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6.特徴あるさつまいもの生産振興

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6.特徴あるさつまいもの生産振興
特徴あるさつまいもの生産振興
――
産地の活性化を目指して
――
1 活動のねらい
香取市栗源区の基幹品目である食用かんしょの価格低迷を打開するために、特徴ある
かんしょ品種の導入とブランド化を推進し、産地の活性化と農業経営の安定を目指す。
2 課題の背景
栗源区は食用かんしょを中心とした露地野菜産地で、
「ベニコマチ」を特産品としてきた。
しかし、この品種は皮色が薄く形状が乱れやすい、つる割病に弱いなどから市場評価を得
にくく、主な作付品種は作りやすい「ベニアズマ」に移行していった。
「ベニアズマ」は収量がよく病害虫に強く収量性に優れるが、生産過剰、気象変動による
品質の低下などから価格が低迷している。地域では「ベニアズマ」に偏り過ぎない産地体
制を築くために、特徴あるかんしょの生産振興が求められていた。
現在栗源区で生産されている特徴あるかんしょ品種としては、特産品の「ベニコマチ」
のほかに高系 14 号の改良種である「栗源くりちゃん」と、ベータカロテンを含み肉色がオ
レンジの「アヤコマチ」がある。
3 普及活動の経過、成果
(1) 普及活動の経過
ア 高系改良種「栗源くりちゃん」の導入とブランド化
近隣の地域の動きを受け、平成 14 年から高系改良種の試作を行ってきた。農協園
芸部での集まりでは「ベニアズマ」と並べて展示を行い、取組と品種特性の理解に努め
た。
平成 17 年度からは部会として組織化され、
他地域の高系改良種と区別するため「栗
源くりちゃん」と名前をつけた。栽培開始時には生産者を集めた栽培講習会を行い、品
種特性に応じた技術を指導した。
導入後はブランド化による高値販売のために、関係機関連携のもと、出荷規格の見
直しや市場との協議などを行っている。また小売店店頭での試食宣伝活動などを生産
者とともに行い、知名度アップを図るとともに、生産者へは視察研修会や良食味いも
生産のための技術指導を通して、ブランド化への意識統一を図っている。
作柄検討会の様子
店頭での試食宣伝活動
イ 新品種「アヤコマチ」の導入
「アヤコマチ」は加工用途でも需要が高く、高値取引が可能な品種で平成 18 年か
ら栽培が開始された。普及活動では、導入の際に園芸部員に対して品種特性につい
て紹介してきた。栽培開始後、萌芽性が悪いなどの問題が明らかになり、電熱線を
使った育苗に関して試験を行った。
また、ブランド化と品種特性の幅広い理解のために、平成 19 年から小売店店頭
での試食宣伝活動に関わっている。その際にはレシピやポップを作成し、より効果
的な宣伝活動となるよう支援している。
ウ 「ベニコマチ」を利用した加工品の開発
平成 14 年に、
管内に農産物直売所を兼ねた道の駅「紅小町の郷」がオープンした。
直売所のメインは特産品である「ベニコマチ」であるが、管内全域の農業を活性化す
るには農産物の販売だけでは不十分であった。特産品を活用した加工品の開発が求
められる中で、「ベニコマチ」の生産者による栗源源流会が結成された。普及活動で
は、結成当初から商品の提案や他業種との連携支援を行ってきた。
(2) 普及活動の成果
ア 「栗源くりちゃん」の生産者数は平成 20 年で 9 名、栽培面積は 4.1ha となってい
る。価格では平成 20 年で「ベニアズマ」よりも 5kg 当たり 180 円高となった。また
生産者のブランド化に対する意欲も向上しており、平成 20 年度から S・2S サイズ
の袋詰めを行い、高値販売に努めている。
イ 「アヤコマチ」の生産者は平成 20 年で 10 名、栽培面積は 3ha まで増加した。継続
的な試食宣伝活動の結果、消費者の間での認知度も徐々に上がってきており、固定
客もつき始めている。また生産者の宣伝活動に対する意識も変化しており、自ら積
極的に消費者に話しかける様子が見られるようになった。
ウ 平成 13 年には 4.4ha にまで減少した「ベニコマチ」の栽培面積が、平成 20 年には
約 6ha にまで増加した。また栗源源流会では、平成 16 年にはいも焼酎「紅小町」が、
平成 20 年には「ベニコマチ」「アヤコマチ」「紫芋」の三種のふかしいもをパックし
た商品が開発された。焼酎は現在二種類あり、道の駅「紅小町の郷」において定番商
品となっている。
4 他への波及性、今後の発展方向
産地の活性化と、農業経営の安定のために特徴あるさつまいも品種の生産拡大を今後
も推進していく。商品の名前を広め、ブランド化を図るために、より消費者の需要に沿
った商品の販売について検討していく。
5 担当者 (西部グループ) 藤田英美・園部幸雄
6 協力機関
JAかとり栗源園芸部
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