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食事管理のポイント(PDF:1590KB)

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食事管理のポイント(PDF:1590KB)
*目 次*
1. 食事のポイント
・・・・・・・・・・・・・・・・2
2. 栄養素の基礎知識
・・・・・・・・・・・・・・・・・3
3. たんぱく質のとり方
4. LES について
5. 減塩のポイント
・・・・・・・・・・・・・・・・7
・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
・・・・・・・・・・・・・・・・・15
6. 栄養基準量と食品構成
・・・・・・・・・・・・・・16
7. 食品の 1 回摂取目安量一覧
・・・・・・・・・・・18
~エネルギー・たんぱく質・食塩相当量~
8. 食品表示とその活用
9. レシピ集の見方
10. 主食の目安量
・・・・・・・・・・・・・・20
・・・・・・・・・・・・・・・・・23
・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
1. 1 日 1 9 0 0 kcal の 食 事 ・・・・・・・・・・・・27
の間食
2. kcal
150~200kcal
の間食 ・・・・・・・・・・・・57
3. 食欲のない時の一品料理
食欲のない時の一品料理
・・・・・・・・・・・・66
1
1.食事のポイント
1.エネルギー、たんぱく質は適量とるように
エネルギーやたんぱく質を過剰にとることは、脂肪肝やアンモニアの値が
高くなる原因となります。一方、不足するとたんぱく質・エネルギー低栄養状態
を招きます。そのため、バランス良く適量とることが大切です。
2.1日3食を規則的に
肝臓に糖分をグリコーゲンとして貯留する力の弱くなった方の場合は、肝臓のグリコーゲンが
欠乏しないように、3食を規則的にとることが大切です。
3.腹8分目を目安に、よく噛んで食べる
食べ物をよく噛んで食べることで、満腹感を得やすく、消化もよくします。
4.深夜に消化の悪いものをとらないように
肝硬変の方は、就寝前に炭水化物を中心にエネルギーを補うことがすす
められます(LES)。しかし、深夜に脂肪の多い消化の悪いものをとると、
胃腸に負担をかけてしまいますので注意しましょう。
本レシピ集は、150~200kcal の炭水化物を中心とした
間食レシピも掲載しています。
5.合併症のない肝硬変の食事
肝硬変でも腹水や黄疸、脳症などの合併症がない時期には、
“バランスのよい食事を適量に”を心がけてください。
レシピ集もご覧いただき、日常の食事作りにご活用ください。
6.糖尿病を合併した場合の食事
食後の血糖上昇を防ぐには、一度に大量に食べない、ブドウ糖
の吸収のよすぎる食品(精製された食品、砂糖、菓子類、果実類)
の食べ過ぎを避けるなどの注意が必要です。
また少量を頻回にとることも血糖を安定させるために有効です。
7.腹水やむくみのある時期の食事
1日5~6g 程度に塩分制限をします。
本レシピ集に掲載しました献立は
全て食塩量 1 日 6g未満のものですのでご覧ください。
※肝疾患の治療については主治医とご相談下さい。
2
2.栄養素の基礎知識
1.三大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)
三大栄養素
炭水化物(糖質、食物繊維)
1g=4kcal で人体の主なエネルギー源として利用されます。
たんぱく質
1g=4kcal のエネルギーを産生し、血液や筋肉、臓器などの体の構成成
分として利用されます。
脂質
1g=9kcal と効率のよいエネルギーを産生します。
脂溶性ビタミン(ビタミン A,D, E,K)の吸収を助けます。
*上記3つの栄養素は過剰に摂取すると、糖尿病や肥満等の原因になり
ます。また、欠乏するとやせや疲労につながります。
消化
ブドウ糖:食事から摂った炭水化物が分解されブドウ糖になります。
血糖値を維持するために必要で、特に脳や神経系にとっては唯一のエネルギー源です。
アミノ酸:食事から摂ったたんぱく質が分解されてアミノ酸になります。
血液や筋肉などを作る主要成分です。不足すると、筋肉量の減少により体力の低下や
免疫力の低下につながります。
脂肪酸:食事から摂った脂質が分解されて脂肪酸になります。
脂肪酸にはリノール酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)
などがあります。
吸収
分解されたブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸は小腸で吸収されます。
ビタミン B₁、B₂
ビタミン B₁、B₂は三大栄養素をエネルギーに変えるために必要な
代謝
エネルギー
ビタミンです。食事から摂取しないと不足してしまうビタミン
なので、食事からしっかり摂取することが大切です。
3
2.ビタミン
(1) ビタミン B1・B2
ビタミン B1 →豚肉や豆類、未精製の穀類、種実類に多く含まれます。
ビタミン B2 →牛乳・乳製品、卵、魚など動物性食品に多く含まれます。
ビタミン B₁は糖質(炭水化物)を中心にたんぱく質、脂質を
エネルギーに変える際必要であり、神経機能や脳を正常に保つ働きが
あります。欠乏すると、エネルギー産生に支障をきたし疲労感、息切れ、
動悸、むくみ、食欲不振、手足のしびれなどを起こします。
炭水化物
脂質
たんぱく質
ビタミン B2 は糖質(炭水化物)、たんぱく質、脂質をエネルギーに変える
際に関わります。欠乏すると口角炎、舌炎、皮膚炎などが起こります。
また口腔内・皮膚などの粘膜を正常に保つために必要な栄養素です。
(2) ビタミン C
→野菜、じゃがいも、果物などに多く含まれます。
抗酸化作用
ビタミン C はたんぱく質の合成に関わり、
血管や皮膚を正常に保つために必要な栄
養素です。また、鉄の吸収を助けたり、
抗酸化作用を持っています。
欠乏すると歯肉炎や貧血、全身怠惰感、脱力、
食欲不振、壊血病などが起こります
4
(3) ビタミン A
→緑黄色野菜、レバーに多く含まれます。
眼や皮膚・粘膜の機能を保つ働きがあります。日本人はビタミン A を日本人は主に緑黄
色野菜から摂取しています。しかし野菜の摂取量は足りていないので淡色野菜とともに
緑黄色野菜からしっかりとビタミン A を摂取しましょう。またレバーはビタミン A と
同時に鉄も多く含まれているので、鉄の摂取に制限がある方は控えましょう。
欠乏すると夜盲症、いわゆる“とりめ”といわれる症状で、夜や暗い場所で物が見えに
くくなります。また口内炎や肌荒れ、感染症を起こしやすくなります。
摂
り
す
ぎ
る
と
…
めまい・吐き気・頭痛
不
足
す
る
と
…
肌荒れ
感染症
夜盲症(とりめ)
口内炎
サプリメントでの摂
りすぎ注意!
3.ミネラル(無機質)
(1) 鉄
→レバー、赤身の肉と魚肉、葉もの野菜、あさり、しじみ、ひじきなどに多く
含まれます。
鉄は血液中の主にヘモグロビン(赤血球)をつくる材料となります。
また呼吸で取り入れた酸素を全身に送る作用に関わっています。
不
足
す
る
と
…
疲れやすい
便秘
貧血
頭痛や動悸
息切れ
爪の異常
健康な人は通常の食生活で摂りすぎを心配する必要はありませんが、肝硬変の方は鉄制限
が必要な場合がありますので、主治医の指示に従ってください。
5
(2) カルシウム
→牛乳・乳製品、小魚や大豆製品、一部の緑黄色野菜に多く含まれます。
骨や歯の形成、血液凝固作用の促進、筋肉の収縮と弛緩、心臓機能などに関与します。
体内カルシウムの 99%は骨や歯に存在し、残り 1%が筋肉や血液に含まれます。
血中のカルシウムが不足すると、骨に貯蔵
骨粗しょう症
心筋梗塞
されたカルシウムが溶け出して不足を補いま
高血圧
す。これが長期に続くと、骨粗しょう症や骨軟
骨軟化症
化症を引き起こす原因となります。
(3)食塩
→漬物や干物、ハム、かまぼこ・ちくわなどの魚肉練り製品やチーズに多く含まれています。
食塩を摂りすぎるとむくみの原因となったり、血圧が上昇することで動脈硬化が促進されま
す。また、カルシウムの排泄を促してしまう作用があります。
むくみ
摂
り
す
ぎ
る
と
…
血圧上昇
動脈硬化の促進
カルシウム排泄
4.食物繊維
→緑黄色野菜、淡色野菜、きのこ類、海藻類、果物、大麦などに多く含まれます。
食物繊維をとって便秘解消!
食物繊維は人間の消化酵素で消化されにくい成分です。食物繊維
により便を柔らかくし便秘を解消します。お腹の中で膨らむので
満腹感も得られやすく食べ過ぎや過度の食欲を抑えます。
6
3.たんぱく質のとり方
1.合併症がない肝硬変(代償期)の場合
肝硬変でも腹水や黄疸、脳症など合併症のない場合は、特にたんぱく質の制限はありませんが、
低栄養・浮腫・腹水を防ぐために、適量のたんぱく質の摂取を心がけ、バランスのよい食事を摂る
ようにしましょう。
適量のたんぱく質については、
『6.栄養基準と食品構成』(16ページ)をご覧ください。
2.たんぱく質制限のある場合
分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤を使用している場合や慢性腎臓病(CKD)を合併する場合には、たん
ぱく質の制限が必要です。
〈どうしてたんぱく質を制限しなければならないのでしょうか〉
肝臓
た
肝臓の機能が低下すると
たんぱく質の代謝が阻害され
体内に有害物質のアンモニアが
黄疸・下肢のむくみ・腹水・
ん
意識障害などが引き起こされる
ぱ
肝性脳症
蓄積される
く
質
高アンモニア血症
の
制
腎臓
腎臓の機能が低下すると、
たんぱく質摂取量が多いと腎臓に
体内に窒素化合物が蓄積する
負担がかかり、腎症の進行を
尿毒症
限 +
が B
早める恐れがある
必 C
要 A
たんぱく質の老廃物(窒素化合物)を
A
腎臓から尿中へ排泄できない
1日の目標とするエネルギーやたんぱく質の基準量から
BCAA 製剤のエネルギーとたんぱく質を差しひいて
残りを食事からとります。
7
3.分岐鎖アミノ酸(BCAA)について
肝硬変の方は十分な食事を摂っていても栄養状態が悪いことがあります。
肝硬変
・・・十分な食事を摂っていても
栄養状態が悪くなる
〈分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは何でしょうか?〉
私たちの体を構成しているアミノ酸は約 20 種類ありますが、このうち肝硬変で問題となるアミ
ノ酸は分岐鎖アミノ酸(BCAA)と芳香族アミノ酸(AAA)の2種類です。
バリン
ロイシン
分岐鎖アミノ酸(BCAA)
イソロイシン
☆分岐鎖アミノ酸(BCAA)の働き
体内のたんぱく質を合成する作用の促進と筋肉のたんぱく質の崩壊を防ぐ働きがあります。
主に筋肉で代謝されて、エネルギー源となります。
フェニルアラニン
芳香族アミノ酸(AAA)
チロシン
☆芳香族アミノ酸(AAA)の働き
神経伝達物質を作る基になるアミノ酸の総称です。筋肉や組織を作るたんぱく質の構成成分
として利用されます。主に肝臓で代謝されます。
★肝硬変では、この BCAA と AAA のアミノ酸のバランス(アミノ酸インバランス)が崩れること
が問題なのです。
〈BCAA と AAA のバランスが崩れるとどうなるのでしょうか?〉
肝硬変の場合、肝臓の機能が低下し、肝臓で代謝されるはずの AAA が代謝されずに増加します。
その一方、筋肉で BCAA が代謝されてエネルギー源となることに加え、アンモニアの処理にも利
用され消費量が多くなってしまい、BCAA が減少してしまいます。そのため、脳内においても BCAA
が減少し、アンモニアの処理ができないために、高アンモニア血症による肝性脳症を生じやすい状
態となります。
8
アルブミンの不足→低栄養→筋肉量の低下
機能の低下した肝臓
たんぱく質合成が出来ない
骨格筋
エネルギー産生が出来ない
BCAA を使用してエネルギー産生
尿素回路でのアンモニアの処
理が出来ない
→アンモニアの蓄積
肝臓にかわり BCAA を使用し
高アンモニア
アンモニアの処理
血症
このため BCAA が大量に消費される
AAA の代謝ができない
→BCAA の不足
→AAA の増加
血中へ
血中へ
血管
血管
AAA の増加と BCAA の不足によるアミノ酸インバランスが起こる
脳内へ
脳
AAA の増加
→神経伝達物質の異常
BCAA の不足→アンモニアの処理不足
高アンモニア血症
↓
精神症状を伴う肝性脳症を引き起こす一因となる
〈なぜ分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤が必要なのでしょうか?〉
通常の食事からは BCAA のみを大量にとることは難しいため、アミノ酸のバランスを適正に保
つためには、分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤の補充が必要です。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤によって BCAA を補充すると、肝臓で作られるたんぱく質の合成が
進み、栄養状態の改善につながります。
たんぱく質の制限を行うと・・・
たんぱく質制限のみ
たんぱく質はエネルギー源でもあるので、制限することで摂取エネルギー量が減ってしまいます。その
ではエネルギー不足
ため、体を作っているたんぱく質(筋肉)を分解してエネルギー源とします。
しかし、体内のたんぱく質が分解されるとたんぱく質を摂取した時と同様に有害物質が作られます。
たんぱく質制限のみ
体たんぱく質(筋肉)を
ではエネルギーが不足
分解し、エネルギー源と
する
アンモニアや窒素
化合物ができる
そこで、摂取するたんぱく質が少なくても、体たんぱく質が分解されないように、脂質・炭水化物(糖質)
の多い食品から十分なエネルギーを摂取することが大切です。
9
・慢性腎臓病(CKD)のある方
・BCAA 製剤を使用している方は、
4.たんぱく質を減らす場合のポイント
こちらをご覧ください。
〈良質なたんぱく質をとりましょう〉
魚、肉、卵、乳類などの動物性たんぱく質は良質なたんぱく質であり、必須アミノ酸を
バランスよくとることができます。
〈たんぱく質性食品は少しずつ多くの種類をとりましょう〉
たんぱく質の多い食品を別々の料理でそれぞれ使うのではなく、主菜として一つにまとめるとボ
リュームが増して満足感がもてます。
ボリュームをもたせる工夫例として、卵、鶏ひき肉、豆腐といった高たんぱく質な食品と野菜を
混ぜて焼く「ふくさ焼き」
、
「豆腐ハンバーグ」などがあります。
〈主食やいも、きのこ類、野菜の使用には注意しましょう〉
たんぱく質性食品以外に、穀類、いも類、きのこ類、野菜などの食品にもたんぱく質が含まれて
いるので選ぶ際には注意が必要です。
〈たんぱく質の制限が厳しい場合は、たんぱく質調整用の食品も考えましょう〉
米の代わりにでんぷん米や、低たんぱく質ご飯、低たんぱく質小麦粉などの「たんぱく質調整用
食品」を使うと、主食のたんぱく質を抑えることができます。
低たんぱく質ご飯を使用すると・・・
たんぱく質 4.3gを
主菜、副菜に使用す
ることができます!
交換
普通のご飯
たんぱく質 1/20 ご飯
(たんぱく質量 4.5g)
(たんぱく質量 0.2g)
180g
180g
☆たんぱく質調整食品を使うと・・・
・たんぱく質の制限が無理なくできます。
・主菜の量が増やせるので良質なたんぱく質を摂取できます。
・おかずの量が増やせるのでボリュームのある食事ができます。
10
5.エネルギーを増やす時のポイント
たんぱく質を増やさずにエネルギーを増やすには、「炭水化物」と「油脂」を活用しましょう。
方法①「炭水化物」を増やしましょう
でんぷんの多い食品を活用しましょう。
例えば・・・
はるさめ・くずきり・片栗粉・コーンスターチなどがあります。
方法②「油脂」を増やしましょう
脂質の多い食品は共通してエネルギーが高いため、少量でも多くエネルギーをとることができます。
料理なら・・・
コロッケなどの揚げ物
きんぴらなどの炒め物
調味料なら・・・
or
ドレッシング
or
バター
マヨネーズ
など
☆これらを上手に活用してしっかりエネルギーをとりましょう☆
11
4.LES について
1.LES とは
LES(Late Evening Snack の頭文字をとって LES:レス)とは肝疾患の方が分割食を
行う際に就寝前に食べる夜食のことをいいます。
1 日の総エネルギーは変えず、夜食分のエネルギーは朝・昼・夕から少しずつ減らした量と
します。
約 70kcal
約 70kcal
約 70kcal
約 200kcal
朝食
昼食
夕食
就寝前
<LES はどうして必要なのでしょうか?>
肝疾患の方は、病気によって壊されてしまった肝細胞が多いので、エネルギー源となる糖質(グ
ルコース)の肝臓での取り込みが減少してしまいます。また、安静時のエネルギー消費量(何もせ
ずに横になっている状態で使うエネルギー)が亢進しているため、健常者に比べて多くのエネルギ
ーが必要です。このため、体に蓄えられる糖質が減少し、エネルギー不足になってしまいます。
糖質の
取り込みが減少
蓄えられる糖質が減少
肝臓
肝細胞
病気
糖質
飢餓状態
6時間以上の絶食を防ぐため、LES が推奨されています。
出典:大塚製薬
12
2.LES の摂取方法は自分の生活リズムに合わせて取り入れましょう
LES とは、「就寝前に食べる夜食」とされていますが、生活時間は人それぞれです。夕食から眠
るまでの時間が短い人は、夕食後すぐに LES を摂ることは難しいと思いますので、就寝前に限らず
自分が実行可能な時間帯に取り入れてみましょう。
約 70kcal
約 70kcal
約 70kcal
約 200kcal
朝食
朝食
昼食
昼食
夕食
夕食
就寝前
<朝型の方>
起床直後に LES を摂って、散歩に行くなど時間がたってから朝食を食べるという方法。
約 70kcal
約 70kcal
約 70kcal
昼食
昼食
夕食
夕食
約 200kcal
朝食
朝食
早朝
<昼食から夕食までの時間が長い方>
午後 3 時ごろのおやつの時間帯に LES を摂る方法。
約 70kcal
約 70kcal
朝食
昼食
<LES の条件は?>
・1食あたり 150~200kcal のもの
約 200kcal
間食
約 70kcal
夕食
*1:BCAA を多く含む肝不全経口栄養剤
・エネルギー源となる糖質を含むもの
リーバクト顆粒
・胃もたれしないもの
アミノレバン EN
・簡単に準備できるもの
ヘパン ED
・BCAA を多く含む肝不全用経口栄養剤*1
(使用には、栄養剤に含まれるたんぱく質量
を食事の中のたんぱく質から差し引いて食事に必要なたんぱく質を算出する必要があります。)
13
【簡単にできるおにぎりの紹介】
味噌マヨおにぎり
材料
1個
鶏ひき肉
油
作り方
重量
1.葉ねぎを小口切りにします。
5g
2.油をひき、ひき肉と1を炒めます。
0.5g
3.ボールに2と味噌、マヨネーズ、練りから
葉ねぎ
1g
味噌
2g
マヨネーズ
2g
練りからし
0.1g
エネルギー
たんぱく質
食塩相当量
100g
(kcal)
(g)
(g)
201
3.9
0.2
ごはん
のり(1/6 枚)
梅カツオおにぎり
材料
0.5g
1個
1g
梅干し
1g
ごはん
のり(1/6 枚)
オクラ
エネルギー
たんぱく質
食塩相当量
(kcal)
(g)
(g)
198
3.6
0.3
0.5g
重量
15g
7g
しょうゆ
1g
かつお節
0.5g
のり(1/6 枚)
2.かつお節、マヨネーズ、1をよく混ぜます。
100g
みょうが
ごはん
1.梅干しは食べやすい大きさに刻みます。
3.5g
オクラとみょうがのおにぎり
材料
作り方
重量
かつお節
マヨネーズ
しを入れ全体をよく混ぜます。
100g
1個
作り方
1.オクラは小口切り、みょうがは千切りにします。
2.ボールに1としょうゆ、かつお節を入れよく混ぜます。
エネルギー
たんぱく質
食塩相当量
(kcal)
(g)
(g)
177
3.4
0.1
0.5g
14
5.減塩のポイント
1.味噌汁は1日1回、具だくさんの味噌汁にしましょう
味噌汁には野菜やきのこなどの具を多く入れることで量が増し、汁が少なく
ても量が多く見えます。汁が少ないと、味噌の量が減るので減塩になります。
2.外食はなるべく避けましょう
外食は塩分が多く含まれるので、極力避けましょう。どうしても食べたいときは、栄養表示等を
参考に塩分が少ないものを選びましょう。
(栄養表示の見方についてはのちほど説明します。)
また、麺類の汁は麺に合うように濃い味付けになっています。全て汁を飲んでしまうと 1 杯で
5~7gの食塩を摂ってしまいます。汁は全部飲まずに残すようにし、頻回に食べないように気を
つけましょう。
3.調味料はかけるより、つけましょう
醤油やソースなどの調味料をかけると皿の下に溜まり、材料に余分な塩分が
しみ込んでしまうため、塩分の摂りすぎにつながります。寿司の醤油や揚げ
物のソースなどはつけて食べるようにしましょう。
4.よく食べる塩分の多い食品の食べすぎに注意しましょう
ハムやちくわ等の加工食品や漬物には塩分が多く含まれるの
で、加工食品の利用はなるべく避け、漬物は1日1回少量に
しましょう。味付けご飯も食塩を多く含むため、食べ過ぎには
注意しましょう。
5.香味野菜・香辛料などを使い香りや風味で味付けをしましょう
みょうが、しょうが、ねぎ、ゆず、かぼすなどの香味野菜の独特の香りや風
味は薄味の料理を引き立てます。また、カレー粉、胡椒、にんにく、わさび、
唐辛子などの香辛料を上手に使って料理にメリハリをつけましょう。
焼き物にする、炒ったゴマやクルミで和えるなど、香ばしさを利用するのも
減塩のコツです。
6.自然のうまみを利用しましょう
こんぶ・かつおなどのだしをきかせると、旨味によって塩分が少なくても美味しく食べられます。
だし醤油などで味付けを工夫しましょう。
15
6.栄養基準量と食品構成
1.1日に必要な栄養量(栄養基準)
※主治医より指示のある場合には、指示量に従ってください。
〈エネルギー・たんぱく質〉
合併症のない肝硬変の場合
合併症(慢性腎臓病)・
高アンモニア血症を伴う場合
1日に必要なエネルギー量
30~35kcal/kg/日
30~35kcal/kg/日
1日に必要なたんぱく質量
1.0~1.2g/kg/日
0.8~1.0g/kg/日
〈ミネラル・ビタミン・食塩相当量〉
カリウム(mg)
2500 未満
鉄(mg)
8.0 未満
ビタミンC(mg)
100
食塩相当量(g)
6.0 未満
2.レシピ集の栄養基準
レシピ集は、1 日 1900 kcal の食事を基準に作成しています。
〈パターン①
食事のみで 1900kcal の場合〉
エネルギー
1日
(kcal)
1食
たんぱく質
1日
(g)
1食
1900kcal
朝
昼
夕
460
720
720
体重 54 ㎏の方の場合
35kcal/kg×体重 54kg
=1900kcal
54~65
朝
昼
夕
17
24
24
カリウム(mg)
2500 未満
鉄(mg)
8.0 未満
ビタミン C(mg)
100
食塩相当量(g)
6.0 未満
1.0g/kg×体重 54kg=54g
1.2g/kg×体重 54kg=65g
朝・昼・夕の数値は
たんぱく質 65g の場合
☆エネルギーとたんぱく質は【上記基準】、ミネラルとビタミンは【日本人の食事摂取基準
(2010 年版)50~69 歳】をもとに、1日に必要な量を【朝:昼:夕=1:1.5:1.5】
に配分しています。
☆たんぱく質の半量は、動物性食品(魚・肉・卵・乳製品など)から摂るようにします。
〈パターン②
食事+間食で 1900kcal の場合〉
16
エネルギー
1日
(kcal)
1食
たんぱく質
1日
(g)
1食
1700
☆間食をとる場合は、朝・昼・夕で
朝
昼
夕
1700 kcal の食事に 200 kcal の間
420
640
640
食をつけて 1 日 1900kcal としても
構いません。
51~62
朝
昼
夕
16
23
23
エネルギー
カリウム(mg)
2500 未満
鉄(mg)
8.0 未満
ビタミン C(mg)
100
たんぱく質
食塩相当量(g)
6.0 未満
(g)
間食
200
(kcal)
3 以内
3.食品構成
1日の摂取量の目安を示しています
分類
食品群
食品名
1900kcal
1700kcal
主食
穀類
米
270g
210g
主菜
豆類
乳類
副菜
野菜類
肉類
40g
魚介類
65g
卵類
50g
豆腐、厚揚げ、納豆、油揚げ、いんげん豆、 豆腐(絹:120g・木綿:90g)
うずら豆など
納豆:40g
牛乳、ヨーグルト、チーズなど
牛乳:200mL・チーズ:30g
緑黄色野菜:にんじん、ほうれん草、トマト、
含 まれ るた ん
ぱく質量に よ
り目安量が
異なります。
150g
ピーマン、かぼちゃ、だいこん(葉)など
その他の野菜:キャベツ、だいこん(根)、
200g
はくさい、きゅうり、たけのこ、*たくあん、
*ぬか漬けなど
海藻類
わかめ、こんぶ、ひじき、のり、*のり佃煮
2g
など
いも類
果実類
じゃがいも、さつまいも、さといもなど
30g
柑橘類
75g
その他果実類:バナナ、りんご、ぶどう、
75g
もも、さくらんぼ、いちご、
*梅干しなど
油脂類
12g
☆食品群別分類の「*」が付いている食品は、1回で食べる量に1g 以上の食塩が含まれるので、
食べる量には注意してください。
☆穀類、乳類、野菜類は毎日摂るようにしましょう。それ以外の食品は、1週間分を平均して上記の
数値を目指してください。
17
7.食品の 1 回摂取目安量
~エネルギー・たんぱく質・食塩相当量~
普段手に入りやすい食品の 1 回の摂取目安量およびエネルギー、たんぱく質、食塩相当量の一覧
です。
食品名
魚
介
類
エネルギー
たんぱく質
食塩相当量
牛もも肉
40g(薄切り 2 枚)
73kcal
8.2g
0g
牛肩ロース肉
40g(薄切り 2 枚)
96kcal
7.2g
0g
90kcal
7.6g
0.1g
牛ひき肉
肉
類
重量(目安量)
40g
豚もも肉
40g(薄切り 2 枚)
54kcal
8.2g
0g
豚肩ロース肉
40g(薄切り 2 枚)
102kcal
6.8g
0g
豚ひき肉
40g
88kcal
7.4g
0g
鶏むね肉
40g(2 切れ)
58kcal
7.8g
0g
鶏もも肉
40g(2 切れ)
80kcal
6.5g
0g
鶏ささみ
40g(1 本の 2/3)
42kcal
9.2g
0g
鶏ひき肉
40g
66kcal
8.4g
0g
あじ(生)
65g(中 1 尾)
79kcal
13.5g
0.2g
あじ(開き・生)
65g(中 1 尾)
109kcal
13.1g
※1.1g
さけ(生)
65g(切り身 2/3)
133kcal
12.7g
0.1g
さば
65g(切り身 2/3)
131kcal
13.5g
0.3g
さんま
65g(中 2/3 尾)
202kcal
12.0g
0.2g
さわら
65g(切り身 2/3)
115kcal
13.1g
0.1g
ぶり
65g(切り身 2/3)
167kcal
13.9g
0.1g
たら
65g(切り身 2/3)
79kcal
11.8g
0.2g
30g(3 切れ)
32kcal
6.8g
0g
30g(4 切れ)
26kcal
5.4g
0.2g
まぐろ
(赤身・刺身)
いか
(刺身)
18
食品名
エネルギー
たんぱく質
25kcal
5.5g
0.1g
30kcal
6.0g
※2.2g
40g(中 2 個)
29kcal
5.4g
0.3g
30g(1缶 1/3)
86kcal
5.6g
0.3g
かまぼこ
50g(4 切れ)
48kcal
6.0g
※1.3g
ちくわ
50g(1/2 本)
61kcal
6.1g
※1.1g
50g(全卵 1 個)
76kcal
6.2g
0.2g
20g(2 個)
36kcal
2.5g
0.1g
40g(1 パック)
80kcal
6.6g
0g
116kcal
5.6g
0g
えび
あさり
魚
介
類
ほたて
まぐろの
油付け缶詰
卵
鶏卵
類
うずら卵
納豆
豆
・
豆
製
品
30g(中 2 尾)
100g(可食部:40g)
(約 15 個)
食塩相当量
油揚げ
30g(1 枚)
厚揚げ
50g(1/2 枚)
90kcal
6.4g
0g
木綿豆腐
90g(1/4 丁)
65kcal
5.9g
0g
120g(1/3 丁)
67kcal
5.9g
0g
53kcal
4.9g
0.1g
128kcal
6.4g
0.2g
絹豆腐
凍り豆腐
乾
:10g(1/2 枚)
戻し:50g
調整豆乳
200mL(1 カップ)
うずら豆
30g
71kcal
2.0g
0.1g
ひよこ豆
30g
51kcal
2.9g
0g
141kcal
6.9g
0.2g
18g(1 枚)
51kcal
3.4g
※0.4g
(無糖)
80g(1 カップ)
50kcal
2.9g
0.1g
(加糖)
80g(1 カップ)
54kcal
3.4g
0.2g
牛乳
牛
乳
・
乳
製
品
重量(目安量)
スライス
チーズ
200mL(1 カップ)
ヨーグルト
「※」が付いている食品は、1回で食べる量に食塩が多く含まれるので、
食べる量には注意してください。
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8.食品表示とその活用
調理加工食品、市販のお弁当は、肝疾患の方にとっては、エネルギーやたんぱく質、塩分が高い
ため、食べられないと思っている方もいらっしゃると思います。
しかし、食事制限がある中でも食べることのできる食品を選択して利用することができます。ここ
では、食品表示の見方と活用方法をご説明します。
1.食品表示
食品表示には、食品の名称、原材料名、栄養表示などがあります。
原材料名
主食(穀類)、主菜(肉・魚・卵などのたんぱく質源)、
副菜(野菜など)を読み取ることができます。ポイン
トとして、使用している食品の多い順に記載されてい
ます。
栄養表示
熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、
ナトリウム(Na)が記載されています。
食品を選ぶときの参考や目安にしましょう。
ナトリウムは食塩に換算しよう
ナトリウムの表示のみで、食塩相当量の表示がない場合がありますので、ナトリウム
と食塩量を読み間違えないように気をつけましょう。下の式でナトリウム量から食塩
量を算出することができます。
○食塩相当量=ナトリウム(g)×2.54
○食塩相当量=ナトリウム(mg)×2.54÷1000
※「g」で表示されているものと「mg」で表示されているものがあります。
調理加工食品、市販のお弁当を選ぶポイント
食事制限がある場合は、原材料名と栄養表示の 2 つを見ることが大切です。
自分にとって、1食に必要な栄養基準量と食品に含まれる栄養価と比較し、
過不足を調整しましょう。
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2.食品表示の活用方法
1)幕の内弁当の場合
スーパーやコンビニエンスストアでよく見かける幕の内弁当を例に考えてみましょう。
①原材料名
原材料名を見てみる
と、ハンバーグ、コ
ロッケ、焼鮭、海老
天、卵焼き等の主菜
は充分にある。
幕の内弁当に入っていたおかずを見てみると・・・
玉子焼き
コロッケ
ひじきの煮物
ハンバーグ
つけもの
焼き鮭
えびの天ぷら
ウインナー
問題点 1 副菜が 2 品と少なく、野菜が少ない。
②栄養表示
ナトリウムから食塩を計算する
自分の 1 食に必要な栄養価と比較してみよう
問題点 2 食塩量が多い。
③問題点の改善案
熱量
(エネルギー)
たんぱく質
脂質
ナトリウム
(食塩)
1.5g×2.54=3.8g
1900kcal
1700kcal
昼・夕 720kcal・たんぱく質 24g 昼・夕 640kcal・たんぱく質 23g
野菜が少ないので生野菜(サラダ 野菜が少ないので生野菜(サラダ
40kcal)のみを増やす(ノンオイル 40kcal)のみを増やす(ノンオイル
ドレッシング)⇒熱量を減らすために ドレッシング)⇒熱量を減らすために
ご飯 1/10 を残す(25g:42kcal) ご飯 3/10 を残す(75g:126kcal)
たんぱく源がないサラダを選択
ノンオイルドレッシングを使用
ノンオイルでない場合は、天ぷらの衣を残す
梅干し、漬物を残す(添付調味料がある場合は、使用しない)
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2)サンドイッチの場合
①原材料名
問題点 1
原材料名を見ると、野菜
が少ない。
問題点 2
栄養表示をみると、
熱量とたんぱく質が
少ない。
②栄養表示
問題点 3
脂質が多い。
ナトリウムから食塩を計算する
590mg×2.54÷1000=1.5g
③問題点の改善案
熱量
(エネルギー)
たんぱく質
脂質
ナトリウム
(食塩)
1900kcal
1700kcal
昼・夕 720kcal・たんぱく質 24g 昼・夕 640kcal・たんぱく質 23g
ジャムパン(238kcal)または
ジャムパン(238kcal)または
あんぱん(224kcal)または
あんぱん(224kcal)または
あんまん(281kcal)
あんまん(281kcal)
+
+
たまごサラダ(70kcal)または
たまごサラダ(70kcal)または
豆腐サラダ(50kcal)
豆腐サラダ(50kcal)
+
脱脂加糖ヨーグルト(54kcal)
ジャムパン(5.3g)または
ジャムパン(5.3g)または
あんぱん(6.3g)または
あんぱん(6.3g)または
あんまん(6.9g)
あんまん(6.9g)
+
+
たまごサラダ(4.5g)または
たまごサラダ(4.5g)または
豆腐サラダ(3.3g)
豆腐サラダ(3.3g)
+
脱脂加糖ヨーグルト(3.4g)
ノンオイルドレッシングを使用
ドレッシングの量を控える
追加する食品は食塩の少ないものを選ぶ
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