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特集:金融新時代のIT戦略

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特集:金融新時代のIT戦略
日本の潮流 2001 創造的変革のために−4つの視点
電通総研 副主任研究員
高村 敦氏
日本がバブル崩壊の余波にとらわれ、「失われた
10年」において茫然自失に陥っていた間にも、世界
は情報化とグローバル化の奔流に洗われて驚くべき
変貌を遂げた。千変万化が加速され、時代が稠密化
する一方、そこかしこで起こる変革の声とは裏腹に、
日本が未来を自ら切り拓こうとする足取りは依然重
く遅いように思われる。
以下では時代の潮流を捉え、新たな世紀に向けた
創造的変革を促すために日本に必要な方途を、『共
創の戦略』
、
『やわらかな絆』
、
『モラル再考築』
、
『寛
容な個人主義』という4つの視点から探る。
●視点1:共創の戦略
20世紀の大きな特徴として、二度の大戦と続く冷
戦、激しい経済競争など、それが過酷なまでのコン
ペティションの時代であった、ということが言えよ
う。しかし90年の冷戦の終焉と90年代の情報化、
そしてそれらが促進したグローバル化は、そうし
たメガ・コンペティションの流れに変化の圧力を加
え、パラダイムは競争から『共創』へと転換しつ
つある。
例えば、国家間ではグローバル化した経済が生む
金融危機や環境破壊、あるいはルールが後追いを余
儀なくされている情報やバイオといった技術分野に
おける諸問題に対する国際的な協調やグローバル
ルール構築の必要性が、一層強く求められている。
また企業においても、市場のグローバル化や競争激
化に対応するための、かつて凌ぎを削った競合相手
との合従連衡が近年のトレンドとなっている。
21世紀を迎え、日本は共創の流れの中でいかに自
らのポジションを定め、戦略を描くかを強く求めら
れているように思われる。
主
な
記
事
◆特集:金融新時代のIT戦略
*新基幹系システム(朝日信用金庫)、「FBA
Navigator」(碧海信用金庫/青木信用金
庫/伊那信用金庫/静岡県労働金庫)、
インターネットバンキングシステム構築
●視点2:やわらかな絆
情報化は、社会における従来の絆のあり方を大き
く変えつつある。情報化がもたらした効率化と最適
化を指向するフレキシブルなネットワークの広がり
は、社会におけるヒト・モノ・カネ・情報・組織など、
あらゆるレベルの関係性に影響を与えている。効率
化と最適化という特徴こそが、自由競争化した社会
を勝ち抜く上で情報ネットワークを不可欠の資源と
している。
また情報化が喚起した『やわらかな絆』は、一方
でリアルな空間への還流をももたらし始めている。
例えば企業が情報化を取り込むことで、従来の縦割
りやヒエラルキーを越えた自由でフレキシブルなつ
ながりが生まれ、創造性や生産性を高めている。サ
イバー空間とリアル空間における関係性が相互に影
響しあうのが新たな時代の社会における絆の姿であ
り、今後さらに絆は多層化・多重化していくだろう。
●視点3:モラル再考築
20世紀における先進国の繁栄は「自由主義」と「科
学技術の発展」によりもたらされたが、近年そうし
た自由と発展のひずみが『モラルの危機』やモラル
に端を発する諸問題として露呈し始めている。例え
ば象徴的なのが、サイバー空間でのプライバシー侵
害やハッカーといった諸行為だ。サイバー空間はア
クセスの自由や匿名性の自由といった諸権利により
急速な進化を遂げた。野放しな自由への法的な規制
を求める声がある一方、そうした負の部分はより大
きなメリットのためにはやむを得ないという議論も
あるが、情報化により、あらゆる個人が肥大化した
力を与えられる以上、サイバー空間上でのモラルに
基づくフォーマルないしインフォーマルなルールを
に着手(しんきん情報システムセンター)、
アウトソーシング/システム共同開発(殖
産銀行・福島銀行/広島銀行・福岡銀
行)、「DOCS」(広島銀行/中国銀行/
(2面∼9面)
百五銀行/肥後銀行)
いかに構築し啓蒙するかという観点が必要であろう。
例えば、サンマイクロシステムズの創設者の一人
で技術者のビル・ジョイ氏はコンピュータがGNR(遺
伝子、ナノ、ロボット)技術と結びつき進化が加速
され、情報ネットワークにより悪意ある個人がそう
した技術情報を悪用するリスクに強い懸念を示し
た。新たな科学技術が善悪両方の側面を持つ以上、
最終受益者である生活者を含めた幅広いモラルに関
する客観的な議論が今後大きな課題となるだろう。
●視点4:寛容な個人主義
「失われた10年」と呼ばれた停滞と混沌の90年代、
日本においてはさまざまな旧来的価値観見直しの議
論が起こった。そして見直しが必要とされたものに、
「ムラ社会的な他者への非寛容さ」や「なれあいの集
団主義」といったものが挙げられた。戦後日本の発
展を支えたこれらのある種工業的な価値観は、21世
紀の情報資本主義社会においては齟齬を生まざるを
えない。情報資本化した社会においては、情報や知
識をいかに活用・生産するかがカギとなるが、付加
価値のある新たな知を創造する社会システムを実現
する上では、異質な考えや文化を受け入れる寛容さ
と個性・創造性がある個人の存在が不可欠だ。歴史
をひもとけば、そうした多様な文化のモザイク的な
都市が創造性の源泉となった例は数多く見られる。
情報化は個人の考えや生き方を多様化しうるとい
う意味で、『寛容な個人主義』という価値基軸を実
現する追い風になるだろう。加えて個性や多様性を
育み支える教育や制度の整備が官民問わず促進され
ることが、新たな時代の日本が活力を生むための要
UN
諦となる。
◆ユーザ事例
◆IT最前線
*イズミヤ−従業員活性化のための人事
情報システム構築
(10面)
*全日空商事−通販事業の基幹系/情報
系(総合顧客分析)システム刷新 (16面)
*バランス・スコアカード
*システム開発技術の動向(9)
*Windows Data Center(6)
*ネットワーク・ソリューション(9)
(11面)
(12面)
(13面)
(14面)
特集:金融新時代のIT戦略
−最新 IT活用事例とユニシスの支援体制
ユニシス・ニュースのバックナンバーは、日本ユニシスのホームページに全文が掲載されています。
http://www.unisys.co.jp/users/unisys_news/index.html
特集.金融新時代のIT戦略
−最新IT活用事例とユニシスの支援体制
朝日信用金庫
第4次オンライン・システム稼働
次世代勘定系システム「SBI21」を採用
勘定系システム/営業店システム/ネットワークを一斉全面更改
金融業界の再編が加速される中、地域金融機関も
ための最適な情報システムの実現
生き残りをかけ、顧客サービス・戦略商品などへの
*①24時間365日稼働、②オブジェクト指向技術と
迅速な対応が求められている。
PCベースの開発環境による高生産性の確保、③
朝日信用金庫では、
“お客様とともに、地域とと
統計バッチシステムのオープン化による勘定系シ
もに発展する信用金庫”として特色を活かした独自
ステムのスリム化、④営業店端末システムの汎用
戦略を迅速に実現することを目指し、次世代勘定系
化(Windows NTベースの新営業店システム「FBA
システム「SBI 21」を採用し、1月4日より「第4次オン
Navigator」など)の実現
ライン・システム」の稼働を開始した。
*次期システム構築時にシステム要員の大幅なレベ
第4次オンライン・システムは、勘定系システム、
ルアップが望めること
営業店システム、ネットワークをも一斉全面更改し、
*メーカーの信金業界に対する姿勢(パートナーベ
24時間365日稼働を実現している。
ンダとしての信頼度)
こうした要件および将来性・投資対効果を総合的に
「SBI 21」で次世代情報基盤を確立
判断した結果、日本ユニシスの次期勘定系システム
「SBI21」を採用した。
稼働式でテープカットする塚原 和郎理事長(左から3人目)、
以下右に、森脇 邦剛専務理事、小林 一雄常務理事、
原 弘之理事システム部長
テムを再構築している。
朝日信用金庫では、82年1月に日本ユニシスとの
なお、実行処理の予約など融資業務の平準化・効
21世紀のさらなる飛躍を目指した
次世代勘定系システム
共同開発によりFAST1100をベースとしたオンライ
ン・システムを稼働させ、以後、数次にわたり機能
強化を図ってきた。しかしながら、本システムは規
率化をも図っている。
⑤長いシステムライフの追求
急速に変革し続けているIT技術に柔軟に対応でき
SBI21導入の目的および第4次オンライン・システム
制金利時代の業務・枠組みに基づいたものであり、
る仕組みとするために、ネットワークのTCP/IP化
また本番後長期にわたる経過の中で、以下のような
の特徴について、次の点を挙げている。
を実現と、端末機のオープン化の他、システム設
システム課題が顕在化してきた。
①戦略商品・サービスへの迅速な対応
計・開発・テスト・保守なども、すべてオープン系シ
*諸機能の追加によるシステムの複雑化と透明性の
21世紀に飛躍する地域金融機関であるために、独
ステムで実現。現時点の実行環境はメインフレーム
低下を招き、システムの制度的疲労の顕在化
自の経営戦略を迅速かつ柔軟に具現化できるシステ
を採用しているが、今後の技術動向に応じてオープ
*システムの複雑化・肥大化に伴う開発生産性低下
ムが不可欠である。この実現のために、基幹勘定系
ン系システムへ移行可能な仕組みとなっている。
*オンライン終了後の業務処理の長時間化(時間延
業務の分野では業界で初めて分析・設計工程にオブ
FBA Navigatorにより営業店システムも刷新
長の足かせ)
ジェクト指向技術を採用することで、個別独自商品
また日本版ビッグバンに代表される今後の金融環
開発の柔軟性を確保しつつシステムの開発・保守の
境の変化に対し、競合優位を確保し続けるためには、
大幅な生産性向上を実現し、開発・保守負荷を大幅
*多様化する顧客ニーズ(行動)への的確かつ迅速な
に軽減している。
一層の効果を具体化するために、日本ユニシスと沖
②顧客サービスの向上−24時間365日稼働を実現
電気工業との共同開発による新営業店システム
対応
朝日信用金庫では、第4次オンライン・システムの
競合力向上のためにも、顧客サービスの向上は非
「FBA Navigator(SBI21版)」を導入し、営業店の合理
常に重要なテーマであり、24時間365日稼働システ
化、情報システムの充実を図っている。新営業店シ
ムを構築するとともに、新しいデリバリ・チャネル
ステム導入の狙いとして、次の点を挙げている。
などを必須要件とし、次期システムの検討を行って
への柔軟な対応を図っている。
*営業店BPRによる、さまざまな“レス”の実現
きた。
③営業店事務の簡素化・標準化
*営業店のセールス拠点化の実現
*低コスト・チャネルの創出
*上記を支えるシステム部内の開発力(開発スピード)
の強化
本システムの導入にあたり、事前に印鑑照会シス
次期システムにおいては、次のような点をポイント
として検討した。
テム、オープン出納機などを導入し、2000年上期に
*「営業店システムの戦略化」、「情報武装のための
営業店体制を一線処理完結型に移行。
データベース構築」などの独自戦略を具現化する
LAN
統計
サーバ
(メインフレーム)
運用管理
サーバ
(Windows)
印鑑ファイル
サーバ
(Windows)
イントラネット
サーバ
(Windows)
対外システム
新営業店システムは、ソフトウェアにSBI21版
FBA Navigator、ハードウェアに沖電気製端末で構
できる体制とした。
成されている。新営業店システムの機能・特徴は、
本システムは、収支ペ
ネットワーク
サーバ
(Windows)
ア、役席承認システム、
(Windows/UNIX)
ファイアウォール
ネットワーク
(コミュニケーション・ハブ)
渉外員
日
銀
S
S
C
C
A
F
I
S
の実現
ネットワークの二重化、営業店サーバの二重化、
可能な簡素化・標準化・容
ソフトウェアのリモート配布、マルチホスト対応を
易性を追求したオペレー
図っている。
ションなどにより、締め
② 営業店の省力化/効率化対応
上げ時間の短縮化を実現
PCバンキング
独自性が強い分野であり、
本システム導入に合わせ
融資審査判断に必要な情
外部機関・提携先
(Windows)
務の正確性の追求
融資業務は、同金庫の
提
携
企
業
インターネット
携帯電話
報システムを再編成し、
稟議に関する一連のシス
2
2001年3月1日第479号
① 24時間365日稼働を支える信頼性の高いシステム
し、パート要員でも対応
④融資事務の整備と審査業
テレホンバンキング
以下のとおりである。
端末機別精査などを採用
している。
(Windows)
営
業
店
の実現
ムの機能を最大限に発揮
顧客チャネル
(検討中含む)
本
部
*勘定系処理の他、情報検索(顧客メイン化情報)
この体制の下で、本システムを稼働させ、システ
システムの全体像
勘定系サーバ
*新商品開発などへの迅速な対応
DDLB(Drop Down List Box)によるガイダンス機
■朝日信用金庫
http://www5.mediagalaxy.co.jp/asahishinkin/
◆中小企業専門の金融機関として、地域のすべてのお
客様に質の高い金融サービスを提供することにより、
「地域で最も頼りにされる金融機関」を目指している。
◆本店所在地=東京都台東区台東2-8-2
◆代表者=塚原 和郎理事長
◆預金量=1兆1,687億円(2000年3月)
◆店舗数=36店舗3出張所
◆役職員数=1,389人(2000年3月末)
◆使用機種=ITASCA3800-22Gほか
ユニシス・ニュース
2001年3月1日第479号
能、伝票レス/集計レス機能、端末機ごとの精査、
機能を充実させている。
現金管理のシステム化、各種帳票配信機能、各種照
④ その他
会の画面表示機能、ペーパーレスの推進、ATMの
外国為替システム、印鑑照会システム、通帳証書
機能拡張などを実現している。
発行機、融資稟議支援システムなどとの連動、融資
③ 管理機能の充実
業務端末のPC化を図り、営業店業務の効率化を支
リモート役席承認、オペレータカード方式の廃止、
伊那信用金庫(SYSTEM-F版)
オープン基盤を構築し、
勘定系と情報系の融合を目指す
◆所在地=長野県伊那市大字伊那3438-1
援している。
◆代表者=阿部 凱人理事長
運用管理システム、ネットワーク監視機能など管理
◆預金量=1,765億円(2000年3月)
◆店舗数=14店
新営業店システム「FBA Navigator」続々と採用、
稼働
◆役職員数=250人
「事務処理拠点」から「セールス拠点」へと変革する営業店システム
◆端末台数=74台(サーバ:36台、クライアント:
◆稼働時期=2000年8月∼12月
38台)
朝日信用金庫の事例にみるように、新営業店シス
テム「FBA Navigator」は、これからの金融機関の営
まな業態の金融機関から高い評価を受け、受注およ
◆ホスト・システム=Unisys NX4600-322×2
び本番稼働が相次いでいる。
■ 概要・特徴
2000年8月に試行本番を開始し、10月より順次営
業戦略を強力に支援するソリューションとして注目
FBA Navigatorには、SBI21版/FAST版/SYSTEM-
を集めている。金融自由化に伴い、金融機関の営業
F版/SEC(証券・保険)版/IBS(国際勘定系)版など、
店は、「事務処理の拠点」から「セールスの拠点」へと
勘定系オンライン・システムに対応したクライアン
これにより営業店ネットワークのLAN化、端末
大きな変革を求められている。各金融機関は営業店
ト/サーバ型システムと、証券・保険版対応のWeb
OSのWindows NT化など、オープンな営業店システ
事務処理にITを積極的に導入し、営業店のBPR実現
ブラウザ型システムとが用意されている。
に取り組み始めている。
(図)
本号では、本年度受注、導入された主な事例を紹
こうした状況の中で、これからの営業店システム
FBA Navigatorの商品体系
さらに、運用管理システムの導入により、リモー
配布などにより運用面での効率化を実現している。
また、一部機器の継続使用により、投資の分散を
店でのセールスを支援する情報系機能、③
変化に即応できる柔軟性が要求される。
ム基盤が構築された。
トからの自動電源ON/OFF、プログラムのリモート
介する。
には、①営業店事務の効率化機能、②営業
業店に展開し12月に全店への移行を完了した。
FBA Navigator V.2
(クライアント/サーバ型)
SBI版(SBI21版勘定系オンライン・システム対応)
図っている。
第2フェーズでは、オープンな営業店システム基
「FBA Navigator」は、汎用PC、Windows
NTなどオープンなシステム基盤により構
FAST版(FAST版勘定系オンライン・システム対応)
盤の上で勘定系と情報系との融合、将来的にはイ
築される営業店システムで、最新のITを容
SYSTEM-F版
(SYSTEM-F版勘定系オンライン・システム対応)
メージ処理システムを導入し、後方事務処理のさら
易に取り込むことが可能であるため、顧客
を短期間に確実に実現できる。
IBS版(IBS版国際勘定系オンライン・システム対応)
こうした先進性のあるオープンな設計思
想、豊富な金融ソフト部品による開発の柔
なる効率化を計画している。
SEC版(証券・保険版オンライン・システム対応)
ニーズに合った先進的な新営業店システム
FBA Navigator V.3
(Webブラウザ型)
SEC版(証券・保険版オンライン・システム対応)
軟性、実績に基づく信頼性などが、さまざ
静岡県労働金庫
ネットワークサービス/営業力強化を目指し、
情報拠点化を推進
◆所在地=静岡県静岡市黒金町5-1
碧海信用金庫
イメージ処理で営業店事務の
一層の自動化を目指す
青木信用金庫(FAST版)
営業店事務の効率化、
顧客サービス向上、
事務処理リスクの低減を目指す
◆代表者=本多 玄吾理事長
◆預金量=6,774億円(2000年3月)
◆店舗数=27店
◆役職員数=580人
◆稼働時期=2000年5月∼2001年9月(予定)
◆所在地=愛知県安城市御幸本町15-1
◆所在地=埼玉県川口市中青木2-13-21
◆代表者=石川 正義理事長
◆代表者=長堀 健治理事長
◆預金量=1兆2,552億円(2000年3月)
◆預金量=4,737億円(2000年3月)
◆ホスト・システム=Unisys NX5800
◆店舗数=74店
◆店舗数=38店
■ 概要・特徴
◆役職員数=1,440人
◆役職員数=775人
◆稼働時期=2002年4月(予定)
◆稼働時期=2000年11月∼2001年6月(予定)
ク・サービスの強化、ハード/ソフト両面の安定し
◆端末台数=328台(サーバ:154台、クライアン
◆端末台数=244台(サーバ:84台、クライアント:
たシステムの構築によるシステム・リスク、事務リ
ト:174台)
160台)
◆ホスト・システム=Unisys A18/NX4800
◆ホスト・システム=Unisys 2200/403×2
■ 概要・特徴
■ 概要・特徴
◆端末台数=157台(サーバ:60台、クライアント:
97台)
同金庫では、導入の狙いとして、①ネットワー
スクの軽減、②利用者ニーズの対応、③営業力強化
のための情報拠点化を挙げている。
2000年5月の新情報センター竣工に合わせて最新
新営業店端末システム導入にあたり、FBA
営業店事務の効率化による省人化、顧客サービス
Navigatorのオープンな端末のメリットを有効に活用
の向上、事務リスクの低減などを目指して導入。日
すべく、最新のイメージ処理技術(スタンド型イ
本ユニシスと沖電気工業との共同セールス/開発に
新営業店システムの特徴として、①オンライン・
メージスキャナ、印鑑照合ソフト、イメージ読取/
よるファーストユーザで、端末アプリケーションに
システムにおけるTCP/IP化の実現、②GUI、マルチ
認識ソフト)、およびネットワークのTCP/IP化を採用。
FAST版FBA Navigator、端末機に沖電気製GPT/VX4
ウィンドウによるユーザ・インタフェースの機能向
この最新技術により、①全店/全部署からの印鑑照
を採用。新営業店システムへのスムーズな移行を図
上などを挙げている。
会、②テラー端末上での印影自動照合、③為替集中セ
ンター(仮称)での印影自動照合、④各種伝票のイメージ
るため、2段階のフェーズに分けて実施。
第1フェーズ(2000年11月∼2001年3月予定)では、
読取/認識による自動入力、⑤営業店/為替集中セ
帳票配信、画面照会など現行端末の各種機能を拡充
ンターでの分散/集中為替イメージ処理を実現する。
し、オープン化対応を実施。また、端末と連動し端
また、全店の高速デジタル回線網とともに無線
末機上で印鑑照会を行えるシステムに移行。第2
LANを採用し、フレキシブルなリモート役席承認シ
フェーズ(4月∼6月予定)では、全店舗に通帳証書発
ステムを構築して省人化/省力化を図り、スリムで
行機システムを導入し、さらにATM通帳発行機能
強固な営業店を目指している。
を取り入れる。
ホスト・システム「NX5800」、FBA Navigatorの稼働を
開始し、全店展開を進めている。
今後は、営業店後方事務のほとんどを新センター
に集中して、営業店は営業活動に専念できる体制を
作り上げていく計画である。
◇
なお、来月号にも引き続き「FBA Navigator」の事
例紹介を予定している。
UN
3
特集.金融新時代のIT戦略
−最新IT活用事例とユニシスの支援体制
地方銀行の事業戦略と
バンキング・システムの将来展開
進展するEビジネスを視野に
“CRMの徹底”が不可欠な要件
の情報処理サービス、ネット市場での認証サービ
ス、金融ポータルの設立・運営、個人・法人向け
規制の緩和、ITの進展はEビジネスの展開に拍車
これらの課題に対して、地方銀行においては、生
をかけている。製造業や流通業は、それぞれ製造・
き残りをかけて、自行ポジションの明確化、BPRの
販売・流通の各プロセスにEビジネスを展開し、ま
導入、不得意分野からの撤退、得意分野への資源の
⑤顧客利用アクセス手段や対応時間の拡大
た、決済のプロセスの分野においても、自らが決済
集中化などの方策を実施し、競合力を維持すること
◆リスク・収益管理の高度化
するという金融機能も創出し始めている。こうした
が急務である。
エージェント・サービスなどのEビジネス関連へ
の対応
バンキング・ビジネスは、リスク負担ビジネスであ
Eビジネスの進展に、金融機関は新たな積極的な対
日本ユニシスでは、「地域社会との共生のための
り、リスクを管理することが安定拡大のキーポイン
応が求められている。本来の決済機能を武器に、資
リスクの協調分散システムの確立」が最重要課題で
トになる。したがって、トップ・マネジメントを含
金仲介や情報仲介・信用仲介・リスク管理機能をEビ
あると捉え、①CRMの徹底、②商品・サービスの充
めた管理体制の整備とそのサポート・システムの構
ジネスの市場に積極的に展開するとともに、決済以
実、③リスク・収益管理の高度化、④コスト構造の
築が必須である。トップ自ら先陣を切ってリスク・
外の分野への展開を図り、地域や地元産業の活性化
変革による経営基盤の維持・強化を図り、新しいビ
マネジメントの高度化に取り組んでいただきたい。
を支援することが期待されている。しかし、金融機
ジネス・モデルの展開が必要と考えている。特に、
関におけるEビジネスは、まだ未成熟の段階という
地域という顧客基盤の確立には、CRMの徹底が不
②総合予算収益管理、③市場リスク管理、④信用リ
のが現実である。そこで、日本ユニシスでは、Eビ
可欠であり、外部からの競合を排除し、顧客を囲い
スク管理、⑤原価管理、特にABC原価管理、⑥採算
ジネスをも視野に入れながら、地方銀行における経
込むための基本政策となるものと確信している。
管理、⑦ビジネス・リスク管理などが挙げられる。
このためのサポート・システムとしては、①ALM、
◆コスト構造の変革
営課題を踏まえて、バンキング・システムの今後のある
地域におけるリーディング・バンクを
確保するために−地方銀行の将来展開構想
べき姿を将来構想として、以下のように提言したい。
地方銀行における経営課題
商品・サービスの提供コストを従来以上に継続的
に低下させることが必要であり、そのためには、コ
ストの占める要素を極力絞り込み、かつ継続的に見
◆1県1地銀の経営(顧客)基盤の確立
直す体制と意識が必要である。その要素の大きなも
地域金融機関として地方銀行が勝ち残る方向性
のは、商品・サービスを提供する事務処理プロセス
4点が挙げられる。
は、
“1県1地銀の経営(顧客)基盤の確立”を目指し、
の軽量化と、それを遂行する要員の意識変革と運用
①顧客ニーズの価値観が多様化する中で、さまざま
その中のリーディング・バンクたり得るかどうかに
体制の変革である。具体的な施策項目としては、以
な商品、サービスと、それに対応するデリバリ・
ある。その企業ドメインは、金融サービスを軸とし
下の点が挙げられる。
チャネルが必要になっている。
た地域インフラとしての認知であると位置づけ、行
①預金、為替、融資、渉外、本部を対象にしたBPR
まず、地方銀行における経営課題としては以下の
政・住民・地域企業・非営利団体への金融サービスの
②IT革命が進む中、インターネットや携帯電話を利
提供と関連インフラの利用提供にある。
用した電子商取引はITの大衆化を推し進め、従来
将来の地域トップバンクの条件としては、地域
の店舗やATMを媒介しない金融サービスが求め
トップ・ブランドの確立と維持、対象顧客、商品・サー
られている。
の実施と継続習慣化
②統括母店、融資専門店、渉外デポ、取次店、代理
店、またバーチャル店舗や自動機などの顧客接点
の見直し
③自己責任原則の徹底、規制緩和、市場原理の導入
ビス・アクセスなどの機能、また、機能提供方法の
③ITなどの活用による事務処理の軽量化、事務量に
は、既存業界内の競合激化だけでなく、外資の積
多様化、意識改革と満足度向上などが挙げられる。
応じた要員配置やパート化などを通じた人件費の
極的な参入や、他業態からの参入を容易にし、金
◆商品・サービスの充実
変動費化
自らの強み、長所を整理し、商品・サービスの充
融サービスをめぐる競合は急速に多様化・激化を
もたらしている。
④こうした課題への対応は、インフラ・コストの高
実を図るとともに、従来の金融サービスを軸にして
⑤大胆なIT導入推進
銀行業として長年培ってきた信頼・信用、事務処理、
⑥提携、アウトソーシングによる最適な資源投入と
騰をもたらし、その結果、将来の経営圧迫要因に
調査・審査、財務・経理、法務・税務、情報技術など
なるものと予想される。
のノウハウ、人的・物的資産を活用して、次のよう
な取り組みが必要とな
地方銀行の将来展開図
地域における永久的なリーディング・バンクの地位の確保
リスク・収益管理の高度化
中長期経営計画・ALM
地域TOPブランドの確立と維持
総合予算・収益管理
市場リスク管理
対象顧客=地域を構成する全顧客
CRMの徹底とマーケティング力強化
伝統的サービスと新たなサービス
機能(商品、サービス、アクセス)
顧客・マーケット
分析
機能提供方法の多様化
(他地域・業態との共生)
意識改革と満足度
現状
ビジネス・モデル
の限界
信用リスク管理
セールス企画
ABC原価管理
現状の課題
採算管理
その他のリスク管理
CRMの徹底とマーケ
ティング
商品・サービスの充実
リスク・収益管理の強化
経営モニタリング
ニュー
ビジネス・モデル
の展開
BPRの実施と継続習慣化
・
経
営
基
盤
の
維
持
強
化
顧客利用手段(顧客接点)の拡大
顧客反応
結果分析
コンサルティング・ビジネスの取り組み
コスト構造の変革
顧客接点の見直し
将来への展開
行動
要員体制の変革
意識改革の推進
Eビジネス分野への進出
商品・サービスの充実
る。
大胆なIT導入の推進
提携とアウトソースの推進
コスト構造の変革
2001年3月1日第479号
地方銀行次期バンキング・システム
検討・検証コンソーシアム「S-BITS」を設立
供、ITや資産運用の
このような今後の地方銀行の課題を踏まえて、日
コンサルティング・
本ユニシスでは、経営戦略上今後必要となる新しい
ビジネス
バンキング・システムの共同研究・企画、およびその
②生保、年金、投信な
実現に向けての対応策の策定を行うため、地方銀行
どの取扱商品の拡大
次期バンキング・システム検討・検証コンソーシアム
による手数料ビジネ
「S-BITS(Succeeding Banking Information Technology
スの拡大
for Success consortium=エスビッツ)」を昨年11月に設
③決済および流動性預
立した。
このコンソーシアムには、秋田銀行、北越銀行、
ローバンク機能に加
山梨中央銀行、百五銀行、紀陽銀行、大分銀行、鹿
えて、貯蓄性預金、
児島銀行の7行が参加している。参加行はいずれも
融資、起債引受など
勘定系システムの基盤ソフトウェアとして日本ユニ
をベースとした伝統
シスが開発した「TRITON(トライトン)」を導入して
的な金融サービスの
おり、S-BITSでは、この共通のシステム基盤をベー
拡充
スに、勘定系システムをはじめとした複数の検討部
④法人向けのネッティ
ング、消し込みなど
4
コスト削減
①経営指導や情報提
金をベースとしたナ
手数料ビジネスの拡大
伝統的商品・サービスを活用した
新規ビジネス分野の拡大
④職員のサービス業意識の徹底
会を立ち上げ、参加各行のニーズに合わせて各種の
テーマに取り組んでいく。
UN
ユニシス・ニュース
2001年3月1日第479号
しんきん情報システムセンター
本年11月サービス開始に向け、自主運営による
「しんきんインターネットバンキングシステム」構築に着手
日本ユニシスがシステム・インテグレーション
ITの積極活用で信用金庫独自の
差別化戦略が重要に
供を可能とする
製作所のFINEMAXの実現基盤を採用し、これを信
③将来のインターネットを利用したCRMのための
用金庫向けにインテグレーションする。
顧客基礎情報を蓄積する
金融業界は、日本版ビックバンの進展や来年4月
の実現を目指すことになった。
のペイオフ解禁を控え、大規模な再編によるメガバ
ンクの登場、異業種からの参入など地殻変動が起
新システムに求めた開発機能要件
こっている。そうした金融環境の中で、信用金庫戦
略の大きなポイントは、地域顧客に密着したサービ
口座変動時にEメールによる
入出金通知機能などを付加
新システムは、既存の残高照会や資金移動サービ
SSCでは、新システム構築に当たり、求めた開発
スのほかに、定期預金、定期積金、諸届け受付を新
ス体制にIT(情報技術)を積極的に取り入れていくこ
機能要件として次の項目を掲げた。
たに追加する。また、インターネット・バンキング
とで、都銀や異業種参入組には真似のできない、信
*インターネットによる顧客向け機能が、当初より
では初めて、顧客利便性向上と不正取引を早期に通
金独自のハイタッチ・サービスによる差別化戦略を
具備されていること
知するため、入出金などによる口座変動が生じる都
*顧客インタフェースに優れ、十分なセキュリティ
打ち出していくことにあるとされている。
こうした背景を受け、信用金庫向けに各種システ
ム・サービスを行っている、しんきん情報システム
センター(以下:SSC)では、新たに全国の信用金庫
が容易にインターネット・バンキングシステムの共
用化を可能とする「しんきんインターネットバンキ
ングシステム」の構築に着手し、本年11月からサー
ビスを開始することになった。この新システムは、
が確保されていること
加した。さらに対象となる携帯電話をiモードのみ
*信用金庫業界センターとしての管理機能が具備さ
れており、管理運用が容易で安価なこと
*提供サービスおよびメディア対応などのシステム
拡張が、他ベンダを含め確保されていること
*24時間365日安定稼働のバックアップ、サポート
体制が万全なこと
ならず、EZWeb、J-SKYにも広げ、一層の利便性向
上を図る。
さらにセキュリティ面では、SSL128の採用や資金
移動時のワンタイム・パスワードの要求など最新の
セキュリティ機能を付加するなど万全を期す。
実現するシステムの特徴は、次のとおり。
①第2世代インターネット・バンキングの実現
日本ユニシスがシステム・インテグレータとして構
日本ユニシスをSIベンダに選定
築に当たっている。
度、携帯電話やWebにEメールによる通知機能を付
豊富な業務機能の実現に加え、投信・外貨などの
金融商品の対応強化を考慮
信金色が打ち出せる
インターネット・バンキングサービスが必須
これらの要件を満たす、新システムの提案書を大
手のベンダに募り、日本ユニシスが最終的にシステ
ム・インテグレータとして選定された。選定理由に
②実績に裏付けされた、きめ細かで高信頼性の運用
の実現
・Windows、UNIXを組み合わせたオープン環境で
S S Cでは、これまでインターネット・バンキング
ついて、業務開発第1部長 堤 健二氏は、「イン
機能を都市銀行、地方銀行などとともに加入した外
ターネット・バンキングシステムで豊富な実績を持
・勘定系オンライン接続、取
部センターを利用して各信用金庫に提供してきた。
つ日立製作所のFINEMAX(ネットワークバンキング
引データ授受の自動化、金
しかし、外部センター利用のためサービスに制約が
共同センタサービス)を中核とした構築を提案され、
庫向け帳表出力などの運用
あり、信用金庫としての独自色が出せないなどの問
少ない投資で、かつ短期間で当社の要件を満たすイ
題点が露呈してきた。特に、信用金庫業界は、競争
ンターネット・バンキングシステムが実現できると
の激化とともに、顧客・商品・サービスのあらゆる局
考えたからだ。また信用金庫業界で数多くのシステ
面において、サービスの質的向上と新たな差異化戦
ム構築の実績があり、金庫業務に精通していること、
③各信用金庫の独自営業戦略に追従
略の実施が強く求められている。
さらにインターネット・バンキングは進化を続けるが、
・顧客ランク別振込手数料、家族口座対応など独自
そこで、S S Cではインターネット・バンキングシ
その辺の将来的なサポート力も高く評価し、システ
ム・インテグレーションを依頼した」と語っている。
ステムの自主運営により、
①信用金庫のお客様に他金融機関以上に充実した機
能を持つ、サービスレベルの高いインターネッ
ト・バンキングサービスの提供
の高信頼性の実現
設定が可能
・堅牢なセキュリティ機能で
堤 健二氏
不正取引・誤取引を低減
サービス商品への対応
・Web、携帯電話などダイレクト・チャネルでの利
便性・商品面でのサービス向上
日立と協業で「FINEMAX」を核に
独自システムとして構築
システム構成と開発スケジュール
②内製化により、信用金庫およびその顧客に、廉価
でサービスを提供する。また、信用金庫業界の営
日本ユニシスは、昨年3月、金融情報システム分
業戦略に合ったタイムリーな商品・サービスの提
野において、日立製作所と①ソリューション商品、
②アウトソーシング・
「しんきんインターネットバンキングシステム」のシステム構成
インターネット・バンキングサービス
各金庫
ホームページ
ファイア
ウォール
(F/W)
ファイア
ウォール
(F/W)
顧客
勘定系システム
リアルタイム
システム連携サーバ
インターネット
WWWサーバ
DBサーバ
携帯電話バンキングサービス
顧客
携帯
電話
各地区共同センター
および自営信用金庫
しんきんインターネットバンキングシステム
iモード
EZ web
J-SKY
インターネット
バンキングサーバ
イントラWWW
サーバ
伝送サーバ
メールサーバ
S
S
C
新
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
サービス、③事務集中処
理システム/営業店シス
テム、④ミドルウェア製
新システムは、6セットのWindowsサーバ、および
15セットのUNIXサーバ上に構築され、本年11月から
第1フェーズの機能を実現してサービスを開始する。
開発スケジュールは次のとおり。
◆第1フェーズ(2001年1月∼同10月)
残高照会/取引明細照会/振込/振替/定期積立
品/システム・エンジニ
定期の振替入金/諸届け
アリング・サービスでの
◆第2フェーズ(2001年4月∼2002年1月)
協業を発表、両社が持つ
UN
定期積金/外貨定期
製品やサービスなどの経
各信用金庫
営資源を相互活用するこ
とにより、金融機関向け
登録・運用PC
ソリューションに関する
運用監視サーバ
提案力を強化した。今回
登録・運用監視PC
の「しんきんインター
ネットバンキングシステ
ム」は、日本ユニシスが
この協業を背景に、日立
■株式会社しんきん情報システムセンター
http://www.shinkin.co.jp/ssc/
◆信用金庫のシステム化を推進するための中枢機関と
して1985年に設立され、神奈川県と兵庫県の東西に
センターを有し、為替系、CD系、情報系、データ伝
送系、外為系、デビットカードなどのシステム・サー
ビスを行い、信用金庫業界の発展に寄与している。
◆所在地=東京都中央区八重洲1-3-12
◆代表者=高橋 幸弘 社長
◆従業員数=144人
5
特集.金融新時代のIT戦略
−最新IT活用事例とユニシスの支援体制
本格化する地域金融機関における
アウトソーシング/システム共同開発
金融機関は、ビッグバンによる本格的な自由競争の時代を迎え、今後優勝劣敗の熾烈な競争が繰り広げられ
る。地域金融機関が、この競争に勝ち抜き、地域の顧客から引き続き支持され、高い信頼を得るためには、多
様化する顧客ニーズを的確に把握し、顧客が望まれる最高水準の商品・サービスを提供することが重要となる。
【狙い】
①先進的な機能を備えたシステムの提供
基幹系システムパッケージとして実績のある
そのためには、基幹系システムの24時間365日稼働やデリバリ・チャネル多様化への対応など、ITを積極的に
「TRITON」をベースに、今後求められる最新機能群
活用したサービスの強化や迅速なシステム開発が不可欠となる。しかしながら、その対応のためのシステム開
を融合した第二地方銀行向け新基幹系システムを提
発費などの投資費用増大が大きな負担となっているのが現状である。
供する。
このような環境の中、情報システムの高度化を図りながら、併せてコスト削減を実現する手段として、シス
テムのアウトソーシングや共同開発が現在注目を集めている。
*最新機能群
・ ノンストップ
以下に、殖産銀行/福島銀行における基幹系システムのアウトソーシング事例、広島銀行/福岡銀行におけ
システム機能
る共同利用型総合有価証券システムの共同開発事例、ならびに日本ユニシスの商品別に独立していた証券業務
・ 24時間365日
に必要な情報と機能を整備・統合した総合有価管理システム「Siatol21」のアウトソーシング・サービスの取り組
連続稼働機能
みを紹介する。
・ コミュニケー
ション・ハブ
機能
殖産銀行/福島銀行
・ 災害対策共同
バックアップ
1月から基幹系システムの運用・開発を
センターなど
日本ユニシスアウトソーシングセンターに委託
②共同化と加盟行
ごとの独自性確
殖産銀行と福島銀行は、勘定系・対外系等基幹系
保の両立
システムの運用・開発に関して、日本ユニシスとア
加盟行ごとのシ
ウトソーシング契約を結び、本年1月からサービス
ステムは、アプリ
利用を開始した。
ケーショングループ(APG)という単位で完全に独立
福島銀行本店
しており、独自性は完全に確保される。
アウトソーシングで運用・開発コストの
大幅削減とシステムの高度化対応を図る
開発案件の確定にあたっても、加盟行間で共通
化が可能な案件は積極的に共通化を図り、加盟行ご
との戦略的案件、または迅速性が優先される案件は、
独自開発案件として、即時開発に着手する。
殖産銀行と福島銀行は、これまで両行の出資で設
③万全のセキュリティ対策
立した(株)東北バンキングシステムズ(本社:山形
市)に委託して、基幹系システムの運営を行ってき
旧通産省、金融情報システムセンター(FISC)など
殖産銀行本店
た。これを日本ユニシスのアウトソーシングセン
が示す、安全対策基準に準拠したセキュリティ・ポ
ターに加盟することにより、
減することを可能としている。この経費削減で生ま
リシーを定め、それに基づいたセキュリティ・スタ
①今後予想される運用・開発コストなどシステム関
れる資金を、業務の集中化など戦略的分野に投資す
ンダードを実現する。
ることが可能となるとともに、要員を営業強化など
④各種要望に応じた業務範囲の拡大
連経費の大幅な削減を図る
②地域のお客様のニーズに応える新商品・新サービ
*インターネット・バンキング
に振り向けられるメリットもある。
*有価証券システム
スなど今後のシステム高度化への対応を図る
全国規模のアウトソーシングセンターとして展開
のが、狙い。
*国際系システム
【アウトソーシング・サービスメニュー】
大幅なコスト削減と最新IT利用の両立を実現
今回のアウトソーシングでは、両行がそれぞれ個
別に日本ユニシスと10年間のアウトソーシング契約
を結び、東北バンキングシステムズは協力会社とし
日本ユニシスでは、全国の第二地方銀行に参加を
・ 開発受託サービス
呼びかけていき、全国規模のアウトソーシングセン
・ 運用管理サービス
ターへの拡大を目指す。そのアウトソーシング・
・ 保守管理サービス
サービスの概要は次のとおり。
・ ファシリティ管理サービス
【対象範囲】
・ 障害管理サービス
て、日本ユニシスのアウトソーシング事業に参加す
・ 勘定系/対外系
・ 変更管理サービス
る。当面3年間は、山形市のセンターでサービスを
・ 災害対策共同バックアップセンター
・ 教育サービス
提供するが、2004年からは首都圏でのサービス提供
・ 国際系/有価証券系/その他オプション
・ 移行支援サービス
を計画している。
アウトソーシングセンターでは、殖産銀行
■株式会社殖産銀行
http://www.shokusan.co.jp/
◆所在地=山形市桜町7-35
◆代表者=長谷川 憲治頭取
◆預金量=6,202億円(2000年9月末現在)
◆店舗数=61店9出張所
◆従業員数=964人
アウトソーシング・サービスの内容
と福島銀行が使用し、地方銀行でも実績のあ
日本ユニシス第二地方銀行
アウトソーシング・サービス
るオンライン・バンキング・システム
「TRITON」を採用し、2004年からは24時間365
日稼働機能、コミュニケーションハブ機能、
災害対策バックアップ機能などを付加し、シ
ステム基盤の機能強化を図っていく。
両行ともこうした高度化するシステムを低
コストで利用できるようになる。
両行は、このアウトソーシングの活用で、
運用・開発コストを今後10年間で、約30%削
6
2001年3月1日第479号
開
発
受
託
サ
ー
ビ
ス
保
守
管
理
サ
ー
ビ
ス
運
用
管
理
サ
ー
ビ
ス
フ
ァ
シ
管リ
理テ
サィ
ー
ビ
ス
障
害
管
理
サ
ー
ビ
ス
変
更
管
理
サ
ー
ビ
ス
教
育
サ
ー
ビ
ス
移
行
支
援
サ
ー
ビ
ス
■株式会社福島銀行
http://www.fukushimabank.co.jp/
◆所在地=福島市万世町2-5
◆代表者=松本 紀社長
◆預金量=6,746億円(2000年3月末現在)
◆店舗数=69店3出張所
◆従業員数=1,085人
ユニシス・ニュース
2001年3月1日第479号
広島銀行/福岡銀行
システム共同化第一弾として 共同利用型「総合有価証券システム」稼働開始
日本ユニシスにアウトソーシング
広島銀行と福岡銀行は、昨年7月、金融大競争時
代に向けて、競争力の一段の強化と、経営効率化の
ステムとして順次稼働の予定である。
「Siatol21」を核に構築された、今回のシステムは、
同時実現を目指して、勘定系・情報系などの広範囲
時価会計基準に対応した証券事務処理機能をはじ
なシステムや、他業態との連携に必要な新基盤を共
め、RTGS(即時グロス決済)に対応した資金管理機
同で開発・利用する「共同利用型基幹システム共同開
能などの最新機能を有する総合有価証券システム
発契約」を締結した。両行は、この契約に基づきシ
で、証券業務におけるフロント、ミドル、バックオ
ステム共同化作業を進めているが、その第一弾とし
フィスの各業務をシームレスに支援できるのが特徴。
総合有価証券システム稼働式で握手する広島銀行
ã橋 正頭取(右)と福岡銀行 寺本 清頭取(左)
て、総合有価証券システムの共同化が当初の予定通
り完了、日本ユニシスへアウトソーシングする形で
1月31日稼働開始した。
ベスト・ソリューションとして
日本ユニシスのパッケージを選定
化推進パートナーとして信頼性がおけるうえ、業務
ノウハウにも通じていると両行が判断したからだ。
今回のシステム共同化では、テレビ会議も採用し、
総合有価証券パッケージ「Siatol 21」を
ベースに共同化を実現
今回稼働の共同利用型「総合有価証券システム」
は、日本ユニシスの総合有価証券パッケージ
これら総合有価証券、収益管理、国際系のシステ
三者が距離間なく、行内各部門も含めてさまざまな
ム共同化に当たり、日本ユニシスのソリューショ
意見交換を行い、これによりスピィーディに銀行主
ン・パッケージを選定した理由として、広島銀行 総
導型のシステム構築ができた。また、他システムに
合企画部 システム共同化推進室長 井上 高明氏は、
先行して、複数行が1台のコンピュータで共同利用
次のように語っている。
できる仕組みを作り上げたが、共同利用の最大の意
「今回のシステム共同化は、一般的に見られるベ
義は、システム経費を削減することにある。このコ
共同センター(広島市西区)に設置したUNIXサーバ
ンダが作ったスキームに賛同する形ではなく、銀行
スト削減の余力を、今後、増大する新たなIT戦略に
「Unisys USファミリ モデルU4500」上で共同運用さ
主導の下に進めているものである。その目的の一つ
投資することで、地域のお客様に良質な金融サービ
れる。
は邦銀として最高レベルの金融サービスの展開にあ
スを提供し、地域社会の発展に寄与していきたい」。
「Siatol21(シアトル21)」をベースに構築したもので、
引き続き、収益管理システム(2002年1月稼働予
◇
り、そのため各局面においてベスト・ソリューショ
なお、日本ユニシスは、今回の稼働を皮切りに、
定)、および国際系システム(2003年1月稼働予定)
ンを選択することにしたが、日本ユニシスの総合有
を、それぞれ日本ユニシス提供のクライアント/
価証券、収益管理、国際系のパッケージは、現時点
広島銀行、福岡銀行両行の業務ノウハウと日本ユニ
サーバ型総合リスク・収益管理システム
および将来的にもベスト・ソリューションであると
シスが有するノウハウ、スキルを提供し合い、単な
「Princia21(プリンシア21)」、ならびに最新ITの採用
両行ともに判断し、これをベースに共同化システム
るベンダとしてではなく、両行にとって最適なソ
で高度な操作環境を提供する国際業務系システム
を構築することにした。今回稼働の総合有価証券シ
リューションを提供するベストパートナーとして、
「IBS21(アイビーエス21)」で構築し、共同利用型シ
ステムは、銀行の目から共同システム化しており、
より良い提案を継続していく。
即最新機能を享受できるので、我々のシステム共同
■株式会社広島銀行
http://www.hirogin.co.jp/
◆所在地=広島市中区紙屋町1-3-8
◆代表者=ã橋 正頭取
◆預金量=4兆8,344億円(2000年9月末現在)
◆店舗数=224店
(本支店と出張所、2000年11月末現在)
◆従業員数=3,832人(2000年3月末現在)
利用に他行も積極的に参加いただければと思う」。
業務ノウハウに通じている日本ユニシスを
共同化推進パートナーに
また、日本ユニシスを開発パートナー/アウト
■株式会社福岡銀行
http://www.fukuokabank.co.jp/
◆所在地=福岡市中央区天神2-13-1
◆代表者=寺本 清頭取
◆預金量=5兆6,496億円(2000年9月末現在)
◆店舗数=174店
(本支店と出張所、2000年11月末現在)
◆従業員数=4,211人(2000年9月末現在)
ソーサとして選定した理由について、福岡銀行 総
合企画部 システム共同化推進室長 広田 喜大氏は、
次のように語っている。
「両行ともに日本ユニシスと共同で業務システム
共同センター(広島市西区)
地方銀行/第二地方銀行を対象に
総合有価証券管理システム
「Siatol21」による
アウトソーシング・サービスを開始
の開発経験があり、その対応法を長年見てきて共同
テムである。現在、地銀、第二地銀など国内
設置の「Siatol21サーバ」にアクセスすることで、
約30の金融機関での利用実績を持つ。
前記機能を利用できる。
機能的には、時価会計
Siatol 21システム機能構成図
基準に対応した証券事務
フロント・ミドルオフィス機能
処理機能から、ポジショ
ポジションリスク管理
ン・リスク管理、ポート
日本ユニシスでは、地方銀行、第二地方銀行
フォリオ分析、社債受
を対象に、総合有価証券管理システム
託・登録債管理まで統合
「Siatol21」によるアウトソーシング・サービスを
的に支援するなどフロン
開始したが、山梨中央銀行がそのファースト・
ト・ミドルオフィス、
ユーザとして同サービスの利用を始めた。
バックオフィスまでカ
「Siatol21」は、日本ユニシスが長年にわたっ
UN
バーしている。
ポートフォリオ分析
汎用検索
クロス分析
比較分析
リスク分析
分析データ管理
残高管理
損益管理
リスク管理
ポジション枠管理
Siatol 21
市況情報
(時価)
統合データベース
商品・銘柄
顧 客
担当者
約定明細
残 高
資金・現物
時 価
証拠金ほか
(図)
て蓄積したシステム・サービスの経験とノウハ
利用者は、銀行内のパ
ウをベースに、最新の情報技術を採用し、これ
ソコン端末から、ネット
収益管理システム
まで商品別に独立していた証券業務に必要な情
ワーク経由で、日本ユニ
マーケット・リスク管理システム
報と機能を全面的に整理・統合して開発したク
シスのアウトソーシング
日銀ネット
ライアント/サーバ型の総合有価証券管理シス
センター(中央区新川)に
国内勘定系システム
証券事務処理
約定管理
残高薄価処理
資金決済
現物決済
償却処理
仕訳処理
社債受託・登録債管理
帳票出力
他系インタフェース
各種登録
時価管理
レポーティングツール
マスター登録 登録設定
発行要項登録 期中管理
契約書類作成 券番号の管理
払込管理
バックオフィス機能
7
特集.金融新時代のIT戦略
−最新IT活用事例とユニシスの支援体制
総合ドキュメント・プロセシング・システム
「DOCS」の導入・稼働相次ぐ
事務集中部門の事務効率の向上、事務経費の圧縮を目指す
昨今の金融ビッグバンの進展により、金融機関で
ら集中センターへの
広島銀行
は、コスト競争、サービス競争の激化に立ち向かう
手形の持込み期限を
べく、営業店後方事務の見直し、センター集中、
従来より5営業日緩
パート化の推進などによる事務処理コストの削減に
◆所在地=広島市中区紙屋町一丁目3番8号
和した。これにより、
◆代表者=‹橋 正頭取
営業店の負担の軽減
◆預金量=4兆8,344億円(2000年9月末現在)
が図られた。
ング・システム「DOCS(Total Document Processing
◆店舗数=224店
⑥ 今後の対応
System)」を提供し、事務集中部門の事務効率向上、
◆稼働時期=2000年4月
事務経費の圧縮に大きく寄与している。
◆使用機種=HMP LX5200、NDP1800、NDP1000、
向けてのシステム構築が求められている。
日本ユニシスでは、総合ドキュメント・プロセシ
今回のシステム改
NDP500×2、PCサーバ/クライアント他
DOCSは、多様化、複雑化する各種データエント
務に関しては従来の
■概要
リ業務や手形などの現物関連業務に対し、統一した
善では、プルーフ業
機器を継続利用とし
広島銀行では、2000年4月から手形イメージエン
たが、昨年末オート
トリ・システムを稼働させた。旧システムから
プルーフ・システム
LX5200システムを中心とした手形交換/期日管
(APS)の採用を決定
ハードウェア群は、この分野における日本ユニシス
理/プルーフ業務システムの全面更改であり、新シ
し、現在、新システムへの切り替え作業中である。
の豊富な経験と実績を基にして最新の情報技術が集
ステムの特徴は以下のとおり。
年度内には全面的に新APSに更改の予定である。
積されたものであり、集中処理における統合化・効
① イメージ処理の採用
コンセプトの下、より効率的に集中処理するために
開発したシステムである。
このシステムを構築するためのソフトウェア群、
中国銀行
手形期日管理システムの処理にイメージ処理方式
率化とともに、優れた操作性、保守の容易性を実現
広島銀行本店
を採用したことで、現物なしの入力処理が可能とな
している。
DOCSのシステム体系は以下のとおりである。
(図1)
*総合イメージエントリ:手形・小切手、登録振込・
り、オペレータの負担が軽減されると同時にセキュ
◆所在地=岡山市丸の内1丁目15番20号
リティ面の向上が図られた。
◆代表者=永島 旭頭取
② エントリ端末の共用化
◆預金量=4兆5,206億円(2000年9月末現在)
エントリ端末機の共用化を実現することにより、
総合振込、口座振替依頼書などのイメージエント
リ・システム
*手形系:手形交換、集中手形期日管理、手形集中
◆店舗数=188店
手形・為替・公金・雑エントリのエントリ要員の相互
◆稼働時期=2000年5月
互換体制が向上し、要員管理がより弾力的になった
◆使用機種=HMP LX5150、NDP1825、NDP500×2
(オペレーションの効率化・平準化が実現した)。
発行などのシステム
③ 生産性の向上
*振込系:登録振込・総合振込、営業店OCRなどの
PCサーバ/クライアント他
■概要
支払人情報について従来のシステムでは自行分の
システム
みを対象としていたが、新システムでは他行分に関
*口振系:口座振替依頼書登録システム
中国銀行では、2000年5月から手形イメージエン
トリ・システムを稼働させた。
(図2)
このほか、汎用エントリ・システム、旅館券シス
しても対象に加えたことにより、かな入力がほとん
旧システム(V410システム)から、A-DOCSパッ
テム、プルーフ処理システムなどを用意している。
どなくなった。イメージ処理方式を採用したことと
ケージ・システム導入による全面更改を行った。導
DOCSは、発表以来すでに数多くの金融機関で導
相俟って、入力の生産性が従来比約40%向上した。
入にあたっては以下の点を重点項目に掲げて検討を
④ エントリ業務のパート化
行った。
入・活用されており、各ユーザに高い評価を得てい
イメージ・エントリ端末の入力の改善により、エ
る。ここでは、最近のイメージ処理による新システ
ントリ要員のパート化が容易となった。
ムを稼働させた、広島銀行、中国銀行、百五銀行、
手形期日管理処理をイメージ化することにより、
①現物搬送の削減による、セキュリティの向上を図
現在はパート主体の入力体制となっている。
肥後銀行の事例を紹介する。
⑤ 持込み期限の緩和
図1 「DOCS」のシステム体系図
る。
②自動入力の活用による、エントリ効率の改善を図
手形期日管
る。
理の業務面で
手形系
振込系
手形交換システム
登録振込・総合振込システム
・交換持出し/持帰り処理
・交換印鑑イメージ照合
・振込依頼書作成サービス
・依頼人/受取人管理
・全銀データ作成
集中手形期日管理システム
・入庫/出庫処理、残高照合/組戻し
・手形情報照会
・被仕向集中手形システム
も、システム
上のさまざま
な改善によ
・当日分為替処理
汎用エントリシステム
旅館券システム
・入金管理
8
2001年3月1日第479号
類機も含めてLAN環境下に置く。
図2 中国銀行 システム構成図
エンタープライズ・サーバ
(LX5150-111)
ファイル・サーバ×3
(JPWD7126A-ABJ)
カートリッジ
EFS
外部ディスク
口振系
その他
④ネットワークの更改を行い、手形小切手読取・分
り、営業店か
・署名鑑イメージプリント
・手形・小切手イメージエントリ
・登録振込・総合イメージエントリ
・口座振替依頼書イメージエントリ
スペースを実現する。
営業店OCRシステム
手形集中発行システム
総合イメージエントリ
また、システム構築にあたっては、
③オープン・システムを積極的に採用し、低価格・省
IFS
SCJⅢ
口座振替依頼書登録システム
・口振依頼書登録データ作成
・口振印鑑イメージ照合
・口振依頼書イメージ照合
LBP×2
(JPW0023-850)
イメージプリント
スーパバイザPC×2
(JPWD8172N-8J1)
エントリPC×12
(JPWD8172N-8J1)
文字認識PC×2
(JPWD8172N-8J1)
漢字プリンタ×2
(AP1350-KG2)
精査リストなど
プルーフ処理システム
・市町村税/公金処理
・付帯物件付振込処理
・交換振込/メール振込
イメージドキュメント・プロセッサ×2
(NDP500)
500枚/分、12ポケット
リーダソータ
(NDP1825)
システムマネージャPC
(JPWD7145A-ABJ)
漢字プリンタ×1
(JPP2550-LN3)
精査リストなど
ユニシス・ニュース
2001年3月1日第479号
同システムを勘定系システムの一環の重要システ
ムと位置づけ、障害対策にも考慮し、
⑤基本的にすべてのモジュールを二重化対応とし安
および入力済みデータの保全体制が完全なものに
になり、繁閑度合いに合わせた効率的な人員配置が
なった。
可能となった。
⑥各種照会機能の充実
肥後銀行
データエントリ業務の進捗状況や各種マスター照
全対策にも十分に考慮した。
◆導入効果
会の機能改善を図り、運用の正確さやサービス機能
①手形現物レスのオペレーション体制の実現によ
の向上が実現できた。
◆所在地=熊本市練兵町1番地
り、現物のハンドリング作業をなくすことで端末
◆代表者=稲垣 精一頭取
百五銀行
入力部門と現物管理部門を完全に分離し、安全性
◆預金量=2兆8,108億(2000年3月末現在)
の向上が実現できた。
◆店舗数=126店
②オペレータごとの操作内容、および操作権限を管
◆所在地=三重県津市岩田21番27号
■概要
理することにより、システムの安全性が確保され
◆代表者=川喜田 貞久頭取
た。
◆預金量=3兆230億円(2000年9月末現在)
NDP500×2台を採用し、手形イメージエントリ・シ
◆店舗数=136店
ステムの導入を開始した。
③イメージ処理技術とICR自動認識技術、さらに実
旧システムの後継機として、LX5100、NDP1800、
績学習機能の活用によるエントリ項目の削減効果
◆稼働時期=2000年2月
に加え、操作性の向上によるエントリ効率の改善
◆使用機種=HMP NX4600、NDP500×2、DP1800、
手形交換を2001年4月、期日管理を2001年5月の稼
PCサーバ/エントリPC
が実現された。
エントリ端末を削減したにもかかわらず、月初の
新システム導入の目的は以下の点にある。
①イメージエントリ・システムの採用
■概要
繁忙日にも時間外オペレーションをすることがな
百五銀行では、従来のユニシス機器による手形期
く、また、オペレーターの操作環境の改善にもつな
日管理システムに手形イメージエントリ・システム
がったことから、オペレータの評判が良く、導入の
を導入し、2000年2月より稼働させた。
(図3)
手形イメージ・システムの導入目的は、以下の点
効果が実感された。
④クライアント/サーバ・システムの採用により、
設置スペースの改善・運用コストの削減が実現で
にある。
⑤サーバ、ディスクなどの二重化により、ハード
ウェア障害に起因するシステム・ダウンの回避、
汎用エントリ ・サーバ#1 汎用エントリ・サーバ#2
(バックアップ)
エントリファイル・
サーバ
バックアップ・
サーバ
に表示されたイメージを見ながら手形の登録を行う
・内蔵9.1GB
・ストレージ
9.1GB×3
イメージファイル・
サーバ
・内蔵9.1GB ・ストレージ
9.1GB×3
高速スィッチングハブ
ネットワーク
②生産性の向上
イメージ処理により記載事項の自
を図る予定。
間を削減できる。
*バッチ・プログラムのオペレーション・メニューを
オペレーターの熟練度が不要となり、
③効率的な人員配置
NXホスト
入力画面も使いやすさを考慮するこ
漢字プリンタ×3(内1台既設)
期日管理システムのほとんどは、従来のソフト
ウェア資産を継承するが、新システムでは次の改善
動認識率が高まり、エントリ作業時
オペレーターの判断業務を削減し、
スーパバイザ
PC2台
作業の進捗状況を、随時把握できるため、作業効
④バッチ処理のオペレーション改善
人員のパート化ならびに即戦力化が
NDP500#2
(フィールドアップグレード)
③役席管理システムの導入
率の平準化が図れる。
図れる。
LBP×3
来の入力端末台数を30%削減の予定。
り、現物管理の徹底が図れる。
ジを見ながら入力作業を行えるため、
NDP500#1(新規導入)
②生産性の向上
ため、現物のハンドリングがなくな
また、画面に切り出されたイメー
ICRPC
2台
安全性を実現できる。
など、エントリ項目を削減できる。これによって従
を用いて手形券面を画像として読み取り、端末画面
図3 百五銀行 ハードウェア構成概念図(手形イメージ・汎用エントリ・システム)
手形現物に触ることなく、エントリ・ベリファイ
を行うことにより、現物ハンドリングからの解放、
チェックライター表示の金額部分を自動認識する
①安全性の向上
新システムではイメージ対応されたリーダソータ
きた。
働を予定している。
新しい応答表示にして、操作者に分り易くしオペ
レーション・ミスの削減を図る。
*入庫分類処理はイメージソート手法を採用し、2パ
スで現物分類を完了できるようにする。
⑤今後の検討事項
統合サーバにより、事務集中部門(口座振替、印
鑑照合、為替OCR、手形システムなど)全体の一元
UN
化を検討している。
とにより、部署間の応援がスムーズ
エントリ用PC×15
「オートプルーフ・システム」を発表
高速処理、柔軟設計により業務処理をさらに効率化
プルーフ・システムは、税公金、公共料金、付
*誰でも速く・正確な業務処理
帯物件付きの文書振込、非印字手形・小切手など
動作時間平均2秒/回の高速処理性能を実現し、
の証票を事務(集中)センターに集め、枚数/金額
1200件/時間の高生産性を確保している。また、
の集計、照合、現物の分類、送付書/集計表の
標準ポケットを84分類とし、最大192分類ボック
作成などに必要な機能を提供するシステムであ
スまで1パスで増設できるなど、最多ポケットを
る。日本ユニシスでは、これまでのマニュアル・
実現している。さらに、液晶タッチパネル分類
オートプルーフ・システム
ベースのプルーフ・システムに加えて、オペレー
キーボード(最大130項目/ページを備え、取り扱
マガジンを外して一斉に行うことができる。こ
ターがタッチパネル/テンキーで入力でき、高
い証票の柔軟な対応(名刺サイズ∼B5版用紙)を
のように業務の流れを意識した設計が施されて
速処理や効率化を実現する「オートプルーフ・シス
図っている。
いる。
テム」を発表した。
*業務の流れを意識した設計
*使いやすさを追求・実現
オートプルーフ・システムは、地方税/公金処
証票を、ポケットマガジン(42分類×2個)で一
電子明細ジャーナル、店番指定明細照会、金
理、付帯物件付振込処理、交換振替/メール振
括取り出しができ、マガジンごとの運搬が可能
額指定明細照会、ポケット指定明細照会機能な
込、手形交換非印字分処理などの機能を備えて
である。また、予備マガジン(オプション)を準備
ど豊富な照会機能を実現している。また、大型
いる。
すれば、次のバッチ業務を連続して処理するこ
モニターを採用し、1画面内の表示情報量の拡大
とができる。さらに、分類済証票の取り出しは、
を図っている。
主な特徴は以下のとおりである。
9
人事システム・ソリューション
従業員活性化のための人事情報システム構築
イズミヤ株式会社
情報技術部
急速に進展するグローバルな競争な
(5)ツールで移行できない項目
2000年9月稼働時構成
社会変化に対応した人事制度の必要性
SUN U5500
Oracle Applications R11
ワークフロー・システム
ど、小売業をとりまく情勢は激しく変
化している。店舗数の増えることによ
ワークフロー用
外部テーブル
正社員人事/給与
るポストの増加や右肩上がりの成長が
期待できた時代は過去のものとなり、
厳しい競争を勝ち抜くための体力が、
Unisys IX5600-32A
PC
※駅すぱあと
より求められるようになってきた。
臨時社員
MR
人事においても例外でなく当社で
新規構築
は、
①年功型を廃し、役割連動型賃金体系
への移行
IBM RS6000
通勤費
MR
店舗出退勤
(正社員/
臨時社員)
既存処理
月、9月に稼働させるという厳しいス
ケジュールであった。特に苦労したの
②適所適材の配置と業績に対する評価
は、データ移行であった。
の透明性を高め、やる気を引き出す
(1) 移行元データ整備の問題
表 正氏
め細かい人事情報をタイムリーに収集
の存在
しようとすると、従来の「紙による申
件数的には数百件であった
請+人事部による登録ベース」では、
が「画面で登録できる」という
安定した登録は望めない。これを回避
油断があったのか、登録間違
するために、自分のことは自分で登録
いがあり、補正などに時間を
するという個人責任の考え方をメイン
とられたのが反省点である。
に、人事部担当者の個人的頑張りに依
大変な作業であったが、日
存せず、コンスタントに情報が蓄積さ
本ユニシスの努力で、移行ミ
れていく仕組みが必要である。
スによる大きなトラブルもな
そのため、Web経由で個々人が自分
く、人事・給与システムとも
の情報を申請入力できる機能(セルフ
スケジュール通りに稼働できた。
評価のキーワードは「従業員の活性化」
サービス)を重点機能と考えた。
合わせて、Excelシートからの一括
取込機能(ADE)を運用の中心にし、
「予定通り稼働できた」という事実は
「HRMSからExcelへ抽出→Excel上で修
HRMSはエラーチェック基準が厳し
十分評価に値する。しかし、優秀な
正→HRMSへ一括取込み」という流れ
を柱とした人事制度変更を実施した。
く、住所は1項目ごとに数千件単位で
パッケージだからこそ、人事業務や給
で中間資料を廃止し、手間をかけずに
しかし、従来の汎用機で稼働してい
エラーが出た。補正に時間はかかった
与計算業務が効率的にできるのは「当
登録することができるように業務フ
た人事給与システムは、約20年前に構
が、結果的にデータ精度が上がった。
たり前」。また、約250種あった帳票も
ローを作り変え、業務効率化を図った。
築されたもので、長年にわたる機能追
(2)デートトラック項目の移行
約15種の指定帳票以外、全部廃止する
ことによる人材の活用
蓄積した情報を有効活用する検索機能
HRMSの特徴として、デートトラッ
というペーパレスの実現も「当たり前」
①システム全体の見通しの悪化
クの考え方がある。これはデータを履
である。つまり、それだけでは投資に
②コード体系の乱れ
歴管理し、「有効日」の設定で、システ
対する効果としては不十分というのが
しかし条件指定がやや複雑で遅い汎用
③情報の分散とプライベート化(特に
ムは該当する情報だけを処理する。
当社の認識であった。
検索と、まったく逆の特性のフォルダ
加と修正作業により、
MAPPERレポートとして)
機能としては優れた部分であるが、
検索に関しては、条件設定は柔軟、
では、本当の効果を生み出すキー
(定型検索)とのバランスが問題となっ
など、経年劣化が見られ、新しい人事
データ移行という面でみると、
ワードは何か。それは「従業員の活性
た。そこは個別画面での検索条件設定
制度への対応は困難と思われた。
①時系列のマスタが必要になる
化実現」と考えた。
を最小限にし、最大公約数的条件を全
②常に開始時点から現在に向かって時
小売業で利益を生み出すのは店舗で
画面に付与することで定型検索に融通
間で対応できるパッケージの選定を
系列に移行登録しないといけない
ある。商品を販売するのは人である。
を持たせ、それでも不十分な場合は汎
行った結果、ERPパッケージ「Oracle
というかなり厳しい制約があった。
いかにシステムが進化しても、小売業
用検索でカバーする方針をとった。
そこで、当社では新人事制度に短期
Applications HRMS(以下 HRMS)の採用
移行に当たっては、元データから各
は、やはり人間に依存する産業である。
また、特定の条件で抜いた対象者に、
を決め、日本ユニシスに開発を依頼し、
時点のマスタを逆生成するツールの作
従業員一人ひとりがやる気をもって活
数名のイレギュラー者が存在するケー
人事給与システムの再構築を実施した。
成が必要であった。
性化できない限り、店舗の(企業の)活
スに対応するため、イレギュラーの補
(3)データ移行時間の長時間化
性化はあり得ない。人間がやる気を出
正済の対象者社員No.リストをそのま
すのは、達成すべき目標が明確であり、
ま検索条件に使用できる機能を付加す
やったことに対する公正な評価を得ら
るなど、再利用性を高める工夫をした。
制度変更対応に柔軟なことを評
価しHRMSを採用
データ移行は、約11日間、正味の機
械処理時間でも約73時間かかった。
そのため、運用停止期間を設けて一
れていると自覚できることだと考えた。
①社内標準から世界標準へのシフト
気に移し変えるという手段が使えず、
公正な評価の源には、「何を目標に
②システム・業務の統合化推進(将来的
移行用のデータを取得してからも通常
して、どんなことをやり、結果がどう
2000年12月14日時点で、正社員人事
な会計ERPの導入も視野に入れる)
運用を続け、毎日更新差分をとってい
であったか?」という記録が重要であ
業務と正社員給与計算業務はHRMSに
にある。すなわちBPRの推進、ならび
く仕組みを作り、データ移行後に補正
る。また、適正な配置のためには、
全面的に移行し、順調に稼働している。
に状況に応じて刻々と変化する社会情
登録するという手順が必要になった。
個々人の能力・適性を把握しないとい
個人責任による入力(セルフサービス)
勢と、それに合わせた制度変更に対し
(4)検証方法の問題
けない。とはいえ、人事担当者が約
に関しては、ベースの機能はできてい
HRMSを採用したのは、
“使いこなし”の定着が今後の課題
て迅速に対応できることを期待した。
HRMSのコード体系と既存システム
4,000名の社員の行動・能力・適性などを
るが、運用面やルールの検討整備を行
また、他のERPパッケージと比較し
のコード体系はまったく異なるものが
記憶するのは不可能である。このジレ
い、早期の稼働に向けて準備中という
て、既存の他システム(会計システム
多く存在した。そのため、移行データ
ンマを解消する手段として、「人事担
段階である。
など)との連携が柔軟に図れる点を評
の検証で単純突合わせは不可能だっ
当者の記憶(脳)の代替えとなるような
価し、開発を依頼した。
た。今回は全データ項目を次の2つの
人事情報システム」を目指した。
日本ユニシスへの開発依頼は、当社
タイプに分類し、チェック方法を変更
システムを熟知している点とHRMSに
した。
関してのノウハウを評価した。
①コード体系変更がない項目:検証
最大の難関は既存データの移行
ツールで全件突合わせ
②コード体系変更のある項目:件数
重要なのはあらゆる情報の一元管理
重要なのは「あらゆる情報の一元管
理」と、情報をタイムリーに「蓄積」し、
柔軟に「検索」できることである。幸い、
チェックを機械的に実施
HRMSには画像、非定型情報(メモ情
ることであった。特にデートトラック
リストを打ち出しての目検による
報)、Excel、Wordなどの文書をクリッ
項目に苦しんだ。1999年10月にヒアリ
チェックは一切しないというルールで
プする機能などがあったので、これを
ングを開始し、正社員人事機能すべて
行った。結果として、一括データ移行
利用すれば一元管理は可能と考えた。
と、給与計算機能をそれぞれ2000年8
間違いによる障害は出なかった。
最大の難関は既存のデータを移行す
10
2001年3月1日第479号
非定型なコメントなど、多様で、き
導入してよかったと思えるようにな
るには、これからのステップがより重
UN
要だと考えている。
■イズミヤ株式会社
http://www.izumiya.co.jp/
◆衣料品、食料品、電器、家具、レ
ジャー用品、日用雑貨などの総合小
売業のチェーンストア。
◆所在地=大阪市西成区花園南1-4-4
◆代表者=林 紀男社長
◆売上高=3,552億円(2000年2月)
◆店舗数=76店舗(2000年8月末)
◆従業員数=3,684人(2000年2月)
ユニシス・ニュース
2001年3月1日第479号
サービス
アドバンスト・コンサルティング・サービス(34)
経営革新ツールとしての
「バランス・スコアカード」
テン・システム株式会社 代表
ロバート S.キャプラン教授来日
金子 崇氏
過測定、改善を伴う活動の「評価シス
(KPI)を選び、それらの因果関係を明
テム」であった。
確にし、情報技術(IT)を駆使して、ビ
約8年後の現在、「BSC」は経営環境、
ジネス・サイクルを回す戦略策定とそ
2000年、まだ夏も盛りの8月30日 朝9
「BSC」とは何か、どのように活用した
時、私は信濃町から明治記念館に向
ら良いか、注意すべきことがらはどん
自社の強み・弱みを勘案し、経営目標・
れをべースに経営活動を実践するのた
かって急いでいた。今日一日、ロバー
なことかを見ていきたい。
評価指標として重要業績評価指標
めの統合的ツールとなってきている。
その前に、8/30日の講義について若
ト S.キャプラン教授の「バランス・スコ
干触れておこう。
アカード(以下BSCと略す)」の講義が
「バランス・スコアカード」活用事例と活用の留意点
(5)継続的なプロセスにする
行われるのだ。会場に着くと「バラン
キャプラン教授は、ハーバード・ビ
1996年、発表から4年が経過し、
ス・スコアカード東京サミット2000」の
ジネススクールの管理会計担当教授で
「BSC」を活用した、モービル(石油)、
看板のもと続々と人が集まってきてい
あり、その前はカーネギーメロン大学
ケミカルバンクなどの業績が劇的に改
費削減・資源の活用効率向上)/増収戦
た。企業の役員・管理者とおぼしき人、
の産業経済大学院の教授として活躍し
善された。モービルは、1993年には、
略(既存客の売上・利益向上/新規客開
コンサルタントらしき人、学者らしき
ていた偉い学者である。
業界大手最下位の業績で5億ドルの赤
拓)の目標を決め、儲かる客とは誰か
字であったが、1998年には業界トップ
を明らかにし、儲かる客を増やすため
講義は、9:30から始まり、17:30まで、
人などがいる。受講料15万7,500円とい
利益の源泉として、生産性向上(経
う大枚を出して集まってきた人たちだ。
四部構成で行われた(8/28日にも同様
の9億ドルの収益を出している。また
の活動(差別化、ベストプロダクト・
これらの人たちを駆りたてる「BSC」
の講義が行われた)。詳細な内容は触
ケミカルバンクは、1996年に、1993年
サービスの提供)をスピード・経済面で
とは、どんなものであろうか、本当に、
れることはできないが、実例や具体的
の約20倍の利益を出している(参考文
効率化し、環境変化に効果的・効率的
今日の、またこれからの日本企業の経
な数字を挙げての精力的な講義であっ
献1参照)。最近はヨーロッパ、北欧の
に対応し改善できる体質、企業文化を
営活動に役立つものであろうか。それ
た。米国のコンサルタントの例に洩れ
企業で採用され、効果があったと評判
創ることを企画、実行することが肝要
を解き明かすのが、本レポートの役割
ず、プレゼン資料もかなり充実したも
になっている(参考文献2)。
である。
である。限られたスペースであるが、
のであった。
「バランス・スコアカード」って何?
成功の要因は、「BSC」の採点表機能
経営者が器を向上し、明確・適切な
である4つの視点から重要業績評価指
ビジョンを打出し、実行部隊に戦略を
標(KPI)を抽出し、それらの因果関係
うまく伝え、企業が変革するための
ここで「BSC」の概要を述べておこ
業員を大切にし、組織、学習をする。
を明確にし、社員に伝え、経営者自ら
ツールとして、「BSC」は、なかなか優
う。「スコアカード」とは、採点表のこ
本田技研などでは、顧客を大切にし、
リーダシップを発揮し、
実践したこと
れたものを持っている。もちろん、
とである。野球のヒットや三振あるい
イノベーションを進めていた。これら
による。
以下の5つの基本原則を守るこ
ツールは使い方により効果は多いに異
はエラーなどを記録した表をスコア
のことを、米国、そして博士たちは学
とが大切であると、
教授は語っている。
なるが、採用検討の余地がある方法で
カードと呼ぶが、それを経営活動の評
んだ。これらの学習を通じて、企業の
(1)エグゼクティブの強力なリーダ
あると思う。
価(業績評価)について適用したもので
評価、業績改善のためには、過去の指
シップ=①変革の必要性を訴える、
ある。また、「バランス」が頭について
標である財務の視点からだけではな
②全社的なリーダシップチームを創
そのものの実施はしていない)に関し
いるが、これは、いろいろな観点から
く、将来を見据えた上で、「財務の視
る、③ビジョンと戦略を創る(方向
て、戦略マップを創ってみたものであ
均衡を取って統合的に見たという意味
点」に加えて、「顧客の視点」、「内部業
を決め部下に伝える)、④チーム・ア
る。実践するためには、さらなる検討
でつけられている。バランスシート
務プロセスの視点」、「学習と成長の視
カウンタビリティを創る、⑤企業文
が必要であるが、どんなものかという
(貸借対照表)とは、直接的な関係はな
点」という4つの視点から検討する必要
化を変える
参考になるものと思う。図2は、
い。
があるとの結論に達したのである。
(2)戦略にリンクしたバランス・スコア
最近の「BSC」は、単なる企業の業績
博士は、1992年、ノーラン&ノート
カード=戦略⇔財務の課題⇔顧客の
評価システムではなく、経営革新の道
ン コンサルティングのデビット・P.
課題⇔業務プロセスの課題⇔組織学
具として使われている。すなわち、
ノートンと共同で、6社と結んだコン
習(従業員)の課題という戦略マップ
「BSC」は、静的なものでなく、戦略策
サルティング契約を通じて、重役と仕
を作ることが大切である
定&企業革新のツールとしてダイナ
事をすることとなり、その過程で
ミックに活用する道具に成長した。理
「BSC」を使い始めた。前述のように、
メントはコントロールのためでなく、
論が実践を通じて使える道具になって
はじめは業績評価システム、すなわち
コミュニケートのためのものである
きている。ここが、今「BSC」が注目さ
(戦略的・革新的)目標設定、日々の経
れている理由であり、う
きれば非常に役立つもの
コスト対効果の生産性
付加価値生産性の向上
労働分配率の見直し
競争力のあるマージン
財務的視点
1人あたりの付加価値向上
資本回転率
されている理由であろう。
従来、特に米国では、
企業の業績評価は、財務
的な観点が中心で、他は
高い顧客価値
高いブランド・イメージ
固定客の維持・拡大
(リピート・オーダーの増加)
クイック・レスポンス
あった。この結果、徹底
的に日本企業が研究され
た。日本企業は、(プロ
セスの)改善を行い、従
コメント
(1)導入対象組織の選定
経営者
設計者
(2)導入対象と組織と全社の関係の明確化
設計者
初めてのバランス・スコアカードの導入対象組織としては、全社レベルで
はなく一つの戦略的事業組織(SBU)を選択する方がうまくいく
ステップⅡ 戦略的目的に対する合意の形成(4∼7)
(3)第1次インタビューの実施
設計者
経営者
設計者による経営者のインタビューの実施(バランス・スコアカードの概念の紹介、
会社戦略目的、バランス・スコアカード業績評価指標案(KPI)などの情報入力)
(4)まとめ
設計者
会社目的、KPI案の作成と、バランス・スコアカードへの抵抗の程度の確認
(5)第1次経営者ワークショップの実施
設計者
経営者
各視点につき5つ以上のKPIを検討し、上位3ないし4のKPIに絞り込む。
(各視点ごとの戦略目的、各目的ごとの指標候補の記述)
ステップⅢ 評価項目の選定と設計(7∼13)
ローコスト・オペレーション
工番別実行予算
管理の実施
が多かった。1980年代、
り、逆に日本の絶好調で
担当
ステップⅠ 評価項目の構造の明確化(1∼3)
サービス・メニューの充実
ほとんど注目しないこと
米国の経済は低迷してお
顧客の視点
[参考文献]
*1バランス・スコアカード−新しい経営
指標による企業革新−吉川 武男訳 生
産性出版
*2戦略的バランス・スコアカード ニルス・
ゲラン・オルヴ他著 吉川武男訳 生産性
出版
*3バランス・スコアカード経営 松原 恭司
郎著 日刊工業新聞社
図2 バランス・スコアカード実践スケジュール例
ステップと作業(期間(週))
売上が増加しなくても
利益の出る体質にする
「BSC」の実践スケジュールの例であ
る。一つの目安になると思われる。 UN
(4)戦略を全社員の仕事にする
図1 バランス・スコアカードを活用した戦略マップ例
まく使いこなすことがで
になってきている、と評価
(3)組織に浸透させる仕組み=メジャ
図1は、筆者が診断した企業(「BSC」
生産管理システムの再構築
一元的生産管理
システムの構築
成果主義の
報酬制度
工程山積
みの実施
製造手配
の一元化
減耗在庫の削減
部品の工番別
引当手配の実施
社内ビジネス
プロセスの視点
外注政策のの見直し
競合体制の確立
内作化の推進
(6)サブ・グループ・ミーティングの実施
戦略目的の記述の洗練、各目的ごとのKPIの明確化、各KPIごとの情報源
設計者
サブグループ と情報入手方法の明確化、各KPI間の関連の明確化
(7)第2次経営者ワークショップの実施
経営者
ビジョン、戦略ステートメント、目的とKPIについての討議、各KPIに対
中間管理者 するターゲット(目標値)の設定
ステップⅣ 導入計画の策定(13∼16)
(8)導入計画の作成
導入チーム ターゲットの公式化と導入計画の作成
(9)第2次経営者ワークショップの実施
経営者
ビジョン、戦略ステートメント、目的とKPIに関する最終的な合意に達する。
ターゲットの検証と、ターゲットを達成するための主要な実行プログラムの
明確化。バランス・スコアカードの従業員への啓蒙、経営哲学との統合、支援
する情報システムを含む導入計画の合意
(10)導入計画の達成
経営者
60日以内でバランス・スコアカードの使用を開始
学習と成長の視点
目標管理
危機感の醸成
管理者教育
従業員の動機付け
出典:バランス・スコアカード−新しい経営指標による企業革新−吉川 武男訳 生産性出版
11
IT 最前線
システム開発技術の動向(9)
連載を振り返って
この1年間でシステム開発技術はどこまで進んだか
日本ユニシス株式会社
Eビジネス技術部 コンポーネント技術室 グループ・マネージャ
ソフトウェア開発を難しくしている要因は、複雑さと柔軟さであると言われる。
羽田 昭裕
ポーネント技術について述べている。
トへの道が拓けることを説明してい
どちらも対象の規模が大きくなり、携わる人数が多くなるほど制御が難しくなる。
従来のライブラリに相当し、必ず再利
る。そして、企業を越えたEJBコン
短期開発では、さらにスピードという要因が加わった。
用されるものはフレームワークであ
ポーネントの流通を目指す国内のコン
連載「システム開発技術の動向」は、システム開発者が直面している課題を、ユ
り、このフレームワークを活用するこ
ソーシアムが10月に立ち上がったこと
ニシス・ニュースの読者とともに考えていくことを目指してきた。今月はこれまで
とで、従来に無い再利用の形である柔
を受け、部品流通に関する見解と方向
のまとめとして、改めてこの1年間の記事を紹介する。
軟でカスタマイズ可能なコンポーネン
性を示した。
柔軟で迅速な「反復型開発」の実際
システム開発への期待と悩み
ところで、短期開
のは何故か、という問題が残った。
今回の連載は、システム開発に関わ
る営業、技術者などの対談で、最近の
(図1)
られるが、一般にス
「「LUCINA」で実現するEビジネス時
ピードを出すと制御
代のシステム開発(5月号)」でシステム
が難しくなる。Eビ
ITと融合したビジネスであるEビジ
開発方法LUCINAの基本的なコンセプ
ジネスも、コンポー
ネスでは、従来に比べ開発期間が短い
トを示し、「コンポーネント指向再論
ネント技術も枠組み
開発技術を巡る問題を探った「システ
ム開発の流れ(5月号)」で始まった。
図3 XP的に見た超短期開発プロセス
発には迅速さが求め
こと、ビジネスとともに要求が変化し
(9月号)」では、要求分析・開発プロセ
を決めることで、柔
ていくことが、技術・人・組織の面でさ
ス・再利用についての読者の疑問に答
軟さや迅速さを実現
まざまな課題を生み出すことを見た。
える形で、このような問題を解決する
しようとしている。
この課題に対応するツールや新技術と
鍵はアーキテクチャ中心の開発プロセ
「開発を速くする
いった“銀の弾”も開発プロセスの変
スであると述べた。
(8月号)」では、この
オンサイト顧客
1∼2回/週 会議
随時
日ごと
日ごと
シナリオ
改訂
合意
随時 ML
提案
機能テスト
改訂
リリース
随時
1回以上/日
機能テスト
コーディ
ング
随時
ペアプログラミング
レビュー
継続的
インテグレーション
ビルド
1回以上/日
更や再利用を促進する仕組みの中に位
枠組みの限界点を理解することが管理
kiban@asaban、EC用ソフトウェア・
置づけることで
可能で速い開発を実現するための鍵で
パッケージCommerce Center という枠
あると述べた。そして、パラメータ型
組みを利用して、アプリケーション開
パッケージ、コンポーネント型パッ
発を超短期(2カ月)で柔軟に開発した
ケージ、作り込みの3類型について、
事例である。
図1 ツールと新技術の採用
活用できるとし
たが、その開発
プロセスをどの
ように進め、管
理していけばよ
いか、再利用を
どう捉えるべき
どういった手順で?
各種開発ツール
VisualAge
for Java
Microsoft
Visual J++6.0
VisualCafe
Version4
JBuilder3
C++Builder4
VisualAge
C++
Microsoft
Visual C++6.0
何を使って?
どのように開発すればよいの?
アプリケーション
か、そしてこの
ようなシステム
開発上の課題を
新しい技術基盤
生み出すEビジ
UML、Java、XML、COM+、AIP…
ネスに踏み出す
なぜWebベースの開発を採用するのか
限界点を基準にしないと開発が長引く
この記事は短期間で要求が進化し続
ケースを紹介し、リスク管理のために
ける開発において、LUCINAをどのよ
はアーキテクチャ中心の反復型の開発
うにカスタマイズしてプロセスを定義・
が必要なことを示している。
実行し、品質を保証していったかを紹
短期開発の好例が「事例:リバース
介している。代表的な軽量開発プロセ
オークションサイトの構築(2月号)」で
スであるXP(eXtreme Programming)を
ある。これは、日本ユニシスが昨年
評価軸として成功の鍵を探り(図3)、特
8月から提供しているAIP(Application
に顧客との円滑なコミュニケーション
Infrastructure Provider)サービスである
の意義を強調している。
チーム開発を支える「TeamFactory」
【技報 LUCINA 特集号】
まず「Webアプリケーションの動向
変更という視点から、取引のプロセス
このようにアプリケーションを短期
とシステム開発(7月号)」では、Web
やデータを標準化するためにWebベー
開発するには、プロセスを明確に定め、
ベースのアプリケーションを採用する
スのアプリケーションが必要であり、
開発運用ルールを標準化し、プロセス
事情を、米国でのEC(企業間電子商取
標準に基づいた柔軟なビジネスを実現
と成果物を関連付けるなど品質の手戻
引)の動向を踏まえて解説した。バ
するにはコンポーネント指向の開発が
りが発生しない仕組みが重要である。
リューチェーン(価値連鎖)プロセスの
適することを述べている。
「開発プロジェクトの総合力を引き
出す開発モデルとツール「TIGA 〔注〕
コンポーネントで変わる再利用の姿
(11月号)」は、そのような仕組みを提
次に「部品化・再利用による効率のよ
術は、サブルーチン・レベルのライブ
供するTeamFactory
いソフトウェア開発(6月号)」では、従
ラリの再利用に比べて利用者の負担が
を紹介した。
来の再利用技術と比較しながら、コン
少なく、クラス・ライブラリより柔軟
12月から製品提供
ポーネント技術を使った開発の基本的
であり、このような特性はインタ
を開始したTeam
な考え方を示した。コンポーネント技
フェース中心の考えに基づくことを解
Factoryの成果物管
(図2)
理、ライン管理、プ
また、コンポーネントの
ロセス管理などの機
開発者作成コード
体系化、アーキテクチャ
能が、反復的で並行
プロセス
フレームワーク
に基づく部品化・再利用の
作業を含むチーム開
ツール
アプローチを紹介した。
発で有効であること
図2 フレームワークを利用したコンポーネントの利用
開発者作成コード
コンポーネント
コンポーネント コンポーネント
コンポーネントの呼び出しや
関連をすべて管理する
→開発者の負担が大きい
コンポーネント
コンポーネント コンポーネント
フレームワークがコンポーネント
の呼び出しなどの共通部分を管理
→開発者の負担が小さい
説した。
「EJB(Enterprise Java
2001年3月1日第479号
図4 チーム開発支援モデルとTeamFactory
技法
(12月号)」ではEJBを題材
分析
設計
ツール
プロセス
スペシャリスト
ツール
TeamFactoryが支援
実装
テスト
保守
ツール
ツール
ツール
ドライブ
成果物管理
工程管理
標準化
並行開発管理
変更管理
情報共有
プロジェクト・チーム
を示している。 (図4)
ドライブ
Beans)の適用とその課題
に、より具体的にコン
12
技報68号(2001年3月発刊予定)は、
LUCINAを中心としてシステム開発技術
を特集している。
この連載で取り上げなかったセキュリティ・
ポ リ シ ー や ASP(Application Service
Provider)な ど の 基 盤 技 術 、 Sun 社 や
Rational 社のシステム開発技術も掲載し
UN
ている。
フィードバック/情報公開
情報・知識の蓄積と利用
[注 ]TIGA は 、 Team
Factory の旧称。
部門・企業
要員管理・経費管理...など
ユニシス・ニュース
2001年3月1日第479号
IT 最前線
Windows Data Centerの実現に向けて(6)
ADHAC(Advanced High Availability Components)による
ES7000システムの高可用性実現のアプローチ
日本ユニシス株式会社
ESビジネス推進部 プログラム開発室担当部長
挑戦:99.99%の可用性実現にチャレンジ
沢田 勝男
応しいコレクティブ・アクションにつ
Scriptは、SQL Serverのエラーログを監
なげるのが特長。またADHACは統合
視し、重大障害のロギングを検知した
アベイラビリティ(可用性)の実現要
サービスレベル・アグリーメントなど
したNetIQ/AppManagerの監視機能の
り、レスポンス・タイム、ディスク空
素として、①システムフェールの発生
サーバ・アプリケーションのアベイラ
優位性を徹底的に利用している。
きスペースがしきい値を越えた場合、
頻度、②影響のシビアさ、③復帰の素
ビリティを保証するニーズが高まって
早さなどが図られてきた。しかし現実
いる。
NetIQ/AppManagerは、Windows
イベントを発生することなどができる。
NT/2000が備えている「パフォーマン
一方、ADHACはユーザ・カスタム・
にはこれらの要素は、互いに関連し
このようなニーズに応えるため、ユ
ス・カウンタ」を情報源としている他社
アプリケーションに対するDLLインタ
合っている。発生頻度が多ければシビ
ニシスは、
“Advanced High Availability
ツールと異なり、「Knowledge Script」
フェースを提供し、アプリケーション
アさが増し、クリティカルなトラブル
Components”(以下:ADHACと略す)
という監視エージェントをWindows
にこれが組み込まれる(ADHAC対応リ
ほど短時間での復旧が求められる。
を開発する。
NT/2000とミドルウェアなどに数百以
ソース)と、アプリケーションはADHAC
IEEE Computer/1995レポートによる
ADHACは、Windows NT/2000環境
上設定してアベイラビリティ情報を得
に監視・制御される。これによりOS、
と、システムフェイラーの85%がソフ
でのシステム・アベイラビリティ向上
ることにより深いレベルの管理を可能
ミドルウェア、カスタム・アプリケー
トウェア、操作ミス、計画的なダウン
をターゲットに、特にフェイラーに対
している。
ションまで総合的なアベイラビリティ
操作などに起因し、環境設備、ハード
するオペレーション、ソフトウェア両
例えば、SQL ServerのKnowledge
ウェアによるものは15%である。近年
面での即時回復実現に開発の焦点をあ
のハードウェアの信頼性向上を考える
てたソフトウェア・フレームワークで
ADHACシステムのアーキテクチャ
と、現状ではさらに差が広がっている
ある。単一のソフトウェア・コンポー
図2は、今まで述べた機能を実現す
と思われる。
ネントからデータセンタ規模までの
るADHACシステムの主要エレメント
捉えたプロダクトのステータスを格納
⑤ Simple Rule Engine
の管理が可能となる。
ADHACのセントラル・ストレージ、
フェイラーを扱えるレンジを持ち、
と関連を図式化したものである。以下
フォールト・トレラント化ハードウェ
OS、ミドルウェアのみならず、カス
の機能説明と照らし合わせ、全体像を
アよりもシステマティックなアプロー
タム・アプリケーションまでも監視の
イメージ願いたい。
ロブレム・レベルを決定し、適正なコ
チの方が効果的であるといえる。
対象にする。
① Resource Manager
レクティブ・アクションを選定
したがって、システムの可用性には、
ADHACの中枢機能であり、リソー
Microsoft Windows NT/2000は、ファ
ES7000システムは、ADHACにより
イル・プリント・アプリケーション・サー
99.99%のアベイラビリティ挑戦が可能
スごとに存在し、
バ、Webサーバ、DBサーバなど幅広い
となった。ADHACはWindows
・ADHAC対応リソースに対しては、
サポートが可能であり、Windows 2000
NT/2000環境にフォーカスしたトップ
モニタリング、プロパティへのアク
Datacenter Serverは、ミッション・クリ
クラスのアベイラビリティ・ソリュー
セス、支援のための要求・応答メッ
ティカルなエンタープライズ環境への
ションである。
ADHACによるプロアクティブ管理
ADHACは、ビジネス・アプリケー
れたプロブレムの修復処理などを実行
⑦ Agent & Agent Manager
アプリケーション実行サーバごとに
ADHACが導入され、ADHACマネー
・ADHAC非対応リソースに対しては、
ジャが全体の監視・制御
モニタリングのみの受動的な関わり
⑧ ADHAC/META DATA
をして、リソースの可用性向上を支
に統合し、NetIQ/AppManagerの
⑥ NetIQ AS(Action Script)
リソース・ステートの修正、検出さ
セージングなど能動的に関わり、
導入を促進している。この増加に伴い、
Local State Tableのステータスよりプ
援する働きをなす。
リソース・プロファイルおよびアク
ション・ルールセット
② NetIQ KS(Knowledge Script)
ションから、ミドルウェア、Windows
Windows OS、およびデータベース、
NT/2000 Serverまで広範囲をカバーす
メッセージングサーバなどミドルウェ
る。問題の発見と修正(コレクティブ・
アに対する優れた監視機能を活用しプ
エージェント群
ユニシスと日本ユニシスが共同で
アクション)・回復(リカバリー)の自動
ロアクティブな管理を実現している。
③ NetIQ Monitoring Script
ADHACの開発を進めている。ADHAC
化によりアベイラビリティが確保さ
(図1)
れ、システムのプロアクティブな管理
が可能となり、サポー
図1 ADHACフレームワーク
ト・コストの削減、生
アプリケーション
NetIQ/AppMangerが提供する監視
NetIQ KS/Monitor Objectが捉えた
は、今後ますますミッション・クリ
ADHAC非対応リソースの状況を、
ティカル業務への採用が予想される
Resource Managerにつなげる
ES7000システムに、さらに強固なハイ
④ Local State Table Database
アベイラビリティ基盤を提供する。 UN
産 性 の 向 上 な ど
TCO(総所有コスト)の
削減が図れる。
◇
今春の市場投入を目指し、現在、米
図2 ADHACアーキテクチャ図
ADHAC
フレームワーク
ADHACはNetIQ
/AppManagerのモ
ジュールとシームレス
DB
サーバ
MTS
サーバ
Messaging
サーバ
Windows NT/2000 Operating System
ハードウェア
ADHACによる深いレベルの管理
ADHACのシステム可用性向上の
キーとなる機能は次のとおり。
・リソースのステートの修正、検出さ
れたプロブレムの回復処理。
・監視対象リソース(アプリケーショ
市場に出回っているほとんどのモニ
ン、ミドルウェア、OS、ハードウェ
タリング・ツールは、管理者への通報
ア)ごとのキー特性の変化を察知
(ポケベル)、情報のロギング、あるい
・アプリケーション実行中に発生した
クリティカルな事象を検知
・ 把握したプロブレムのシビア・レベ
はアプリケーションの停止・再起動な
どをコレクティブ・アクションとして
いるが、ADHACは検知された異常事
ルを決定し、相応しいコレクティ
象、察知したリソース変化について、
ブ・アクション(修正処理)を選定
きめ細かく精緻に評価を行い、最も相
管理サーバ
Human I/F
⑦-2
ADHAC
Agent
⑦-1
ADHAC
Agent
Metadata
Access
GUI
アプリケーション実行サーバ
Net IQ
コンソール
Net IQ
管理サーバ
④Local State Table
⑤Simple Rule Engine
Simple Action Engine
META
DATA
Net IQ
管理
クライアント
⑥Net IQ
ADHAC
AS
ADHAC
ApplicationKS
(Bridge?)
①ADHAC
Resource
Manager
③
②Net IQ
KS
(Monitor)
Net IQ
ADHAC
Expansion
②-1 Net IQ
Monior
Object
ADHAC
Expansion
Object
ADHAC
API
①-1
ADHAC
AWARE
Application
(Interacive)
Net IQ/AppManagerモジュール
13
IT最前線
ネットワーク・ソリューション(9)
メールウイルス・フィルタリング・サービス
日本ユニシス情報システム株式会社
インフォメーションサービス事業部
インターネットシステム部 企画開発グループ
急増する「メール悪用ウイルス」
*2000年12月20日 A社
人が知人であるかのように振舞うた
*2001年1月29日 B学習塾
め、つい添付ファイルを開いてしまう。
*2001年2月1日 Cデパート
上の3行が何を意味するかご存知だ
“W32/MTX”が記憶に新しいところ。
②被害者が次の瞬間から加害者になる
◇ゲートウェイでのウイルス・チェッ
伊草 孝裕
ための管理者が不要である。ゲート
ク(送信/受信)
ウェイ・サーバの構成については、
ウイルスが検知された場合、その感
サーバは完全に二重化されている上に
染ファイルを除去する。添付ファイル
ロード・バランサー(負荷分散装置)を
が圧縮されていてもチェックすること
導入しているため、可用性が極めて高
ができる。
くユーザ数の増加にも柔軟に対応でき
◇感染ファイル発見時のメール通知
る構成になっている。
ろうか?これらはこの1∼2カ月の間に
メール・クライアントとは無関係に
ウイルス入りのメールを誤って顧客に
送信されるため、感染したことに気付
サービス
発信してしまい、事件として報道され
かないままウイルスをばらまいてしま
ウイルスメールが検知された場合、
た企業である。これらの企業は、実は
う。上で述べた3社の場合“W32/
送信者・受信者(インバウンドのみ)・管
「アウトバウンドブロック機能」であ
被害者でもあるのだが、ニュースを軽
Hybris”が混入していた。
理者にメールで通知する。
る。社外から社内へのメール(インバ
◇ウイルス駆除用パターン・ファイル
ウンド)の場合、添付ファイルにウイ
く目にしただけでは、これらの企業は
さらに最近では、特定の環境下にお
加害者であるかのような印象を持たれ
いてではあるが、添付ファイルを開か
てしまうだろう。
そして、「メールウイルス・フィルタ
リング・サービス」の最大の特長は、
の更新サービス
ルスが含まれていると、そのファイル
なくても感染してしまうウイルスの存
最新ウイルス・パターンのリリース
を削除して本文とウイルスを除去した
このようにコンピュータ・ウイルス
在も確認されている。「不用意に添付
後、24時間以内に、そのパターン・
メッセージが社内に届けられるが、社
を取り巻く環境はこの1年間で大きく
ファイルを開かない」は最低限のルー
ファイルを適用する。緊急時にはトレ
内から社外へのメール(アウトバウン
変化している。IPA(情報処理振興事業
ルだが、メールソフトによってはそん
ンドマイクロ社から直接連絡を受けて
ド)の場合、添付ファイルにウイルス
協会)への届出被害件数は、昨年の3倍
なルールにお構いなしに感染してしま
直ちに更新する。
が含まれていると、そのメールの送信
以上の11,109件に上り、ウイルスの感
う可能性があるので事態は深刻だ。
◇ウイルス解析サービス
自体を中止し、ウイルス感染の事実を
このように、だんだん悪質化しつつ
お客様の要請に応じて、ウイルス感
社内に通知する。万が一社内のPCが
94%がメールからの感染となっている。
あるウイルスが、パターンファイル更
染(未確認のもの)の疑いがあるメール
ウイルスに感染してしまったとして
IPAではメールが感染源のウイルスを
新の履歴を見ると最近は毎月約700∼
を診断の上報告する。
も、そのことを相手に知られない。
「メール悪用ウイルス」と呼んでいる
800件ずつ増加している。パターン・
◇お客様管理者向け情報提供サービス
「あの会社は今時ウイルス対策もでき
が、この「メール悪用ウイルス」は下記
ファイルの更新が遅れてしまうと、も
専用Webページにて、下記の情報を
ていないのか」という烙印を押される
の2つの特徴を持っている。
はやそのPCは対策していないのと同
提供する。
のは最悪。このリスクを大幅に低減す
①短時間に大量に感染する
じことになってしまう。あなたのPC
*各種ウイルス情報
ることができるのが「メールウイルス・
染経路は2000年12月分に限れば、約
添付ファイル名を工夫したり、差出
は大丈夫だろうか?
メール悪用ウイルスへの対策
・現状パターン・ファイルでの対応
詳しくは下記のURLを参照されたい。
ウイルス情報
・誤警告情報
http://www.netsurf.ad.jp/houjin/
・ウイルス情報データベース(検索
filtering.html
では、メール悪用ウイルスに対して
イでの対策という手法も登場してい
は、どのような対策が有効なのだろう
る。インターネット・ゲートウェイ対
か。各クライアントPCにウイルス対
策とは、社内ネットワークとインター
策ソフトをインストールすることに
ネットとの間にゲートウェイ・サーバ
このサービスでは、先に述べたイン
よって、対策が実施されている場合が
を設置し、そのサーバ上でウイルス対
ターネット・ゲートウェイ対策の問題
まだ多いが、この手法には例えば下記
策を行う手法である。ゲートウェイ・
点に対しても考慮されている。初期コ
のような問題点がある。
サーバは、毎日自動的に最新のパター
ストの負担は少なく、ウイルス対策の
*PC利用者にパターン・ファイル更新
ン・ファイルが適用されるので、PC利
を任せると、なかなか更新してくれ
用者や管理者がパターン・ファイルを
ない。自動更新を実現するためには、
更新する負担もなく、すべてのPC利
それなりの初期コスト・運用コスト
用者が恩恵を受けることができる。こ
がかかる。
の手法は、クライアントで対策を実施
*PCが不安定になることを嫌ってウ
するより一歩進んでいるが、問題がな
イルス対策ソフトを外されてしま
いわけではない。クライアントPC数
う。
が少ない場合は、1台あたりの初期コ
こういったPC利用者が1人でもいる
ストが高くなってしまうし、ゲート
とウイルス対策は台無しになりかねな
ウェイ・サーバには、比較的高い負荷
いのだが、現状では、ウイルス対策の
がかかる。メール・サービスに支障を
ポリシーを社内で徹底させるしか方法
きたすことがないような構成にする
がないのが実情ではないだろうか。
と、さらに初期コストを押し上げてし
一方、インターネット・ゲートウェ
*ウイルス検知状況
日本ユニシス情報システム(UIS)で
とは、「名前deメールサービス」*をご
は、インターネット・ゲートウェイで
利用のお客様向けにトレンドマイクロ
のウイルス対策として、「メールウイ
社の「InterScan VirusWall」を使用して、
ルス・フィルタリング・サービス」を
電子メールウイルス対策を行うオプ
2000年12月より提供を開始した。メー
ション・サービスである。
14
2001年3月1日第479号
サービスの内容は下記のとおり。
専用線IP接続ユーザやハウジング・
ユーザにも拡大する予定である。 UN
*名前deメールサービス:U-netSURFで提供し
ている、独自ドメイン名で電子メールを利用
することができるサービス(旧マイドメイン・
メールサービス)。
電子メール送受信時の動き
電子メール受信時の動き(インバウンド)
差出人
外部からウイルス付き
のメールを送信
通知文のメール
お客様(受信者)
U-net SURFメールウイルス
フィルタリング・システム
本文+通知文
のメール
添付ファイル
付きメール
インターネット
名前de
ウイルスフィル
タリングゲート ウイルスメールサーバ
ウェイサーバ 監視
感染している
ファイル発見
時には削除
お客様管理者
検知情報をメール
にて通知
検知情報をWeb
から照会
U-net SURF
メニューシステム
電子メール送信時の動き(アウトバウンド)
送付先
ルウイルス・フィルタリング・サービス
今後の計画としては、対象の範囲を
システム)
まうことも考えられる。
UISが提供するメールウイルス・フィルタリング・サービス
フィルタリング・サービス」である。
U-net SURFメールウイルス
フィルタリング・システム
外部へウイルス付きのメール
が送信されることをブロック
インターネット
ウイルスフィル
タリングゲート
ウェイサーバ
名前de
メールサーバ
添付ファイル
付きメール
通知文のメール
お客様管理者
検知情報をメール
にて通知
添付ファイル
付きメール
お客様(差出人)
感染している U-net SURF
メールを発見 メニューシステム 検知情報をWeb
から照会
時には削除
ユニシス・ニュース
2001年3月1日第479号
ユニシス・ニュースに関する
ご意見・ご感想をお寄せください。
また、送付先の変更などのご連絡
お問い合わせにもご利用ください。
Eメール [email protected]
Windows— 2000 Datacenter Server環境の
ミッションクリティカル・システムへの最適化に向けて4社が技術協力
高可用性システムの検証プロジェクト『MOCHA(モカ)』を発足
客から寄せられる数多くのEメールを効
率よく処理し、その情報を効果的な販売
的に展開している。
その両社がこのたび、Eメール文書の
やマーケティングに結びつけることは、
解析能力をさらに高め、Eメールでのや
すべての企業の共通課題となっている。
りとりをナレッジベース(KB)として蓄
このような状況下、日本ユニシスでは、 積し、日々のEメール処理作業にそのナ
イーエムシー ジャパン(株)、プライス
2001年3月末までに検証結果レポート
電話、Eメール、Webなどのマルチ・
レッジをフィードバックした活用を可能
ウォーターハウスクーパース コンサル
として作成し、各社の営業活動に活かし
チャネルをサポートできるコールセン
とすることを目指して、Kana
タント(株)、マイクロソフト(株)、およ
ていく。
ター構築のために、昨年11月、「Cyber
ResponseとConceptBaseを連携さ
Contact Center」の名称のもとeCRM
せることで合意したもの。
び日本ユニシスの4社は、「Windows
2000 Datacenter Server 日本語版」
今回の検証作業の概要は次のとおり。
モデルを構築し、以来、これに基づくソ
両ソフトウェアの連携による相乗効果
をベースとしたシステム環境のミッショ
可用性を高める(計画停止時間の短縮)
リューション製品群、インテグレーショ
で、以下の新機能の提供が可能となる。
ンクリティカル分野への最適化に向けて
ためのソリューションとして挙げられる
ン・サービス、サポート・サービスを提供
◇Kana ResponseのEメール・ルーティン
技術協力することで合意した。
システム稼働中のバックアップ、検証、 してきた。特に、大量のEメールやWeb
グ・アルゴリズムに「 C o n c e p t B a s e
昨今のデータセンター・ソリューショ
(1)検証項目
テストなどを行う。
フォームによる問い合わせを管理し、イ
Classifier」の日本語解析機能を組み
ンには、オンライン稼働時間の最大化
*TimeFinderとSQL Server 2000
ンターネット顧客とのやりとりを支援す
合わせたEメール分類機能の最適化
(24時間×365日連続稼働)、ノンス
Enterprise Editionの統合によるノ
るためのシステムとして、米国Kana
Kana Responseでは、従来、単語
トップ(無停止)でのデータバックアッ
ン・インパクト・バックアップおよびポ
Communications Inc.のEメール自動
(主に体言)ごとのキーワードを元に、E
プ、本番システム継続中のアプリケー
イント・イン・タイム・リカバリ
処理システム「Kana Response」を
メールの内容を分析し、カテゴリ分けを
ション・テスト、ピーク時処理のための
*TimeFinderとSQL Server 2000
eCRMソリューションの一つに位置付
行ってきたが、ConceptBase
動的CPUリソース割り当てといった機
Enterprise EditionのSAN(ストレー
け、昨年3月より販売を開始、同ソフト
Classifierの日本語解析機能を組み合わ
能が要求されている。これらの要求を、
ジ・エリアネットワーク)とデータベー
ウェアは現在、国内でも20社以上で稼
せることによって、メール内容の分析力
Windows 2000 Datacenter Server
ス統合機能:第三のミラーボリューム
働実績がある。
を深め、Eメール処理・分類作業の一層
をベースとしたシステム環境で実現して
(BCV: Business Continuance
ジャストシステムの「ConceptBase」
いくため、4社でデータセンター・ソリュー
Volumes)の設定、同期化、スプリッ
は、思いついたままの言葉や文章を入力
◇Kana ResponseとConceptBase
ションの高可用性の検証を行うプロジェ
ト、再同期化、制御の一連の手順など
するだけで、文章の内容を解釈し、類似
Searchの連携による、受信Eメール
* Windows 2000 Datacenter
する情報をすばやく探し出すナレッジマ
への回答文作成支援
Server上でのSAP R/3、mySAP.
イニング・システム。各社、各部署の特
ナレッジベースとの連携により、
com BWのマルチインスタンス構築
性にあった柔軟なナレッジマネジメン
FAQなどから探し出した結果を回答文
*ES7000上で稼働するSAP R/3、 ト・ツールとして、1997年12月の発売
へ適用できる。これにより短時間での均
クト『MOCHA(モカ)』を発足させた。
MOCHAプロジェクトは、マイクロソ
フトの大規模ミッションクリティカル・
システム向けOS「Windows 2000
の省力化・自動化が実現できる。
Datacenter Server」と、データベース
mySAP.comのマルチインスタンス・
開始以来、高い評価を得ており、先進企
「SQL Server 2000 Enterprise
アプリケーションについて、大規模構
業600社、20万クライアントに導入さ
Kana ResponseとConceptBase
Edition日本語版」の発売開始を受け、同
成システム運用およびデータセンター
れている。これらの「ConceptBase」を
の連携に伴い、ブリッジ部分の開発と
OSをサポートする世界最大のスケーラ
での運用に着目したシステム運用性を
導入している企業ユーザから、ナレッジ
セールス、およびユーザでのインテグ
ビリティ(32CPU、64GBメモリ)を持
評価
マネジメントをベースとしたeCRMソ
レーションは日本ユニシスが担当し、
質な回答サポートを実現する。
つ日本ユニシスの「Unisys e-@ction
(2)システム環境
リューション実現に対する強い要望を受
ジャストシステムは、日本ユニシスに対
Enterprise Server ES7000」、およ
*OS:Windows 2000 Datacenter
け、「ConceptBase Clustering」を初
してConceptBaseのコンサルテーショ
めとしたeCRM製品ラインナップを積極
ンを含めた技術協力を行う。
びイーエムシー ジャパンの高可用性
ディスク「Symmetrix 8430」との組み
合わせで検証作業を行う。その検証作業
Server
*データベース:SQL Server 2000
は、プライスウォーターハウスクーパー
*サーバ:ES7000
ス コンサルタント内で実施し、プロ
*ストレージ:Symmetrix 8430
ジェクトに携わる人員は、4社合わせて
*アプリケーション:EMC TimeFinder、
15名体制となる。
日本ユニシス情報システム
Enterprise Edition
U-netSURF 各種サービスを拡充
インターネット・サービス「U-net
イントにも接続でき、モバイルなど移動
SAP R/3、mySAP.com BW
SURF」を展開している日本ユニシス情
先でのインターネット利用が可能。個人
まずは、高機能バックアップ・ソフト
4社は、このプロジェクトで培ったノ
報システムは、ADSL(Asymmetric
向けと法人向けサービスがある。今回の
ウェアとしてイーエムシー ジャパンの
ウハウを、「SAP R/3」システム分野を
Digital Subscriber Line)接続サービス
ADSL接続サービスは、イー・アクセス
「TimeFinder」を、検証用アプリケー
はじめ、急激な処理能力増大への対応が
「eADSLパック」の提供を開始するとと
(株)と業務提携し開始するもの。
ションとしてSAPジャパン(株)の「SAP
必要なEビジネス分野、サーバ・コンソ
もに、「フレッツ・ISDN」サービス提供
また、昨年8月よりU-netSURF会員
R/3」および「mySAP.com BW」を採
リデーション分野、その他基幹業務ビジ
地域の拡大など、会員向けサービスを充
向けに開始した「フレッツ・ISDN」サー
用し、検証作業を行う。その成果は、
ネス分野へフィードバックしていく。
実させた。
ビスの提供地域を、3月中旬より全国47都
新サービスの「eADSLパック」は、
道府県に拡大するとともに、法人向けの
日本ユニシスとジャストシステムがeCRM分野で提携
ADSL接続と時間無制限コースをセット
ダイヤルアップ接続定額料金制コース
「Kana Response」と「ConceptBase」の連携ソリューションを提供開始
にした定額制サービスで、64Kbpsの
「DolphieSURF(法人)」を新設した。
日本ユニシスと(株)ジャストシステム
ベース)」を連携し、日本ユニシスによる
度が速い、最大1.5MbpsのADSL通信
ADSL」についてもサポートを計画中で、
SIサービスとして提供を開始した。
方式を採用しており、ストリーミング・
引き続き会員サービスの向上を予定して
いる。
は、大量Eメールのより効率的な処理で
ISDNの通信方式に比べ、格段に通信速
企業の販売やマーケティングを支援する
Eビジネスの浸透に伴って、企業のビ
ビデオなどの情報も快適に入手できる。
ため、「Kana Response(カナ レスポ
ジネス・インフラとしてのネットワーク
また、ADSL接続のIDを使い、一般電
ンス)」と「ConceptBase(コンセプト
がますます重要になりつつある今日、顧
話回線からダイヤルアップ・アクセスポ
U-netSURFでは、「フレッツ・
サービスの詳細は、
http://www.netsurf.ad.jp/
15
流通ソリューション
CRM強化に向けて
通販事業の基幹系/情報系(総合顧客分析)システムを
ユニシス・ソリューションで刷新
全日空商事
全日空商事では、通信販売事業の基幹系システムをユニシスの通販業務ソ
リューション「IMPACT-DM/FFⅡ」を用いて刷新し、さらに、顧客情報管理・
分析ソリューション「IMPACT-DM/MA」で、情報系(総合顧客分析)システムを
構築し活用を開始した。現在、豊富な販売メニューで、顧客ニーズを満たす
とともに、顧客情報を多岐にわたって分析することで、効果的・戦略的な販
売促進が可能となり、顧客サービス・レベルを向上させ、売上増大に繋げて
いる。また、基幹系/分析系システムを日本ユニシス情報システム(UIS)へ、
受注業務、物流業務は外部専門会社にアウトソーシングし、運用・保守管理
ティングの企画立案に携わる我々自身
フルフィルメント・システムの
早期立ち上げを実現
の手で、顧客情報をさまざまな角度か
ら分析し、顧
新システムは、「IMPACT-DM/FF
客の購入傾向
Ⅱ」(UNIXサーバ「U450」を使用)の採用
などを把握す
で、フルフィルメント・システムの早
る必要がある
期立ち上げを実現、2000年1月から稼
ということで、
働させている。主な機能・特徴は次の
情報系(総合顧
とおり。
客分析)システ
*受注支援システム
ムを構築した」(森戸氏)。
住所マスタによる新規顧客入力作業
その分析ツールとして、ユニシスの
の効率化、電話番号・氏名によるリ
顧客情報管理・分析ソリューション
ピート顧客検索、入荷予定も含めたリ
「IMPACT-DM/MA」(UNIXサーバ
アルタイム在庫引当てなど。
「U250」を使用)を採用、昨年12月から
*物流支援システム
活用が開始された。この新システムで
欠品に伴う分割配送の抑止、商品・
は、基幹系に蓄積される顧客属性や購
在庫情報の一元管理、ピッキングヤー
買履歴などを情報系サーバに取り込
ドとバックヤードの正確な在庫管理、
み、以下の分析を行っている。
人員・出荷量に合わせた出荷指示によ
*顧客構成分析=現在の顧客リストの構
る迅速な出荷作業、在庫状況のリアル
成から、現実的な顧客層を割り出す
タイム検索、返品処理の効率化など。
*顧客購入力分析=受注実績の推移か
*顧客管理支援システム
ら、現在の顧客リストが保持してい
る購買力を計算
顧客からの問い合わせ/クレームに
*顧客維持力分析=獲得した顧客の減
対する即時回答、即回答できなかった
の負荷軽減を図っている。
■全日空商事株式会社 http://www.anatc.com/
http://www.astyle-shop.co.jp/
◆ANAグループの中核をなすエアライ
ン系商社で、空港売店・軽食/喫茶・ホ
テル内売店などの店舗営業事業、通信
販売・機内用品販売などの直販事業、
航空機の輸出入・リースなどの機械事
業、航空機部品の調達などの航空機部
品事業、紙パルプ事業などを展開して
いる。
◆所在地=東京都港区港南2-15-2
品川インターシティB棟
◆代表者=太田 三夫社長
◆売上高=1,549億円(2000年3月)
◆従業員数=663人(同)
◆使用機種=UNIXサーバ「US450」、同
「US250」
ものは未回答管理による回答漏れの防
少速度を分析して、既存顧客の維持、
止、これらの情報を関連部署へリアル
および新規顧客獲得のための企画
立案
タイムに提供など。
*買掛管理支援システム
*購入パターン分析=顧客の購入パ
ターンを商品と媒体ごとに明確化
商品仕入に伴う買掛管理および支払
し、効果的な顧客ターゲットのセグ
い管理の効率化など。
メントや新商品・新媒体の収益性を
このほかに、頒布会支援システム、
予測
直販支援システム、人事/経理インタ
フェースなども新たに付加している。
受注∼出荷∼精算まで一元管理する
基幹系システムに再構築
運用・保守はUISのサーバプール・
サービスを全面的に活用
顧客情報管理・分析ソリューション
「IMPACT-DM/MA」で
新情報系システムを構築
全日空商事の直販部では、ANA機内
森戸 正剛氏
この基幹系/情報系システムは、下
図のような全体構成となっており、
の座席に置かれている通販誌「ANA
顧客分析については、従来外部の情
UISがサーバ機器を預かって運用管理
SKY SHOP」と 、 通 販 カ タ ロ グ
報処理会社に委託して分析された結果
する「U-netサーバプール・サービス」を
「GOODS FOREST」をメイン媒体とし
をもとにDM発送などに利用してい
全面的に活用するとともに、受注業務、
て通販事業を展開している。
た。しかし、「今後の通販事業は、顧
物流業務は外部専門会社にアウトソー
客一人ひとりのニーズを捉え、個々に
シングすることで、自社の運用管理・
最適な商品やサービスを提供し、お客
保守の負荷を軽減するアライアンスを
UN
実現している。
競争が激しい通販業界で優位性を確
保するには、魅力的な商品の提供はも
とより、迅速な配送、遅延・欠品のな
い在庫管理、返品・交換・問い合わせ対
応など、さまざまな要求に速やかに応
通販誌「ANA SKY SHOP」と通販カタログ「GOODS FOREST」
通販業務ソリューション「IMPACT-DM/
FFⅡ」で、システム刷新を決める
要戦略となる。そのためには、マーケ
新システム全体構成図
えていかなければならない。そのため
基幹系システムの再構築に当たって
には、情報が一元的に管理され、注文
は、ユニシスの通販業務ソリューショ
の処理状態がリアルタイムに記録され
ン「IMPACT-DM/FFⅡ」の導入を決め
ている必要がある。
様との関係を強化するCRM展開が重
UISアウトソーシングセンター
「通販業務の旧基幹系システムは、
*受注∼出荷∼顧客管理∼精算まで、
系をPCサーバと2系列で運用していた
一元的に管理できる通販向けのフル
ため、情報の一元管理ができず、現実
のビジネス遂行に即さなくなるなど、
種々の不都合が生じていた。そこで
し、業務量に応じて、大規模システ
2000年問題対応を機に、受注∼出荷∼
ムへ容易に移行できる
顧客管理∼精算まで、一気通貫に効率
*顧客からの問い合わせに柔軟かつ迅
良く処理できるシステムの実現を目指
速に対応でき、また、クレーム履歴
し、基幹系システムを再構築した」(直
と回答管理機能も提供される
CD
ROM
DAT
ルータ
ルータ
ルータ
DA128
関連会社
DAT
航空食品(大森)
ルータ
ルータ
⋮
DA128
ルータ
フィルメント・システムである
*最新のオープンシステム技術を採用
配送先
INS-C
CD
ROM
を挙げている。
物流(配送)系をメインフレーム、受注
仕入先
通信サーバ(PC)
外部インタフェース
外部ディスク
た。選定理由として森戸氏は、次の点
仕入先
仕入先
自動
FAX
情報系サーバ(UNIX)
IMPACT-DM/MA
情報系サーバ(UNIX)
IMPACT-DM/FFⅡ
ルータ
受注センター
−受注業務委託先−
クレジット
承認
物流センター
−配送業務委託先−
ルータ
全日空商事本社(品川)
DDX-P
⋮
受注系端末
ルータ
ラインプリンタ
宅配伝票
売上データ
プリンタ
OCR
インターネット
ANATC
経理システム
プリンタ
INS-C
クレジット処理
サーバ
Web
DNS
⋮
基幹系/情報系端末
物流系端末
簡易処理サーバ
ソフトエクセル(早稲田)
−プログラム保守−
ルータ
レーザプリンタ
お買上げ明細
ラインプリンタ
宅配伝票
プリンタ
ANA海外ギフト
販部 通信販売課 森戸 正剛氏)。
発行 日本ユニシス株式会社 広報部 広報室 〒135-8560 東京都江東区豊洲1-1-1 (03)5546-4111 発行人 山下 宗久 編集人 武井 浩 制作 ピー・アールセブン 発行日 2001年3月1日 ISSN 0915-051X
16
2001年3月1日 第479号
*社外からの寄稿や発言内容は、必ずしも弊社の見解を表明しているわけではありません。*本紙記載の社名、製品名、およびシステム名は各社の登録商標または商標です。 *掲載記事の無断転載を禁じます。
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