...

第1章 計画の策定にあたって

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

第1章 計画の策定にあたって
第1章
計画の策定にあたって
第1章
計画の策定にあたって
1
はじめに
生涯を通じて、いつまでも健やかにいきいきと過ごすことは、誰もが願うところで
す。急速な高齢化が進む中で、医療や介護に係る負担が一層増すと予測される一方で、
これまでのような高い経済成長が望めない可能性があります。こうした状況下で活力
ある社会を実現するためには、生活習慣病を予防し、また、社会生活を営むために必
要な機能を維持・向上することなどによって、健康づくりを推進することが必要とな
ります。
国においては、こうした状況を受けて、生活習慣及び社会環境の改善を通じて、子
どもから高齢者まで全ての国民が共に支え合いながら希望や生きがいを持ち、健やか
で心豊かに生活できる活力ある社会を実現し、社会保障制度が持続可能なものとなる
ように、平成 25 年度から「健康日本 21(第2次)」を推進しています。また、母子
保健分野を担う計画である「健やか親子 21」を平成 26 年度までの期間で推進して
います。
愛知県においても、県民の主体的な健康づくりに加えて、すべての県民が生きがい
を持って過ごすことのできる社会をめざし、平成 25 年度から「健康日本 21 あいち
新計画」を推進しています。「健康日本 21 あいち計画(第1次計画)」の一分野であ
った「健やか親子(親と子が健やかに暮らせる社会づくり)
」については、引き続きそ
の理念を計画に取り込み推進を図っています。
本市では、「からだいきいき
こころのびのび」を合言葉に、国の「健康日本 21」
及び「健やか親子 21」を含むすべてのライフステージに応じた健康づくりの計画と
して、平成 16 年度に「健康日本 21 安城計画」
(以下「第1次計画」という。)を策
定し、推進してきました。
平成 25 年度に第1次計画の計画期間が終了することから、これまでの取り組みを
評価し、健康をとりまく社会情勢などの変化を踏まえ、国の「健康日本 21(第2次)」、
県の「健康日本 21 あいち新計画」を受けて、今後 10 年間に取り組む健康づくりの
方針を示すため、
「第2次健康日本 21 安城計画」
(以下「第2次計画」という。
)を策
定します。
2
第1章
2
計画の策定にあたって
国・県の動き
(1)国の動き
国は、昭和 53 年より、10 年を1期とする「国民健康づくり対策」を進め、第3
次国民健康づくり対策となる「21 世紀における国民健康づくり運動(健康日本 21)」
(平成 12 年3月策定)では、壮年期死亡の減少、健康寿命※1の延伸及び生活の質の
向上の実現をめざしてきました。
平成 12 年 11 月には「健やか親子 21」を策定し、母子保健分野の健康づくりと
して、「思春期の保健対策の強化や健康教育の推進」「妊娠・出産に関する安全性と快
適さの確保と不妊への支援」「小児保健水準を維持・向上させるための環境整備」「子
どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」の4つの課題を掲げ、平成 26 年
度までの期間において、施策を展開しています。
平成 15 年5月には、「健康日本 21」の根拠法となる「健康増進法」が施行され、
一層の促進が図られることになりました。
その後、時代の変化に応じた健康づくり対策を進めるための法的整備が進められ、
平成 20 年 4 月の「高齢者の医療の確保に関する法律」の一部改正により、メタボリ
ックシンドロームの予防・改善を目的に、40 歳から 74 歳までの医療保険加入者を
対象とした「特定健康診査※2・特定保健指導※3」が開始されました。
さらには、
「食育基本法※4」や「自殺対策基本法※5」、「がん対策基本法※6」、「歯科
口腔保健の推進に関する法律※7」など、健康づくりの関連法も整備されました。
こうした法的整備が進められる中で、平成 23 年3月に「健康日本 21」の最終評
価が行われ、平成 25 年度からは、新たに「健康日本 21(第2次)」が推進されてい
ます。
この計画では5つの基本的な方向性として、
「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」
「生
活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底」
「社会生活を営むために必要な機能の維持及
び向上」
「健康を支え、守るための社会環境の整備」
「栄養・食生活、身体活動・運動、
休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善」が示さ
れています。
※1【健康寿命】 世界保健機関(WHO)が2000年に提唱した指標であり、一般に、健康状態で生活する
ことが期待できる平均期間またはその指標の総称を指す。健康日本21(第2次)では、健康上の問題で
日常生活が制限されることなく生活できる期間と定められている。健康寿命の指標として「日常生活に
制限のない期間の平均」、「自分が健康であると自覚している期間の平均」と「日常生活動作が自立し
ている期間の平均」がある。
※2~7の用語解説は、4ページに掲載
3
第1章
計画の策定にあたって
(2)県の動き
国の「健康日本 21」を受け、県は平成 13 年3月に「健康日本 21 あいち計画」
を策定しています。この計画では、健康寿命の延伸や親と子が健やかに暮らすことが
できる社会づくりのため、県民や健康づくりを推進する関係者が取り組むべき具体的
な目標を設定し、進めてきました。また、平成 18 年3月には、
「健康長寿あいち宣言」
を発表し、県民が「長生きしてよかったと思えるあいちづくり」をめざし、取り組ん
できました。
そして、平成 25 年に国の「健康日本 21(第2次)」の理念を取り入れ、
「健康日
本 21 あいち新計画」を策定しています。この計画では、「生涯を通じた健康づくり」
「疾病の発症予防及び重症化予防」
「生活習慣の見直し」「社会で支える健康づくり」
を基本方針とし、行政や関係機関、関係団体などが連携を図り、県民の健康づくりを
総合的に推進することをめざしています。
※2【特定健康診査】 糖尿病などの生活習慣病の予防の目的で、メタボリックシンドロームの状態を早期に
見つけるため各医療保険者に義務付けられた健康診査。40歳以上74歳以下の被保険者及びその被扶養
者を対象に行われる。
※3【特定保健指導】 特定健康診査の結果により、生活習慣病のリスクが一定程度高いと判断された者に対
して行われる保健指導。保健指導に関する専門的知識及び技術を有する医師、保健師、管理栄養士によ
り行われる。
※4【食育基本法】 国民が健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむため、食育に関する施策を総合的か
つ計画的に推進することなどを目的とした法律。平成17年7月に施行された。
※5【自殺対策基本法】 年間の自殺者数が3万人を超える日本の状況に対処するため制定され、自殺対策の
総合的な推進、自殺の防止及び自殺者の親族などへの支援の充実などを図ることを目的とした法律。平
成18年10月に施行された。
※6【がん対策基本法】 日本人の死因で最も多いがんの対策のための国、地方公共団体などの責務を明確
にし、基本的施策、対策の推進に関する計画と厚生労働省にがん対策推進協議会を置くことを定めた法
律。平成 19 年4月に施行された。
※7【歯科口腔保健の推進に関する法律】 歯科疾患の予防や口腔の保健に関する調査研究をはじめ、国民が
定期的に歯科検診を受けることなどの勧奨や、障害者・介護を必要とする高齢者が定期的に歯科検診を
受けること、または歯科医療を受けることができるように、歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的
に推進することを目的とした法律。平成23年8月に施行された。
※8
第2次健康日本21安城計画策定委員会設置要綱に基づく外部委員組織(72ページ参照)
4
第1章
3
計画の策定にあたって
第2次健康日本 21 安城計画の策定の流れ
この計画の策定にあたっては、健康に関する基礎調査などにより市の現状分析を行
い、第1次計画の最終評価をしました。その最終評価や意見交換会での意見を踏まえ、
策定委員会※8 などで検討し、第2次計画を策定しました。
平成 24~25 年度
<計画の策定体制>
庁内組織
策定分科会
策定幹事会
(課長補佐・係長級職員)
●調査結果及び各種資料
の案の作成
(課長級職員)
●策定委員会に提案する
各種資料案の検討
策定委員会
●調査結果及び評価報告
書の審議
●「第2次計画」案の審議
平成 24 年度
健康に関する基礎調査
市の現状分析
●各年代の意識の実態
●各種健康指標の実態
市民意見交換会
●人口、死亡率など
●健診受診状況などの実績
●各種事業の実績など
<ワークショップ>
●健康への意識
●みんなで取り組む
プログラムづくり
健康に関する基礎調査報告書
最終評価報告書
●健康に関する基礎調査結果
●「第1次計画」の評価結果
健康づくりプログラム案
平成 25 年度
意見交換会(団体・企業など)
基本理念・計画の体系の検討
●組織や団体の取り組みの把握
●多くの市民の参加を促進するための
取り組みの検討
課題・目標・取り組み方針の検討
●目標を掲げ、取り組み方針を検討
指標・目標値の設定
●目標の達成状況を評価する指標を設定
パブリックコメント
第2次健康日本 21 安城計画(案)
第2次健康日本 21 安城計画
5
第1章
計画の策定にあたって
4 健康日本 21 安城計画(第1次計画)の評価結果
平成 24 年に健康に関する基礎調査(市民アンケート)などを実施し、第1次計画
の推進状況を、計画の各指標の達成状況から整理・評価しました。
第1次計画には、163 の指標が設定されており、そのうち 59 指標(36.2%)は
目標値を概ね達成しています。また、計画策定当初よりも改善した指標(下表のA、
B+、B-に該当するもの)は 113 指標(69.3%)です。
分
<分野別の指標達成状況一覧>
A
B+
BC
野
達成
(1)栄養・食生活
改善
やや改善
現状維持
D
E
悪化
評価不能
総数
13
7
3
3
6
1
33
3
2
4
1
3
0
13
12
2
6
1
3
8
32
(4)たばこ
0
3
5
2
3
0
13
(5)アルコール
2
4
0
0
0
1
7
18
6
3
2
3
0
32
(7)健やか親子
9
4
2
1
1
2
19
(8)生活習慣病予防
2
1
2
0
4
5
14
59
29
25
10
23
17
163
(2)身体活動・運動
(3)休養・こころの健康
(6)歯の健康
合
計
<分野別の指標達成状況の割合>
達成(A)
達成・改善(A・B+・B-)
改善率
(%)
0.0
50.0
37.5
休養・こころの健康
※1
0.0
50.0
69.7
9.1
69.2
7.7
3.1
61.5
28.6
84.4
47.4
78.9
35.7
14.3
36.2
0.0
6.3
5.3
0.0
69.3
評価不能(E)を除いているため 100%になりません。
6
悪化率
100.0
0.0
50.0
18.2
23.1
9.4
23.1
15.4
85.7
56.3
健やか親子
合計
100.0
62.5
0.0
歯の健康
生活習慣病予防
50.0
23.1
身体活動・運動
アルコール
0.0
39.4
栄養・食生活
たばこ
100.0
悪化(D) ※1
現状維持(C)
現状維持率 (%)
(%)
6.1
0.0
9.4
5.3
28.6
14.1
(%)
100.0
第1章
計画の策定にあたって
<評価ランク別の主な指標>
A(達成)
・体重を正しく評価できない子の割合(小・中・高生女子) ・健康づくりリーダーの人数
・相談できる人がいない子の割合(小・中学生)
B+(改善)
・定期的な歯科健診の受診率
・離乳食講習会の受講率 ・BMI 判定が肥満の人の割合(25 歳以上男性・40 歳以上女性)
・未成年者の飲酒率
・う蝕
※2
のない幼児の割合(3歳児)
B-(やや改善) ・学校が楽しいと思う子の割合 ・子どもの事故防止対策をとっている家庭の割合
C(現状維持)
・ヘルスメイトの人数
・適正体重(BMI 標準)の人の割合
・歯の健康を保つ生活をしている人(歯の健康づくり得点 16 点以上の人)の割合
D(悪化)
・BMI 判定がやせの人の割合(20 歳代女性)
・健康的な生活習慣に改めたいと思う人の割合
E(評価不能) ・母性健康管理指導事項連絡カードを知っている就労妊婦の割合 ・各種がん検診受診率
<今後の課題※3>
●栄養・食生活
20 歳~30 歳代の朝食の欠食を改善するため、栄養バランスのとれた食事を1日3
回食べることによって、過不足なく栄養がとれることを周知していく必要があります。
10 歳~20 歳代女性のやせに対して、適正体重を理解し、適切な量とバランスの食
事がとれるように支援の方法を検討していく必要があります。
成人期の肥満者は減少していますが、引き続き、生活習慣病予防のための肥満改善を
支援する必要があります。
●身体活動・運動
乳幼児期では、親子で一緒に楽しく遊ぶことの大切さの啓発や、施設に関する情報
を提供する必要があります。
成人期では、家族や仲間で楽しくからだを動かす機会や体力を見直す機会をつくり、
実践を伴った普及、啓発を進めていく必要があります。
高齢期では、身体活動を増やすための啓発と支援を行う必要があります。
●休養・こころの健康
相談窓口の周知を行うとともに、関係機関と連携して相談体制を強化する必要があ
ります。また、家庭においても、話しやすい環境づくりを進める必要があります。
こころの健康に関する関心を高め、正しい知識の普及や、自分や周囲の人のこころ
の状態に気づけるように取り組む必要があります。
個人にあったストレス発散方法が持てるように働きかけをしていく必要があります。
睡眠不足は、疲労感をもたらし、情緒を不安定にするなど、こころの健康に大きく
影響するため、睡眠に関する情報提供をしていく必要があります。
※2【う蝕】 細菌が糖質をもとに作り出す酸が、歯を溶かすことで生じる歯の疾患。一般的にはむし歯という。
※3 今後の課題に出てくる乳幼児期は出生から未就学児まで、学童期は小学生、思春期は中学生から高校生年
代までのことです。
7
第1章
計画の策定にあたって
●たばこ
学童期、思春期や妊娠中の喫煙がゼロとなっていないことから、対象者に合わせた
対策を引き続き進めていく必要があります。
たばこが及ぼす健康影響についての知識の普及、啓発をしていく必要があります。
公共の場及び職場においても、受動喫煙を防止するための環境を整えていく必要が
あります。
●アルコール
未成年者が飲酒をしないように飲酒の害について、引き続き周知を図っていく必要
があります。
飲酒の健康影響について正しい理解を図るため、様々な機会を通じて、普及、啓発
に努めていく必要があります。
●歯の健康
幼児~学童期のう蝕予防対策は、関係機関と連携を深め、さらに推進していく必要
があります。
う蝕や歯周病を予防するセルフケアを実践できるような支援と、歯周病が糖尿病な
どの全身疾患と関連があることを広く啓発し、歯・口腔の健康意識を高める必要が
あります。
高齢者が歯・口腔の健康を保つ支援を行う必要があります。
●健やか親子
子育てのストレスを解消できない人がいることから、さらに多様な支援環境を整備
していくことが大切です。特に、乳幼児の保護者への支援について検討していく必
要があります。
子どもたちが成長や発達に合ったサービスを受けられるように、今後も乳幼児健診
未受診者への受診勧奨や予防接種未接種者への接種勧奨を継続していく必要があり
ます。また、子どもの事故防止対策の啓発についても継続していく必要があります。
●生活習慣病予防
各年齢層と健康状態に応じた、生活習慣病に関する知識の普及を引き続き行ってい
く必要があります。
健康診査や各種がん検診などの受診率向上を図り、自分の健康状態について正しく
認識できるような支援を継続していく必要があります。
健診の結果を自らの健康管理に役立てることができるようにしていく必要がありま
す。
8
Fly UP