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戸建住宅地計画の事例とその妻

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戸建住宅地計画の事例とその妻
戸建住宅地計画の事例とその評価
私のたずさわゆた民間団地から
はじめに
昭和40年代から本格的に始まった宅地開発
ご承知のように住宅地は開発地の選定、土
も、30年余を経てひとつの曲がり角にきてい
地の取りまとめ、マスタープランの作成、各
る。高度経済成長と土地神話にもとつく開発
種の許認可、造成工事、建築工事、販売分譲、
はここに来て先行きが見えなくなってきてい
入居と長い年月を経てようやくできあがる。
る。民間開発はもとより一見マーケットとは
もちろん完成してからも様々な人が長く住み、
距離をおく公的な開発もその存在を問われる
その人たちも代が変わり、住宅地は永久に生
ことになってきた。この間開発されストック
き続ける。既成市街地と違って将来とも再開
された住宅地は、量こそ数の上では十分に満
発されることもほとんどない。したがってあ
たされたが、まだまだ個々の質と同時に住宅
る時点での評価は必ずしも絶対的なものでは
地としての魅力は欧米の先進国に比し貧しい
なく、そのことは世界中の街が時代に応じそ
といわざるをえないのは衆目の認めるところ
の評価を変えているのを見ても明らかである。
である。その間、大都市圏の住宅地の供給方
しかし、もう少し時間を絞り、あるいくつ
法の中心は、宅地分譲から住宅宅地分譲(建て
かの観点から評価を試みることは可能であり、
売り分譲)へと変わり、住宅地のアメニティ空
それなりに意義もあることとおもう。ただし
間の充実や、街並みの良さが問われ様々な試
あまりにも観点を絞り込むことは、それなり
みがなされた。
の意味はあるものの、街づくりをトータルに
特に昭和49年ツーバイフォー工法がオープ
みた場合少し一方的に思える。たとえば民間
ン化され、同時にタウンハウスの計画手法が
事業であれば結局売れ行きはどうだったか、
北米から移入され、住宅金融公庫のモデル団
プロジェクトとして利益がどれほどあったか
地制度の創設の中で、日本でもコモンエリア
が過大に評価されるきらいがある。また計画
のある団地が各所で試みられたり、オランダ
者や設計者は新しいアイデアがどれだけ提案
のボンエルフや西ドイツのボーンシュトラッ
されているか、人目を引くデザインの住宅や
セなどの歩車共存道路の影響で、コミュニテ
街並みができたかに関心を寄せ、その評価に
ィ道路が市街地を中心にいろいろ試みられて
とらわれがちだ。また居住者の評価が一番正
きた。また、イギリスの田園都市に学んだ戦
当に思われるが、評価そのものが一部の意見
前の街づくりや古い伝統的な日本の街並みの
の場合もあったり、狭い意味での資産価値の
研究などが再燃した。しかし、バブル経済に
増減に関心を寄せたり、いわゆるサイレント
のって造られた日本では不釣り合いな「魅力的」
マジョリティの声も含め長期的客観的な評価
な団地が挫折したのが象徴しているように、
をしてない場合がよくある。
コストをかけたいろいろな試みは退えいし、
住めば都というように、居住者の住み慣れ
資産価値の上がらないなかでの真の住宅地づ
ることによる安心感や、少しでも住み良いよ
くりが問われている。
32
のなかった街もその後良くなる場合もある。
が街づくりにたずさわった民間事業者による
それほど街を評価するのは難しいことである。
住宅地の提案とその評価を、様々な観点から
さて、本稿では入居してから概ね5年以上
論じ、あわせて今進行中のプロジェクトを紹
たった団地を対象に次の4つの観点から住宅
介し、今後の街づくりへの若干の提言をした
地を評価しようとおもう。
家とまちなみ36−1997.9
侮
うに改善する努力が働き、当初たいした評価
本稿では、こうした背景をもとに主に筆者
いとおもう。
、
■
①居住者の評価
聾ミュニテイ道路
機能的、美的評価
資産価値、流通価値としての評価
ニュータウンにおける幹線道路は、住宅地
維持管理評価
の真ん中を通っているにもかかわらず、一般
②計画・デザイン的評価
的に大型車通行可能な道路になっている。開
道路公園計画、アメニティ計画の提案
発許可基準では20ha以上の開発における幹
③行政的評価
線道路幅員は12m以上となっていたが、道路
行政指導の新しい解釈、帰属と維持管
構造令の改正にともない車いす対応や、植樹
理方法
帯設置を考慮し新たな基準は幅員14m以上と
④事業的評価
なった。いずれも車道幅員は7mである。
販売状況、適正利益、宣伝効果
郊外の開発では交通手段の確保がまず第一
1947年横浜市生まれ。
住宅地の評価はたとえ①∼③まで良い評価
でありバス路線開設が急務である。発生交通
1971年早稲田大学建築学科
を得ても、売れなければゴーストタウンにな
量から考えると、朝のラッシュ以外は容量的
卒業。1973年同大学院修
り事業は中止され、結局計画の見直しがなさ
には間に合うが、バスルートとなれば広幅員
れ、どんな卓越した計画も事業としては完結
道路は必要であろう。しかし、周辺の道路が
されない。事業が推進され新たな評価の高い
未整備な場合バイパスとして機能し、ひどい
及び公共建築の計画設計を
住宅地が建設されるためには、最終的に爆発
ときには周辺開発の工事車両やダンプのルー
担当。1975∼76年西欧の
的に売れなくとも継続的に販売され、収支的
トになる場合がある。筆者のたずさわったプ
都市及び建築を視察。
にも赤字にならないことが重要だ。街並みを
ロジェクトでも悲しいことにこうしたことに
魅力的にするため、多くの公共施設用地を確
よる交通事故の犠牲者をだした団地がある。
及び一戸建て住宅、集合住
保し宅地率を著しく低下させたり、各宅地を
幹線道路を利便性を損なわず、いかにして安
宅、関連施設設計を担当。
必要以上に大きくし、造成コストをかけるこ
全に居住者中心の道に復権するかは、街づく
主に担当したプロジェクト
とにより価格を上昇させ、結果的に売れ残り
りにおいて大きな課題となっている。ここで
や事:業の圧迫をまねくことは街づくりが成功
は安全な道として通過交通を排除するだけで
アー再開発基本計画、鳩山
したとはいえない。もっともあまり短兵急に
なく、公園や中心利便施設を有機的に結び、
ニュータウン全体計画(埼
判断することは危険だが、長期的に改善され
道路自体を住宅地のアメニティ空間として心
玉県景観賞)、市原緑園都
ないのなら事業主体そのものの解体につなが
地よい道とした例を紹介する。
’、
藤田淑宏
(ふじた よしひろ)
アーキ・アイ計画事務所
代表取締役社長
士課程修了。同年佐藤武夫
設計事務所入所(現佐藤総
合計画)再開発、地域計画
1976年日本新都市開発(株)
入社。ニュータウンの計画
量、
c㍉
1)の開発や運営を見ると、事業的成功と魅力
ある街づくりは密接な関係にあることが読み
とれる。
基本計画、仙台青葉スクエ
市住宅街並み計画(千葉県
街並み景観賞)エステアベ
ることさえある。イギリスのニュータウン経
営や、アメリカの民間による大規模団地(写真
筑波研究学園都市研究団地
ニュー所沢全体計画(埼玉
イ)住宅地のシンボルロード
県景観賞)、南栗橋豊田地
実例’土ステアベニュー所沢
区住宅街区設計(埼玉県景
備玉県所沢市、写真2、図1㍉、3)
グリット状に整然とした街区ブロックの中
観賞)、ウッドパーク四季
の丘住宅街並み計画(千葉
県街並み景観賞)
心を東西に蛇行した幅員10m道路を通したも
ので両側に街路樹を植え全体をタイル舗装し、
歩車道は一体化しわずかにボラードだけで仕
切ったものである。さらに進入路車道幅員は
5mに絞り通過交通を排除し、道路の変曲点
には児童公園を配し一体化した。この道路は
まさにこの住宅地のシンボルであり、レンガ
づくりの高級輸入住宅が両側に建ち並んでい
写真1 アメリカの高級感のある街なみ
義
鰍一
o
今回は筆者がかかわった住宅団地を中心に
様々な試みを紹介し、それがどう評価された
かを述べ、あわせてその改良点にも言及しよ
うとおもう。
写真2 エステアベニュー所沢・シンボルロード
家とまちなみ36−1997.9
33
口
L___
、7
1熱
§醗
ふれあいの広場
喚
1冒G
シンボル道路
ブールバール
Mコーナーサークル
図1エステアベニュー所沢・シンボルロード
現在第一期造成工事が完了した段階で評価
は入居後に待たなければならないが、当初幹
線道路として12m幅の単調な道路形態をとっ
ていたものを計画変更した例なのでここで紹
介する。当該団地の周辺では開発造成にから
む大型車(ダンプ等)の通過が既存団地で問題
になっていた。計画では12mの幹線道路を最
小限にとどめ、他を準幹線道路とした。幅員
は9m(車道=6m、歩道=3m)とし、線形を
蛇行しカーブの変曲点に小広場を設け、中央
小公園「ふれあいの広場」
図2 エステアベニュー所沢道路と一体となった公園
を築山とし高木を植え、平面的な変化だけで
る。確かに高級感があり街並みとしては魅力
なく立体的な変化をつけた。入り口は中央に
的な景観をみせているが、各宅地は生け垣と
アイランドをもうけボトルネックとし、イメ
レンガ塀で囲まれており、閉鎖的であり道路
ージハンプなどによって入り口性の表現と併
と同様造り込みすぎており、楽しさに欠け、
せて通過交通の進入を心理的に制御すること
事実人気がない。つまりコミュニティ空間と
とした。警察協議のなかで、大型車交通規制
してはさほど機能していない。しかし、高級
の要請をしたが、そのなかでハードのしつら
感が好まれ、販売状況もよく、居住者の満足
いでこのような工夫があると規制はかけやす
度も高いのは、入居者が、年齢が高く小さな
いと理解を得た。今、このプロジェクトにお
子供達が少ない高額収入層だからであろう。
いて住宅の計画を進めているところであるが、
こうした入居者にとっては特段の親しい近所
緩い曲線に沿って微妙に変化する街並みが完
付き合いより、美しく見栄えのいい景観が好
成するのが楽しみである。
o
まれる。
閣下なかの小広場
ロ)公園道路
一般にニュータウンには規模に応じ公園の
実例 ウッドパーク四季の丘
一i(千葉県利根町、図3)
設置が義務づけられている。近隣公園、児童
調整池公園 \
エントランスゲート
脇
圃
r
グリーンスポット
小公園
グリーンスポット
公潤道路
公益施設用地
.署翻謹塾
ロ ロ 餌ε』
図3 ウッドパーク四季の丘・公園道路
34
家とまちなみ36−1997.9
の
公園(街区公園)、幼児公園など広さ、位置、
誘致距離、施設内容などが指導されることに
なっている。しかし子供たち、特に幼児や低
学年児童は自宅近くの道端で遊ぶ場合が多く、
大人たちも隣近所の人たちとは道端で話し込
むのが一般的だ。しかもどんな緑の多い公園
も、その周囲の人達以外は修景として見れな
い。最近のように宅地規模が小さくなる傾向
蝉難灘鰻』茎鑛藤蟹艦螺・
にあるなか、狭い庭に日照の妨げになるよう
な樹木を植えることもままならない。ここで
アメニティ空間を創出した例である。
イ)区画街路のひろがり(小広場・グリーンスポ
のシンボルツリーがある
舎.
紹介するのは道路と小広場をセットに身近な
写真5 高坂ニュータウン・グリーンスポット 街区
繰のバッファーゾーン
集合住宅270。の眺望
ット)
案例 鳩山ニュータウン
(埼玉県鳩山町、写真3、4)
法面及び壁面緑化
四季の路(歩行者専用道路)、
実例 高坂ニュータウン
(埼玉県東松山市、写真5、図4)
o
グリーンスポ・ント
かきのき禁.
街路樹・生垣
壌フラワーペルト
歩車共存遵路
図4 高坂ニュータウン
スポットと呼んでいる。街区の真ん中にこう
した空間をつくるのはめずらしく景観的にも
変化があり、成功したとおもわれる。行政側
とは広場も道路扱いとし移管対象とした。後
に居住者にヒヤリングしたところ、夏にはバ
ーベキューパーティーをしたり、下草など皆
で自主的に抜くなどしており、コミュニティ
意識が芽生えているのがわかった。また、物
売りの小型トラックの停車場になったり、カ
写真3 鳩山ニュータウン・グリーンスポット 街区
ンケリなどこどもの遊び場になったり、昔の
中央のたまり場
人中心の道を思い出す。住宅地コモンと違い
よそ者(周辺居住者)の侵入にもおおらかであ
るのは、所有権も明確で最終的には行政側が
管理するとの安心感があるからであろう。事
業的には、接道宅地がふえることにより宅地
率を維持し、周辺宅地も角地並み評価となり
販売も順調で、全体的評価としては成功した
例である。
写真4鳩山ニュータウン・グリーンスポット
e
住宅地で単調になりがちな区画街路の真ん
中に広がりを持たせ、そこで道路をわん曲さ
ロ)公園と道路の一体的空間
実例 市原緑園都市
(千葉県市原市、写真6、図5)
せ、たまりをつくって街区のシンボルツリー
区画街路の接続部分を小公園と一体的に整
を植え、道路をベーブしたもので、グリーン
備した例である。居住者の使われ方や修景的
家とまちなみ36−1997.9
35
螺1
圏住宅地の共有空間(クラスターコモン)
●
公的な空間を中間領域とした小公園やグリ
ーンスポットに対し、私的な空間を中間領域
にしたのがクラスターコモンである。もとも
と日本にも所有や領域のはっきりしない広場
があったが、北米から移入されたタウンハウ
スにコモンがあったのは先に述べた。この考
えは戸建て住宅地にも応用され、特に旗ざお
写真6 市原緑園都市・小公園
@﹁
とめ共有地としたのがクラスター住宅である。
己
[]「
[ 〔巫〕邑 W=艶 亡
一部を除き計画されることもなくなった。そ
ボンエルフ道 ユ・・一
雌[〔]
[]
[〕
一 コモン
コモン
b
□
[1[コ[⊃□〔コロ
塑
](〕
凸−
□
置・コ層
畢轟
[:〕[⊃〔凸
であるコモンは姿を消し、クラスター住宅も
[]□i 匝
□
巴
ロ凸[:]
しかしタウンハウスの衰退とともにその特徴
野義脚
卜蛤鋤 q’
己
喬ゴ]
‘一.
宅地の重なっている宅地の敷地延長部分をま
B
W=6m
の理由は所有形態としての共有地が居住者に
なじまないのと維持管理がわずらわしいとい
うものである。計画論的にはおもしろい空間
であるが、一般専用宅地に比し資産価値が上
がらないのも大きな理由である。
敷地配置図(基本街区)
イ)都市型クラスター
図5 市原緑園都市・小公園 街路と公園の一体化
な良さはグリーンスポットと同様であるが、
o
実例 エステアベニュー緑園都市
(神奈川県横浜市、写真7、8、図6)
ここは管理上は道路と公園に明確に分かれて
いるところである。したがって面積も道路を
ふくめると500m2を越え、グリーンスポット
より一回忌大きい。境界には特段のバリアは
ないが公園には四阿(あずまや)やベンチ、す
べり台など一通りのしつらえがある。この小
公園は約120m角、50戸の住宅ブロック毎に
o
中心に計画されている。居住者、とくに子供
写真7 エステアベニュー緑園都市・クラスターコモ
の利用は高く、それぞれの公園がそのブロッ
ン ゲートによって領域性をだす
クのアイデンティティをだしている。夏の夜
の花火やバーベキューパーティーなど管理上
は多少の問題も残すが、幼児や児童をかかえ
る家族には特に好評である。この空間を造る
にあたりいちばん問題になったのは、通例の
児童公園の規模の問題である。すなわち都市
公園法にもとつく開発指導要綱では、誘致距
離250m以内面積2,500m2という標準規定が
ある。いくつかの既存公園周辺居住者へのヒ
写真8 エステアベニュー緑園都市・クラスターコモン
ヤリングの結果、必ずしも児童公園は好意的
全体で90戸の小規模団地の外縁部に奥行き
施設とは限らず、砂ぼこりや高学年生の球技
のある不整柔なブロックがあり、当初は旗ざ
による被害など嫌悪施設となっていることが
お宅地として計画されていた。各敷地延長部
わかり、できるだけ利用度が高くコミュニテ
分をとりまとめて共有地とし、駐車場や植栽
ィの中心となる公園をつくるべきであるとの
スペースをもうけた。全体をタイルブロック
認識から提案された。さいわい、行政側の理
で被い、車の駐車していない昼間は子供の遊
解もあり、児童公園を分割設置することがで
び場や主婦のたまり場となっている。全体で
きた。
コモンが3カ所あり、それぞれが小道で結ば
れている。これらのコモンを囲んで13戸の小
36
家とまちなみ36 1997.9
f
図6 エステアベニュー緑園都市・クラスターコモン
住宅があり、各専有宅地にはプライバシー確
写真9 市原緑園都市・クラスターコモン コモンで
段差吸収
保のため、建物と一体になった塀で囲まれて
メ琴鑑^
いるデッキやテラスがある。コモンが全体の
街並みに変化を与えることへの理解は得たが、
将来とも空間として担保されるかが行政側の
危ぐであった。結局コモンの所有形態は全13
戸の共有とし、さらに建築協定でしばった。
建築確認上は敷地延長として分割し、接道条
件を満たすと同時に、全体を容積率、建ぺい
率の分母となる敷地面積とみなすことにより
ら
厳しい条件を緩和した。初期入居者のなかに
写真10 市原緑園都市・クラスターコモン
は、タウンハウスに住んだことのある海外経
験者もおり、こうした居住形態への抵抗はな
かった。むしろなぜタウンハウスにしなかっ
たのかという質問があった。当時(10年前)、
専有40坪たらずの敷地に30坪程度の家で
6,000万円以上という高額商品であったが、
最大40倍で即日完売であった。このことは、
[⊃〔コ。
①
⑦ ⑦
[鍛、
市場が上向きになってきたこともあるが、極
めて異形な敷地であり規模や価格的にも周辺
一般宅地と差別化した商品だったからであろ
、奪_
㊦ ・・磯(∋ (⊃
共存型コモン計画
う。事業的には成功したが、問題は将来の維
持管理である。現在管理協定はあるものの、
その内容は自主管理で細かな規約はない。幸
い、いまのところ特段の問題もなく、清掃は
自主的に行われているが、将来の不安はある。
⑭
. 一「 ”
醗・・
Y ρ噛’
駕
ォ縫垂「藁灘
一時は土地価格が一戸建てに比し上昇しなか
ないいま、資産価値への不安は一般宅地と同
A⋮1親鍵. 、気L甲・ 灘
ったが、土地のキャピタルゲインの期待でき
難1
(3 ’・.・
様である。
@ ・難
蜻p1。◎
分離型コモン計画
ロ)郊外型クラスター
嘆i桝市原緑園都市
(千葉県市原市、写真9、絶、図7)
駐車場
広場
郊外大規模団地の一角に前述した小公園と
道 路
セットに計画された5戸に1つのコモンをもっ
たクラスター型住宅地である。各住宅の玄関
コモン
道 路
■
や庭先にベンチやデッキを設けコモンエリア
と一体に計画されている。各宅地は整i形で規
図7 市原緑園都市・クラスターコモン
模も普通の一戸建てと大差はない。コモンの
宅で共有し、確認上の接道は建築基準法43条
所有形態は当該コモンを占有できる5つの住
第1項目もよる避難上有効な空地という扱い
家とまちなみ36−1997.9
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行政側の評価及び
事業上の売れ行き
阮@及び評価
又F可・帰属
yび収益
住宅地の真ん中を幅10mの蛇行した歩車
高級感あり美しい街
単調な街区に変化
準幹線道路扱い
売れ行き良い
共存道路 タイル舗装 ボラード 街路
並み良い
シンボリック景観
地区計画設定
特別街区として差別
樹ゲート
通過交通ないので良
閉鎖的でコミュニテ
帰属道路及び公園
い
イ不足
将来の補修費増
計画概要
コミュニティ道路
エステアヴェニュー所沢
シンボルロード
σ
計画・デザインの
yび評価
具体的事例
化
居住者の使い方
計画手法
価格転化可能
ウッドパーク四季の丘
住宅地の真ん中を幅10mの蛇行した歩車
変化ある街並み
県では初めての試み
利根
共存道路 タイル舗装 ボラード 街路
通過交通の排除
地区計画設定
公園道路
樹ゲート
緑のネットワーク化
建築協会設定
鳩山ニュータウン
街区道路中央部に一体化した200∼300
コミュニティの場と
変化ある街並み
全国的にめずらしい
角地なみの人気
グリーンスポット
m2の広場 中央にシンボルツリー 築山
して利用
街区の中心
街区中央の広場
価格転化可能
のベンチ 街灯
修景的によい
隣接住宅と統一
帰属は道路
市原緑園都市
U字型街区道路に挟まって一体化した
コミュニティの場と
変化ある街並み
全国的にめずらしい
角地なみの人気
小公園
300∼500m2の小公園 シンボルツリー
して利用
50戸コミュニティの
児童公園の分割設置
価格転化可能
ベンチ遊具四阿
修景的によい
中心
指導要綱の新解釈
横浜緑園都市
不整形敷地にコモン ゲート 駐車場
幼児の遊び場として
街並みに変化
各宅地の敷地延長と
都市型クラスターコモン
シンボルツリー ベンチ
良いが狭い
旗さお宅地の解消
してあつかう
帰属道路及び公園
街なかの小広場
帰属は公園
一戸建て住宅地と差
別
クラスターコモン
売れ行き良い
自主管理将来心配
帰属は共有民地
市原緑園都市
5戸に1つのコモンを配置高低差を吸収
幼児の遊び場として
街並みに変化
郊外型クラスターコモン
シンボルツリー 駐車場 遊び場
良い
旗さお宅地の解消
避難場有効な宅地
段差の解消
自主管理将来心配
一戸建て住宅地と差
別少ない
売れ行き普通
帰属は共有民地
価格調整収益低い
表1 計画手法の実例と評価
になっている。完売したが、売りやすくする
価は概ね良い。特に空間的な広がりや子供の
ためコモンの評価を低く見積もり全体の価格
遊び場などコミュニティスペースとしての評
を押さえたため収益は必ずしも良くなかった。
価は高い。スケール的にもほどよく、土地の
つまり計画上の魅力ある空間が価格転化でき
評価とは別に幹線道路や広い公園が、隣接す
なかったと見ることができる。つまり購入者
る居住者にとって必ずしも好ましい空間とし
としては、庭もある程度あり、公園などオー
てとらえていないのは、売れ行きに反映して
いる。また十分とはいえないまでも、現行の
れている環境のなかにあって、なぜ「わずらわ
法規制のなかでもある程度こうしたしつらえ
しい」コモンが必要なのか理解できなかったと
を造ることは可能であることも確証を得た。
いうことだ。特にこの場合は専有宅地もコモ
しかしこうした中間領域であるアメニティ
ンもすべてスクエアーな形態で、規模なども
空間はその所有形態と同時に維持管理につい
一般宅地と大差なく商品の差別化がはかられ
て常に問題の評価が分かれるところである。
なかったのも一因である。住宅地全てにコモ
行政側は神経質ともおもわれるぐらい問題に
ンスペースがあるという徹底したシステムが
するのが常で、提案はわかるが維持管理費の
とれるならば、その良さは理解できょうが、
増大と何か問題が起こったときの責任につい
となりのブロックの一戸建て住宅に比し、所
て関心を寄せる。事実、広場はいいが樹木は
有形態や維持管理のわずらわしさは、空間の
植えるなといったこっけいな指導があったり
おもしろさを上回っているともいえよう。
する。結局事業者がある一定の期間(一般に住
●
プンスペースも都市住宅地に比し格段に恵ま
宅供給が終わるまで)管理費を負担するとい
う条件で問題を先送りし、落着するケースが
大半である。
住宅地の共有空間(コモンエリア)について
アメニティ空間としての小広場、3住宅地の
の評価が分かれるのはこうした維持管理に不
共有空間、の3つについての実例をあげ評価
安があるからである。また共有地という所有
した。
形態がせまいながらも一戸建てという意識の
これまで述べた計画手法を整理してみると
なかで、受け入れにくいところもある。マン
表1のようになる。これらのプロジェクトは、
ション居住者にとっては敷地は全部共有で建
何らかの形で筆者がかかわったものなので
物も区分所有であるが、みな管理組合をつく
少々我田引水のきらいはあるが、全体的な評
り管理費を払って納得していることを思えば、
家とまちなみ36 1997.9
σ
38
ここまで1コミュニティ道路、2街なかの
一戸建て住宅でも可能なはずである。事実六
甲アイランド(兵庫県神戸市、写真ll)にある
の
住宅地は全て共有敷地で、電線の地中化や行
き止まり道路などユニークなまちづくりがな
されている。
ここで紹介した手法の評価に結論を出すの
は、さらなる調査と長年の観察が必要である
が、現段階では住宅地のなかに身近な人の空
間をもうける様々な試みは、所有形態や維持
管理方法の問題はあるにせよある程度評価さ
写真12 レッチワースガーデンシティ ビレッジグ
リーンに面したタウンハウス
れたと言ってよい。
写真13 ハムステッドガーデンサパーブ 道路の変
●
写真11 六甲アイランド 全共有による街づくり
曲点の小広場
13)は100年の時を経ていまだに変わらぬ田園
風景を見せている。ハワードの提唱したニュ
ータウンはアンウィンとパーカーによってい
o
良いまちづくりを推進するためには全体的
ろいろな計画技術やデザインが開発され、そ
な基盤整備と同時に住宅地におけるアメニテ
れがいまだに街づくりのもとになっている。
ィ空間や中間領域の創出が重要なのはここで
中世の村落風景のなだらかな曲線の道や、ス
述べてきたとおりである。そのためには計画
タイルをもちながらも変化のある家並みを原
におけるいい意味での規制の緩和と、中間領
風景としてとらえたアンウィンは望ましい密
域の創出や維持管理に対して事業者や居住者
度や土地利用とは別に曲線の道路、ビレッジ
の負担軽減のための補助、融資の拡大や税制
グリーン、クルドサック、囲み型住棟配置な
の優遇措置が必要であろう。たとえばグリー
ど今日でも参考になる技法をあみだしている。
ンスポットを増やせば、宅地率が下がり、共
しかし、いまだに田園の美しさを見せ居住者
有地をつくれば、個々の買い手の負担が増え
の満足度が高いのは、こうした物理的計画の
るのでは造るにしても最小限度となり魅力あ
良さばかりではなく、管理運営のたくみなシ
るものになりにくい。たとえばアメニティ空
ステムがあるからである。もともと開発地の
間そのものの補助制度を確立するとか、私的
所有は一元的に開発公社が所有しており、地
空間であれば固定資産税の免除とか、公園緑
代がメンテナンスに再投資されているからで
地の一部に土地利用上カウントするなどの方
ある。
法が望まれる。また中間領域に地上権を設定
安定してきたとはいえまだまだ高い日本の
するなども一法であろう。将来にわたって環
地価。購入者は以前ほどではないにせよ住宅
境を維持するためには公的なサポートや各種
地を資産価値としてみている。しかし自分の
協定も必要であるが、自治体と自治会(住民)
資産は町全体の価値(評価)と連動しているは
の連携も重要である。こうした一連の社会的
ずである。いろいろな公的サポートはあって
環境を整備することが、アメニティ空間を造
も最後は住民の意識による維持向上が望まれ
りやすくすることになる。
る。もともと環境や街並み景観は、自治体や
事業者あるいは計画者のためのものではなく
o
居住者のものだからである。
英国で誕生したガーデンシティ(写真12、
家とまちなみ36−1997.9
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