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原 著 白金製剤高感受性卵巣癌の 予後因子と効果的治療の検討

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原 著 白金製剤高感受性卵巣癌の 予後因子と効果的治療の検討
213
聖マリアンナ医科大学雑誌
原 著
Vol. 42, pp. 213–222, 2015
白金製剤高感受性卵巣癌の
予後因子と効果的治療の検討
なかがわ
ゆう こ
ながさわ
さとい
たけうち
じゅん
中川 侑子1 セドキーナ アンナ2 永澤 慧3 竹内 淳1
やまなか
ひろゆき
すず き
なお
お
だ
まさゆき
さ とう
こう
くま い
とし お
山中 弘之1 鈴木 直1 小田 昌幸2 佐藤 工2 熊井 俊夫2
(受付: 平成 26 年 9 月 24 日)
抄 録
白金製剤は卵巣癌の化学療法の根幹をなす生命期間の延長をもたらす重要な薬剤である一方,
長期投与によって癌が耐性を獲得する症例も報告されている1)。 すなわち白金製剤に高い感受
性を示すものの予後不良の転帰をたどる症例もあることから,白金製剤高感受性卵巣癌の予後
因子を探索し,新たな効果的治療方法の確立を目指すことは意義深いと考えられる。今回我々
はこれまで蓄積された癌症例の遺伝子情報,臨床情報のデータベースを用い,in silico analysis
にて卵巣由来の漿液性腺癌のうち白金製剤に高い感受性を示した症例(n=102)の予後因子の
探索を試みた。診断から 3 年以内に死亡した群(予後不良群,n=16)で発現レベルに有意な変
化のあった遺伝子 480 個を抽出した。Ingenuity Pathway Analysis(IPA)を用いこれらの遺伝子
が関わる経路を検索したところ, 予後不良群で NF-kB 経路の亢進がみられることが明らかと
なった。 NF-kB 経路の亢進を示す多発性骨髄腫細胞は, Bortezomib(プロテアソーム阻害薬)
に高い感受性を示すことが報告されている2)。今回我々は,骨髄腫細胞以外でも NF-kB 経路の
亢進を伴う細胞は Bortezomib 高い感受性を示すことを明らかにした。 以上より白金製剤高感
受性にもかかわらず予後不良となる漿液性卵巣癌において NF-kB 経路の亢進がバイオマーカー
となる可能性があり, これに対する効果的治療薬として Bortezomib が有望な候補となりうる
と考える。
索引用語
卵巣癌,漿液性腺癌,予後,効果的治療,NF-kB
液性線癌が予後不良と最も関連性が高い4)。 自覚症
諸 言
状が乏しいゆえに多くの患者が Stage III または Stage
卵巣癌は婦人科癌のうち,発生頻度としては 2 位,
IV でみつかり,これが予後不良の転帰をたどる一因
と考えられる5)。 Stage III または Stage IV の漿液性
線癌に白金製剤及び Taxan を用いた術後化学療法が
死亡原因としては 1 位,また女性の全癌死亡原因の
5 位ときわめて身近な疾患である3)。卵巣癌は上皮由
来のものが 95% と最多で,他に胚細胞由来や性索間
推奨されているが1, 6),一定の効果はある一方で化学
質細胞由来のものを含む 。 このうち上皮由来の漿
療法終了後半年以内に再発,または再増悪する白金
4)
製剤抵抗性と呼ばれる癌が一部存在することも事実
1 聖マリアンナ医科大学 産婦人科学
2 聖マリアンナ医科大学 遺伝子多型機能解析学
3 聖マリアンナ医科大学 乳腺内分泌外科学
である7, 8)。このため白金製剤抵抗性癌への効果的治
療薬の開発が世界中で精力的に行われており,Topo23
中川侑子 セドキーナアンナ ら
214
tecan や Bevacizumab の有効性の報告7, 9, 10)もその好
検索も可能である。ネットワーク検索とは,これま
例である。また,白金製剤抵抗性でないにも関わら
でに報告されている相互作用をする遺伝子のネット
ず不良な予後を示す症例もあることから,白金製剤
ワークにどれほどの DEG がかかわるかを検索する
高感受性群の予後因子の解明と効果的治療の新規開
ものである。また, IPA は上流の経路の変化予測も
発は重要な課題と考える。
可能であり,これもおこなった。
また癌研究は,次世代シークエンサーの登場によ
本研究はさらに白金製剤高感受性予後不良群の新
り多いに進歩した。欧米で行われている大規模プロ
たな効果的治療法について検討を加えた。NF-kB 経
ジェクトなどを含め,次世代シークエンサーのデー
路の亢進が見られる代表的な悪性腫瘍として多発性
タは論文報告した場合は公共のものとする取り決め
骨髄腫がある。多発性骨髄腫にはプロテアソーム阻
があり,誰でもアクセスし自身の研究に用いること
害薬である Bortezomib が効果的治療薬として FDA
ができる。 これらのデータベースは DNA や RNA
に認可されている2)12)。Bortezomib が NF-kB 経路の
シークエンスだけでなく,ChIP シークエンスや,さ
亢進している細胞を選択的に死滅させるのが多発性
らに臨床情報まで閲覧できるものもある。これらの
骨髄腫の細胞でのみ見られる現象であれば,Bortezo-
情報を用い分析する手法を in silico analysis や bioin-
mib を卵巣癌に用いることはできない。そこでこの
formatics と呼んでいる。 今回我々は, The Cancer
Genome Atlas(TCGA)データベース(https://tcgadata.nci.nih.gov/tcga/)を用い,in silico analysis を行
現象が多発性骨髄腫以外の悪性腫瘍でも見られるか
い白金製剤に対し高感受性であるにもかかわらず不
されている13)。 これを利用して, BRCA1 をノック
良な予後をおこす症例に着目し,その因子を探索し
ダウンさせ NF-kB 経路が亢進した細胞の構築を試み
た。さらにこの解析から予後不良を予想しうるバイ
た。言うまでもなく,モデル細胞として卵巣癌細胞
オマーカーの同定を目指し,新たな効果的薬物治療
株が好ましいが,いくつかの卵巣癌細胞株で試みた
に関して検討した。
ものの,トランスフェクション効率が低く実験を行
を検討した。家族性乳癌の原因遺伝子 BRCA1 の機
能不全が NF-kB 経路の亢進を引き起こすことが報告
うことができなかった(data not shown)。 このため
材料及び方法
トランスフェクション効率が高いヒト骨肉腫の細胞
in silico analysis: TCGA (The Cancer Genome
Atlas)11)データベースより High-grade serous ovarian
adenocarcinomas(HGS-OvCa)を抽出し,卵巣漿液
性腺癌の白金製剤高感受性(n=102)の中で, 三年
以内に死亡した予後不良群(n=16)とそれ以外(予
後 良 好 群 n=86) の 二 群 に わ け RNA sequencing
(RNA seq)を用いたトランスクリプトーム解析をお
こなった。両群の遺伝子発現の違いを TCC(Differential expression analysis for tag count data with robust normalization strategies, Version1.4.0)が推奨す
(edgeR-TMM)3-edgeR
る 3 回の繰り返し解析 TMMを行い,同定した。この際,負の 2 項分布で正規化
し False Discovery Rate(FDR)が 0.05 以下を有意差
株 U2OS 細胞を用い実験を行った。また,NF-kB 経
路は様々な刺激によって IkB が分解されると,p65/
p50 複合体が核内に移行し転写を行う14)。 このため
NF-kB 経路の亢進は p65 の核内局在の増加で確認で
きる。 免疫染色を行い, BRCA1 がノックダウンさ
れた状態での p65 の核内局在を観察した。 さらに,
この条件下で Bortezomib の作用を検討した。
細胞培養: ヒト骨肉腫細胞(U2OS)は ATCC(Virginia, USA)から購入した。 McCoy’s 5A (Gibco,
California, USA)+10% fetal bovine serum を用い,
37˚C,5% CO2 環境下で行った。
トランスフェクション:トランスフェクションの 24
時 間 前 に 細 胞(細 胞 数 7.5×105)を ま き Lipofectamine RNAiMAX(Life Technology, California,
USA)を用いてトランスフェクションを行った。
ウエスタンブロット解析: 回収した細胞は 0.5%
NP-40 lysis buffer(50mM Tris-HCl pH7.5, 150mM
NaCl, 0.5% NP-40, 50mM NaF, 1mM DTT, 1mM
Na3VO4, complete protease inhibitor cocktail(Roche,
Penzberg, Germany), 1mM PMSF)で溶解し 7.5%
ありとした。次に予後不良群で顕著な変化が見られ
る経路を明らかにする目的で, 同定された DEG を
Ingenuity Pathway Analysis(IPA)を用いた解析を
行った。 IPA とは RNA sequencing などのオミック
ス解析で得られたデータを元に,変化のあった遺伝
子が関わる経路などを同定するウェブソフトウェア
である。 IPA は経路検索だけでなく,ネットワーク
24
卵巣癌の予後因子と効果的治療の検討
215
SDS-PAGE を用いて電気泳動,続いて転写を施行し
を添加してから 4 日後に Cell-titer Blue を用い細胞
た。
の 生 存 率 を プ レ ー ト リ ー ダ ー( excitation/
転写後以下に示す一次抗体を使用した。anti-BRCA1
emission:560/590nm) で測定した。 Bortezomib は
DMSO で溶解しストックの濃度は 10mM。
(07–434) 抗 体 (Millipore, Massachusetts, USA,
1:2000), anti--actin(AC-15)抗体(Sigma, Mis結 果
souri, USA, 1:1000)。 二次抗体は HRP-linked Anti卵巣漿液性腺癌の白金製剤高感受性(n=102)の
Mouse/rabbit(GE healthcare Japan, Tokyo, Japan,
1:5000)を使用した。
中で,三年以内に死亡した予後不良群(n=16)とそ
免疫染色: 6 cm シャーレに細胞を播種し, 24 時間
れ以外(予後良好群 n=86)の二群にわけ RNA sequencing(RNA seq)を用いたトランスクリプトーム
後にトランスフェクションを行った。 培養 48 時間
後に 96 well プレートに 8000 個/well の細胞を播種,
解析を比較した。症例の詳細を Table 1 に示す。両
さらに 24 時間後に 4% Paraformaldehyde で 15 分固
群間において,年齢,人種及び病期に明らかな差は
定し,0.2% Triton X100 で 5 分間可溶化した。続い
認めなかった。両群の発現変動遺伝子(Differentially
expressed Gene: DEG)を 480 個同定した15, 16)。同定
て 3% BSA で 15 分ブロッキングした後, anti-p65
抗体(Cell Signaling, Massachusetts, USA, 1:500)を
した DEG と non-DEG の分布を MA plot で示す
(Figure 1)。ほとんどの遺伝子は M=0, つまり発現
加え 1 時間反応させた。一次抗体を洗浄ののち二次
抗体(Alexa Flour 488 anti-rabbit 抗体(Invitrogen,
変化がみられない一方でいくつかの遺伝子は上方,
California, USA, 1:1000))を 30 分間反応させ,洗浄
下方への変動が見られた。さらに同定された 480 個
に 続 い て Hoechest 33342 (Invitrogen, California,
の DEG を Ingenuity Pathway Analysis(IPA)を用い
USA, 1:1000)を用い核染色をした。 撮影と解析は
た解析を行った。最も関連すると推測される経路の
Cellomics Cellinsight high content screening reader
上位 5 個を Figure 2, Table 2 に示す。 その結果,
(Thermo Scientific, California, USA)を用いて行っ
DEG が関連する経路は LPS/IL-1 mediated inhibition
of RXR function, FXR/RXR activation, Bladder Canた。
cer signaling, Regulation of the Epithelial-mesenchy薬剤感受性試験:免疫染色試験と同様,トランスフェ
mal transition pathway, Gαi signaling であった。 加
クションの 48 時間後に 96 well プレートに 2000
個/well の細胞を播種した。さらに 24 時間後に段階
えて, IPA を用いネットワーク検索を行った結果,
NF-kB のサブユニットである RELA/p65 を中心とし
希釈した Bortezomib を加え培養した。 Bortezomib
Table 1 漿液性腺癌症例
25
中川侑子 セドキーナアンナ ら
10
216
株 で あ る U2OS 細 胞 を 用 い 実 験 を お こ な っ た。
DEG (FDR<0.05)
non-DEG
siRNA による BRCA1 のノックダウン効果をウエス
5
する siRNA をトランスフェクションした細胞で
0
BRCA1 のシグナルが減弱しているが,internal control の -actin のシグナルに変化は認めなかった。
BRCA1 不全細胞での NF-kB 経路の亢進をノックダ
ウンした U2OS 細胞を用い p65 の核内局在を検討し
た。 結果を Figure 4B に示す。 BRCA1 をノックダ
ウンした細胞では核内 p65 の蓄積が見られ NF-kB 径
路の亢進を認めた。 この条件下で Bortezomib の作
用を検討したところ, BRCA1 をノックダウンした
細胞は Bortezomib の IC50 が約 5 分の 1 で有効であ
り,高い感受性を示すことを確認した(Figure 4C)。
-5
M = log2G2 - log2G1
タンブロットで確認した(Figure 4A)。BRCA1 に対
-5
0
5
10
A = (log2G2 + log2G1) / 2
15
Figure 1. 遺伝子発現パターンの違い
予後不良群と予後良好群の遺伝子発現パターンの違いを示
す。 グレーのドットは二群間で発現に変動のない遺伝子
(non-DEG), 黒のドットは二群間で発現変動のあった
(FDR<0.05)遺伝子(DEG)である。Y 軸は遺伝子発現の
fold change,X 軸はそれぞれの群での平均値を示す。
考 察
今回我々は TCGA データベースの RNA seq デー
タを用い分析をおこなった。RNA seq データは,転
写物の断片配列からなり,発現レベルが同じ遺伝子
であっても長い転写物は多くのリードが含まれる傾
たネットワークの亢進が示唆された。(Figure 3)。
向にあるため17),RNA seq はリード数が直接その遺
IPA を用いてさらに上流の経路検索を行ったところ,
最も上位に予想された因子も NF-kB のサブユニット
である RELA/p65 であった。(Table 3)。
伝子の発現量を反映するわけではない18)。このため
クロアレイとは異なり直接比較することはできず,
また,効果的治療方法の検討として骨肉腫の細胞
発 現 変 動 遺 伝 子(Differentially expressed Gene:
l
o
l e
oor
raw count で表示される RNA seq のリード数は マイ
l
o
h
h
l
ese
e
l dder
o
α
o
he
l Tr s
ed
er
ed
o
l
h
l
o
hel
o
lo
o
o
Threshold
Figure 2. IPA による経路分析
DEG が関わる経路 480 個のうち確率が高い順番に示す。-log は経路に関わる確率を p 値で示し,Ratio
は経路に関わる遺伝子の割合を示す。
26
卵巣癌の予後因子と効果的治療の検討
DEG)を検出することが二群比較の大前提となる。
DEG を検出する場合で問題となるのは,ある群での
Table 2 経路検索の詳細
㻝㻚㻌㻸㻼㻿㻛㻵㻸㻙㻝㻌㻹㼑㼐㼕㼍㼠㼑㼐㻌㻵㼚㼔㼕㼎㼕㼠㼕㼛㼚㻌㼛㼒㻌㻾㼄㻾㻌㻲㼡㼚㼏㼠㼕㼛㼚
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㻞㻚㻝㻠
㻳㻾㻹㻠
㻝㻚㻢㻡㻡
㻷㻾㻭㻿
㻝㻚㻡㻢㻥
㻾㻳㻿㻣
㻞㻚㻜㻞㻣
㻿㻿㼀㻾㻟
㻝㻚㻡㻠㻤
㼜㻙㼢㼍㼘㼡㼑
㻤㻚㻟㻤㻱㻙㻜㻢
㻠㻚㻜㻢㻱㻙㻜㻣
㻠㻚㻤㻤㻱㻙㻜㻣
㻤㻚㻤㻟㻱㻙㻜㻡
㻞㻚㻞㻢㻱㻙㻜㻤
㻝㻚㻤㻟㻱㻙㻜㻠
㻤㻚㻡㻜㻱㻙㻜㻠
㻿㼥㼙㼎㼛㼘
㻭㻰㻾㻭㻞㻭
㻳㻺㻮㻟
㻳㻼㻾㻝㻣
㻳㻾㻹㻠
㻷㻾㻭㻿
㻾㻳㻿㻣
㻿㻿㼀㻾㻟
217
み高発現している遺伝子群である。この遺伝子群が
あることによって正しいデータの正規化が拒まれ,
結果として DEG 検出が困難となる19)。 この問題を
回避するため,我々は R パッケージの TCC(Differ-
ential expression analysis for tag count data with robust normalization strategies, Version1.4.0)法を使用
した15)。RNA seq はまずデータを正規分布させる必
要がある。 これまで RPM(Read per Million)法 を
代表とする補正法(総リード数補正)が主に用いられ
てきたが,この正規化がハウスキーピング遺伝子の
変動をもたらすという欠点が指摘され始めている20)。
㼜㻙㼢㼍㼘㼡㼑
㻣㻚㻞㻠㻱㻙㻜㻠
㻡㻚㻞㻡㻱㻙㻜㻡
㻢㻚㻤㻣㻱㻙㻜㻡
㻞㻚㻥㻝㻱㻙㻜㻠
㻣㻚㻝㻤㻱㻙㻜㻠
㻠㻚㻜㻝㻱㻙㻜㻡
㻤㻚㻡㻟㻱㻙㻜㻠
㻟㻚㻤㻟㻱㻙㻜㻠
TCC 法とは,TMM(Trimmed Mean of M values)法
と呼ばれるハウスキーピング遺伝子に基づいた正規
化を行い, 続いて DEG を定義する edgeR21)を用い
て DEG 同定,さらに DEG を除去した non-DEG デー
タのみで TMM による正規化を再び行う。この作業
を数回繰り返し, 最終的に信頼のある DEG を同定
する方法である。このように RNA seq の取り扱いも
日進月歩であり,今後本研究と同様の分析をするこ
とにより,従来の結果と異なった結論を導きだすこ
ともあると考えられる。
本研究で得られた 480 個の DEG について,1)経
路, 2)相互作用を及ぼすネットワーク, 3)変化を
起こしうる上流の因子について検討したところ,上
位 5 つの経路が全て NF-kB にかかわるものであっ
た22–24)。 これらの遺伝子が関わるネットワーク検索
でも, さらに DEG から推測する上流の経路検索で
も NF-kB の関与が推定された。これらの結果から,
白金製剤に対し高い感受性を示すにもかかわらず不
良な予後を示す症例では,NF-kB 経路の亢進が見ら
れることが明らかとなり,NF-kB 経路の亢進が白金
製剤高感受性の予後不良を示すバイオマーカーであ
る事を本研究で明らかにした。さらにこの予後不良
の症例に,プロテアソーム阻害薬である Bortezomib
が効果的治療薬となる可能性を示すことができた。
Bortezomib はプロテアソームを阻害することによ
り,IkB の分解を抑制し,結果として NF-kB を阻害
するものと認識されていた25)。 その後の研究では,
NF-kB を阻害するよりむしろ亢進させるという報告
があり, Bortezomib の NF-kB 経路への影響はいま
だ議論されている25–27)。ところで,NF-kB 経路が亢
進している多発性骨髄腫が Bortezomib に高い感受
27
中川侑子 セドキーナアンナ ら
218
1F
5.699
6.872E-5
IL1
1.944
1.135E-4
NL
-1.907
5.431E-4
1.166
8.270E-5
RELA/p65
B (com
Figure 3. IPA によるネットワーク分析
DEG が関わるネットワークを示す。矢印は相互作用を示す。遺伝子発現の変化と信頼性はそれぞれの遺伝
子に+/−を含む fold change と p 値を示す。Rx は経路を阻害しうる化合物を示す。
Table 3 上流検索
㼁㼜㼟㼠㼞㼑㼍㼙㻌㻾㼑㼓㼡㼘㼍㼠㼛㼞
㻹㼛㼘㼑㼏㼡㼘㼑㻌㼀㼥㼜㼑
㻾㻱㻸㻭
㼠㼞㼍㼚㼟㼏㼞㼕㼜㼠㼕㼛㼚㻌㼞㼑㼓㼡㼘㼍㼠㼛㼞
㻾㻮㻮㻼㻠
㼑㼚㼦㼥㼙㼑
㻲㻿㼀
㼛㼠㼔㼑㼞
㻱㻳㻲
㼓㼞㼛㼣㼠㼔㻌㼒㼍㼏㼠㼛㼞
㻴㻺㻲㻝㻤
㼠㼞㼍㼚㼟㼏㼞㼕㼜㼠㼕㼛㼚㻌㼞㼑㼓㼡㼘㼍㼠㼛㼞
性を示すが2),これが NF-kB が亢進しているために
㼜㻙㼢㼍㼘㼡㼑㻌㼛㼒㻌㼛㼢㼑㼞㼘㼍㼜
㻠㻚㻡㻞㻱㻙㻜㻞
㻞㻚㻝㻝㻱㻙㻜㻟
㻡㻚㻣㻡㻱㻙㻜㻟
㻡㻚㻤㻣㻱㻙㻜㻟
㻝㻚㻝㻜㻱㻙㻜㻞
高い感受性をもつのか,多発性骨髄腫に特異的に見
NF-kB 経路の亢進した骨髄腫以外の細胞で Bortezomib が高い効果を示すことを明らかにした。これは
られるものかは明らかではない。 我々は本研究で,
白金製剤高感受性の予後不良卵巣癌にも応用できる
28
250
Anti-BRCA1
50
Anti-β-actin
37
B
C
4
% survival
2
1
untransfected
siControl
siBRCA1-1
siBRCA1-4
80
60
40
20
0
4
1-
0.1
1
10
100 1000 10000
C
R
B
si
C
R
B
si
0
Bortezomib (nM)
A
1
1A
tr
on
C
0
U
si
ra
sf
ec
te
d
ol
0
nt
120
100
3
Nuc Cyt Ratio
219
siBRCA1-4
siBRCA1-1
untransfected
A
siControl
卵巣癌の予後因子と効果的治療の検討
Figure 4. Bortezomib は NF-kB 経路の亢進を伴う細胞へ高い効果を示す
A. siRNA による BRCA1 ノックダウン
B. BRCA1 ノックダウンによる p65 の核内局在の増加
平均±標準偏差(n=3)
C. Bortezomib の NF-kB 亢進細胞に対する力価の増加
平均±標準偏差(n=3)
可能性があり,今後の研究展開が望まれる。
compared with paclitaxel and cisplatin in patients with stage III and stage IV ovarian cancer.
The New England journal of medicine 1996;
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2)Hideshima T, Richardson P, Chauhan D, Palombella VJ, Elliott PJ, Adams J, Anderson KC. The
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Kwon JS, Lee CH, Cohen T, Ehlen T, Lee M,
Carey MS, Heywood M, Pike J, Hoskins PJ, Stuart GC, Swenerton KD, Huntsman DG, Gilks
CB, Miller DM, McAlpine JN. The role of the
今回 bioinformatics の手法を用いて, 白金製剤に
高感受性の卵巣由来漿液性腺癌で,NF-kB 経路の亢
進が予後不良を予測するバイオマーカーである可能
性を示した。さらにこのような症例への効果的治療
薬として Bortezomib を提唱することができた。 今
後本研究結果を 臨床応用につなげるためには,手術
摘出標本などの臨床検体を用いた検討が必要である。
臨床検体を用いて,NF-kB 経路の亢進を遺伝子レベ
ルで確認すること, P65 の核内局在14),予後との関
連を検証することは今後重要な課題であると考える。
また,Bortezomib に対する感受性も同様に,臨床検
体での再現性の確認が必要である。
引用文献
1)McGuire WP, Hoskins WJ, Brady MF, Kucera
PR, Partridge EE, Look KY, Clarke-Pearson DL,
Davidson M. Cyclophosphamide and cisplatin
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220
中川侑子 セドキーナアンナ ら
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卵巣癌の予後因子と効果的治療の検討
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31
222
中川侑子 セドキーナアンナ ら
Abstract
Identification of Prognostic Factor and Therapeutic Efficacy
in Platinum-sensitive Serous Ovarian Carcinoma
Yuko Nakagawa1, Anna Sedukhina2, Satoi Nagasawa3, Jyun Takeuchi1,
Hiroyuki Yamanaka1, Nao Suzuki1, Masayuki Oda2, Ko Sato2, and Toshio Kumai2
Platinum is one of the standard and first-line agents for serous ovarian carcinoma. However, regression or
recurrence is often observed within six months post-chemotherapy with platinum and this is linked to poor clinical outcome. Therefore, the mechanism by which platinum-resistance occurs has been extensively investigated.
Therefore, it is important to identify factors that influence clinical outcome in such cases.
We have performed in silico analysis towards identify prognostic factors and effective therapy for such
clinical cases. The Cancer Genome Atlas data of platinum-sensitive serous ovarian carcinoma were divided into
two groups based on the years of survival(survival>3years, n=86 and survival<3years, n=16)and were
compared by RNA sequencing. The differentially expressed genes(DEG)identified were further analysed with
Ingenuity Pathway Analysis(IPA)to identify in which pathways the DEG are involved. The analysis predicted
that NF-kB signaling is preferentially up-regulated in a group with poor clinical outcome. Current evidence
indicates that myeloma cells with up-regulation of NF-kB signaling are sensitive to Bortezomib, a proteasome
inhibitor. However, whether this line of management can be extended to ovarian cancer is not known. Our study
identifies that Bortezomib kills cells with up-regulation of NF-kB signaling and extends this therapeutic strategy
beyond myeloma. Therefore, we conclude that up-regulation of NF-kB signaling is a biomarker of poor clinical
outcome in platinum-sensitive serous ovarian carcinoma and that Bortezomib could be an effective therapy for
this type of cancer.
1 Department of Gynecology and Obstetrics
2 Department of Pharmacogenomics
3 Department of Surgery, Division of Breast and Endocrine Surgery
32
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