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(2)確かな学力と社会の変化に対応する力の育成

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(2)確かな学力と社会の変化に対応する力の育成
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青少年の成長の基盤づくり
(2)確かな学力と社会の変化に対応する力の育成
ア 義務教育期における基礎学力の確実な習得及び道徳教育、体育・健康に関する指導の推進
(ア)学習状況調査の実施[教育局]
県内の公立小学校及び中学校における日ごろの学習状況や成果を調査し、その結果を教
科指導における指導方法の工夫・改善及び児童・生徒の学習に役立てる目的で実施してい
ます。その概要は次のとおりです。
○調査実施対象及び抽出数
県内公立小・中学校から抽出した学校の小学校第5学年在籍者と中学校第2学年在籍者
・小学校:約2,000人(抽出校69校)
・中学校:約2,000人(抽出校60校)
○実施時期
平成19年1月29日から2月2日
○調査教科
・小学校:国語、社会、算数、理科
・中学校:国語、社会、数学、理科、外国語(英語)
○結果の概要
・小学校:学習指導要領の目標や内容を基に、基礎的・基本的な学習内容について出題
しており、平成15年度から引き続き全体的に良好な結果ですが、それぞれの
教科には次のような課題があります。
(課題)国語−漢字を正しく書く力
社会−複数の資料から社会的事象の特色を読み取る力
算数−見通しをもち筋道を立てて考える力
理科−器具を正しく使って実験を行ったり、観察・実験を通して問題を解決
したりする力
・中学校:学習指導要領の目標や内容を基に、基礎的・基本的な学習内容に加え、深い
思考力や応用力を求める内容も出題しており、全体的には、「資料を読み取
る力や知識を活用して表現する力に課題がある」という結果です。
また、教科ごとには次のような課題があります。
(課題)国語−説明的文章の内容を理解して言葉を適切に用いる力
社会−歴史的事象の意味や相互の関連、時代背景などを理解する力
数学−1次関数の理解や、円周角の性質を活用する力
理科−グラフを読み取ったり、作成したりする力
英語−つづりや文のきまりを正しく用いて英文を書く力
○結果のまとめの作成
結果の分析や今後の指導方法の工夫・改善についてまとめた「結果のまとめ」を作成
し、県内の全公立小・中学校及び関係機関に配布しました。その中で、次の点を踏まえ
て取組むように求めています。
・話し合いや発表をする活動、じっくり考え問題解決を図る活動など、指導方法の工
夫・改善を図る。
・授業形態の工夫だけでなく、授業の内容や学習活動に興味・関心をもたせ、意欲へと
つながるような「分かる授業」に努める。
・児童・生徒一人ひとりに目を向けたきめ細かな指導の充実に努める。
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青少年の成長の基盤づくり
(イ)体力つくりの推進[教育局]
最近の児童・生徒は、休み時間や放課後に外遊びをしたり群れて遊びに興じたりするこ
とが少なく、日常的に運動やスポーツ活動を楽しむことが十分にできていない傾向にあり
ます。また、食生活の乱れや生活習慣が確立できていない児童・生徒も増えてきています。
そこで、児童・生徒が規則正しい生活習慣を身に付け、主体的に外遊びや運動・スポー
ツ活動に取り組めるようにすることで、体力・運動能力を向上させるとともに、健康で活
力にあふれた児童・生徒を育成していきます。
これまで継続してきた児童生徒健康・体力つくり推進委員会や児童生徒体力つくり研究
事業に加えて、昨年度までの3か年で取り組んできた「子どもキラキラタイム」実践研究
の成果を受けて平成19年度から2か年計画で全公立中学校で取り組む「かながわイキイキ
スクール」実践研究の推進を図っています。
また、児童・生徒の体力・運動能力の実態を把握するための基礎調査を実施することに
より、児童・生徒の体力の諸問題について明らかにし、発達段階に応じた指導内容及び指
導方法の資料を得るとともに、その結果に基づいたより効果的な健康・体力つくりの実践
を推進しています。
(ウ)「かながわイキイキスクール」実践研究[教育局]
県教育委員会では、平成19年度からの2か年計画で、全ての公立中学校が協力して子ど
もたちの健康・体力つくりに取り組む「かながわイキイキスクール」実践研究を推進して
います。
各学校で取り組んでいる主な内容は次のとおりです。
○学校の基本計画であるグランドデザインに健康・体力つくりの位置付け
関連の教科、道徳、特別活動や総合的な学習の時間のほか、運動部活動なども含めた
学校の教育活動全体を通じて行う生徒の総合的な健康・体力つくりをねらいとした組織
的な取組みを学校のグランドデザインの中に明確に位置付けます。
○子どもたちの現状分析
子どもたちが自分の健康や体力の現状を把握して、自分の課題を見つける機会を設け
ます。また、教師はこの結果を保健体育科の授業や健康教育等の指導に活用します。
○生活習慣の改善
食習慣を始めとする生活習慣などについて、調査や相談活動をもとに健康面からの見
直しを行いながら、その改善を図ります。
(エ)学力向上拠点形成事業[教育局]
平成17年度からの3か年計画で「確かな学力育成のための実践研究推進地区」及び地区
内に「実践研究校」を指定し、地域の実情や課題に即した「確かな学力」の育成のための
実践研究を実施し、その成果の普及を図ります。伊勢原市を推進地区とし、市内の全公立
小・中学校(小学校10校、中学校4校)を推進校としています。
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青少年の成長の基盤づくり
(オ)児童・生徒の心に響く道徳教育の推進[教育局]
各学校や地域の実態に基づき、生命を尊重する心や共感する心、思いやりの心などをは
ぐくむために、地域の人材活用や体験活動等を生かした多様な取組みの工夫等、創意工夫
を活かした道徳教育の推進を図っています。
○研究推進校の研究課題
・「いのち」の尊さを深く感じ取る心をはぐくむ道徳教育の推進(平成18・19年度)
・豊かな心をはぐくむ道徳教育の推進(平成18・19年度)
・思いやりや正義感を高める集団をはぐくむ、しなやかな道徳教育の推進(平成19・20年
度)
(カ)私立高等学校等教育改革推進費補助(きめ細かな学習指導の推進)[県民部]
少人数学習の開設、ティームティーチングの充実、習熟度別学習の開設、生徒指導(進
路指導・教育指導)の充実、中途退学対応担当の充実のいずれかに該当する学校に補助を
しています。
平成18年度実績
高等学校
5,250万円
( 75校)
中等教育学校
140万円
( 2校)
中学校
2,280万円
( 57校)
小学校
720万円
( 24校)
合 計
8,390万円
(158校)
(キ)学校における消費者教育の推進[県民部]
複雑多様化した経済社会の中で、青少年が消費者としての基礎的な知識を学び、社会の
一員としてかしこく生きる力を身に付け、自立した消費者になれるように、中学生向け、
高校生向けの生徒用教育資料及び教員用解説書の作成・配付や教員向けの消費者教育研修
などを実施しています。
表2-1-2 学校における消費者教育実施状況(平成19年度)
作成部数
中学生用教育資料
〃
解説書
高校生用教育資料
〃
解説書
対
象
等
80,000部
中学2年生全員を対象に配布(国・公・私立とも)
5,000部
中学教員向け、各校配布(国・公・私立とも)
64,000部
5,000部
高校2年生全員を対象に配布
(公・私立とも・一部私学は見本配布)
高校教員向け、各校配布(公・私立とも)
教員向け
期日:夏季(7日)・冬季(1日)・春季(2日)休暇期間中に10日間
消費者教育研修
対象:小、中、高、特別支援学校等の教員、教員が希望する講座を受講
資料出所:消費生活課
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青少年の成長の基盤づくり
イ 豊かな人間関係をはぐくむコミュニケーション能力の育成
(ア)豊かな人間関係をはぐくむコミュニケーション能力の育成[教育局]
児童・生徒の人間関係を調整する力やコミュニケーション能力の育成を図り、子ども同
士の豊かな人間関係の構築を目的として、「豊かな人間関係づくりプログラム」(平成17
年3月作成)を活用するための教員研修を、政令市を除く6地区において、年間各3回の研修
会を行います。
また、平成19年度の教育相談研修大学派遣教員を対象にリーダーの養成を行い、その取
組みを促進しています。(平成19年度の教育相談大学派遣事業の一環として実施)
(イ)ファミリー・コミュニケーション運動の推進[教育局]
少子化、核家族化といった社会の変化や、テレビゲームなどの影響を受けて、家庭内で
のコミュニケーション不足が指摘されている中、いじめや暴力行為等の未然防止のため、
PTA、学校、行政機関が連携して「ファミリー・コミュニケーション運動」の取組みを
進めることとしました。
この運動が広がることにより、子どもたちが自分の気持ちを素直に表現できるようにな
るとともに、相手に対する思いやりの気持ちが深まることによって、子どもたちのコミュ
ニケーション能力が向上し、いじめや暴力行為の早期発見や未然防止につなげて行きたい
と考えています。
平成 19 年 7 月からは、毎月第一日曜日を「ファミリー・コミュニケーションの日」と
して、イベントや施設優待など家族のコミュニケーションが深まる環境づくりを行います。
7 月 1 日にはオープニングイベントとして、「ファミリー・コミュニケーション・ウォー
ク大会」を開催しました。
(ウ)特色ある高校づくり実践推進(国語教育、読解力実践推進)[教育局]
すべての教科・科目の学習の基礎となる国語力を向上させるため、豊かな感受性や、論
理的思考力、それらを支える語彙力を育成することができるよう、学校全体で適切かつ効
果的な国語教育実践を推進しています。
○国語力向上の重点推進校及び拠点校の指定
国語教育の充実を図る実践的な取組みを推進させるため、国語力向上について先導的
な役割を担う重点推進校1校、実践的な教育活動を充実する拠点校4校を指定し、「聞
くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の各分野の力を育てる指導法や教材開
発、評価の工夫など、国語力伸長のための国語教育実践に関する研究を行うとともに、
その成果を全県立高校へ普及しています。
○PISA型読解力向上の実践研究校の指定
国際社会の中で重要視される論理的思考力(考える力)を育むため、PISA型読解
力(「考える力」を中核として、「読む力」「書く力」を総合的に高め、実生活の様々
な場面で活用する力)の向上について、教科横断的な実践研究を行う実践研究校を平成
19年度は1校を指定し、その成果を他校に提供します。
(エ)特色ある高校づくり実践推進(読書活動実践推進)[教育局]
子どもの「読書離れ」が指摘される中、県では平成16年1月に「かながわ読書のススメ
∼神奈川県子ども読書活動推進計画∼」を策定しました。県立高校においても、確かなこ
とばの力、豊かな感性、幅広い表現力と創造性を育むことができるよう、豊かな読書活動
の機会を提供し、よりよい読書習慣を形成する活動を推進しています。
○必読書・推薦書の選定整備とブックリストの公開
豊かな読書活動の指針とするため、各高校における必読・推薦書等の選定・整備活用
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青少年の成長の基盤づくり
に係る支援を全県立高校を対象に行っています。なお、平成19年度からは、神奈川県教
育委員会のホームページにも公開しています。
○読書活動充実のための創意工夫を凝らした取組みへの支援
各高校での、展示コーナーの充実、プロの朗読や読書に関する講演など、創意工夫を
こらした読書活動充実プログラムに係る経費を支援しています。平成19年度は、33校の
取組みを支援しています。
(オ)アートを活用した新しい教育活動の構築[県民部]
かながわボランタリー活動推進基金21を活用して、NPO法人STスポット横浜と県、
県教育委員会が協働して、県内の小・中学校、高等学校、特別支援学校等の授業にアーテ
ィストを講師として派遣しています。この事業は、演劇や身体表現などのアートを媒介に
して、子どもたちのコミュニケーション能力や創造力をはぐくむことを目的としています。
平成19年度は幼稚園・小学校・高等学校あわせて11校で実施を予定しており、協働事業の
成果を普及し、基金事業が終了した後にも同種の活動が継続可能な仕組みづくりの検討も
含めて取り組んでいます。
平成18年度は、小・中学校、高等学校等あわせて16校17科目で実施しました。
ウ 情報モラル教育やメディアを正しく活用する能力の育成
(ア)特色ある高校づくり実践推進(ICT利活用による教育活動支援)[教育局]
急速に情報通信技術(ICT)が進展する中、さまざまな情報を活用して、自らの課題
を解決する力を身につけ、新しい状況に的確に対応するなど、これからの社会を積極的に
生きる人材を育成するために、県立高校におけるICTを活用した教育を推進し、学ぶ楽
しさや意欲を高める授業を展開して、生徒の情報活用能力の伸長を図っています。
○ICT利活用教育の重点推進校及び拠点校の指定による実践
他の県立高校の先導的な役割を担う重点推進校2校、及びICT利活用による教育活
動の取組を実践する拠点校3校を指定し、実践的な課題に即して、必要な情報を収集・
判断・分析・処理・創造し、発信する力を育成するため、すべての教科で、実際に生徒
がICTを活用し、情報の活用能力を高める学習ができるような指導方法の研究や教材
の開発を行っています。
○普通教室におけるICTを活用した授業展開のための支援
コンピュータ教室で行う教科「情報」の授業をはじめ、普通教室における「普通教
科」の授業でもICT機器を活用した授業を展開するため、全県立高校の機器整備を進
めています。
(イ)私立高等学校等教育改革推進費補助(インターネット等を活用した教育活動の推進)
[県民部]
教育用コンピュータ等をレンタル・リースにより整備、若しくはインターネット等を利
用した教育活動を実践している場合に補助します。
平成18年度実績
高等学校
4,380万円 ( 73校)
中等教育学校
120万円 ( 2校)
中学校
2,650万円 ( 53校)
小学校
800万円 ( 20校)
合 計
7,950万円 (148校)
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青少年の成長の基盤づくり
エ その他
(ア)高校生向け男女共同参画プログラム[県民部]
男女共同参画の取組みの現状と動向を学び、男女共同参画を基礎においた価値観、職業
観の形成に役立てています。(対象:高校生)
平成18年度は、「自分らしさ」をテーマに、公立高校2校、私立高校1校(計282名)に
対して実施しました。
高校生向け男女共同参画プログラム(平成19年度)
開催日
学 校 名
テーマ
平成19年
神奈川県立藤沢総合高校 ・自分らしさって大事!
6月29日(金)
・自分らしさ発見!
・自分らしさって大事!
7月12日(木) 神奈川県立大磯高校
・自分らしさ発見!
・デートDVについて
・女性センター図書館について
参加者
25名
10名
※申し込みにより、実施します。
(イ)金銭・金融教育の推進[県民部]
複雑多様化する経済社会の中で、青少年が基礎的な金融知識を学び、合理的な生活設計
能力を身につけられるよう神奈川県金融広報委員会(事務局:県消費生活課)は、学校・
保護者等へ金融広報アドバイザーの講師派遣と啓発刊行物の提供を無料で行っています。
平成19年度
金融広報アドバイザーの派遣 小学校・保護者等:1回
金融経済刊行物の提供
児童・生徒・教員向け刊行物:1,564部
平成18年度
金融広報アドバイザーの派遣
小学校・保護者等:7回、高等学校:6回
金融経済刊行物の提供
児童・生徒・教員向け刊行物:11,684部
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