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バイーア州への投資 - 株式会社アバンセコーポレーション

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バイーア州への投資 - 株式会社アバンセコーポレーション
C O V E R
特集:バイーア州への投資
持続成長と新たな
ビジネスチャンスの地
ギー、鉱業、
自動車、
I
T、通信、繊維、食品、バイオテ
クノロジーなど、現代の経済活動を担う産業が拠点
を置く工業団地があり、活発な工業活動が行われい
ている。
「バイーア州内ではアグロインダストリー
(農
水産業および食品工業などの農水産物加工)
が最
新の技術を取り入れながら継続的に成長してきてお
り、投資・商業機会に最適な分野のひとつとなって
いる。
この分野が同州の第3次産業のGDPで占める
シェアは、2010年の段階で23パーセントに達してお
り、中間層の増加に伴って今後さらなる成長が期待
されている」
と、州産業商業鉱業局のジェームス・コ
ヘア局長は説明する。
投資振興
ラジル北東部を代表する州であるバイーア。
豊穣なブラジル文化の中心地のひとつであ
り、先住民と黒人、白人らの混血によって生
み出された様々なブラジル独自の大衆文化の発祥
地としても知られている。
ブ
バイーア州はまた、歴史的文化遺産や豊かな大自
然といった観光資源の豊富な国内有数の観光地で
もある。州都サルバドールは、2014年サッカーワール
ドカップと2013年コンフェデレーションカップの試合
開催地にも決まっている。両大会期間中には世界各
地から代表チームやサポーターがこの地を訪れ、大
きな経済効果をもたらすことが期待されている。
バイーア州の投資状況に関しては、州内各地で
経済社会インフラ整備のために積極的に公共投資
が進められていることも特筆に価する。
また州政府も
産業投資誘致に力を入れており、州工業の多様化
に貢献している。州政府は1991年から様々な投資
振興策を打ち出し、同州に対して投資を行う各分野
の企業に税制優遇措置を与えている。
「投資振興プログラムは、新たな産業の誘致だけで
なく、既存産業の拡大、活性化、最新化を図り、新た
な製品やサービスの創造、技術向上、既存の製造工
程におけるコスト削減を実現することを目的としてい
る」
とコヘア産業商業鉱業局長は話す。
ブラジル開発商工省
(MDIC)の国家投資情報ネ
ットワーク
(RENAI)
の報告によると、2011年の海外
からの対ブラジル投資の州別内訳で、バイーア州は
4番目の規模となる105億ドルの投資を受けた。前年
に比べて65パーセントの増加だった。
「バイーアに対
しては今後数年間にさらに660億ドル規模の投資が
予想される。この金額にここ数年間で実施された事
業投資を合計すると、総額790億ドルに達する」
(コ
北東部随一の経済力を誇るバイーア州の州内総
ヘア産業商業鉱業局長)
。
生産
(GDP)
は、
ブラジルの州別順位で6番目に位置
し、北東部全体の3分の1に相当。北東部全体の輸
バイーア州への投資で有望視されている分野は、
出の半分はバイーア州が占めている。同州の経済は
鉱業、
エネルギー、製紙、造船、海運、
自動車、化学、
主にサービス業、農業、工業に支えられている。
石油化学、石油、バイオ燃料などである。
バイーア州には、石油、石油化学、再生可能エネル
過去10年の間に経済発展を遂げたバイーア州
は、新たな持続的成長サイクルに入っている。
ここ数
年間のブラジル全体の自動車販売増加率は44パー
セントだが、サンパウロ州の増加率が15パーセントに
とどまった一方で、バイーア州は65パーセント増を記
録した。
02
C O V E R
日本との提携
ブラジル開発商工省によると、
日本からの対ブラ
ジル投資の州別内訳でバイーア州はブラジル全州
の中で5位、北東部では1位を占めている。2004年か
ら2012年2月の間に日本から受けた投資額は11億ド
ルにのぼる。
2011年8月には、第14回日本ブラジル経済合同
委員会がバイーアで開催された。北東部初の開催と
なった同委員会には、
日本を代表する125社が参加
し、農業分野や石油採掘、先端技術、
インフラ分野
に対する投資についての議論が行われた。
バイーア州と日本は様々な経済分野で強い結び
つきがある。
その一例が、
ブラジル国内でタイヤ生産
を行っているブリジストンだ。同社は
「世界最先端の
タイヤ工場」
(コヘア産業商業鉱業局長)
の建設地
としてバイーアのカマサリ工業団地を選び、同地に
ブラジルで2つ目となる工場を2007年に設立した。
こ
のカマサリ工場では、ハイパフォーマンス、
ウルトラハ
イパフォーマンスと呼ばれる同社最高クラスのタイヤ
が製造され、
ブラジル国内で生産される普通車やス
ポーツカー、
トラックなどに用いられている。
ブリジストン以外にも、東芝が1998年にサルバド
ールにセンプ東芝バイーア工場を設立し、
コードレス
電話や、
DVD、
I
T機器を生産している。昨年の12月
には新たにオフィス機器の製造ラインを設置した。
最近バイーア州に進出した日本企業といえばキ
リンホールディングスだ。同社は昨年11月にブラジ
ル2位のビール会社スキンカリオール社を完全子会
社化した。買収総額は約3千億円にのぼると見られ
る。1939年創業のスキンカリオール社は、
ブラジル
各地に10箇所以上の生産拠点を持ち、
ビールその
他の飲料を生産している。バイーア州では1997年に
アラゴイーニャス工場を設立。
ビールや炭酸飲料、
ジ
ュース類、
ミネラルウォーターを生産する同工場は、
ブラジル国内随一の生産力を誇る。
03
C O V E R
地理データ
バイーア州の面積は56万4692.76平方キロメートルで、
ブラジルの国土の6.64パーセント
を占める。
ミナスジェライス州、
エスピリトサント州、
ゴイアス州、
トカンチンス州、
ピアウイ州、
ペルナンブーコ州、
アラゴアス州、
セルジッペ州に隣接し、東岸は大西洋に面している。
バイーア
データで見るバイーア
州別自動車生産台数で国内5位
(20万7800台)
国産タイヤの45パーセントを生産
(ピレリ、
コンチネンタル、
ブリジストン)
世界有数、
ブラジル国内最大のカカオ生産地
国内最大のサイザル麻生産地
国内最大のココナッツ生産地
国内第2位の綿花生産地
国内第5位の鉱産資源生産地
国内第2位の観光地
(年間旅行者数900万人
04
S O C I E T Y
法律
ブラジルにおけるインターネット規制の現状
ンターネットは極めて民主的かつ巨大な仮
想現実の世界であるという特徴ゆえに、プ
ライバシーの侵害やユーザーによる表現の
自由の問題やネットの不適切な利用といった問題を
抱えている。
イ
こうした状況を改善するために、同氏はブラジルで
11年前から議論されている法案を早急に可決すべき
だと主張する。ネット犯罪の分類と処罰を規定しよう
とする法案84/99は、現在ブラジル下院で審議され
ている。同氏は
「この法案ではネット上で行われる行
為のいくつかを犯罪として位置づけるだけでなく、通
信記録の保存期間の設定も提案している」
と説明。
一方で、
こうした記録の保存はインターネットユーザ
ーのプライバシーを侵害するおそれがあると指摘す
る声もある。
インターネット上に国境はないが、各国政府はユー
ザーの権利や義務を定めた独自の規則を設け、
ネッ
ト上での行為を規制している。
ブラジルには今のとこ
ろインターネットに特化した法律はなく、
インターネッ
トに関わる規制は、
ブラジル刑法やインターネットお
よびI
T、電気通信事業の規制に関する法律に基づ
また、
インターネットの規制に関連する別の法案で、
いて行われている。
現在国会で協議されている
「インターネット民事境界
法案」の可決を優先させるべきだと主張する議員も
「コンピューターに関わる不正行為には、法律上こ 多い。全34条からなる同法令は、
インターネットの利
れまでは違法とみなされないものもあったが、
こうした 用に関わるユーザーやプロバイダー、国の権利と責
行為を犯罪として摘発することを可能にする法案が 任を定めるもので、今後4つの委員会での審議を経
最近になってようやく可決された。これにより、
たとえ て、国会で議決投票にかけられる予定となっている。
ば児童ポルノなどの映像を個人のパソコンに所有し
たり、選挙で使用される機器に不正を働いたりする
行為などは犯罪として処罰の対象となる」
とサイバー
犯罪専門警察官のイゴル・ジョルジ氏は説明する。
ブラジル国内で頻発する主なネット犯罪には、違
法コピー、人種差別文書や画像の流布、脅迫、誹謗
中傷などの名誉棄損、詐欺、
クレジットカードなどの
不正使用が挙げられる。ネット犯罪に関する正式な
統計はとられていないが、
ブラジルのコンピューター
セキュリティ問題の研究機関CERT.brのデータか
ら、
こうした問題の規模を推定することができる。
CERT.brによると、
コンピューターセキュリティ・イ
ンシデントとは
「コンピューター・ネットワークやシステ
ムの安全に関わるあらゆる有害事象で、確定事実
のみならず容疑も含む」
と定義されている。1999年
に報告された事件は3,107件だったが、
その後2006
年には197,892件、2011年には9月の時点までで
318,720件と増加傾向にある。
「ノートン社が先日発
表した調査によると、
こうした犯罪のためにかかるコス
トはブラジル国内で年間633億ドルに達する。この
額は世界全体の17パーセントに相当する」
とジョル
ジ氏は話す。
05
B U S I N E S S
|
P O L I T I C S
は2パーセント程度と見積もられている。
ブラジル銀行協会連盟のチーフエコノミストであ
るルーベンス・サルデンベルグ氏は、
「この数値
(3.3
パーセント)
前後で安定傾向にあることから、今年の
経済成長は昨年に比べて緩やかになるだろうと考え
られる」
と分析。2013年に関しては、銀行業界では
GDP成長率は4.2パーセント、拡大消費者物価指数
のインフレ率は5.5パーセントに達すると予測してお
り、経済活動はより力強くなるだろうと見込んでいる。
住宅と外食産業に商機あり
銀行業界は緩やかな成長を予想
ブラジル銀行協会連盟(Febraban)
が発表した
調査によると、国内の銀行各社の予想では、今年の
ブラジルの経済成長は緩やかなものとなり、インフ
レ率は政府の目標値をかなり上回ると見込まれてい
る。調査に参加した金融機関31社のアナリストの予
想では、今年のGDPは平均で3.3パーセント成長し、
インフレ率は1年間に5.3パーセント上昇すると考えら
れている。
ブラジル中央銀行の予想では、2012年か
ら2013年のインフレ率は4.5パーセントで、予測誤差
ブラジル人の消費行動の変化に伴い、国内で商
機の期待できるビジネス分野にも移り変わりが見ら
れる。
ブラジル零細小企業支援機構
(SEBRAE)
の
調査報告書「シナリオ2020」によると、全所得階層
に共通して住宅費と食費が家計のサービス消費支
出に占める割合が高いことがわかった。サンパウロ
市の世帯では、消費支出に占める住宅費と食費の
割合はそれぞれ36パーセントと19パーセントだった。
SEBRAEサンパウロ支部のブルーノ・カエタノ理
事によると、
「家計消費で大きな成長を示す分野は、
それに比例して供給も多くなる。
そのため、
こうした市
場で参入するには厳しい競争を覚悟する必要がある
し、競争に打ち勝つためには計画性とイノベーション
が非常に重要になる」。
個人経営の会社開業が可能に
www.avance-corp.com
Publisher: 株式会社アバンセコーポレーション
〒491-0913 愛知県一宮市中町1丁目8番26号
TEL 0586-43-4634
FAX 0586-43-3228
アバンセコーポ
ご相談窓口:海外事業グループ 高橋
email:[email protected]
Photos: Agência Brasil, バイーア政府
(Governo da Bahia)
Cover: 風の公園“Desenvix”
構成・執筆/デザイン:Tokyo5
06
検索
ブラジルでは今年から有限責任一人企業
(EIRELI)
の開業を認める法律第12.441/2011号)
が施
行され、共同経営者なしで個人事業者が一人で有
限会社を開業できるようになった。これまでブラジル
では一人で有限会社を設立することが認められてい
なかったため、登記上は共同経営となっているもの
の実態は個人経営という会社が少なくなかったが、
新制度導入でこうした問題は解決されると見られ
ている。
また、新制度によって会社資産から個人資産を切
り離すことが可能となった。これにより、有限責任一
人企業の経営者は会社で資金難などが起きた時で
も、個人資産を失うリスクはなくなった。有限責任企
業への移行や新規開業に必要な資本金の最低額
は、最低賃金の100倍の金額と定められている。
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