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平成15年8月1日 医学教育ワークショップ 参加者 各 位

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平成15年8月1日 医学教育ワークショップ 参加者 各 位
平成15年8月1日
医学教育ワークショップ
参加者
各
位
医学教育ワークショップ
実施委員会委員長
杉
森
甫
第9回佐賀医科大学医学教育ワークショップについて
先に参加申し込みいただきました標記のことについて、別紙日程により
実施しますのでお知らせします。
なお、資料を同封しておりますので、事前にお読みいただきワークショ
ップ当日持参してください。
また、問題作成様式も同封しておりますので、2問作成のうえ、それぞ
れコピー8部(問題のみ)を用意してワークショップ当日持参してくださ
い。
目次
1.
はじめに:学長挨拶
2.
特別講演1:斎藤教授午前の部講義
3.
全体会議、問題症例討議
4.
特別講演2:斎藤教授午後の部講義
1
はじめに
皆さんおはようございます。例年伊万里でこの教育ワークショップを行ってまいりました
が、今年度第9回のワークショップは大学内で行うこととしました。今年度のテーマは「客
観試験問題作成に当たっての基礎知識」といたしました。そのため教授、助教授、講師な
ど上のほうの方に出席お願いしました。昨年、一昨年と先生方にCBTのために
問題を作っていただいております。実は昨年作って頂いた問題は、採択率があまりよろし
くない。全国の大学でワースト2であります。先生方にリクエストがあります。
本日は、問題作成に当たってのベテランであります聖マリアンヌ医科大学の斉藤教授をお
招きして、そのへんのノウハウをお話いただくことにしました。どうか、よろしくお願い
します。今日は、いろいろ実際に問題を作って頂きますけども、昨年度採択率
が 20 数パーセントでした。やはりいい大学は 90%80%でしたので、せめてこの最低ミニ
マム 30%以上になるように、一日の長丁場になりますけれどがんばってください。
佐賀医科大学長
2
杉森 甫
特別講演
「客観試験問題作成に当たっての基礎知識」
聖マリアンナ医科大学 教授
斎藤宣彦
聖マリアンナ医科大学の斎藤でございます。何故私が担当する羽目になったかという話
をします。Computer-based testing (CBT) の客観試験問題をそれぞれの大学からお出
しいただき 9000 題ぐらいになりまして、その中からいい問題を実際に選択して頂くように
しております。その問題を臨床実習前にやって頂くわけですけども、その問題を、先ず最
初の年、拝見します。何グループかに別れて全国から色んな分野の先生にお出で頂きまし
て、これを全部、それに投影いたしまして、この問題はどうかねということをやるわけで
すね。つまり評価をします。ブラッシュアップします。で、使う。使った結果を見て、こ
の問題はプールしておこう、おかない、というディスカッションをします。私がその評価
の方の責任者を承っておりましたので、もっといい問題をお作り頂くためにどうしようか
と考えておりました。各大学からお出し頂いた客観試験問題をもう少しお作り頂く方に分
かって頂けば、僕達の仕事は楽じゃないかというふうに会議で発言をしましたら、じゃ、
お前やれということになりました。採択率の悪かった大学5つぐらいでした。だったら、
そういう大学に参上して、客観試験問題こう作るんだよということをやっておけば、それ
は何もCBTだけではなく学内の試験でも役に立つ。国試の試験にも役に立つ。決して損
はないといって、参上した方がいい大学。もし私どもが行くとお役に立てる大学があった
らおっしゃって下さいなと言いました。そうしましたら、とんでもないことに沢山の大学
から、ちょっと来いと言われて。そう言った手前伺わないわけにはいかなくて、何人かの
教員でチームを組んで、それぞれの大学に伺っいるわけですけど、どうも責任者だからお
前行けということが多くて、この6、7、8月にかけて沢山の大学からお招きを受けまし
た。そのため朝5時半に起きて羽田に行って飛んでというような生活が続いています。大
学の方からはとりあえず客観試験問題をどうしたら上手く作れるかという希望でまわって
います。
今日の予定としては、それぞれ皆様方がお作り頂いた問題、一人1題ぐらいでしょうか。
それを各グループに分かれて、グループの中でブラッシュアップをする。で、もう俺たち
のグループでのディスカッションは完璧だというのを持ってきて、それでプレゼンテーシ
ョンする。せっかくお作りになった問題ですから、出来れば全部やりたいですね。どなた
か代表の方に、自分のグループで作った問題は、
「こういう問題だ」とパッパ、パッハやっ
て、皆さんの目にもう一回出して、2段階でおこないます。ですから、最初に作った問題
を、どこをどう直したかという経過をここで示して頂いて、更にみんなでもって、ここは
こうではと、そういうことをやっていきます。経過が大事です。これがメインです。今日、
CBT問題作成のための客観試験問題ワークショップという、作成ワークショップという
名を付けましたけども、今日お見えになった方々が、客観試験問題を作るために、教育評
価のところをちょっとおさらいさせていただいて、一定の望ましい客観問題を作成する能
3
力を身に付けるというふうに書いておりました。では具体的には学習のプロセスを説明し
ていただいて、それから Taxonomy(教育の目標分類)の概略を述べていただく。それから
教育評価の基本を説明する。建設的評価と総括的評価、教育評価の方法を列挙する。目標
分類と評価法の整理をしていただきます。それが済んでから客観試験の原則を説明します。
問題作成要領にのっとって客観試験問題を作成していただきます。できれば客観試験の良
否の判定というところまでいきたいと思っております。それから今年のCBTからは2連
問、4連問というのが出てまいりまして、これは割に単純でございます。その先でござい
ますが、これは各大学に作成は依頼してございませんけども、Rタイプとよばれる問題が
ございます。EMI(extended matching items)という言葉でも言います。イギリスでは、
MCQ問題はもうそろそろ引こうかということになっています。そのEMIに変えていこ
うではないか。それで今回、CBTの方でもそういうタイプを、今、私たち何人か集まっ
て試しに作ってみて、厚労省の方でもこういう問題を将来入れていこうと思うけれども、
それのトライアルをやりたいということをおっしゃっておりますので、何年か先にはそう
いうタイプの問題が、MCQよりは入ってくるはずでございますので、それについても時
間が許す限りご説明を申し上げようと思います。出来れば今日、お作りいただいた客観試
験問題まで売り込めれば、大変結構なことではないかと思います。これが今日のワークシ
ョップでございます。
全体会議でもって共用試験の概要をご説明申し上げまして、それから教育評価の概説を
させていただきます。共用試験というのは、最初、教養試験。教養試験と申し上げたら、
一般教養の先生が俺たちの試験だとおっしゃってたんですけども、そうではございません。
そのうちに、あそこでもここでもやるのだから、強制されてやるのかなっていうことで、
強要試験と。これは元は、医学教育の改善に関する調査研究協力者会議というのが文部省
の主導でございまして、昭和 62 年にこれの報告書が出ました。覚えていらっしゃる方もい
らっしゃると思います。ところがそのメンバーの方で現存してらっしゃる方は、随分少な
くなりましたが、私の師匠が実はこれの chair man をしておりました関係で、やれてなこ
とを言われた覚えが過去にあります。それから随分経ちまして、21 世紀医学医療懇談会第
1次報告というのは、医療人の育成で、第2次報告というのが介護関係の人材育成という
テーマでございました。それの第4次報告だったと思います。医学・歯学教育者を育てる
にはどうすればいいかという答申が出ました。それを受けて、医学・歯学教育の在り方に
関する調査研究協力者会議、これが 13年の3月 27 日付けでもって、色んなことを出して
参ります。これが今回の共用試験に至までの、一連のごく大まかな動きでごさまいます。
もう一方では、臨床実習、学生さんに臨床実習をやらせていいかという時に、医師法が問
題になりました。覚えてらっしゃいますでしょうか。前川正群馬大学医学部長が座長をな
すった臨床実習改善検討委員会の報告では、レベル1、レベル2、レベル3という話が出
ていました。レベル1は、学生がやってよい行為。レベル2というのは、状況によっては
監督下で学生がやってよい。レベル3というのは、見学のみ。こんなふうに臨床実習のグ
4
レードをつけまして、それによって医師法を阻却するというふうなことになっております。
ただ、阻却の条件としましては、臨床実習に入る前にちゃんと評価をしなくてはならない。
そこでOKと言われた人だけが、臨床実習に入っていいよということが、平成3年頃だっ
たと思いますが、出ました。この両者が相まって、今回の共用試験に至るわけでございま
す。つまり、共用試験というのは何かと言いますと、臨床実習に入らせていいのだろうか
ということがメインでございます。ですから時期としては、臨床実習開始前で範囲はモデ
ル・コア・カリキュラムです。モデル・コア・カリキュラムというのは、実はあれは項目
を上げる時に、今までのだいたいの各大学でやっている項目、講義している項目を全部取
り上げまして、それの7割にしようということを一所懸命削りまして、医科歯科大学の医
学部教室に呼ばれまして、これはいらない、これはいらない。コアですから、そのコアの
上に何を乗っけるかということは、各大学の個性でございます。個性を持たなければ、日
本に 80 の医科大学がいらなくなってしまいますから、それぞれの各大学でもって個性を乗
っけていただければいいんだろうというわけです。それで、あれはわざと少なめにしてご
ざいます。個性というのは、部署のパンフレットか何かでございますかね。個性輝く大学
になれということです。個性のない大学というのは、よそと同じじゃ駄目ですよというこ
とです。ただ、共通部分が必要です。その共通部分もコアカリである。こういうわけです。
それで、そのCBTの範囲、試験ですから、その領域としてメインは知識です。態度や技
能については、OSCEになりますけども、ただ、OSCEで知識を計ることももちろん
可能でございます。それはOSCEの方のトライアルについては、今度の 11 月 25 日に全
国説明会を一応致しますが、そこでOSCEが総合ドリルで入ってきます。評価を受ける
のは学生ですけれども、それによっては各大学も評価されることになってしまいます。た
だし、そのCBTの点数というのは、そのまんま各大学に戻します。それをどう料理させ
るかというのは、各大学に委ねられているわけでございまして、ご自分のところの大学の
試験と、それからCBTの点数とを勘案して、この学生に臨床実習をさせてよろしいかよ
ろしくないかということを、考えていただければよろしいということになります。共用試
験を行うためには、システムが必要になるわけです。そこではどういう組織が出来たかと
いうと、共用試験実施機構というのが設立されまして、今、高久文麿先生がその副校長に
なっておられます。これは、全国医学部長病院長会議の中に、しょうがなくって居候して
います。ただし、共用試験の方は医科だけではなくて歯科の方も入っていますから、歯科
の方も医学部長病院長会議に間借りをしていることになっております。そのブレーンにな
るのが、医学歯学教育システム研究センターです。開発ではなく研究センターを、文部省
がこの間、医科歯科大学に作りました。でも、これもお金がどんどん続けて出るわけでは
ございません。ここではどんなことをやっているかと言うと、問題を整理したり、それか
ら組み合わせをしたり、統計・解析をしたり、色んなことをやっております。そういうわ
けで、それが今の共用試験なんです。
具体的にはどういうふうになるかということを、ちょっとお話ししてみますと。学生さ
5
んは、コンピュータの画面でもって試験をしていただきます。五肢択一式です。正しいの
はどれか一つ選びなさい。そのためにどうするかというと、全国の大学に問題作成をお願
いいたしまして、出していただきました。CBT委員会で問題を精選させていただいて、
それをトライアルして抽出するというわけです。実際に試験をやる時はCD−RAMにや
いて、各大学にお願いをするわけでございますけど、幾つもの問題の組み合わせなんです。
幾つものというのはどういうことかと言いますと、学生さんの、Aという学生さんが、自
分のコンピュータの前でもって問題を開きます。正しいものはどれか。どれどれどれと書
いていますね。分からなくなったら隣の学生を見るんです。なんと自分と違う問題が出て
いる。そういうふうなシステムにしてあります。全部トライアルが必要だったのは、その
難易度をチェックしなければなりません。つまり、自分がやっている問題と隣の学生がや
っている問題で、難易度が違ってしまっては困る。そのためにトライアルでもって難易度
合わせを致してございます。いいデータになって出ております。例えば、米国のある州の
看護婦さんなんかは、コンピュータで試験をやって問題が解けないと、次の問題が出てき
て、それは解けるというシステムでやっているところがあります。これは、コンピュータ
ベーステスティングというコンピュータシステムでもって、解けなければ、もう少し易し
い問題が出るというシステムになっております。それでいきますと、私は全部解けたのに
合格しなかったということになるでしょう。今回のCBTは、そういうシステムは含まれ
ておりません。ただ単に、試験問題が順番に画面上に出てくるというわけでございまして、
それをやっていただく。問題の組み合わせがいく通りもあるので、学生さんが皆同じ問題
ではない。ただし、実際にやってらっしゃるところを、色々ご覧になっているとおわかり
になると思うんですけど、ある領域に限っては、例えば医の倫理なんてところは、そんな
に問題の組数が沢山できません。そうすると後ろから見てますと、この学生さんとこの学
生さんとこの学生さん、あ、同じものが出ているなというのがわかります。そういう方法
でもってやっているわけです。
コアカリキュラムをお開きいただきますとおわかりになりますように、△が付いた項目
がございます。△が付いた項目というのは、それは実はどういうことかと言いますと、臨
床実習前じゃなくていいですよ。このことは卒業要件、臨床実習後でいいですよという種
類でございます。ですから臨床実習前のところは、△項目は問題をお作りにならなくて結
構でございます。むしろ問題をお作りいただく時にご注意いただかなければならないのは、
先生方の所属は、何∼何学校というところに所属をしてらっしゃると思うんですけど、そ
れはそれ。お住まいの現住所です。実際に学生さんには、問題として出る時には学科目は
お忘れ下さい。統合した問題を、なるだけ出していただきたいわけでございます。それか
ら、難しいのは単純記憶に頼るような問題というのは、なるだけ作りたくない。できれば
解釈する問題。判断する問題。あるいは、問題解決や応用に関係するような問題で評価を
したいという願望がございます。形式はAタイプ。あとの連問、これは省略いたします。
こういうふうな格好で、臨床実習前の学生さんに、試験をコンピュータを用いてしようじ
6
ゃないかというのがこの共用試験でございます。
さて、評価の総論的なことを申し上げますというと、先ずは有名な絵をお目に掛けます
(配布資料ページ2)。学習のプロセスというのは、学習者がどっかに達すればいいんです。
それはどういうことかというと、学習者の目標に達すればいい。昔の資料には、ここのと
ころを教授者と書いてある資料、或いは教育者なんてある資料がございますけど、これは
考え方としていかがかというふうに。学習者といっても、特に医学部の場合はもう皆、大
人ないし 18 歳以上でございますから、学習者が目標に達する為に私達教員はそれを支援す
るものである。国立大学では、未だにこの観点としています。私立医科大学では、正式に
は、これは教員です。これが独法化すると、どういう呼び名になるのか知りません。目標
を立てる、目標というのはご承知のようにリアルでビジュアルな部分、アンダースタンダ
ブルで、アチーバブルで、ビヘイビオラル、そういうふうな目標を立てていただきます。
その目標に対して色んな方法を考え、100 人集めて講義をするなんていうのは、全くの時代
遅れになっております。それに則って学習をして、その学習をした成果を評価することに
なります。ただし、その評価と言っても色々ございます。最初に立てたニーズをとり間違
えたんではなかろうか。あるいは、目標がとてもアチーバブルなものではなかったんでは
なかろうか。最近はどうも学生さんが思わしくないというと、昔は良かったですよ、昔の
教員は、「今年の学生は出来ねえなー」なんて言ってらっしゃったのですけども、最近、そ
うはいかなくなりましたね。学生さんの成績が悪いというと、その講義をやったのは、ど
この教員ですかなんてことを言われる。大変な世の中になってきました。ですから、学習
者も評価されるけれども、教員の方も評価される。それから方法が悪かったんじゃないで
すか、ということも随分言われます。100 人いっぺんに集めて講義をする後ろの方は眠って
いるというような状態です。それは方法として間違いである。それから、評価の方法は本
当に良かったんでしょうか。例えば、重さを計るのに巻き尺を持ってきたというようなナ
ンセンスな評価。長さを計るのに体重計を持って来た、こういう評価方法をとってしまう
可能性もございます。ですから、評価というのはかなり慎重でなければならないわけでご
ざいます。学習のプロセスは、これで思い出していただいたことと思います。
次に Taxonomy ついて申し上げます(資料ページ3)。Taxonomy というのは、植物の分
類学の言葉でございまして、門、項、目、科、属、種と植物は分けます。あれの分類学の
言葉でございますが、それを3つの領域に Bloom は分けました。どういう領域かと言うと、
彼らが cognitive domain, affective domain, psychomotor domain というような古い言葉を
使いました。これは、あまり私はよろしくないと思います。もう一つよろしくないのは、
それを日本語にした連中が、教育関係の連中が、認知領域、情意領域、精神運動領域なん
ていう日本語を使いました。私のような下衆な人間は、精神運動領域なんていうと、なん
か心身症の人が運動しているような言葉に取ってしまいます。情意領域というと、なんと
なく色っぽいんじゃないかなっていうような、そういうふうに思います。そうではありま
せん。これは認知領域というのは知識という言葉でよろしいと思いますし、情意領域とい
7
うのは態度や習慣という言葉でよろしいと思います。精神運動領域というのは、技能でよ
ろしいと思います。かねがねそう思っておりましたらば、西洋でも同じようなことを考え
る方がいらっしゃいました。どういうふうに表現されていたかというと、三つの領域を尋
ねましょうと書いてある。うん、尋ねましょう。それは誤訳であります。ASKです、て
書いてある。ASK。つまり順序が違います。attitude のA、skills のS、knowledge のK、
つまりASKである。これの方がよっぽど私達に理解が容易です。ですから、これから言
葉を、少し改めていく必要があるのかも知れません。尋ねるのは、そぐわなかった。ただ
knowledge の部分というのは当然深さがございます。想起、解釈、問題解決と書いてござ
いますが、これはどういうことかと言いますと、例えば、血清のトータルコレステロール
の基準値はいくつですかと学生さんに聞きますと、学生さんは覚えている人は答えない。
覚えていない人はいくら考えたって答えられない。それはそうであります。次に学生さん
に、トータルコレステロールが 270mg/dl ありました。これはどうですかって聞きますと、
その答えた学生は 220 が基準値だから、270 は高いなという単純な解釈ですね。解釈が出
来る。もう一段深めていきたいと思います。じゃ今度は 270 の人がいました。トータルコ
レステロール 270 の人がいました。
どうしたらいいですかというふうに学生に聞きますと、
学生は 220 までならOK。しかし、270 は高い。それにはどうすればいいかな。俗に言う
スタチンという薬を処方いいかななんてことを考える。これが三つめの段階になるわけで
ございます。ですから試験問題として、客観試験問題としてお出しになる時には、想起の
問題よりは、できれば、もうワンランク深くなって解釈であって欲しいし。問題解決まで
行くには、ちょっと臨床問題のような格好にしないと、なかなか難しいと思います。
さあそこで、教育評価というのはどういうことかということを一言でまとめますと、教
育活動を効果的に遂行していくために必要な情報を得て、つまりそこは試験する(配布資
料ページ4−9)。それを解析し、試験問題を採点して意志決定をする。意思決定には、総
括的な場合と形成的な場合とあるでしょう。いずれにしても評価としては、これだけの課
程が必要になるわけです。教育評価の原則というのがございまして、どうして評価するん
ですか。まあ、西洋人は単純で、やたら5つのW、1つのHなんてことを言いますが、何
で評価するんですか。形式的評価と総括的評価。これはもう耳タコでございましょう。形
式的評価というのは、及落に関係のない評価でありまして、教育にこれを提供しますって
いうと、今年の3年生の何何科の試験は悪かったという場合に、それは教員に対して、あ
なたはこの授業をどうやってやりましたか。どういう資料を配りましたかっていうように
なります。それで来年からそこを改めてというのが形式的評価。総括的評価というのは、
入試にしても進級試験にしても卒業試験にしても国家試験にしても、総括的評価でありま
して、ポイントは修了時、コースや学科の修了時の評価。教員に総括的評価をするという
ことは果たせない。あとは評価のところで学習、時期のところで、学習前であるとか中で
あるとか後であるとか、それから follow-up テストというのがあります。この follow-up テ
ストについて、ちょっと申し上げておきますと、形式的にあるのは学習前、学習中という
8
のは形成的で、皆さん学習後になりますと、これは形成的には出来ません。この follow-up
テストというのはどういうのかと言いますと、例えば、今回のCBTでもそうでございま
して、2年生で生理学の授業が終わったところで試験をするとできる問題が、4年生の終
わりに同じ問題をやらせるとできない。これは生理学で習ったことが2年間の間に忘れ去
られてしまった。今回のCBT問題でも、色んなチームの中にご専門の先生がいらっしゃ
いまして、生理の問題がパッと画面に出て、これは正解率が悪かったって言いますと、こ
んな問題なぜ出来ないかな。2年生でやった時には 80 点取ってる問題出したんだけどなと
おっしゃる。それは忘却曲線が急峻に下がったんですよなんて後で言われます。それがフ
ォローアップです。ある時期をおいてからやるテストがフォローアップテストいうことに
なります。その方法については、どういうふうな方法があるかというと、論述試験、口答
試験、客観試験、シミュレーション、それから実地試験、観察式のリポート、色々ござい
ます。論述試験というのは、「何何について知るところを記せ」じゃなくて、よく基礎の先
生方は、そういう問題がお好きでお出しになる。客観試験というのは、じゃ、試験なんて
全部客観じゃないかとおっしゃるかも知れませんが、とんでもない。どうしてだろう。例
えばレポートにしても論述試験にしても今日 100 人の学生さんに私が論述で試験をしてす
ぐ今日の午後採点をしました。それをすっかり忘れて来週の土曜日、だいたい1週間たっ
て私がもう一回採点をしますと。そういうデータがあるんです。そこでの相関がだいたい
0.6 から 0.8 なんです。で、もし今度は採点者を変えて、同じレポートを採点してみる。100
人のレポート、或いは論述試験を私が採点する。そんなはことを知らない酒見先生が採点
をしたとします。これは相関が 0.4 から 0.6 です。というデータがあります。つまり、ほと
ほと左様に客観的ではないんです。で、客観試験というのは一体どういうのかというと、
これは今の国家試験にしてもCBT試験にしてもそうです、最初から答が決まっている。
誰が採点しても結果に変わりがない。コンピュータがやってもよろしい。例えば、コロン
ブスがアメリカ大陸を発見したのは何年でしょうという問題があるかと思います。この答
は誰が採点しても同じですね。1792 年と数字が出てきます。これが客観試験の基本状態で
す。観察記録という試験があるのか。評価の方法があるのか。あります。臨床の先生方は
ご存知だと思いますが、病棟で仕事をしておりますというと、看護学校の方の若い、初々
しい女性の方が、帽子を付けたばっかりみたいな方が病棟にお見えになります。それで1
週間ぐらい実習、1週間、2週間実習なさいますね。よ∼うく見ると、そこに、後ろにも
う一人いるんです。どういう人がいるかというと、元初々しかった人がいるんです。その
人たちは何をしてるかっていうと、その初々しい方の人をこう、メモを取りながら書いて
記録をつけているんですね。それを記録に留めておいて、それを評価の対象にする。これ
が観察記録でございます。こういう色んな方法がございますけども、結局は客観試験、C
BTというのは客観試験です。客観試験はどこが得意かということなんですけれど、
knowledge の領域、ここが得意です。特に想起の部分、解釈の部分が得意なんです。問題
解決の部分というのは、少し工夫をしなければ良く評価出来ない訳であります。技能や態
9
度、つまり skills や attitude のところは、客観試験で評価するのは、どうも無理である。
こういう訳でございます。
客観試験の形式について、お話を申し上げることにします。例えば、5肢択一とします。
一つの説明文がここにあります。それから、なになになになにはどれか、正しいのがどれ
か。あれは設問文という言い方が言い表されております。県庁所在地は何処か。答は一つ
です。5つの選択肢がある。一つの正答肢がある。4つの誤答肢がある。この誤答肢のこ
とをリストラクターと言います。リストラクターというのは、どう日本語に訳したらいい
のか、色々、あまりいい訳がありません。ある先生は、ひらがなで「まよわしい」と書い
ておられます。ある大学の若い先生は、リストラクターのことを「魅惑肢」と言いました。
魅惑肢というと僕らの年齢はね、魅力的な足みたいに思っちゃってマレーネ・デートリッ
ヒの脚線美みたいな。で、そういうふうに考えましてリストラクターと正答の距離、離れ
れば離れるほど問題が易しくなります。リスクラクターが正答に近ければ近いほど、つま
り「まよわしい」と正答との間が近ければ近いほど、答は難しくなります。例えばAは 20%
正しい、Cは 30%正しい、Dは 40%正しい、Eは 80%正しいとなったら、Eが正解。一
つ選べという時には、そういう傾斜がついているんだと正しいことがある。ですから、こ
ういうタイトルで試験をしますと、正解はDですよと言った場合に、学生さんは場合によ
っては、「先生、これも正しいことがあるんじゃないですか」と来るかも知れませんが、そ
れはワークテスト方式の問題の場合には、ベターでなくベストです。それが正答であると
いう考え方があります。客観試験の問題のコツというのは、この作成の留意点、少数大課
題方式ではなくて、細目積み上げ方式にして頂きたい。つまり問題はなるべく細切れにし
て、その分、数多く出して下さいということですね。大きな設問を出して、それで選択肢
をより範囲の広いものにしないで下さいというのが、客観試験の考え方です。それからす
るというのは、例えば出題形式は常に単純にして、コンスタントであって欲しい。それは
何故かと。受験生は出題形式が色々変わると、そっちに迷わされてしまう。それだけ余分
な事を考えなければいけない。本当に評価する部分はここだよということで、出題形式を
統一しようということです。当て推量を防ぐには、どうすればいいか。問題の数を増やせ
ばいい。当たり前ですね。問題の数が少ないというと、ここは山が当たったなということ
になります。共用の試験の場合に限って、今度は申し上げることに致します。共用試験の
場合は、説明文があって設問があって、絵が付いたりしますが、この絵も随分、各大学か
ら皆さん作って下さいました。しかし、よーく見ると絵の説明が延々と書いてあって、絵
はなくてもいいという問題になったりすることがあります。何のために絵を付けたのか分
からないのもあります。それから、絵が複雑過ぎるなんていうのもあります。とにかく臨
床実習開始前の学生さんですから、あんまり難しい問題である必要はない。それをクリア
した方だけが、臨床実習でもって更なるステップアップをして頂けばいいことになります。
5肢択一で1選択肢ですね。そういうのが共用試験においての客観試験です。そのレベル
に関してですが卒業試験ではないし、国家試験ではございません。△マークが付いてない
10
わけです。ですから、ここでやる試験であるということで、意識して易しくして下さい。
易しいと思って出しても学生はそう出来ないんです。つまり生化学の問題。いくら臨床の
方に振ってあるような問題でも生化学の先生、これ始めていいんでしょって、やってみる
と 55 点ぐらい。ということがしばしばある。但し、これはある程度難しくてもいいんじゃ
ないかという考え方があるんです。何故か。USMLEのステップ1という試験をやって
ご覧になると分かると思いますけども、あれには、かなり難しい基礎的なことが出ていま
す。出てくるんですが、それは、いずれ臨床で役立つことなんです。だから、あいつらは、
つまり、あいつらというのは、つまり海の向こうのあの先生たちは、それをクリアしなき
ゃ、かなりの部分、基礎的な、いわゆる基礎医学の部分をちゃんとクリアして臨床に来て
欲しい。そこが彼らのそこの層の厚いことの原因の一つじゃないかと思います。だから、
これから臨床実習始まるんだから臨床の問題にしているんだよというスタンスでは絶対に
ダメで、ちゃんとベーシックサイエンスに裏打ちされた臨床の知識でなければいけない。
そのためには基礎的な事もしっかり押えないといけないんですが、これをあまり強く申し
上げると、今度基礎先生が張り切って難しい問題が出てきますから、グループの中でディ
スカッションして頂く時には、そこを十分に検討して下さい。臨床の先生がご覧になった
基礎の問題。基礎の先生がご覧になった臨床の問題。そういうスタンスが必要であるとい
うこと。そこをよーく勘案して頂いて、コンセンサスを得て下されば、いい問題が出来る
はずです。それが本当のインテグレーションの問題ということになります。それから、も
ちろん国家試験でありません。だから易しくして下さい。今回のCBT見てても、全国平
均が 55 点とか、60 いかなかったですね。そういうレベルでは、ちょっと気の毒なことでご
ざいます。さて、あと数分でもってさーっと、こういう問題を作ってくださいと申し上げ
ておきます。先ず、CBTの場合には、モデルコアカリに準拠した統合的問題である。だ
けど、それをCBTじゃなくて学内でお使いになって、一向に差し支えない話でございま
す。それから人名の付いたものというのは、かなり重箱の隅になりますから、およしにな
った方がいいでしょう。検査値については、医師国家試験の場合にはアンダーライン項目
は正常値(基準値)を入れないでいいということになっていますけども、CBTの場合に
は別に検査のページが出来ています。そこを開けばノーマルゲージが出てくることになっ
ております。それから6番、中括弧の6ですが、病気の原因について、まだまだ意見が分
かれているものを書けということは、これは特に新しい方、免疫学のあの辺というのは、
かなりディスカッションいたしましょう。そうしましたらば、これはどうなっていうと、
その専門家の先生が、ここはまだ意見が分かれてる。恐らく、この問題を作ったのは、あ
の大学のあの先生じゃないですかっていうぐらい予知しちゃうんですね。そういうのは、
ちょっとよして。それから、あとは社会学系の問題というのは、これは色々です。何故色々
かというと、公衆衛生だとか法医学とかいうのを何年生で学んでいるかというのは、大学
によって差がありますから、色々あるべきでしょう。目安としては、だいたい成功率 80%
ぐらいの問題を作って下さい。実際には 80 いかないです。但し、非常に倫理的な問題とい
11
うのは、これは 100%いかないといけないんです。それが 100%いってくれないと困るとい
うことも、もちろんあります。回答時間1分から2分で解けるもの。それからAtype5肢
択一です。否定形の出題は、出来るだけ避けて下さい。誤っているのはどれか、なになに
でないのはどれか。但し、これは難しいんです。作ってみますと、どうしても肯定では、
これだけ出来ないなというのが出てきます。しょうがなしに否定形にしますが、否定形は、
なるだけ避けるんだということを頭に置いて下されば、よろしゅうございましょう。それ
から言葉、表現については、受験生が兎に角、そこに 1000 人の受験生が居たら、その中で
も一人でも間違った解釈をしちゃう、そういうことがないようにしていけばいいんじゃな
いかと思います。あとは専門用語は、だいたいモデルコアに準拠してください。モデルコ
アカリは日本医学会用語集に割と準拠しています。今回、色々調べて分かったことは、各
学会が用語集を持ってらっしゃいますけども、それぞれ日本医学会用語集との整合性がな
いことが結構あります。それから人名とカタカナとの原語表記の問題ですけれども、国家
試験では、カタカナはありません。横文字だけです。CBTの方は、カタカナを一応書こ
う。そのカタカナも色んな読み方があります。神経内科の先生に伺いたいのは、バビンス
キーですかババンスキーですか。彼はフランスで仕事をしていたんですから、仲間はフラ
ンス人。そうすると彼をバビンスキーと呼ばなかったんですね。ババンと呼んでいた。だ
けど日本の教科書にはバビンスキーと書いてあります。だからバビンスキーが日本では通
称になっていますから、バビンスキーとカタカナで書いて、横文字にバビンスキーと書い
てあります。血管外科の先生にバージャですかビューラですかと伺いますけども、なかな
か意見統一がみられません。ビューラこれも正しいんです。バージャはどうか。これも正
しいんです。何故か。ビューラはオーストリアで生まれてアメリカで死にますから、お墓
はアメリカにあります。そうすると、アメリカで仕事をしていた時にはバージャだったん
でしょう。生まれた時はビャーラなんです。だから、そういう意味でカタカナを書いて、
中に横文字を書いて。次にお薬の名前は、利尿剤なんて書く人がいまだにいます。とんで
もない話です。利尿薬であります。副腎皮質ホルモンを投与したと書く人がいるんですよ。
あれ、ホルモンなんか投与しないですよね。うんと正確な言い方をすれば、副腎皮質合成
ステロイド剤を投与した。それは長いですから、副腎皮質ステロイド薬を投与し。こうい
うことになる。私がどーしても覚えられない。誰が決めたのか分からない。18 歳の綺麗な
お嬢さんは女子なんです。19 歳になりますと、そこで女性になる。僕は、18 歳でも女性で
いいんじゃないかと心情的には思っているんですけど、なかなかそういうふうにはいかな
い。それから才の字を、歳文字にして頂きます。それから3ヶ月を3ケで書く人はいない
はずです。限定句は使わない。ことがあう。書きたいですよね。なになにすることが。サ
マージャンボぐじを持っていて、1億円当たることがある。というのと同じで、ことがあ
るは使わない。それから否定文にはアンダーラインを付ける。これは、次のうち、下記の、
これいりません。それから二重否定しない。これは常識であります。選択肢の長さは、だ
いたい同じにして下さい。ずーと長い選択肢とか短い選択肢がありますが、学生さんは、
12
どっちかが正解に違いないと思います。それから選択肢の順番、これも一応、何らかの順
番に従って下されば結構です。余程困ると、長さの順だとかアルファベットの順だとかい
うことを言っている人がいます。ま、それも一つのある。それから解剖学ですと、頭から
尻尾の方にいくわけですが、あとは、一つ選べというのはありません。今回の共用試験の
場合は、全部5肢択一で一つ選んでではありません。あと棒引きの問題は、何々と何々の
組合せで正しいのはどれかということです。それから、例えば糖尿病の何々は何々である。
糖尿病のこれだけあったら糖尿病は括弧で括ってに出しちゃえということになりまして、
共通語句は設問文にまとめてしまえばよろしいということになります。よく引っ掛かる言
葉として下から2行目、理学的所見なんて書いておりますね。これも、どうも、あまり知
識のない人が言い出しちゃったことでありまして、フィジカルサイエンスを理学的所見と
訳しちゃったんです。本来は身体所見であると。もっと分からないこといろいろあるんで
すよ。それからレントゲンの先生には申し訳ないんでありますが、X線。このへんは常識
程度です。あとは検査の順番がありますけども、国家試験や入試問題とは違いますから、
このへんは割にさらっといっていいと思います。それから、あとはケイの字がどうも、医
学書院という本屋さんでありますが、あそこはもう易しい頚を使います。でも、国家試験
は難しい方の頸を使います。症例問題の場合は文字数、だいたい 37 文字。36∼38 文字で
まとめて下さればいいというわけでございまして、あとはその中に、こういうチェックシ
ートがあれば、それに後で書く。これは学内でももちろんフラッシュアップなさるでしょ
うけど、いいか悪いかということの、こういうものがあれば、それが使えるということで
ございます。というわけで最初の予定より 10 分遅れです。それでは先ずグループ作業に入
って頂きます。
13
全体会議(問題、症例討議)
午後は各グループが作成、訂正した問題を発表し、それを全体会議で斎藤教授の指導下
とともに協議、訂正した典型的問題の主な症例のみを提示し、問題順に要点を記す
問題1.この問題は2連問が妥当。疾患名とそれに対する薬剤の問題に分けるのがよい。
剤→薬に。
問題2.2歳の男児。「の」を入れる。病院に来る前は過去形。病院での事項は現在形。
問題3.順位性、企業、弁護士、家族を含め良い問題です。
問題4.順位性の根拠がない。討議後化学物質から細菌の順序へ変更した。
問題5.主文は当然の知識なので削除。選択肢は割合の順に多いものから変えるべき。
問題6.教科書的には抜歯後微熱、赤沈などなどが良いのではないか。CRP陽性、赤
沈亢進などより実際の数値を記載し受験者に判断させるようにしたほうがより
良い。また選択肢Aに対し選択肢Bが良いのではないかとのグループ意見があ
ったが、選択肢BがMPL(minimum pass level) としては良いのではないかと
の意見があり結論には至らなかった。
問題7.非常に良い問題である。
問題8.写真を提示したらもっと良い問題となるでしょう。
問題9.基本的問題
問題10.選択肢で A-B と C-E では異なる。治療法、診断に選択肢をまとめること。
問題11.コアカリにあうのかどうか。コアカリの△では?
問題12.臨床につながる選択肢にする。そのため肯定に変える。選択肢の中で漢字の
みの選択肢はやめる。
問題13.肯定文に変更。すべての選択肢に「その臓器の」があり、それを主文に含め
ると簡潔になる。
問題14.主文と副文を簡潔に。この問題では主文と副文を一緒にできる。
問題15.病理像を写真で提示し治療を設問する、とすればより良い問題。国試程度の
問題かもしれないが。
問題16.副文を簡潔に。
問題17.B の設問で2つのファクターがいっています。点眼薬は滴数と薬効には関係な
いといいたいのか、1−2滴でいいと言いたいのかが受験者にはわからない。
どちらでもよければ点眼薬は1−2滴でよいと言う選択肢が良いでしょう。
問題18.最近というあいまいな表現は避けること。ファイバーよりファイバースコピ
ーがよい。
問題19.主文必要ないので削除。
「低下する」という設問がダブッているので副文を低
下しないのはどれかに変更して、選択肢の低下を削除する。
14
問題1
主文: 40 歳の女性。発熱とともに、左頬部に突然境界明瞭な浮腫性紅斑を生じてきた。
局所の熱感、圧痛が強い。採血では白血球数の増加(左方移動を伴う好中球増加)、CRP
値の上昇がみられたる。
副文(設問分)
: この患者に関し、正しいのはどれか。
選択肢
A
帯状疱疹が考えられ、抗ウイルス剤薬を投与すべきである。
B
丹毒が考えられ、ペニシリン系抗生剤抗菌薬を投与すべきである。
C
単純疱疹が考えられ、抗ウイルス剤薬を投与すべきである。
D
伝染性膿痂疹が考えられ、セフェム系抗生剤抗菌薬投与すべきである。
E
アトピー性皮膚炎が考えられ、副腎皮質合成ステロイド剤薬を外用すべきである。
0
2連問にしたほうがよい
問題1
A
帯状疱疹
B
丹毒
C
単純疱疹
D
伝染性膿痂疹
E
アトピー性皮膚炎
問題2
A
抗ウイルス薬
B
ペニシリン系抗菌薬
C
抗真菌薬
D
セフェム系抗菌薬
E
副腎皮質合成ステロイド薬
15
2
②
0
0
問題2
主文:2歳の男児。が、2時間前に自宅で転倒し、机に顔面部を強打し、前額部の変色と
腫脹を主訴に受診した。受診時、前額部に暗紫色の血腫を形成し、同部に圧痛を伴って号
泣していたる。小裂創があり、一旦止血するしたが、血餅血塊がすぐに崩れて再出血した
する。
出血の原因として考えられる病態は下記の中でのはどれか(25)
A
血小板障害
0
B
凝固系障害
②
C
線溶系障害
1
D
血管の異常
0
E
抗凝固因子の存在
2
問題3
主文:満60歳の男性。企業の会長職にある。耐え難い疼痛のために来院し、検査の結果、
末期癌と診断される。入院治療を行っていたが、病状は進行し、植物昏睡状態となった。
その際始めて会社の顧問弁護士から延命治療を拒否する本人の書状が示された。
副文:医師の行為として正しいのはまずとるべき行為はどれか。
選択肢
答え
A
企業の意思確認
1
B
弁護士の意思確認
0
C
家族の意思確認
②
D
死期を早めるすべての薬剤投与の中止
E
心肺蘇生の不適応
0
2
16
問題4
主文:水道法による水質基準で検出されてはならないと定められているのはどれか.
選択肢(前)
答え
A
水銀
0
B
総トリハロメタン
0
C
一般細菌
0
D
大腸菌群
②
E
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
0
選択肢(改正後)
A
水銀
0
B
総トリハロメタン
0
C
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
0
D
一般細菌
0
E
大腸菌群
②
問題5
主文(説明文):
ヒトを含む多細胞生物では、減数分裂と接合という複雑な過程を経て、新たな個体を作り
出す。この有性生殖という仕組みは、2種類の性細胞が出会うまでに時間を必要とし、随
分非効率なものである。しかしながら、この有性生殖の仕組みは、病気に対して非常に有
効なシステムと考えられている。
副文(設問文)
:
-サラセミア(貧血症)が発症している父親と発症が見みられない家系の母親との間で生
まれる子供の発症頻度はどれほどになるか。
選択肢
答え
A
全て発症する。
0
BE
全て発症しない。
②
CB
発症と非発症は同じ割合になる。
1
DC
発症3人に対し非発症1人となる。
0
ED
発症 1 人に対し非発症3人となる。
0
17
問題6
主文(説明文): 32歳の男性。生来健康であったが2週間位前よりから発熱を伴う倦怠
感が認められ、あり受診した。初めて新雑音を指摘された。胸部聴診で心雑音を認める。
胸部エックス写真上、心拡大と肺うっ血像がを認められたる。白血球数の増大増加とCR
P陽性の所見がみられたる。心エコーによる検査上、僧帽弁に異常エコーが認められたる。
次第に呼吸困難など自覚症状が増強している。
副文(設問文)
:以下の中から正しい診断を選択しなさいはどれか。
選択肢 A
答え
A
僧帽弁閉鎖不全
1
B
うっ血性心不全
1
C
急性心筋梗塞
1
D
感染性心内膜炎
②
E
肺塞栓症
0
選択肢 B
A
僧帽弁閉鎖不全 心タンポナーデ
1 0
B
うっ血性心不全 胸膜炎
1 0
C
急性心筋梗塞
0
D
感染性心内膜炎
②
E
肺塞栓症
0
問題7
主文:62 歳の男性が。病院内の廊下で突然倒れ、みるみる顔色不良となった。真っ先に駆
けつけたのは医学生であるあなたである。一番最初にすべきことは何か。?
答え
A
「大丈夫ですか?」と声をかける。
②
B
自発呼吸の有無を確認する。
1
C
周囲の人に大声で知らせ、助けを求める。
2
D
口対口人工呼吸を行なう。
0
E
心臓マッサージを行なう。
0
18
問題8
主文:38 歳の女性。1年前から両手首、左膝、及び右足首の関節痛と腫脹があり、時々37℃
の微熱があるため受診。来院時、左手首と左膝に腫脹と熱感を認めたる。皮膚、や粘膜に
は異常がなかったい。手のXエックス線検査で、写真を図に示す。左手根骨に2か所の骨
破壊を認めた。
副文
最も考えられる疾患はどれか。
選択肢
答え
A
ベーチェット(Beh et) 病
B
関節リウマチ
②
C
全身性エリテマトーデス(SLE)
1
D
変形性関節症
0
E
感染性関節炎
0
0
問題9
主文:ある細菌から DNA を単離し、アデニンの含量を調べたらると 28%であったある。シト
シンの含量はいくらか。
選択肢
答え
A
20 14%
0
B
22%
②
C
24 28 %
D
26 44%
0
E
28 56%
0
0
19
問題10
主文:18 歳の男性。バイクを運転中に転倒し、左側頭部を打って直後に意識消失した。救
急車で搬入された。搬入時、血圧は 180/80mmHg、心拍数は 50/分、呼吸はチェーンスト
ークス呼吸。意識レベルは Japan Coma Scale の III-100 であった。瞳孔径は左3mm、右2
mm であった。頭部 CT 写真を図に示す。
副文:頭部 CT 写真を図に示す。 正しいのはどれか。
選択肢
答え
A
開頭血腫除去術を行うべきである。
②
B
穿頭血腫ドレナージを行うべきである。
2
C
血腫は右側にあると思われる。
1
D
中硬膜動脈が血腫の出血源となりやすい。正中偏位は認められない。 0
E
血腫は被膜につつまれている。血腫は脳内にある。
0
問題11
主文(説明文)
硬膜外麻酔について正しいものはどれか。
選択肢
A
脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔)に比べ麻酔後に頭痛が起きることが多い。
0
B
脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔)に比べ局所麻酔薬の使用量は少ない。
0
C
硬膜外腔穿刺に際し髄液の逆流がなければくも膜下穿刺ではないと判断できる。2
D
麻酔範囲は投与された局所麻酔薬の比重に依存する。
E
挿入したカテーテルより薬剤を投与することでカテーテルを留置することで術後鎮痛
1
に用いることができる。
②
問題12
主文:IgE の結合により肥満細胞で合成・放出される物質でないのはどれか。
選択肢: A ロイコトリエンアセチルコリン
0
B トリプターゼ細胞外基質分解酵素 γアミノ酪酸
0
C インターロイキン4ヒスタミン
②
D インターフェロンγ
0
E 血小板活性化因子(PAF) IgG
0
20
問題13
主文:ある臓器を栄養している小動脈が収縮した.このときに起こってくる事象で誤って
いるのはどれか.この臓器で増加するのはどれか。
選択肢:
答
A
その臓器の血流量の減少.
0
B
その臓器内の毛細血管血圧の減少.
0
C
その臓器から出る静脈血中の酸素含量の減少.
0
D
その臓器から出る静脈血中の炭酸ガス分圧の減少.
②
E
その臓器から出るリンパの流量減少.
1
問題14
主文:大脳基底核は左右の脳の皮質下に存在する3つの大きな神経核である尾状核、被殻
および淡蒼球と、これらと機能的に関係している視床下核および黒質からなるは、大脳皮
質や視床との間で神経連絡のループを形成している。
副文:大脳基底核の主な上記の神経核の生理機能は次のうちどれか。
主文と副文をまとめての問題文:尾状核、被殻および淡蒼球の生理機能は次のうちどれか。
選択肢
A. 短期記憶の形成
0
B. 神経内分泌の統御
0
C. 随意運動の計画
②
D. 体性感覚情報の統合
0
E. 自律神経機能の統御
0
21
問題15
。健康診断で肺門リンパ節腫大を指摘され来院した。経気管支肺生検で
主文:27 歳の女性,
非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が証明された。(経気管支肺生検の病理所見である:写真を用い
たほうがよい)
副文:直ちに副腎皮質ステロイド薬全身投与のが必要性を考慮すべきな所見はどれか。
選択肢
答え
A. 心電図上の房室ブロック
②
B. ぶどう膜炎
1
C. 皮膚結節
0
D. 胸部レエックス線写真びまん性すりガラス陰影
1
E. アンジオテンシン転換酵素(ACE)高値
0
問題16
主文:40歳、の男性。商社の営業マン。一1日中、靴を履いて歩いている。十 10 年まえ
よりから、両側の足底に2cm大の硬い「たこ」ができており、時々、取っているが再発
する。最近、痛みを感じるようになった。
副文:疾病の原因としての外因が生体に加わった場合、生体は、次のAからFまでの反応
を示す。この場合は、この生体側の反応はどれに相当するか?
選択肢
答え
A
代償
0
B
修復
1
C
適応
②
D
退行
E
腫瘍
0
1
22
問題17
主文:薬剤の投与に関してついて、誤っているのはどれか?。
選択肢
答え
A
小児薬用量は体表面積を指標にして算出するのが一般的である。
B
点眼薬は点眼滴数と薬効には関係がないので、1∼2滴点眼すればよい。点眼薬の点
眼滴数は 1∼2 滴でよい。
1
0
C
乳児に散剤を与える際は、ミルクに溶かして飲ませるのがよい。
D
乳幼児に内服薬を与える際は、満腹時は避けた方がよいる。
0
E
乳幼児への解熱薬の投与は、坐剤を用いることが多い。
1
②
問題18
主文:37歳の女性。民謡歌手。最近3か月前から嗄声を自覚し改善しないため、近医耳
鼻科を受診した。咽頭反射が強く間接喉頭鏡検査では観察できなかった。
副文:次におこなう検査として正しい適切なのはどれか。
A
音響検査
1
B
軟性喉頭ファイバースコピー
②
C
下咽頭・食道ファイバー 頸部 MRI
0
D
気管ファイバースコピー
1
E
胃カメラ Ga シンチ
0
問題19
主文:高齢者における疾患の治療には薬物療法が選択されることが多いが,高齢者では加
齢に伴う臓器機能の変化により薬物の体内動態や薬理学的反応性の変化が予想される。
副文:次のうち,高齢者の加齢に伴う身体機能の変化のうち誤っているのはどれか
しないのはどれか。
A
胃内液pH は低下する。
B
心拍出量は低下する。
C
総水分量体液量は低下する。
D
腸管運動は低下する。
E
肝での代謝酵素活性は低下する。
答え
A
23
低下
特別講演
これから私が申し上げますことは、終わった試験をどう処理していったらいいだろうか
ということです(配布資料ページ21−27)。つまり試験問題の良否を判定するにはどう
すればいいかということでございますが、まず一つは難易度、正解率、それから識別指数
ですね。難易度、正解率というのはご承知のように理想論から言うと数学者、数学をやっ
てらっしゃる方はだいたいその問題は6割から6割5分ぐらいできるのが処理上、算数で
処理する上では望ましいんだということをおっしゃいますが、これを事前になかなか調整
することは難しいですね。教員はこれは8割できるだろうと思って出しても学生さんは5
割しかできなかったというようなこともしばしばあります。正答率が 0.2 だったとすれば、
それが五肢択一問題であれば、これはエンピツ転がしてどれからあたれば 0.2 の確率で成
立しますから。それから正解率が 10 パーセント未満だったことは、これは欠陥の問題であ
る可能性もありますし、あるいは欠陥受験者であるかもしれません。
もう一つ判定の材料としては識別指数(φ)というものがあります。識別指数というの
は、これは試験全体の個々の問題という、試験が終わった時に成績上位者と下位者に分け
て、成績全体の試験が良かった、例えば 100 人、200 人の受験生がいて、その上位 50 パー
セント、ないし 25 パーセントの諸君が間違えた問題というのは、これは問題に問題があっ
たろうと。逆にできなかった 25 パーセントの人が正解をした問題というのは怪しげな問題
ということになります。そこで識別指数はどうやって出すかというと、面倒くさい計算式
と簡略化した式があります。Φ=a-b/n という式、これはやって下さるとおわかりになりま
すが、この識別指数というのは1と−1の間での数字が出てきます。識別指数がマイナス
だということは、これはどういうことかと言うと、成績の悪い人達ができた問題で、成績
の良かった人ができなかった問題ということになります。母集団が 200 以上と 200 以下で
25 パーセントでやるか 50 パーセントでやるかということになるでしょう。識別指数が 0.5
以上の問題というのはまれであります。実際CBTの試験も全部識別指数を見ております。
それから正答率も見ております。識別指数が 0.15 より上であればいいだろうというふうに
思っています。0.15 以下の問題というのは問題に問題がありますが、そこで切りますと使
える問題がどんどん減ってきますので、トライアルの段階では識別指数がマイナスになる
問題は外しております。つまりそれはプールしていない。手直しをしようじゃないかとい
う声があがっております。
識別指数と正答率から考えますと、例えば問題1というのは正答率が 92 パーセントだっ
たということです。正解は星印かついています。これが各選択肢の 92 人の人ができた。こ
れはどういうことかというと易しすぎるということになります。そのために識別指数もか
なりあやしい。問題2は正答率が3パーセントだった。Aにつけている人が 92 人で、Bに
つけている人が3人いたと。これはおかしいぞと思って出した教員に聞いてみますと、私
が正解をつけ間違いました。本当はAだったのですよ。これが一番多い。それから例えば
24
問題3のようなのも時々ありますね。BもCもほとんど正解なのです。つまりこういうの
を見た時はかなり用心をして問題を見直さなければいけない。つまり難易度に差があるの
ではなくて両方とも正解だった。つまり正しいのはどれか2つ選べ形式のX2問題だった。
こういうことが時々あります。それから問題4は、これは殆んど並列です。これは問題そ
のものに問題があるのです。あとは例えば識別がマイナスになるとですね。こういうのは
ちょっと困りものでありまして、どうも採用に値しないことになります。そういうわけで
これらのことから問題の良否を判定いたします。そうすると Key validation と言いますけ
ど、P が低くてΦも低い問題はどうもプール問題として不適切であるといってはずします。
それからPが低い、けれどもΦはいいじゃないかということになってまいりますと、これ
はその問題をいちいち見まして、除外するかしないかということを一つ一つ決定をしてプ
ール問題にするかしないかを決めます。こういうことが Kew validation として終わってか
らやらなければならないことであります。
次の問題を申し上げます。次に 60 点でよく線を引きますね、合否の。あれどうして 60
点なんでしょう、ということです。最低合格水準。つまりミニマムパスレベル(MPL)。
Nedersky の方法、Ebel の方法 Angoff の方法いくつもございますが、先程皆様が②、2、
1、0というふうに選択肢つけてい下さいましたが、あれは本来は問題をつくる人がつけ
なくていいことです。あそこにのっているのは作った方の意見を聞くためにあれをつけた
のです。つまりお作りになった方は②が正解ですね。それから合格できる最低許容の方々
が間違ってもしょうがないなと思うのが2、1のラインである。ゼロというのはもうダメ
というのがゼロ。あれは本来作成者がつけるのではなくて、複数のジャッジがそれぞれの
問題と選択肢を見て、この選択肢は合格者が間違ってもしょうがないなというのが普通の
2にします。そういう処理をするための数値です。それは本日お配りしております資料の
23 ページにそのことが記載してあります。それから Angoff の方法というのもあります。
Ebel の方法というのもあります。これも Nedersky の方法もそうなんですけど、結局は複数
のジャッジの方々が皆さんご相談いただいて、それでやっぱりこのくらいだったらば進級
させていいかとか、あるいはこれはちょっと無理だよというラインを皆の意見をどうやっ
て数値化にして線を引くかという方法に過ぎません。ですから当然そのジャッジの質、ク
オリティによってMPLというのは違ってまいります。MPLは違って当たり前のことな
んです。そのことが基本になっていますから、コールデンスタンダード 60.0 なんてものは
全く根拠がありません。ですから昔の学則では 60 点に満たなければ進級を認めないとか残
っているところがございましたけど、それはもう駆け引きのような状態です。
これから実はやっていただきますことは、修正イーベルという方法をご説明申し上げて
おきます。どういう方法かと言いますと、修正イーベルという方法はジャッジの方々、複
数でなければいけませんが、問題をお配りいたします。今回は皆様の資料の中に第 90 回医
師国家試験の問題を 20 問のせております。それを修正イーベルでやっていただきます。で
修正イーベルというのはどういうことかといいますと、この問題を1題ずつご覧いただき
25
まして、ナンバー1の問題は必要度はどうだ、必須だろうか、重要だろうか、疑問だろう
か、難易度はどうだろう、易しいだろうか、それとも極めて難しいだろうか、中くらいだ
ろうか、その3つのマトリクスに分類していただきます。だけど必須で困難だという問題
はありえない。そこのところは斜線になっております。ジャッジの方々には必要度・難易
度を分類転記していただきます。そうするとこのOHPの下の表みたいに問題1は重要に
して平易である。問題2は必須である。しかしちょっと難しい。こういうふうにチェック
を入れていただくわけです。つまり多くのジャッジの方々の参加が大切なんですね。単数
じゃダメですね。複数。それからジャッジの方々を basic science の方々ばっかりを連れて
きますと、当然臨床系の問題というのは皆いらないと。ですからジャッジの質が非常にも
のをいう。例えばそれができましたらば、必須で平易な問題というのは1番もそうだった
5番もそうだった6番もそうだった9番もそうだった、そうするとトータルで4問あった。
カッコの中に問題数を入れて下さい。これができましたら、今度は表3計算表の真ん中の
期待正答率というのをご覧下さい。ここでは必須で平易な問題というのは対正答率は8割
です。必須で中くらいは7割。必須で困難ではないかなというのはありません。この問題
は疑問だよ、おまけに難しいよというのは低くして 0.3 にしております。つまりここはこ
ういうふうに傾斜がついております。問題数と期待正答率をかけてそれを全部足しますと、
このジャッジの場合は 12.3 です。20 問やったわけですけど、20 問で 12.3 と出たら何パー
セントだろう、61.5 だ。このジャッジはこの試験のMPLを一応 61.5 にしたというわけで
す。そこで今皆様のお手許に第 90 回の試験問題が 20 問あります。これをちょっとやって
みて下さい。
まあだいたい 60 点台というようですね。優しい先生はMPLを低く、このくらいとれて
いればいいだろうと。非常に高い水準を要求する先生は決して 60.0 にはならないわけです。
これはグループの中でいろいろ拝見しますと、個人で 58.9 という方もいらっしゃるし、70
点なんぼという方も、かなりバラバラになります。そういう時の点調整の一つの資料にな
るというくらいのもので、これがゴールデンスタンダードというわけではございません。
つまり試験の合格のレベルというのは皆で相談してやってみても絶対 60.0 丁度に全員がな
るわけではない。ですから 60.0 とらなければ合格と不合格と言うのはちょっとおこがまし
いところになります。これが修正 Ebel の方法ですけど、ここで言う期待正答率というのは
これは皆で相談して決めるべきものでございまして、Angoff の方法なんかもそうですが、
Angoff の場合は最初に例えは 10 問を全員でやってみましょうと。問題を見てこれは期待正
答率だよね、と言うことをやってそれから入っていく。あと手分けしてやる。そうすると
そこでだいたいあるレベルがでてくるというのはこの方法でありまして、この方法はあく
まで絶対的なものではなくて目安になるというところだけにしておけばよろしいと思いま
す。それで実は私 100 問、94 回の問題を 100 題もらってきて日本中の教授の方々にお願い
して、1枚はあなたがやって1枚はあなたがやって、つまり1人3枚ぐらい渡しまして中
堅の卒業して6年ぐらいの先生にやってもらいました。それから今年受かった人にやって
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もらいました。そしたらどういう結果がでたかというと、今年受かった人は平易で重要な
ものとなりました。教授の方々にやってもらうとどうなるかと言うと、自分の専門領域に
ついては必須で平易。自分の専門領域以外のところは疑問で困難。でもそういういろんな
母集団でやって平均しますと 63 点。こういう方法が一つあるというのを知っておいていた
だけばよろしいと思います。
最後のセッションですけど、今後どういうふうなタイプの問題が出てくるかということ
についてちょっと申し上げておきますが、2連問、4連問というのが出てまいります。2
連問の場合臨床初見があってその後に病態生理をつけるというタイプでございますね。た
だし設問1を回答してから、あ間違っていた、病態生理のところを見ているうちに自分の
答えが間違いだということがわかった、戻ろうといって戻れません。当然そこで basic
science と臨床的なこととの両方をやることができる。4連問も全く同じです。問題の形式
は全て基本のAタイプでございます。ですからお作りになるのはある意味でわけのないこ
とと、こういうふうに実際にこれは臨床の場合ですけどここまでは臨床検査が入り、ここ
で病態生理を問う、あるいは生学的なことを聞いてもいいですね。これが4連問の思想で
ございます。
その次にもう少し新しい事を申しますと、私達がRタイプと呼んでいるものでございま
す。それはどういうのかというと、例えばRタイプというのは選択肢が同じであって設問
の量が異なっている。つまり日本のうちの市のうちでここにいくつかある。Aから始まっ
て、ここではAからと書いてありますが、アルファベットの大文字でも小文字でもいいで
すが、26 まではいきつくわけです。こんなにあると大変です。10 から 20 ぐらいの選択肢
を先におきます。それで設問、人口が最も多い都市はどれか。つまり本来今までのスタイ
ルですと設問があって選択肢がある。でも選択肢の数はうんと増やすことができます。で
火災が多いのはどこか。この下に選択肢が入ってくるのと同じ。標高が高いのはどこか、
湿度が高いのはどこか、平均気温が高いのはどこか、市民権が高いのはどこか、美人が多
いのはどこか、そうやって聞けばいいわけでございます。それからここで書いたのはネフ
ロンの絵です。そうすると右の絵はネフロンの絵である。ネフロンを塗り示せ。で設問。
ゆっくり
薬が作用する部位はどこか。それから具体的な名前を聞いて輸入細動脈はどれ
か、糸球体はどれか、そういうふうに聞いていく方法があります。これをRと呼んでいま
すけど、英国では EMI (extended mtaching items) と呼んでいます。これはMCQでいう
Rタイプと同じなんですけどEMIですね。これはさっきの多肢選択式の試験と論述試験
のあるファクターとをできるのでどうもこの方がMCQよりいいんじゃないか。それとな
おかつ客観試験ですから答えは前から決まっている。機械で採点してもいいということに
なります。これには4つのファクターから成り立っていまして、一つはテーマ。それから
オプションリスト。さっきの選択肢、A、B、C、D、だいたい 10 から 20。それから問題
の導入部分ですね。診断はどれかなんてのも導入部分。それから問題が並んでいます。だ
いたい記述の場合4問以上でやっています。これはどこがいいだろう。単なる想起ではな
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くて判断や解釈の問題がわりに作り易いということがございます。それから選択肢が5つ
に限られませんから、ズラズラ並べられます。それからリストラクター、迷う場所は沢山
ある。あの5つの選択肢でもってああ4つあるんだけど5つめないな、なんて悩まなくて
すみます。作問は楽です。ですからこういう場合にはもういちいち使わないんだって言っ
てますし、彼等は4問以上選択肢が 10 から 20 でいけると。3時間で200問やらせると
言うふうに書いてあります。そこの例を拾っていきましたが、とてもとても難しくて僕に
は解けませんでした。これはどうやら眼科かなんかの専門医の問題だったらしい。テーマ
は眼瞼下垂ですね。眼瞼下垂をきたすのがAからNまで並んでいます。最も適切な診断は
どれかと言っているわけです。そこでその下に選択肢は沢山あるんですが、問題は4つし
かありませんでした。25 歳の女性で 10 年来の進行性ので眼瞼下垂になる全ての眼球運動が
障害されている、diplopia はない、色素性網膜症はある。これはさっきのこっちの何でしょ
うと、こうなるんです。それから例えば 40 歳の女性、自己免疫性甲状腺機能低下症の既往
がある。非対称性の眼瞼下垂がある、複視がある、最近嚥下困難があるというわけです。
これは何かというと正解1で myastenia gravis ということです。で 50 歳の男性が突然有
痛性の第三脳神経麻痺が生じた。随分難しいですね。これ僕全然できませんでした。60 歳
の男性ヘビースモーカーである。軽度の急速性の眼底下垂とばち指がある。ホルネルです
ね。これがRタイプというタイプでありまして、今度のCBTの第3回目のトライアルに
こういうタイプを今作っています。ルールを一定というのはせっかく作ってきても皆で揚
げ足をとりあって、これはダメだ、お前の不採用だ、なんてことを言ってやっていますが、
どのくらい使える問題が出来上がるかまだわかりませんが、これについてはまだ各大学へ
の作成依頼をしておりません。日本の大学でこれの経験をもってらっしゃるところが少な
いんです。ある大学でちょっと使ってごらんになったというところがあるんですけど、こ
れが果して普通のいままでのAタイプとどの程度相関があるのかというデータがまだとれ
ていないんです。ただイギリスではMCQはだめだといってますからこういう方向に走る
と思いますし、先般CBTにこれを入れましたら、当然国家試験にこういう問題はどうか
という話もでてきてまいりました。そこではどっかでトライアルでやってみようかという
話になっております。やってごらんになると確かに作り易い。それからAからNまで、N
までいりませんから、まあ5つよりは多く、10 個ぐらい並べることは可能でございます。
それがRタイプという問題になります。さてそういうわけで最初に私がお話申し上げまし
たように、これで今日皆様はこれだけのことができるようになったというわけでございま
す。作成した客観試験問題の良否の判定。ですからもうこれからは学内問わず客観試験問
題の、ここにいらっしゃる方はエキスパートになられるというわけでございます。採択率
がどうかなど心配する必要が無いと思います。本日はどうもありがとうございました。
最後に学長の方からご挨拶をお願いします。
どうも今日1日大変お疲れ様でございました。大変勉強になったんではないかと思いま
す。私も問題を作るのにもいろいろルールがあるというのをはじめて知りました。今日の
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経験を生かしていい問題を作っていただきたいと思います。それから今日お見えいただい
た方は各講座を代表して来てもらいましたので、帰られましたらまた他の人に是非これを
教えていただきたい。教えると一段と自分もよくわかるのではないかと思います。徹底さ
せていただきたいと思います。先生どうもありがとうございました。
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あとがき
「客観試験問題作成に当たっての基礎知識の解説」「その問題の良否の判定としての修正
Ebel 法の解説」を医学教育ワークショップとしての講演を斉藤教授にお願いしたのは時機
を得た企画であった。今回の企画は CBT の問題採択率が悪いことが発端であるが、それ以
前に教官で問題作成のイロハを知っているひとは少なかった。問題作成の基本は受験生に
分かりやすくであろう。午後のワークショップで作成問題の討議の部分は全部の症例を記
載することは不可能であった。議論が伯仲した症例、勉強になる症例を掲示したので了解
願いたい。分かりやすく提示したつもりである。今後の問題作成に参考になれば幸いであ
る。今回の企画で、問題の良否の判定方法があるのを知り大変参考になった。問題作成を
依頼すると、極めて難しい問題が送付されてくる。同じ講座の人に尋ねても難しいという。
「こんな難しい問題は学生には無理ですよ」といっても、「これは講義で教えました」とい
われるとその問題は削除することは出来ず、試験問題として出すことになる。結果として
点数は悪い。今までは点数が悪いとき単にゲタをはかせて取り扱っていたが、今回のワー
クショップ参加により、どの問題が良否という判断基準が出来るようになると思われる。
第二部の講演とその資料に立脚した問題作成により、より適切な問題が増加することを期
待したい。最後にこの企画に参加されなかった人にこのワークショップ報告書が参考にな
れば幸いである。
地域医療科学教育研究センター
地域包括医療教育部門
酒見 隆信
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