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第2章 九州地域における自動車関連産業の実態(16頁)

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第2章 九州地域における自動車関連産業の実態(16頁)
第2章
2-1
九州地域における自動車関連産業の実態
九州地域の自動車関連企業の立地動向
(1)完成車メーカーの立地動向
1973年7月に日産自動車が九州工場建設を決定したことが、九州地域における自動
車関連産業の始まりである。以降、トヨタ自動車、ダイハツ車体の九州進出が続き、
2009年には日産車体の進出で生産能力にして年産150万台を超える見込みである。
トヨタ自動車の愛知県以外での初の生産拠点(1991年)、日産自動車の座間工場閉鎖後
の国内最大の中核生産拠点(1995年)、ダイハツ工業のSSC(シンプル・スリム・コ
ンパクト)工場として第2工場の稼働(2007年)、日産車体の「多品種混流生産ライン」
工場の建設(2009年)と、完成車メーカーにおける九州地域の位置づけは、生産拠点
機能強化に加え、エンジン工場の開設や車両開発機能の付加など、更なる高付加価値機能
拠点としての発展段階にさしかかっている。
各社のこれまでの経緯は以下のとおりである。
①日産自動車の進出・立地動向
福岡県京都郡苅田町に建設された日産自動車九州工場(以下、日産九州)は、1975
年7月にエンジン工場を稼働開始し、1976年12月にダットサントラック620型を
生産開始した。これが九州における車両組立の本格生産の始まりである。その後、
1992年5月には第二工場が完成し、2000年には工場内に専用外航埠頭・バースを
開設するなど、逐次、生産体制を拡充し現在では生産能力年産約53万台と日産としては
国内最大の生産拠点であるとともに、海外輸出向け車両の生産拠点となっている。
2009年には日産車体湘南工場の一部を日産九州敷地内に移転し日産車体九州が稼働予
定であり、これを合わせると、自動車の生産能力は年産65万台に達する予定である。
②トヨタ自動車の進出・立地動向
1991年2月、トヨタ自動車100%出資のトヨタ自動車九州(以下、トヨタ九州)
が設立され、1992年福岡県鞍手郡宮田町(現宮若市)において操業を開始した。当時
の生産能力は年産20万台であったが、2005年に第2生産ラインを新設・稼働し、生
産能力が年産43万台と一気に拡大した。また同年には、トヨタグループでは、国内にお
いて愛知県以外で初となるエンジン工場が福岡県京都郡苅田町に完成し、レクサス用エン
ジン年産22万基の生産を開始した。2004年には、年間約50万台を取り扱う新門司
自動車物流センター(トヨタ輸送)が新設され、自動車部品の陸揚げ機能も同センターに
集約した。2008年には苅田第2工場の操業を開始し、エンジン年産44万基と生産能
- 16 -
力が倍増した。さらに、同年福岡県北九州市に小倉工場を新設し、宮田・苅田両工場に跨
って生産していたハイブリッド車向けの部品製造ラインを集約し、ハイブリット用のトラ
ンスアスクル(基幹ユニット)の生産を開始した(生産能力年産8.4万基)。現在のトヨ
タ九州は、トヨタグループ内の海外輸出向け車両の生産拠点であり、また同社最新鋭の生
産体制を誇る、高級車レクサスの生産拠点としても知られている。
さらに、2010年代半ばまでに車両開発機能を新設する計画が発表されており、これ
までに培ったノウハウを迅速に車両開発に反映させ、競争力のある「九州発」の車を世界
に向けて送り出すことを目指している。
③ダイハツ工業の進出・立地動向
2004年12月、ダイハツ工業の生産子会社であるダイハツ車体(2006年ダイハ
ツ九州に商号変更)は、前橋工場を閉鎖し中津市において新本社工場として操業を開始し
た。操業当初は、年間生産能力15万台であったが、設備増強を重ね2006年には年産
23万台体制に、2007年11月には第2工場が操業を開始、生産能力は年産46万台
に達し、ダイハツグループ最大の生産拠点となった。また、中津工場の増設に伴い、
2008年8月にはエンジンを供給する拠点として久留米工場(生産能力年産21.6万
基)が操業を開始した。
さらに、2010年代に福岡市に開発センターを設立する計画を発表しており、開発か
ら生産準備・生産までの一貫体制の構築を目指している。
図表2-1-1.九州における完成車メーカー集積の歴史
1970年代
1975
日産自動車
1980年代
1990年代
2000年代
1992
2009
操業開始
第2工場
日産車体
生産能力
生産能力
生産能力
28万台
53万台
65万台
1992
2005
操業開始
第2生産
ライン
生産能力
生産能力
20万台
43万台
2005
トヨタ自動車
2008
苅田工場
(エンジン)
苅田第2工場
(エンジン)
2008
小倉工場
(HV部品)
ダイハツ工業
2004
2007
操業開始
第2工場
生産能力
生産能力
23万台
46万台
2008
久留米工場
(エンジン)
生産能力
(合計)
119万台
- 17 -
154万台
図表2-1-2.完成車メーカーの立地動向
トヨタ自動車九州㈱
日産自動車㈱九州工場
所在地
福岡県宮若市
レクサス、ハイランダー、
ハリアー等
所在地
生産開始
1992 年 12 月
生産開始
1976 年 12 月
従業員数
約 7,500 名
従業員数
約 4,540 名
乗用車 43 万台/年
生産能力
乗用車 53 万台/年
生産品目
生産能力
生産品目
トヨタ自動車九州㈱小倉工場
所在地
福岡県北九州市
生産品目
ハイブリッド部品
生産開始
2008 年 8 月
トヨタ自動車九州㈱苅田工場
所在地
福岡県苅田町
生産品目
エンジン
生産開始
2005 年 12 月
生産能力
44 万基/年
日産車体㈱(予定)
■
■
■
所在地
福岡県苅田町
生産品目
エルグランド、クエスト
生産開始
2009 年
従業員数
1,000 名
生産能力
乗用車 12 万台/年
■
ダイハツ九州㈱
所在地
ダイハツ九州㈱久留米工場
生産品目
所在地
福岡県久留米市
生産品目
軽四輪エンジン
生産開始
2008 年 8 月
生産能力
22 万基/年
本田技研工業㈱熊本製作所
所在地
熊本県大津町
生産品目
軽四輪エンジン等
生産開始
1976 年 1 月
50 万台/年
(二輪車)
生産能力
福岡県苅田町
ムラーノ、ティアナ、エクス
トレイル、プレサージュ等
- 18 -
大分県中津市
ミラ、ビーゴ、アトレー、
ハイゼットカーゴ等
生産開始
2004 年 12 月
従業員数
約 2,900 名
生産能力
乗用車 46 万台/年
(2)部品メーカーの立地動向
九州地域への完成車メーカーの進出と、製造ラインの増設に伴って、1次サプライヤー
の九州地域への進出も増えてきた。また、すでに九州地域へ進出した1次サプライヤーも、
相次いで生産増強を行っている。
①
1970年代~1980年代
1970年代から1980年代にかけては、1975年の日産九州の進出に伴い、日産
自動車と取引のある1次サプライヤーが福岡県東部から大分県北部を中心に進出してきた。
納品1時間以内の目安として日産九州を中心に半径80kmの円を描くと、そのほとんど
が円内に位置している。
九州柳河精機、中央可鍛工業熊本工場については、もともと本田技研工業の協力企業で
あったが、後に四輪車部品に進出し、トヨタ九州の1次サプライヤーとなったものである。
図表2-1-3.1989年時点における1次サプライヤーの分布
約 80km ⑩
日産自動車㈱
九州工場
⑬① ⑨ ⑦
⑮
⑫ ③②
⑤ ⑯
⑧
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
④⑥
⑪■
本田技研工業㈱
熊本製作所
⑭
⑬
⑭
⑮
⑯
㈱大井製作所九州工場
河西工業㈱九州事業部
㈱キヌガワ大分
九州柳河精機㈱
九州市光工業㈱
㈱九州イノアック
九州富士機工㈱
㈱九州フセラシ
錦陵工業㈱
三桜工業㈱九州事業所
中央可鍛工業㈱熊本工場
日本プラスト㈱九州工場
日立化成オートモーティ
ブプロダクツ㈱九州工場
㈱ホンダロック
ユニプレス九州㈱
㈱CKK
(資料:九州経済産業局「九州自動車関連企業・研究者・施策総覧」から抜粋)
- 19 -
②
1990年代
1990年代になると、1991年のトヨタ九州の進出に伴い、トヨタ自動車と取引の
ある1次サプライヤーが進出してきた。この頃に進出してきたトヨタ自動車と取引のある
1次サプライヤーの多くは、九州北西部に比較的多く立地している。また、日産九州の増
産(1992年)に伴って、日産自動車と取引のある1次サプライヤーの進出も見られる
が、それらは1980年代以前と同様福岡県東部に立地している。
図表2-1-4.1999年時点における1次サプライヤーの分布
トヨタ自動車九州㈱
31
約 80km ●
●●20
27 24
26
25
日産自動車㈱
九州工場
17
19 ● ●22●
● 30●●
28
●●
29
●
21
18
19
20
23
21
22
●●
●■
23
18
17
24
本田技研工業㈱
熊本製作所
25
26
27
28
29
●
30
31
アイシン九州㈱
㈱青山製作所熊本工場
㈱五和製作所九州工場
九州アルファ㈱
九州住電装㈱
寿屋フロンテ㈱九州工場
タケヒロ九州㈱
豊田合成㈱佐賀工場
トヨタ紡織九州㈱
ハヤテレ九州㈱
㈱フタバ伊万里
㈱豊和繊維九州製作所
㈱マセック
㈱リズム九州
㈱デンソー北九州製作所
*1989 年以前より立地している1次サ
プライヤーは「●」で示す。
(資料:九州経済産業局「九州自動車関連企業・研究者・施策総覧」から抜粋)
- 20 -
③ 2000年代
2000年代になると、ダイハツ工業の進出(2004年)と増産(2007年)、トヨ
タ九州の増産(2005年)に伴い、1次サプライヤーの進出や増設が活発になった。
2007年度に九州地域における自動車生産能力が140万台を超えることとなったこと
で、部品メーカーにとって十分採算がとれると見込んだためと思われる。この頃に進出し
てきた1次サプライヤーは、福岡県宮若市、北九州市、大分県北部に集中している。また、
豊田合成、トヨタ紡織九州、フタバ伊万里など既に進出していた1次サプライヤーがトヨ
タ九州の近くに工場を新設している。
図表2-1-5.2008年時点における1次サプライヤーの分布
54 47473739
トヨタ自動車九州㈱
トヨタ自動車九州㈱
4551
4956
33
■
35
■
約約80km
80km●●
■
60 ■
59
日産自動車㈱
日産自動車㈱
九州工場
九州工場
4157
39●
●
ダイハツ九州㈱
62
50●
●●●
●
49
3234
44 ●ダイハツ九州㈱
●
46
37
●
●
●
●
●
38
44
35
40●
●
●
●
53
●
●
51
5254 36
64
3133
52
●
●
45
42 ●●
●
3032
●
64
●● 6261●
48
59
●43
57●
●●
61
42
63●58 46
60
55
●● 58
50
40
63 56
● ● ●●
48
38 ■
●
●●
■
●
●
●
43
41 55
53
36
34
●●
●■ ●
●
●● ●
■
●本田技研工業㈱
● 熊本製作所
本田技研工業㈱
熊本製作所
●
●
■
*1999 年以前より立地している1次サプライヤーは「●」で示す。
■
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
葵機械工業㈱中津工場
㈱浅野歯車九州
㈱五和製作所(増設)
イナジー・オートモーティ
ブ・システムズ㈱北九州工場
エイティー九州㈱
㈱カワムラ九州
九州エノキ㈱
九州シロキ㈱
小糸九州㈱
小竹化成㈱
㈱三福
㈱ジーエスエレテック九州
河村化工㈱九州工場
㈱シーゲル
太平洋工業㈱九州工場
千代田工業九州㈱
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
㈱TRI九州
㈱中外
東プレ九州㈱
豊田合成㈱北九州工場(増設)
豊田合成㈱福岡工場(増設)
トヨタ紡織九州㈱宮田工場(増設)
トヨテツ福岡㈱
㈱長崎中発
㈱ナミユニット
㈱日工社大分工場
㈱ヒロテック大分工場
富双シート㈱
㈱フタバ伊万里直方工場(増設)
㈱村上開明堂九州
㈱ユニテクノ九州工場
㈱ヨシカワ大分工場
㈱ヨロズ大分
(資料:九州経済産業局「九州自動車関連企業・研究者・施策総覧」から抜粋)
- 21 -
また、2000年から2008年までの9年間で自動車関連の企業立地は全国で910
件、うち238件が九州地域への立地であり、この間の自動車関連企業立地の1/4が九
州地域への立地となっており、急速に自動車関連企業の集積が高まったことが窺える。
図表2-1-6.自動車関連企業における九州立地比率
九州立地率
40.0%
35.2%
35.0%
31.1%
30.0%
23.9%
25.0%
20.0%
15.0%
29.9%
25.0%
自動車関連
20.7%
19.6%
(参考)全数
17.3%
15.9%
13.3% 13.4% 14.0% 12.5% 12.4% 12.6%
11.0% 11.9% 10.3%
10.0%
5.0%
0.0%
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
(資料)立地動向調査
④ まとめ
九州地域における自動車関連の事業所は、完成車メーカーが立地する北部九州に集中し
ている。福岡県、佐賀県、熊本県(北部)、大分県の4県に、九州全体の約8割の自動車関
連事業所が立地している。また事業所の分布を見ると、高速道路が重要な要素(ファクタ
ー)を占めていることが窺える。
図表2-1-7.自動車関連地場企業の分布
*自動車部品や生産設備の生産拠点だけで
なく、関連する営業所、物流拠点、設計・
研究開発拠点も含む。
*アンケート調査対象企業のうち自動車関
連産業未参入を除いた847社を集計
*郡、市単位で集計
- 22 -
2-2
九州地域における自動車関連産業の現状
(1)九州地域の自動車生産台数
九州地域における自動車生産台数は、2004年ダイハツ車体の九州移転、2005年
トヨタ九州の工場増設に伴い、2006年には100万台を突破、2007年には109
万台に到達し、2000年の54万台から7年間で倍増となり、全国における九州のシェ
アは9.4%、中部地域・関東地域・中国地域に次ぐ、国内第四の生産拠点として、また、
最新鋭の生産効率を有する生産拠点として九州の位置づけは重要性が増しているとともに、
2010年代には車両開発機能の新設も計画されていることから、更なる高付加価値機能
拠点としての発展段階にさしかかっている。
図表2-2-1.全国の生産拠点の状況
国内の主要自動車組立工場と地域別の生産台数(推計)
●組立を中心とする工場
▲部品等の工場
北海道
トヨタ自動車北海道 ▲
▲
群馬
滋賀
ダイハツ(滋賀)●
〃
(鏡)▲
三菱
(滋賀)▲
日野
(新田)▲
▲
富士重工(本工場)●
●
〃
(矢島)●
●
〃
(大田北)▲
▲
〃
(大泉)▲
▲
〃
(伊勢崎)●
東北
約35万台
●
大阪
ダイハツ(池田)●
岩手
関東自動車工業(岩手)●
京都
富山
ダイハツ(京都)●
三菱
(京都)▲
三菱ふそう
三菱ふそう●
近畿
約74万台
岩手
宮城
関東車体(岩手)
トヨタ自動車東北▲
岐阜
岐阜
三菱(岐阜)
三菱(岐阜)●
日産(いわき)▲
岡山
▲
三菱(水島)●
栃木
いすゞ(栃木)▲
日産(栃木)●
富士重工(エコ宇都宮)●
ホンダ(埼玉)▲
広島
マツダ(本社)●
〃 (三次)▲
山口
埼玉
マツダ(防府)●
日産ディーゼル(上尾)●
〃
(鴻巣)▲
〃
(羽生)▲
ホンダ
(埼玉)●
中国
約156万台
九州
約113万台
三重
東京
ホンダ
(鈴鹿)●
トヨタ車体(いなべ)●
八千代工業(四日市)●
トヨタ車体(いなべ)
八千代工業(四日市)
日野(日野)●
〃(羽村)●
福岡
ホンダ(熊本)
中部
約397万台
いすゞ
(藤沢)▲
日産
(横浜)●
〃
(追浜)▲
三菱ふそう(川崎)●
〃
(中津)▲
日産車体 (湘南)●
セントラル自動車(本社)●(※)
愛知
▲
日産(九州)●
▲
トヨタ自動車九州(宮田)●
●
〃
(苅田)▲
●
〃
(小倉)
〃
(小倉)▲
●
ダイハツ九州(久留米)
ダイハツ九州 (久留米)▲
日産車体九州(苅田)
▲
日産車体九州
(苅田)●
スズキ(豊川)●
トヨタ(本社)▲
〃 (元町)●
〃 (上郷)▲
〃 (高岡)●
〃 (三好)▲
〃 (堤) ●
〃 (明知)▲
〃 (下山)▲
〃 (衣浦)▲
〃 (田原)●
〃 (貞宝)▲
〃 (廣瀬)▲
三菱 (岡崎)●
三菱ふそう(大江)●
トヨタ車体(本社)●
〃
(吉原)●
トヨタ車体(本社)
豊田自動織機(長草)●
(吉原)
関東
約395万台
日産車体(湘南)
セントラル自動車(本社)
(※)
神奈川
大分
ダイハツ九州(中津)●
熊本
熊本
ホンダ(熊本)▲
▲
福島
静岡
スズキ
(高塚)▲
〃
(磐田)●
〃
(大須賀)▲
〃
(湖西)●
〃
(相良)▲
関東自動車工業(東富士)●
※セントラル自動車は、2010年に
宮城県へ移転予定
出典:自動車工業会HP、各種資料より作成
注:各社が公表している生産実績(2007年度)等で推計している
ため、国内生産実績と合致しない。
- 23 -
図表2-2-2.完成車組立工場(トヨタ・日産・ダイハツ・マツダ)の操業年
完成車組立メーカー
工場
所在地
トヨタ自動車㈱
元町工場
愛知県豊田市
トヨタ自動車㈱
高岡工場
愛知県豊田市
トヨタ自動車㈱
堤工場
愛知県豊田市
トヨタ自動車㈱
田原工場
愛知県田原市
トヨタ自動車九州㈱ 宮田工場
福岡県宮若市
㈱豊田自動織機
長草工場
愛知県大府市
トヨタ車体㈱
本社/富士松工場
愛知県刈谷市
トヨタ車体㈱
いなべ工場
三重県いなべ市
トヨタ車体㈱
吉原工場
愛知県豊田市
関東自動車工業㈱
東富士工場
静岡県裾野市
関東自動車工業㈱
岩手工場
岩手県胆沢郡金ケ崎町
セントラル自動車㈱ 本社工場
神奈川県相模原市
セントラル自動車㈱ 本社工場(2010年秋移転)
宮城県黒川郡大衡村
ダイハツ工業㈱
本社(池田)工場
大阪府池田市
ダイハツ工業㈱
滋賀(竜王)工場
滋賀県蒲生郡竜王町
ダイハツ工業㈱
京都工場
京都府乙訓郡大山崎町
ダイハツ九州㈱
大分工場
大分県中津市
日産自動車㈱
追浜工場
神奈川県横須賀市
日産自動車㈱
栃木工場
栃木県河内郡上三川町
日産自動車㈱
九州工場
福岡県京都郡苅田町
日産車体㈱
本社湘南工場
神奈川県平塚市
日産車体九州㈱
本社工場
福岡県京都郡苅田町
マツダ㈱
宇品工場
広島県安芸郡府中町
山口県防府市
マツダ㈱
防府工場
(資料)各社ホームページ及び自動車年鑑2008-2009年版
操業年
1959年
1966年
1970年
1979年
1992年
1967年
1968年
1993年
1962年
1967年
1993年
1950年
2010年予定
1961年
1989年
1973年
2004年
1961年
1971年
1975年
1949年
2009年
1966年
1982年
備考
2010年秋、宮城県に移転予定
相模原市から移転予定
第1地区を閉鎖予定
日産車体㈱湘南工場第1地区を移転
図表2-2-3.九州における自動車生産台数の推移
120
109
全国シェア
101
自動車生産台数(万台)
100
12
90
79
80
68
58
60
45
44
59
61
60
5.7 5.7 5.6
40
55
6.0
15
54
77
68
6.9 6.6
7.7 7.3
8.4
8.8
9.4 9
6
5.5 5.3
全国シェア(%)
生産台数
4.0 4.2
3
20
0
0
93
94
95
96
97
98
99
00
年
01
02
03
04
05
06
07
(資料:九州経済産業局)
(2)九州地域における自動車関連産業の状況(製造品出荷額等)
九州地域の自動車関連出荷額は、完成車メーカーの進出に伴い年々増え、2006年に
3兆円(二輪自動車を含む自動車製造業(20,663億円)、自動車車体・附随車製造業
(292億円)、自動車部分品・附属品製造業(9,142億円))と九州全体の工業出荷
額(21兆2,758億円)の約14%を占める(出典:平成18年工業統計表)、九州地
域第一の牽引産業となっている。
例えば、1995年からの約10年間で、事業所数が減少傾向にある中で、九州地域で
は自動車関連の事業所が1.4倍に増加しているほか、従業員数、現金給与額も1.3~
1.5倍に増加し、九州地域における雇用創出・地域活性化に大きく貢献している他、製
- 24 -
造出荷額や付加価値生産額については、製造業全体ではやや減少傾向にある中で、自動車
関連産業が大きく増加しており、その中でも九州地域は大きく増加している。
図表2-2-4.自動車産業の10年間の伸び(1995 年を 100 とした 2005 年の実績)
【事業所、従業員、現金給与額、製造品出荷額、付加価値額】
自動車関連(※)
九州
全国
142.5
83.9
135.1
104.9
156.7
110.9
165.9
123.7
164.0
125.1
事業所数
従業員数
現金給与額
製造品出荷額
付加価値製造額
製造業
九州
78.3
80.8
83.0
104.5
93.2
全国
71.6
78.6
79.5
96.7
88.4
出典:工業統計(1995年及び2005年)より試算(九州の自動車関連に推計を含む
※自動車関連:自動車製造、自動車車体・付随車、自動車部品・附属品
この中で、九州地域の自動車部品(自動車部分品・附属品)出荷額は、ここ数年増加傾
向にあり、2006年には約9千億円に達しているが、九州地域の自動車生産が対全国比
で増加傾向にあることに比べると、自動車部品における九州の全国シェアは約4%で横ば
い状況にあることから、多くの自動車部品が九州域外から流入していることが窺える。
図表2-2-5.九州における自動車部品出荷額推移
12000
8000
出荷額
7404
6000
9142
7627
8147
4.5
8138
シェア
3.9
4.0
3.8
3.8
3.8
4000
3.6
全国シェア(%)
出荷額(億円)
10000
5.0
3.5
2000
0
3.0
02
03
04
年
05
06
(資料:工業統計表,自動車部分品・附属品)
なお、九州地域で増えてきているプレス加工や樹脂成形は、工業統計上は金属プレス製
品製造や工業プラスチック製造に含まれ、当該製造品の一部であるため、自動車部品とし
て実数を捉えられないこともあり、実際の参入状況や域内調達については、正確に把握で
きない面もあるが、自動車部品出荷額を国内他地域と比べた場合、中部地域、関東地域に
おいて上昇を続けているのに対し、九州地域においては伸びが緩やかであることから、域
内調達が追いついていないと判断できる。
- 25 -
また、九州経済産業局が行った平成12年地域産業連関表ベースでの分析(リサーチ九
州:平成20年6月)によると、自動車関連部品の域内調達率は、中部地域84%、関東
地域81%に対し、九州地域の50%と大きな差がある。
出荷額(億円)
図表2-2-6.国内他地域の自動車部品出荷額推移
100000
90000
80000
70000
60000
50000
40000
30000
20000
10000
0
02
03
04
05
06
年
九州
中部
関東
(資料:工業統計表,自動車部分品・附属品)
このため、完成車メーカーでは、50%にとどまっている域内調達率を早期に70%ま
で引き上げたいと考え、地場企業の経営者に生産管理、現場改善を教えるものづくり研究
会、ものづくり道場の開催、現役社員を自動車関連産業参入アドバイザーとして地場企業
の指導に当たらせるなど、地場の部品メーカー育成に力を入れている。
(3)自動車関連産業振興に向けた各地域の取り組み
九州各県では、それぞれに自動車産業振興組織を設立し、地場産業の新規参入や取引拡
大に向けた講習会、技術者や若年者等の人材育成事業の他、情報提供、マッチング、人材
育成、技術開発、設備投資支援、経営支援などの各種施策を通じて自動車振興に積極的に
取組を行っているところである。
例えば、福岡県では、アジアをリードする自動車の一大生産拠点を目指して、「生産
150万台」、「地元調達率70%」、「アジアの最先端拠点」、「次世代のクルマ開発拠点」
の4つの目標からなる「北部九州150万台生産拠点推進構想」を掲げ、完成車メーカー
や関連企業、経済団体等や関連市町村で構成する「北部九州自動車150万台生産拠点会
議」を組織し、官民挙げて取組を推進している。
また、九州7県では、九州自動車産業振興連携会議を設置(平成18年1月)し、九州
における自動車関連産業の更なる集積を図り、アジアをリードする一大生産拠点の形成を
目指して、一体となって自動車関連産業の振興に取り組んでいる。
- 26 -
(4)まとめ
九州地域の自動車関連産業は、完成車メーカーの立地が進み、生産能力では2009年
度には年産150万台を超えるなど、中部・関東・中国地域に次ぐ国内4番目の生産拠点
として、また最新鋭の生産効率を有した生産拠点機能に加えて、車両開発機能の付加など、
更なる高付加価値機能拠点としての発展段階にさしかかっている。近接する山口県のマツ
ダ防府工場を加えると、半径100km圏内で完成車メーカー5社が年間200万台を生
産するエリアである。そこでは常にどこかの完成車メーカーで新車生産の立ち上げ準備が
進んでいるビジネスチャンスに溢れたエリアであり、加えて、博多港から中国・上海港ま
で RORO 船で26時間という近接性で、中国など今後発展が見込まれるアジア地域とのマ
ーケット近接性によるメリットも期待されるエリアでもある。
その一方で、海外輸出向け車両生産は、今後、生産コスト、為替レート等の問題から海
外シフトが進むことが懸念され、海外輸出向け車両生産拠点である九州地域の自動車関連
産業は、品質、生産コスト、物流機能を高め、海外を含めた生産拠点間競争に勝ち残って
いくことが求められている。
1次サプライヤーは、完成車メーカーの立地にあわせ北部九州地域を中心に集積を高め
ているが、九州地域の自動車部品産業の工業出荷額は中部・関東地域と比較すると伸びて
おらず、完成車メーカー、1次サプライヤーを支える、九州地域の地場企業の参入促進を
含め域内取引の拡大による自動車部品産業の発展・波及-域内調達率の向上が課題となっ
ている。
こうした課題克服や取引拡大に向け、完成車メーカー、1 次サプライヤー、各県等による
支援体制も整備されてきており、今後の自動車関連産業振興に向けた取組の拡大が期待さ
れている。
- 27 -
九州地域各県の自動車産業関連施策一覧
情報
提供
マッチ
ング
人材
育成
技術
開発
設備投
資支援
経営
支援
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
・九州自動車部品・技術展示館〔地
場企業の製品や技術力をPRする
ためのウェブサイト〕
http://www.joho-fukuoka.or.jp/
k-car-supplierpark/
・会員企業の概要を紹介した
冊子を作成
・ホームページに会員企業リスト
掲載
〔活動内容、発注情報[長崎県
自動車関連産業振興協議会会
員対象]を掲載〕
http://www.pref.nagasaki.jp/
sangyo/zidousya/
・熊本県自動車関連現場改善支援
事業費補助金〔発注企業が地場
企業を育成する際、受注企業が
現場改善指導を受ける際の費用
を補助〕
・熊本県自動車関連取引専門コー
ディネータ事業〔取引参入のア
ドバイスや発注案件の情報提
供〕
・熊本県製造部品展開展示方式商
談会〔発注企業が今後発注した
い部材等を展示し商談を行う場
を提供〕
・大分県自動車関連企業ホ
ームページ作成。
〔企業会の事業計画、活
動状況会員企業の紹介、
セミナーや商談会等の開
催通知〕
http://www.kigyokai.jp
・情報収集及び提供事
業〔宮崎県自動車産
業振興会〕
・商談会・部品説明会等の
開催
〔中京地区製造部品の現
地調達検討 自動車メー
カー工場見学など〕
・マッチング支援事業 ・マーケティング支援〔各県支
〔福 岡 駐 在ア ドバ
援機関と連携し広域的な取
イザー設置、商談会
引あっせんを行うとともに、
の開催等〕
展示会等により情報交換と
・宮崎県新技術・新工
取引先開拓の機会を提供〕
法展 示 商 談 会 開 催
事業
・受発注促進、取引拡
大に関する事業〔展
示会の開催、商談会
への参加等〕
・生産性向上支援事業 ・人材育成等支援〔機械加工技 ・産学人材育成パートナーシ
〔研 修 会の 開 催と
術や生産管理技術の講座・研
ップ事業〔カー・エレクト
専門 家 の派 遣 によ
修等〕
ロニクス設計開発中核人材
る生産性・技術力の ・企業力向上支援事業〔自動車、
育成事業〕
向上〕
電子、食品関連産業におけ ・高専等活用中小企業人材育
・生産管理、製品管理、
る、かごしまモノづくり研究
成事業〔熊本電波高専を活
品質 管 理 等 企 業 力
会開催、県外の他企業への派
用した中小企業若手技術者
向上 に 関す る 事業
遣費用助成、県外の研修費用
向け実践的電子情報技術教
〔生 産 工 程 合 理 化
の助成〕
育システム事業〕
OJT 研修、品質勉
・工業高校等実践教育導入事
強会、モノづくり研
業〔福岡県自動車関連産業
究会への参加等〕
人材育成事業、大分ものづ
くり総合力育成事業〕
・中小企業大学校における研
修事業
・専門家継続派遣事業〔完成
車メーカー等の現役技術者
や OB 人材等を派遣し、生
産管理技術向上、競争力の
向上を図る〕
・自動車産業アドバイザー事業〔1
次サプライヤーとの橋渡しや徹底
指導〕
・九州自動車部品取引商談会〔1次
サプライヤーが調達する部品を提
示〕
・九州自動車関連技術展示商談会
・
「パーツネット北九州」の活動支援
〔勉強会の開催、展示会・商談会
の機会提供、セミナーの開催等〕
・金型技術者人材育成事業
・めっき技術者人材育成事業
・ゴム加工技術者人材育成事業
・プラスチック成形技術者人材育成
事業
・3次元設計技術者育成事業
・福岡県自動車関連産業人材育成事
業〔工業高校生のインターンシッ
プ、教員の企業派遣研修、企業か
らの講師派遣〕
・産学官ものづくり人材育成事業
・中小企業自動車産業産業技術力向
上・人材育成助成金
・カー・エレクトロニクス設計開発
中核人材育成事業
・カー・エレクトロニクス高度専門
人材育成拠点の形成
・生産技術の開発
・高機能部品の開発
・自動車情報化技術の開発
・技術研究会活動の支援〔モジュー
ル部品等の共同開発活動等を支
援〕
・産学連携研究開発助成金
・試作品づくり助成
・中小企業産学官連携研究開発助
成
・福岡県企業立地促進交付金
・自動車産業振興資金(融資制度)
・中小企業自動車産業振興助成金
・福岡市企業立地促進交付金
・中小企業融資(新事業開拓支援資
金)
・自動車関連商談会等出典支援事
業補助金
〔会員企業が自動車関連の展
示会・商談会出展の際必要費用
を補助〕
・ナガサキ型新事業創造ファンド
助成事業
〔自社開発製品等の販路開拓
のため、見本市等に出展を行う
場合にかかる経費を助成〕
・佐賀県自動車産業派遣研修
助成事業
〔自動車関連産業技術者
育成・大学での研修経費を
一部補助〕
・佐賀地域自動車関連産業活
性化人材養成事業
〔CAE,メカトロニクス、
品質工学等〕
・技術ワークショップ事業
〔品質工学研究会〕
・自動車産業関連研修会
・長崎県地場企業支援ファンド助
成事業(人材確保事業、技術等
研修事業)
・産業活性化人材養成等支援事業
〔技術者育成講座開催〕
・商談会等への出展支援
〔出展経費の一部助成な
ど〕
・取引参入アドバイザー〔派遣〕
事業
・熊本県自動車関連グループ〔改
善〕セミナー
・電気自動車セミナー
・技術・技能者育成就職支援セミ
ナー〔技術・技能者育成事業〕
・熊本県立技術短期大学校による
人材育成〔自動車の要素技術、
CAD、NC 機械加工、品質管理
等〕
・技術者スキルアップセミナー
2008〔高専等を活用した中小
企業人材育成事業講座〕
・自動車産業を担う機械設計エン
ジニア育成事業〔八代高専の設
備とノウハウを活かし3次元
CAD/CAE/CAM 等のセミナー
を実施〕
・大分県自動車関連人材育
成事業補助金
・大分県自動車関連産業新
規参入・取引拡大セミナ
ー
・技術アドバイザー派遣
・現場指導研修
・現場改善セミナー
・地域自動車関連産業活性
化人材養成事業
・ナガサキ型新産業創造ファンド
助成事業(研究開発事業、事業
化等調査事業)
・佐賀県中小企業自動車産業
設備投資助成事業
〔自動車関連企業との取
引拡大・新規取引の為の設
備投資一部補助〕
・ものづくり産業新事
業展開支援事業〔集
積業 種 ①輸 送 機械
関連、②電子・精密
関連 、 ③バ イ オ関
連、④IT関連にお
ける新製品・新技術
開発支援、販路開拓
支援〕
・企業誘致推進事業
・熊本県企業立地促進補助金
〔長崎県外誘致企業対象〕
・新事業展開支援資金「ものづく
・地場企業工場等立地促進補助
りフォレスト構想等推進枠」
金
〔長崎県内地場中小企業対象〕
・大分県自動車関連基盤技
術設備投資促進補助金
・長崎県地場企業支援ファンド助
成事業〔長崎県内中小企業対
象〕
・県制度資金
〔基盤技術の大規模な設
備投資に対する融資資金
の利子返済額に対する助
成〕
鹿児島県
九州経済産業局(参考)
・産業集積支援事業〔自動車関 ・地域イノベーション創出共
同体形成事業
連企業や研究機関等からな
るネットワークを組織し、講
習会、商談会等を開催〕
・経営支援〔専門家等による相
談・助言、各種情報の収集・
提供〕
・重点業種研究開発支援事業
〔自動車、電子、食品関連産
業に対し新技術・新製品の開
発費用を助成〕
・地域イノベーション創出研
究開発事業〔産学官からな
る研究体による実用化技術
開発を実施〕
・戦略的基盤技術高度化支援
事業〔鋳造、鍛造、切削、
めっき等の高度化に向けた
研究開発や生産工程改善等
を実現する研究開発を支
援〕
・宮崎県企業立地促進 ・鹿児島県企業立地促進補助金
補助金
・設備資金貸付〔1/2 を無利
・みやざき地域資源活
子貸付〕
用貸付〔設備資金、 ・自動車関連企業活力資金〔運
運転資金〕
転資金、設備資金を融資〕
・かごしま産業おこし挑戦事業
「中核的企業創出プログラ
ム」
〔自動車関連の有望企業
が事業展開を目指す際に、専
門家によるハンズオン支援、
事業費用の助成等を行う〕
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