 6 -
5 卒業・卒園・学位授与者数
京都学園大学 学部
学
(単位:人)
部
経済学部
学
科
授与者
経済学科
経営学科
事業構想学科
計
法学科
計
107
107
63
61
124
70
70
心理学科
メディア社会学科
歴史民俗・日本語日本文化学科
国際ヒューマン・コミュニケーション学科
人間関係学科
メディア文化学科
計
バイオサイエンス学科
バイオ環境デザイン学科
計
計
64
39
24
-
6
7
140
75
56
131
572
計
経営学部
法学部
人間文化学部
バイオ環境学部
京都学園大学 大学院
授与者
経済学研究科
経営学研究科
法学研究科
人間文化研究科
バイオ環境学研究科
3
5
3
4
11
26
計
京都学園高等学校
卒業生
329
計
京都学園中学校
卒業生
計
京都がくえん幼稚園
71
卒園児
計
- 7 -
92
6 役員・評議員の概要
(平成23年5月1日現在)
理事長
西井泰彦
理事(常勤)
内山隆夫(学長)/佐々井宏平(校長)/竹田澄子(園長)
並河忠夫/福永勝也/松村修/山脇孝之/石原祐次
理事(非常勤) 小川正雄/加藤暢夫/草野功一/栗山正隆/坂口行洋/西山徹/森田潤司
西藤二郎
監事
新井英植/髙田明夫
評議員
全 37 名
7 教職員の概要
区分
教
員
職
員
本
務
兼
務
本
務
兼
務
(平成23年5月1日現在)
(
(単位:人)
京都がくえん幼稚園
計
京都学園大学
京都学園高等学校
京都学園中学校
-
127
67
13
14
221
-
179
32
2
9
222
4
69
9
1
0
83
2
19
1
0
0
22
本部
日本私立学校振興・共済事業団「学校法人基礎調査」
(京都がくえん幼稚園)
- 8 -
Ⅱ. 事業の概要
本学園では各学校部門がそれぞれ収支均衡を目指す「学校別独立採算」を基本原則とし「毎会計
年度の収支均衡」を目指した経営を目指しています。各学校は事業計画の策定に基づいた重点事項
を中心に魅力的な教育研究活動を展開するとともに、学校経営の安定化のため学生・生徒・園児の
確保に努め、限られた財源を効果的に配分し出来る限りの収支均衡に努めています。その上で、少
子化による大学を取り巻く厳しい環境のなか将来の学園の発展のために必要な施策については予
算化しています。
学校部門別にみる平成 23 年度の主な事業実績は、以下の通りです。
〔京都学園大学〕
1.大学全体について
指 針
本年度は、平成 20 年度大学認証評価に際して指摘された事項についてこれまでの取り組みを『改
善報告書』として提出すべく万全を期する。また大学の将来展望を明確にするため「中期計画」
を策定する。
本学は今後も「幅広い職業人養成」に重点的に取り組む大学としての教育力の向上に努めなけ
ればならない。昨年度から本学は「教育から『協育』へ」を基本コンセプトに新たな教育改革に
取り組みはじめた。その概要は、
「平成 22 年 大学生の就業力育成支援事業」への応募に際し「成
長確認型人材『協育』プログラムの展開」として纏められているが、本学の教育改革の柱は、次
の4項目である。
(1) 教職協働の深化。
(2) 社会的体験プログラムの拡充。
(3) 問題解決型授業の重視(=PBL 型授業の重視)
。
(4) 地域共創の深化。
この教育改革を通じて本学は、学生が修得した知識を社会生活において遭遇する問題の解決に
独自にあるいは他者と協力して役立てることのできる「就業力」の涵養を目指す。これらの取り
組みに共通する点は、学生が達成感なり成功体験を積み重ね、自己効力感を高める工夫をするこ
とである。これにより、学生が自ら進んで勉強するインセンティブを得るだけでなく、新しい自
分を発見し、自信を持ち、自己を形成することが期待される。そのためにも、教職員全員で学生
一人ひとりを育てる体制の確立が急務となる。
上記指針に沿って、大学全体の主な事業についての報告を以下にまとめた。
平成 23 年度の最重要課題は、
(1)大学評価結果に対する『改善報告書』の提出
(2)中期計画の策定と入学定員・収容定員充足率の適正化
(3)教育力の向上
の3つである。
平成 20 年度の大学評価で指摘された事項に関する『改善報告書』については、これまでの改善
策と改善計画を纏め、平成 23 年 6 月に大学基準協会に提出し、再評価の結果、
「適合」判定を受け
ることができた。この間、キャンパスの一部移転問題を含む大学の中期計画を策定する中で、本学
- 9 -
の創立 50 周年を視野に入れた学部学科の再編計画の基本方針を策定する一方、FD・SD活動等
を通じて全学的に教育力の向上に向けての取り組みを展開した。
2.各学部の教育について
上記指針・重点事項に沿って、各学部は学部等の特色を生かしつつ、各部・課・事務室の協力
を得て教学支援サービスを提供してきた。これら主な事業についての報告を以下にまとめた。な
お、枠内の表記は、平成 23 年度の主な事業計画の概要である(詳しくは、平成 23 年度事業計画
を参照)
。
2-1.経済学部―経済学を中心に幅広い教養を修得し、社会的人間関係を構築することのでき
る人材の育成
経済学部では経済学を中心とした幅広い教養の修得を通じて、健全な社会観と職業観を涵養
し、より良い社会を構築するための諸活動に主体的かつ積極的に参画する人材の育成を目指し
ている。その基本方針は、ゼミナールを中心にしたフェイス・ツゥ・フェイスの教育にあり、
本学部カリキュラムの主な特徴と重点的な取組は以下の 4 点に集約できる。
(1)経済学を基礎に現実経済を分析する能力を養うとともに、幅広い教養の修得を図る。
(2)高度なコミュニケーション能力を養う。
(3)現代社会の情報化・国際化への対応能力を養う。
(4)健全な職業観を育てる。
これに加え,平成 23 年度の新規事業として,地域貢献と経済学教育の普及のため,高校生
を対象とした論文コンテストを実施する。
1.現状説明(進捗状況)
平成 23(2011)年度より、2 回生前半までスタ-トアップゼミが開講され、共通の課題を与えて、
期の最後にテーマを決めてコンテストを行っている。スタ-トアップゼミ A では共通課題の下にレ
ポートの書き方、スタ-トアップゼミ B では共通課題の下でプレゼンテーションを、スタ-トアッ
プゼミ C ではディベートをそれぞれ学ぶ。
2 回生後半から 4 回生までは専門ゼミに分属すと同時に、
学生は将来の進路を念頭にコースを選択する。コースは、
(1)社会と政策、
(2)経済と情報、
(3)
ファイナンスの3つであり、徹底した少人数教育がなされる。
一方、学生の自主組織として、
「京都学園大学経済学部ゼミナール連合協議会(以下、ゼミ連と
略称)
」があり、毎年 12 月に全国大会(インターゼミ)に参加し、テーマごとに討論を行っている。
この発表テーマに備えて、本学 3 回生のゼミで内容を練り上げ、全国大会での発表し,その成果を
卒業論文とする場合が多い。このほかにもゼミ連の活動は、
「フレッシュマンフェスタ」
、ディベー
ト大会の開催、
「ゼミ紹介冊子」の作成や「龍尾経済論集」
(学生の卒業論文論文集)の刊行など多
岐に亘る。
現代社会の情報化・国際化への対応能力を養う取り組みとしては、第一線で活躍するビジネスマ
ンや官庁エコノミストによる現実感覚豊かな講義を揃えることにより、経済学を単なる理論ではな
く生きた学問として現実社会のさまざまな課題に適用できるように工夫している。また、キャリア
教育の一環として、
「仕事研究講座」の講義で、さまざまな企業の実務に長けたビジネスマンが、
その業種の仕事内容を話すとともに、
「金融入門」では、証券、金融業界で実務体験を持つ人を講
- 10 -
師に招いて、さまざまな角度から生きた金融の話をしてもらっている。
重点的な取組項目である健全な職業観を育てるために、2 回生向けのプログラムでは、自らの資
質・能力への気付きとその涵養方法(
「キャリア形成概論」
)や、世の中にある仕事の実態を学ぶこ
と(
「仕事研究講座」
)により、早い時期に自らのキャリアプランを意識し、いま何をすべきかを考
える。3 回生向けの「キャリアゼミ」と「キャリア形成ワークショップ」では、自らのキャリアプ
ラン実現に向けてのトレーニングをする。ゼミでは個別指導、ワークショップではグループ指導に
より、これから始まる就職活動だけでなく、就職後の社会人生活でも役に立つ実践的なスキルを身
につけ、社会的力量の向上を図る。E-learning による常識テストを 3 回生全員に課している。
地域貢献と経済学教育の普及事業として、全国の高校生を対象に震災復興に関する作文募集をお
こない、8月には神戸新聞および亀岡市の協力の下に震災に関するシンポジウムを開催した。また、
11 月には内閣府から講師を呼び、本学で市民対象の「震災後の日本経済の現状」について講演会を
実施した。また、11 月からは経済学部の教員が京都キャンパスプラザにおいて、それぞれの専門の
立場から、震災についての「土曜講座」をリレ-形式で 5 回実施した。
2.点検・評価
1 回生ゼミの内容を、個々の担当教員の裁量にまかせるのではなく、共通課題にしたことにより、
担当教員の教育力の差が顕著になり、教員間に良い意味での競争意識が出てきたことは評価できる。
スタ-トアップゼミ 1、2 では、期末にレポートコンテストやプレゼンテーションコンテストが
実施され、各ゼミの優劣が競われるので、教員の指導にも熱が入る。その結果、1 回生としては、
質の高いレポ-トやプレゼンテ-ションが見られる。また、ディベート大会は 16 年続いており、
決勝戦をビデオにとって、次年度の教材に使用できるレベルにまで達している。
「キャリアゼミ」では、最初に書いた自己分析や自己PRと、何度も書き直した挙句の自己分析
を比較することによって、学生自身の頭の中が整理されていくようである。
「ワークショップ」に
おいても、講義終了時には、苦しい課題をやらされてつらかったが、着実に力は付いたという感想
を述べる学生が多い。キャリアゼミで学生の自己分析の組み立て作業を一緒に行うことにより、学
生との距離が非常に近くなる。それによって、通常の専門ゼミにおける経済学の勉強が、非常にス
ムーズに行くという副次効果も生まれている。
とくに、ゼミ連に所属する学生の成長は目覚しいものがあり、学生を育てる方法としてはその有
効性が確認できる。ゼミ連主催の行事として、本年度の第 58 回インターゼミ(12 月 17、18 日、北
海学園大学にて開催)には大会運営スタッフ、オブザーバーを含む 32 名の学生が参加し、プレゼ
ン部門に 1 チーム、討論部門に 2 チームが参加し、他大学の学生と議論を交わした。また、本年の
学内ディベート大会は 16 回目を迎え、2 回生ゼミの17パートが参加し、2 日間にわたって論戦を
繰り広げた。各パートは証拠資料の収集など周到な準備を重ねた。準備過程の中で大きく成長する
学生が見られる。
現代社会の情報化・国際化への対応能力を養う取組として展開される経済社会の実態分析を中心
にした講義には、日本経済が激動期にあるだけに、学生の関心も非常に高い。日頃の経済学の原理
原則と生々しい現実社会の様子をどう関連付けるかに興味を引かれるものと思われる。さまざまな
現実を突きつけられて知識を増すことは良いのだが、分析にまでつなげるところがまだ難しいよう
である。
高校生を対象にした論文コンテスト(テーマが「未来からの手紙“A Letter from 2021”- 東日
- 11 -
本大震災から 10 年、日本はいかにして復興したか -」
)については,広報期間が短かったにもか
かわらず、73 件の応募があった。
3.改善内容・方策
ゼミでの各種の行事は学生能力を引き出すのに大変役立っている。しかし,ゼミ生の能力、実力
が多様化しており、担当教員はさまざまな問題に直面する。ゼミ教員が互いの連絡をとり、情報交
換し、改善を行える機会を作ることが必要である。また、問題を持つ学生に対しては、ゼミ教員任
せ、アドバイザー任せでなく、両者ならびに学部担当の職員が協力して、また必要であれば心理相
談室も巻き込んでチームとして学生の面倒を見ていくことが必要であろう。平成 24(2012)年度には
4 月のオリエンテ-ション期間中に新 1 回生を対象に「自己の探求」というプログラムを 2 日間に
わたって実施する。また、とくに、ゼミ連は学生のさまざまな能力を引き出すのに役立っている。
ゼミ連への参加に関しては、様々な機会を通じて 1 回生のうちから学生をゼミ連で活躍するように
誘導する必要がある。
現代社会の情報化・国際化への対応能力を養う取組として展開される経済社会の実態分析を中心
にした講義には、外部講師を招いているが、講師の中には実務には長けていても、大学での講義は
初めてという人もいる。これらの講義には専任教員が必ず出席することになっているので、講師に
適切な助言を行う必要がある。大学側の要求を明確に伝えなければならない。講師と専任教員との
間に良好なコミュニケ-ションをもつことが大切である。しかし、
「ファイナンシャルプランナー」
への関心は高く、の資格取得が容易になるように、平成 24(2012)年度 4 月からは日本 FP 協会の AFP
資格の認定教育機関になる。そのために、通常の経済学の科目群の中に「ファイナンシャル・プラ
ンニング科目群」を設置し、AFP 資格が要求する科目群と提案書作成の枠組みを備える。これによ
り、AFP 資格を持つ学生の増加が期待される。
平成 24(2012)年度の「高校生論文コンテスト」のテーマは、
「あなたの街をもっと魅力的に」と
決まり、亀岡市、亀岡商工会議所の後援も取り付けることができた。論文コンテストに加え、
「出
前講義」の数をもっと増やすために、
「経済学部教員による出前講義」リーフレットを作成し、広
報活動を強化すし、とくに、高校の「総合学習」の授業に取り入れてもらうことにする。
2-2.経営学部―企業における実践能力の育成をはかる
ヒト・モノ・カネ・情報が世界を飛び交う現代社会であるだけに,経営管理、財務・会計、情
報、起業、社会学など経営学が扱う分野もまた多様である。
経営学部の教育の特色は、
(1)
「知識と実践の融合」
(学部の理念)を、
「大学教育・学生支援推進事業」補助金活用を
通して体現化
(2)スポーツと組織マネジメントを融合させたコースを、事業構想学科スポーツマネジメン
トコースとして設置運営にあたる
(3)女性企業家および経営者の育成をめざし、特別講義等の開講
の3つに集約できる.
上記の特色ある学部教育を実践するにあたり、下記の項目に重点的に取り組んでいる。
<1>「ニュー・ビジネスリーダー」の育成を標榜し、知識と実践の融合による人材の育成をめ
ざし、経営諸領域の幅広い学問的知識を身につけると同時に、後継者と起業家の育成を目
標として教育を行っている。
<2> 自主性を重視しながらも、学部固有科目に関しては基礎科目群と発展科目群を明確にし
- 12 -
たカリキュラム体系と、1回生から4回生まで継続的に指導する少人数ゼミを設置してい
る。同時に、専門科目の段階的履修を促し、体系的かつ系統的な指導に努めている。
<3>「情報」と「商業」の教職免許が取得可能な経営学科
<4>自らのビジネス・アイデアをデザインできる人材を育成する事業構想学科
<5>新たにスポーツビジネス関係の講座を充実
<6>e-testing プログラムを採用
<7>スポーツマネジメントコース3年目
<8>大学教育・学生支援事業(就職 GP)3年目
1.現状説明(進捗状況)
経営学部では、教授会及びプロジェクト会議により方針を決定し、平成 23(2011)年度の主要教
育事業として下記の事業を実施してきた。
知識と実践の融合(学部の理念)を、
「大学教育・学生支援推進事業」補助金活用により行っ
た。具体的には、学生チャレンジショップ京學堂の活動を通じて、マーケティングからアカウン
ティングまでの経営学の知識の修得と実践を行い、学生トップ集団による協働と学部学生の活性
化をはかった。
1 回生から 4 回生までの他学部を含めた 40 名近い学生が参加し、自主的なミーティングや勉強
会を開催しながら店舗経営に携わり、経営の実践的修得と自律力の育成を促進した。
経営学部創設 20 周年記念事業として、経営学部学会と総合研究所、
「大学教育・学生支援推進
事業」プロジェクトが協力し、2 月 18 日にキャンパスプラザにおいてIBM最高顧問の講演会と
韓国からの講師も招いたシンポジウム「起業教育の現状と課題」を開催した。また、学部創設 20
周年記念論集を発行した。
2 月 18 日には、学生支援機構・専門家・他大学関係者を含む 100 名近い参加者を得て盛況のう
ちに終えることができた。
事業構想学科スポーツマネジメントコースでは、コーチングやリーダーシップ知識の育成と健
康促進事業への参加を促す。それにより、スポーツ系志願者の確保とマネジメント能力の育成を
はかる。
昨年に続き、健康と地域活動を軸にセーフコミュニティ作りにまで活動分野を広げている。ス
ポーツマネジメントに関心を示す学生の学習意欲を喚起するとともに、受験生獲得にもつながっ
ている。
昨年度から始めた「経営特別講義B-女性企業家講座」では、社会で活躍している女性経営者
や管理職、起業家等による実践例の紹介を通して、男女学生の就業意識の向上と女子学生の確保
をはかっている。
100 名近い学生の受講により学生自身のキャリア育成に役立つだけでなく、学部と企業で活躍
する女性や女性起業家との協力関係が構築された。
教授会において事業継承コースの設置を検討し、学部教務委員会を中心としたメンバーにより
カリキュラムデザインを行った。
平成 24(2012)年度より新たにコースを設定し、さらに充実させる内容にするべく、検討してい
く。
留学生の増加に伴い、学部とともに教員の留学生支援チームによる履修相談や、留学生交流会開
催等により、多様な支援を行っている。
- 13 -
チーム支援により、教員や日本人学生との交流も活発化してきている。
2.点検・評価
上記のようなさまざまな取り組みを教授会やプロジェクトによって検討、決定することにより、
アドミッションポリシー、カリキュラムポリシーおよびディプロマポリシーによって明示されて
いる教育目的と方針に沿った教育方針を確立することができた。また、カリキュラムデザインの
作成、チャレンジショップの運営や 20 周年記念事業に向けての協働作業により、学部の方針と
目的を実践の中で共有することができたことは評価できる。
これらの点で、平成 23(2011)年度事業は順調に実施されているといえよう。
3.改善内容・方策
事業は順調に推移しているが、いくつかの課題が残されている。チャレンジショップ京學堂の
活動に関しては、
「大学教育・学生支援事業」は 2011 年度で文部科学省より 3 年間の補助金が交
付されたが、平成 24(2012)年度以降への対応のため、運営費を教務予算として計上していくとと
もに、より活性化するための検討が必要である。
スポーツマネジメントコースでは、コーチングなどの知識を習得した学生たちに実践の場を提
供する必要があるため、いっそう幅広い分野でのインターンシップ教育等を拡充していきたい。
また、
「経営特別講義B-女性企業家講座」という女性のキャリア形成教育のコア科目以外に
も、今後は事業継承コースの関連科目を充実させていく必要があるため、検討を続ける。
同時に、教授会では経営学部教育の達成度を測定する手段として、下記のような資格取得を推
奨することも継続していく。
◆FP(ファイナンシャル・プランナー)技能士 ◆宅地建物取引主任者 ◆日商簿記検定2級
◆販売士検定2級 ◆マイクロソフトオフィススペシャリスト ◆実用英語技能検定2級
◆TOEIC(レヴェル C 470-730) ◆秘書技能検定2級
いずれも、経営知識と実践の達成を測り、就職活動につなげるために重要な資格であると考え
ている。これらの資格試験の受験者数の拡大と合格者を増やすことが本学部の今後の教育活動と
して重要であり、そのための方策を検討していきたい。
2-3.法学部―法の理論を企業・行政活動に活かす
法学部卒業生の多くは、行政や企業などのビジネス社会で活躍している。多様化し複雑化す
る現代社会では、専門的法律家はもちろん、ビジネスの現場で生ずる法的課題を解決する能力
を持った人材が求められている。このようなニーズに応えるべく、伝統的な法理論を修得する
だけでなく、問題解決のための実践的能力を身につけるよう教育活動を行っている。また、学
んだことが社会で生かせるよう、卒業後の進路開拓をバックアップする体制を強化している。
本法学部の教育の特徴と重点的な取組項目は次の通りである
(1)[ビジネス法学]
ビジネスで活かせる実践的法学教育
(2)スムーズに大学生活へ
導入教育の充実
(3)進路に応じた4コース
より充実したキャリア形成支援
(4)特色ある実務・実践科目
現場に即して学ぶ
(5)学内Wスクール
課外講座との連携
- 14 -
1.現状説明(進捗状況)
学部開設以来、
「ビジネス法学」を教育理念とし、より実践的な法的問題処理能力の養成に努
めてきた。それを学生や受験生に具体的に示すため、平成 21(2009)年度入学生から、卒業後の進
路に応じた「法職コース」
、
「警察・消防コース」
、
「公務員コース」
、
「民間企業コース」の 4 コー
ス制を採用した。学生の相当数が「警察・消防コース」を選択している。適切な選択を促しコー
ス間のバランスがとれるよう、説明会を開催するなど情報提供に心がけている。
なお、学生や受験生の希望に応えるため、平成 24(2012)年度から「生活と法コース」を設けた。
また、このコースには、
「女性と法」
、
「スポーツと法」などユニークな科目を新設することとし
た。
各コースにはそれにふさわしい科目を配置するとともに、進路確保のための「リーガルキャリ
ア科目」を設けている。さらに課外講座をもうけるとともに、
「学内 W スクール」制度によって
受講生の経済的負担を軽減している。また、平成 21(2009)年度から「キャリアゼミ」を設け、就
職活動へのバックアップを進めている。また、亀岡市役所や京都府警察から講師を派遣していた
だくなど、授業内で行政や企業の第一線で活躍する方々に講演していただいている。
本学部教員による法学入門テキスト『法学の扉』は導入期教育に大いに役立っており、外部か
らの評価も高い。第 3 版の発行から数年を経ており、2012 年度入学生から使用できるように「補
遺版」の発行を予定しており、作業は順調に進んでいる。
昨年度から始まった「亀岡市民講演会」は、本年度も本学部から講師を派遣し、他学部も企画
に賛同して質量ともに向上しており、地域連携緊密化に役立っている。
2.点検・評価
コース制については、学生の学習目標明確化につながり、一定の成果を収めている。2012 年度
にコース制 1 期生が卒業するので、バックアップに一段の努力が必要である。
コース制を充実するため、上述のように 5 コース制としたが、その成果については今後の推移
を見守りたい。コース別の学生数バランスについては、今年度の 1 回生についても、
「警察・消
防コース」に選択が偏っている。これは、入学の段階で警察官または消防官になりたい者が多数
であることの反映であり、他の分野に進みたい高校生も受け入れられる方策が求められている。
3.改善内容・方策
コース制については上述のように 4 コース制から 5 コース制に改めた。このことにより、学生
の幅広い希望に応えるとともに、より多くの高校生の入学を促したい。特に「生活と法コース」
は女性にも魅力のあるコースに発展していくことが期待されている。なお、改革の成果を恒常的
に点検し、さらに充実に努めていくことが必要である。なお、2012 年度から経済学部と協力して
AFP の受験資格を得ることが可能になった。
就職活動のバックアップに近年力を入れてきたが、就職活動をめぐる環境は依然として厳しく、
卒業生が希望の進路を確保することは難しい状況である。大学全体の関係組織はもちろん学部教
務委員会等の学部内組織でも検討を進めており、教育カリキュラムの改善は進めているが、教員
からの個々の学生への働きかけをさらに強化する方策をとっていきたい。
学習以外の学生生活を豊かにすることも大きな課題である。本学部では大学の強化指定クラ
ブ「女子バスケットボール部」の支援を行ってきている。このほか、本年度は学生の自主活動で
- 15 -
ある地域パトロール隊への支援をはじめた。次年度へ向けては、自衛消防隊結成をサポートして
いく予定である。
2-4.人間文化学部―人間と文化の総合的な教育研究
人間文化学部は、平成 20 年度より、学部教育の内容を明確に表すために、心理学科、メディア
社会学科、歴史民俗・日本語日本文化学科に再編した。そして、平成 21 年度には、国際ヒュー
マン・コミュニケーション学科を開設し、世界的視野で主体的に考え行動する国際人の育成を推
進している。
人間文化学部の4つの学科の教育の特色として以下の点があげられる。
(1)心理学科
本学科では、心理学の基礎的知識と技能を十分に体得し、それを企業や心理臨床などの実践
現場において柔軟に応用し、問題解決できる能力をもった人材を育成することを目的としてい
る。
上記の目的を達成するために、本学科には、心理学コースと臨床心理学コースが設置されて
おり、実証的データに基づいて、社会および個人における心理学的事象を解釈し対処できる技
能を身につければ、卒業後にどのような仕事についても、本学科で学んだことが必ず役立つも
のと考えられる。3回生からは専門ゼミに所属する。臨床心理学コースでは、病院や児童相談
所、その他の心理臨床現場での経験が豊富な教員によって、心理臨床の実践的な知識と技能を
修得することができる。
以上のように、本学科では、人間の「こころ」を理解し、
「こころ」の営みによって生みだされ
た社会や文化を深く理解し、諸問題の解決のために貢献できる人材の育成を目標としている。
(2)メディア社会学科
本学科では、現代社会において、ますます重要性を増すメディアに対して高度な理解を持ち、
かつ、社会のしくみ・動きに対する深い洞察力を有する人材を育成することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本学科には、現代社会コース、教育とジェンダーコース、ポ
ピュラー文化コース、マスコミコース、広告広報コース、メディア制作コースが設置されてお
り、学生の学びへの多様なニーズに応えている。
メディアの分野では、メディア業界での豊富な経験を持つ多くの教員が実践的な技術指導を
行っている。社会学の分野は、現代社会の仕組みを学ぶ現代社会系と、青少年に人気のある、
音楽、ファッション、アニメ、マンガなどの現代文化系に分けられる。
このように、本学科では、現代社会を把握する力、メディアを適切に利用する力、メディア
を使って表現する力を身につけさせ、地域社会と連携を図りながら人材を育成することを目標
としている。このような人材は、主体的で創造性豊かな人物として社会に貢献できると考えら
れる。
以上のように、本学科では、社会を正しく理解し、さまざまな事象に的確に対応できる人材の育
成を目標としている。
(3)歴史民俗・日本語日本文化学科
<1>歴史民俗学専攻
本専攻では、文献史料だけでなく、伝承(民俗)によっても過去の事象について研究してい
る。後者は、伝統行事や習俗、習慣、あるいは映画や小説、マンガの中に生き続けている。本
専攻では、地域社会との連携を強めながら、日本の歴史民俗を発信できる人材の育成を目標と
している。
<2>日本語日本文化専攻
本専攻では、日本語と日本文学をはじめ、哲学・美術・音楽・工芸・芸術などの広い分野に
わたる日本の伝統文化や伝統芸能への造詣を深めさせ、日本文化の本質を深く理解させるため
- 16 -
の教育研究を行っている。建学の精神に則り、日本文化を深く理解した国際社会に通用する人
材を育成することが目標である。また、実習やフィールドワークを重視し、茶道や能楽などの
伝統文化を、京都市内に設けられている京町家キャンパスで学ぶことを推進している。
(4)国際ヒューマン・コミュニケーション学科
国際ヒューマン・コミュニケーション学科は、コミュニケーション能力を総合的に育成し、
国際的視野に立って主体的に考え行動できる人材を育てることによって、本学の建学の理念を
実現することを目的としている。この目的を達成するために、本学科には、英語コミュニケー
ションコース、美と国際教養コース、安全社会と環境コース、国際京都学コースが設けられて
いる。
またグローバル化の進展する現代社会において、語学力、国際的な文化・教養の力はますま
す重要な意味を持ちつつある。日本の学生にとって、留学生との交流は最も身近で有意義な国
際性の学びとなる。
1.現状説明(進捗状況)
学科を再編して「心理学科」
「メディア社会学科」
「歴史民俗・日本語日本文化学科」の3学科
を作ってから初めての卒業生を今年度末に送り出す。
「世界的視野で主体的に考え行動する国際
人の育成を推進する」という大学建学の理念を体現する国際ヒューマン・コミュニケーション学
科は開設後3年を終えた。国際ヒューマン・コミュニケーション学科と日本語日本文化専攻を中
心に、多くの留学生を受け入れている。
2.点検・評価
目的意識が明確で学力も高い学生が増えたので、学科を細かく分けて各学科の教育内容を明確
化したことの成果が現れたと言える。学生の卒業研究も優れたものが多い。そのことは、それを
纏めた学生論集から見て取れる。
メディア社会学科ではメディア領域の教員が、亀岡・南丹地区を取り上げてラジオ番組を制
作し、それを地元ラジオ局で放送した。また、近隣県の高校の放送部と連携し、生徒を招いて番
組作りの研修を実施した。歴史民俗学専攻ではフィールドワークを重視しているが、亀岡祭をそ
の一つとして取り上げ、活動した。また、ここ数年研究テーマとしている「妖怪」について、高
校生を主な対象としてシンポジウムを開催した。日本語日本文化専攻では、伝統文化・伝統芸能
に関する授業を、京町家キャンパスで開講することによって学習効果を一層高めている。国際ヒ
ューマン・コミュニケーション学科は、他学部・他学科からの転学希望者が多く、学科の魅力が
大きいことを表している。
2つの学科を中心に留学生の人数が増えたため、関係の教員によって「留学生支援チーム」を
作り、彼らが出会う問題点の解決に努めた。
3.改善内容・方策
入学者数が定員を満たしていない点は改善が必要である。大学としての学生募集策に加えて、
学部独自の方策としては、前項に挙げたような、高校生を対象とした取り組みを行い、それを志
願者増に繋げたいと考えているが、短期間で効果を出すことは難しい。離学率が他大学より高い
ことに対しては、教員が学生の状況を把握する度合いを高めて対応したい。4回生の就職内定率
が他の学部と比較して低いことについては、キャリアサポートセンターの諸行事への学生の参加
- 17 -
を一層奨励するほか、学部独自の取り組みを考えて行きたい。
2-5.バイオ環境学部―人とともに多様な生き物が共生できる環境の実現を目指す
人類は20世紀において大いに文明を発展させたが、多くの課題を21世紀に残した。大量生産
と大量消費による資源の枯渇、特にエネルギー資源の枯渇の問題や、環境の悪化、特に地球規
模での環境の悪化が大きな問題になっている。そこで、バイオ環境学部では、環境問題、資源・
エネルギー問題の解決に向けて、バイオサイエンスと環境学を融合させたユニークな教育研究
を展開している。
平成23(2011)年度のバイオ環境学部(一部大学院バイオ環境研究科を含む)の最重要課題は、
教育・研究の遂行とその充実、学生の確保、進路の確保であるが、その主なものは、次の通り
である。
(1)学部教育に関する事業
実験・実習やフィールド教育(西別院町大槻並地区の利用など)の充実、学生の修学履歴
や習熟度などに配慮した教育、学修支援室の充実と活用促進。
(2)研究に関する事業
研究活動の活性化と共同研究の実施、競争的研究資金の獲得などの推進。
(3)学術活動に関する事業
亀岡モデル創生セミナーの開催。
(4)産官学連携に関する事業
4大学連携プログラム「環境教育」の推進、京都府農林水産技術センター農林センターな
どとの研究交流や合同シンポジウムの開催。
(5)地域連携・社会貢献に関する事業
エコ・フェスタ開催や地元集落(西別院町大槻並など)との連携強化。
(6)学生確保に関する事業
高校生にバイオ環境学部の教育研究内容を十分に伝達し、理解してもらうための資料の作
成や広報活動を展開すること。
(7)高大連携(小中学校を含む)に関する事業
第5回「バイオ環境賞」の実施や理科の教科別研究会などに対し、話題提供・講師派遣、
運営支援、会場の提供など実施を支援すること。
(8)進路の確保に関する事業
キャリア教育の実施、理系学生に重点をおいた就職セミナーなどの充実、大学院進学支援
の実施、生物分類技能検定試験、バイオ技術者(中級、上級)認定試験を本学で実施するこ
と。
(9)学園内理系連携に関する事業
京都学園中学校・高等学校の理系教育事業の支援。
1.現状説明(進捗状況)
バイオ環境学部は、バイオと環境学の密接な連携のもとに“人とともに多様な生き物が共生で
きる環境”の実現をめざした教育研究を展開している学部である。平成 23 年度から、教育コー
スを導入するとともに、バイオ環境デザイン学科内の研究室の再編成を行った。以下に、主だっ
た事業について進捗状況を述べる。
(1)学生定員確保に関する事業
バイオ環境デザイン学科の教育内容が高校生にはわかりにくくて伝わりにくいという点が、本
学科の定員割れの一因と考え、本年度から教育コースの導入と研究室名の変更を行い、教育研究
- 18 -
の内容をわかりやすく提示することに努めた。大学案内や HP の記載も、教育コースの内容に沿
って書き直した。オープンキャンパスにおいては、バイオ環境学部の特色を印象付けるため、実
験・実習を重視した。
(2)教育研究に関する事業
本年度から教育コース制を導入した。また、本年度からはキャリア教育科目として「スターア
ップゼミ」と「私の人生設計」を開設した。実習フィールドとして亀岡市西別院町大槻並地区と
協定を結び、地区内の農家を1軒借りて教育研究に活用した。
(3)学生の福利厚生と進路に関する事項
バスの便については、休み期間中の桂駅への最終バスが早く、研究に支障をきたしている。学
生の進路については、大学院進学希望者では、国公立の大学院へのべ 14 名の合格者があった。
就職については、就職希望者の学生の半数が内定を得た。
2.点検・評価
学生定員の確保については、バイオ環境デザイン学科の平成 23 年度の入学者が 22 年度よりも
増加し、バイオサイエンス学科との人数比のアンバランスが少し改善された。バイオサイエンス
学科は、23 年度も定員以上の学生を確保できた。これは、本学部の教育内容が受験生に理解され
やすいように教育コースを設定し、わかりやすい説明を心がけたことが有効であったと思われる。
またバイオサイエンス学科については、教育研究活動が学外からも高く評価されている結果であ
ると考えられる。地元との連携については、様々な活動を通じて協力関係が以前よりも深まった。
学生の大学院進学は順調であるが、就職については、全国的に厳しい状況の中で、本学部でも厳
しい状況である。
3.改善内容・方策
学生定員の確保については、学部の教育内容をわかりやすく伝えたことが有効であったと考え
られるが、さらに学生を確保するには、魅力のある教育内容の提示が必要であり、教育内容につ
いてさらに検討を行っていく。また、大学院への進学の支援や就職活動の支援によって、進路の
確保に努める。さらに、カリキュラムの検討による授業科目の整理と改善など、より充実した授
業を実施するための方策を検討する。本学から阪急桂駅・JR 桂川駅方面へのバスの利便性の改善
について検討する。
- 19 -
3.大学院研究科の教育について
本大学院は知識基盤社会の社会的ニーズに応えるべく、より高度かつ専門的な知見を修得し、
社会に貢献できる人材の育成を目指している。
3-1.大学院経済学研究科 経済学専攻
(1)政策立案できる人材の育成
現代社会のさまざまな課題にたいして経済学的な視点から問題解決の可能性を探り、そ
の道筋をつけることが要求される。本研究科では、学部教育の基礎のもとで経済学の専門
性を深め、現実社会に発生する諸問題を応用経済学の立場で分析し、広範な政策形成がで
きる専門的職業人の育成を目指す。
(2)税理士養成コース
経済・経営・法学の3研究科合同で税理士養成コースを運営している。税理士の果たす
役割も、税務署への申告書作成に留まらず、会計業務や経営指導業務、民間企業の会計参
与や地方公共団体の外部監査人などの職域に及び、職務追行のためには幅広い専門知識が
不可欠である。このため、3 研究科による学際的な共通プログラムがカリキュラムに用意
されている。
(3)CFP 認定教育プログラム
3研究科共通プログラム「税理士養成コース」の教育課程の高度化のため、税理士養成
コースの科目と各研究科固有の科目を取捨選択して体系化し、日本 FP 協会の「CFP 認定教
育プログラム」の認定を得た。CFP 認定教育プログラム用に設定された科目群を履修すれ
ば、税理士養成コース所属の有無に関らず、CFP 資格取得への道がカリキュラムに用意さ
れている。
1.現状説明(進捗状況)
内部からの進学者と留学生が大学院の通常コースの入学者である場合が多い。一方、税理士志
望の学生は社会人入学の場合が多い。いずれのコースで入学した学生も同じ授業を聴講すること
になる。経済学部出身者と他の学部出身者が混在するので、経済学研究科としての修士論文のレ
ベルを確保するには、学生、教員ともに労力を要する。通常の経済学研究科においては、1 名の
修士 3 回生(留学生)が在籍している。この留学生は 2010 年 4 月から始まった長期履修制度を利
用して 3 年計画での修了を目指している。税理士コースにおいて、3 名の修士 1 回生、3 名の修士
2 回生、
(その他、休学中 1 名)が在籍している。各年次に定員 5 名(税理士コースを含む)を設
定しているが、定員を満たさない状況が続いている。
2.点検・評価
長期履修制度を適用した修士 3 回生は、留学生で日本語が十分ではなく、また経済学部出身で
なかったことにより、経済学の基礎知識に欠けていたが、この制度を活用して(3 年計画での修
了予定)
、経済学の知識を徐々に深めると共に、日本語能力を高め、年度内に修士論文を完成さ
せる予定である。税理士コースに関しては、昨年度の修了者が修士論文を国税庁に提出し、税法
関係の免除申請を行ったところ、無事に承認された。今年度は税理士コースに所属している 2 名
の学生が、試験免除を目指して修士論文を提出する。税理士コースの運営は順調に進んでいると
言える。定員に満たない状況が続いているが、作成される修士論文の高い質を保つべく、研究指
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導がなされている。
3.改善内容・方策
平成 23(2011)年 4 月より、CFP(ファイナンシャルプランナーの国際資格)の教育認定プログラ
ムが、経済学、経営学、法学の 3 研究科共通のプログラムとしてスタートしたが、認知度がまだ
低い。このプログラムは税理士コースの学生だけでなく、一般の修士課程の学生にも有用と思わ
れる資格であるので、今後、積極的に広報する。
3-2.大学院経営学研究科 経営学専攻
経営管理及び会計分野を重視した、専門的職業人並びに起業家の育成
本研究科では、21世紀におけるグローバル化・ボーダーレス化・流動化など、激変する経営
環境のなかで、先見性と実践力を兼ね備えた、次のような専門的能力をもった人材を育成する。
(1)経営管理システムについての柔軟な思考と実践ができる専門的能力をもった人材
(2)国際環境を視野に入れた会計的思考と経営分析能力をもった人材
(3)独創的技術をベースにした、競争力のある新規事業を立ち上げる能力をもった人材
(4)地域社会の充実・発展につながる経営管理能力をもった人材
1.現状説明(進捗状況)
本研究科では 2010(平成 22)年度には 7 名、2011(平成 23)年度には 2 名の入学者があり定員 10
名のところ、在籍者 11 名となっている。2008(平成 20)年以後、アジア圏を中心とする外国人留
学生が増加しているが、それと同時に研究か開設以来中心を占めてきた税理士資格の取得を希望
する日本人入学者も 2010(平成 22)年度 2 名、2011(平成 23)年度 1 名、と復調している。
このように多数の入学者を受け入れ、しかも多様な入学者の受講希望に応えるべく、下記のよ
うな取り組みを行っている。
前年度のカリキュラム改革に加え、演習・講義担当者を拡充し、併せて不開講科目を減らすた
め、講義科目では基礎的科目を核に設置科目の統廃合を進めた。また、昨年度より修士論文の審
査基準を明示し、2年次秋学期には中間報告を課し、演習指導を集中的、効果的に進めるために
副指導教員制の充実を図り、修士論文指導の改善に努めた。
担当教員全員を構成員とする研究科委員会をほぼ毎月開催し、授業計画および教員組織、指導
方針などについて審議している。その中で従来は文書化されていなかったが、演習担当者および
科目担当者の決定についての申し合わせが作成された。
研究科におけるFD活動として、教員質向上のために、副指導教員の現状の関わり方と今後の
在り方について意見交換を行い、指導方法やサポート等、研究科教員全体で指導にあたる方向性
が確認された。
また、平成 21(2009)年度より、経済学研究科・法学研究科とともに「税理士養成コース」を
設置して相互受講を可能にするとともに、併せて経営学部及び経営学研究科の会計学関連科目
の一貫性を図り、税理士養成教育の充実を企図した。さらに、平成 23 年度より、定められた講
義・演習科目の修得をもってCFP(日本FP協会認定、Certified Financial Planner)の受験資
- 21 -
格が認められることになった。
留学生の増加に伴い、学部とともに教員の留学生支援チームによる履修相談や、留学生交流会
開催等により、多様な支援を行っている。
2.点検・評価
演習担当者は8名となっており、特定の演習に留学生が集中する状態は、未だ不十分ながら幾
分緩和できた。増加している外国人留学生が、日本語能力を研きながら、一定水準以上の修士論
文を作成することは難しく、数年前から、修士論文の審査において詳細に指摘の上で書き直しが
命じられること多くなったが、中間報告を義務づけたことで、論文の修正がスムーズに行われる
ところになった。
また、昨年度導入した副指導教員制が定着してきており、より良い指導体制について教員全員
で話し合って方向性を探ることにより、協働体制が構築されつつあることは評価できる。
3.改善内容・方策
昨年度の修士論文作成要領により、多くの教員が組織的に研究指導に関わる方向でよりいっそ
う改革を進め、大学院要綱に掲載されたが、より一層精緻で明確な修士論文の審査基準を明示し、
その方向で研究指導することが必要であると考える。
23 年度から導入された教員の 65 歳定年制が導入されたことにより、それに伴う特別教授の大
学院科目の増担枠での担当となり、大学院のカリキュラムが編成困難に陥りつつある。端的には、
本研究科で東アジアの経済や企業経営の研究をテーマとする演習担当教員は、3名とも現在既に
65 歳を超えており、会計学担当者も同様である。新たな演習担当者の補充だけではカリキュラム
構成の変更をせざるを得ない状況であり、今後の重要な検討事項であると考えられる。
また、日本で就職を希望する留学生に対しての就職支援についても、支援体制をキャリアサポ
ートセンターとの連携等も含めて構築していく必要がある。
3-3.大学院法学研究科 ビジネス法学専攻
大学院研究科においては、学部教育の基礎に立って、専門的な研究を深め、社会に貢献でき
る実践的人材を育成することを目的にしている。とりわけ、ビジネス社会における法的問題解
決のための実践的能力をさらに高められるような指導体制を目指している。
(1)ビジネスの現場で生ずる法的問題を深く堀り下げ研究する
行政や企業などビジネスの現場では、社会の複雑化と国際化にともない、解決を必要と
するさまざまなトラブルが増えてきている。これらの場で活躍する人には、より高度な法
的問題解決能力が求められている。本法学研究科では、特に行政、企業活動、市民生活、
国際問題の各分野を中心に、ビジネス現場で生じている具体的、実務的問題への認識を深
め、法的論点について分析を行い、問題解決の方策を研究する。
本研究科には学問的研究を積み重ねた教員とともに、実務経験豊かな教員も在職し、上
記の目標が達成できる体制を用意している。
(2)税理士養成コース
平成 21(2009)年度からは、経済学研究科、経営学研究科と連携して税理士養成コースを
発足させた。本研究科修了生には多数の税理士が含まれる。このようなことを考慮し、従
来から本研究科の学生は、経営学研究科所属教員の開設する会計学科目の履修が可能であ
- 22 -
った。これを経済学研究科にも拡大するとともに、研究指導その他に 3 研究科が協力して
あたることにより、困難な課題も処理できる税理士の養成をめざす。
なお、本学 3 研究科(経済学研究科・経営学研究科・法学研究科)が日本FP協会の認
定を得た結果、本年度より本研究科の学生が所定の科目を修得することによりCFP受験
資格の取得が可能となった。
1.現状説明(進捗状況)
本研究科は、学部教育の基礎に立って専門的な研究を深め、ビジネス社会における法的問題解
決のための実践的能力をさらに高められるような指導体制を目指している。
行政や企業などビジネスの現場では、社会の複雑化と国際化にともない、解決を必要とするさ
まざまなトラブルが増えてきている。これらの処理するためには、より高度な法的問題解決能力
が求められている。本研究科では、特に行政、企業活動、市民生活、国際問題の各分野を中心に、
ビジネス現場で生じている具体的、実務的問題への認識を深め、法的論点の分析を行い、解決の
方策を考える。
本研究科修了生からは多数の税理士を輩出している。2009 年度からは、経済学研究科、経営学
研究科と連携して税理士養成コースを発足させた。税法に関する修士論文を作成し本研究科を修
了すれば、税理士試験のうち税法関係 2 科目の受験を免除される。この制度を利用して税理士資
格を得た本研究科修了生が着実に出ている。本年度も既修了者から資格取得報告があった。なお、
本研究科は経済学研究科と経営学研究科とともに、日本 FP 協会の認定を得ており、昨年度より
所定の科目を修得することにより、CFP 受験資格の取得が可能となっている。
平成 22(2010)年度から修士論文作成に対する組織的指導体制を構築している。学生の提出する
研究計画書にもとづき、
「研究指導計画書」作成・交付するとともに、2 名の副指導教員を設け、
2 年間一貫した研究指導を行うこととした。
平成 23(2011)年度本研究科修了者は 3 名であり、いずれも税理士コースである。また、平成
24(2012)年度入学予定者は 2 名であり、これも税理士コースとなっている。
2.点検・評価
近年の本研究科学生は、税理士養成コースに偏っている。税理士コースが経済学研究科及び経
営学研究科との連携により、税理士養成に一定の成果を挙げていることは評価してよい。しかし、
税理士養成コース以外の学生が確保できていないことには改善が必要である。そのためには、本
学法学部の卒業生が積極的に大学院へ進学することを促進するとともに、社会人の入学を促すよ
うな努力が求められる。
研究指導体制の強化は、一定の成果を挙げている。これが修士論文作成に大きな励みとなった
例も見られる。しかし、指導を受け入れる学生の側の姿勢も重要であり、今後は学生生活のバッ
クアップも含めたきめ細かい指導も必要になってくると思われる。
カリキュラムについては、ここ数年大きな変更が行われていない。本研究科の力量を活かすた
めに、在学生の進学を促し、社会人の受け入れを増やすことができるような改革が求められる。
社会人の受け入れ等を促進するためにはキャンパスプラザにある本学の教室の活用が考えら
れる。税理士養成コースについては、土曜日にキャンパスプラザでの開講を実施しており、ある
程度の活用が行われている。しかし、通学の便や研究室利用などの理由で亀岡での開講を希望す
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る学生もおり、問題解決にはさらに工夫が必要である。
3.改善内容・方策
税理士養成コースを含め、法学研究科のカリキュラムについては平成 24(2012)年度に検討する
予定である。その際、税理士養成コース以外の分野での学生確保も検討されることになる。
組織的指導体制は実施後 2 年を経過しており、成果を点検しさらに改善していく予定である。
3-4.大学院人間文化研究科 人間文化専攻
人間文化研究科は、人間の心理、社会の機能、文化の態様を多角的に解明する学問体系の構
築を図り、歴史的な視点を踏まえて、現代社会が抱える諸問題の解決に寄与できる人材を育成
することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本研究科では、有機的に相互連関をもつ文化研究コース、社
会情報コース、心理学コース、臨床心理学コースを設けている。そして、教育研究領域に対応
させて、修士(文化研究)、修士(社会情報)、修士(心理学)の学位を授与している。
各コースの教育目的は、下記のとおりである。
文化研究コースでは、日本の文化遺産と文化的伝統、人々の生活の中で作用している文化の
諸機能とその特質を地理、思想、歴史、言語、文学等の側面から教育研究することを目的とし
ている。
社会情報コースでは、各種メディアによる情報伝達技術が飛躍的に進展し、大きく変動しつ
つある現代社会と文化の動向を探り、そこに生じる新たな社会的諸問題に関して、理論的かつ
実践的に教育研究することを目的としている。
心理学コースでは、人間として普遍的な心理と行動を対象として教育研究することを目的とし
ている。
臨床心理学コースでは、心理学の専門的知識と技能を基礎として、臨床心理学を専門的に修
得し、心の健康に関わる援助者としての構えと知識・技能を兼ね備えた、
「心の専門家」の養
成を図ることを目的としている。
上記のいずれのコースにおいても、学部教育での知識・技能体系を基盤として発展させた学
習と研究活動を通して、広い視野をもち、専門的知識と技能、倫理性を備えた職業人、社会人
の育成を目標としている。
なお、臨床心理学コースは、第1種臨床心理士養成機関として認定を受けており、高度専門
職業人である優秀な臨床心理士を輩出することを目標としている。
また、専修免許状として、文化研究コースでは中学国語と高校国語、そして中学社会と高校
地理歴史、社会情報コースでは中学社会と高校公民、心理学コースと臨床心理学コースでは高
校公民の専修免許状を取得することができる。
1.現状説明(進捗状況)
本年度の入学者は9人であった。内訳は、文化研究コース3人、社会情報コース1人、臨床心
理学コース5人、である。在籍者は、入学者を含めて 20 人となった。
本年度の修了該当年次生は 11 人であるが、4人は休学中、修士論文を提出しなかった者は3
人で、4人が修了した。提出された修士論文の評価は、研究科で定めている基準に基づいて、5
つの評価項目の各々について、A(優)
、B(良)
、C(可)
、D(不可)の4段階で判定している。修
了した4人は、その基準に合格したことになる。修了者のうち1人は常勤職に就職し、3人は、
本学の心理教育相談室研修員となる。過年度修了生のうち、平成 23(2011)年度に臨床心理士試験
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に合格した者は1人である。
本研究科では、文化研究コース、社会情報コース、心理学コース、臨床心理学コースの4つの
コースが一つの研究科を構成していることの意味を重視し、相互に有機的な関連を持たせるため
「人間文化基礎特論」という授業を開講している。これは、4つのコースの内3つのコースの教
員が分担して、所属コース以外の領域についても学習させるものである。
2.点検・評価
入学者は毎年一定の人数を確保してはいるが、1学年 15 人という定員は継続的に満たせてい
ない。
また2年次においては、通常では修士論文を提出するはずであるが、提出しない学生が数人い
る。入試説明会を学内と学外で各 1 回開催した。特に学外での説明会においては、他大学の学生
の参加が得られ、本研究科の知名度が少しずつ上がっているものと判断される。
3.改善内容・方策
入学者を増やすことが依然として必要である。そのためには、人間文化学部の学生に修士課程
への進学を勧めることを増やすほか、他大学生をも対象に含めた進学説明会を開催していきたい。
修了年度生で、修了のための単位を修得したにもかかわらず、修士論文を提出しない学生に関し
ては、担当教員による指導を強めたい。
3-5.大学院バイオ環境研究科
博士課程前期バイオ環境専攻・博士課程後期バイオ環境専攻
“人とともに多様な生き物が共生できる環境(バイオ環境)
”の実現をめざしてユニークな
教育研究を展開しているバイオ環境学部の理念を継承し、より高度な技術者の育成を行う大学
院バイオ環境研究科博士課程前期および後期を平成22(2010)年4月に開設した。本研究科の教育
研究の特徴は以下のとおりである。
本研究科はバイオ環境専攻1専攻とし、グリーンバイオとバイオ環境デザインの両領域が教
育研究においてより強く連携したカリキュラムを実施する。そのようなカリキュラムのもと
で、高度な技術者として必要な高い専門性と産業界等で求められる幅広い基礎知識や社会人と
して必要な素養の涵養をめざす。
博士課程前期では、バイオ環境学部の教育理念を継承したより高度な「グリーンバイオ技術
者」や「バイオ環境デザイナー」を養成する。
博士課程後期では、グリーンバイオとバイオ環境デザインの両領域を強く連携させて、研究
のさらなる深化・高度化を図り、より高度な「バイオ環境技術者」を養成する。
1.現状説明(進捗状況)
バイオ環境学部の理念を継承し、より高度な技術者の育成を行うため、平成 22(2010)年度に大
学院を開設し、計画に従って教育研究を進めた。平成 23(2011)年度末に第1期生 11 名が博士課
程前期を修了した。このうちの2名が博士課程後期へ進学した。各大学院生の研究の進捗状況を
発表する会を春学期と秋学期に行い、修了予定者については、研究成果についての公聴会を公開
で行った。平成 23(2011)年度の入学者は、博士課程前期に 9 名、博士課程後期に 1 名であった。
平成 22(2010)年度に奨学金制度が導入され、多くの大学院生が奨学金を得ることができた。また、
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亀岡市からは、大学院生地域研究奨励金の募集があり、1 回生 3 名、2 回生4名が研究奨励金を
受給した。大学院生の研究の成果については、関連学会において 5 件の発表が平成 23(2011)年度
に行われた。
2.点検・評価
大学院生の研究について、学会発表にいたる研究成果がでており、本大学院における教育の成
果として評価できる。また、亀岡市からの研究奨励金を受給することができ、地域にも貢献する
研究を遂行することで地域との連携が深まった。平成 23(2011)年度の大学院への入学者は、定員
の半分弱であり、本学の奨学金を受給できる人数の範囲内までしか入学者が集まらなかった。高
い学費が足かせになっていると思われる。大学院生の研究活動の観点から、阪急桂駅と本学間の
通学バスの利便性の改善が求められる。
3.改善内容・方策
大学院生の修士論文研究の活発化のためには、本学からの阪急桂駅行き・JR 桂川行きの通学バス
の時刻について改善を要する。大学院生の教育については、教員の負担が以前よりも重くなってい
て、学生との討議にあまり時間が割けなくなってきているとの意見があり、また、最先端情報を得
るのに必要な時間も不足して教育の質が低下しかねないとの意見もある。教員の負担について改善
策を検討することが必要である。大学院修了生の就職についても、さらなる支援を検討することが
必要である。学費については、近隣の大学の大学院に比べて高く、これがために入学者が集まりに
くい状況であると思われ、今後の検討が必要である。
- 26 -
4.各部の事業
4-1.教務部
平成 23 年度の重点的な取組は,次の通りである.
(1)
「大学教育の質保証」を体系的、組織的な取り組みとするための、就業力育成推進(初年
次教育関連、双方向授業、体験型授業の積極的導入等)
(2)開講科目の見直しを図るとともに,カリキュラム改革に取り組む。
(3)受講生が減少傾向にある免許資格関係科目の受講者増加への方策に取り組む。
(4)戦略的大学連携(FD、イーラーニング、環境など)の強化
1.現状説明(進捗状況)
(1)全学共通教務関係
①「大学教育の質保証」を体系的、組織的な取り組みとするため、特に人間力の育成を掲げ、
基礎的能力の向上、キャリア教育の充実に取り組んできた。なかでも、今年度から開始した
必修科目「私の人生設計」は重要な取り組みであった。初めて本格的な双方向授業(グルー
プワーク中心の授業)を導入した。ストレスの大きな授業形式であり、また、初めての試み
でもあったため、なかなか全教職員の理解・合意を得るのが難しかった。しかしながら、期
間中の講義内容の管理、教員配置(主担当、サブ担当、本学専任、管理者という手厚い配置
をした)
、評価のための試験やアンケート等、これほど厳重に実行した経験はかつて無かっ
た。就業力推進委員会(室)と連携した大きな取り組みであるが、政府の事業仕分けにより
予算カットされた点は痛手であった。
②在学生数の減少に伴う共通開講科目の見直しなどカリキュラム改革に取り組んできた。2010
年度に大幅な削減を行ったので、2011 年度は小幅な変更にとどまっている。しかしながら、
10 名未満の非常勤担当授業の不開講や、類似科目の整理を引き続き実施している。
③入学前教育の充実を図るため、今年度は一部の学部を除き、e-learning 教材を導入し、入学
予定者に対して試行的に実施している。これに伴うその他の学部企画(合格者懇談会、入学
時教育各プログラム)との整合性検討、整理を始めている。この中で、一部の学部では「自
己の探求」プログラムを新規に行うなど個別の動きもあった。
④「京学なび」による学生・教員・職員間の修学支援体制を強化している。学生への連絡、キ
ャリア行事の案内、学生ポートフォリオの書き込みなど、日常業務の中で必須のシステムと
なっている。出席管理についてもよく活用されている。また、シラバス登録、授業科目登録、
採点等の事務作業等の効率化に大きく貢献している。来年度向けシラバスにはカリキュラム
マトリックス(人間力育成への関連と貢献を明示するシステム)を反映した形式を取り入れ
た。
(2)各学部教育
在学生数の減少に伴う開講科目の見直しを、学部専門科目にも適用し、各学部ではカリキ
ュラム改革に取り組んでいる。
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(3)免許資格課程教育
在学生数の減少に伴い受講生が減少傾向にある。学部教育との連携等、受講生増加への方
策に取り組んでいる。博物館資格課程では法制度の改定に伴う科目改廃、社会教育主事養成
課程では新規募集の停止などを行った。
(4)語学教育
文系学部の共通英語科目の登録必要科目の廃止など、大幅なルール改正を実施した。英語
プログラムの変更に伴い、履修者数の大幅な減少が懸念されていたが、そのような傾向は出
なかった。
また同時に、英語プロジェクトのスリム化も実施した。
初習外国語については変更はない。外国人留学生への日本語教育は、留学生が増加してき
たのに合わせて、クラス数を拡大して対処している。
(5)生涯スポーツ教育
受講生の少ない種目の統廃合と併せて、クラス公務員(警察・消防署)対策のため「剣道」
を新設した。
2.点検・評価
(1)全学共通教務関係
①「私の人生設計」導入は大学の教育方針に沿った大きな事業であるため、就業力推進委員会
(室)と連携して事業を進めている。授業はⅠAB が終了した段階であるが、
「人間力測定」
など定点観測によると、学生の課題解決能力は高まってきたと考えられる。ⅠA の学生評価
は授業の効果・影響を高く評価するものが多かった。ⅠB の段階では教育内容に対する不満
が少し高まった。経営学部ではグループワークに適したクラス人数を超えるという問題が明
らかになった。人間文化学部では不適応学生への対応でよりきめの細かい対応が必要と指摘
された。必修化に対する意見の違い、キャリア教育の位置づけに関する意見の違いが見られ、
大きな論争となった。この授業に関する今後の取り組みは就業力推進委員会を中心に来年度
以降見直すことが確認された。全体として、この科目およびスタートアップゼミは本年度義
務化されたキャリア教育の主要な柱である。
この他に、双方向授業の導入など座学からの脱出を呼びかけてきたが、一般講義での導入
はまだ充分とはいえない。来年度向けシラバスではこの点を特に強調し、各授業での注意喚
起をしている。
②在学生数の減少に伴う共通教育開講科目の見直しなどカリキュラム改革に取り組んでいる
が、今年度は小幅な変更にとどまっている。しかしながら、依然として本学の学生規模に比
べ科目数が多いうえ、その多くを非常勤講師に依存している現状を改善する必要がある。
③入学前教育の充実を図るため、今年度は e-learning 教材を導入し、試行的に実施した。結果
の概要は現在とりまとめ中である。本格導入のあり方に関しては、来年度以降の検討に持ち
越した。
導入期に関わる教育は入学前の学力向上だけでなく、入学後の導入教育、共通教育、新入
生の定着・中退予防プログラムにも関係する。これらを総合的に体系化することが求められ
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ているが、まだ全学的な検討がなされておらず、現状報告と問題意識の提起にとどまってい
る。一部の学部では学部独自プログラムを導入する動きもあり、大学全体の取り組みになる
か注目している。
大きな反省としては、中途退学者数がきわめて大きいにも関わらず、有効な対策が組織化
されていないことである。これに関連して、FD 活動、研修も行ってきたが、多くの学部で具
体的な対策やプログラムが未だに開発されていない。
④「京学なび」は学生・教員・職員の必須のシステムとして定着している。就学支援での教職
協同がこれによって深化したかという点については、特に出席管理全般、欠席がちな学生に
対する注意喚起、就活情報の共有、成績指導など多くの面で、担当課、教員の連携が深まり、
便利なシステムとなっている。また、学生も履修登録、成績・シラバス、時間割等の教務情
報、就活情報など多方面にわたって活用している。教員も成績管理、シラバス登録、学生連
絡など業務の効率化が進んでいる。
学生の出席率に関しては京学なびの導入による向上は見られない。出席率は他の要因の影
響が大きい。しかしながら、出席状況を日常的に管理できるようになったため、学生指導に
有効利用されている。一方、個人情報保護の観点からコンピュータ端末が厳重に管理されて
いるため、教職員が自宅からアクセスすることや、保護者が子の成績を見ることなどは禁止
されている。
「安全性」に考慮しつつ「利便性」を高める要望が出ている。
(2)各学部教育
在学生数の減少に伴う開講科目体系のスリム化につとめている。
(3)免許資格課程教育
博物館資格課程では法制度の改定に伴う科目改廃、社会教育主事養成課程では新規募集の
停止などを行い、特に問題なく実行している。
(4)語学教育
英語プログラムの簡素化、特に基礎英語の登録必要科目から選択への変更は履修者を大幅
に減らし、
「国際化」の流れに反するのではないかという懸念があったが、その傾向は見ら
れなかった。意欲的に履修する学生が増えたとも考えられるが、事前にレベルを確定しずら
いため、クラスの「純化」がしにくい面が出た。英語プロジェクトも簡素化をはかり、これ
らを合わせて非常勤教員数を大きく削減した。
外国人留学生への国語教育は、留学生が遅い時期に確定されるため、授業計画が立てにく
い難点がある。
(5)生涯スポーツ教育
種目の統廃合などを常に議論しており、特に大きな問題は無い。
3.改善内容・方策
(1)全学共通教務関係
①人間力の育成を掲げて推進してきた「私の人生設計」であるが、2012 年度はこれまでの方針
- 29 -
を踏襲するものの、年度途中で就業力推進プロジェクトの中間評価が必要であり、それに合
わせて、この科目群の必修化、科目数、教員体制などを同時に見直すことを確認している。
特に、文科省の補助金がカットされたことにより、従来と同等のプログラム展開はほぼ不可
能と思われ、内製化やスリム化が必要となる見込みである。また、
「私の人生設計」は教務
部と就業力育成推進委員会の意思決定のあり方にも一石を投じた。この点に関して一層の合
意形成努力が必要である。
②「私の人生設計」見直しは、学部再編計画の中で,2012 年度中に検討する方針である。特に、
キャリア教育、導入(期)教育、学部共通教育、留学生教育、入学前教育、中途退学対策な
ど相互に関連する課題を総合的、体系的に組み立てる必要がある。
③在学生数の減少に伴う開講科目の見直し、削減は必須であるが、魅力的な授業展開と極少の
科目配置は矛盾する面があり、知恵を出し合い合意形成をはかることが重要である。
④入学前教育の一環として、今年度は e-learning 教材を導入したが、既存の学部プログラムと
の関係を整理する必要がある。1 回生ゼミでこの教材を使わせる事などを検討する。
⑤「京学なび」が就業力推進プロジェクトを受けて新しく、学生のキャリアポートフォリオを
含む形に発展する。教職員の学生指導のあり方も大きく変わるので、このシステムの浸透・
普及に尽力しなければならない。
また、2012 年度に向けて、各教員の講義が人間力育成のどの分野へ貢献するか、シラバス
上に明記するように形式を変更した。学生の成果は上記のポートフォリオ上に多数の視点か
ら開示され、学生本人の成長記録を教職員と共有する場面も多く予想される。このように、
京学なびをキーシステムとして複雑で高度の情報がやりとりされることになる。このため、
教職員の一層の理解力が必要となっている。
(2)各学部教育
学部再編に合わせカリキュラム体系を再編する。
(3)免許資格課程教育
教職、図書館司書など恒常的な需要に応える。また、博物館学芸員はバイオ環境学部でも
課程に含め、水族館などこれまでとは異なる視点から対応する事になったが、実績作りに一
層の努力が必要である。
(4)語学教育
英語教育に関しては、基礎英語の必修を外し、従来の全学生を対象とする「ボトムアップ
型」のシステムから、より意欲的な学生に教育の重点を移す変更を行ったが、この変更の影
響を評価し、次の改訂の機会に生かす事が必要である。
外国人留学生への国語教育は、留学生の増加に合わせ、クラス数だけでなく、レベル多様
化にも対応する必要がある。今後、大学の留学生政策の議論に合わせ、組織だった編成が必
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要である。
(5)中途退学への対応
中途退学者数を大幅に削減させることが急務である。かつて数値目標を学部長に提示して
もらう試みや、FD 研修会で重要性を喚起した事例があるが、一層具体的で、強い姿勢で取り
組まなければならない。
4-2.学生部
学生部の基本的な課題として、(1)すべての学生が健全な学生生活を送れるよう支援するこ
と、(2)クラブ活動等の活性化を通じて活気ある学生を育てること、(3)本学志願者を拡大する
ような各種制度の検討を上げたい。
そのための具体的な取り組み内容としては (1)安全、安心なキャンパス作りによる学生の修
学支援、生活支援の充実、(2)課外活動の活性化と対外アピール力のアップ、(3)離学率の明瞭
なる改善を目標に、以下の施策について充実を図りたい。
(1)アドバイジング制度のより一層の充実を図り、円滑な修学を促進する。
(2)強化指定クラブ(硬式野球部・サッカー部・パワーリフティング部・女子バスケットボー
ル)の一層の充実を図り、ターゲットを絞った高校生への訴求を高める。放送局に代表さ
れる文系クラブにも拡大する可能性を追求する。
(3)強化指定クラブ、遠隔地、女子などターゲットを明確にした奨学金の充実と指定下宿制度
を検討し、入試部との連携を強化する。
(4)喫煙マナーの向上、及び薬物乱用問題等学生生活の改善指導を強化する。
(5)各種奨学金の有効な活用を促進する。遠隔地出身の学生のための奨学金制度、経済的困窮
者に対する支援奨学金制度、学業および課外活動成績優秀学生を支援する奨学金制度の拡
充、充実について検討をすすめていく。
(6)学生をターゲットにしたマルチ商法などでは、自らが被害者であると同時に加害者になる
危険性を周知し、啓発するセミナー等を計画する。
【学生相談室】
学生相談室の基本的な活動の内容は、従来どおり、臨床心理士有資格者を中心とした個別的
心理カウンセリングの実施である。また、学生向けワークショップの実施などを通してより広
い層の学生を対象に適応支援活動を行う。加えて、個人情報の保護に留意しつつ、各教職員お
よび保健室等の学内機関との連携を密にし、その相談に応じるなどして、上記の目的をより有
効かつ円滑に果たすことに努める。新たに、数名の学部教員を相談員として迎え、心理相談と
は別の学生相談にも柔軟に対応できる学生相談室作りについて検討する。
【保健室】
保健室の活動内容は、定期健康診断による学生及び教職員の健康管理、喫煙者への禁煙指導、
新型インフルエンザ対応等健康保全を目指す。
1.現状説明(進捗状況)
①アドバイジング制度
京学なびによって出席状況が即時的に把握できるようになり、これまで各学部で取り組んでき
- 31 -
た、G デスク、アドバイジングルーム、修学支援室といった学生支援体制がより強化された。ま
た、父母の会からは、成績不振、出席不良など中途退学予備軍となっている学生層への対応のた
めの支援金を各学期補助していただいており、その主旨に沿ったプログラムを各学部で工夫し、
有効に活用させていただいている。
②強化指定クラブ
今年度、野球部は昨秋に続いて春季リーグ優勝し、女子バスケットボール部は 2 部リーグへの
昇格を果たすなど、強化指定クラブによる大学活性化、そして文武両道に秀でた学生の確保に大
きな貢献をしている。今年度強化指定クラブ特別奨学金による選手獲得は、野球 6.5、サッカー
3.5、女子バスケ 3.0、パワリフ 2.5 となっており、女子バスケで今年度特別に認められた 0.5 を
含めて全体の 1 種 15.5 人という枠の中で対応した。
強化指定はされていないが、今年度から放送局と茶道部が文化芸術リーダー入試の指定クラブ
となり、両クラブの顧問を中心としたリクルーティングが開始され、今年度は放送局 1 名、茶道
部 2 名の入学予定者があった。
③喫煙マナーの向上等
喫煙学生に対するマナーの徹底を図るため、春学期開始前のキャリアアップ指導において、ゼ
ミ担当教員からの指導をお願いした。分煙を進めるため、喫煙スペースを受動喫煙の少ない位置
への移動を進めている。薬物問題については、フレッシュマンフェスタにおいて新入生向けの DVD
の上映を実施した。
④不測の事態に対する対応
学生部においては時に不測の事態に対して臨機応変の対応が求められる。2011 年度においては
東日本大震災の発生に伴う被災地出身学生に対するケアと、クラブ合宿中の事故が生じた。
(1) 東日本大震災の発生に伴う対応
2011 年 3 月に発生した東日本大震災においては、学生本人およびその家族には人的な被害はな
かった。しかし、被災地及びその周辺地域出身の学生には心的な不安が残っていると予想された
ため、保健室と学生相談室で学生一人一人と個人面談を実施し、心のケアに努めた。
このときの対応は 9 月に発生した和歌山・三重両県を中心とする台風による激甚災害にも受け
継がれ、迅速かつ有効な対応ができる下地となった。
(2) クラブ合宿中の事故
2011 年 2 月に準硬式野球部の合宿中に、練習の補助をしていた女子マネジャーが大きなけがを
負うという事故が発生し、その対応と再発防止のために学長を委員長とする運動クラブ事故防止
委員会を設置した。他の運動クラブにも事故の原因となる要因の排除、任意保険加入の推奨、部
員を対象とする AED 講習を実施した。
2.点検・評価
①アドバイジング制度
各学部に共通して言える課題であるが、中途退学率の目に見えた改善にはつながっていない。
入学時における学部横断的なピア・サポート・システムを検討したが、実現はできておらず、次
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年度以降の課題として残った。
②強化指定クラブ
強化指定クラブの効果は大きく(1)学内の活性化、(2)入試面での貢献、という 2 点があげられ
る。学内の活性化という点では、強化指定クラブの活躍により、学内の盛り上がりや、放送局、
吹奏楽部、新聞部等の活動の場も広がり、全学的なクラブの活性化にもつながっている。入試面
では、特に野球とサッカーで奨学金を伴わない入学希望者も増加しており、学生確保における貢
献も顕著である。
③喫煙マナーの向上等
喫煙マナーの徹底を図るため、ゼミ担当教員による個別指導をお願いするに際し、学生個人か
らの宣誓をお願いしたが、行き過ぎではないかという批判があった。次年度のキャリアアップ指
導においては個別指導はお願いするものの、宣誓までは求めないこととした。
新年度開始にあたっては全職員と学友会の協力体制の下、喫煙マナーと学内美化についての集
中的な声掛けを予定している。
3.改善内容・方策
①アドバイジング制度
入学時におけるさまざまな不安や疑問に在学生が応える学部横断的なピア・サポート・システ
ムを構築していきたい。
②強化指定クラブ
女子バスケについては学外指導員に対する謝礼のあり方を整備したい。
③喫煙マナー等
喫煙マナーについても、薬物問題についても、学生の参加率向上や意識向上の施策を考えてい
く必要がある。喫煙問題に関しては、将来的な禁煙キャンパス実現へ向けて喫煙者に対する個別
指導等も必要であろう。
【学生相談室】
1.現状説明(進捗状況)
学生相談室の基本的な活動の内容は、(1)臨床心理士有資格者による個別的心理カウンセリン
グ、(2)談話室を開放し、対人緊張・社会恐怖傾向の強い学生が安らげる場の提供や、保健室と
連動した料理教室の開催、(3)ゼミ訪問や FD 活動を通して教職員の側面的バックアップなどがあ
げられる。
2.点検・評価
学生相談室によるゼミ訪問も全学部に広がり、また FD にも 9,10,11 月と連続して関わった。対
応困難な学生に対する指導に関して教員のためのコンサルテーション機会も増加しており、教育
支援機能も有している。
- 33 -
3.改善内容・方策
さまざまな状況に応じた学生対応のためのマニュアルが必要であると判断し、現在学生相談室
を中心とした編集委員会を編成して制作中であり、2012 年度春学期中の完成を目指している。
【保健室】
1.現状説明(進捗状況)
学外の専門医や学生相談室と連携しながら、学生・教職員の心身の健康を管理し、また学内の
安全確保に重要な役割を果たしている。
2.点検・評価
東日本大震災の被災者へのサポートの中心となり、また学生支援に関する教務への積極的な働
きかけがあるなど、より積極的な教育的貢献を果たしている。
保健室的視点から学生の不登校要因に気づき、精神的に弱い学生のよりどころとなるような教
学支援機能も重要な貢献である。
3.改善内容・方策
保健室で把握した学生の健康状態に関する情報を有効に共有できるようなシステムを教務部、
学生部連携して構築していくことを検討したい。
4-3.キャリアサポートセンター
キャリアサポートセンターとして、来年度の重点事業は、次の4項目である。
(1)就職率向上
(2)企業開拓の推進
(3)未就職による卒業生への対応
(4)就業力育成推進室・教務部との連携
また,就業力育成支援事業のプログラムを本格的に展開していく上で、以下の4点について、
連携・誘導・そのあり方について、整備・調整していく。
(1)平成 23 年度より義務化されるキャリアガイダンスとの連携
(2)進路支援」の在り方
(3)
「キャリア形成支援」の在り方
(4)
「能力開発支援」の在り方
現状説明(進捗状況)
大学のユニバーサル化の下、大学教育の質保証と学生支援の充実が問われている状況の中で、
本学でも学力低下や二極化から、より一層一人ひとりに合わせた丁寧な指導をしなければならな
くなっている。そうした中、現在の厳しい就職環境やその変化に対応し、現状認識を行ないつつ、
学生に必要な事を熟慮した上で、就職率を上げるだけではなく、学生が満足した就職先の獲得に
繋げるため、下記の取組みを実施した。
- 34 -
(1)就職率向上
今年度も「就職活動対策」
・
「面接対策」
・
「筆記試験対策」
・
「個別面談」の 4 本柱の体制で
「就職支援」を実施した。特に、
「就職活動対策」においては、基本的ガイダンスを徹底す
ることで、早期より学生の意識改革を図り、就職活動に積極的に取組む姿勢や意欲の育成を
はかった。また、当講座と他の 3 つの就職支援対策とを連動させることにより、さらに実践
的な就職活動に必要な力やスキルを身につけることに繋げた。個別面談についても、キャリ
アアドバイザー3 名体制を継続し、専門的な視点での指導に当たってもらった。さらに、6
月と 10 月の学内合同企業説明会前や 2 月・3 月には臨時によるキャリアカウンセラーにより、
4 回生未内定者に対し、積極的にアプローチを行い、説明会およびキャリアサポートへの誘
導や求人企業とマッチングを行い、内定獲得に結びつけた。
(2)企業開拓の推進
現在の厳しい就職環境の中で、さらに企業との関係を強化することが、学生の進路の確保
に繋がると考え、企業開拓専門員を雇用し、企業開拓・企業訪問を充実させた。企業開拓員
には、京都・滋賀・大阪並びに兵庫、奈良等のOB在職企業だけではなく、中小企業を中心
とし新たな企業を開拓し、求人依頼を行なった。
(3)4 回生未内定者・未就職による卒業生への対応
現在、公共の職業紹介機関である国の「ハローワーク」並びに京都府の「京都学生等就職
支援プロジェクト」
、京都市の「フルカバー学生等就職支援センター」との連携・協力によ
り、未内定の 4 回生並びに未就職による卒業生の対応も含めて、その体制の充実を図った。
(4)キャリアサポートセンターの支援業務での取組み
①「進路支援」について
来年度よりキャリアポートフォリオが本格稼動するに当たり、本シテスムを活用したキャ
リアアップ指導方法を一部改定する準備を進めた。また、キャリアフェア期間に行っている
「自己の探求」を1回生にも対象を広げて実施し、早期から自分自身を振り返り、将来を意
識をすることで、有意義な大学生活、就職活動の準備に繋げることとした。
②「能力開発支援」について
ここ数年懸案となっていた課外講座の運営等について、来年度より現在の内容・機能等を
変更することなく、外部業者に一括運営委託(フルアウトソーシング)とすることを決定し
た。
今年度は、導入にあたっての準備期間として、学生の対応、授業の準備、講師の決定並び
に課外講座の企画、広報、募集、運営、試験手続き、合格までのフォローなど資格講座全般
の業務の打ち合わせ並びに契約書の締結等を行った。
③その他
学生を活用した就職指導にも重点を置き、4 回生の内定者で構成する「就活サポーター」
をうまく活用した。今年度も、昨年度と同様、3 回生への就職指導だけでなく、学生生活全
般の相談等にも対応させ、また、学内広報活動等にも積極的に参画させた。
また、各種メディアをうまく活用し、大学での就職支援を PR する機会を拡大した。
- 35 -
2.点検・評価
今年度は、震災等の影響により、例年以上に厳しい就職環境を強いられる中、就職支援につい
ては様々な取組みを状況・時期に合わせて実施してきた。特に、企業開拓については、関西の企
業約 600 件を訪問し、そのうち約 150 件より4回生求人を獲得し、更には、40 件の新規企業を開
拓する実績を作ることにより、就職率が昨年度同時期と比較して上回る結果となったことは評価
できる。
また、公共職業紹介機関並びに民間支援機関も含めて連携・協力関係を強化し、4 回生未内定
及び未就職による卒業生への対応をより一層充実させたことも評価できる。
また、常に各課との連携を強く意識し、協力して取組める業務を模索する中で、新たな展開が
できたことは評価できる。更に、少ない人員配置の中でも、常に問題意識を持ち、業務をスクラ
ップアンドビルドすることにより、効率よく、有効な手段・方法で実施に向けて努力したことも
評価できる。
3.改善内容・方策
就職率向上に向けた各種就職支援行事により、学生の意識の醸成や動機づけにはなっているが、
基礎学力の不足は否めない。特に、筆記試験への対応が不十分な学生が多く、それを強化するた
めの対策を充実させていく必要がある。また、今年度より実施された倫理憲章の改定に伴い、3
回生の就職活動が 2 カ月遅れてのスタートとなり、
今まで以上に企業開拓・企業訪問を充実させ、
学生には、中堅・中小企業に目を向けさせた活動にシフトさせていくことも必要である。更には、
留学生や障がいを持つ学生の増加に伴い、その就職支援体制も外部関係機関と連携して充実を図
る必要もある。
疎の他、キャリアサポートセンターの支援業務において、新たな展開となる「課外(資格・検
定)講座」については、その運用や実績を見守り、また、今年度より活動の基盤作りを行ってい
る「ピアサポーター制度(キャンパス作り・学生支援・入試広報等、大学内で活躍できる学生活
動)」については、その体制整備と実施の推進を図る必要がある。更には、進路支援における「キ
ャリアアップ指導」については、キャリアポートフォリオを活用した形での運用の充実を図る等、
教職協働による各課横断的な取組みの強化と発展を図る必要がある。
4―4. 入試部
2011 年度は、下記の戦略的施策を実施し入学者の確保を目指す。
(1)文部科学省 平成 22 年度「大学生の就業力育成支援事業」の採択にともなう高等学校・高
校生への広報を実施する。
(2)各学部学科の目標値を検証し、各学部での対応策を検討する。
(3)本学の受験者層である中堅高校・進路多様校へのアプローチ方法を検討し、本学への資料
請求者以外の受験者の開拓をおこなう。
(4)ここ近年、京都学園高等学校からの志願者数が激減していることから、高校側の意見を聴
取し学園内入試制度を見直す。
(5)学部偏差値の向上は受験者層の拡大に繋がることから、長期的かつ戦略的向上策を検討す
る。
(6)志願状況に応じて、新聞等への入試告示と広報を掲出する。
- 36 -
(7)相談会・高校訪問以外に新規開拓と情報収集を目的として、予備校・塾への訪問を実施す
る。
(8)国内の日本語学校への指定校制度の適用を検討したい。
(9)9月編入学の可能性を検討したい。(国内短大からの外国人留学生の編入希望への対応)
(10)地元の学生マンションを借り上げての女子寮設置を検討したい。(安価で安心して暮らすこ
とのできる環境整備・・・女子学生確保と他大学の整備状況からも必要)
(11)オープンキャンパス実施日程を検討する。
本学への志願者層から後期の日程を追加することがより効果的と考える。
(12)2011 秋の外国人留学生受け入れについて中国側から打診があり、学内での教育プログラム
と生活面でサポート体制を検討したい。
(13)学生のスポーツ・文化活動の活性化が本学の知名度向上と地域連携に繋がり、ひいては就
職活動への支援となることから、文化・芸術リーダー入試制度について検討したい。
(14)沖縄県内の私立大学の平均的な学費と本学とを比較し、その格差を補正することにより、
より多くの沖縄出身学生を獲得する制度を検討したい。
現状説明(進捗状況)
指定校推薦入試で減らしたものの、AO入試、スポーツリーダー入試で増やすことができ全体としては
微増であった。しかし,学園内推薦、公募推薦B(昨年公募B+C日程)の志願者減が大き
く,年明併願系入試でも厳しい結果となった.
2.点検・評価
1.入試制度改革と実施
今年度、文化・芸術リーダー入試を新設するとともに,沖縄県特別奨学金制度を新規導入し
たが,まだ制度が十分に定着していない.
2.オープンキャンパス
オープンキャンパス参加者に対して検定料減額利用券(入試日程告知含む)を随時送付す
ることにより志願へ結びつけるようにしていったが,公募推薦入試で効果があったと思われる。
秋のオープンキャンパスを昨年開催したが、参加人数的には多くはなかったが受験を意識
した高 3 生の割合が高いので継続実施していく。
3.高校訪問・進学相談会・校内説明会
指定校推薦要項送付、願書送付、教職員による訪問に加えて、学生による母校訪問も実施し
た。母校訪問は、直接志願に結びつくものではないが、本学の学生生活、教学面を学生のなま
の声として届けられる機会なので継続して訪問実施していきたい。
その他,進学相談会や校内説明会を実施し、直接高校生と話す機会を多く持ち、校内説明会
においては、本学の学部学科の授業、分野説明を行い本学の内容説明に努めた。
4.広報
大学案内以外にサブパンフ、オープンキャンパスの告知DM、公募推薦入試告知DM、一般
入試告知DMを定期的に送付し、本学へのかかわりを継続して保つようにした。
京都駅看板意匠変更、駅貼りポスター掲出、京都駅メディア告知、地方紙、正月新聞告知、
センター試験翌日の問題解答の下に新聞告知を掲出しマスメディアを利用した。
- 37 -
沖縄県内の受験生向けての告知として、オープンキャンパス告知DM、オープンキャンパス
向けTVCM、沖縄県内高校訪問、現地でのオープンキャンパスの実施、入試告知DM、入試
告知向けTVCMなど沖縄県特別奨学金の告知もさることながら本学の知名度アップに努め
たが、まだまだ浸透不足ではあるのでさらなる広報の継続の必要性がある。
3.改善内容・方策
志願者・入学者の状況は厳しいが、次年度に向けて高校生に分かりやすい入試制度設計を行う
とともに、地方会場を見直す。また、入試制度以外の改正点として、奨学金および学費を拡充す
るとともに、
高校生の来場早期化に鑑みてオープンキャンパスを 5 月に追加実施する。
その他に、
大学案内の補完ツールとして学部学科選択を容易にするためのリーフレットなどを作成する。
4-5 総合研究所
平成 23 年度の主な事業計画は
(1)研究助成
(2)ワークショップの開催
(3)教員総覧の充実
である。
今後の検討課題としては、総合研究所が所蔵する石田梅岩の資料の活用方法とイベントの企画
ほか、科研費等外部資金の導入にむけての基盤整備を図る。具体的には、申請業務の支援ととも
に、公的研究費の不正使用防止と管理の透明化のための方策を検討する。
1.現状説明(進捗状況)
(1)研究助成について
総合研究所では教員の学術研究支援のため、例年度様々な研究助成を行っている。今年度
は以下の研究助成を予定していた。
①学外研究員 1 名(イギリス)
、②学術出版1名、③海外出張2名。
(2)科研費等、大学外部からの研究費について
昨年度に引き続き、FD推進委員会および総合研究所運営委員会の共催で日本学術振興会
科学研究費補助金(いわゆる科研費)の申請・採択件数の増加を図るとともに、本学の研究・
教育活動の質の向上を図ることを目的に研修会を開催した。本学教職員が多数参加し、また
近隣の大学からも聴講に来られた。参加者はメモを取りながら熱心に聞き入っていた。科研
費への理解を深めることのできた内容の濃い研修会となりました。
2.点検・評価
(1)研究助成について
奨励研究や共同研究の助成が無かったので、次年度は実現したい。
(2)科研費等外部資金について
科研費補助金について、応募者は昨年度並であったが,今年度の新規採択者は倍増した。
- 38 -
3.改善内容・方策
さらに、科研費の応募、採択が増加するように努めたい。そのためには、研修制度や研究事務
の整備も同時に進める必要がある。
4-6.リエゾンセンター ―大学の知財の活用
本学リエゾンセンターでは、本学の立地条件にかんがみ、亀岡市をはじめとする大学と比較
的近い地域において、地場産業、行政、高校との連携をさらに強化したい。
各種の課題に取り組む中で、例えば、環境・都市デザイン問題のように自然科学的視点或い
は社会・人文科学的視点のみでは解決できない問題も少なくない。こうした問題の解決のため
には、本学既存の社会・人文科学系学部とバイオ環境学部の連携により、総合大学としての特
徴を主張することも重要であるので、南丹市との連携の中で作った先行事例を足がかりに実績
を重ねたい。
22 年度に口丹 7 校と結んだ高大連携協定にもとづく高大連携行事をさらに発展させていきた
い。また、滋賀県との連携についても、新たに教員の研修センターとの連携の糸口が出来たの
で、実現に向け努力したい。
地域連携では、京都府南丹広域振興局との協力で、南丹地域への修学旅行生受け入れについ
て進めたい。
産学連携では、各種展示会での PR を強化するために、本学ブランドの純米酒の展示、企業
との共同出展、当日のスタッフの強化等を図りたい。
1.現状説明(進捗状況)
23年度も全体としては、比較的近い地域との連携と文理協力による問題の解決を目標とした。
個々の取り組みとしては、①口丹 7 校との高大連携協定は 120 名の口丹地区 PTA 指導者研修会
を迎えることに繋がった。これにより、本学の良さが地元高校の保護者に広く知れ渡ることにな
った。そして、南丹高校2年生の総合的な学習の時間に行われた進路教育を本学が全面的に受け
持った。このような取り組みを 1 大学だけで受け持つのは、エスカレーター式の高校・大学以外
では非常に稀なケースであると思われる。京都府の公式な教員研修(国語)も初めて実施し、好
評を博した。さらに次年度は新設される環境・農業の研修も受け入れることとなった。②京都府
南丹広域振興局との協力による修学旅行の受け入れについては、1校ではあったが、亀岡キャン
パスに限らず、京町家キャンパスにも高校の修学旅行を受け入れることが出来た。③各種展示会
での PR 強化については、本学ブランドの純米酒の展示、企業との共同出展、当日のスタッフの
強化等により、大学としてはトップクラスの展示ブースへの来訪者を迎えた。また、外部資金の
総額も若干ではあるが、増加することが出来た。④亀岡市との連携については、教員の受託研究
費が 10 倍になるとともに、院生の研究費や学生の活動に対する支援金も獲得出来た。さらに、
市の HP 改訂の指導を本学が請け負うと共に、大規模な相互リンクが完成した。同時に南丹市と
京丹波町からも研究費を獲得した。⑤東日本大震災の義援活動については、本学で栽培した聖護
院かぶらを千枚漬にして届けることが出来た。この取り組みは、朝日、読売、毎日、京都新聞(首
都圏版を含む)
、KBS 京都テレビ、旺文社パスナビ、蛍雪時代等で広く知らされた。必要経費の
2/3 程度は外部資金で賄えた。
- 39 -
2.点検・評価
高大連携、展示会での PR、亀岡市との連携、東日本大震災の義援活動については十分な成果が
あったと言える。亀岡市との連携が飛躍的に増加し、南丹市と京丹波町からも相当額の研究費を
獲得した。また、亀岡商工会議所や亀岡青年会議所に対するイベントの協力など「地域とともに
ある大学」という目標はある程度達成された。しかし、外部資金の受入れなどはもっと活発にす
る必要がある。また、修学旅行生の受け入れは知名度やイメージアップにもつながるので申し出
があれば積極的に受け入れるようにする。
3.改善内容・方策
高大連携については、連携するという意味合いでは大いに成果があったが、最終的な目的は入
学者の増加であり、その意味では目標が達成できたとは言い難い。入学者の増加のためには、学
生募集部門と連携することが必要である。外部資金の獲得については、産学連携という前に、全
教員が科研費に応募することが肝要であろう。そして、そこからシーズを生み出して、初めて企
業からの外部資金が獲得出来る。
4-7 図書館
平成 23 年度の主な事業は
(1)図書館書庫の拡充
(2)図書館の利用推進
(3)見計らい制度の充実
である.
1.現状説明(進捗状況)
(1)図書館書庫の拡充について
図書館書庫は、本館 2~4 階にあり、各階に電動集密書架を取り入れ、38 万冊を収容して
いる。図書の収容スペース確保については、2008 年度以降、全学図書委員会が継続して審議
してきたが、2010 年に図書館に隣接する徳志館の4研究室を書庫に転用して、新たに 2.2 万
冊を拡充することができた。また、開架図書は約 6.5 万冊で、開架率は約 16%となっている。
(2)図書館の利用推進について
図書館は、学生にとって「憩いの場」となるよう、文庫本コーナー、ベストセラー作品、
ビデオコーナー等を設置しているが、利用者が減少気味である。そのため、2011 年夏にゼミ
やサークルで学生が利用しやすいように、図書館閲覧室の北側にグループ学習室を新設する
と同時にビデオコーナーの増設を行った。
2.点検・評価
(1)図書館書庫の拡充について
大学基準協会の提言(助言)項目である図書館の狭隘化対策は、隣接する徳志館に図書館
書庫を設置し、収容能力は 40.2 万冊となった。
(2)図書館の利用推進について
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図書館の利用推進を図るため、2011 年度、ゼミやサークルなどで学習や話し合いができる
グループ学習室の新設を行った。ゼミ利用はひと月に 2,3 と多くはないものの、空いている
時は個人で利用されている。また新設および増設工事とともに、閲覧室の机や椅子を減らし
て、利用者がゆったりと本が読める空間に配慮して配置換えを行った。
3.改善内容・方策
図書館の狭隘化について、他の媒体で代替できる資料(電子ジャーナル等)の導入促進等、省
スペース化を検討する。また、資料の内容・性格・利用状況を精査して、資料の処分(廃棄)も
必要となる。中・長期計画においては、書庫としての最適な場所を選定し、恒久的なものとして
1点集約を目指していく。
4-8.心理教育相談室
平成23年度事業
(1)大学院臨床心理学コースの実習施設としての役割
臨床心理士の養成(実践教育・指導など)
(2)地域社会貢献の大学付属施設としての役割
地域社会への専門的な心理相談の場の提供
無料相談会(年2回)
・子育て支援の実施
1.現状説明(進捗状況)
大学院臨床心理学コースの学内実習施設として、大学院生及び修了生が相談業務に携わってい
る。月1回のケースカンファレンスおよびスタッフミーティング、そのほか、相談室紀要の発行、
就職支援、同窓会運営の支援も行っている。心理相談活動については、個人あるいはグループに
対する「心理アセスメント」
「心理面接」
「臨床心理的地域援助」を行っている。相談内容として
は、学校や職場での悩み、性格や健康に関する悩み、子育てに対する不安、自然災害や犯罪被害
による心的外傷など多岐に渡っている。近隣の精神科・心療内科クリニックとの連携も昨年に引
き続き推進されており、地域の子育て支援活動や、中学校における心理教育への協力なども行っ
ている。
2.点検・評価
今年度の来談者統計は未確定であるので、
便宜的に1月~12月の来談者数を前年と比較すると、
新規来談者数が増加,継続来談者数は減少し来談者全体の実数は増加となった。これまでは継続
来談者数の方が多かったが,本年度,新規来談者数が継続来談者数を上回る結果となった。この
ことの理由としては,地域への浸透を図るための継続的な活動と、昨年度から実施している無料
相談会の案内等による広報活動の拡大が考えられる。無料相談会は、非常に盛況であり、第1回
目は受け入れ可能枠を超える申込があり、3 月実施予定の第 2 回目も既にほぼ定員が埋まってい
る。
3.改善内容・方策
相談室の運営は円滑に行なわれている。臨床心理士養成機関としての要改善事項
- 41 -
としては来談者の確保が挙げられる。無料相談会で確認できたように、心理相談の潜
在的な需要はかなりあり、その掘り起しが必要とされる。無料相談会案内を送付して
いる医療・教育・行政等の関係機関からの紹介事例が増えていることから、地道な情
報提供活動の継続が有効であろう。
4-9. 国際交流センター
平成 23 年度の主な取組内容は,次の3項目である.
(1)国際色豊かなキャンパスに
(2)世界に羽ばたく京都学園大学生
(3)留学生と本学学生との交流促進
今後の検討課題としては,
交換留学協定校の増加、短期語学研修先の増加等本学学生が海外に出向く機会が飛躍的
に増加しているだけに,危機管理体制の確立が急務である.
1.現状説明(進捗状況)
(1)外国人留学生及び研修生の受入れ等について
2011(平成 23)年度には、春学期に 38 名(内、大学院生 5 名)
、秋学期に 31 名の編入を含む
入学があり、本学には現在、中国、台湾、韓国、タイ、ベトナムからの外国人留学生が、学
部生として 105 名、大学院生として 10 名在籍している。正規留学生総数は、前年度と比較す
ると 60 名の増となった。ほかに、1年間または半年間の交換留学生を、韓国、台湾、タイ、
中国、モンゴル、アメリカ合衆国から 18 名受け入れており、前年度との比較では 5 名の増
となった。
短期研修では、7月に台湾・正徳高級中学の生徒 13 名を対象に約1か月間の日本語研
修を実施した。しかし、アメリカ合衆国ノースセントラル大学の学生を対象とした研修は、
先方大学のプログラムに人数が集まらず実施できなかった。
協定校等からの訪問も増加し、6 月にインドネシアのジョグジャカルタ州政府及び私立大
学の訪問団を迎えたほか、9 月に中国・江蘇卓越日語専修学院、11 月に台湾・高雄餐旅大学
並びに台湾・正徳高級中学、2 月にタイ・ランシット大学からの訪問を受けた。
(2)海外留学・研修への本学学生の派遣について
2011(平成 23)年度には、台湾に 4 名、アメリカ合衆国に 2 名、韓国に 1 名、タイに 1 名、
インドネシアに 1 名の本学学生を派遣した。前年度と比較すると 4 名の増となった。
また、本学独自のオーストラリア海外語学研修(メルボルン)には、昨年度比 2 名増の 17
名を派遣している。
(3)留学生交流会等について
春学期(4 月)及び秋学期(10 月)に学内で開催した新入生歓迎パーティには、日本人学
- 42 -
生を含めてそれぞれ約 80 名の学生が参加した。7 月に亀岡市七谷川野外活動センターにて開
催した交流会には総勢 70 名、10 月に京都市内で開催した交流会には約 40 名、2 月に学内で
開催した「さよならパーティ」には約 30 名の学生が参加した。
地域との交流では、亀岡市交流活動センター等の招きに応じ、7 月の日本料理調理実習、
10 月の亀岡祭宵山ショートツアー及び国民文化祭甲冑行列に研修生や留学生が参加したほ
か、12 月の青野小学校交流会、2 月に 2 回の曽我部小学校社会科授業にも交換留学生が参加
した。
(4)海外留学研修の危機管理体制の確立
国際交流委員会では、センター長案を基に「京都学園大学 学生海外留学/研修 緊急事態
対応要領」を作成した。ただし、当該要領中には、主として事務局において検討して決定す
べき課題が残されている。また、リスク管理保険等への加入の是非についても未検討のまま
となっている。
なお、オーストラリア海外語学研修については、全日程に引率者を同行させており、現地
校関係者も含めた緊急連絡体制に基づいて危機管理を行っている。
2.点検・評価
(1)外国人留学生及び研修生の受入れ等について
2011(平成 23)年度も私費外国人留学生入試において想定以上の入学者があったほか、秋学
期には中国・江蘇卓越日語専修学院との間で新たに締結され協定に基づき 28 名の入学があ
った。アジア圏からの留学生がほとんどではあるが、広い視野を持つ国際感覚豊かな人材の
養成に適した国際色豊かなキャンパスへの歩みがさらに前進したと言ってよい。他方、国際
交流センターの職員だけでは受入れ準備や生活支援の業務に対応できず、他部署の職員や教
員の助力も得るに至った。また、日本語プログラム科目のクラス増においては担当者の手配
や時間割配置に混乱が生じたりもした。なお、前年度に国際交流からの広報が不十分となっ
た点については、職員の「時間増」もあり、大幅に改善することができた。
高く評価してよいのは、受け入れた交換留学生も短期研修生も、ほぼ一様に本学で過ごし
た時間を最良の思い出の一つとして持ち帰ってくれていることである。ノースセントラル大
学のプログラムに人数が集まらなかった理由は、大震災の影響ではなく、経済事情と推定さ
れる。
協定校等からの本学への表敬訪問が増えてきている一方で、本学からの「返礼」としての
訪問は十分に達成されていない。
(2)海外留学・研修への本学学生の派遣について
派遣した交換留学生数がさらに増えたとはいえ、依然、総数は極めて少なく、受入れのほ
うが倍以上という均衡を欠く「交換」は変わっていない。前年度同様に、意欲的な学生が総
数として少ないことに加え、①派遣先大学の言語(能力)条件に適う学生が少ない、②経費
の支弁ができない、③就職活動と時期的に重複するといった問題が妨げとなっている。
海外語学研修(オーストラリア)への派遣者を数名増やすことはできたが、研修を実現さ
せるために意思疎通や言語能力に若干の不安を抱える学生も加えて送っているのが実情で
- 43 -
ある。
(3)留学生交流会等について
前年度の極めて大きな成果として、国際交流センター職員の創意工夫もあり、留学生と日
本人学生との交流が非常に活発化したが、2011(平成 23)年度にはさらにそれを上回る充実し
た交流行事を達成できた。ただし、中国からの留学生の参加が在籍者数の割合から言えば依
然少なく、資格外活動(アルバイト)との時間的重複が原因として考えられる。
地域との交流も一段と活発化したと言ってよい。京都府の国民文化祭行事にはもう少し多
くの留学生を参加させたかったが、日程的に本学の学園祭と重複した。
(4)海外留学研修の危機管理体制の確立
「緊急事態対応要領」を国際交流委員会において作成したものの、事務局においての具体
的な検討が進んでいないのは問題である。リスク管理保険等への加入検討も含め、万一の大
事故・大事件を想定した対策体制作りは本学の喫緊の課題である。
3.改善内容・方策
(1)外国人留学生及び研修生の受入れ等について
受入れ留学生数が急増しているものの、
「留学生 30 万人計画」から見ればその割合はまだ
3 分の 1 程度でしかない。国際交流委員会では、
「外国人留学生の受入れ拡大について」
(案)
をまとめ、
「拡大を図る理由」及び「拡大実現の可能性」とともに、適正な規模として本学
が受け入れるべき留学生数の当面の目標「約 300 名」と併せて、
「拡大のための方策」
「体制
の整備」や「考慮すべき課題」等を全学に提起した。当該国際交流委員会案が提示した留学
生の割合は「中・長期計画」のそれとも一致しており、今後は関連する他部署(教務、学生、
入試)においても本案が提示する方向での体制の整備や方策を実現化させていくことが強く
望まれる。とりわけ、①留学生用宿舎の借上げ、②留学生担当職員の増員、③日本語科目の
増クラス充実化は、当面の対策としてどうしても必要である。
ノースセントラル大学の研修に対しては日本学生支援機構より奨学金が支給される可能性
があり、次年度はぜひとも実施したい。また、タイのランシット大学が本学での短期研修を
希望しており、適切な時期にこれも実現させたい。
(2)海外留学・研修への本学学生の派遣について
「世界的な視野に立って主体的に行動する人間の育成」という建学の精神から言えば、本
学学生が異文化圏での実体験を通して世界的な視野を身につけていく機会をできるだけ多
く提供していかなければならない。2011(平成 23)年度においては、
「学生留学内規」の改正
を行い、長期的な語学研修を行う学生の在籍をも「留学」として取り扱うことができるよう
にした。当面は、新たなこの制度の下で留学できる本学指定の語学専門学校を整理し、学生
に周知させていく必要がある。併せて、引き続き、①派遣する交換留学生に対しての授業料
相当分の奨学金助成や、②本学学生の言語(能力)条件で派遣できる留学先の開拓などを対
策として検討しなければならない。
- 44 -
(3)留学生交流会等について
活発化してきた留学生交流行事を次年度以降も 2011(平成 23)年度並みに維持することを
第一の目標としながら、ここにさらに多くの中国人留学生や日本人学生を参加させたい。日
本人学生の留学や研修への意欲を高めるためにも必要な行事である。
地域との交流の場にもできるだけ多くの留学生を参加させ、キャンパス内では提供できな
い「日本体験」の機会を与えていく。
(4)海外留学研修の危機管理体制の確立
「京都学園大学 学生海外留学/研修 緊急事態対応要領」の細部を詰めて、完成させ、学
長、事務局長を含むすべての関係教職員がマニュアルとして常備しておかなければならない。
リスク管理保険への加入は、現在の本学の学生派遣数では必要かどうかの判断が難しい。
しかし、受入れと派遣の両方に係る一定額の危機管理費は万一の備えとしてどうしても必
要である。
4-10.情報センター
平成 23 年度は、以下5項目に対して重点的に取り組む。
(1)Windows XP サポート終了への対応
(2)ネットワークセキュリティ確保および通信速度の安定化
(3)学内インフラネットワークの充実
(4)事務システムファイルサーバ更新
(5)マルチスタジオの運用管理
1.現状説明(進捗状況)
(1)Windows XP サポート終了への対応
マイクロソフト社の OS である Windows XP のサポートが 2014 年 4 月 8 日をもって終了する予定
である。この時期までに学内ネットワークに接続している Windows XP 搭載の PC を全て Windows 7
またはその後継 OS に更新し、セキュリティ保証を維持する必要がある。
今年度はバイオ環境館 B3-3 教室(65 台)
、図書館分室(29 台)
、院生研究室(16 台)など計 126
台を更新した。
(2)ネットワークセキュリティの確保および通信速度の安定化
ネットワークシステムにおけるファイアウォール、キャッシュサーバ、ICAP サーバ、ロードバ
ランサを更新するとともに、ICAP サーバにアンチウィルスソフトを実装させ、セキュリティの確
保と通信速度の安定化を実行した。
教室設置 PC においては、セキュリティ管理、ログ取得機能を充実させて利用者状況を把握で
きるシステムを導入した。
(3)学内インフラネットワークの充実
無線 LAN については、2003 年に設置した LAN 設備の老朽化に伴う更新と新たにアクセスポイン
トを設置した。
更新したアクセスポイント
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光風館(2F ロビー、K35)
、緑風館(R21~R25)
、白雲ホール 2F、徳志館(1F および 2F ロビー)
新規アクセスポイント
悠心館ロビー、バイオ環境館(ロビー、図書館分室)
、光風館会議室
また、基幹光ケーブルについては、現状では特に問題が発生していないため、更新はしていな
い。
(4)事務システムファイルサーバの更新
2002 年に導入したファイルサーバの老朽化による更新とディスクの増設を行った。
(5)マルチスタジオの運用管理
アナログ対応のビデオテロッパーのデジタル化と老朽化していたデジタル・オーディオ編集用
パソコンを更新した。
2.点検・評価
(1)Windows XP サポート終了への対応
教室設置 PC については、予定通りに対応が行われている。研究室設置 PC については、Windows
XP を含めた稼動 OS を把握するため、無償の資産管理ソフトを導入し稼働 OS の調査を試みたが、
正確には把握できていない。
(2)ネットワークセキュリティの確保および通信速度の安定化
更新した機器等は問題なく順調に稼動しており、ネットワークセキュリティの確保および通信
速度の安定化は保持されている。
(3)学内インフラネットワークの充実
無線 LAN については、更新した設備や新規追加した設備も順調に稼動している。また、利用者
も徐々に増加しており、11月にはのべ 8062 回の接続があった。
(4)事務システムファイルサーバの更新
システム移行、データ移行とも順調に行われ、更新したシステムは問題なく稼動している。
(5)マルチスタジオの運用管理
更新した機器は、問題なく稼動している。
3.改善内容・方策
(1)Windows XP サポート終了への対応
研究室設置 PC については、稼働中の OS の正確な把握が必要である。このため、より正確に判
断できる手法の検討を行う。
(2)ネットワークセキュリティの確保および通信速度の安定化
現在、ネットワークシステムは特に問題なく稼働しており、継続して運用する。
(3)学内インフラネットワークの充実
無線 LAN 設備については、特に問題なく稼働しており、継続して運用する。また、基幹光ケー
ブルについては、老朽劣化対策の計画を策定する時期ではあるが、複数キャンパス化計画もあり、
それを踏まえて引き続き検討する。
(4)事務システムファイルサーバの更新
今回更新したサーバの他に、老朽化している事務システムのサーバもあり、引き続き更新等を
検討する。
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(5)マルチスタジオの運用管理
マルチスタジオの運用管理は、基本的に現状設備を維持する方向で行う。
4-11.京町家キャンパス
開設3年目を迎える「京町家キャンパス・新柳居」では、学部、および大学院の授業を行う
とともに、地域社会との連携を深め、広い意味での大学パブリシティ拠点として機能を発揮し
ていく。
平成 23 年度の重点的な取組は,次の通りである.
(1)教室利用の促進
(2)社会人対象講座の開催
(3)地域連携の強化
(4)学内各部局の活動支援
(5)大学関連団体の利用促進
1.現状説明(進捗状況)
開設4年目を迎えた「京町家キャンパス・新柳居」では、学部および大学院の授業が実施され
ると同時に、地域社会との連携を深め、広い意味での大学パブリシティ拠点として機能を発揮し
た。主な点は以下に列挙する。
(1)教室利用:人間文化学部の授業を中心に、広く全学部の学生が利用している。歴史、日本文
化、京都学は言うまでもないが、京都観光を英語で学ぶ授業や、ディベートなどのゼミ、プ
レゼンテーションを行う演習などの授業も開講されている。とくに、京都の祭りなどイベン
トや、観光資源・伝統産業の見学のフィールドワークの拠点として、ユニークな授業が展開
されている。
(2)社会人対象講座
①新柳居市民講座:本学と提携を結んでいる明倫自治連合会が協力して開催している。今年度
からは、地域関連のテーマで6月と12月に自治連が企画し、他の月は大学がテーマを設定
した。今年度は「身近な法律(法学部)
」
、
「宇宙と未来」
「きもの」が大学の企画であり、
「茶」
は茶道資料館と共催、
「ミツバチ(バイオ環境学部)
」は中京区役所と共催で地域との交流が
進んでいる。
②本学と明倫学区はどちらも石田梅岩のゆかりの地であるところから、心学の修正舎と協力し
月1回の講演会を共催しており、好評のうちに2年目を迎えている。
(3)地域連携
新柳居市民講座のほか、祇園祭にスタッフとして学生が参加するなど、社会勉強と職業教
育を含むユニークな教育を実現することができている。学生が、地域住民のあらゆる年齢層
の人々の考え方に触れるなど、同世代の友人と交わるだけでは不可能な体験をしていること
は貴重である。毎年、高倉小学校の5年生数十名に祭りの粽づくりを教える体験は学生を成
長させるきっかけになっている。
(4)学内各部局の活動
入試関係では、入学前教育の場として、また国際交流センター関係では短期留学生の体験
- 47 -
授業(ゆかたと宵山見学)が毎年継続して行われている。今年度初めてリエゾンセンター関
係で、修学旅行生の体験授業が実現し、大変好評であった。
(5)大学関連団体の利用:今年度は同窓会、父母の会など関連団体の会合、教員による研究会、
イベント施設として活用された。次年度も多様な活用を促していく。
2.点検・評価
23年度は、京町家キャンパスが中京区に開設されて4年目にあたっている。初年度の事業は
試行的な状態だったが、2年目で軌道に乗り3年目では堅実な発展を見せるようになった。4年
目になって「やっぱり学園大さんはほんまもんどした」
「大学のおかげで新町通りが活性化しま
した」などの評価を耳にするようになり、すっかり地域に溶け込んだ感がある。22年10月に、
キャンパスが置かれている小島邸が金曜夜8時~9時のNHKテレビ全国放送で紹介され、大学
が教室として使っている映像が流れたので大きな反響があった。この放送は1月3日に再放送さ
れ、2月にも再々放送されたので、京町家キャンパスは多くの人に知られるようになった。
京町家は、絶滅が心配される世界危機遺産に2年目も継続指定されることになった。
本学が代表的町家の保存に尽力しつつ、しかも有効に活用している事への社会的評価は非常に
高くなっている。
3.改善内容・方策
人間文化学部の日本語日本文化専攻や国際ヒューマン・コミュニケーション学科では、1学年
の人数が町家の収容能力に合致しているため、学科や専攻の教育方針として町家で授業を行って
いるが、ユニークな授業をすることにより高い教育効果をあげることがねらいである。今年度は、
亀岡との交通の便が良くないので、原則4限目までとし受講生の交通やアルバイトの利便を図る
ことを試みた。また昨年度から、自転車通学を許可したことにより、学生の利便性が高まった。
教室の稼働率は非常に高く、十分利用されているが、1週間のうち1日は、学部共通の授業の
日にして、各学部から京都が好きな学生が集まれたらすばらしいと考えられる。現在では「フィ
ールドワーク京都」の授業が土曜日にあり、各学部から参加者がある。
今後は留学生が増える事が予想されるため、京町家キャンパスを拠点に葵祭、祇園祭、時代祭
の京都三大祭りを堪能し、さらに御所をはじめ多くの京都の名所旧跡を見学してもらいたいと思
う。
一方、学会の委員会や研究会の小人数の集まりに利用されることが多い。その都度、全国から
来る大学関係者に、本学がこのような施設を運営していることが驚きを以て受け止められ印象づ
けられている。今後もこのような利用を促進していきたい。
4-12.FDの推進
本学の FD の取り組みは、
(1)FD 研修会、
(2)学生による授業評価アンケート、
(3)授業
公開となっている。その他に,大学コンソーシアム京都主催の各種行事や「FD 報告書」の刊行
を計画している。
- 48 -
1.現状説明(進捗状況)
①FD 研修会
FD 研修会は第 3 水曜日(教授会日)の第 3 講時を基本に開催している。2011(平成 23)年
度は、既に 13 回の研修会を実施した。年度末にバイオ環境学部主催の大学院関連研修会が
予定されている。外部講師等を積極的に招き、主に、双方向授業やアイスブレーキング、中
途退学予防の取り組み、ハラスメント防止、修学困難学生への対応等々、研修メニューを増
やしてきた。参加者も大幅に増加し、どの研修会も 50 名程度かそれ以上の出席があり、研
修会はほぼ定着したといえる状況となった。しかしながら、一方で、出席メンバーの「固定
化」が指摘されている。
本学では FD 活動は広く SD 活動も含んでおり、職員による IR 分析・発表の機会を設けてき
た。また、職員研修も企画された。しかしながら、その機会は必ずしも充分とはいえない。
研修プログラムは各学部、大学院、事務部門の各部等から「割り当て」により提供される
仕組みで、スムースに課題を集めている。
②学生による授業評価アンケート
2011(平成 22)年度に、大学教務委員会から FD 推進委員会に移管された。春学期は従来
どおりの実施方法で行い。秋学期に、質問項目等の大幅な整理変更を行った。
2011(平成 23)年度は、大学の基本情報の公開が義務化されたことを受け、Web 上で評価
結果の概要を公表している。また、秋学期からは教員への配付資料に評価項目ごとに前期か
らの変化を添付し、分かりやすくした。
また、極端に評価の低い科目担当者に対しては学部長から注意を促す制度を始めたが、該
当者はいない。ただし、出席率が非常に悪い科目等には注意喚起した。
③授業公開
2010(平成 22)年度から公開を順番制とし、少なくとも 1 科目以上の参観を義務つける大
幅な様式変更を行った。参観アンケートを元に、学部 FD 研修会(参観授業の意見交換会)
を開催し、全学 FD 推進委員会で意見集約を行った。今年度もこれを踏襲し、授業公開を年 2
回(春・秋)実施した。また、評判の悪かった公開期間は 2 週間に延長した。
④その他
新人研修に関しては、大学コンソーシアム京都が「戦略的大学連携(FD)
」の新人研修を
引き継ぐこととなっているので、本学はこれを積極的に利用し、経験の浅い教員を派遣して
いる。
FD 報告書を 2009(平成 21)年度より作成している。本年度は職員による海外研修や IR 分
析などを含む大部の報告書となった。
また、学生評価が高い教員を選定してベストティーチャー賞を贈ることとした。初年度は
5 名が対象となった。
2.点検・評価
①FD 研修会
FD 研修会は概ね定着し、多くの教職員が出席するようになった。この点は大いに評価でき
る点である。しかしながらいくつかの問題点がある。第 1 は研修会は数多く開催されるよう
になったが、その成果をヒントにし、教育現場で生かすことができているか、PDCA サイクル
- 49 -
を確認するところまで深化していない。第 2 に職員の研修機会が少なく、SD がかけ声に終わ
っている。第 3 に大学院規模が小さいこともあるが、この方面での授業改善等 FD 活動が充
分ではない。第 4 に研修会の回数がこれだけ増えてきたため、もう少し「課題解決型」の研
修を意識した方が良いなど、が指摘されている。
②学生による授業評価アンケート
学生による授業評価は定着したといえる。学生からの指摘を授業にフィードバックするた
め、京学なびにコメントを記載することにしているが、実施率は 50%程度と低い。
設問には何回か繰り返すことで「分かりきった」項目もあり、時系列上の整合性も大切だ
が、実施方法も含め再度見直すことも検討すべしという指摘がある。
Web 上で結果概要を公表し、教務課で詳細報告を閲覧可能にした点は評価できる。これら
の結果を教員が授業にどう生かしたかフォローが充分とはいえない。
③授業公開
今年度は 2010(平成 22)年度を踏襲し、授業公開を年 2 回(春・秋)実施し、評判の悪か
った公開期間は 2 週間に増やした。未だ全教員に担当が行き渡っておらず、
「評判のよい教
員の授業スタイルを学ぶ機会」の域を脱していない。また、早くもルーチン化して緊張感が
なくなったとの評価も一部に聞く。事後の教員の意見交換会が不活発であった。
④その他
新人研修に関しては、大学コンソーシアム京都が「戦略的大学連携(FD)
」の新人研修を
引き継いでいるが、教員だけでなく、職員の初任者研修にも活用することが望ましい。
3.改善内容・方策
①FD 研修会
FD 研修会は当面、現在の方法を踏襲する事により、経験を蓄積することが望まれる。しか
しながら、職員版研修機会と大学院の取り組みが少なく、この点を重点強化する必要があろ
う。
また、今の研修会はテーマが総花的になっているため、例えば、中退率の引き下げ、学生
の定着化といった課題を年度の主要課題に据えるなど、方向性を明示することが望まれる。
研修成果を PDCA サイクルで生かすために、例えば、研修内容には「関連部局への具体的提
案」を含めてもらうように内容を工夫することも必要であろう。また、参加者の固定化を防
ぐため、出席を「義務」づけることも検討すべきであろう。
②学生による授業評価アンケート
2012 年度には他大学の事例を集めるなど、アンケートの内容・方法を改訂する準備をす
る。
また、学生へのフィードバックを京学なびを通じた教員個人の「記入努力」だけに委ね
るのではなく、問題点、課題を分析し、それを教授会等で報告するなど、授業改善のための
情報提供機会を増やす努力をする。
③授業公開
全教員に機会を与える観点から、1ラウンド終わるまで、現在の形式を踏襲する。しかし
ながら、事後の教員の意見交換がやや形式化しているため、ピアー評価の性格を強めること
も検討すべきであろう。
- 50 -
④その他
職員研修を重視し機会を増やす。
4 13.自己点検・評価の実施
平成 20 年度大学基準協会の大学評価結果に基づき、勧告を受けた 3 項目(事務組織、管理運
営、点検・評価)および助言を受けた 21 項目について、改善策を策定したので、本年度は検証
を行っていきたい。
特に改善の求められた「自己点検・評価活動」においては、大学としての年次報告書を作成
するだけでなく、不断の点検・評価活動に加え、外部評価を組み込んだこと、自己点検・評価
委員会並びに各運営部会の機能を実質化し、委員会並びに部会、各執筆者や教授会等で再検討
を繰り返しながら、双方向性による検証を行い改善してきているが、今年度は、より関係各部
署の運営においても PDCA サイクルを組み込むこととする。これにより、評価項目を意識しなが
ら日常業務の遂行が可能となり、創意工夫が期待され、点検・評価活動をより実質的に整正で
きることとなる。
また自己点検・評価活動の成果を、
「平成 22 年度版自己点検・評価報告書」としてまとめた。
これを活用し、今年度、組織的な検証を行い、将来展望に結びつけていきたい。
1.現状説明(進捗状況)
2011 年度本学における最優先課題のひとつは、2008 年度大学基準協会の認証評価で受けた「保
留」の解除に向けた取り組みであった。大学評価基本会議を中心に『改善報告書』の原案を作成
し、自己点検・評価委員会において取り纏めたものを、6 月 16 日、大学基準協会へ提出した。
今後は次回の認証評価の受審(2015 年予定)に向けて、自己点検・評価活動の更なる実質化に向
けての体制を整えていくことが必要である。その基本コンセプトは、
(1)事業計画、
(2)事業報
告書(事業点検・事業評価)
、
(3)自己点検・評価活動の報告書を三位一体とした自己点検・評
価活動の仕組みを構築することであった。
以上のことを念頭に置きながら、本委員会は今年度、以下の項目に重点的に取り組んだ。
1. 大学基準協会に提出する改善報告書の作成を行うこと。
2. 自己点検・評価活動の更なる実質化に向けた仕組みを構築すること。
3. 2011 年度自己点検・評価活動の報告書(
『現状と課題 2011』
)を作成すること。
4. 自己点検・評価活動の報告書を作成するにあたっては、大学基準協会の大学基礎データおよ
び大学データ集の様式に準拠して基本データを作成すること。
5. 自己点検・評価活動の更なる実質化に向けて運営部会のあり方を再度明確にすること。
6. 自己点検・評価活動の質的向上を図るため、外部評価諮問会議を開催すること。
2.点検・評価
今年度においても年間スケジュールに基づき、とくに自己点検・評価委員会各運営部会での実
質的な議論を踏まえて点検・評価を実施するとともに、外部評価制度を組み込み、不断の点検・
評価活動に努めた。外部評価に際しては、自己点検・評価報告書『現状と課題』の内容を章立て
に分け、適切な点検・評価、とくに将来に向けた課題設定が適切になされているかどうかについ
て 2 名の外部評価委員に諮問を行い、答申内容を自己点検・評価委員会において検討した。
- 51 -
3.改善内容・方策
大学評価基本会議ならびに自己点検・評価委員会は、大学基準協会の大学評価で指摘された勧
告(必ず実現すべき改善事項)と助言(一層の改善が期待される事項)について、一定の改善策
としてまとめ、大学基準協会に提出した。
事務組織についての勧告(必ず実現すべき改善事項)に対する具体的な取り組みは、教務課・
学生課を統合し、学部事務室的機能をもたせ、教育研究機能と学生指導等において、教員と職員
が緊密な連携をとれるように事務組織を再編した。これとは別に、経営側と教学側との共通の重
要課題を整理し、総合的な調整を行い、大学運営の円滑化を図る目的で大学運営協議会が設置さ
れ,円滑な管理運営を行っている。今年度は、不断の点検・評価、また成果を『現状と課題』と
してまとめた。平成 24 年 3 月には、外部評価諮問会議の開催を予定している。当日は,外部評
価委員との意見交換を通じて、平成 24 年度の自己点検・評価活動をより実効性のある内容にし
ていきたい。
4-14 就業力育成推進室
就業力育成推進室として、来年度の重点事業は、次の6項目である。
(1)組織体制の確立
(2)展開するプログラムの着実な運用と実施並びに検証
(3)教務部・キャリアサポートセンターとの連携
(4)FD・SD 研修の実施
(5)第三者評価委員会の実施
(6)情報収集の実施
1.現状説明(進捗状況)
今年度は、昨年度に文部科学省より採択された「平成 22 年度 大学生の就業力育成支援事業」
に基づき、本学の教育目標である「人間力の育成」を図るための教育改革を実行し、大学全関係
者が協力して教育する「協育」プログラムの実施・運用にあたった。
具体的には、昨年度に実施した企業人材ニーズ調査の結果から得た企業における本学の学生に
求められている6つの基礎力(コミュニケーション力・協働力・適応力・行動力・課題発見力・
論理的思考力)を「人間力」として定義づけ、学生の人間力を育成するため、各部署と連携を図
りながら、以下の取組みを行った。
(1)キャリア教育プログラムの展開
平成 23 年度入学生より、初年次教育(1 回生向け)の一つとして全学共通の必修科目とし
て「私の人生設計ⅠA・ⅠB」並びに「スタートアップゼミ」を春・秋 30 コマのプログラムを
実施した。
更に、来年度の実施に向けて、
「私の人生設計ⅠA・ⅠB」の授業内容や運営方法等の改善
を図ると同時に、来年度よりスタートする「私の人生設計ⅡA・ⅡB」のプログラム設計を行
った。
(2)カリキュラムのマトリックス化
非常勤講師も含めた全教員が担当する正課科目において、学生がそれを履修することで育
まれる基礎力をアンケート形式で調査し、その結果を一覧化してシラバス上に反映させた。
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(3)キャリアポートフォリオの活用
平成 23 年度入学生が受講した「私の人生設計」の授業において、
「人間力測定(基礎力チ
ェック)
」を年 3 回実施し、1 年間の成長度合いをレーダーチャートとして表示して可視化し
た。また、学生自らが学生生活を記録するための項目を京学なび上に作成し、来年度からの
本格稼動に向けての準備を整えた。
(4)FD・SD 研修会の実施
全学 FD 推進委員会と連携して、就業力育成事業の理解と浸透を図るための FD 研修会を年
3 回実施した。また、総務部と連携して、職員に対しても同様の効果と意識改革を図るため
の SD 研修会を大学として初めて実施した。
(5)情報公開の実施
今年度、就業力育成推進室が取組んだ教育改善、修学支援等の各種事業について、積極的
かつ継続的に大学のホームページに掲載し、その充実を図った。また、一方で、他大学から
の情報収集のため、本学への来学を積極的に受け入れての調査・情報交換並びに各種セミナ
ーやシンポジウム・研修会等にも積極的に参加した。
2.点検・評価
就業力育成推進室は学長直轄の機関として、大学が目指す“教育改革”を実現するために全学
的な事業プログラムに取り組んでいる。そのため、全学が連携・協力体制の下、理解を得ながら、
歩調を合わせて、地道であっても、確実かつ堅実に事業を推進してきた。そうした中で、今年度
に実施した事業についての点検・評価は、以下のとおりである。
まず、キャリア教育プログラムである「私の人生設計」においては、初年度でもあり、委託業
者のプログラム設計責任者との月例会議を開催し、授業の進捗状況や学生の動き等をお互いに確
認・点検し、改善すべき点については、各学部科目担当教員との連携を図り、迅速に協議・対応
の上、授業運営に反映させた。その結果として、学生に対して実施した大学の授業評価アンケー
トや授業終了時における科目独自の学生アンケート調査のいずれからも高い満足度を得る結果
となった。その他、カリキュラムのマトリックス化やキャリアポートフォリオなど一定のインフ
ラ整備を計画通りに完了できた。また、FD研修会については、年 3 回 ・SD研修会について
は、大学として初めて開催できたことは大きな成果であった。更に、各種事業を積極的かつ迅速
に大学のホームページから広く情報公開し、本学の取組みを学内外に広報することができた。
なお、本事業については、申請時に定めた評価体制に基づき、就業力育成推進委員会にて自己
点検・評価を行い、その結果を外部評価委員で構成される第三者評価委員会が事業評価を実施し、
意見書をまとめて、学長が次年度の事業方針を提示することとなる。
3.改善内容・方策
文部科学省より「大学生の就業力育成支援事業」は、平成 23 年度で廃止となることが決定さ
れているが、本学の就業力育成プログラムは、平成 24 年度も教育改革の柱として引き続き実施
していく。但し、平成 25 年度には、本プログラムを新たな展開にて実施する必要があり、平成
24 年度は、各種実施する事業の改善・見直し等の議論を行っていく。そこでは、事業別ワーキン
ググループを形成する等、教職員が一体となり、議論を重ねながら、各種事業の再構築を検討し
- 53 -
ていく。
キャリア教育プログラムにおける「私の人生設計」は、平成 24 年度でワンサイクルが終了す
ることから、そのプログラム内容の効果検証(中間総括)を行い、キャリア教育を専門的に教育・
マネジメントできる人材を確保すると共に、早期の完全内製化を進める。また、キャリアポート
フォリオについては、その活用を推進し、利用状況の検証および運用方法・システムの改善を図
る。カリキュラムマトリックスについては、今年度の結果を分析・調査した上で、調査項目の検
証・改善を図る。更に、いずれの事業についても、それを全学的に周知徹底させ、実効あるもの
とするための効果的な FD・SD 研修プログラムの開発と実施を引き続き促進していく。
現在、平成 24 年度文部科学省の新規事業として「産業界のニーズに対応した教育改善・充実
体制整備」が提示されている。その取組みとして、平成 22 年度に実施した人材ニーズ調査を活
用しながら、キャリアサポートセンターと連携して、企業との関係構築を図っていくと共に、本
事業の一つとして掲げながらまだ計画段階の京都丹波地域の企業と企業リーグを結成した PBL 型
インターンシップの構築を検討し、早期実施に向けた準備を行う。
最後に、平成 24 年度より再編される大学組織体制に合わせて、各部署との連携・協力体制を
再度見直し、機能的かつ効果的な体制を構築すると共に、就業力育成推進室の機能と役割を再検
討することも必要と考えている。
- 54 -
〔京都学園高等学校〕
(教育の目標)
建学の精神「世界的視野で主体的に考え行動する人材の育成」に基づき、将来世界のどの舞台に立って
も自分の意志で堂々と行動できる次世代を担う地球市民を育む。コース制の特性を鑑み、高い学力を身に
つけ、生徒が自らの力で社会貢献できる将来を迎えるために、高い目標を掲げ、その目標達成に向け、教
員は全力でサポートすることを改めて誓う。生徒が喜ぶことを常に考え、実行に移し、生徒の心に火をつ
ける情熱ある指導に終始する。
(学校方針)
平成23年度のスローガンは「オアシスのある学校」。砂漠の中でそっと湧き出る泉。乾いた大地に水。厳し
い自然環境の中での命の源。
◎ 教員自身がオアシスになる。
◎ コース長の新設 → 年間計画に基づく種々の指導と保護者への啓蒙活。
◎ 生徒にとって今、何が大切なものかを考え。タイムリーな企画・立案・実
行・検証・
改善を行い、生徒が喜ぶことをする。
① 学力の向上と進路実現
② 社会性・公共性・協調性・道徳心を育む
③ 保護者との協力と相互理解
④ 生徒募集の責務を果たす
⑤ 国際理解教育の推薦者たれ
⑥ 今、本校は何を求められているのかその企画と実践に努める
以上の教育目標及び学校方針を踏まえ、平成23年度当初予算では主な重点事項を次のとおり策
定していた。
(1)国際理解教育の推進
<1>2年生国際コース、イギリスへの留学を実施。
<2>特進ADVANCEDコース(1・2年生)、イギリス等への海外研修の実施。
<3>国際ICTコース、アメリカ・モデストにて3週間海外研修の実施。
<4>特進BASICコース・進学コースでアメリカ・サンフランシスコ1週間海外研修の実施。
<5>海外短期研修の実施と留学生の受入。
(2)情報教育環境の整備充実
<1>LAN・インターネットの維持管理費。
<2>パソコン等情報関連機器の整備。
- 55 -
(3)奨学金制度の充実
<1>学業優秀者の特別奨学金と部活動優秀者の部活動奨学金等の支給。
(4)京都府あんしん修学事業(学費減免制度)の強化
<1>経済的な理由等により修学が困難なものに対する授業料減免の実施。
<2>京都府内生で且つ、年収が500万円未満である場合は授業料と教育充実費の無償化。
<3>京都府からの補助金収入(就学支援金含む)
(5)生徒募集活動・広報の充実
<1>京都・滋賀・大阪の各府県において中学校・塾訪問の実施。
<2>私中高展・塾対象入試説明会及び保護者・生徒対象入試説明会の開催。
<3>新聞・雑誌・テレビによる広報。
<4>JR円町駅・地下鉄三条京阪駅・阪急西院駅に看板設置等の広報活動を実施。
(6)施設等の整備
<1>生徒通路の安全確保のための第3期宇多川暗渠補強工事の施工。
<2>3号館耐震補強リニューアル工事
<3>第二期校舎整備計画による6号館取り壊し工事。
上記重点事項に沿って、達成状況を以下にまとめた。
(1)国際理解教育の推進
国際コースは今や本校の「選ばれるコース」の一つとなっており、平成20年度入学生より60名を超え
る入学生を集められるようになっている。卒業後の進路も、英語検定準 1 級取得、TOEIC 800 点以上獲得
などの突出した英語力を生かして、難関私立大学、国公立大学入学を果たしており、注目されている。
平成23年度の高校3年生では、英検1級取得後、TOEIC 955点という実績を上げた生徒もいる。→(国際
教養大学進学)
2年国際コースは、イギリスのビザ制度が厳しくなっている中、6ヶ月、7ヶ月、そして10ヶ月留学
の3つのグループに分け、長期留学の成果を上げて、無事留学を終了している。
特進ADVANCEDコースも毎年60~70名の入学があり、イギリス海外研修(7月期実施)からパリを含むヨー
ロッパ研修旅行(3 月期実施)に場所と季節を変更し、海外研修の成果を上げている。この成果は、英語
力向上、世界的な視野の獲得を伴い、進学実績の向上に直結している。平成 24 年度入試で、京大 1、防
衛医大1、神戸大2など国公立大学35名合格の原動力となった。
国際 ICT コース、特進 BASIC・普通コースも、アメリカ・カリフォルニア州のモデストで、それぞれ4
週間と1週間の短期留学・研修旅行を成功させている。
本校の建学の精神に基づく「全員海外経験」は、国際情勢が変化してもそれに即応して、今後も質の向
上を目指して継続していく。
海外からの長期留学生は、英語圏(アメリカ、イギリス、カナダ)にとどまらず、ドイツ、フランス、
フィンランドなどの英語圏以外のヨーロッパ、あるいは中国、タイなどのアジア圏からも受け入れてお
- 56 -
り、短期では学校単位で 10~30 名ほどを数回受け入れている。留学生たちの滞在は、可能な限り本校生
徒のご家庭でのホームステイにてお願いし、国際交流・国際理解を推進している。
(2)情報教育環境の整備充実
情報教育の拠点である第一コンピュータ教室は、光楠館 1 階に設置しており、平成 22 年度の機器の更
新に伴い、アップル社製のコンピュータを導入した。従来のマイクロソフト社の OS を使用するコンピュ
ータに比べて、汎用性に欠けるのではないかという意見もあったが、実際に使用してみるとビジュアル
な面やプレゼンテーションの面で評価が高く、本校生徒にも好評であり、広報にも役割を果たしている。
教員のLAN環境も充実しており、サーバーを介して、ペーパーレスで会議を推進し、一般的になりつつ
ある。また、データの共有化、省資源という面でも大きく前進している。
(3)奨学金制度の充実
学力優秀者への特別奨学金は、平成 21 年度入試での基準を上げた。その分、推薦入試でこの奨学金を
利用する入学者は減少し、奨学金の支出は全体として減少しつつある。しかし、本校の「塾予備校へ行
かなくてもよい充実した学習進路指導」に賛同して、高い内申成績の優秀な生徒が、奨学金を利用して
国際・特進Aコースに入学している現実はあり、進学実績の向上に寄与している側面がある。
(4)京都府あんしん修学事業の強化
国の「高等学校等就学支援金」(年収に応じて118,800円~237,600円)が平成22年度から創設され、それ
と同時に京都府在住者には(国)就学支援金に加えて「京都府あんしん修学支援事業活用による授業料減免
制度」を受けることができるようになった。これは、年収約500万円未満の世帯に対して、京都府私立高
校の平均授業料 65万円までが実質無償化となった。本校に置き換えると、授業料と教育充実費の保護者
負担が無くなったため、減免対象者が大幅に増加した。
(5)生徒募集活動の充実・広報の充実
「オアシスのある学校」のスローガンを掲げ、全教職員で募集活動に取り組んでおり、入試説明会も前
年度を上回る参加者を得ており、大きな成果を上げている。平成24年度入試では、定員を60名超える入
学者 437 名を得た。公立から私学への流れができており、それを追い風としつつ、今後も地道な生徒募
集活動を続けていきたい。
(6)施設等の整備
宇多川暗渠補強工事は、段階的に安全面を重視して進められている。平成 23 年度は、3号館耐震補強
リューアル工事、6号館取り壊し工事を補正予算の中で計上し、それぞれ完了した。いずれも長く要望
してきたものであり、第2期校舎整備工事に続くものである。
- 57 -
〔京都学園中学校〕
(教育の目標)
建学の精神「世界的視野で主体的に考え行動する人材の育成」に基づき、将来世界のどの舞台に立って
も自分の意志で堂々と行動できる次世代を担う地球市民を育む。コース制の特性を鑑み、高い学力を身に
つけ、生徒が自らの力で社会貢献できる将来を迎えるために、高い目標を掲げ、その目標達成に向け、教
員は全力でサポートすることを改めて誓う。生徒が喜ぶことを常に考え、実行に移し、生徒の心に火をつ
ける情熱ある指導に終始する。
[高校と同文]
(学校方針)
「相手軸に立ち、良いことはすべてやる。改善すべきことは持ち越さない」。
(1)
「地球学」「土曜講座」における実践を通しての知的関心の育成
(2)
授業実践における取り組みにあってはコース特性に応じたものに
(3)
模擬試験の有効活用
(4)
対策講座・伸長講座・補充講座
(5)
朝テスト(朝課題)の実施
(6) 模試・定期テスト・各種検定取得状況などの生徒情報の一元的管理
以上の教育目標及び学校方針を踏まえ、平成23年度当初予算では主な重点事項を次のとおり策
定していた。
(1)国際理解教育と英語教育の推進
<1>3年生英国への7泊9日ホームステイプログラムの研修旅行の実施。
<2>英語による表現力の育成を目的とする授業や取り組みの実施。
(2)情報教育環境の整備充実
<1>LAN、・インターネットの維持管理及びパソコン等情報関連機器の整備。
(3)体験学習の推進
<1>林間学舎、スキー研修の実施。
<2>農業・水泳等の体験学習の実施。
(4)奨学金制度の充実
<1>学業優秀者の特別奨学金と部活動優秀者の部活動奨学金の支給。
<2>経済的な理由等により修学が困難な者に対する授業料減免の実施。
- 58 -
(5)生徒募集活動・広報の充実
<1>生徒募集活動のための塾訪問等の実施。
<2>私中高展・塾対象入試説明会・保護者・生徒対象入試説明会を開催。
<3>新聞・雑誌・テレビによる広報。
<4>JR円町駅・地下鉄三条京阪駅・阪急西院駅に看板を設置等の広報活動を実施。
(6)校舎整備等の資金
<1>財政基盤の安定を図るため、学園整備引当資産へ繰入。
<2>3号館耐震強化・リニューアル工事等の支払資金のため資産の取崩。
上記重点事項に沿って、達成状況を以下にまとめた。
(1)国際理解教育の推進
平成 22 年度入試から国際コース・特進コース・進学コースの 3 コース募集とした。中学の国際コース
は、本校の推進している国際理解教育、高校国際コースの実績向上をにらんで、中学校入試でもニーズ
があることを期待して設置されたものである。
入試の結果として定員を満たすことができなかったが、英語の履修単位数を突出させてネイティブ教員
の授業を増加させ、特色ある教育を進めているところである。また、国際コースにおける英検取得状
況(準 2 級)は、2 年生にあっては 10 名中 5 名が取得する状況となっている。
なお、中学 3 年でのイギリスへの約 10 日間の研修旅行も、訪問地や交流校に変化をもたせながら、効
果的に進めており、京都学園中学校は国際理解教育の先進校となっている。
(2)情報教育環境の整備充実
情報教育の拠点である第一コンピュータ教室は、平成 22 年度にパソコン機器を更新し、中学校におい
ても「総合的な学習の時間」の中で活用しており、中学校時代から情報活用能力を高める教育をおこな
っている。
(3)体験学習の推進
中学校は開校当初より、知力、体力、人間関係力からなる「人間力」の育成のために、林間学舎、水
泳実習、スキー研修などの対外的な実習、校内の畑での農業実習と作物を収穫し調理して食する収穫祭
などの体験学習を重視してきた。
場所や実施時期は変更してきたものの、一貫して体験学習を継続して実施してきており、特に農業実習
と収穫祭は、なかなか土に触れる機会の少ない子どもたちに作物を育てることとそれを食べられること
のありがたさを味わわせることができると、保護者から好評である。収穫祭には普段参加することの少
ない父親や祖父母、兄弟までも参加していただき、常に盛況を呈している。
(4)奨学金制度の充実
学力優秀者への特別奨学金、部活動優秀者への奨学金とも、その支出は全体として減少しつつある。し
かし、本校の「塾予備校へ行かなくてもよい充実した学習指導」に賛同して、優秀な生徒が奨学金を利
- 59 -
用して国際・特進コースに入学している現実はあり、実績の向上に寄与している側面があるが、引き続
き奨学金制度の検討は必要である。
(5)生徒募集活動の充実・広報の充実
中学・高等学校全教職員で募集活動に取り組んだが、出願者、入学者とも昨年を下回る残念な結果
となった。原因の一つとして、京都の私立中学校への受験者減に伴い、上位校の入学定員充足率を確
定させるために、歩留まりを考えての合格者を大量に出したためと考えられる。今後、中学校の募集
安定化させるために、入試日程及び回数・内容を公立校や他私学との兼ね合いを考えて再考する必要
がある。
(6)校舎整備等の資金
財政基盤の安定を図るため、学園整備引当資産へ繰入を図ったが、結果的には、3号館耐震強化・リニュー
アル工事等の支払資金のために、学園整備引当資産の取崩を行うことになった。平成 24 年度には第2期校舎
整備計画が予定されているため、中高全体の財政基盤強化を考える必要がある。
- 60 -
〔京都がくえん幼稚園〕
幼稚園では、幼児が楽しく豊かな幼稚園生活を送るなかで体験するいろいろな遊びを通して、自主
性、創造性を養い、一人ひとりの個性と能力を伸ばすことを大切にしている。また、教師や子ども
相互の望ましい人間関係を教育の基盤において、人間尊重の精神と協力的な態度を育てている。
以上の教育の目標及び教育方針を踏まえ、平成23年度当初予算では主な重点事項を次のとおり策
定していた。
(1)保育の充実
教員研修を更に深め、通常の保育や行事の内容等を充実させる。また、
「体操で遊ぼう」
を年中児にも体験させ、体力の向上を図るとともに遊びが広がるようにする。
(2)地域との交流強化
園庭開放でのイベントを更に充実させ、様々な地域活動に積極的に参加し、よりかかわ
りを深める。
(3)預かり保育の充実
通常保育時及び長期休暇の預かり内容、時間延長等を更に充実させる。
(4)設備の改修と環境整備
安全性等を考慮し、老朽化の進んだ遊具や教材用機器等の設備について順次買い替え及
び修繕を行う。
上記重点事項に沿って、執行状況を以下にまとめた。
(1)保育の充実と地域との交流強化
・通常の保育や行事が幅広く経験出来るよう教員研修を深め、保育の内容を充実させた。また、
地域の行事に積極的に参加したり園庭開放でのイベントを充実させる等地域との関わりを
より深めた。
・月1回の公開保育(各クラス担任が年1回)を実施 又、積極的に研修会に参加し、教員研
修を深める。学期末には、自己点検・評価を提出し質の向上を図った。
・人権の花運動地元の寿会(敬老会)等の活動に参加又園庭開放においては、未就園児対象に
プールを開放したり、講師を招き親子ふれあい体操等を実施し地域との交流を図った。
(2)預かり保育の充実
通常保育時の預かり時間を延長及び長期休暇の預かり保育を実施した。
通常の預かり時間の延長及び長期休暇の預かり保育を実施し、預かり保育の充実を図り積
極的に預かり保育に対応した。
(3)施設の改修と環境整備
安全性等を考慮し、老朽化の進んだ遊具や教材用機器について順次買い替え及び修膳を行
った。
藤棚破損のため新設工事・園内高木剪定。
- 61 -
園児送迎バス(きりん号)新規購入。絵本室絵本棚移設工事。
排水管一部の布設替え工事。
(4)財政基盤の強化
財政基盤の安定を図るための目的預金の積立を行った。
- 62 -
Ⅲ. 財務の概要
平成 23 年度決算の概要
平成 23 年度の学園全体の決算概要についてご報告いたします。
単年度の収支バランスがわかる「消費収支計算書」で見ますと、学費収入など正味の収入の合計
である帰属収入合計は学園全体で 55 億円となりました。
各部門は事業の重点事項を中心に教育研究活動に取り組みました。大学では「幅広い職業人育成」
に重点的に取り組む大学として、教育力の向上に努め、昨年度から「教育から『協育』へ」を基本
コンセプトに「成長確認型人材『協育』プログラムの展開」の取り組みを行っています。また、大
学認証評価に際して指摘された事項について「改善報告書」を提出し、再評価の結果、「適合」判
定を受けることができました。また、大学の将来展望を明確にするため「中長期計画」を策定する
一方、FD・SD活動等を通じて全学的に教育力の向上に向けての取り組みを行いました。施設整
備については、校舎の耐震化工事を実施しました。
中学・高等学校ではコース制の特性を鑑み、高い学力を身につけ、自らの力で社会貢献できる将
来を迎えるために高い目標を掲げ、その目標達成に向け、親切でかつ丁寧、そしてきめ細かい指導
を行なうことを教育の目標とし、高校では海外研修及び留学の実施、情報教育環境の充実、奨学金
や学費減免制度の充実、校舎の耐震化改修を図りました。中学校では海外研修や英語教育・情報教
育の充実や体験学習の推進、奨学金制度の充実を図りました。
幼稚園では自主性、創造性を養い、一人ひとりの個性と能力を伸ばすことを教育目標として保育
の充実や地域との交流を積極的に推進してきました。また、預かり保育の時間延長等を実施し、預
かり保育の充実を図ってきました。遊具や教材用機器について順次修繕・更新を行いました。
施設整備や各学校の備品、図書の購入などにより 9 千 9 百万円を基本金に組入れました。人件費
や、減価償却費を含む教育研究経費、管理経費、資産処分差額などの消費支出合計は 60 億 6 千 9
百万円となりました。
その結果、単年度収支は 6 億 6 千 9 百万円の支出超過となりました。
65 頁以降に、学校法人会計の中心となる計算書類である「資金収支計算書」、
「消費収支計算書」、
「貸借対照表」の三表の概要を掲載いたします。
なお、本学園は学校法人会計基準(昭和 46 年 4 月 1 日文部省令第 18 号)に従い、収支計算書お
よび貸借対照表を作成しております。同会計基準による様式は、補助金交付の観点からの表示区分
となっております。
(次頁以降の財務諸表は千円未満切捨てにて表示しております。
そのため表中の合計が合わないことがありますがご了承ください。
)
- 63 -
( 学校会計と企業会計の違いについて )
学校法人会計の基本的な考え方は、企業の会計原則と変わりありませんが、その事業目的に大き
な違いがあります。企業会計が損益の追求を重視するのに対し、学校会計は教育研究活動を目的と
した収支計算が重視されています。また、学校法人は授業料のほか、税金を源資とする国や地方公
共団体の補助金などにより運営されますので、計画的に教育研究活動を行うため予算制度を重視し
ています。また、会計処理の適正化のため公認会計士や監査法人の監査制度が導入されています。
学校法人会計の目的は、極めて公共性が高いため、収支の均衡の状況と財政の状況を正しくとら
え、法人が永続的に発展するために役立てようとすることにあります。
事業目的
会計処理のルール
作成書類
学校法人会計
教育・研究活動
学校法人会計基準
資金収支計算書
消費収支計算書
貸借対照表
企業会計
利益追求経済活動
企業会計原則
キャッシュフロー計算書
損益計算書
貸借対照表
(京都学園中学高等学校)
- 64 -
【 資金収支計算書 】
資金収支計算書とは、当該会計年度における学校法人全体の諸活動に対応するすべての資金(支払資金)の収
入と支出のてん末を明らかにするものです。家計簿や一般の各種団体の収支表に近い計算書と考えられます。
収支の部には、前受金や未収入金および前年度からの繰入金を含めています。また、支出の部には、前払金や
未払金および次年度への繰越金を含めており、収入の部合計と支出の部合計が合うことになります。
収入の部
科 目
学生生徒等納付金収入
(単位:千円)
予 算
決 算
差 異
4,143,140
4,141,646
説 明
学校の収入で、一番大きな割合を占めます。
決算で積算した学生・生徒・園児数は、大学2,783名(大学
1,493 院含む)、高校1,052名、中学校190名、幼稚園275名の合計
4,300名です。
手数料収入
85,250
66,883
寄付金収入
14,830
16,618
補助金収入
1,089,280
985,313
資産運用収入
42,510
46,684
資産売却収入
3,020
3,028
事業収入
35,330
42,360
雑収入
99,990
140,106
842,390
566,718
18,366 入学検定料などの手数料収入です
寄付講座の開講寄付や、新入生及び在校生・父母や篤志
△ 1,788 家からの寄付金です。
国からの補助金が約3億3千万円、京都府等の地方公共団
103,966 体からの補助金が約6億5千万円です。
国債や銀行定期預金などによる受取利息や教室・グラウン
△ 4,174 ドの使用料です。
△ 8 有価証券の満期などです。
課外講座の受講料や幼稚園通園バス料や及び受託研究の
△ 7,030 収入などです。
△ 40,116 退職金財団からの退職交付金などです。
新入生の入学金や学費です。決算で積算した入学生・入園
前受金収入
275,671 児数は大学657名(大学院含む)、高校437名、中学校53名、
幼稚園54名の合計1,201名です。
以前から積み立てていた預金等を取崩した額や、前年度
その他の収入
1,497,710
1,489,761
7,948 (22年度)に未収入金としていた退職金財団からの交付金、
預り金などです。
資金収入調整勘定
△ 691,320
△ 793,084
101,764 未収入金や、前年度(22年度)の前受金です。
前年度繰越支払資金
1,757,730
1,757,738
△ 8
収入の部合計
8,919,860
8,463,774
456,085
支出の部
科 目
(単位:千円)
予 算
決 算
差 異
説 明
人件費支出
3,249,100
3,246,754
2,345
学校の支出で、一番大きな割合を占めます。退職金もこの
人件費支出に含みます。
教育研究経費支出
1,615,160
1,476,677
138,482
直接教育研究活動に係る経費で、消耗品費、光熱水費、奨
学費、印刷製本費、教員研究費、修繕費、学生生徒費、業
務委託費などがあります。
学校運営に必要な経費や、間接的に教育研究活動をサ
ポートする経費です。理事会や評議員会に係る経費や、学
生生徒園児募集に係る経費、大学のスクールバスに係る経
費、学費納入業務などの経理に係る経費、給与業務などの
総務に係る経費などがあります。
管理経費支出
516,600
486,405
30,194
580
571
8
施設関係支出
324,890
324,880
9,697
各学校の建物等改修、環境整備工事費などです。大学校
舎の耐震化や高校の校舎耐震改修工事をしました。
設備関係支出
199,960
187,475
12,484
パソコンや、教室の机・椅子などの備品や図書などの購入
費用です。
資産運用支出
397,120
396,783
336
その他の支出
880,670
869,933
10,736
借入金等利息支出
[予備費]
資金収入調整勘定
58,080
リース資産に対する未払金利息です。
財政安定に備えた資金留保として、将来の施設・設備の更
新や学内整備等に必要となる資金などを各種特定預金に
積立ています。
前年度(22年度)の預り金の支払、私学共済掛金等未払金
の支払などです。
58,080
△ 167,350
△ 213,529
46,179
次年度繰越支払資金
1,845,050
1,687,822
157,227
支出の部合計
8,919,860
8,463,774
456,085
- 65 -
未払金や、前年度(22年度)の前払金です。
【 消費収支計算書 】
消費収支計算書とは、当該年度の「帰属収入」から「基本金組入額」差し引いた「消費収入」を、消費する
資産および用務の対価としての「消費支出」と対比し、収支の均衡がとれているかどうかを判断するための
当該年度の収支バランスはどうであったかを読み取ることができる計算書です。
収入の部
科 目
学生生徒等納付金
手数料
(単位:千円)
説 明
差 異
1,493 (資金収支計算書と同額)
18,366 (資金収支計算書と同額)
予 算
4,143,140
85,250
決 算
4,141,646
66,883
21,000
27,690
補助金
資産運用収入
資産売却差額
事業収入
雑収入
1,089,280
42,510
1,350
35,330
168,640
985,313
46,684
1,341
42,360
186,612
帰属収入合計
5,586,500
5,498,531
87,968 のように負債となる収入は含まず、金銭以外の現物寄付
△ 163,560
△ 99,156
△ 64,403
「基本金組入」は、学校法人が教育研究活動に必要な
資産を継続的に保持するため、帰属収入から対象とな
る資産相当額を控除する制度で、学校法人会計基準に
定められています。継続的に保持すべき資産とは土地、
建物、構築物、機器、備品、図書等を指します。
収入の部合計
5,422,940
5,399,375
23,564
支出の部
科 目
予 算
決 算
人件費
3,184,050
3,165,210
18,839
教育研究経費
2,269,180
2,135,535
133,644
567,960
541,937
26,022
借入金等利息
580
571
8
資産処分差額
226,280
224,881
1,398
徴収不能額
[予備費]
支出の部合計
1,010
35,970
6,285,030
1,002
8
35,970
215,891
寄付金
資金収支計算書の計上内容の他に、備品等の現物寄
△ 6,690 付も含まれます。
103,966 (資金収支計算書と同額)
△ 4,174 (資金収支計算書と同額)
8
△ 7,030 (資金収支計算書と同額)
△ 17,972 (資金収支計算書と同額)
負債とならない正味の収入をいいます。従って、借入金
基本金組入額合計
管理経費
は含みます。
差 異
6,069,138
△ 862,090
△ 669,763
△ 3,075,708
3,075,708
75,570
基本金取崩額
6,721
翌年度繰越消費収支超過額 △ 3,862,228 △ 3,738,750
当年度消費収支超過額
△ 698,530
帰属収入構成比率(総額: 5,498 百万円)
資産売却差額
0.0%
事業収入
0.8%
手数料
1.2%
(資金収支計算書と同額)
校舎改修や学内整備・備品の更新による固定資産の処
分に係る計上額です。
徴収不能と見込まれた額を計上しました。
△ 127,923
消費支出構成比率(総額: 6,069 百万円)
雑収入
資産処分差額
3.7%
3.4%
徴収不能額
0.0%
借入金等利息
0.0%
資産運用収入
0.8%
寄付金
0.5%
△ 570,607
資金収支計算書計上内容に、退職金に係る引当金など
の調整がされています。
資金収支計算書計上内容の他に、減価償却額が含ま
れます。
資金収支計算書計上内容の他に、減価償却額が含ま
れます。
-
-
-
-
前年度繰越消費収支超過額
帰属収支差額
(単位:千円)
説 明
管理経費
8.9%
補助金
17.9%
人件費
52.2%
教育研究経費
35.2%
学生生徒等
納付金
75.3%
- 66 -
【 貸借対照表の状況 】
貸借対照表とは、決算日(3月31日)現在における学園の資産および負債・基本金・収支差額内容や構成バラ
ンスを表しています。
資産の部
科 目
固定資産
有形固定資産
その他の固定資産
流動資産
資産合計
(単位:千円)
本年度末
前年度末
26,341,471
27,067,579
△ 726,108
18,566,333
18,981,932
△ 415,599
7,775,137
8,085,646
△ 310,508
1,986,498
2,263,796
△ 277,297
28,327,969
29,331,376 △ 1,003,406
負債の部
科 目
増 減
(単位:千円)
本年度末
前年度末
増 減
固定負債
1,613,534
1,755,240
△ 141,706
流動負債
876,199
1,167,292
△ 291,093
2,489,733
2,922,532
△ 432,799
29,576,987
29,484,551
92,435
△ 3,738,750 △ 3,075,708
△ 663,042
負債合計
基本金
消費収支差額
合計
28,327,969
固定資産の増減は、大学校舎
の耐震化や高校校舎の耐震改
修工事による増、大学・高校校
舎の取り壊しによる減が大きな
ウェートを占めます。
また、有形固定資産は減価償
却により毎年、会計上の帳簿価
格は減少します。
29,331,376 △ 1,003,406
借入金、未払金、前受金、預り金、
退職給与引当金などです。
固定負債
5.7%
貸借対照表構成比率
(総額: 28,327 百万円)
流動負債
3.1%
土地や建物、構築物、備品、
図書、車輌など
(減価償却後の残高)
有形固定資産
65.5%
固定資産
93.0%
前払金、貸付金、特定預金な
ど
基本金
104.4%
その他の
固定資産
27.5%
流動資産
7.0%
翌年度への繰越金な
ど
資産の部
学校法人が諸活動に必要な資産
を継続的に保持していくために、
学校法人会計基準で定められたし
くみ。
第1号~第4号に区分し組入れる。
(前頁【消費収支計算書】と併せて
ご確認ください)
・第1号基本金・・・校地・校舎・
備品・図書等の基本的な
固定資産の取得に対応
・第2号基本金・・・将来、基本的な
固定資産取得のために計画
された特定預金の積立額に
対応
・第3号基本金・・・奨学基金などの
基金積立額に対応
・第4号基本金・・・恒常的に保持
すべきとされる資金の額に対応
負債の部
消費収支差額
基本金の部
△13.2%
消費収支差額の部
- 67 -
負債
8.8%
経年比較
資金収支計算書
収入の部
科 目
学生生徒等納付金収入
(単位:千円)
19年度
4,740,211
20年度
21年度
22年度
23年度
4,548,766
4,454,754
4,281,383
4,141,646
手数料収入
87,331
89,655
83,187
75,559
66,883
寄付金収入
18,188
173,190
8,339
25,777
16,618
補助金収入
825,442
829,142
843,521
972,867
985,313
資産運用収入
82,096
82,916
75,205
57,013
46,684
資産売却収入
6,582
1,105
3,004
17,801
3,028
45,386
50,273
49,382
46,140
42,360
雑収入
226,181
208,833
168,597
298,748
140,106
前受金収入
669,400
695,423
635,846
620,870
566,718
1,797,066
843,566
1,147,683
1,380,334
1,489,761
△ 927,773
△ 815,557
△ 899,095
△ 967,384
△ 793,084
事業収入
その他の収入
資金収入調整勘定
前年度繰越支払資金
1,801,898
1,703,276
1,783,472
1,767,152
1,757,738
収入の部合計
9,372,012
8,410,593
8,353,899
8,576,264
8,463,774
支出の部
科 目
(単位:千円)
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
人件費支出
3,781,884
3,615,244
3,869,375
3,713,471
3,246,754
教育研究経費支出
1,231,409
1,337,690
1,207,212
1,350,013
1,476,677
664,059
599,810
551,604
455,532
486,405
借入金等利息支出
1,616
808
27
387
571
借入金等返済支出
16,660
16,660
0
0
0
管理経費支出
施設関係支出
1,188,664
290,412
111,121
141,005
324,880
設備関係支出
176,029
125,717
146,654
135,278
187,475
資産運用支出
304,605
180,680
346,288
540,746
396,783
その他の支出
639,580
754,447
738,133
901,043
869,933
△ 335,775
△ 294,349
△ 383,672
△ 418,954
△ 213,529
次年度繰越支払資金
1,703,276
1,783,472
1,767,152
1,757,738
1,687,822
支出の部合計
9,372,012
8,410,593
8,353,899
8,576,264
8,463,774
資金収入調整勘定
- 68 -
消費収支計算書
消費収入の部
科 目
学生生徒等納付金
(単位:千円)
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
4,740,211
4,548,766
4,454,754
4,281,383
4,141,646
手数料
87,331
89,655
83,187
75,559
66,883
寄付金
31,470
186,603
20,918
56,319
27,690
補助金
825,442
829,142
843,521
972,867
985,313
資産運用収入
82,096
82,916
75,205
57,013
46,684
資産売却差額
0
0
0
11,920
1,341
45,386
50,273
49,382
46,140
42,360
226,181
208,833
168,597
298,748
186,612
6,038,120
5,996,192
5,695,568
5,799,953
5,498,531
基本金組入額合計
△ 1,094,257
△ 285,178
△ 185,044
△ 219,685
△ 99,156
消費収入の部合計
4,943,863
5,711,014
5,510,523
5,580,267
5,399,375
事業収入
雑収入
帰属収入合計
消費支出の部
科 目
(単位:千円)
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
人件費
3,738,817
3,554,447
3,864,965
3,677,337
3,165,210
教育研究経費
1,956,043
2,084,575
1,948,611
2,067,402
2,135,535
720,253
655,290
606,659
508,510
541,937
借入金等利息
1,616
808
27
387
571
資産処分差額
147,946
115,604
11,363
18,412
224,881
0
0
260
771
1,002
6,564,677
6,410,726
6,431,887
6,272,821
6,069,138
当年度消費収支超過額
△ 1,620,813
△ 699,712
△ 921,363
△ 692,554
△ 669,763
前年度消費収支超過額
566,780
△ 981,375
△ 1,583,690
△ 2,504,238
3,075,708
72,657
97,397
815
121,084
6,721
△ 981,375
△ 1,583,690
△ 2,504,238
△ 3,075,708
△ 3,738,750
管理経費
徴収不能額
消費支出の部合計
基本金取崩額
翌年度繰越消費収支超過額
貸借対照表
(単位:千円)
科 目
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
固定資産
28,976,978
28,389,494
27,703,137
27,067,579
26,341,471
流動資産
2,024,642
2,105,442
2,167,194
2,263,796
1,986,498
資産の部合計
31,001,621
30,494,936
29,870,331
29,331,376
28,327,969
固定負債
1,823,137
1,763,899
1,791,553
1,755,240
1,613,534
流動負債
1,145,918
1,113,005
1,197,066
1,167,292
876,199
負債の部合計
2,969,055
2,876,904
2,988,619
2,922,532
2,489,733
基本金の部合計
29,013,940
29,201,721
29,385,950
29,484,551
29,576,987
消費収支差額の部合計
△ 981,375
△ 1,583,690
△ 2,504,238
△ 3,075,708
△ 3,738,750
負債の部、基本金の部及
び消費収支差額の部合計
31,001,621
30,494,936
29,870,331
29,331,376
28,327,969
- 69 -
主な財務比率比較
(単位:%)
比 率 名
帰属収支差額比率
消費収支比率
学生生徒等納付金比率
人件費比率
教育研究経費比率
管理経費比率
流動比率
負債比率
自己資金構成比率
基本金比率
算 式
帰属収入-消費支出
帰属収入
消費支出
消費収入
学生生徒納付金
帰属収入
人件費
帰属収入
教育研究経費
帰属収入
管理経費
帰属収入
流動資産
流動負債
総負債
自己資金※1
自己資金
総資金※2
基本金
基本金要組入額
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
-8.7%
-6.9%
-12.9%
-8.2%
-10.4%
132.8%
112.3%
116.7%
112.4%
112.4%
78.5%
75.9%
78.2%
73.8%
75.3%
61.9%
59.3%
67.9%
63.4%
57.6%
32.4%
34.8%
34.2%
35.6%
38.8%
11.9%
10.9%
10.7%
8.8%
9.9%
176.7%
189.2%
181.0%
193.9%
226.7%
10.6%
10.4%
11.1%
11.1%
9.6%
90.4%
90.6%
90.0%
90.0%
91.2%
99.8%
100.0%
100.0%
100.0%
99.9%
※1 自己資金=基本金+消費収支差額
※2 総資金=負債+基本金+消費収支差額
- 70 -
おわりに
今後の課題
学校法人京都学園は大正 14 年に京都商業学校として創立し、大学院、大学、高等学校、中学校、
幼稚園を擁する総合学園として発展し、幾多の有為な人材を輩出し社会の各分野で活躍しておりま
す。本学園の社会的役割は大きく、内外から寄せられる期待に今後も応えていくことが使命であり、
そのために魅力あるゆたかな学園づくりをしていくことは私どもに課せられた責務であります。
昭和44年に開学した大学は経済学部・経営学部・法学部・人間文化学部・バイオ環境学部の5
学部並びに5研究科を擁する総合大学として、社会が求める人材の育成を実現するために地域・社
会と共に取り組む「協育」のもとに、知識だけにとどまらず実践的教育を身につけた学生の育成を
行い、学生個別指導の強化、教育の質の向上を図ります。また、中長期計画の中で示された新キャ
ンパスの設置、創立 50 周年を視野に入れた学部学科の再編計画の実施に向けた取り組みを行って
まいります。
中学高等学校については、高い学力を身につけ、将来生徒が自らの力で社会貢献できるよう全力
でサポートする。生徒が喜ぶことを常に考え、実行に移し、生徒の心に火をつける情熱ある指導を
行う。それは、生徒一人ひとりに思いやりのある温かい指導を徹底させ、生徒に感動を与え、明る
く楽しい学校作りに専念してまいります。また、施設整備については、中長期計画の中で示されて
いる第2期校舎整備計画を着実に推進していきます。
幼稚園は地域との交流を積極的に行い、保育の充実を更に努めているところです。
このように各学校とも今後も続く少子化の進行を見据えて、教学面では各学校が連携して特色あ
る教育研究活動を活性化させて社会的役割を果たしていくとともに、魅力ある教育活動を具体化し
情報発信して、激化した学校間競争のなかで学生・生徒・園児を確保し続けることが重要であり最
大限の努力をはらっていきます。また、一方では収入の規模に応じた支出構造の改革を推し進めて、
関係者の理解を得ながら経営を経常的に安定化させていくことも重要な課題であると認識してい
ます。
今後とも学園を取り巻く厳しい環境のなかで、安定的な経営基盤の構築と維持に向けた取組みを
続けてまいります。
- 71 -
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