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PDFファイル - Capacitors Forum

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PDFファイル - Capacitors Forum
vol.11
特集
キャパシタフォーラム会員が執筆したOHM2016 年3月号
特集「世界を変えるか!?大容量キャパシタ」
の記事の一部を掲載!
キャパシタフォーラム会報 2016年 通巻11号
目次
「モータ」「キャパシタ」「ワイヤレス」
佐久間一浩…………………………
というパラダイム 堀会長…………
大容量キャパシタの市場動向
3
ion/EDLC応用の可能性比較
―電気化学キャパシタ 佐久間一浩…………
平成27年度特許出願技術動向調査
電気二重層キャパシタの応用
多様なxEV BusへのLi
青木良康…………………
佐々木正和………
リチウムイオンキャパシタとその応用
次世代キャパシタへの期待 ……………
ナノハイブリッドキャパシタ(NHC) 玉光賢次 ……
電気二重層キャパシタの劣化診断と寿命予測 石田隆張
木下繁則 …
………
回)木下繁則………………………
…
キャパシタ解説シリーズ(第
会員企業紹介 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 吉澤徳子………………
株式会社大木工藝 窪島隆一郎………………………………………
アイオクサスジャパン株式会社 奥谷弘義…………………………
三菱製紙株式会社 金田安生…………………………………………
2015年度フォーラム活動実績……………………………………
事務局からお知らせ他…………………………………………………
- Capacitors Forum 会報 Vol.11 2016年号 -
CONTENTS
年次大会スナップ
月次フォーラムスナップ
5
10
18 13
24
37 29
44 43 42 41 40 39
|
10
2015年次大会受付
月次フォーラム講演
洋一
「モータ」「キャパシタ」「ワイヤレス」というパラダイム
キャパシタフォーラム会長
石 油 を 中 心 と す る エ ネ ル ギ ー 革 命 が 起 こ り、
リ ン を 町 中 に 噴 霧 し、 ク ル マ が そ れ を 吸 い
今までとは異なる新しいビジネスモデルが
セ プ ト「 情 報 」 を 具 現 化 す る 時 代 で あ っ て、
我々は昔よく「親父、クルマ買ってくれ」
るが、山手線は個人が所有するものではない。
「俺のクルマのインバータは凄いんだよ」な
どと自慢するだろうか?
で買うのは音楽そのものであって
iTunes
は 必 然 で は な い の と 同 じ よ う に、 ク ル マ
年
100
イオン電池」「急
ラ か ら 直 接 エ ネ ル ギ ー を 供 給 す れ ば、 一 充
電 車 の よ う に、 電 気 自 動 車 に 電 力 イ ン フ
の必然である。
氏 の 言 う 産 業 構 造 論 の 流 れ に 沿 っ た、 歴 史
「 ワ イ ヤ レ ス 」 で 走 る だ ろ う。 こ れ は、 妹 尾
速充電」に代わって、
「モータ」
「キャパシタ」
後のクルマは、「エンジン」「
所 有 す る 必 然 性 は な い。 お そ ら く、
に、 エ ネ ル ギ ー を 自 前 で 持 ち 運 ぶ ク ル マ を
によってますますネットにつながる時代
IoT
ル マ が ナ ビ に よ っ て イ ン フ ラ に 接 続 さ れ、
電 池 車 は す で に 時 代 錯 誤 の 商 品 で あ る。 ク
ち 運 ぶ エ ン ジ ン 車、 電 池 電 気 自 動 車、 燃 料
す れ ば、 少 な く と も 大 き な エ ネ ル ギ ー を 持
喜びが現代の若者から消え去りつつあると
す れ ば、 ま た、 ク ル マ そ の も の を 所 有 す る
で買うのは快適な移動というサービスだと
CD
東京大学大学院 新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻 教授 堀
ガソリンと電気のエネルギー形態はまっ
エネルギーを運ぶネットワークが世界を席
捲したことは記憶に新しい。
たく違うのに、なぜ電気自動車に「止まって」
「短時間で」
「大きな」エネルギーを入れよ
世紀に生まれたコン
込 ん で タ ン ク に 貯 め て 走 る な ど と い う の は、
必 要 だ と い う。
世 紀 は、
ま ず 無 理 だ ろ う。 し か し、 電 気 は 実 質 同 じ
など、いわゆる勝ち組のやり方を見れば、ユー
そして
こ と が で き る。 ク ル マ に エ ネ ル ギ ー を 供 給
ザーは単なるインターフェースである安価
う と す る の か、 不 思 議 で 仕 方 が な い。 ガ ソ
す る 手 段 と、 ク ル マ を ど う 使 う か と い う こ
な端末を持つだけであって、肝腎の知能はネッ
妹 尾 堅 一 郎 氏 に よ れ ば、 世 界 は100年
と言ったものだが、「親父、山手線買ってく
にある。
Cloud
ごとのパラダイムシフトを経験してきた
れ 」 と は 言 わ な か っ た。 ク ル マ は 所 有 で き
紀 の コ ン セ プ ト は「 物 質 」 で あ る。 モ ノ を
しかし、親父に買ってもらうクルマとは、いっ
内 装? タ イ ヤ? 今 は イ ン バ ー タ か? し か し、
作 る た め に 産 業 革 命 が 起 こ り、 モ ノ を 運 ぶ
世紀のコンセプトは「エネルギー」で、
た い 何 だ っ た の だ ろ う。 エ ン ジ ン? 外 装?
)
と い う( 次 ペ ー ジ 下 表 参 照 ) ( 1)、( 2。
世
Apple
と は 関 係 な い は ず で あ る。 し か し、 電 池 を
トで接続された
、 Amazon
、
Google
使うと両者は強くリンクされてしまう。
20
鉄 道、 船 舶 な ど の ネ ッ ト ワ ー ク が 構 築 さ れ
た。
3
Li
21
18
19
に よ っ て、 ク ル マ は 大 き な エ ネ ル ギ ー を 持
こちょこ充電」と走行中の「だらだら給電」
電「航続距離」は意味を失う。停車中の「ちょ
池 」 で は な く、 数 百 万 回 の 充 放 電 に 耐 え ら
に 出 し 入 れ す る に は、 寿 命 の 短 い「 化 学 電
自 前 で 持 つ 必 要 が あ る だ ろ う。 電 力 を 頻 繁
本特集に協力した「キャパシタフォーラム」
れ、パワーに優れる物理電池「キャパシタ」
が担うこと
お り、 最 後 の 数 m を 高 速 Wi-Fi
は、 十 数 年 前 に 故・ 岡 村 廸 夫 氏 に よ っ て 設
ち 運 ば な く な る だ ろ う。 そ こ で は、 ク ル マ
と よ く 似 て い る。 ワ イ ヤ レ ス 給 電 の イ ン フ
立 さ れ、 小 生 が 会 長 を 引 き 継 い で い る。 大
を 必 要 量 だ け 用 い る の が よ い。 キ ャ パ シ タ
ラ を 普 及 さ せ る 方 が、 大 容 量 電 池 を 積 ん だ
容量キャパシタの普及を目指す企業を主体
を 電 力 系 統 に つ な ぐ 最 後 の 数 m を 担 う「 ワ
電気自動車を普及させることより社会コス
と し た 集 ま り で あ る。 岡 村 先 生 の 遺 志 を 継
は歴史の必然である。来るべき未来に備えて、
ト は は る か に 小 さ く な り、 資 源 問 題 に 左 右
ぎ た い と 思 っ て い る。 こ の 特 集 が そ の 一 助
イ ヤ レ ス 給 電 」 が 重 要 な 役 割 を 果 た す。 光
されるリスクもずっと小さくなるはずである。
と な り、 キ ャ パ シ タ の 認 知 度 が 上 が れ ば 大
自信を持って開発に取り組もう。
さ ら に 言 え ば、 ク ル マ 会 社 が 自 社 の ク ル マ
きな喜びである。
ネットワークの大幹線はすぐそこまで来て
を 売 る た め に、 給 電 イ ン フ ラ を 整 備 し、 メ
(この記事は技術総合誌〔OHM〕2016年3月
pp. 10-24
ISBN 4827109699,2010
ジメント,発明協会,
pp. 160-170
ISBN 4595308396,2008
(2)経済産業省,特許庁,事業戦略と知的財産マネ
大学教育振興会,
(1)妹尾堅一郎,生越由美:社会と知的財産,放送
◆参考文献◆
号の記事をそのまま会報用に編集したものです。)
ンテすることになるかもしれない。鉄道では、
き 電 イ ン フ ラ も、 そ こ を 走 る 車 両 の ど ち ら
も同じ会社のものであるのと同じように…。
ク ル マ は 自 分 で 動 き 回 れ る と い う、 電 車
を走る程度のエネルギーは
にはない自由を持たなくてはならないた
め、 数 ~ 数 十
km
100 年ごとのパラダイムシフト
コンセプト
世界観
革命
ネットワーク
18 世紀
物質
―
―
―
19 世紀 エネルギー ↘唯物史観
→産業革命
→モノを運ぶ
20 世紀
情報
↘宇宙観 →エネルギー革命 →エネルギーを運ぶ
21 世紀 ハプティクス? ↘情報世界観
→情報革命
→情報を運ぶ
妹尾氏の講演より筆者作成。「ハプティクス」は筆者の独断で加筆
4
2020年の市場予測
大 容 量 キ ャ パ シ タ は 以 下 の 通 り、
2020
億円を超える市場になることが
1,000
安全性優先
機能性優先
モジュールの
標準化
用途別個別仕様
モジュールの
標準化
年に
機能性優先
予想される。
びが期待できる。
してきた。
◎これまでも世界的には年率
%で推移
自 動 車 関 係 で は、 リ チ ウ ム イ オ ン 電 池
図2 2015 年の応用分野における売上高(推定)
偏 向 主 義 か ら パ ワ ー 密 度 重 視 で、 多 様 な
特殊
車両
40
[億円]
は、 セ ル の 価 格 ダ ウ ン に
EDLC
民生機器
50
エネルギー
30
大型車両
80
風力発電
80
自動車
100
との組み合わせが
蓄 電 デ バ イ ス と EDLC
モジュールの
標準化
キャパシタフォーラム 副会長 佐久間 一浩
大容量キャパシタの市場動向
図2 2015 年の応用分野における売上高
(推定)
図1 2020 年の大容量キャパシタの売上高予想
10
小型から
大容量キャパシタ
主流になる。
◎ 現 状 の 400
億円市場に年率
%の
の容量3倍のリ
一 方 で、 従 来 の EDLC
億円上積みされ、 700
億円市場となる。
300
10
[億円]
%の伸
鉄道
韓国
とは別に、
EDLC
風力発電や太陽光発電など、
新エネルギー
億円
◎期待市場規模 300
が大いに期待できる(図1)。
補 完 シ ス テ ム な ど、 幅 広 い 分 野 で の 採 用
動車、大型車両、鉄道、大容量エネルギー
リ チ ウ ム イ オ ン 電 池 の 市 場 に 参 入 し、 自
シタなどの登場で、現状の
ド キ ャ パ シ タ、 グ ラ フ ェ ン 大 容 量 キ ャ パ
チウムイオンキャパシタ、ナノハイブリッ
•
大型車両
80
風力発電
80
大型車両
200 各種
各種
風力発電
民生機器
Back
up
system
Back up system
100
特殊
鉄道
車両
各種
100
100
Back up system
各種
Back up system
民生機器
自動車
100
欧州
中国
日本
エネルギー
自動車
大型車両
自動車
200
その他
100
民生機器
地域別にキャパシタに求められる特徴
100
[億円]
小型から
大容量
大容量キャパシタ キャパシタ
従来の
豪州
10
自動車
100
民生機器
50
エネルギー
30
伴 い、 使 用 用 途 が 拡 大 し て 毎 年
Blue Solution
億円
200
世界的に、電気二重層キャパシタ(以下:
2015年の市場状況
◎市場規模
の独壇場の市場となる。
必 要 と す る 蓄 電 シ ス テ ム は、 キ ャ パ シ タ
分野の劣悪な自然環境での高速充放電を
•
) の 市 場、 用 途、 特 徴 は、 日 本 と 他
EDLC
5
Maxwell、IOXUS、ほか2社
欧州
•
その他
20
•
米国
機能性優先
用途別個別仕様
モジュールの
標準化
中国
特殊
車両
40
大容量
キャパシタ
シタ
その他
20
モジュールの
標準化
安全性優先
韓国
コン、エルナー、パナソニック、ルビコン、指月電気
の特徴
機能性優先
LS Mtron、Korchip、Vina Tech、Sanwha Electronic、
Pure Chem、CapSolution、Vitzro、Amotech
モジュールの
標準化
標準化
SPSCAP、寧波南車、AOWEI、巨容能源、天津力神、
朝陽森源、ほか数社
の 推 定 需 要 は、
EDLC
億円と推定され
400
地域では大いに異なる(表1、
2)
。
年度の
2015
売り上げ規模で
る(図2)
。
そ の 根 拠 と し て は、 米 国 キ ャ
) に 提 出 の Annual
NASDAQ
パシタメーカーが米国証券取引
所(
および日本企業の外部公表
Report
および中
数 字、 Korea work shop
400億 円
国のキャパシタメーカーの外部公表
数 字 を 基 に す る と、 ほ ぼ
の場
となる(図3)。ただし、 EDLC
合 は、 セ ル 単 独 で の 出 荷 金 額 で は な く、 モ
ジュールもしくはシステムでの供給となる
単独での需要
EDLC
の で、 大 規 模 な シ ス テ ム に な れ ば 売 価 は 大
き な 数 字 に な る た め、
を調査することは難しい。
用 途 に つ い て は、 各 地 域 で だ い ぶ 様 相 が
異 な り、 民 生 機 器 か ら 宇 宙 分 野 ま で 応 用 例
は広がっている(図4)
。
蓄電デバイスの選択の考え方
図 5 に、 各 デ バ イ ス の バ ッ ク ア ッ プ 時 間
と蓄電量の関係を示す。上の横軸がバックアッ
プ 時 間( 1 秒 以 下、 1 秒 ~ 1 分、 1 分 ~ 1
時間)、縦軸が出力、下の横軸が蓄電量を表
している。
以上の電力が出力さ
① 1 秒 以 内 に 1MW
れるのはキャパシタ
② 1分以内ではフライホイールが有利
③ 1 時 間 以 内 で は リ チ ウ ム イ オ ン 電 池、
ニッケル水素電池が良い
電 池、 鉛 電 池 が 良
④ そ れ 以 上 で は NAS
い
し た が っ て、 キ ャ パ シ タ の 用 途 は 1 秒 以
その他
その他
100
民生機器 100
民生機器
100
その他
3%
韓国企業
13%
日系企業
17%
米国企業
37%
中国企業
30%
図 3 2015 年の EDLC メーカーの販売状況
(シェア(
)推定)
表1 大容量キャパシタメーカー
表1 大容量キャパシタメーカー
日本
日本
韓国
韓国
中国
中国
米国
米国
欧州
欧州
豪州
豪州
自動車
特車
(HEV、EV、FCV)
(フォークリフ
日本ケミコン、TOCC 搬送機
、アイオクサスジャパン 、ニチ
(エレベータ、AGV、クレーン)
日本ケミコン、TOCC
、アイオクサスジャパン 、ニチ
コン、エルナー、パナソニック、ルビコン、指月電気
コン、エルナー、パナソニック、ルビコン、指月電気
LS Mtron、Korchip、Vina Tech、Sanwha Electronic、
建設機械
LS Mtron、Korchip、Vina
Tech、Sanwha Electronic、
Pure
Chem、CapSolution、Vitzro、Amotech
(ハイブリッド建機)
Pure Chem、CapSolution、Vitzro、Amotech
SPSCAP、寧波南車、AOWEI、巨容能源、天津力神、
EDLCの特徴
SPSCAP、寧波南車、AOWEI、巨容能源、天津力神、
朝陽森源、ほか数社
1.高出力で寿命が長い
FA機器
朝陽森源、ほか数社
充放電サイクル寿命に実用上の制約
Maxwell、IOXUS、ほか2社
2.エネルギー密度が化学電池より低い
Maxwell、IOXUS、ほか2社
Blue Solution
3.残存容量・劣化状態検知が容易
Blue Solution
非常電源
4.メンテナンスが容易または、ほとん
5.安全性が高い(化学的な危険性が低
電力品質改善
表 2 地域別にキャパシタに求められる特徴
(瞬低補償装置、UPS)
表 2 地域別にキャパシタに求められる特徴
中国
日本
欧州
韓国
中国
欧州
韓国
ソーラー発電
大型車両
自動車 日本
自動車
民生機器
(蓄エネ、安定化)
大型車両
自動車
自動車
民生機器
各種
各種
各種 風力発電
(安定化、ピッチ制御)
各種 up system 民生機器
各種 up system Back
各種 up system
Back
Back
用途
民生機器
Back up system
Back up system Back up system
用途
各種
鉄道
各種 up system
Back
鉄道
民生機器
特殊車両
Back up system 自動搬送機機器
大容量
小型から
大容量
小型から
複写機などの待機
キャパシタ 大容量
建設機械
工場用各種ロボッ
ト
小型から
大容量
小型から
時間の省エネ
キャパシタ
大容量キャパシタ
キャパシタ
大容量キャパシタ
キャパシタ
の特徴
キャパシタ
大容量キャパシタ キャパシタ
大容量キャパシタ
自動販売機などの緊急
AGV
機能性優先
安全性優先
機能性優先
の特徴
ポー
トトラック
急速充電システム
時の電力バックアップ
機能性優先
安全性優先
機能性優先
モジュールの
モジュールの
モジュールの
標準化
用途別個別仕様
モジュールの
モジュールの
モジュールの
標準化
標準化
標準化
標準化
用途別個別仕様
標準化 図4 期待される大容量キャパシタの応用分野
標準化
標準化
電池/電力
自動車
回生システ
アイドリング
トップ・シス
その他
その他
20
20
自動車
自動車
200
200
エネルギー
民生機器
民生機器
50
自動車
6
30%
図 3 2015 年の EDLC メーカーの販売状況
(シェア(
)推定)
自動車
(HEV、EV、FCV)
搬送機
(エレベータ、AGV、クレーン)
特車・輸送機
(フォークリフト、塵介車など)
電車・気動車
(エネルギー回生)
建設機械
(ハイブリッド建機)
工作機械
EDLCの特徴
(プレス機など)
1.高出力で寿命が長い
充放電サイクル寿命に実用上の制約がない
2.エネルギー密度が化学電池より低い
3.残存容量・劣化状態検知が容易
4.メンテナンスが容易または、ほとんど必要ない
5.安全性が高い(化学的な危険性が低い)
FA機器
非常電源
OA機器
(複写機、プロジェクター)
家電
電力品質改善
(瞬低補償装置、UPS)
通信電源
ソーラー発電
(蓄エネ、安定化)
電力平準化
風力発電
(安定化、ピッチ制御)
(マイクログリッドなど)
電池/電力アシスト
自動搬送機機器
民生機器
自動車
鉄道
自然エネルギー
建設機械
工場用各種ロボット
複写機などの待機
時間の省エネ
回生システム
回生システム
電圧安定化システム
ポートトラック
AGV
急速充電システム
自動販売機などの緊急
時の電力バックアップ
アイドリング・ス
トップ・システム
架線レス鉄道車両
瞬間電圧低下防止
システム
特殊車両
図4 期待される大容量キャパシタの応用分野
10k
100k
1M
蓄電量
[Wh]
10M
【Aタイプ表示】
❸
❷
❶
たマツダ「アテンザ」(図6)
( 2)運 動 エ ネ ル ギ ー を 最 大 限 利 用 し て
充放電で燃費改善したラバーガントリー
クレーン(図7)
EV
バ ス に リ チ ウ ム 電 池 を 使 用 せ ず、
P I TC H
バス(図8)
EV
( 3)
MW
以 上 の 風 車 の
にキャパシタを採用し
CONTROLL
)地 下 鉄 に キ ャ パ シ タ 蓄 電 シ ス
た大型風車(図9)
(
テ ム を 採 用 し、 回 生 失 行 を 防 止 し、
回生エネルギーで駅構内の省エネに
10
)
7
貢献する地下鉄、鉄道(図
これからのキャパシタの技術動向
キ ャ パ シ タ は 蓄 電 デ バ イ ス で 唯 一、
希 少 金 属 を 使 用 し な い。 世 界 が 抱 え
る 環 境 問 題 、 資 源 問 題 を 鑑 み た 時 に、
自 然 由 来( ヤ シ 柄 ) の 材 料 か ら 製 造
キャパシタ電圧に呼応し、最適な
発電電圧に可変
(12~25V)。
スムーズにキャパシタへ電気を送
る。
5
( 4) 1
図5 各デバイスのバックアップ時間とエネルギー量の関係性
可変電圧式オルタネータ
内での大容量の充放電に最適
1k
であることが分かる。
鉛蓄電池
1k
0.1k
大容量キャパシタの導入事例
10k
本格的な大容量キャパシタ
リチウムイオン電池
ニッケル
水素電池 NAS
電池
キャパシタを採用したキャパシタの急
1M
[W]
EDLC
100k
の採用事例を、以下に紹介する。
10M
出
力
1時間
速充放電システム・
フライホイール
SMES
(超電導エネルギー貯蔵)
(1)ブレーキエネルギーを最
100M
1分
大 に 回 生 し、 省 エ ネ を 実 現 し
1秒
1,000M
【Bタイプ表示
❶
❸
i ELOOP作動表示(MID)
i ELOOPのエネルギーフローをMIDに
やすく表示。
回生量とキャパシタ残量が一目で分か
2種類のビジュアルから好みで選べる
【表示内容】
❶エネルギー回生量
❷キャパシタ残量
❸エネルギーフロー(チャージ/供給)
0.1k
0.1k
1k
1k
10k
100k 1M
1M
10k 100k
蓄電量
[Wh]
蓄電量
[Wh]
10M
10M
図5 各デバイスのバックアップ時間とエネルギー量の関係性
図5 各デバイスのバックアップ時間とエネルギー量の関係性
【Aタイプ表示】
【Aタイプ表示】
❸
❸
❷
❷
❶
❶
【Bタイプ表示】
【Bタイプ表示】
❷❷
❶❶
❸❸
i ELOOP作動表示
(MID)
i ELOOP作動表示
(MID)
i ELOOPのエネルギーフローをMIDに分かり
i ELOOPのエネルギーフローをMIDに分かり
やすく表示。
やすく表示。
回生量とキャパシタ残量が一目で分かる。
回生量とキャパシタ残量が一目で分かる。
2種類のビジュアルから好みで選べる。
2種類のビジュアルから好みで選べる。
【表示内容】
【表示内容】
❶エネルギー回生量
❶エネルギー回生量
❷キャパシタ残量
❷キャパシタ残量
❸エネルギーフロー
(チャージ/供給)
❸エネルギーフロー(チャージ/供給)
可変電圧式オルタネータ
可変電圧式オルタネータ
キャパシタ電圧に呼応し、最適な
キャパシタ電圧に呼応し、最適な
発電電圧に可変
(12~25V)。
発電電圧に可変(12~25V)。
スムーズにキャパシタへ電気を送
スムーズにキャパシタへ電気を送
る。
る。
12Vバッテリ
12Vバッテリ
DC DCコンバータ
DC DCコンバータ
最大25Vのキャパシタ電圧を12Vへ降圧し、
最大25Vのキャパシタ電圧を12Vへ降圧し、
各電装品へ供給する。
各電装品へ供給する。
出典:マツダ(株)
電気二重層キャパシタ
電気二重層キャパシタ
電池のように化学反応を伴わず、電気を電気のまま
電池のように化学反応を伴わず、電気を電気のまま
ため込むことができる蓄電装置。
ため込むことができる蓄電装置。
出典:マツダ(株)
図6 世界初の本格的キャパシタ仕様車両マツダ「アテンザ」
図6 世界初の本格的キャパシタ仕様車両マツダ「アテンザ」
40%
燃費改善
40%
燃費改善
RTG
RTG
上昇
放電
上昇
放電
下降
充電
下降
充電
定常発電
発電機
定常発電
発電機
図7 キャパシタ仕様のラバーガントリークレーン
回生エネルギーの充放電パターン
回生エネルギーの充放電パターン
100,000
80,000
100,000
60,000
80,000
モジュール
40,000
60,000
20,000
40,000
0
20,000
-20,000 1 11 21 31 41 51 61 71 81 91 101 111[s]
0
-40,000 1 11 21 31 41 51 61 71 81 91時間
101[s]
111[s]
-20,000
-60,000
電力[W]
-40,000
ディーゼル
時間
[s]
-80,000
電圧[V]
-60,000
電力[W]
ディーゼル -100,000
-80,000
電圧[V]
-100,000
EDLC
モジュール
EDLC
+
+
図7 キャパシタ仕様のラバーガントリークレーン
可能な唯一のデバイスである。
し か し、 他 の デ バ イ ス と 比 較 し て、 電 気
を 蓄 え る 量( エ ネ ル ギ ー 量 ) だ け が 蓄 電 デ
バ イ ス と し て 評 価 さ れ な い。 そ こ で 今 後 期
の4倍のエネルギー
待 で き る の が、 EDLC
容量が期待されるナノハイブリッドキャパ
)。 次 世 代
シ タ、 リ チ ウ ム イ オ ン キ ャ パ シ タ な ど の
次 世 代 キ ャ パ シ タ で あ る( 図
キ ャ パ シ タ の 登 場 に よ り、 本 来 の キ ャ パ シ
タ の 良 さ( パ ワ ー 密 度 ) と デ バ イ ス の 小 型
化、 高 エ ネ ル ギ ー 化 に よ り、 シ ス テ ム 全 体
のダウンサイジングと周辺部品の低コスト化、
製品の長寿命化など、多くの成果が得られる。
現 在、 リ チ ウ ム イ オ ン 電 池 の さ ら な
るエネルギー密度向上とコストダウンを
市 場 は 求 め て い る が、 希 少 金 属 を 使 用
し、 デ バ イ ス の 制 御 技 術 が 負 担 に な る ば
か り で 、「 環 境 に 優 し く 市 場 に 低 コ ス ト
で提供する」という本来の目的が失われ
て い る と 言 わ ざ る を え な い。 そ こ で 今 後
11
8
ハブ(ローターヘッド)
ハブ(ローターヘッド)
ハブ(ローターヘッド)
ナセル
ナセル
ナセル
ハブ(ローターヘッド)
ブレード
ブレード
ナセル
ブレード
EDLC仕様
EDLC仕様
バックア
バックア
ップ電源
ップ電源
EDLC仕様
バックア ップ電源
寧波公共交通
EDLCバス
(18t)
寧波公共交通
EDLCバス
(18t)
バス停で、10秒で充電1km走行
バス停で、10秒で充電1km走行
バス停横の急速充電ESSはEDLC
バス停横の急速充電ESSはEDLC
ブレード
タワー
タワー
EDLC仕様
バックア ップ電源
風力発電機
風力発電機
発電量:7,000kW
発電量:7,000kW
(年間:2,000万kWh)
(年間:2,000万kWh)
ブレード回転直径:126m
ブレード回転直径:126m
タワー
出典:ENRCON
出典:ENRCON
GmbH
GmbH
タワー
風力発電機
発電量:7,000kW
(年間:2,000万kWh)
風力発電機
ブレード回転直径:126m
図8 中国
EDLC
仕様バス
図 9 EDLC
図 9 EDLC
仕様仕様
風力発電設備
風力発電設備 (年間:2,000万kWh)
図8 中国
EDLC
仕様バス
寧波公共交通
EDLCバス
(18t)
出典:ENRCON
GmbH
発電量:7,000kW
バス停で、10秒で充電1km走行
バス停横の急速充電ESSはEDLC
出典:ENRCON GmbH
図 9 EDLC 仕様 風力発電設備
図8 中国 EDLC 仕様バス
図 9 EDLC 仕様 風力発電設備
狙い狙い
変電所
変電所
変電所内にEDLC蓄電装置を設置し、
変電所内にEDLC蓄電装置を設置し、
地下鉄車両回生エネルギーの蓄積と
地下鉄車両回生エネルギーの蓄積と
狙い
変電所
地上式回生エネルギー蓄積装置
再利用
再利用
変電所内にEDLC蓄電装置を設置し、
架線電圧変動の抑制
架線電圧変動の抑制
DC DC
EDLC
地下鉄車両回生エネルギーの蓄積と
回生失効防止
回生失効防止
再利用
省エネルギー
省エネルギー
架線電圧変動の抑制
装置外観
装置外観
回生失効防止
架線
省エネルギー
装置外観
列車
蓄電装
再利用
開発概要
開発概要
北京交通大学が、200kWクラスのEDLC回生エネルギー蓄電装
北京交通大学が、200kWクラスのEDLC回生エネルギー蓄電装
置のモデル機を開発
置のモデル機を開発
開発概要
システム構成図
北京地下鉄10号線車両基地で、回生エネルギーの蓄積と再利用
北京地下鉄10号線車両基地で、回生エネルギーの蓄積と再利用
主要諸元北京交通大学が、200kWクラスのEDLC回生エネルギー蓄電装
効果の検証に成功
効果の検証に成功
置のモデル機を開発
入力電圧
[V]
500~900
北京地下鉄10号線向けのMWクラスの実用装置を開発中
北京地下鉄10号線向けのMWクラスの実用装置を開発中
北京地下鉄10号線車両基地で、回生エネルギーの蓄積と再利用
出力電圧
[V]
250~500
効果の検証に成功
出力電流
[A]
400
北京地下鉄10号線向けのMWクラスの実用装置を開発中
出典:北京交通大学
出典:北京交通大学
楊教授
楊教授
出力[kW]
200
楊教授
モジュール
[V/F]
125/63
図出典:北京交通大学
10 地下鉄における
EDLC
回生エネルギー蓄積装置
図
10 地下鉄における
EDLC
回生エネルギー蓄積装置
モジュール接続
4直列を2並列
図 10 地下鉄における EDLC 回生エネルギー蓄積装置
図 11 2020 年実現のキャパシタの技術動向
列車
主要諸元
主要諸元
入力電圧
入力電圧
[V]
[V]
出力電圧
出力電圧
[V]
[V]
主要諸元
出力電流
出力電流
[A]
[A]
入力電圧
[V]
出力
[kW]
出力[kW]
出力電圧
[V]
モジュール
モジュール
[V/F]
[V/F]
出力電流
[A]
モジュール接続
モジュール接続
出力
[kW]
システム構成図
システム構成図
システム構成図
モジュール[V/F]
モジュール接続
500~900
500~900
250~500
250~500
400400
500~900
200200
250~500
125/63
125/63
400
4直列を2並列
4直列を2並列
200
125/63
4直列を2並列
2020年
2020年
は、 最 適 化 の デ バ イ ス の 組 み 合 わ せ 技 術 が
2.8V
5Wh
列車列車
架線
不可欠になる。
3.0V
20Wh
EDLC
こ こ で は、 そ の 代 表 的 事 例 と し て 5 件 を
EDLC
電気二重層
キャパシタ
3.5V
40Wh
DC DC
架線架線
紹 介 し た が、 さ ら に こ れ ら の 市 場 は 拡 大 す
2016年
ナノハイブリッド
キャパシタ、リチ
ウムイオンキャパ
シタ…
次世代大容量
ハイブリッド
キャパシタ
地上式回生エネルギー蓄積装置
ることが期待できる。
2017年
DC DC DCEDLC
EDLC
変電所
(この記事は技術総合誌〔OHM〕2016年3月
2020年
地上式回生エネルギー蓄積装置
地上式回生エネルギー蓄積装置
号の記事をそのまま会報用に編集したものです。)
装置
9
ブレード回転直径:126m
次世代大容量
次世代大容量
2020年
ハイブリッド
ハイブリッド
キャパシタ
キャパシタ
次世代大容量
ナノハイブリッド
ナノハイブリッド
2017年
ハイブリッド
キャパシタ、リチ
キャパシタ、リチ
3.5V3.5V
キャパシタ
ウムイオンキャパ
ウムイオンキャパ
ナノハイブリッド
40Wh
40Wh
キャパシタ、リチ
シタ…
シタ…
3.5V
2016年
2016年
ウムイオンキャパ
40Wh
3.0V
3.0V
EDLC
EDLC
シタ…
2016年
20Wh
電気二重層
電気二重層 20Wh
3.0V
EDLC
キャパシタ
キャパシタ
20Wh
電気二重層
2.8V2.8V
キャパシタ
5Wh5Wh
2.8V
5Wh
2017年
2017年
図 11 2020
年実現のキャパシタの技術動向
図 11 2020
年実現のキャパシタの技術動向
図 11 2020 年実現のキャパシタの技術動向
⑤ハイブリッドキャパシタ出願状況
ポイント
① 2010 年を境として中国 / 韓国 / 欧州の出願がグラフェン、リチウム、
ハイブリッド等のキャパシタ出願状況が増加している。
②特にリチウムイオンキャパシタの出願の伸びが 2006 年と
2006 年→ 2013 年では 4 倍に増加している。
③日本の出願数は他を圧倒してるがビジネス規模は中国が日本の 5 倍近い
規模で増加している。
(2016 年度キャパシタフォーラム会報「キャパシタ 市場規模参照」)
①-1技術区分(キャパシタの種類)別-出願人国籍別出願件数と出願件数比率
(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1988 - 2113 年)
1988 - 2006 年
電気二重層キャパシタ 7,580
レドックスキャパシタ 725
ハイブリッドキャパシタ一般 297
リチウムイオンキャパシタ 681
そ の 他 14
2007 - 2013 年
電 気 二 重 層 キ ャ パ シ タ 8,615
レ ド ッ ク ス キ ャ パ シ タ 184
ハイブリッドキャパシタ一般 835
リチウムイオンキャパシタ 2,883
そ の 他 16
件
件
件
件
件
件
件
件
件
件
リチウムイ
ハイブリッ オンキャ
ドキャパシ パシタ
681
タ一般
7.3%
297
3.2%
その他
14
0.2%
レドックス
キャパシタ
725
7.8%
リチウムイ
オンキャ
パシタ
2883
ハイブリッ 23.0%
ドキャパシ
タ一般
835
6.7%
レドックス
キャパシタ
184
1.5%
年度特許出願技術動向調査
平成
ー
ー電気化学キャパシタ
③電気二重層キャパシタキャパシタ 出願状況
④リチウムキャパシタ出願状況
キャパシタフォーラム 副会長 佐久間 一浩
①キャパシタの種類別件数と出願人 国籍別内訳
②グラフェン材料の出願状況
27
電気二重
層キャパ
シタ
7580
81.5%
その他
16
0.1%
電気二重
層キャパ
シタ
8615
68.7%
10
①- 2 技術区分(キャパシタの種類)別-出願人国籍別出願件数推移
(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1988 - 2013 年)
技術区分
電気二重層キャパシタ
レドックスキャパシタ
ハイブリッドキャパシタ一般
リチウムイオンキャパシタ
その他
日本
米国
10,912 1,747
412
189
386
209
2,597
283
17
5
欧州
1,362
161
104
231
1
中国
699
49
248
142
1
韓国
1,091
52
138
249
5
その他
384
46
47
62
1
② 技術区分(グラフェン)-出願人国籍別出願件数推移
(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2006-2013 年)
出願人国籍
日本
米国
欧州
中国
韓国
その他
11
2006
5
1
0
0
0
0
2007
0
0
0
0
0
0
2008
7
6
0
3
0
0
2009
6
4
0
3
10
0
2010
16
17
11
13
8
0
2011
23
21
1
10
19
2
2012
7
20
20
82
16
8
2013
9
6
3
89
30
4
③ 注目出願人おける技術区分(電気二重層キャパシタ)
-出願件数年次推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2006-2013 年)
注目出願人
サムスン電機
LG 化学
コーニング
海洋王照明科技
マックスウェル テクノロジーズ
ブルーソリューションズ+バッツキャップ
BASF
中国科学院
ビナ ・ テクノロジー
清華大学
クラレ+クラレケミカル
日本ケミコン
JM エナジー
2006
0
49
6
0
11
6
0
1
0
0
8
9
0
2007
3
23
16
0
5
19
7
1
0
8
7
29
1
2008
0
30
22
0
6
12
7
3
3
3
3
23
1
2009
58
24
4
0
0
0
4
4
1
10
7
21
2
2010
80
8
44
28
0
0
6
6
0
3
1
28
3
2011
78
43
41
29
0
21
10
1
24
0
0
29
10
2012
26
21
8
84
15
37
13
12
16
10
4
22
4
2013
7
0
10
22
2
8
0
17
6
1
2
13
2
④ 注目出願人おける技術区分(リチウムイオンキャパシタ)
-出願件数年次推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2006-2013 年)
注目出願人
サムスン電機
LG 化学
コーニング
海洋王照明科技
マックスウェル テクノロジーズ
ブルーソリューションズ+バッツキャップ
BASF
中国科学院
ビナ ・ テクノロジー
清華大学
クラレ+クラレケミカル
日本ケミコン
JM エナジー
2006
0
7
3
0
0
0
0
0
0
0
0
1
4
2007
0
0
0
0
0
0
3
1
0
0
0
7
3
2008
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
2
8
2009
6
0
0
0
0
0
0
1
2
1
0
1
17
2010
82
0
0
9
0
0
4
0
2
0
5
9
28
2011
21
0
0
2
0
9
5
0
8
0
0
9
24
2012
16
0
3
4
0
0
6
2
4
0
1
1
9
2013
0
0
1
0
1
0
0
5
4
2
3
6
8
⑤ 注目出願人おける技術区分(ハイブリッドキャパシタ)
-出願件数年次推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2006-2013 年)
注目出願人
サムスン電機
LG 化学
コーニング
海洋王照明科技
マックスウェル テクノロジーズ
ブルーソリューションズ+バッツキャップ
BASF
中国科学院
ビナ ・ テクノロジー
清華大学
クラレ+クラレケミカル
日本ケミコン
JM エナジー
2006
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2007
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2008
0
0
0
0
5
0
0
0
0
2
0
1
0
2009
9
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
2
0
2010
13
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
5
0
2011
17
0
5
0
0
0
0
0
2
0
0
3
1
2012
9
0
0
4
0
0
0
4
0
0
0
0
0
2013
0
10
0
0
1
0
0
7
0
2
0
0
0
12
そこで今回、
前 後 )、
ではその
LiB
と
LiB
、これらの特
EDLC
だ一部にとどまっている。
トラックス(株) 佐々木 正和
UD
電気二重層キャパシタの応用
への Li
ー
応用の可能性比較
xEV Bus
ion/EDLC
多様な
上智大学 客員研究員、元・
多様なxEV Bus の現状
減取り組みの1
CO削
2
徴と各種
自動車の省エネ・
つ と し て、 国 内 外 と も に 路 線 バ ス の 電 動 化
討することで
万
の寿命推定に
EDLC
各
xEV
LiB/EDLC の寿命等比較検討方法
x E V B u sの 燃 料 経 済 性 お よ び
種方式の比較検討を試みた結果を紹介する。
よるライフサイクルコストを含めて
と
一助になればと、 LiB
普及の方向性探索の
xEV Bus
方式との関係について比較検
xEV
を推進中である。それら事例を図1に示すが、
)
LiB
)
EDLC
電池(
Li-ion
化 ) が 進 ん で お り、
xEV
)は
ESS
電 動 方 式 の 多 様 化(
搭載蓄電装置(
が主体で、電気二重層キャパシタ(
は 少 数 で あ る。 し か し な が ら 路 線 バ ス は 長
年、 走 行
寿 命 で あ り( 車 両 寿 命 は 国 内 外 と も に お よ
そ
実 用 上 許 容 さ れ る 交 換 回 数 に つ い て、 ま た
クルコストを比較検討するための車両仕
の 寿 命 を 予 測 し、 ラ イ フ サ イ
び LiB/EDLC
各 種 xEV Busに お け る 燃 費・ 電 費 お よ
割高となる交換用電池含めたライフサイク
様、 検 討 条 件 を 表 1 に 示 す。
と
LiB
中国 安凱汽車HV Bus
キャパシタ 約0.5kWh
エンジン 162kW
寿 命 特 性 か ら 電 池 交 換 を 要 す る で あ ろ う が、
ルコストと普及可能性の関係についてなど
商 用 車 用 の 場 合 を 想 定 し て い る。 本 検 討 は、
走
xEV
コストは
ESS
大 き な 課 題 が あ り、 電 動 化 方 式 の 本 命 は 模
索 途 上 の よ う で あ る。 一 方、
劣化モデルを組み込んだ
LiB/EDLC
行 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 用 い て 行 っ た。 な お、
中国 常隆客車EV Bus
LiB 300kWh +
EDLC
出典:各社ニュースリリース、ホームページおよび取材
の高精度な寿命予測方法が本
EDLC
検 討 に お け る 最 重 要 因 子 で あ り、 以 下 に 詳
13
は長寿
EDLC
への応用は未
命を特長とするが、 xEV Bus
図1 日中欧において市場導入(実証試験含む)された xEV Bus 例
HV :Hybrid Vehicle
SHV:Series HV
PHV:Plug in HV
EV :Electric Vehicle(Battery搭載)
中国 上海
キャパシタEVバス
キャパシタ約10kWh
バス停で急速充電
充電時間90秒前後
京都急行バス導入
中国 BYD EV Bus
車重14.5t、総重量18.5t
LiB 324kWh
中国 金旅客車
Plug in HV
ドイツMAN SHV Bus (EDLC + LiB)
キャパシタ最大200kW
約0.7kWh
モータ 150kW
エンジン 184kW
E
D
L
C
応
用
中国 安凱汽車EV Bus
LiB 300kWh
京都市交通局実証試験
バス
(三菱重工EV バス)
LiB ?kWh
充電間隔最大30km
川崎臨港バス導入
東芝EVバス
総重量15.4t
LiB 57kWh
充電間隔最大40km
Volvo HV Bus
LiB 4.8kWh
モータ 120kW
エンジン 177kW
Volvo PHV Bus
Parallel HV
LiB 19kWh
モータ 150kW
エンジン 177kW
充電~6分
中国 上海
電池交換・充電のため
大規模拠点で電池交換
中のEVバス
WASEDA号
非接触充電EVバス
三菱ふそうSHVバス
LiB 15 ?kWh
モータ 79×2kW
エンジン 132kW
多頻度充電式EV
Full Battery EV
いすゞ HVバス
LiB 3.9kWh
モータ 44kW
エンジン 191kW
km
電池交換式EV
L
i
B
応
用
60
Plug・in HV
Series HV
Parallel HV
15
述する。
1・LiB の劣化予測方法
加成分法といわれる新たな劣化量予測方
法、 す な わ ち サ イ ク ル 劣 化 成 分 と サ イ ク ル
稼働中含む時間劣化成分を完全に分離予測し、
合算するという国プロ研究報告 ⑴を応用した
寿命の関
LiB
劣 化 モ デ ル を 用 い た。 今 回 の 検 討 で、 こ
LiB
の加成分法がサイクル負荷と
LiB 劣化モデルの概要
表1 車両仕様および検討条件
Parallel HV Bus
Series HV Bus
EV Bus
比較車
車両総重量
検討重量
18,000 kg(日本では≦ 15,000kg だが、世界平均レベルで検討)
半積相当 15,750 kg
エンジン
―
モータ
―
発電機
―
最大出力 150kW、最大トルク 1,200Nm
―
燃費 / 寿命検討路
登坂性能検討路
LiB コスト
EDLC コスト
―
電気料金
―
22 円 /kWh/ 昼間、15 円 /kWh/ 深夜
110 円 /L
環境温度
(ESS 劣化関連)
電
池
交
換
回
数
(
車
両
寿
命
1
5
年
想
定
)
―
昼間:春 / 秋 22℃、夏 33℃、冬 12℃
夜間: 15℃、 25℃、 7℃
―
LiB応用xEV Bus
LiB寿命と電池交換回数
Plug in HV の
SOCパターンイメージ ⇒
走行パターン①
EV HV
Plug in
想定目
標下限
約1時間
①EV 1回/h
(
サ 稼
働
80 イ 中
寿命8年相当レベル
ク
60 ル の
劣 サ
40 化 イ
割 ク
20 合 ル
劣
[%]化
分
)
100 100 150 200 300 400
約10分(充電間隔)
2
LiB車載
容量[kWh]
走行パターン②
EV
EV HV
約3分 約30分
②EV 2回/h
4
0
―
ion Battery system :8 万円 /kWh、交換用 1.3 倍
EDLC system :198 万円 /kWh(セル F 換算 2 円 /F)
軽油価格
(
L 年 12
i 間
B 4 10
推 万
8
定 k
寿 m
6
命 想
[年]定
4
)
~ 75、~ 120kW
都市バスモード(市街 + 郊外、平坦路):平均車速 16.7km/h
バス登坂路(郊外):平均勾配 +2.1%、最大 7%、平均 18.6km/h
5
7.5
10
Parallel
HV
ディーゼル 190kW
10
15
20
Series
HV Type1
ディーゼル 75kW
20
35
50
Plug in
Parallel HV
ディーゼル 190kW
20
35
50
Plug in
Series HV
ディーゼル 75kW
25
50
多頻度充電
EV
バス停などで充電
電池交換
EV
交換1回/日
Full Battery
EV
図2 LiB 応用 xEV Bus における LiB 寿命、電池交換回数などに関する検討結果
14
(
S
O
14
登 C
3分適応
10分適応 坂 低
12
適応
力 下
適応領域
登坂力不足
適応領域
領域
20 不 登
6分適応
足
坂
(
10 頻 路
度
S 最
走
0
O 大
[%]行
実用上の上限(想定レベル)
充電間隔約3分 約6分
約10分
C 最
時
60
作 小
間
動 S 40
比
幅 O
率
[%]C 20
)
差
0.4 0.55 0.7
1.0
0.7
1.0
1.6
2.0
0.7
1.0
1.5
2.0
4
5
6
7
8
9
)
充電間隔
Series HV Type2
Series HV Type1
3分:0.8km
多頻度充電 EV
EDLC車載
Parallel HV
発電用ディーゼル 120kW
発電用ディーゼル 75kW
6分:1.6km
(バス停などで急速充電)
容量
[kWh] ディーゼル 190kW
(Range extender EV想定) (大出力エンジン・発電機)
10分:2.7km
16
係を明確に示した(図2)ことから、
と
LiB
応用の棲み分け検討などに有効であ
EDLC
% 減 と し た。 以
の 寿 命 限 度 は、 多 く
ると考える。なお、 LiB
の事例を参考に容量劣化
劣化モデルの概要である。
LiB
2 EDLC の劣化予測方法
下は、
20
に 示 し た よ う に 四 季 別 昼 夜 別 に 設 定 し、 サ
イクル稼働中のセル温度上昇予測については、
強めの空冷モデルを用いた。
LiB/EDLC 応用xEV Bus の
走行性能の特徴と蓄電装置寿命の比較
の寿命と電池交換回数およ
図 2 は、 LiB
び寿命と相関の強いサイクル劣化割合に関
の劣化は、電圧と温度の履歴によ
EDLC
り 予 測 が 可 能 で あ り、 容 量 劣 化 に つ い て は、
搭 載 容 量 増 加 に 対 し、
LiB
わ る 結 果 で あ る。
搭 載 容 量 で は、 本
LiB
年 程 度 に 対 し、 図 1 に 示 し た
xEV Busの
線バス寿命
次 式 で 表 せ る と い う の が 一 般 的 で あ り、 経
(E1 /
寿 命 は お お よ そ 比 例 し て 延 び て い る が、 路
・
:L1=L
0
験 的 に も 信 頼 で き る の で、 こ の 方 法 を ベ ー
ス と し た。 寿 命 ま で の 時 間
現状の
検討条件においては車両使用過程中での電
減を寿命
℃、 定 格 電 圧 ) で
池 交 換 が 全 車 種 で 必 須 で あ る。 交 換 が せ め
検
: 討温度
基
: 準 点 電 圧、
基
: 準 点(
:検 討 点
て 1 回 で 済 む こ と、 す な わ ち 寿 命 は 8 年 程
℃、
、 m=10.5℃、
n=8.35
系や多頻度充電
で
%を超える
全車種において
xEV
寿命8年超とするにはかなりの容量
LiB
が 必 要 で あ る。 な お、
は、
クル劣化割合の高い
度 以 上 と い う ニ ー ズ が 強 い よ う だ が、 サ イ
:
、容量劣化
E )-n.2(T0-T1)/m[h]
0
と す る。
の寿命時間 、
基
: 準温度
:寿命は
n
m
、
乗 に 反 比 例、
m
電圧
%
E1
25
[℃]上昇で半減。今回、現状の中間耐久性
レ ベ ル を 想 定 し、
EV
寿命は電圧の
20
T1
L0= 52,000 とした。劣化推定精度の支
h
HV
n
25
E0
L0
15
サ イ ク ル 劣 化 割 合 が、 お よ そ
50
想定車両寿命
18
.
配 的 因 子 は 温 度 で あ る が、 環 境 温 度 は 表 1
15
20
T0
20年超
を含む
EDLC応用xEV Bus
EDLC容量とEDLC寿命、SOC作動幅、登坂性能との関係
E (
D 年
L 間
C 4
推 万
定 k
寿 m
命 想
定
[年])
図3 EDLC 応用 xEV Bus における EDLC 寿命および登坂性能などに関する検討結果
)
LiB応用xEV Bus
車両効率・燃料費削減効果額とLiBのライフサイクルコスト
Tank to Wheel
交換電池のコストアップ 1.3倍想定
100 車
両
効
50 率
[%]
0
350
300
250
(
燃
料
費
削
減
額
﹇
万 万
円 円
年 年
﹈ ﹈
L
i
B
コ
ス
ト
﹇
車両効率
燃費削減額
LiB コスト
200
150
費用対効果 Diesel Bus
大幅逆転 効率25%
費用対効果
大幅逆転
/
/
100
50
0
5
LiB車載
容量[kWh]
7.5
10
10
15
20
20
Series
HV
ディ-ゼル
Parallel
HV
ディ-ゼル
35
50
20
Plug in
Parallel HV
ディ-ゼル
35
50
25
Plug in
Series HV
ディ-ゼル
50
100 100 150 200 300 400
多頻度充電
EV
バス停などで充電
電池交換
Full Battery
EV
EV
Batt.2個/台
(充電時間帯:Plug in HV:昼間のみ、多頻度EV:走行途中(ただし、1日の最終は夜間)、電池交換EV:昼/夜各1回、Full Battery EV:夜間のみ)
図4 LiB 応用の場合の車両効率と燃費削減効果額および電池コストに関する検討結果
xEV Bus、LiB/EDLC応用の実用性比較
燃費削減効果額
LiBコスト(寿命残分含まず⇒リユース)
LiB/EDLCコスト(寿命残分含む)
(燃料費削減効果額、ESS コスト、電池交換回数)
⁄
120
L
i
燃
100
B
料
E 費 80
D 削
L 減
C 効 60
果
コ 額 40
ス ﹇
万
ト
﹇ 円 20
万
円 年
0
﹈
年
﹈
約3~10分
充電間隔
約10分
約3分(充電間隔)
約6~10分
約3~6分
/
/
5
7.5
10
LiB
LiB車載
Parallel HV
容量
[kWh]
ディーゼル 190kW
10
15
20
25
LiB
Series HV
ディーゼル 75kW
50
0.55 7.0
LiB
多頻度充電
EV
1.0
EDLC
Parallel HV
ディーゼル 190kW
1.0
1.5
2.0
EDLC
Series HV
ディーゼル 120kW
4
5
6
7
8
9
EDLC
多頻度充電EV
(バス停などで急速充電)
電
池
3 交
2 換
回
1 数
0
EDLC容量
[kWh]
図5 xEV Bus に LiB/EDLC 応用の場合の経済性・実用性比較
と 8 年 以 下 の 短 寿 命 と な っ て い る。 サ イ ク
応 用 に お い て は、 経 済 性 は 後
LiB
応用の際の1つの指標にな
ル劣化割合が LiB
る よ う だ。
述 す る と し て、 普 及 性 か ら 許 容 さ れ る 電 池
交 換 回 数 が 大 き な 課 題 で あ る と 考 え ら れ る。
応 用 で は、 出 力 密 度 は 高 い
EDLC
の特
EDLC
一 方、
が、 エ ネ ル ギ 密 度 は 低 い と い う
応用
EDLC
車種に対して検討を行っ
xEV
徴 に 適 応 し、 か つ 図 1 に 示 し た
事例に沿った
程 度、 シ
0.5 kWh
た。その結果を図3に示す。寿命については、
HV
では搭載量
年間
15
パラレル
でも 1kWh
程度の小容量で
につい
EV
リーズ
無 交 換 が 可 能 で あ り、 多 頻 度 充 電
て は、 走 行 に 必 要 な 容 量 で あ れ ば 寿 命 の 問
題 は 皆 無 と い う 結 果 で あ る。 し か し、 長 寿
では登坂
命でもエネルギー容量が少ないということ
タイプのシリーズ
では SOC
EV HV
か ら、 エ ン ジ ン / 発 電 機 出 力 の 小 さ い エ ク
ステンダー
性 能 が 低 下 し た り、 多 頻 度 充 電
作 動 範 囲 が 大 き く な り、 実 用 上 の 電 圧 範 囲
よ り 低 下 し て し ま う な ど の 問 題 か ら、 寿 命
EV
HV
16
より実用性を重視して車載容量を増やすな
どの必要があるようだ。
EDLC応 用 の 場 合 に つ い て、 LiB
必要があるようだ。
一 方、
と、
よりも EDLC
応用の方が有望である
LiB
の 可 能 性 は、 現 状 の 検 討 条
車 種 が あ る こ と が 分 か っ た。 特 に、 大
xEV
容量電池搭載
件 で は か な り 厳 し い こ と が 分 か っ た。 今 後、
応 用 と の 対 比 で 図 5 に 示 す。 燃 料 費 削 減 効
の充
果額は、 EDLC
より若干経済
LiB
放電効率が良い分だ
xEV Bus に お け るLiB/EDLC
長 寿 命 で 高 性 能、 低 コ ス ト な 次 世 代 型
では
はもちろん、 Plug-in や多頻度
方式についても普及の可能性を有し
ようであり、充電インフラ方式との兼ね合い、
ると考えられる。
法などの充実を図ることも重要な課題であ
寿命予測や充電インフラを含めた最適化手
て お り、 そ れ ら の 効 果 的 な 普 及 加 速 に 向 け、
充電
たずに
な ど の 出 現 が 待 た れ る が、 そ れ を 待
EDLC
LiB/
け 少 し 増 額 と な る こ と も 加 わ っ て、 パ ラ レ
ルおよびシリーズ
性がよくなるようだ。多頻度充電
は、
ディーゼルバスとの比較による省エネ効果
3 ~ 6 分(
の場合は、
/燃料費削減効果額が数回電池交換する場
と同等の経済性となる
電 間 隔 の 場 合 に LiB
分以上の充電間隔には適応が難しい
)程度の短区間充
1.6km
合を含めた電池ライフサイクルコストの数
が、
~
0.8
倍 の 省 エ ネ 効 果 額 で あ り、 経 済 性 に 優 れ る。
応用との棲み分けの可能性が
最 適 化 で LiB
は 電 池 交 換 式 含 め、 車 両 効 率 は 極 め て 高 く
あ り、 実 用 性 面 で ど の 程 度 許 容 さ れ る か 懸
車種の場合も1~数回の電池交換が必要で
の 場 合 は、 い ず れ の
た く 必 要 な い が、 LiB
な る が、 デ ィ ー ゼ ル 比 較 で は 燃 料 経 済 性 は
であるが、
xEV Bus
寿命では適応性がかなり低いこ
LiB
応用優勢な
現状は LiB
◇ ◇ ◇
念される。
の 本 格 的 普 及 は、 将 来、 寿 命 と コ
膨 大 と な り、 費 用 対 効 果 が 大 幅 に 逆 転 し て
い る。
現状の
20144117
2014
(この記事は技術総合誌〔OHM〕2016年3月
Consideration for HEV Bus, JSAE,EVTeC, No.
Energy Management with Battery Lifetime
(2) Xiaohong Jiao, Tielong Shen, Masakazu
: Policy Iteration Algorithm-Based
Sasaki
自動車技術会秋季大会, No. 20125632
, 2012
ウムイオン電池の劣化のモデル化に関する研究(第1,
(1)加地健太郎,田中謙司,今村大地ほか:リチ
◆参考文献◆
ス ト が 燃 費 効 果 額 と 拮 抗 す る の で、 充 電 イ
系、多頻度
考えられる。また、
は
EDLC
HV
ともに車両使用過程中での交換はまっ
EV
それほどよくならないうえに電池コストが
に よ っ て は 可 能 性 が 広 が り そ う で あ る。
ンフラコストを含めると普及へのハードル
は、電池コ
HV
/
HV
充電
および多頻度充電
Plug-in HV
HV
HV
は 現 状 で は 高 そ う だ が、 仕 組 み の 工 夫 な ど
10
EV
EV
LiB応 用 の 場 合 を 図 4 に 示 す。
応用による経済性比較
EV
号の記事をそのまま会報用に編集したものです。)
,
EV
EV
スト含めた革新的電池が出現するまで待つ
17
EV
リチウムイオンキャパシタとその応用
青木エナジーコンサルティング 代表 青木 良康
リチウムイオンキャパシタの原理と特徴
炭素系
近 年、 地 球 環 境 保 護 の 観 点 か ら 環 境 負
リチウムイオンキャパシタ( LIC
) と は、
狭義には負極にリチウムドープ可能な炭素
活性炭
Li含有酸化物
荷低減に対する取り組みが活発化してい
る。特に自然エネルギー応用の蓄電デバイス、
系 材 料 を 用 い、 正 極 に は 通 常 の EDLC
に用
いられている活性炭を用いたハイブリッド
新材料
新材料
さらにはトータルエネルギー消費効率向上
に向けたエコロジーへの応用での蓄電デバ
キ ャ パ シ タ を い い、 広 義 に は 負 極 に は
有 化 合 物 を 使 用 し た も の、 正 極 に は マ イ ナ
含
イ ス と し て、 長 寿 命 高 出 力 密 度 キ ャ パ シ タ、
高エネルギー密度キャパシタが注目されて
スイオンの吸脱着反応可能な材料構成が含
表1に電気化学キャパシタの電極構成に
まれる。
いる。
このような環境の中で、電気二重層キャ
パ シ タ( EDLC
)とリチウムイオン二次電
池の特徴を併せ持つハイブリッドキャパシ
属 リ チ ウ ム が、 電 解 液 の 注 液 と 同 時 に 局 部
よ る 分 類 を 示 し た。 図 1 に LIC
の原理概念
図 を 示 し た。 負 極 に 電 気 的 に 接 続 さ れ た 金
タ で あ る リ チ ウ ム イ オ ン キ ャ パ シ タ( LIC
)
、 そ の 信 頼 性、 長 寿 命、 安 全
ム イ オ ン と し て ド ー プ が 始 ま る。 ド ー プ が
⑴⑵
電 池 を 形 成 し、 負 極 の 炭 素 系 材 料 に リ チ ウ
こ こ で は、 リ チ ウ ム イ オ ン キ ャ パ シ タ 技
完了すると負極の電位は概略リチウムの電
が提唱され
性の利点から開発が活発化している。
術 を 解 説 し、 特 に 信 頼 性、 安 全 性 に 優 れ た
位 と な る の で、 LIC
は充電前の初期電圧と
弱の電圧を有する。
して3
長 寿 命 LIC
の特徴ならびに応用展開を紹介
する。
し た が っ て、 図 2 に 示 す よ う に、 通 常 の
と の 充 放 電 電 位 を 比 較 す る と、 正 極
EDLC
Li含有
酸化物
Li
…
…
図1 LIC の概念図
活性炭
Li
Li
Li
Li
Li
炭素系
Li
Li
Liプレドープ
タイプ
リチウム
イオン
キャパシタ
活性炭
アシンメトリック
(正負極非対称)
Li
Li
デュアル
カーボンセル
Li
Li
Li
Li
活性炭
電気二重層
キャパシタ
PAS
PAS
PAS
(ポリアセン)
キャパシタ
新材料
新材料
RuO、金属錯体
シンメトリック
(正負極対称)
活性炭
セ
ル
出
力
V
表1 キャパシタの電極構成による分類
18
値は25℃との比較値
抵抗比
[倍]
容量維持率
[%]
正極
電圧[V vs Li/Li+]
電圧[V vs Li/Li+]
をドープさせ負
極の電位を安定
化させているた
め、 優 れ た 自 己
放電特性が代表
つ
2,000F
的な特長の
である。
図5に
6
セル電圧[V]
特性
( 3) 自 己 放 電
が 得 ら れ、 こ れ が 結 果 的 に 信 頼 性 向 上 の 一
の電位をあまり高く設定しなくても高電圧
因にもなっている。
LICは 、 あ ら
かじめ負極に
リチウムイオンキャパシタの特性
の 最 大 充 電 電 圧 は、
と対称型
LIC
3.8V
の 2.5
~ 2.7V
に比べ約 1.5
倍と高く、
EDLC
ま た、 容 量 も 同 サ イ ズ の EDLC
に比べ約2
倍 と 高 容 量 と な っ て い る。 し た が っ て、 エ
2 ら約4倍と、
ネルギー密度も Q=1/2
・ CVか
これまでの EDLC
に比べると驚異的に大き
いものとなっている。
℃の自
級 LICの 3.8V時間充電後の
℃と
己放電特性示
し た。
で は、
LIC
℃ で 100
日経
過後も 3.7V
以上
の電圧を維持し
ている良好な自
2
60
0
80
60
20
40
温度[℃]
0
-20
4
内部抵抗
2.4
(1)重負荷放電特性
の放電
LIC
と同様に重負荷放電性能
EDLC
は正極に EDLC
と 同 様 の 活 性 炭 を、
LIC
負極に ドープされた炭素から構成されて
い る た め、
に優れている。図3に 2,000F
級
レート特性の一例を示した。
(2)温度特性
図 4 に は、
級セルの温度特性の一
2,000F
80
2.6
電気量
0
Li
己放電性能を表
すものである。
8
2.8
図4 2 , 000 F 級 LIC の放電温度特性
図3 2 , 000 F 級 LIC の重負荷放電特性
90
3.0
50
-40
400
600
800
1,000
放電電流容量[mAh]
充電 : CCCV 10A(11.3C)3.8V for 30min.
放電 : CC
variable current 2.2V cut off
試験条件 : 25°
C chamber
200
0
2.0
例 を 示 し た。
と 比 べ る と、 若 干 低 温
EDLC
特 性 に 劣 る 傾 向 が あ る の が 現 状 で の LIC
の
課題とも言える。
19
3.4
3.0
12
静電容量
110
3.6
70
2.2
10
100
3.2
14
120
10A
50A
100A
3.8
0.5
0.5
1.5
1.5
セル
Li
2.0
負極
Li
Li
1.0
電気量
0
セル
1.0
+
負極
2.0
+
正極
PF6-
2.5
PF6-
3.0
+
TEMA+
TEMA+
2.5
BF4-
BF4-
3.5
3.5
電気二重層キャパシタ
リチウムイオンキャパシタ
1
放電
4.0
4.0
60
充電
4.5
放電
充電
4.5
25 24
25
Li
図2 LIC と EDLC の充放電電位挙動
4.0
120
120
100
80
容量維持率[%]
電圧維持率[%]
100
A2000 3.8V(25°
C)
A2000 3.8V(60°
C)
60
充電:3.8V 10A CCCV
CV 30min.
40
60
40
20
20
0
80
0
0
0
50
100
150
200
経過日数
[日]
250
100
200
300
サイクル回数×103
400
500
充電 : CC CV 56C 3.8V 1min.
放電 :CC 56C
2.2V
温度 :25°
C chamber
300
図5 2 , 000 F 級 LIC の自己放電特性
図7 2 , 000 F 級 LIC の充放電サイクル特性
表2 LIB と LIC の構成材料比較
深い充放電
サイクルに伴う
材料の 膨潤収
縮などによる
劣化大
負極の充放電カーブと利用容量
負
極
電
位
リチウムイオン二次
電池(LIB)
正極
LiCoO2 など
活性炭
負極
黒鉛など
炭素材料
LiPF6/PC、EC、
DEC など
LiPF6/PC、EC、
DEC など
PE など
PE、セルロースなど
アルミ、スチールなど
アルミ
主要な
電解液
構成部材
セパレー
タ
浅い充放電
サイクルに伴う
材料の 劣化小
LICの負極利用容量
外装缶
電気量
リチウムイオンキャ
パシタ
(LIC)
図6 LIC と LIB の負極利用容量の違い
セル内圧が一気に高
まり、電解液が気化
発火に至る場合も!
リチウムイオン二次電池
さらなる熱発生
(熱暴走)
正極:金属酸化物
200°
C前後で
正極の結晶崩壊
酸素放出
負極と電解
液の反応
電流漏洩に
よるセル温
度上昇
内部短絡
リチウムイオンキャパシタ
正極:活性炭
セル内圧上昇
安全弁作動
図8 LIB と LIC の内部短絡後の反応モデル比較
リチウムイオンキャパ
シタの寿命
「原理と特徴」の
ところで述べたよう
に、 LICは 正 極 に 活 性
炭などの分極性電極を
使 用 し、 イ オ ン の 吸 脱
着反応を用いているた
めリチウムイオン二次
電 池 と 異 な り、 充 放 電
サイクル中における正
極の結晶変化がなく安
を炭素系
Li
定である。また負極では、
あらかじめ
材料にドープしてある
た め、 正 負 極 容 量 比 の
自由度が高い設計が可
能 で あ り、 長 寿 命 型 に
イオンの利用率
は充放電における負極
中の
を低く抑える設計がさ
れ て い る( 図 6)。 し た
が っ て、 図 7 に 示 す よ
Li
20
う な 通 常 の EDLC
と同等の 万回以上の優
れた充放電サイクル特性を有している。
ま た、 高 エ ネ ル ギ ー 型 の 設 計 も 正 負 極 容
量 比 に よ り 可 能 と な り、 用 途 に よ っ て の 設
つである。
極と電解液の反応によりセル内圧の上昇
内 部 温 度 の 上 昇 が 起 こ り、 そ れ に 伴 う 負
の応用分野
ンキャパシタ
リチウムイオ
よ う に 、 LIC
以上述べた
が 起 き る。 そ の 後、 LIB
では正極の結晶崩
壊 が 起 こ り、 正 極 酸 化 物 中 の 酸 素 が 放 出 さ
れ、さらなる熱暴走が誘発され、場合によっ
化 に よ り、 発 火、 破 裂 が 起 こ る 場 合 が あ る。
計が可能な点も特徴の
リチウムイオンキャパシタの安全性
こ れ に 対 し、 LIC
では短絡後のセル内部温
度上昇による負極と電解液の反応によりセ
ギー密度の特
て は セ ル 内 圧 の さ ら な る 上 昇、 電 解 液 の 気
は、 負 極 に イ オ ン を ド ー プ し た 炭
LIC
素 材 料 を 使 用 し て い る た め、 リ チ ウ ム イ オ
ル 内 圧 の 上 昇 が 起 こ る が、 そ の 後 は LIB
と
の 正 極 材 料 の 違 い( 酸 素 を 含 ま な い ) に よ
徴を併せ持っ
L I Bの 高 電
圧、 高 エ ネ ル
最大電圧:4.885V
最高温度:29.0℃
○
150℃到達より
2分 25 秒後開口
○
の安全性試験結果のまとめを
LIC
以 下、 LIC
の特徴を活かした主な用途を
(1)再生可能エネルギー関連用途
る。 こ の よ う な 状 況 の 中 で、 独 立 分 散 型 電
環境問題、特に CO削減の観点からエネ
2
ル ギ ー の 有 効 利 用、 省 エ ネ が 推 進 さ れ て い
したがって、図8に示すように LIC
と LIB
の内部短絡時の挙動の相違が考えられている。
源、 特 に 太 陽 電 池 と 組 み 合 わ せ た 蓄 電 デ バ
示した。このように、 LIC
は EDLC
と同等に
安全性の高い蓄電デバイスと言える。
表3には
ら LIB
や EDLC
の蓄電デバイスの短所を補完
するような使われ方が期待できる。
加熱
は EDLCの 高
出 力 、 長 寿 命、
ン二次電池と同様な安全性に関する課題が
り 熱 暴 走 反 応 は 起 こ ら ず、 安 全 弁 な ど の 開
て い る。 し た
○
過充電
高い安全性と
あ る の で は、 と の 議 論 も あ る の で、 こ こ で
放 で お と な し く 終 結 す る。 こ の よ う に、
最大電流:572A
最高温度:127.3℃
走による発火、破裂などの大事故には至らず、
が っ て、 こ れ
外部短絡
述べる。
表3 5 , 000 F 級 LIC の安全性試験結果まとめ
通 常 の 非 水 溶 媒 系 EDLC
と同様の安全性が
理論的に保たれているものである。
は LIB
と の 正 極 材 料 の 相 違 に よ っ て、 た と
え 内 部 短 絡 な ど の 事 故 が 発 生 し て も、 熱 暴
LIC
は LIC
の安全性に関して原理的な視点から
考察する。
リチウムイオン二次電池( LIB
)との主要
材料の比較を示した表2の通り、 LIC
と LIB
で は 正 極 材 料 が 異 な り、 LIB
ではコバルト
酸リチウムなどのような金属酸化物が使用
さ れ て い る の に 対 し、 LIC
では活性炭など
の酸素を含まない炭素系材料が使用されて
○
破裂・発火が
ないこと
50
いるのが大きな相違点である。
判定
最高温度:51.5℃
判定基準
1
内部短絡後両者とも短絡電流によりセル
21
結果概要
釘刺し
試験項目
Li
図 10 ソーラ照明灯の適用例
日の出時の散乱日射で十分
⇒最速 朝8:36に満充電
(2008.6.15)
3MJ/m2・day相当の散乱日射エネルギーで十分充電
太陽の黄道にパネルを向けなくても蓄電が可能
長寿命などの特徴からキャパシタが検討さ
デバイスには、その太陽電池との相性の良さ、
降 時 の エ ネ ル ギ ー を 回 生 し、 LIC
に蓄電し
再 利 用 す る シ ス テ ム が 開 発・ 実 用 化 さ れ て
術 で あ り、 エ レ ベ ー タ や ク レ ー ン な ど の 下
(2)
エネルギー回生用途
エネルギー回生も省エネ実現の重要な技
イ ス の 必 要 性 が 注 目 さ れ て い る。 こ の 蓄 電
れているが、 LIC
は通常の EDLC
と比較し
て エ ネ ル ギ ー 密 度 の 高 さ、 優 れ た 自 己 放 電
お り、 工 場 ク レ ー ン へ の 適 用 で は 約
%の
特 性 に よ り、 こ の よ う な 用 途 に 最 適 と さ れ、
照明と組み合わせた街路灯などの照明
LED
灯が実現している(図9、 )。また、太陽
光発電からの系統への取り込みの際の周波
数 変 動、 電 圧 変 動 な ど の 課 題 を 解 消 す る た
め、 LIC
を組み入れた PCS
が早稲田大学ら
により開発され、自然発電エネルギーをいっ
)
。
省エネ効果があるとの実証もされている(図
30
には急速充電が可能な
AGV
(3) 移動体関連用途
移動体には産業用と自動車関連に分かれ
る が、 工 場 用
を 電 源 と し、 非 接 触 充 電 シ ス テ ム と の
LIC
組み合わせによりシステム効率が向上し、
トー
タルコストを低減できるなどのメリットが
大きく、すでに LIC
搭載の AGV
が国内およ
び海外で実用化されている(図 )
。
また、自動車用途には、 HEV
、 P-HEV
、
シ ス テ ム な ど の ブ レ ー キ 回 生、 ア イ ド リ
12
た ん LIC
に 取 り 込 み、 変 動 域 を 低 減 し て 系
統に流すよう設計され、再生可能エネルギー
の有効利用に検討されている ⑶。
11
パ シ タ:
線バスに
へ の 期 待 が 伺 え、 中 国 で は 路
LIC
搭載のキャパシタバスやハイ
LIC
ル寿命を持ち、かつエネルギー密度の高いキャ
求 さ れ, 高 出 力 充 放 電 に 優 れ た 長 い サ イ ク
力 充 放 電 が バ ッ テ リ( 蓄 電 デ バ イ ス ) に 要
ングストップなどの機能により頻繁な高出
EV
10
LIC
日照ゼロの曇天でも満充電になる
~年間40日(55日中)
鉛電池
晴天の日は3時間以内で満充電になる
~年間278日
図9 ソーラー照明灯での実験結果
22
ブリッドバスが検討・実用化されている(図
)
。
LICの今後の展開
こ れ ま で 述 べ た よ う に、 リ チ ウ ム イ オ ン
キ ャ パ シ タ は そ の 特 長 を 活 か し、 再 生 可 能
エネルギー、
エネルギー回生などのエネルギー
進んでいくものと確信している。
とした移動体への応用分野も更なる拡大が
号の記事をそのまま会報用に編集したものです。)
(この記事は技術総合誌〔OHM〕2016年3月
) T.Morimoto et.al.
: Meeting
◆参考文献◆
(
, 2001-1,
, 2001
abstracts
ECS
p.270
(2)吉野彰ほか:第 回電池討論会予稿集,
日
図 12 AGV 用 LIC モジュールと適用例
, 2002
p.458
(3)日経産業新聞,2011 年3月
28
43
図 11 工場内ホイストクレーンの電力回生適用例
有効活用、また移動体への応用による効率化、
出典:
(株)産機
環境負荷低減に大きく寄
与することが期待されて
図13 ハイブリッド EV バスの LIC モジュール適用例
い る。 し か し、 現 状 で は
30%の省エネ実現
特殊電極基材を使用する
加速時パワーはLICから供給
定常走行は小型エンジンで発電しモータに供給
減速時は回生エネルギーをLICに蓄電
モジュール総重量:203kg
モジュール総容積:218L
モジュール総重量:128kg
モジュール総容積:128L
通常のEDLC使用の場合
×15シリーズ
た め の コ ス ト 面 で の 課 題、
LIC使用による小型・軽量化
モータとエンジンのシリアルハイブリッドバスシステム
に比べての内部抵
EDLC
抗、低温特性の課題がある。
今 後 は、 電 極 基 材 の 製
法開発によるコスト低減
バス用モジュール
ACE Pack
(A3000×12S)
が 進 む も の と 期 待 さ れ、
ま た、 特 性 面 で も 電 極 製
造 方 式、 電 解 液 開 発 な ど
に よ る 内 部 抵 抗 低 減、 低
23
温特性改善の開発が活発
化 さ れ て、 自 動 車 を 中 心
巻き下げ動作 14秒
(移動距離 1,200mm)
of
LIC
横行時に使用
M
INV
電源
走行時に使用
走行
横行
LIC回生電力蓄電の効果
1
システム
30%の消費電力低減が可能
降下(回生エネルギー発生)
0.15kWhの蓄電
(満充電)
13
24V LICモジュール
などの輸送機器や建設機械などへの採用が
用 蓄 電 デ バ イ ス と し て 自 動 車、 バ ス、 電 車
回 生 用、 あ る い は 急 速 充 電 可 能 な 自 立 電 源
省エネルギーを目的とした制動エネルギー
昨 今、 地 球 環 境 問 題 が 喫 緊 の 課 題 と な る 中、
か ら、 様 々 な 機 器 に 使 用 さ れ て き た。 特 に
入 出 力 性 能 や 寿 命・ 耐 久 性 能 を 有 す る こ と
キ ャ パ シ タ は、 二 次 電 池 に は な い 優 れ た
蓄電機構を持つ電極により蓄電能力向上を
を 本 質 的 に 備 え て い る。 し た が っ て、 こ の
寿 命・ 耐 久 性 能 と い っ た キ ャ パ シ タ の 強 み
ク な 蓄 電 機 構 に よ り、 優 れ た 入 出 力 性 能 や
は、 こ の ユ ニ ー
こ の タ イ プ で あ る。 EDLC
り、 現 在、 市 場 に あ る キ ャ パ シ タ の 多 く は
持 つ 電 気 二 重 層 キ ャ パ シ タ(
気二重層を利用して電荷を蓄える機構を
活性炭と電解液との界面に形成される電
次世代キャパシタへの期待
ナノハイブリッドキャパシタ( NHC
)
積極的に進められている。しかし、
現状のキャ
目指すのが本来あるべき姿であろう。しかし、
日本ケミコン㈱理事、技術本部 基礎研究センター長 玉光 賢次
パ シ タ の 蓄 電 能 力 は、 近 未 来 の こ れ ら 市 場
の 飛 躍 的 な 蓄 電 能 力 向 上 は、 か な り
EDLC
キャパシタの持つ優れた入出力性能や寿命・
力 向 上 の た め、 電 極 で あ る 活 性 炭 の 比 表 面
難 し い 状 況 に あ る。 従 来、
)であ
EDLC
要 求 に ま っ た く 応 え ら れ な い。 市 場 か ら は
耐 久 性 能 は 維 持 し つ つ、 数 倍 と い う レ ベ ル
積の拡大を様々な賦活法により試みられて
の重量容量密度は活性
EDLC
炭 の 比 表 面 積 に 比 例 し て 増 加 す る が、 残 念
る。 し か し、
程度まで達してい
きた。現在、 3,000m2/g
の蓄電能
EDLC
で蓄電能力向上を期待されている。
次世代キャパシタ
従 来 型 キ ャ パ シ タ は、 分 極 性 電 極 で あ る
な が ら 体 積 容 量 密 度 は、 比 表 面 積
~
2,000
あたりでピークに達し、それ以
2,500m2/g
上 の 比 表 面 積 の 拡 大 は、 逆 に 体 積 容 量 密 度
を低下させることが報告されている ⑴。これ
は 過 度 の 賦 活 に よ る 細 孔 体 積 の 増 大 が、 活
性炭のかさ密度を低下させるためである。
こ の よ う に、 ラ ン ダ ム な 細 孔 を 持 つ 活 性
炭の単位体積当たりの比表面積向上は限界
に 近 い た め、 最 近、 ー ボ ン ナ ノ チ ュ ー ブ
)やグラフェンなど積極的に構造制御
( CNT
では、充放
CNT
できる規則性のある材料を使用する研究開
発 が 盛 ん に 行 わ れ て い る。
電レスポンスが極めて優れたキャパシタ電
⑶
が報告
極 ⑵や高耐電圧化が可能な単層 CNT
⑷~⑹
されて
さ れ て い る し、 グ ラ フ ェ ン で は、 従 来 の 活
性炭電極の2~3倍の容量も報告
お り、 デ バ イ ス レ ベ ル で 使 い こ な す こ と が
として市場要求に
で き れ ば、 次 世 代 EDLC
年
2015
月 に 日 本 ゼ オ ン( 株 ) が
ミートしたものになるであろう。単層 CNT
で は、
11
24
+活性炭
+活性炭
LIC
LIC
2.0
2.0
ーー
LTO
LTO
NHC
NHC
LTO
LTO
電極
電極
電位 / V vs. Li/Li++
電位 / V vs. Li/Li
電極とし
EDLC
世 界 初 の 量 産 工 場 を 立 ち 上 げ、 ま も な く 量
産を開始すると発表した ⑺。
に使用するに
EDLC
て は、 理 想 に 近 い 構 造 で あ り 期 待 で き る が、
自動車用などの大型の
はコスト低減が課題である。また、グラフェ
ン に つ い て は、 デ バ イ ス レ ベ ル で 性 能 を 報
告 し た 例 が 見 当 た ら な い の で、 ま だ 研 究 段
+活性炭
+活性炭 ーグラファイト
ーグラファイト
1.5
1.5
1.0
1.0
1.5V
1.5V
安全性が向上
安全性が向上
0.5
0.5
グラファイト電極
グラファイト電極
00
金属リチウム析出危険領域
金属リチウム析出危険領域
階と思われる。
一方、リチウムイオン電池(
nc
ncLTO/CNF
LTO/CNF
コンポジット材料
コンポジット材料
ナノハイブリッドプロセス
ナノハイブリッドプロセス
Approach
Approach
I. I.
ナノサイズ化
ナノサイズ化
LTO
particle
LTO
particle
Liイオン泳動距離
Liイオン泳動距離
10μm
10μm
100
100nm
nm
ncncLTO
LTO
ncncLTO
LTO
カーボン
カーボン
ナノファイバー
ナノファイバー
(CNF)
(CNF)
10nm
10nm
Approach
Approach
II.II.
電子パスの構築
電子パスの構築
ee
)電極と
LIB
電極を組み合わせたハイブリッドキャ
EDLC
パ シ タ は、 キ ャ パ シ タ の 強 み の 一 部 は 失 わ
れ る が、 近 未 来 の キ ャ パ シ タ と し て は 現 実
図1 ハイブリッドキャパシタの電極構成と負極の作動電位
図1 ハイブリッドキャパシタの電極構成と負極の作動電位
+ +
LiLi
+ +
LiLi
ee
15
15
~~
30nm
30nm
図2
図2
ポジット材料
ポジット材料
100
100
nc
ncLTO/CNF
LTO/CNF
80
80
容量維持率[%]
容量維持率[%]
用グラファイト電極を用いたハ
LIB
的 で あ る。 こ の タ イ プ の キ ャ パ シ タ の 中 で、
負極に
イブリッドキャパシタであるリチウムイオ
) が す で に 製 品 化 ⑻さ れ
LIC
は入出力性能や寿命性能を損
LIC
ン キ ャ パ シ タ(
て い る。
25
イオンパス
イオンパス
60
60
40
40
20
20
電子パス
電子パス
図3
図3
市販のLTO
市販のLTO
00
50100
100150
150200
200250
250300
300350
350400
400
0 0 50
Cレート
Cレート
と し て 有 望 で あ る。 し か し、 負 極 に 使 わ れ
力 向 上 を 実 現 し て お り、 次 世 代 キ ャ パ シ タ
な う こ と な く、 EDLC
の3~4倍の蓄電能
オーバーシュートによるリチウムメタルの
急速充電時や低温での充電時の負極電位の
程度高い。そのため、
ラファイト電極より 1.5V
電極の作動電位は、 LIC
で使用するグ
LTO
結晶間の高速電子パスを構築するためである。
めであり、
ウムイオンのアクセシビリティを上げるた
ムイオンの結晶内泳動距離を短縮してリチ
イ ズ を ナ ノ オ ー ダ ー に す る こ と は、 リ チ ウ
を添着したのは
nc-LTO
るグラファイトの作動電位が低いので、 LIB
析 出 懸 念 や 両 端 子 短 絡 に よ る 不 具 合 が な く、
スポンスを大きく改善できる。
に
CNF
の欠点を一部引き継いだバッテリライクな
実 際、 図 3 に 示 す よ う に、 高 レ ー ト 時 の レ
結晶の歪がほ
LTO
安 全 な セ ル を 構 築 す る こ と が で き る。 ま た、
充放電によって電極材の
の
EDLC
ハ イ ブ リ ッ ド キ ャ パ シ タ で あ り、
ようにラフに取り扱えないところに問題が
電極のハイブ
LIB
リッドであるが充放電曲線は放電に伴い電
は、 EDLC
電極と
NHC
に よ る 劣 化 が 極 め て 小 さ い。 こ の 2 点 か ら
圧が変化するキャパシタライクなものとなる。
と ん ど 生 じ な い こ と か ら、 充 放 電 サ イ ク ル
も同じタイプのハイブリッドキャパシタで
比較的ラフに取り扱っても不具合を生じに
の特性を表1にま
代 表 的 な サ イ ズ の NHC
)
NHC
あ る が、 負 極 の 電 極 材 料 を 変 更 す る こ と で、
くく、長寿命・高耐久が期待できる。しかし、
ある。ナノハイブリッドキャパシタ(
よりキャパシタライクなハイブリッドキャ
の 2 倍 か ら 3 倍 に で き る。
よ り 従 来 の EDLC
と め た。 容 量 は 上 述 の よ う に、 電 極 設 計 に
内 で の リ チ ウ ム イ オ ン 泳 動 も 遅 い の で、 急
に は 及 ば な い が、 そ
直 流 内 部 抵 抗 は EDLC
は 電 気 伝 導 性 が 低 い こ と に 加 え、 結 晶
LTO
速 充 放 電 時 の レ ス ポ ン ス に 問 題 が あ る。 こ
と同
レ ー ト 特 性 は セ ル 体 積 当 た り で EDLC
れに近い性能である。また、図4に示す通り、
nc-
等の性能である。また、電池電極とハイブリッ
結晶(
LTO
)が電子伝導性のよいカーボン基材(図
LTO
ド 化 す る と、 ど う し て も 電 池 電 極 の 欠 点 を
引き継いだデバイスとなりがちだが、 NHC
)表面に添着された
CNF
コンポジット材料が超遠心ナノハイブ
CNF
⑼、⑽
は そ の 傾 向 を 最 小 限 に 抑 え て い る。 例 え ば、
リッド技術によって創製された
。結晶サ
の場合
/
nc-LTO
ナノオーダーに微細化された
の 問 題 を 解 決 す る た め、 図 2 に 示 す よ う な、
パ シ タ と な っ て い る。 ま だ 開 発 中 で あ る が、
の進化系として使いやすいハイブリッ
LIC
ドキャパシタとして期待されている。
ナノハイブリッドキャパシタ(NHC)
の 電 極 構 成 を 図 1 に 示 す。 正 極 に
NHC
)
活性炭電極、負極にチタン酸リチウム( LTO
の 2 ~ 3 倍 程 度 向 上 す る。
EDLC
電 極 と い う 構 成 で あ る。 こ の 電 極 構 成 に よ
り、 容 量 は
26
C.
C.
mo
d
e
容量維持率[%]
2,300
直流内部抵抗
[mΩ]
0.8
<1.2
<0.8
エネルギー密度
[Wh/L]
4.2
13
10.0
10.4
8.7
13.0
e
セル電圧[V]
e
od
.m
3,000
od
m
C.
C.
de
o
.m
C.C
C.C
1,200
2,000
1,500
/
nc-LTO
材料のコストが
CNF
う 一 段 の 性 能 向 上 は 必 要 で あ る。 ま た 現 状
ま っ た く 同 等 に す る こ と は で き な い が、 も
セル電圧[V]
容量
[F]
注1)0Vまで放電も場合によっては可能
2)マッチドインピーダンス法による最大出力密度
(V2/4R(R:DCIR))
し か し、 ま だ サ イ ク ル 寿 命 性 能、 高 温 耐 久
NHC
容量維持率[%]
1.4注1)~ 2.8
同 種 の LIC
で は、 短 絡 す る
1.4注1)~ 2.8
とセル内部でガス発生が起
0 ~ 2.5
こ り、 不 具 合 に 至 る 可 能 性
作動電圧範囲
[V]
が あ る が、 NHCは 短 絡 し
て放置してもガス発生など
による不具合は発生しない
し、 そ の 後、 電 圧 処 理 す れ
ば再度使用することができ
Φ40×150L
に は 及 ば な い。 こ れ は
EDLC
では、負極
図4 NHC のレート特性
電流密度
[A/L]
電流密度
[A/L]
1,000
500
0
0
EDLC
40
40
る。 電 池 に は な い キ ャ パ シ
Φ40×150L
性能について
C.V. mode
(30min)
タ の 大 き な 強 み は、 誤 っ て
Φ40×150L
時間
時間
過 充 電、 過 放 電、 端 子 短 絡
などを行っても致命的な不
は、 ま さ
NHC
ケースサイズ
蓄 電 機 構 か ら く る 本 質 的 な 問 題 で あ る の で、
20
20
80
NHC
80
2,000
1,500
1,000
500
0
0
100
100
60
EDLC
60
具 合 が 起 き な い の で、 比 較
こ と で あ る。
と比較し
LIC
パワータイプ
最大パワー密度注2)
[kW/L]
(b)CC mode
120
(a)CC CV mode
120
的ラフに扱っても問題ない
にその意味で
てよりキャパシタライクな
ハイブリッドキャパシタと言える。
以 上 述 べ て き た よ う に、
エネルギー
タイプ
は EDLC
の
NHC
従来EDLC
次を担うキャパシタとして有力な候補である。
27
表1 ナノハイブリッドキャパシタの性能
の課題と言える。
NHC
の活性炭に比べて高いことも否定で
EDLC
きない。この2点が
次世代キャパシタのステップとして
に お い て、 負 極 材 に 電 池 電 極 を 使 用
NHC
しながらキャパシタライクな急速充放電が
電極の LTO
可能になるのは、負極材の LTO
粒子サイズをナノオーダーとして蓄電に寄
与する電荷移動をできるだけ粒子界面で行
う か ら で あ る。 そ の メ カ ニ ズ ム か ら 言 え ば、
Vol. 75,No4, 379
2007
:
T.Morimoto
Tanso,
189
188
1999
: Electrochemistry,
Y.Honda,M.Ishikawa
◆参考文献◆
⑴
⑵
,
:
M.Stoller, S.Park, Y.Zhu,J.An,R.Ruoff
Electrochemistry, Vol. 75. No4, 374
Lett., Vol.8,p. 3498,2008
.html
エナジー社ホームページ
Nano
2007
http://w w w.
⑹
H.Zhang,
K.Wang,
Zhang,H.Lin,X.Sun,C.
: Chem.A,3,11277,2015
Lia,Y. Ma,J.Mater
( 7) http://www.zeon.co.jp/press/ 151111
2014
⑸ Y.Xu,Z.Lin,X.Zhong, X.Huang,N.Weiss,Y.
: Nature commun.5, 4554,
Huang, X.Duan
⑷
⑶ S .Su e m at s u, K . M a c hid a , K .Ta m a mit s u,
:
H.Hatori
,
:
K.Naoi,S.Ishimoto,J.Miyamoto,W.Naoi
Sources,195,6250,2010
Energy Environ.
Sci.,5, 9363, 2012
⑾直井勝彦:次世代電池
「超遠心ナノハイブリッ
2014
ド技術による電極材料の革新」, pp. 148
,
159
⑽
など
jmenergy.co.jp/
⑼ K.Naoi,S.Ishimoto,Y.Isobe,S.Aoyagi
: J.Power
⑻
X.
正極材も同様の考え方でレスポンスのよい
材 料 構 造 を 生 み 出 せ れ ば、 入 出 力 性 能 を あ
る程度維持しながらさらなる大容量化が可
能 に な る は ず で あ る。 も ち ろ ん、 そ の た め
にはナノサイズ化による様々な問題点の解
決 も 同 時 に 行 う 必 要 は あ る。 現 在、 そ の よ
うな戦略でナノハイブリッド技術を応用し
は、
た正極材の研究も行われている ⑾。 NHC
,
,
-
その究極の蓄電デバイスのステップとして
捉えることもできる。
JM
日経
, 2014
号の記事をそのまま会報用に編集したものです。)
(この記事は技術総合誌〔OHM〕2016年3月
BP
28
電気二重層キャパシタの劣化診断と寿命予測
について触れる。
(1)静電容量
が持っている蓄電性
EDLC
キャパシタフォーラム 理事、企画委員 木下 繁則
明星大学 理工学部 総合理工学科 電気電子工学系教授 石田 隆張
本稿ではまず、電気二重層キャパシタ(以
) の 劣 化、 寿 命 の 定 義 に つ い て
下: EDLC
静 電 容 量 は、
能 を 表 す 特 性 で 単 位 は[ F ] で あ る。 静 電
説 明 し、 劣 化 の メ カ ニ ズ ム、 ま た、 そ の 劣
化特性に与える要因を明らかにする。その後、
(2)内部抵抗
内 部 抵 抗 は、
の内部の電気抵抗を
EDLC
静電容量は経時に伴って減少する。
容量は電圧および温度によって影響を受ける。
⑴~⑷
。
の劣化状態と残存余命
劣化特性から EDLC
の推定の方法について紹介する
劣化のメカニズム
た 特 性 で、 単 位 は[ Ω ] で あ る。 内 部 抵 抗
等価的に直列に接続されたものとして表し
劣 化 と は、
「物理的変化などにより品質や
は 温 度 に よ っ て 大 き く 影 響 を 受 け る。 内 部
1.劣化の定義
性 能 な ど が 損 わ れ た り、 技 術 革 新 で よ り 優
抵抗は経時に伴って上昇する。
す ⑵。
静電容量の劣化特性の実測例を図1に示
(1)静電容量の劣化特性
2.劣化の実測例
れ た 製 品 が 出 現 す る こ と に よ り、 性 能 が 相
対的に低下する現象」である。
の 主 要 性 能 は、 静 電 容 量 と 内 部 抵
EDLC
の劣化とは、
「静電容
抗であるので、 EDLC
量の減少と内部抵抗の増加」という定義と
す る。 こ こ で、 静 電 容 量 と 内 部 抵 抗 の 定 義
(2)内部抵抗の劣化特性
内部抵抗の劣化特性の実測例を図2に示
す ⑵。
3.EDLC の劣化原因
セルの基本構成材料は、
EDLC
① 集電極:アルミ材(有機電解液の場合)
② 分極性電極:活性炭または炭素と電解液
③ セパレータ:紙(有機電解液の場合)
であり、これらの構成材料を容器に入れて、
外気と遮断するため容器をシールしている。
(1)主な劣化の原因
上 記 の 構 成 材 料 の う ち、 ア ル ミ 材、 活 性
炭 お よ び 炭 素 そ の も の、 セ パ レ ー タ は 本 質
的 に は 劣 化 し な い。 ま た、 不 純 物 が 含 ま れ
ない純粋な電解液も劣化は生じない。
⑸、 ⑹
。
電 解 液 を 劣 化 さ せ る 大 き な 要 因 は、 電 解
液の水分量の増加であると考えられる
の電解液における水分量の増加とな
EDLC
る原因として、以下の3点が考えられる。
29
① 製造時における水分の侵入
告がある ⑸。この結果、電解液中の不純物が
(2)劣化原因の詳細
前 述 し た 主 な 劣 化 原 因 の 中 で、 温 度 と 充
電電圧の影響について、以下で深堀する。
原 因 と な り、 電 解 液 の 分 解 が 発 生 す る こ と
が考えられる。
① 温度の影響
電 解 液 精 製 時 に わ ず か で は あ る が、 不 純
物 が 電 解 液 に 混 入 す る。 さ ら に、 セ ル 状 態
③ 継続的な充電電圧による劣化
電解液の劣化は間接的に温度の影響を受
との間には
「 ア レ ニ ウ ス の 法 則 」 と は、 化 学 反 応 の
(1)
・・・・・・
は気体定数(
は頻
)、
=8.31J/mol-K
は 反 応 に 固 有 の 定 数 で、
は活性化エネルギーと呼ばれ
Svante
ので、アレニウス式と呼ばれる(1)。
によって提出されたも
August Arrhenius
度 因 子、
および
こ こ で、
近似的に次の関係式が成り立つ。
と絶対温度
他 に も、
間とともに
特性が劣化
T
劣化の原因
することも
K
る。 こ の 関 係 は、 ス ウ ェ ー デ ン の
られる。
A
R
Ea Ea
として考え
A
る劣化で時
速度は一般に温度によってかなり大きく変
継続的な電圧印加により電解液の分解が
70
初 60
期
内 50
部 40
抵
抗 30
変
化 20
率 10
[%] 0
電解液内の
分がセル内部に浸入する。
静
電 15
容 20
量
変 25
化 30
率
[%]35
40
化し、速度定数
け る。 電 解 液 の 温 度 の 影 響 は、 他 の 化 学 電
5
不純物によ
発 生 し、 イ ン キ ュ ベ ー タ ー 内 の 空 気 中 に 含
10
② 過電圧印加時の温度上昇
70℃
60℃
50℃
40℃
池と同じようなアレニウスの法則が適用さ
では防爆弁部およびシール部から外気の水
80
まれる微量の水分を電解液が吸収すること
図1 EDLC の静電容量の経時特性例
過 電 圧 を 印 加 す る と 内 部 抵 抗 が 増 加 し、
45
れる。
70℃
が考えられている ⑹。
60℃
表 面 の 温 度 が 上 昇 す る、 と の 研 究 報
EDLC
時間[h]
50
2,500
2,000
1,000
1,500
時間[h]
500
0
20
40℃
50℃
10
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
0
図2 EDLC の静電容量の経時特性例
30
図4 ED
使用温度
[℃]
出典:岡村廸夫:電気二重層キャパシタと蓄電システム第3版
図4-20、p.115、日刊工業新聞社
60℃
70℃
に 加 え て、 運 用 上 発 生 す る 劣
化 要 因 が あ る。 そ れ ら は 主 に
経時とともに劣化する静電容
量に関するカレンダー劣化と、
充放電使用回数によって劣化
特性
するとされるサイクル劣化で
ある。
(1)静電容量劣化
図1では特性劣化が時間に
対して非直線であるのに対し、
時間の平方根に対する特性劣
化量は図4に示すように直線
の静電容量劣化の
になる。これが EDLC
特性である(1)。このように劣化特性が直
電圧と寿命の関係の一例として、
上昇
0.1V
線 で 表 さ れ る と、 後 述 す る 残 存 余 命 推 定 が
容易になる。
図1の実測特性を
ようになる。
特 性 は、 す べ て の
特性で表すと図5の
すると寿命の短縮率は2倍になると参考文
献 ⑴は示している。
③ 温度と電圧の影響
温度と電圧の影響の一例を図3に示す。
静電容量劣化の
40℃
明 確 に な っ て い な い。 こ の た め、 実 際 の 適
製造者に確認する
用 に あ た っ て は、 EDLC
ことが望ましい。
(2)内部抵抗の劣化特性の直線化
内 部 抵 抗 の 劣 化 特 性 も、 図 2 に 示 し た よ
う に 時 間 に 対 し て は 非 直 線 で あ る。 こ の 劣
化特性も静電容量と同じく図6のように直
線 化 で き れ ば、 抵 抗 を 用 い た 残 存 余 命 の 推
経時特性(実測例)
300
250
200
図5 ED
図3 EDLC の寿命と温度、電圧の関係の一例
電 解 液 の 劣 化 は 充 電 電 圧 の 影 響 を 受 け る。
② 電圧の影響
2.8
10年
出典:岡村廸夫:電気二重層キャパシタと蓄電システム第3版
図4-20、p.115、日刊工業新聞社
0
4.EDLC の劣化特性
に 適 用 さ れ る か は 現 時 点 で は、 ま だ
EDLC
経時特性
図4 EDLC の静電容量の
5年
1年 2年
√[h]
使用電圧
[V]
3.0
2.9
2.8
2.7
2.6
2.5
2.4
0.1
2.3
使用電圧
[V]
の劣化の物理的要因
EDLC
31
50℃
2.5Vで寿命10
年間を基準と
したEDLCの寿
命計算例
10
以上に示した
寿
命 1
図5 EDLC の静電容量の
図3 EDLC の寿命と温度、電圧の関係の一例
0
150
使用温度
[℃]
100
3.0
2.7
2.9
2.6
2.5
30
2.4
100
50
0
0
-10
-20
静
電 -30
容 -40
量
変 -50
化 -60
率
[%]-70
-80
-90
-100
30
40
50
60
70
2.5Vで寿命10
年間を基準と
したEDLCの寿
命計算例
40
0.1
2.3
規定寿命
√[h]
10
80
[F]
90
静
電
容
量
静 電 容 量 は 経 過 時 間[h]の√ に
比例して直線的に減少する
[%]
0
-10
-20
静
電 -30
容 -40
量
変 -50
化 -60
率
[%]-70
-80
-90
-100
寿
命 1
50
60
70
80
[F]
90
静
電
容
量
定 が 容 易 に な る も の の、 現 時 点 で は ま だ 直
で あ れ ば、 理 論 的 に は
わ な い 物 理 的 蓄 電 で あ る の で、 温 度 が 同 じ
規定寿命
√[h]
図6 EDLC 内部抵抗の経時特性
電圧印加時間
特性変化量
静電容量:-
以内
時間
:2, 000
%以内
内部抵抗:+ 200
の 寿 命 と し て、 劣 化 と 同 じ よ う な
EDLC
る 特 性 劣 化 は な い と 言 え る も の の、 現 時 点
前 述 の 通 り、 理 論 的 に は サ イ ク ル 数 に よ
(2)サイクル寿命(サイクル数)
考え方でカレンダー寿命とサイクル寿命と
では明確になっていない。
(1)カレンダー寿命
の寿命はこのカレン
EDLC
ダ ー 寿 命 で 表 し て い る。
蓄 電 デ バ イ ス と し て、 現 在 ど の 程 度 の 利
一 般 的 に は、
増大に伴っ
位 は 時 間 ) は、 現 状 で は「 規 定 温 度、 定 格
用 可 能 エ ネ ル ギ ー が 蓄 電 さ れ て い る か、 ま
1.基本知識
て、 あ た か
電 圧 の フ ロ ー テ ィ ン グ で、 主 要 性 能 で あ る
た 劣 化 状 態(
の 寿 命( 単
EDLC
も サ イ ク
静電容量または内部抵抗特性の劣化量が規
どのくらい進んでいるのかという寿命を知
それらの考え方の差異を明確化する。
を 比 較 し て、
あ る。 ま ず、 化 学 電 池 と EDLC
ム を 運 用 す る う え で、 非 常 に 重 要 な 技 術 で
) が、
State Of Health
ル劣化した
定 量 に 達 す る 時 間 」 で、 製 品 規 格 値 と し て
ることは蓄電デバイスを組み込んだシステ
温度:最高カテゴリー温度
:
SOH
か の よ う
表示されている。
の寿命に対応する規格値
現 状 で の EDLC
電原理が化
電圧:定格電圧
の一例を次に示す ⑺。
学変化を伴
EDLCの 蓄
る 。 し か し、
に 劣 化 す
状態監視、劣化診断
がある。
5.EDLC の寿命
30
にはサイクル
EDLC
線化表示は明確になっていない。
Δ = ・√
0
は明確になっていない。
数 の 制 限 は な い と 言 え る も の の、 現 時 点 で
内
部
抵 200
抗
変
化
量
100
Δ
%
(3)サイクル劣化特性
サ イ ク ル 特 性 は、 規 定 条 件 の 充 放 電 動 作
の主要性能である静電
を さ せ た 時、 EDLC
容量または内部抵抗の劣化量が規定値に達
するまでのサイクル数で表される特性である。
サイクル数の増大に伴って経時時間も増
大して経時に伴う劣化およびセル温度上昇
内部抵抗は経過時間
[h]
の√ に
比例して直線的に増加する
に 伴 う 劣 化 が 現 れ、 見 掛 け 上 サ イ ク ル 数 の
[%]
300
32
電流波形
電流波形
Δ
Δ
電池の状態
検知
一般的に
化学電池の
残存容量
は、 OCV
データ集計期間
データ集計期間
4
4
3
3
計測終了
計測終了
計測開始指令 計測期間
計測開始指令 計測期間
2
2
1
1
図 10 EDLC の内部抵抗のオンライン計測
図 10 EDLC の内部抵抗のオンライン計測
かつ精度よく検知するこ
る。しかし、 OCV
を直接
静 電 容 量 が 既 知 で あ る の で、
子電圧から知ることができる。
2 乗 に 比 例 す る の で、 蓄 電 エ ネ ル ギ ー は 端
電 流、 電 流 パ タ ー ン、 温
の他に、充放電
め、 OCV
が で き る。 言 い 換 え れ ば、 残 っ て い る 蓄 電
る エ ネ ル ギ ー を 簡 単 に、 か つ 直 接 知 る こ と
子 電 圧 を 測 る こ と に よ っ て、 蓄 え ら れ て い
の端
EDLC
と は 困 難 で あ る。 こ の た
度、 電 圧 降 下 お よ び 経 時
の 静 電 容 量 の 経 時 変 化 も、
ま た、 EDLC
エネルギーを簡単に知ることができる。
状態との関係を予めテー
後述する方法で簡単に知ることができるので、
などのパラメータと劣化
ブル化しておき、このテー
残存蓄電エネルギー状態を精度高く推定で
]と電圧
[
] は、
]と
の変化量を確認する。
計 測 す る。 前 回 の 計 測 値 お よ び 初 期 値 か ら
および時間の決められた条件で静電容量を
計 測 時 に シ ス テ ム を 停 止 し て、 電 流、 電 圧
法 で あ る。 定 期 点 検 作 業 と し て 決 め ら れ た
の検知方法として望ましい方
の で、 EDLC
この方法は計測条件を常に同じにできる
(1)計測の基本(オフライン計測)
2.静電容量の測定
きるのが大きな特徴である。
ブルから残存容量を推定
)も同様に直接推定
SOH
存寿命を推定している。
(2)EDLC の状態検知
[
EDLC の 充 電 エ ネ ル ギ ー
単純に静電容量
上 式 か ら、 蓄 電 エ ネ ル ギ ー は 端 子 電 圧 の
・・・・・・・・(2)
から次式で表される。
[
す る こ と は 困 難 で、 上 記 と 同 様 な 方 法 で 残
電池の劣化状態(
する方法などが採用されている(8)。また、
Δ
Δ
( 1)化 学
電圧波形
電圧波形
(開放端子
J
V
E
V
図8 EDLC の静電容量のオンライン
図8 EDLC の静電容量のオンライン
計測
計測
電圧)か
F
図9 EDLC の内部抵抗のオフライン
図9 EDLC の内部抵抗のオフライン
計測
計測
計測終了
計測終了
計測開始
計測開始
図7 EDLC の静電容量のオフライン
図7 EDLC の静電容量のオフライン
計測
計測
ら推定す
33
C
電流波形
電流波形
2
2
1
1
電流波形
電流波形
0
0
電圧波形
電圧波形
2
2
1
1
0
0
Δ
Δ
Δ
Δ
電圧波形
電圧波形
Δ
Δ
電圧波形
電圧波形
電流波形
電流波形
)
[F]
1
0
√[h]
図 11 残存余命を推定する特性図
す
目視検査
( 2)
L2
新規定寿命
1年
定期検査
C、R測定、
電圧分担
定期検査
定期検査
C、R測定、
電圧分担
う
図 14 EDLC のメンテナス周期
よ
定期検査
C、R測定、
電圧分担
静電容量(エネルギー換算法)
示
運転開始
電圧分担、 電圧分担、C、R測定、
外観検査 外観検査 電圧分担
r
は内部抵抗
に
1年
ここで、
9
6か月
・・・・・・(5)
L2
新規定寿命
3.内部抵抗の計測
( 2)
L1
規定寿命
(1)オフライン計測
( 1)
√[h]
3か月
C
システムを稼動させた状態で図8に示した
実時間= 2+Δ
3か月
定期検査
C、R測定、
電圧分担
L2
(Δ )
図
L2
Δ
よ う に 電 流、 電 圧 お よ び 時 間 か ら 静 電 容 量
Δ
2
L1
( 1)
L1
を 計 測 す る 方 法 で あ る。 こ の 場 合、 計 測 時
L2
図 13 残存余命を延伸する特性図
量
C
期(または周囲温度)、電流、電圧の計測条
Δ
[F]
0
定期検査
は式(4)または式(5)によっ
L1
Δ
-
目視検査
図 14 EDLC のメンテナス周期
・・・・・・・(4)
Δ
2
L2
6か月
Δ
(Δ )
規定寿命
3か月
静電容量
運転開始
100
Δ=
√[h]
電圧分担、 電圧分担、C、R測定、
外観検査 外観検査 電圧分担
L2
図 12 残存余命を延伸する考え方
90
静
電
容 80
量
C
件はできるだけ同じにするのが望ましい。
3か月
経時(時間)
[%]
100
2
L1
て求める。
規定劣化量
緩和:Δ L2
L1
規定劣化量
緩和により
使用可能時
Δ
間の増大:
L1
使用可能時間
(劣化規定量緩和):
-
実時間= 2+Δ
静電容量(電荷法)
使用可能時間
(規定劣化量):
0
2
L2
L1
図 13 残存余命を延伸する特性図
規定劣化量:
Δ
性
能
(
相
対
値
)
Δ=
は式(3)によって
(Δ )
Δ
・・・・・・・(3)
Δ
[F]
Δ
は、 充 電 時 ま た は 放 電 時 で
2
90
静
電
容 80
量
静電容量
2
の 規 定 時 間 内 の 電 圧 の 変 化 量、 電 流 積 分 値
1
を 計 測 す る こ と に よ っ て 知 る こ と が で き る。
Δ
-
図 7 は、 充 電 動 作 時 の 計 測 例 に つ い て 示 し
Δ
2
た も の で、 静 電 容 量
Δ=
(
1
100
求める。
残存余命実時間: Δ
1
[%]
100
静電容量
Δ
1
(2)オンライン計測
90
静
電
容
量 80
許容静電容量減量:
こ の 方 法 は シ ス テ ム を 停 止 で き な い 場 合、
[%]
100
に 、
34
であ
推 定 さ れ る の で、 残 り 時 間
は ー
了する
るので、残存余命時間 が推定される。
は充電電流または放電電流を急峻に
EDLC
③ 計測区間のデータを集計し計算する
は、 次 の よ う に し
変 化 さ せ る と、 端 子 電 圧 に は 内 部 抵 抗 に 比
の残存余命時間
は、
まで延ばす
に対
に
となる
・・・・・・・・(8)
から
を 用 い て 説 明 す る。 寿 命 時 間
長 く な り、 寿 命 時 間 は
定 し て い る の で、 規 定 変 化 量 を 緩 和 す る こ
の変化量が規定値に達した時間を寿命と規
の 寿 命 は、 静 電 容 量 ま た は 内 部 抵 抗
EDLC
超 え て も、 あ る 期 間 は ほ ぼ 線 形 に 変 化 す る。
よ う に( 図 5 は 静 電 容 量 の 特 性 )、 寿 命 を
の経時に対する特性は図5に示す
EDLC
(2)EDLC の残存余命延伸
ことができる。
し
変 化 量 を 拡 大 さ せ れ ば、 寿 命 時 間 は
時間である。規定変化量
寿命として規定された変化量
図
(1)残存余命延伸の考え方
5.EDLC の寿命時間の延伸
て推定する。
図
④ 抵抗は式(7)から求める
・・・・・・・(7)
例 し た 急 峻 な 電 圧 変 動 が 現 れ る。 こ の 電 圧
変動を計測することにより内部抵抗を式
(6)
4.EDLC の残存余命の推定
に よ っ て 知 る こ と が で き る。 内 部 抵 抗 は 時
間 と と も に 変 化 す る の で、 計 測 点 の 時 間 を
で表した直線
の静電容量劣化が
EDLC
で説明する。
特性)
11
12
で き る だ け 同 じ に す る と と も に 電 圧、 電 流
の残存余命が
に な る こ と は、 容 易 に EDLC
推 定 で き る 優 れ た 特 性 で あ る。 次 に、 静 電
および温度もほぼ同じに合わせることが望
ま し い。 特 に、 電 圧 跳 躍 直 後 の 電 圧 の 大 き
容量の
特性)
: 寿 命 ま で の 残 さ れ た 時 間(
であり、
になるまでの時間は と
)での特性劣化量は
特性)
:使用開始からの現時点までの時間(
:現時点での劣化量
:寿命までの時間(
:寿命時の劣化量
11
特性を利用した残存余命の推定法
さ は、 秒 単 位 域 で は 変 動 す る の で 注 意 を 要
について、図
(6)
・・・・・・・
する。
内部抵抗
(2)オンライン計測
シ ス テ ム 稼 働 中 に、 電 流 急 変 時 の タ イ ミ
ン グ でEDLCの 端 子 電 圧 変 化 幅、 電 流 変
に示す。
化 幅 を 計 測 し て 内 部 抵 抗 を 計 測 す る。 計 測
例を図
である。
現時点(
での計測は、次のように行う。
① 計測開始指令が出されたら計測を始める
寿命の劣化量
図
② 電流変化量が規定値になったら計測を終
35
10
10
とによって寿命を延ばすことが可能になる。
以 下、 図
を 用 い て 説 明 す る。 寿 命 時 間
年 ) で 第 1 回 目 の 定 期 検 査( 初 期 検 査 ) と
を 行 う。 そ の 後 の 3 か 月( 運 転 開 始 か ら 半
る外観検査と電圧分担(モジュール単位での)
とな
は寿命として規定された変化量
し て 静 電 容 量、 内 部 抵 抗、 電 圧 分 担 の 計 測
を 行 う( で き れ ば オ フ ラ イ ン 計 測 が 望 ま し
から変化量
に す る と、 寿 命 時 間 は
いが困難な場合はオンライン)。計測値の初
び残存余命の推定法,
(4)木下,山田,太田:
の劣化特性及
EDLC
年電気学会全国大会, No.4-219
, 2008
(5)田口,稲葉,末永,田中,田島,大坪:
年電気学会全国大会, 7-008
, 2012
(6)木下,吉玉,平川,田中,角田,田島,大坪:
評価,
過電圧印加による電気二重層キャパシタの劣化
H
20
号の記事をそのまま会報用に編集したものです。)
(この記事は技術総合誌〔OHM〕2016年3月
( 8) 電 気 学 会 技 術 報 告 書, 第 1121
号, 自 動
車用電源システムマネジメント技術, 2008
pdf/ 20150929-5.pdf
http://www.chemi-con.co.jp/company/
年9月
日
年電気学会全国大会, 7-011
, 2011
( 7) 日 本 ケ ミ コ ン ニ ュ ー ス リ リ ー ス, 2015
電気二重層キャパシタの劣化メカニズムの解明,
H
24
る 時 間 で あ る。 規 定 変 化 量
まで
長 く な り、 寿 命 時 間 は
を増やした
に対し
期 値 と 比 較 を 行 い、 正 常 で あ れ ば 運 転 継 続
す る。 次 は 半 年 後 に 同 様 の 計 測 を 行 い、 初
期 値 と の 比 較 を 行 う。 正 常 で あ れ ば 運 転 継
続 し、 次 の 定 期 検 査 は 1 年 後 に 行 い、 以 降
寿命がくるまで1年ごとに検査を行う。
◆参考文献◆
(1)岡村廸夫:電気二重層キャパシタと蓄電
システム,第3版,
日刊工業新聞社, 2005
(2)
木下繁則
(岡村廸夫監修)
:電気二重層キャ
〉の特性と上手な使い方,
パシタ〈 EDLC
日刊工業新聞社, 2013
(3)木下繁則:電気二重層キャパシタの残存
余命推定法,
2008
第 3 回, 人 と 環 境 に や さ し い 交 通 を め ざ す 全 国
大会論集,
29
延びる。
メンテナンスの必要性
静電容量および内部抵抗の初期値からの
変 化 量 は、 電 圧 お よ び 温 度 に よ っ て 影 響 を
受 け る の で、 こ れ ら の 特 性 を 数 年 に わ た っ
て 継 続 的 に 計 測 す る た め に は、 で き る だ け
同 じ 条 件、 状 態 で 計 測 す る こ と が 望 ま し い。
例えば、年2回の計測であれば春または秋で、
ほ ぼ 同 じ 周 囲 温 度 と な る 季 節、 年 1 回 で あ
に 示 す。 同
れば決められた月日が望ましい。
検査タイミングの一例を図
テム的に不具合がないかの点検で目視によ
図 で は、 ま ず 運 転 開 始 か ら 3 か 月 目 で シ ス
14
H
23
13
36
があります。
一( オ
) フライン計測 この計測は、システムを停止して、電流、
前号では、電気二重層キャパシタ(EDLC)は劣化で
規 定 時 間 内 の 電 圧 の 変 化 量、 電 流 積 分
静電容量Cは充電時または放電時での
です。
電圧および時期を決めて計測する方法
静電容量が減少し、内部抵抗が増加することを示しまし
電気二重層キャパシタの
劣化診断と残存余命の推定
た。今回はEDLCの劣化診断、残存余命と保守につい
値を計測することによって知ることが
する方法で簡単に知ることができます。端子電圧を測る
簡単に知ることが出来ます。EDLCの静電容量は後述
の2乗に比例するので、蓄電エネルギーは端子電圧から
ネルギーE(J)は静電容量C(F)と端子電圧V(V)
を知ることは非常に重要な技術です。EDLCの蓄電エ
が蓄電されているか、また劣化がどの位進んでいるのか
蓄電デバイスとして、
現在どの程度の利用可能エネルギー
[EDLCの状態検知]
求めます。電荷法は端子電圧から計測する方法で、エネ
静電容量Cは同図に示しました式⑵または式⑶によって
だけ同じにするのが望ましい。
期(または周囲温度)、電流、電圧の計測条件はできる
間から静電容量を計測する方法です。この場合、計測時
動させた状態で図2に示したように電流、電圧および時
二( オ
) ンライン計測
この方法はシステムを停止できない場合、システムを稼
中の式⑴によって求めます。
について示したもので静電容量Cは図
電 圧 変 動 が 現 れ ま す。 こ の
部抵抗に比例した急峻な
化させると端子電圧には内
一
オフライン計測
( ) EDLCは電流を急峻に変
測とがあります。
ライン計測とオンライン計
量の計測と同じようにオフ
[内部抵抗の測定]
で き ま す。 図 1 は 充 電 動 作 時 の 計 測 例
ことによって、蓄えられているエネルギーを簡単に、精
ルギー換算法は内部抵抗の損失を考慮してより正確に計
キャパシタフォーラム 個人会員 木下 繁則
て解説します。
度よく且つ直接知ることが出来ることはEDLCの大き
電圧変動を計測することに
ま す。 内 部 抵 抗 の 計 測 は 同
測定法の一例を図3に示し
よ り 内 部 抵 抗 を 計 測 し ま す。
内部抵抗の計測には静電容
な特徴です。
測できる方法です。
[静電容量の測定]
静電容量の計測にはオフライン計測とオンライン計測と
図 に 示 し ま し た 式( 4) に
よ り 求 め ま す。 前 号 で 説 明
し ま し た よ う に、 内 部 抵 抗
は時間と共にに変化します
の で、 計 測 点 の 時 間 を で き
るだけ同じにすると共に電
37
圧、 電 流 お よ び 温 度 も ほ ぼ
同じにすることが望ましい。
10
二( オ
) ンライン計測
システム稼働中に、電流急変時のタイミングでEDLC
の端子電圧変化幅、電流変化幅を計測して内部抵抗を計
測します。特に、電圧跳躍直後の電圧の大きさは秒単位
域では変動するので注意を要します。計測例を図4示し
る 優 れ た 特 性 で す。
存余命が推定でき
易にEDLCの残
に な る こ と は、 容
が で表わした直線
Cの静電容量劣化
た よ う に、 E D L
前号で説明しまし
余命の推定]
[EDLCの残存
ミングの一例を図7
望 ま し い。 検 査 タ イ
態で計測することが
る だ け 同 じ 条 件、 状
す る た め に は、 で き
たって継続的に計測
らの特性を数年にわ
を受けますのでこれ
温度によって影響
変化量は電圧および
抵抗の初期値からの
静電容量および内部
次に静電容量の 特
は、 ま ず 運 転 開 始 か
に 示 し ま す。 同 図 で
)
ら3ヶ月目でシステ
ム的に不具合がない
かの点検で目視によ
る外観検査と電圧分担検査を行います。その後の3ヶ月
目の定期検査(初期検査)で静電容量、内部抵抗、電圧
常であれば運転継続します。次は半年後に同様の計測し、
分担の計測を行います。計測値の初期値と比較を行い正
EDLCの経時に対する特性は寿命を超えてもある期間
次の定期検査は一年後に行い、以降寿命がくるまで一年
初期値との比較を行います。正常であれば運転継続し、
和することによって寿命を延ばすことができます。
毎に検査を行います。
て規定された変化量 となる時間です。
今号の解説内容は下
記の本に書かれていま
次号はEDLCの保護
す。参考にして下さい。
について解説します。
規定変化量を から変化量 を増やした にすると寿命
EDLCの静電容量と内部抵抗は経時変化し、変化量が
特性を検査してメンテナンスすることが望ましい。
規定値に達すると寿命となります。このため、定期的に
[EDLCのメンテナンス]
時間は に対し、 長くなり、寿命時間は まで延びます。
以 下、 図 6 を 用 い て 説 明 し ま す。 寿 命 時 間 は 寿 命 と し
はほぼ線形に変化します。この特性から規定変化量を緩
[EDLCの残存余命延伸]
図の式(6)となります。
を 引 い た 時 間 と な り ま す。 実 時 間 の 残 存 余 命 時 間 は 同
での時間は と推定されるので、残り時間 は から
で の 特 性 劣 化 量 は で あ り、 寿 命 の 劣 化 量 が に な る ま
余命の推定法について図5で説明します。現時点(
性を利用した残存
T1
T1
ます。
t4
t2
図4での計測は次のように行います。
t3
a 計
(
) 測指令が出された時刻 で計測を開始します。
b( 電
) 流変化量が規定値に入る時刻 から の間で計測
します。
t3
t1
c( 計
) 測区間 時(刻 ~ の)データを集計して、時刻
で計測を終了します。抵抗は同図の式⑸から求めます。
t2
38
企 業 紹 介
企業紹介:
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
国立研究法人 産業技術総合研究所
産業技術総合研究所(産総研)は旧・工業技術院傘下の研究所等
の再編により 2001 年に誕生した公的研究機関です。茨城県つくば市ほか、全国 9 拠点にお
ける常勤研究者は 2000 人を越え、日本の産業や社会に役立つ技術の創出とその実用化や、
革新的な技術シーズを事業化に繋げるための「橋渡し」機能に注力しています。
創エネルギー研究部門・エネルギー変換材料グループはつくばセンターにあり、大容量
キャパシタ用の炭素系電極材料の開発に取り組んでいます。以下、最近の成果の一つであ
る MgO 鋳型メソポーラス炭素(Mg-MPC)キャパシタについて紹介します。
鋳型を用いた多孔質炭素材料は、賦活により調製される市販活性炭に比較すると、必要
なサイズ・形状の細孔が導入可能で、多孔質炭素の高付加価値化の観点から注目されてい
ます。Mg-MPC は MgO 粒子を鋳型とした多孔質炭素材料で、メソ孔構造を精密に制御で
きる上、低コストでの製造法確立により、鋳型炭素としては世界初の工業化に成功しまし
た。この材料は現在、東洋炭素株式会社から CNobel®(クノーベル)として提供されてい
ます。
Mg-MPC の細孔構造の特徴として(1)メソ孔が3次元的につながる(連通孔)(2)メソ孔
と共にミクロ孔が発達、の点が挙げられます。(1)の特徴は細孔内部への物質拡散を促進可
能で、分子の吸脱着、電荷・イオン移動などの応答性能が優れることにつながります。ま
た(2)に関し、全細孔容積の半分近くがミクロ孔由来です。TEM 観察結果からメソ孔を形
作る細孔壁が炭素網面数枚と薄く、網面間の隙間がスリット型ミクロ孔として有効に機能
することが推定されます。これらの特徴は大容量キャパシタ電極の設計上極めて有利であ
り、図に例示するように優れた出力特性(図 1)、また低温特性(図 2)が得られています
(いずれも 1M TEABF4/PC、2 極セルによる測定例。AC:市販活性炭)
。さらに現在は、
ハイブリッド化を含めた新規キャパシタ電極の開発に挑戦しています。
図1
39
出力特性
図2
低温における容量の変化
株式会社大木工藝
【会社概要】
会社名:株式会社大木工藝
所在地:滋賀県大津市中野三丁目㻠番㻝㻟号
㼀㼑㼘 :㻜㻣㻣-㻡㻠㻥㻙㻝㻟㻜㻥
㼁㻾㻸 :㻜㻣㻣-㻡㻠㻥㻙㻝㻥㻟㻟
創 業:昭和㻠㻡年㻠月㻝日
設 立:平成㻥年㻟月㻝㻤日
代表者:大木武彦
資本金:㻢㻜㻜㻜万円
従業員:㻝㻢名
【事業概要】
炭素材料および炭素材料応用製品の研究開発、
製造、販売
(医療・衣料・建築・装飾・美容・電子部品及び調理
器関連製品)
【本件に関する問い合わせ先】
株式会社大木工藝 㻛 㼀㼑㼘 㻜㻣㻣㻙㻡㻠㻥㻙㻝㻟㻜㻥
【会社の強み・コア技術・主力商品】
㼇強み㼉
大木工藝は、炭素材料およびその応用製品の
スペシャリストとして炭素製品を開発して市場に
提供してきた豊富な経験がある。早くから龍谷大学、
関西大学、京都府立医科大学等と共同研究を
実施して産学連携を重視した先端の研究開発に
取組んできた。その結果、独自の製造プロセス、
応用技術を有し、炭素技術に関する広い分野での
知的財産を取得している。
㼇コア技術㼉
高熱伝導炭素シート技術、等方性高密度炭素の
応用と遠赤外線製品応用技術、㻼㻱㼀由来の
高比表面積活性炭製造とキャパシタ電極への
応用などの炭素材料・製品の研究開発及び製造
㼇主力商品㼉
等方性高密度炭素応用製品(調理器・ヘルスケア)
、炭素シート(建築用節電シート)、炭素繊維関連
(スーツ型温熱治療器)、活性炭(エネルギー分野・
産業応用分野)
㻛 㻱㻙㼙㼍㼕㼘㻌㼗㼥㼛㼠㼛㻬㼛㼔㼗㼕㻙㼠㼑㼏㼔㼚㼛㻚㼏㼛㼙
40
企 業 紹 介
アイオクサスジャパン株式会社
当社は、キャパシタフォーラムの名誉会長でありま
2.Xシリーズ
す岡村廸夫氏が1987年に設立した岡村研究所((株)パ
タイタンシリーズのセルを使用した標準モジュールとして
ワーシステム)を母体にした会社です。電気二重層
Xシリーズを開発しました。
キャパシタを用いた蓄電システムの研究活動から始め、 1250F、2000Fならびに3000Fを6直を最小単位とし、
2005年からオムロン様、三井物産様の出資のもとオム
最大48直(3000Fの場合は36直)までシリーズ化しまし
ロン様草津事業所内でキャパシタセル量産設備の操業
た。
を開始しました。
2007年よりラミネート型セルを使用したキャパシタ
モジュールを国内大手ユーザー様へ量産供給を開始し、
ヒートシンク
Heat sink
今なおご使用いただいております。
2012年には、株式譲渡によりアメリカIoxus(アイオ
外観
General
view
クサス)社と合併、セルの開発・生産拠点を一拠点に
集約し、開発・生産効率の向上を図りました。
正面図
Front view
ラック搭載時
When mounted on a rack
セル間をレーザー溶接でつなげていくため、バスバー接続
国内にはラミネート型セルを使用したモジュールの
に比べ低抵抗なモジュールが提供できます。また、外形が
製造ラインを保ち、国内で品質管理された製品を顧客
ヒートシンク構造となっているため、熱抵抗を低く抑えられ
様にお届けしております。
ます。
2013年にはアイオクサスジャパン(株)と社名を変更
RoHS,中国RoHS対応、衝撃、振動もSAE,IEC,ISOの規格を満
し、両社の強みを生かしグローバル展開を図っており
足するものとなっており、また防塵防水(IP76)設計となっ
ます。
ています。
1. キャパシタセル
標準ラックに搭載でき、配線は前面のみで行えます。
元々日本で開発・製造していたプロピレンカーボネートを
電界液としたラミネート型セル(Lタイプ、Uタイプ)に、アメ
リカで開発・製造している捲回型セルが加わりアプローチ
できるアプリケーションの幅が広がりました。また捲回型セ
ルにプロピレンカーボネートを使用した日本向け製品を開
発するなどラインナップを広げています。
表1.主なキャパシタセルの仕様
さらに捲回型セルにてTitan(タイタン)シリーズ、85℃対
応品および2.85V対応品をリリースしました。
2.7V / 85℃
2.7V / 85℃
今後もセル性能の向上を目指し開発に力を入れています。
表1に主なキャパシタセルの仕様を、表2にはタイタン
1250Fの耐久試験結果を示します。
表2.タイタン1250Fセルの耐久試験結果
41
三菱製紙株式会社
三菱製紙株式会社
◎NanoBaseX についての説明
弊社は 1898 年の創業以来、技術の力で社会に貢献す
NanoBaseX は、合成繊維不織布を基材に、弊社がイン
る方針をかかげ、次代のニーズを的確にとらえた付加価
クジェット用紙のトップメーカーとして培った多孔性コーティ
値の高い商品を開発提供して参りました。
ング層形成技術を適用した不織布セパレータです。 (図
本稿では、弊社の不織布技術を活用して誕生しました電
気二重層キャパシタ(EDLC)、リチウムイオン電池(LIB)等
3)。
cross section
セラミック層
セラミック層
の蓄電デバイス用のセパレータ、nanobase シリーズにつ
ポリエステル
不織布
いて紹介いたします(図1)。
図 3 不織布塗工セパレータ NanoBaseX
Separators needed for
superior energy storage
devices
塗層のセラミックと耐熱性の高いポリエステル不織布基材
との相乗効果で、低熱収縮率で安全性の高いセパレータ
を実現しました。図4に示す釘刺し試験の結果の通り、塗
布型微多孔膜を使用した電池は釘の貫通後数秒で発火し
たのに対し、NanoBaseX を使用した電池は発火・発煙にい
たらず、高い安全性の向上効果が確認できます。また、サ
図1 三菱製紙のセパレータ製品 nanobase シリーズ
イクル寿命については、電池の構成によって異なるもの
弊社の nanobase シリーズは大きく分けて、抄紙タイプの
の、高い保液性を有する NanoBaseX が有利になる結果が
NanoBase2 と塗工タイプの NanoBaseX があります。
◎NanoBase2 についての説明
NanoBase2 は、ナノレベルまで微細化されたセルロース
得られており、電池の長寿命化への貢献も期待できます。
LIB の安全性向上の要望は今後も高くなる一方ですが、
コストダウンも非常に重要な開発課題になってきています。
繊維と、合成繊維を複合化した不織布セパレータです。微
周辺回路の高度化等も含め安全性向上対策が検討されて
細化セルロース繊維を使用することで、一般的な不織布よ
いますが、LIB の安全性を犠牲にすることなく繰り返し特性
りも遥かに微細なポアを形成することができ(図2)、EDLC
等の電池特性の向上も期待できる NanoBaseX は、今後の
に最適なポア径制御が可能となります。従来のオールセ
LIB の用途拡大に大きな貢献を果たせるものと確信してい
ルロースセパレータとの互換性をできるだけ維持しつつ、
ます。
合成繊維複合化による強度向上、耐熱性向上という特長
を付与し、今後の EDLC の高圧化、高温化にも有利なセパ
レータとして期待されています。
図 4 釘刺し安全性試験結果(左:塗布型微多孔膜使用電池(発火)、
右:NanobaseX 使用電池(発火・発煙無し))
現在、NanoBase2、NanoBaseX、ともに車載用を中心に
図 2 不織布比較 (左:NanoBase2、右:一般的な不織布)
国内外含め、採用が拡大中です。
■
42
2015年度活動報告
[ 2015年度年次大会]
2015年5月15日リコー殿新横浜事業所で総会及び下表の講演が行われた。
⑤(株)豊田自動織機 ⑤FCフォークリフトの開発
藤森弘幸様
①東京大学大学院
古関隆章様
①気鉄道のエネルギー供給と
パワーマネージメント
②太陽光発電技術
研究組合
高川悌二様
⑥SiCパワー半導体と適用パワ
②日本の太陽光発電の現状と将来 ⑥富士電機 ( 株)
松本康様
エレ装置の開発動向
~太陽光発電技術研究組合の
役割~
⑦トヨタ自動車 ( 株) ⑦SiCパワーデバイス実用化に
鳥居薫様
向けた取り組み~サスティナブ
③世界の風力発電の動向
ルモビリティへの対応とSiC
実用化に向けた取組み~
③一般社団法人
日本風力発電協会
鈴木章弘様
④(株)ダイフク ④ダイフクにおけるワイヤレス給
電製品の実績と今後
布谷誠様
〔定例フォーラム〕
定例フォーラムは下表のように計7回開催された。
①個人会員 木下繁則様
②三井金属工業(株) 小宮未希子様
③アドバンストコンポジ ③新たな放熱材料:
①第5回基礎講座 グラファイトアルミについて ット(株) 鈴木達郎様 ②会社紹介と蓄電池部材商品の紹
④ISSとマイクログリッドの
④(株)デンソー 介
蓄電技術
山田学様
①個人会員 木下繁則様 ①第 4 回基礎講座 ③会社案内と製品(セパレータ:
③三菱製紙(株) ②群馬大学大学院
EDLC用、LiB用 CNT
②電気化学キャパシタ用新規
金田安生様
白石壮志様
分散液)の紹介
グラシックカーボン電極の開発
①個人会員 木下繁則様 ③JFEテクノス(株) ③蓄電池内蔵型の急速充電器の
①第3回基礎講座 ②水野エンジニアリング 石川洋史様
活用について
②機械システムの見方・考え方
水野光春様
① CONNEXX SYSTEMS(株)
塚本壽様
②個人会員 木下繁則様
43
①高出力型12V 電池 ”
ハイパー電池 TM ②第2回基礎講座
③三菱商事(株)
③世界の鉄道インフラと
最先端車両
①個人会員 木下繁則様
①第1回基礎講座 ②東京大学大学院 ②ワイヤレスインホイールモーターの開発と電気自
③ John R.Miller 様
藤本博志様
動車での走行評価
Ultra-High-Rate EDLCs Created
using Vertically -Oriented
Graphene Electrodes
堀会長
中国訪問の記
国土交通省 新保雄太様
次世代大型開発促進事業の
実証実験報告
元東京工業大学特任教授
松本吉彦様
自律分散電力システム開発への道
サンケン電気(株)
佐藤伸二様
SiCパワーデバイスを用いた高効率・
小型電源の実装技術
INFORMATION
-事務局から-
2015年度からキャパシタフォーラムが大容量キャパシタ普及への取組みの一つとして開始した
案件が寄付金です。フォーラムの予算内ですから大金ではありませんが大容量キャパシタの研究・開
発をテーマとした大学研究室など予算の限られたテーマに寄付金を差し上げます。使い道は原則自由、
会計報告も必要ありません。条件はキャパシタフォーラムの月次フォーラム或いは年次大会で報告し
ていただくことです。
2015年度は準備時間が取れなかったこともあり堀会長の研究室の黄氏・畑氏の
「電気自動車の走行中給電の為の電池・キャパシタ・ワイヤレス電力伝送によるハイブリッドシス
テムに関する基礎研究」に差し上げ5月20日の「12周年記念セミナー」で成果を発表していただ
きます。2016年度に関しましては福岡工業大学 田島氏、長岡技大 日下氏2件への寄付を予定
しております。
テーマの選定につきましては企画委員会でおこなっておりますが、会員の方々からテーマの提案を
いただければより充実したテーマ選定が可能となりますのでご提案ください。
年間2~3件を計画しております。
この会報をご覧になった方でキャパシタフォーラムに関心をもたれた方下記の事務局
アドレスまでメールをください。詳しい資料をお送りいたします。
会員企業(2016年4月時点)
アイオクサスジャパン(株)
アドバンストコンポジット(株)
(株)大木工藝
大阪ソーダ(株)
大塚化学(株)
菊水電子工業(株)
クラレケミカル(株)
CONNEXX SYSTEMS(株)
(株)サンクメタル
サンケン電気(株)
JX日鉱日石エネルギー(株)
JMエナジー(株)
住友商事(株)
TOCキャパシタ(株)
(株)デンソー
東洋合成工業(株)
(株)豊田中央研究所
日本ケミコン(株)
日本ゼオン(株)
日置電機(株)
ヘッドスプリング(株)
三井金属工業(株)
三菱製紙(株)
三菱電機(株)
UDトラックス(株)
リケンテクノス(株)
リコー株式会社 (個人会員20名)
私がキャパシタフォーラムの会報
の作成を担当してから今11号で7
冊目になってしまいました。全くの
素人がやるのですからすべて大変な
のですが、最も苦労するのは表紙の
デザインです。記事集めは企画委員
会で行いますので納期管理などそれ
なりの手間はかかりますが、しょせ
ん事務作業デザインに比べれば大し
たことはありません。11号の表紙
もこれで本人としては苦労している
のです。
11号の記事はOHM社の要請で
会員の方が執筆された原稿を同社の
ご厚意で一部転載させていただきま
した。記事集めの事務はかなり軽減
されています。OHM社の原様あり
がとうございました。
キャパシタフォーラム会報誌 2016年4月発行 編集/発行:キャパシタフォーラム事務局
ウェブサイト:http://capacitors-forum.org/ メール:zimukyoku @capacitors-forum.org
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