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ホット雌犬

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ホット雌犬
ja!十4官、心
、J()urnaloFGeography
l15tP116­1232006
地学クラブ講演要旨
フィリピン海プレートが支配する日本列島のテクトニクス
鳥
橋
雅
紀
*
TectonicDevelopmentoftheJapaneselslands
ControlledbyPhilippineSeaPlate5/lotion
MasakiTAKAHASHI*
Abstract
TheEulerpolepositionofthePhilippineSeaPlate(PHP)l・elativetothestableEurasian
Plate(EUP)between15and3Macanbe(lstimatedataround150 E,36 N,onthebasisofthe
ge()loφcalconstraintthattheintersectionofthelzu­OgasaxvaraArcwithSouthwest(SW)Japan
hasnotmoved仔omSouthFossaMagnasince15Ma.ThetimingofthemigrationoftheEuler
POletoitspresent](Dcationは54E,47N)shouldhaveoccurredat3Mabecausethellore­arcba­
sininSWJapanxvasonceinterruptedbytheKurotakiunconformityat3Ma。
PHPmovesnorthwestwardandsubductsbeneathSWJapanataconvergentrateof4cm/yn
Thelzu­Ogasaxvararrench(IT)alsonlovesatthesaTnerateasthewestwardcomponent(ca.3
(2m/yJofthePHPmotion.Boththetr(ln(2h­tlヽencl乱rench(TTTnrip10undionandtheJapan
TIench(JT)should1111gTatewestward,1:)ecausethethick,cold,and雌urdyPacmcPlate(PAP)
hasneverbeencutbythetransfbrmfaultattheTTTjunction.Northeast(NE)Japanwould
alsonlovexvestwardbecauset;e(jtonicerosionalongJTwouldnotbesumcientforwestwardmi­
f;rationoftheJT.Thus,thepresentPHPmovementcausesthewestwardmigrationofIT,TTT
.junction,JTandthenNEJapan.ThiswestwardmotionofNEJapanagainstthesturdyoceanic
lithosphereoftheJapanSeahascausedanE­WcontractionofNEJapansincenorthwardmo­
tionofPHPchangedtoNIvat3Ma。
ltisexpectedthatriftingofthethin,heatedlithosphereofthelzu­OgasaxvaraArcwould
reachbreak­upben)rethelニhick,coldlithosphereofthePAPwouldbetornbytheright;ふ1teral
transformfaultattheTTTjunction.0ncerimngreachesbreak­up,thenorthwestwardmove­
mentofthePHPwouldbecompensatedbyback­arcspreading,andthismotionwouldnotpropa­
gatetotheIT,theJTnorNEJapan.Themfore,thepresentE­Wcollt;ractioninJapanwould
ceaseinthegre()logicanynearfuturewhenback­arcriftingalongthelzu­Ogasawaraarcreaches
break­up。
MCKenzieandMorgan(1969)d紬cussedhowtheTTTtripleJunctionNvasunstableexcept
undel・a砲wuncommongeometricalandkinematicconditions.However,thePHPactuanyse­
*産裳技術総介f叫究所地質li旨|刈流部門
*!nstituteorGeologyandGeoinR)rmation,NationallnstituteorAdvancedlndustria1ScienceandTechnology
・4μ卵よS2()()5年12月20日に行われた講演をまとめたものである.
­ 1 1 6 ­
lectedthisparticularEulerpolepositionat15Ma,andtheTTTh・iplejunctionhadbeenstable
formorethan10mJAlthoughthepresentTTTJunctionisinanunstableconditionjtwouldbe­
comestableagainthroughback­arcbasinspreadingofthePHPinthegeologicallynearfuture.
Thus,theTTTtripleJunctiono汀shorecentra1Japan,whichcontrolstectonicsofJapan,wouldbe
inastablestateinnature.
Keywords:tectonicsちtripleJunction,PhilippineSeaPlate,PacificRate,Japaneseislands
キ ー ワ ー ド : テ ク ト ニク ス , 三 市 会 介 点 , フィ リ ピ ン 海 プ レ ー ト ,
人 平 洋 プ レ ー ト , | ニ | 本 列 烏
J雁行火山列がフィリピン海プレート内部の広域応
I.フィリピン海プレートの過去の運動
力場(則4.,­)を示すと考え,それらの収斂fjヽンン置
日本海が拡人し今日の高弧の竹格が俤ミ立された
にj当時のオイラー極があったと判断した。また,
15Ma以降の日本列島のテクトニクスは,太平
15Maに拡人を終了した四国海盆がPLい町日本に
洋プレートとフィリピン海プレートの沈み込みに
沈み込みつづけ,で府四紀にようやく山陰地方の地
支配されてきたと考えられる。太平洋プレートの
下i采部にまでスラブが到達しバ=ふ弧火山カ1形成され
運動はおよそ43Maの天皇海山列のJ出|II!月
始めたと |川所し,15Ma以降のフィリピン海プ
よ
一定している(HaradaandHaman0,2000)が,
フィリピン海プレートの過去の
動は,プレート
上にホットスポットトラックが全くミ 了丿在しないた
めCこ解明されていない。これまではレ占地磁気偏
介 」 に よる 回 1 匠 運 勁 と 伏 角 に よる 北 十 。 移 動 に 基 づ い
て過去の運動が推定(小山,1991;Hall,2002)さ
れてきたが,地質学的証拠を満足せずいずれも棄
却される(TakahashiandSait0,1999)。そこで,
反対に地質学的情報を満足するようフィリピン海
プレートの過去の運動を探った。
日本海の拡大巾:後の15Ma以降,伊:リ>小笠原
弧7うi南部フォッサマグナに衝突し続けて,j灯刺]I
地と赤石山地が大き糾回転したタ結米,jJ,is44糾卜jy{の
川曲(関東対曲構造)が形成されたことが地質学
的に明らかにされている(HyodoandNiitsuma,
1986)。ということは,過去のフィリピン海プ
レートのオイラー極は,ほぼ直線倒司【i状では大
円】である伊:口]一小笠原弧が,15Maよ1川副町南日
本の高弧方向(SSW­NNE)に沿って束I町に移動
しないような位概にあったはずである。移動量
{t­最小にするためには,安定であった川問(15
∼3Maの1200万年;15∼OMaでないのは後
卜­
述)(7)中間である9Maに移動が停止。するような
オイラー極を与えればよい。その際,伊ノ・,, :背弧の
1
1
7
仙
突
の
角
げ丿 ヽ ゛ 、 9 ミ 原 弧 が 南 部 フ ォ ッ サ マ グ ナ に 衝
し続 け る よ う な フ ィ リ ピ ン 海 プ レ ー ト
オィ ラー極の一fダlg(i1 Hlf乱2()04a).川昿
速皮 は 現 在 と 同 じ び / m . y . で 計 算 し た .
い
図 2
j過 程
フ ィ リ ピ ン 海 プ レ 一 卜 の 沈 み 込 みとりj総前弧海盆の 形 I
j
タ
タ 助 し プ レ ー ト の 運 勁 方 向 が 変 わる と i 前 弧
の オイラ ー極 がー
と r想さ れる
ぐ概 念 ­刈 丿 フ ィ リ ピ ン 海 プ レ 一 ト
八
長 様 式 が 大 ヽ く 変 化す る
海盆 の 成 ・
レートの沈み込み量をおよそ400kmと見積もり
Jjj総jl lj,μこ露出する前弧海jil!堆積物の地質と年代
Fi月転ffJ速度を計算した。それらの地質学的観察事
jpD卜を調べた巾12)。その結果,15Maに前弧海
実を総介し,15∼3Maのオイラー極は南海ト
捨ンうリlj成され木。/根川が堆積し始めてから現在ま
ラフの数100km東方(東経150 ,北緯;36 付近)
で兪長しつづけた前弧縦朧こは,一川だけ堆積の
4Jニ位置していたJy問祈した(i・,I討f万,2004a;図1)。
不
オイラー極の経度方向に関しては数度程度の不破
る(図3)。すなわち,房総前弧海盆を形成させた
定性が残るが,ひとたび経度を決定するとlj7jj£は
フィリピン海プレートの運勁方向が変化したとす
1 の範囲に制約される。
;眺と成長様式の急変(黒滝不整合)が止じてい
るならば,そのタイミングは黒滝不整介の形成時
期しか考えられない。その年代はおよそ3Maで
H.オイラー極の移動
あることから,フィリピン海プレートのオイラー
過去のフィリピン海プレートのオイラー極は海
極が現在の位置に移動しプレートの運動方向が変
溝一海渦一海溝型口TT)三重会合点の東方Cこ位置し
化したのは3Maであったと判断した。同様の前
ていたことが明らかとなったが,現在のオイラー
弧海盆の成長様式の急変は西南日本びで)南方海域で
極は北海道の北東方に位置していることから,過
も確認されていることから,黒1屯不1ヽさ合はJ・.J所的
去 の あ ミ : j [ か 点 で オイ ラ ー 極 が 北 に 移 動 し た は ず で
」也質現象ではなくけ府帽口に前弧域びで)広域の事象で
ある。つづいて,オイラー極が現在のらりひこ移動
あり,その原因は沈み込むプレートの運l助方向の
したタイミングを決定しなければならない。
変化によると考えられる。すなわち,黒滝不整合
プレートの運動方向が変化すればプレートの沈
はフィリピン海プレートのオイラー極が現在の位
み込みにより成長する前弧海盆の発達様式に何ら
i眉こ移勤し,プレートの運動方向が急変した地質
かのJ也5fjt学的応答が生じると川待されることから,
fljj:j 応答(証拠)であるといえるj7!臍亀i2004b)。
1
1
8
層
序
区
分
岩
地
質
柱
状
図
相
一 Ma
色・気反lj
年代尺度
C3A
C
4
C4A
C5A
C
5
C5B
|
皿
Rer・cu沁QrrsrQsp.A(0&3)
皿
上
総
層
群
­
­
­
・
-
砂岩・シルト
Ccヽ卸yrひc邸saご4n肋心・1,Q(1,66)
疎宕
スランピング
olG爪ヽ心/・1加ハ4j8)
シルト岩
回
心
FOGfG.r山耐.1(5.6)
砂岩
­
I
|
4,5士0,2M肩F丿
Ky21{HK}
I
I
I
砂宕
砂質シルト岩
K
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1
砂岩
U
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砂岩
̶
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、
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砂岩
03Ma (
F
T
)
塊状砂質シルト岩
,4Fね
細殖砂岩・凝灰宕・
シルト岩互層
M
j
(
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s
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塊状砂貸シルト岩
含角閃石凝灰岩
叙
聡
心
四
心
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岡粒砂岩・凝仄岩・
シルト岩互層
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1 心
起砂質シルト岩
含風雲母凝灰岩
im4…………………LOQICr・・l.よ.il・。s111,81 …………FO4110Zyaajnxyljj.・1り,­|r,iyafdlηsfDIU・
㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ I
ミ
肖 1 _ f C o ❼ D , s 附 z m s a 4 ( D 5 0 1 3 . 0 ) g r 只 で 已 ? ゛
一
一
゛ p ゛ ゛ f r ニ ご と ( ゜ 5
11.7士○、2
1
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2
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: 1 2 . 7 )
­
塊状S貿シルト番
… … … …
卜 6 6 1 S
暗灰色シルト岩
M
a
軽石凝灰宕
ノ
砂岩・シルト岩互層
スランビング
…….,Fo..0.fp,
砂岩・シルト岩互層
層厚
唱灰色シルト岩
含黒糞日凝灰岩
しOolC,加に四1皿八(D43,?15,2)
¬〃♂♂I・I111
2 0 0 m
う
­
一 一 I 一 ­ 1 5 . 0 1 0 2 M a ( K 一 A y ) 一 一
1 0 0
砂質シルト宕
炭質物
円陳宕
1
1
塊状細粒砂岩
傾
斜
不
整
合
LCO:終連続産出
FCOj初連続産出
FO:初産出
LO:終産出
塊状細粒砂岩
図3房金卜`|リ烏前弧海盆耳R積物の複介年対談1に基づく堆積曲線
­119­
図 4 フィ リ ピ ン 沁 プ レ ー ト の 運 動 に よ り 伊 丿 一 小 笠 原 海 i j i j 4 ? が 』 几 i に 移 動 す る と , | |
本 ? 皿 溝 と 右 横 ず れ の ト ラ ンス フ ォ ーム 断 川 が 形 成 さ れ る ( M C K e n z i e a n d M o r ­
gEln,1969の于想を慨念同化).この解釈が成りヽyつためには,TTT三重会介
点に沈み込む人yl町1プレートのスラブは分断され続けなければならない.
いとすると,|1本ii吋Ilj?も伊豆一小笠J4則毎溝と:同様
III.圧縮テクトニクスの原因とその終焉
4こ川に移動せざるを得ない。この1日く海鋤万言I叫向
フィリピン海プレートのオイラー極が3Maに
き移動成分の一部は[ ̄目1j加f捧に沿う造惰性浸食
現在の位世に移動すると,伊豆一小笠原海f諒は
(te3cjtonicel・osion)によって消費されるが,残っ
フィ リ ピ ン 海 プ レ ー ト の 運 動 ( 7 ) 西 向 き 成 分 に 匹 敵
た成分は上盤である東北日本弧を西に移動させ
す・こ)速度で西に移動してしまう。lノに平洋プレート
る。しかし,日本海は堅い海洋性リソスフェアで
は日本海溝と伊豆一小笠原海潮のijhj方に沈み込ん
あ る た め 変 形 せ ず, 結 果 と し て 熱 的 に 柔 ら か い 東
でいるので,伊豆一小笠原海渦のみが四に移動す
北| |本火山弧∼背弧(HasegawadczZ。1991)が
るとTTT三重会合点において日本海渦と伊豆一小
東西に短縞する(図5)。これが,|目引加束縁歪
笠原海溝かトランスフォー一帽祈
によって右ずれ
み集巾帯の成囚であり,その東西圧縮応力が応力
にずれてしまう(MCKenzieandMolj即n,1969
低下しつつ4jl現雨日本内借を東i?1μこJ工縮し横ずれ
の J F ? 摘 ) 。 と こ ろ が, T T T 三 重 会 合 点 付 近 の 三 次
ial祈願を形成させていると考えられる。
元幾何学を考えると,2つの海fWJが右ずれにずれ
このように,今日の「1本列島の東西圧縮テクト
る た め に は , そ こ で 沈 み 込 んで い る : た 平 洋 プ レ ー
ニ ク ス の 原 囚 は , 太 平 洋 プ レ ー ト で も アム ー ルプ
ト の スラ ブ が 剪 断 さ れ 続 ける 必 要 が あ る ( 図 4 ) 。
レートでもなくフィリピン海プレートであると結
オイラー極が現在の位 置に移動した3Ma以降
論づけられる。すなわち,3Maに1511如始まった
にこのような剪断が継続すると,9∼10cmノ年
東叫圧縮テクトニクス(いわゆ名hら弧変動)は,
で川に移動する太平洋プレートのスラブは300
フィリピン海プレートのオイラー柾が北(現在の
km近くも剪断されていなくてはならないが,そ
位置)に移動したことCミニ起囚すると判断される。
のような事実は全く観察されない。したがって,
この枠糾みでは,東北(1本弧を東i・Lfに短縮させ
ミ;6く平洋プレートはTTT三爪会介点で剪断されな
て い 名 ) 圧 縮 応 力 は , フィ リ ピ ン 海 プ レ ー ト 6 ・ ) 川 向
­ 1 2 0 ­
図 5 T T T 二 皿 会 介 点 に 沈 み 込 む 人 平 洋 プ レ ー ト の スラ ブ は 剪 | 研 さ れ な い , す な
わち川本海渦と伊.リト小竹E原海言千万回囲俗するとすると,東北川本は1町に移動
せ ざ る を 件 な い . フィ リ ピ ン 海 プ レ ー ト の
動 ベ ク トル の 西 向 き 成 分 で 日 本
蓄才参裏聯4Lにニ移動するが,その‥­i劃よ日本ljりGil旧こ沿う造4jMヤ|生泌食(1;edonicero­
sion)で消貧され,残りの成分は東北日本を|叫に侈動させ変形しやすい背弧
{|・束西Cこ川縮させる(l山tf4,2004b).
き成分が三重会合点で沈み込41jヽ太平洋プレートの
小笠Ji(II?弧の引張変形(リフト)は加jj4j度的に進
スラ ブ の 右 横 ず れ 1 タ ミ ダ 断 応 力 を 介 して 伝 わ って い
行し,地y t学的に近い将来に1,reak­up(リソス
る。よって,フィリピン海プレートそのものは東
フェアの破断)に至ると予想される。
伊大,・C背弧リフトが背弧拡人に移行すると,北匹
41りi引張場にあり,熱的に変形しやすい伊jl,λ火山性
高弧で仲帳変形であるリフトが形成されている
に移動するフィリピン海プレートの運動は背弧拡
(スミスリフトや八丈リフトなど)。すなわち,伊
で人に川ilj?1隠れ丿トkヅl­/jヽ1
豆背弧リフトの仲張テクトニクスと東北日本弧の
海渦,三市会合点さらには日本海溝フりil川向きに移
東西短縮テクトニクスは無関係の現象ではなく力
動 す 名 , 必 要 は な く な る 。 そ して , 東 北 日 本 弧 も 西
学 的 に 連 動 して い る 。 実 | 祭 , ス ミ スリ フ ト の 拡 大
向きの移動を停止し,東jとLi短縮テクトニクスは終
問始はおよそ3Maであり,j拡|ヒ日本(ンり東`西う町締
焉を迎えるはずである。その結果,日本列,l為は中
テクトニクスの開始時川に一致する。
立ないし弱引張応力場(巾川∼後期中新世のよう
この力学的枠組みの巾で最初に破綻するのはど
に)になると予想され,|!Uj方圧縮により地形的起
こであろうか。フィリピン海プレートの運動にと
伏 が 成 長 し 広 域 が 陸 化 して い る 本 州 ( 7 ) 大 部 分 は 水
も な って 東 北 口 本 島 弧 地 殻 は 東 j J t U こ 短 縮 さ れ 続 け
没するであろう(「|ン1に沈没」。さらに,|1本海側
るであろうが,歪み硬化によって徐々に変形しに
の海洋プレートが沈み込みを開始しつつあるとし
くく な って い く と 予 想 さ れ る 。 一 方 , 二 重 会 介 点
てプレート境界であると考えられている日本海東
に沈み込む太平洋プレートのスラブには右横ずれ
縁び)東西短縮変形も停止するので,日本海東縁歪
の l j i f 断 応 力 が 働 く が, 最 も 厚 く 囚 い 太 平 洋 プ レ ー
みtfミ「II;;訓よ沈み込み帯(プレート収束境界)には
トがリ引断破壊されるとは考えにくい。これらに対
成長しない。すなわち,日本海東縁はプレート境
し⑤三言公地般からなり活動的火山弧である伊:1,X­
界(中村,1983)ではなく石塔尚=内変形(柚t;ra­arc
121­
図 6 ハサ ミ の J に 方 の 握 り を 掴 んで も う 片 方 の 握 り を 開 いて い く と , 1 1 1 1 J 方 の 刃
をつなぐ州を中心にhが匠する.しかし,ハサミがいっぱいに川ききると
川 方 の 刃 が 一 体 と な って 川 転 す る た め , 回 収 巾 心 は 握 って い る 上 の 柄 に
移勁するG11,,jtf4,2005).
defi)rmation)であると判断される。
IV.オイラー極移動の原因
海 プ レ ー ト の オイ ラ ー 極 が 移 動 し た た め 日 本 列 , l j ふ
が圧縮応力場になったのではなく,オイラー極が
移動したことも二重会介点の三次元幾何学的制約
フィリピン海プレートの運動方向がなぜ3Ma
に変化したのであろうか。関東地方の下に沈み込
による結米で,それはすでに15Maの段階で予
定されていたといえる。
むフィリピン海プレートは,上側をユーラシアプ
V.三重会合点の安定性
レートに下側を太平洋プレートのスラブに挟まれ
ており,両者の問の空闘内にしか沈み込むことが
ところで,MCKenzieandMorgan(D69)は,
できない。仮に各プレートの厚さが非常Cこ薄いと
ダjj41?と半島沖の三重会合点の安定性について詣論し
仮 定 して も , 峙 計 回 り □ ! 〕 | 転 しつ つ 沈 み 込 む フィ
ている。それによると,フィリピン海プレートの
リピン海プレートの東端が日毒朧溝よIJ東側に出
運動方向が伊豆一小笠原海溝と平行である特殊な
ることはあり得ない。すなわち,日本海泄と伊
場合Cこ限り,二退会合点の形態は変化しない,す
江一小笠原海溝がなす角皮は180゜を越えることは
なわち安定であるとしている。これに対し,フィ
幾何学的にあり得ないのであるG町橋,2005)。
リピン海プレートの運動方向がより西向きあるい
こ れ は , ハサ ミ が 1 8 0 以 上 開 か な い こ と と 同
は東向きの場合は三重会合点の幾何学的形態は変
じで,幾何・ljを的制約といえる(図6)。沈み込んだ
化し,三重会合点は南海トラフあるいは日本海溝
フィリピン海プレートの東端が上下のプレートの
に 沿 って 移 動 して い く と 予 想 し た 。 今 「 I の 状 況 は
問の空間にこれ以上入りきれない状態になると,
前 者 の ケ ース に 相 当 し , 現 在 の 二 股 会 今 点 は 不 安
[1木海溝と伊豆一小笠原海溝は一体となって川昿
定であると広く認められてきた。
せざるを得ない。つまり,フィリピン海プレート
ところが,地質学的時問スケールで三重会介
のスラブ北東部がこれ以ll沈み込めなくなったの
点の安定性を考えると,少なくとも15∼3Ma
が3Maであり,その結米,オイラー極が北方に
の1200万年間にわたり三重会介点は安定で居
移勁しかと考えられる。したがって,フィリピン
つづけた,すなわちフィリピン海プレートは,
122­
1000万年以上も三重会合点が安定である特殊な
し て お ら ず, L ] 本 列 島 の 地 質 現 象 の 原 因 を フ ィ リ
オイ ラ ー 極 を 選 択 して い た と 判 | 祈 さ れ る 。 ま た ,
ピン海プレートの運動に転嫁した感は否めない。
3Maには,ついに三重会合点が不安定なjxU好学
しかしながら,日本列島の東西圧縮場の原囚が太
rl引犬況に至ったものの,地?宍?t学的に近い将来,今
平洋プレートであるとこれまでj元年にわたって考
度は伊豆背弧拡大によって再び二ム収会介点は安定
え ら れ , 最 近 で は アム ー ルプ レ ー ト に そ の 原 囚 を
になると予想される。
求めている状況で,フィリピン海プレートの運動
このように,特殊な場合を除いて三市会介点は
を三市会合点を介して「I;・|蒔」』島のテクトニクスに
不安定であると広く理解されてきたが,実際には
結びつけようとした試みは,先見の明ありとして
二服会合点は安定で居つづけることがその本質で
評 価 に 値 す る こ とを 最 後 に 記 して お き た い 。
あるといえる(Takahai;hi,2004)。そして,日本
文
献
列島のテクトニクスを支配してきたのはフィリピ
Harada,Y.andHamano,Yバ2000):Recentprogress
ン海プレートの運動であり,さらにその運動を制
ontheplatemotionrelativetohotspots.Geoμ/びs.
御してきたのは,幾何学的に安定で居つづけよ
肛o几og?・,121,327­338.
Ha11,R.(2002):Cenozoic14ヽc2cjlogicalandplatetedonic
うとする三市会合点である。最も下位のプレー
evolutionofSEAsiaandtheSWPac雨c:Computer­
ト(太平洋プレート)が最も古く固いので容易に
basedreconstructions,modelandanimations.J(Mμl
As沁71召a.,7/zSc削20,353­431.
剪断されないとする力学的制約と三重j2な介点の三
Hasegawa,A.,Zhao,D.,Hori,S.,Yamamoto,A.and
次元幾何学的制約により,上盤である川本列島や
Horiuchi,Sバ1991):Deepstructureofthenorthern
伊豆一小笠原弧のテクトニクスが支配されてきた。
Japanarcanditsrelationshiptoseismicandvolca­
nicactivity.y❹wヽe,352,683­689.
すなわち,日本列島の地質横造発達史はプレート
HyodoandNiitsuma,Nバ1986):Tectonicrotationof
相対運動のつじつま合わせとして柔らかい高弧地
theKantoMountains,relatedwiththeopeningof
殻が変形してきた歴史と考えることができよう。
theJapanSeaandcol!isionoftheTanzawaBlock
sincenliddleMiocene.Jo£μ;Geoz?7ag.G6?()eZecか;,8,
このIJ1点CJニ立脚し,さらに古い時代のテクトニク
3335­338.
スを紐解いていきたい。
小【|ト真人(1991):占地磁気からみたフィリピン海の構
造発
VI . む す び
史.地学雑誌,100,(528­641.
MCKenzie,D.P.andMorgan,W.,L(1969):Evolutionof
triplejtlnction.7V(7卜乙zze,224,125­133.
この研究は,関東地方の地質訓査を22年問続
巾 付 一 明 ( 1 9 8 3 ) : 川 本 海 東 縁 新 生 海 溝 の 可 能 性 . 地 震
研究所・如報,58,711­722.
けてきてようやく日本海拡大以降の地質構造発達
Niitsuma,Nバ1996):Thetrenc1・1­lsrench­trenchtype
史が明らかとなり,つづいてプレートの運動と関連
l;riplejunctionandtectonicevc31utionofJapan.静岡
づけるために始めた。その際,フィリピン海プレー
.メ,ミ学地球秒y:研究樅占,(23),1­8.
Takahashi,Mバ2004):Thestabilityoftrench­trench­
トの過去の運動が未解決であったことから,逆に
trench(TTT)triplejunctiono汀shorecentralJa­
地表地質に基づいて過去のフィリピン海プレートの
pan.£OS,7yazzs.AGa,85,T21A­04.
1 仙 橋 雅 紀 咄 0 0 4 a ) : 地 質 学 的 制 約 に よ る 3 M a 以 前 の
運動を紐解いた結果,現在のFIミ縮場の原因や開
フ ィ リ ピ ン 海 プ レ ー ト の 運 動 と T T T 三 重 会 合 点 の 安
始時期などが統一的に説明できることなった。
定 性 . 日 本 地 震 学 会 2 0 0 4 年 皮 秋 季 人 会 講 演 于 柚 集 ,
P090.
ところで,最近になるまで気がつかなかった
鳥 橋 雅 紀 ( 2 0 0 4 b ) : 川 本 レ ッ ト の E ­ W 短 縮 テ ク ト ニ ク
が,lヽヽJiitsuma(1996)は,今日の日本列島の圧縮
ス の 原 囚 と そ の 闘 始 時 期 . 日 本 地 震 学 会 2 0 0 4 年 度 秋
場や基盤構造の屈曲(関東対曲構造)の原因が,
季大会講演予稿襲,B048.
鳥 橋 雅 紀 ( 2 0 0 5 ) : な ぜ フ ィ リ ピ ン 海 プ レ ー ト の オ イ
フィリピン海プレートが7Maに北西に移勤し始
ラ ー 極 は 3 M a に 移 動 し た の か ? 「 1 本 地 震 学 会 2 0 0 5
め た こ と に よる と して 説 明 して い る 。 7 M a 以 前 に
年度秋季人会講演予稿集,A029.
フィリピン海プレートは動いていたのかいなかっ
Takahashi,M.andSaito,Kバ1999):Mioceneintra­
arcbendingatarc,arccollisionzone,centra1Japan:
たのか,なぜ北西に動き始めたのか,さらにその
Reply.77zeかZa几dArc,8,117­123.
タイミングがなぜ7Maであったのかなどは説明
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