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ステンレスの基礎知識Pa

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ステンレスの基礎知識Pa
先月掲載の「ステンレスの基礎知識」がおかげさまで大変好評だった為、予定を変更して
2ヶ月連続でお届けします。
*前号の記事はこちらから
ステンレスはどんな種類があるの?
ステンレス鋼を分類すると JIS 規格鋼種で 70 種を超え、外国規格、各メーカーの製造鋼種を加
えると 200 種を超えますが大きく分けて次の3種類に分けられています。
オーステナイト系
代表的鋼種は、SUS304で最も普及しています。この鋼種は
加工性、靭性に富み、耐食性に優れていますが、焼入れ硬化性がない
ので硬さの点でマルテンサイト系に劣ります。 一般的には非磁性
ですが、加工等によって弱磁性になることがあります。
フェライト系
代表的鋼種は、SUS430です。焼きなまし状態がフェライト組織で、
成型加工に適する反面、高温度においては結晶の粗大化がみられ、靭性が
劣ります。対錆性も表面の不働態化により優れてはいますが、オーステナイ
ト系よりも劣ります。強磁性です。一般に厨房用の加工材や圧造用材料、
金網素線等に広く使われています。
マルテンサイト系
代表的鋼種は、SUS410です。焼きなまし状態ではフェライト組織を
示し、靭性に富み、成形加工も比較的容易です。 焼入れするとマルテンサイ
トを生じ硬化するので、ネジ用耐摩耗部品として使用されます。強磁性です。
ステンレス種類
代表的鋼種
組成
熱処理
磁性
SUS304
18Cr-8Ni
軟化する
非磁性
XM7
18Cr-9Ni-3.5Cu
軟化する
非磁性
フェライト
SUS430
18Cr
硬化しない
強磁性
マルテンサイト
SUS410
13Cr
硬化する
強磁性
オーステナイト
皆様が日常使用されているスプーンなどに「18-8STAINLESS」と刻印されているのは、
SUS304を指しています。
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ステンレスの表面加工
ステンレスには、ステンレスの表面仕上げ(表面の見た目:ピカピカとか光っていないとか、模
様があるとか)として以下の種類があります。
名称
No.1
表面の仕上げの状態
銀白色で光沢が無い
表面仕上げの方法
熱間圧延後、熱処理、酸洗または、こ 表面光沢を必要とし
れに順ずる処置を施したもの
2D
主な用途
ない用途に使用する
にぶい灰色のつや消し仕上げ 冷間圧延後、熱処理、酸洗いしたもの。 一般用材、建材
(ダル仕上げ)
またこれをつや消しロールで軽く冷間
圧延を施したもの
2B
2D 仕上げよりなめらかで、や 2D 仕上げ材に適当な光沢をあたえる 一般用材、建材(市
や光沢がある仕上げ
程度の軽い冷間圧延を施したもの
販品の大部分はMこ
の仕上げ品)
BA
鏡面に近い光沢をもった仕上 冷間圧延後、光輝熱処理を行い、さら 自動車部品、家電製
げ
に光沢をあげるため、軽い冷間圧延を 品、厨房用品、装飾
施したもの
No.3
光沢のある、粗い目の仕上げ
用
2D または 2B 仕上げ材を 100~120 番 建材、厨房用品
の砥粒の研磨ベルトで研磨したもの
No.4
光沢のある、細かい目の仕上げ 2D または 2B 仕上げ材を 150~180 番 建材、厨房用品、車
の砥粒の研磨ベルトで研磨したもの
両、医療器具、食品
設備
#240
細かい目の研磨仕上げ
2D または 2B 仕上げ材を 240 番程度の 同上
砥粒の研磨ベルトで研磨したもの
#320
#400
#240 よりさらに細かい研磨仕 2D または 2B 仕上げ材を 320 番程度の 同上
上げ
砥粒の研磨ベルトで研磨したもの
BA に近い光沢
2D または 2B 仕上げ材を 400 番の砥粒 同上
の研磨ベルトで研磨したもの
HL
ヘアライン
長く連続した研磨目をもった 適当な粒度(通常 150~240 番の砥粒 建材の最も一般的な
仕上げ
が多い)の研磨ベルトで髪の毛のよう 仕上げ
に長く連続した研磨目をつけたもの
No.6
No.4 仕上げより 反射の少な No.4 仕上げ材にタンピコブラシをか 建材、装飾用
い、つや消しのサテン(梨地) けて研磨したもの
の仕上げ
No.7
高度の反射率をもつ準鏡面仕 きれいにグラインダーをかけた面を、 同上
上げ(研磨目あり)
No.8
600 番の回転パフにより研磨したもの
最も反射率の高い鏡面仕上げ 順々に細かい粒度の研磨材で研磨した 建材、装飾用、反射
(研磨目なし)
後、鏡面用パフにより研磨したもの
鏡
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ステンレスの表面処理
業界では仕上というより、表面処理という言い方が普通になります。プレス・切削・溶接など
で造られる複雑な形状の部品や製品は、バフ研磨が出来ないため、いろいろな方法で表面処理が
行われています。
電解研磨:研磨液(薬品)のなかで、電気を通す(電解)ことによって、金属表面の凸部
(ミクロンレベル)を溶出させることで平滑で光沢の有る表面にします。
(SUS304、316 等は良く光沢が出ますが、SUS430 などは光沢はあまり出ません。)
ステンレスの表面に食い付いている汚れや不純物を取り除き、酸化皮膜を強化
するので耐食性が向上します。
化学研磨:高温の酸性溶液中に品物を入れ、研磨を行う方法です。一つ一つ電極に付けられ
ない様な、小さなものの場合に有効です。
酸洗:強酸性の薬液に漬けたり、ペースト状の酸洗剤を塗るなどして表面を溶出させて洗い
ます。光沢は出ませんが、安価で大型の製品に対応できます。溶接焼けによる黒ずみを
取るためなど、外観を問題にしないものであれば酸洗でOKです。ただし、光沢のある
ところも、つや消し状態になってしまいます。
バレル研磨:小物プレス部品など数の多いものを、研磨石や研磨剤(コンパウンド)のなかに
混ぜ込み、かき混ぜることによって研磨をします。端部のバリやトンガリを丸く
する(面取り)とともに、研磨石の種類によって独特の表面仕上りになります。
バフ研磨:板状のものや棒状のものなど、比較的簡単な形状のものに研磨加工を行うことで、
良い光沢が得られます。
ショットブラスト:ステンレスのビーズを勢いよく吹き付けることで、表面を梨地状にざら
つかせます。滑り止め目的や、表面の見せ方として活用することが多い
方法です。
脱脂処理:アルカリ性の脱脂剤の内に侵漬し表面の油分を除去します。
不動態化処理(パシペート):酸性の液に浸漬し、表面に不動態化膜を形成させることで、
防錆力をアップさせ、腐食や酸化からステンレスを守ります。
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なぜ不動態化処理をするの?
ステンレス鋼材は本来、空気に触れることにより、自ら不動態化皮膜を生成します。しかし、
この不動態化皮膜は不均一で強固な膜では無いため、不動態化処理を施すことで強制的に均一で
強固な膜を形成させる事ができます。
つづく
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